JP2023142300A - 繊維状セルロース複合樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィラーである繊維状セルロースを高配合率としても加工適性に優れる繊維状セルロース複合樹脂を提供する。【解決手段】平均繊維幅が0.1μm以上の繊維状セルロースと、無水マレイン酸変性ポリプロピレンと、分子量が100万g/mol以上のポリエチレンとを含むことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂である。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維状セルロース複合樹脂に関するものである。
近年、セルロースナノファイバー、マイクロ繊維セルロース(ミクロフィブリル化セルロース)等の微細繊維は、樹脂の補強材としての使用が脚光を浴びている。もっとも、微細繊維が親水性であるのに対し、樹脂は疎水性であるため、微細繊維を樹脂の補強材として使用するには、当該微細繊維の分散性に問題があった。そこで、本発明者等は、微細繊維のヒドロキシル基をカルバメート基で置換することを提案した(特許文献1参照)。この提案によると、微細繊維の分散性が向上し、もって樹脂の補強効果が向上する。
もっとも、微細繊維をフィラーとして使用した繊維状セルロース複合樹脂は、用途に応じて任意のフィラー配合率に希釈して使用することを可能とするために、可能な限りフィラー配合率が高いものが好ましい。しかしながら、フィラー配合率が例えば50質量%を超えると、繊維状セルロース複合樹脂をペレット化する工程において二軸押出機等から吐出した際に、当該二軸押出機等から吐出したいわゆるストランドが自重で折れることがある。つまり、従来の繊維状セルロース複合樹脂は、フィラー配合率を高くした場合において、加工適性に劣るという問題を抱えている。
この点、繊維状セルロース複合樹脂の開発は日進月歩であり、種々の提案がなされているが、その多くは複合樹脂の強度向上やそのための樹脂中における微細繊維の分散性向上を課題としており、加工適性という観点からの提案ではない。
特開2019-1876号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、フィラーである繊維状セルロースを高配合率としても加工適性に優れる繊維状セルロース複合樹脂を提供することにある。
本発明者等は、繊維状セルロース(フィラー)が高配合率である場合においてはストランドが自重で折れる点について、まず、フィラー以外の樹脂成分に着目して鋭意検討を重ねた。結果、高分子量ポリエチレン(PE)を用いると、フィラー配合率66.7質量%であってもストランドが自重で折れず、安定してカット加工が可能であることを知見した。このような知見に基づいて想到するに至ったのが次に示す手段である。
すなわち、平均繊維幅が0.1μm以上の繊維状セルロースと、無水マレイン酸変性ポリプロピレンと、分子量が100万g/mol以上のポリエチレンと、を含む、ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂である。
本発明によると、フィラーである繊維状セルロースを高配合率としても加工適性に優れる繊維状セルロース複合樹脂となる。
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
本形態の繊維状セルロース複合樹脂は、平均繊維幅が0.1μm以上の繊維状セルロースと、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)と、分子量が100万g/mol以上のポリエチレン(PE)とを含むことを特徴とする。好ましくは、繊維状セルロースは、ヒドロキシ基(-OH基)の一部又は全部がカルバメート基で置換されている。以下、詳細に説明する。
なお、PPやPE等の単純かつ規則的な繰り返し構造を持つ分子同士は整列して結晶構造を形成し、PPはPP同士、PEはPE同士で結晶構造を形成するため、相溶しない。一方、MAPPは、無水マレイン酸がPPと反応して、疎水性のPP主鎖に、無水マレイン酸由来の親水性の側鎖(無水マレイン酸の二重結合がなくなった無水コハク酸構造の側鎖)を持ったポリマーである。そして、MAPPの親水性の側鎖はカルバメート化したセルロース繊維のカルバメート基や水酸基と相互作用(水素結合)する。しかも、カルバメート基の方が水酸基よりも親水性が高いため、MAPPの親水性の側鎖と、より相互作用し易い。また、MAPPは、分子内で親水性及び疎水性の両方の性質を持つため、整列しづらくなり、結晶化しづらくなる。さらに、カルバメート基は、繊維同士の凝集の抑制にも寄与する。以上のようなことから、MAPP、このMAPPと相互作用するカルバメート化セルロース繊維は樹脂中で非常に優れた分散性を有する。結果、後述する実施例から明らかなように、MAPPと、このMAPPと相互作用するセルロース繊維、好ましくはカルバメート化セルロース繊維(マイクロ繊維セルロース)と、PEやPPを混練すると、分離せずに相溶し、加工適性が向上し、加えて強度の向上が実現されるのである。
(繊維状セルロース)
本形態において微細繊維である繊維状セルロースは、平均繊維径が0.1μm以上のマイクロ繊維セルロース(ミクロフィブリル化セルロース)である。マイクロ繊維セルロースであると、樹脂の補強効果が著しく向上する。また、マイクロ繊維セルロースは、同じく微細繊維であるセルロースナノファイバーよりもカルバメート基で変性する(カルバメート化)のが容易である。ただし、微細化する前のセルロース原料をカルバメート化するのがより好ましく、この場合においては、マイクロ繊維セルロース及びセルロースナノファイバーは同等である。
マイクロ繊維セルロースは、セルロース原料(以下、「原料パルプ」ともいう。)を解繊(微細化)することで得ることができる。原料パルプとしては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ・バガス・綿・麻・じん皮繊維等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。なお、以上の各種原料は、例えば、セルロース系パウダーなどと言われる粉砕物(粉状物)の状態等であってもよい。
ただし、不純物の混入を可及的に避けるために、原料パルプとしては、木材パルプを使用するのが好ましい。木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
広葉樹クラフトパルプは、広葉樹晒クラフトパルプであっても、広葉樹未晒クラフトパルプであっても、広葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。同様に、針葉樹クラフトパルプは、針葉樹晒クラフトパルプであっても、針葉樹未晒クラフトパルプであっても、針葉樹半晒クラフトパルプであってもよい。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、漂白サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
原料パルプは、解繊するに先立って化学的手法によって前処理することができる。化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)等を例示することができる。ただし、化学的手法による前処理としては、酵素処理を施すのが好ましく、加えて酸処理、アルカリ処理、及び酸化処理の中から選択された1又は2以上の処理を施すのがより好ましい。以下、酵素処理について詳細に説明する。
酵素処理に使用する酵素としては、セルラーゼ系酵素及びヘミセルラーゼ系酵素の少なくともいずれか一方を使用するのが好ましく、両方を併用するのがより好ましい。これらの酵素を使用すると、セルロース原料の解繊がより容易になる。なお、セルラーゼ系酵素は、水共存下でセルロースの分解を惹き起こす。また、ヘミセルラーゼ系酵素は、水共存下でヘミセルロースの分解を惹き起こす。
セルラーゼ系酵素としては、例えば、トリコデルマ(Trichoderma、糸状菌)属、アクレモニウム(Acremonium、糸状菌)属、アスペルギルス(Aspergillus、糸状菌)属、ファネロケエテ(Phanerochaete、担子菌)属、トラメテス(Trametes、担子菌)属、フーミコラ(Humicola、糸状菌)属、バチルス(Bacillus、細菌)属、スエヒロタケ(Schizophyllum、担子菌)属、ストレプトミセス(Streptomyces、細菌)属、シュードモナス(Pseudomonas、細菌)属などが産生する酵素を使用することができる。これらのセルラーゼ系酵素は、試薬や市販品として購入可能である。市販品としては、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラ-ゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、セルラーゼ系酵素GC220(ジェネンコア社製)等を例示することができる。
また、セルラーゼ系酵素としては、EG(エンドグルカナーゼ)及びCBH(セロビオハイドロラーゼ)のいずれかもを使用することもできる。EG及びCBHは、それぞれを単体で使用しても、混合して使用してもよい。また、ヘミセルラーゼ系酵素と混合して使用してもよい。
ヘミセルラーゼ系酵素としては、例えば、キシランを分解する酵素であるキシラナーゼ(xylanase)、マンナンを分解する酵素であるマンナーゼ(mannase)、アラバンを分解する酵素であるアラバナーゼ(arabanase)等を使用することができる。また、ペクチンを分解する酵素であるペクチナーゼも使用することができる。
ヘミセルロースは、植物細胞壁のセルロースミクロフィブリル間にあるペクチン類を除いた多糖類である。ヘミセルロースは多種多様で木材の種類や細胞壁の壁層間でも異なる。針葉樹の2次壁では、グルコマンナンが主成分であり、広葉樹の2次壁では4-O-メチルグルクロノキシランが主成分である。そこで、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)から微細繊維を得る場合は、マンナーゼを使用するのが好ましい。また、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)から微細繊維を得る場合は、キシラナーゼを使用するのが好ましい。
セルロース原料に対する酵素の添加量は、例えば、酵素の種類、原料となる木材の種類(針葉樹か広葉樹か)、機械パルプの種類等によって決まる。ただし、セルロース原料に対する酵素の添加量は、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.3~2.5質量%、特に好ましくは0.5~2質量%である。酵素の添加量が0.1質量%を下回ると、酵素の添加による効果が十分に得られないおそれがある。他方、酵素の添加量が3質量%を上回ると、セルロースが糖化され、微細繊維の収率が低下するおそれがある。また、添加量の増量に見合う効果の向上を認めることができないとの問題もある。
酵素としてセルラーゼ系酵素を使用する場合、酵素処理時のpHは、酵素反応の反応性の観点から、弱酸性領域(pH=3.0~6.9)であるのが好ましい。他方、酵素としてヘミセルラーゼ系酵素を使用する場合、酵素処理時のpHは、弱アルカリ性領域(pH=7.1~10.0)であるのが好ましい。
酵素処理時の温度は、酵素としてセルラーゼ系酵素及びヘミセルラーゼ系酵素のいずれを使用する場合においても、好ましくは30~70℃、より好ましくは35~65℃、特に好ましくは40~60℃である。酵素処理時の温度が30℃以上であれば、酵素活性が低下し難くなり、処理時間の長期化を防止することができる。他方、酵素処理時の温度が70℃以下であれば、酵素の失活を防止することができる。
酵素処理の時間は、例えば、酵素の種類、酵素処理の温度、酵素処理時のpH等によって決まる。ただし、一般的な酵素処理の時間は、0.5~24時間である。
酵素処理した後には、酵素を失活させるのが好ましい。酵素を失活させる方法としては、例えば、アルカリ水溶液(好ましくはpH10以上、より好ましくはpH11以上)を添加する方法、80~100℃の熱水を添加する方法等が存在する。
次に、アルカリ処理の方法について説明する。
解繊に先立ってアルカリ処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの水酸基が一部解離し、分子がアニオン化することで分子内及び分子間水素結合が弱まり、解繊におけるセルロース原料の分散が促進される。
アルカリ処理に使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の有機アルカリ等を使用することができる。ただし、製造コストの観点からは、水酸化ナトリウムを使用するのが好ましい。
解繊に先立って酵素処理や酸処理、酸化処理を施すと、マイクロ繊維セルロースの保水度を低く、結晶化度を高くすることができ、かつ均質性を高くすることができる。この点、マイクロ繊維セルロースの保水度が低いと脱水し易くなり、セルロース繊維スラリーの脱水性が向上する。
原料パルプを酵素処理や酸処理、酸化処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解される。結果、解繊のエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均一性や分散性を向上することができる。ただし、前処理は、マイクロ繊維セルロースのアスペクト比を低下させるため、樹脂の補強材として使用する場合には、過度の前処理を避けるのが好ましい。
原料パルプの解繊は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー、ジェットミル等を使用して原料パルプを叩解することによって行うことができる。ただし、リファイナーやジェットミルを使用して行うのが好ましい。
本形態において、マイクロ繊維セルロースは、セルロースナノファイバーよりも平均繊維幅の太い繊維を意味する。具体的には、平均繊維径が、例えば0.1~15μm、好ましくは0.2~10μm、より好ましくは0.5超~10μmである。マイクロ繊維セルロースの平均繊維径が0.1μmを下回ると(未満になると)、セルロースナノファイバーであるのと変わらなくなり、樹脂の強度(特に曲げ弾性率)向上効果が十分に得られないおそれがある。また、解繊時間が長くなり、大きなエネルギーが必要になる。さらに、セルロース繊維スラリーの脱水性が悪化する。脱水性が悪化すると、乾燥に大きなエネルギーが必要になり、乾燥に大きなエネルギーをかけるとマイクロ繊維セルロースが熱劣化して、強度が低下するおそれがある。他方、マイクロ繊維セルロースの平均繊維径が15μmを上回ると(超えると)、パルプであるのと変わらなくなり、補強効果が十分でなくなるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの平均繊維径の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%の微細繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍~30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
マイクロ繊維セルロースの平均繊維長(単繊維の長さの平均)は、好ましくは0.10~2.00mm、より好ましくは0.12~1.50mm、特に好ましくは0.15~1.00である。平均繊維長が0.10mm以下であると、繊維同士の三次元ネットワークを形成できず、複合樹脂の補強効果(特に曲げ弾性率)が低下するおそれがある。他方、平均繊維長が2.00mmを上回ると、原料パルプと変わらない長さのため補強効果が不十分となるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの平均繊維長は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等で任意に調整可能である。
マイクロ繊維セルロースの原料となるセルロース原料の平均繊維長は、好ましくは0.50~5.00mm、より好ましくは1.00~3.00mm、特に好ましくは1.50~2.50である。セルロース原料の平均繊維長が0.50mmを下回ると、解繊処理した際の、樹脂の補強効果が十分得られない可能性がある。他方、平均繊維長が5.00mmを上回ると、解繊時の製造コストの面で不利となるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの繊維長及び下記で説明するフィブリル化率は、バルメット社製の繊維分析計「FS5」によって測定する。
マイクロ繊維セルロースの繊維長は、0.02mm超の割合が、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、特に好ましくは60%以上である。当該割合が20%を下回ると、樹脂の補強効果が十分に得られない可能性がある。他方、マイクロ繊維セルロースの繊維長は、0.02mm超の割合の上限がなく、全てが0.02mm超であっても良い。
マイクロ繊維セルロースのアスペクト比は、好ましくは2~15,000、より好ましくは10~10,000である。アスペクト比が2を下回ると、三次元ネットワークを構築できないため、たとえ平均繊維長が0.01mmを超えたとしても、補強効果が不十分となるおそれがある。他方、アスペクト比が15,000を上回ると、マイクロ繊維セルロース同士の絡み合いが高くなり、樹脂中での分散が不十分となるおそれがある。
アスペクト比とは、平均繊維長を平均繊維幅で除した値である。アスペクト比が大きいほど引っかかりが生じる箇所が多くなるため補強効果が上がるが、他方で引っかかりが多くなる分、樹脂の延性が低下するものと考えられる。
マイクロ繊維セルロースのフィブリル化率は、好ましくは1.0~30.0%、より好ましくは1.5~20.0%、特に好ましくは2.0~15.0%である。フィブリル化率が30.0%を上回ると、水との接触面積が広くなり過ぎるため、たとえ平均繊維幅が0.1μm以上に留まる範囲で解繊したとしても、脱水が困難になる可能性がある。他方、フィブリル化率が1.0%下回ると、フィブリル同士の水素結合が少なく、強固な三次元ネットワークを形成することができなくなるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの結晶化度は、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上である。結晶化度が50%を下回ると、パルプやセルロースナノファイバーとの混合性は向上するものの、繊維自体の強度が低下するため、樹脂の強度を向上することができなくなるおそれがある。他方、マイクロ繊維セルロースの結晶化度は、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下、特に好ましくは85%以下である。結晶化度が95%を上回ると、分子内の強固な水素結合割合が多くなり、繊維自体が剛直となり、分散性が劣るようになる。
マイクロ繊維セルロースの結晶化度は、例えば、原料パルプの選定、前処理、微細化処理で任意に調整可能である。
結晶化度は、JIS K 0131(1996)に準拠して測定した値である。
マイクロ繊維セルロースのパルプ粘度は、好ましくは2cps以上、より好ましくは4cps以上である。マイクロ繊維セルロースのパルプ粘度が2cpsを下回ると、マイクロ繊維セルロースの凝集を抑制するのが困難になるおそれがある。
パルプ粘度は、TAPPI T 230に準拠して測定した値である。
マイクロ繊維セルロースのフリーネスは、好ましくは500ml以下、より好ましくは300ml以下、特に好ましくは100ml以下である。マイクロ繊維セルロースのフリーネスが500mlを上回ると、マイクロ繊維セルロースの平均繊維径が10μmを超え、樹脂の強度向上効果が十分に得られなくなるおそれがある。
マイクロ繊維セルロースのフリーネスは、JIS P8121-2(2012)に準拠して測定した値である。
マイクロ繊維セルロースのゼータ電位は、好ましくは-150~20mV、より好ましくは-100~0mV、特に好ましくは-80~-10mVである。ゼータ電位が-150mVを下回ると、樹脂との相溶性が著しく低下し補強効果が不十分となるおそれがある。他方、ゼータ電位が20mVを上回ると、分散安定性が低下するおそれがある。
マイクロ繊維セルロースの保水度は、好ましくは80~400%、より好ましくは90~350%、特に好ましくは100~300%である。保水度が80%を下回ると、原料パルプと変わらないため補強効果が不十分となるおそれがある。他方、保水度が400%を上回ると、脱水性が劣る傾向にあり、また、凝集し易くなる。この点、マイクロ繊維セルロースの保水度は、当該繊維のヒドロキシ基がカルバメート基に置換されていることで、より低くすることができ、脱水性や乾燥性を高めることができる。
マイクロ繊維セルロースの保水度は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等で任意に調整可能である。
保水度は、JAPAN TAPPI No.26(2000)に準拠して測定した値である。
マイクロ繊維セルロースは、カルバメート基を有するとより好ましいものとなる。マイクロ繊維セルロースがカルバメート基を有すると、溶融混練時に無水マレイン酸変性ポリプロピレンと接着し、かつ無水マレイン酸変性ポリプロピレンが母材樹脂と相溶することで、複合樹脂としての均質性が高まる。混練機からストランドが切れずに安定して吐出されるためには、ストランド中に不均一な箇所が少ないことが重要であり、カルバメート基を有するマイクロ繊維セルロースは上記の相溶性の高さから、複合樹脂としての均質性が高まるため、複合樹脂の加工適性が向上する。
どのようにしてマイクロ繊維セルロースがカルバメート基を有するものとされているかは特に限定されない。例えば、セルロース原料がカルバメート化されていることでカルバメート基を有するものであっても、マイクロ繊維セルロース(微細化されたセルロース原料)がカルバメート化されることでカルバメート基を有するものであってもよい。
なお、カルバメート基を有するとは、繊維状セルロースにカルバメート(カルバミン酸のエステル)が導入された状態を意味する。カルバメート基は、-O-CO-NH-で表される基であり、例えば、-O-CO-NH2、-O-CONHR、-O-CO-NR2等で表わされる基である。つまり、カルバメート基は、下記の構造式(1)で示すことができる。
Figure 2023142300000001
ここでRは、nは、1以上の整数を表す。Rは、それぞれ独立して、飽和直鎖状炭化水素基、飽和分岐鎖状炭化水素基、飽和環状炭化水素基、不飽和直鎖状炭化水素基、不飽和分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基の少なくともいずれかである。
飽和直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~10の直鎖状のアルキル基を挙げることができる。
飽和分岐鎖状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等の炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基を挙げることができる。
飽和環状炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基を挙げることができる。
不飽和直鎖状炭化水素基としては、例えば、エテニル基、プロペン-1-イル基、プロペン-3-イル基等の炭素数2~10の直鎖状のアルケニル基、エチニル基、プロピン-1-イル基、プロピン-3-イル基等の炭素数2~10の直鎖状のアルキニル基等を挙げることができる。
不飽和分岐鎖状炭化水素基としては、例えば、プロペン-2-イル基、ブテン-2-イル基、ブテン-3-イル基等の炭素数3~10の分岐鎖状アルケニル基、ブチン-3-イル基等の炭素数4~10の分岐鎖状アルキニル基等を挙げることができる。
芳香族基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
誘導基としては、上記飽和直鎖状炭化水素基、飽和分岐鎖状炭化水素基、飽和環状炭化水素基、不飽和直鎖状炭化水素基、不飽和分岐鎖状炭化水素基及び芳香族基が有する1又は複数の水素原子が、置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子等。)で置換された基を挙げることができる。
カルバメート基を有する(カルバメート基が導入された)マイクロ繊維セルロースにおいては、極性の高いヒドロキシ基の一部又は全部が、相対的に極性の低いカルバメート基に置換されている。したがって、カルバメート基を有するマイクロ繊維セルロースは、親水性が低く、極性の低い樹脂等との親和性が高い。結果、カルバメート基を有するマイクロ繊維セルロースは、樹脂との均一分散性に優れる。また、カルバメート基を有するマイクロ繊維セルロースのスラリーは、粘性が低く、ハンドリング性が良い。
マイクロ繊維セルロースのヒドロキシ基に対するカルバメート基の導入量は、好ましくは0.3~2.0mmol/g、より好ましくは0.4~1.8mmol/g、特に好ましくは0.5~1.5mmol/gである。導入量を0.3mmol/g以上にすると、カルバメートを導入した効果、特に樹脂の曲げ伸び向上効果が確実に奏せられる。他方、導入量が2.0mmol/gを超えると、セルロース繊維が繊維の形状を保てなくなり、樹脂の補強効果が十分得られないおそれがある。
カルバメート基の導入量(mmol/g)とは、カルバメート基を有するセルロース原料1gあたりに含まれるカルバメート基の物質量をいう。また、セルロースは、無水グルコースを構造単位とする重合体であり、一構造単位当たり3つのヒドロキシ基を有する。
<カルバメート化>
ここで繊維状セルロースをカルバメート化する方法について、詳細に説明する。
マイクロ繊維セルロース(解繊前にカルバメート化する場合は、セルロース原料。以下、同様であり、「マイクロ繊維セルロース等」ともいう。)にカルバメート基を導入する(カルバメート化)点については、前述したようにセルロース原料をカルバメート化してから微細化する方法と、セルロース原料を微細化してからカルバメート化する方法とがある。この点、本明細書においては、先にセルロース原料の解繊について説明し、その後にカルバメート化(変性)について説明している。しかしながら、解繊及びカルバメート化は、どちらを先に行うこともできる。ただし、先にカルバメート化を行い、その後に、解繊をする方が好ましい。解繊する前のセルロース原料は脱水効率が高く、また、カルバメート化に伴う加熱によってセルロース原料が解繊され易い状態になるためである。
マイクロ繊維セルロース等をカルバメート化する工程は、例えば、混合処理、除去処理、及び加熱処理に、主に区分することができる。なお、混合処理及び除去処理は合わせて、加熱処理に供される混合物を調製する調製処理ということもできる。
混合処理においては、マイクロ繊維セルロース等(前述したようにセルロース原料の場合もある。以下、同様。)と尿素及び/又は尿素の誘導体(以下、単に「尿素等」ともいう。)とを分散媒中で混合する。
尿素や尿素の誘導体としては、例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素、尿素の水素原子をアルキル基で置換した化合物等を使用することができる。これらの尿素や尿素の誘導体は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、尿素を使用するのが好ましい。
マイクロ繊維セルロース等に対する尿素等の混合質量比(尿素等/マイクロ繊維セルロース等)の下限は、好ましくは10/100、より好ましくは20/100である。他方、上限は、好ましくは300/100、より好ましくは200/100である。混合質量比を10/100以上にすることで、カルバメート化の効率が向上する。他方、混合質量比が300/100を上回っても、カルバメート化は頭打ちになる。
分散媒は、通常、水である。ただし、アルコール、エーテル等の他の分散媒や、水と他の分散媒との混合物を用いてもよい。
混合処理においては、例えば、水にマイクロ繊維セルロース等及び尿素等を添加しても、尿素等の水溶液にマイクロ繊維セルロース等を添加しても、マイクロ繊維セルロース等を含むスラリーに尿素等を添加してもよい。また、均一に混合するために、添加後、攪拌してもよい。さらに、マイクロ繊維セルロース等と尿素等とを含む分散液には、その他の成分が含まれていてもよい。
除去処理においては、混合処理において得られたマイクロ繊維セルロース等及び尿素等を含む分散液から分散媒を除去する。分散媒を除去することで、これに続く加熱処理において効率的に尿素等を反応させることができる。
分散媒の除去は、加熱によって分散媒を揮発させることで行うのが好ましい。この方法によると、尿素等の成分を残したまま分散媒のみを効率的に除去することができる。
除去処理における加熱温度の下限は、分散媒が水である場合は、好ましくは50℃、より好ましくは70℃、特に好ましくは90℃である。加熱温度を50℃以上にすることで効率的に分散媒を揮発させる(除去する)ことができる。他方、加熱温度の上限は、好ましくは120℃、より好ましくは100℃である。加熱温度が120℃を上回ると、分散媒と尿素が反応し、尿素が単独分解するおそれがある。
除去処理における加熱時間は、分散液の固形分濃度等に応じて適宜調節することができる。具体的には、例えば、6~24時間である。
除去処理に続く加熱処理においては、マイクロ繊維セルロース等と尿素等との混合物を加熱処理する。この加熱処理において、マイクロ繊維セルロース等のヒドロキシ基の一部又は全部が尿素等と反応してカルバメート基に置換される。より詳細には、尿素等が加熱されると下記の反応式(1)に示すようにイソシアン酸及びアンモニアに分解される。そして、イソシアン酸はとても反応性が高く、例えば、下記の反応式(2)に示すようにセルロースの水酸基にカルバメート基を形成する。
NH2-CO-NH2 → H-N=C=O + NH3 …(1)
Cell-OH + H-N=C=O → Cell-O-CO-NH2 …(2)
加熱処理における加熱温度の下限は、好ましくは120℃、より好ましくは130℃、特に好ましくは尿素の融点(約134℃)以上、さらに好ましくは140℃、最も好ましくは150℃である。加熱温度を120℃以上にすることで、カルバメート化が効率的に行われる。加熱温度の上限は、好ましくは200℃、より好ましくは180℃、特に好ましくは170℃である。加熱温度が200℃を上回ると、マイクロ繊維セルロース等が分解し、補強効果が不十分となるおそれがある。
加熱処理における加熱時間の下限は、好ましくは1分、より好ましくは5分、特に好ましくは30分、更に好ましくは1時間、最も好ましくは2時間である。加熱時間を1分以上にすることで、カルバメート化の反応を確実に行うことができる。他方、加熱時間の上限は、好ましくは15時間、より好ましくは10時間である。加熱時間が15時間を上回ると、経済的ではなく、15時間で十分カルバメート化を行うことができる。
もっとも、加熱時間の長期化は、セルロース繊維の劣化を招く。そこで、加熱処理におけるpH条件が重要となる。pHは、好ましくはpH9以上、より好ましくはpH9~13、特に好ましくはpH10~12のアルカリ性条件である。また、次善の策として、pH7以下、好ましくはpH3~7、特に好ましくはpH4~7の酸性条件又は中性条件である。pH7~8の中性条件であると、セルロース繊維の平均繊維長が短くなり、樹脂の補強効果に劣る可能性がある。これに対し、pH9以上のアルカリ性条件であると、セルロース繊維の反応性が高まり、尿素等への反応が促進され、効率良くカルバメート化反応するため、セルロース繊維の平均繊維長を十分に確保することができる。他方、pH7以下の酸性条件であると、尿素等からイソシアン酸及びアンモニアに分解する反応が進み、セルロース繊維への反応が促進され、効率良くカルバメート化反応するため、セルロース繊維の平均繊維長を十分に確保することができる。ただし、可能であれば、アルカリ性条件で加熱処理する方が好ましい。酸性条件であるとセルロースの酸加水分解が進行するおそれがあるためである。
pHの調整は、混合物に酸性化合物(例えば、酢酸、クエン酸等。)やアルカリ性化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等。)を添加すること等によって行うことができる。
加熱処理において加熱する装置としては、例えば、熱風乾燥機、抄紙機、ドライパルプマシン等を使用することができる。
加熱処理後の混合物は、脱水・洗浄してもよい。この脱水・洗浄は、水等で行えばよい。この脱水・洗浄によって未反応で残留している尿素等を除去することができる。
マイクロ繊維セルロースは、必要により、水系媒体中に分散して分散液(スラリー)にする。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましいが、一部が水と相溶性を有する他の液体である水系媒体も使用することができる。他の液体としては、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
スラリーの固形分濃度は、好ましくは0.1~10.0質量%、より好ましくは0.5~5.0質量%である。固形分濃度が0.1質量%を下回ると、脱水や乾燥する際に過大なエネルギーが必要となるおそれがある。他方、固形分濃度が10.0質量%を上回ると、スラリー自体の流動性が低下してしまい、均一に混合できなくなるおそれがある。
(無水マレイン酸変性ポリプロピレン)
本形態の繊維状セルロース複合樹脂は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)を含む。
無水マレイン酸変性ポリプロピレンの混合量は、マイクロ繊維セルロース100質量部に対して、好ましくは1~200質量部、より好ましくは10~100質量部、特に好ましくは40~60質量部である。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの混合量が1質量部を下回ると強度の向上が十分ではない。他方、混合量が200質量部を上回ると、過剰となり強度が低下する傾向となる。
無水マレイン酸変性ポリプロピレンの重量平均分子量は、例えば1000~100000、好ましくは3000~90000、特に好ましくは5000~80000である。重量平均分子量が1000未満であると、マイクロ繊維セルロースと接着するものの、母材となる樹脂へ相溶せずに、均質性に劣る恐れがある。また、無水マレイン酸変性ポリプロピレン自体の強度が低すぎるため、繊維補強されているものの全体として物性が不十分となる可能性がある。他方、重量平均分子量が100000を超えると、溶融時に粘度が高くなり、マイクロ繊維セルロースと十分に接着していない箇所が生じ、繊維が樹脂全体の補強に関与せず、複合樹脂としての物性が不十分となる可能性がある。
無水マレイン酸変性ポリプロピレンの分子量とポリエチレンの分子量の比は、好ましくは1:10~1:1000、より好ましくは1:15~1:500、特に好ましくは1:25~1:300の割合であると好適である。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの分子量とポリエチレンの分子量との比が上記の範囲外であると、無水マレイン酸変性ポリプロピレン及びポリエチレンが混練中にうまく相溶せずに、混練機から吐出した際にストランドの均質性が不足し、ストランドが安定してひけなくなる可能性がある。
無水マレイン酸変性ポリプロピレンの酸価は、好ましくは10~90mgKOH/g、より好ましくは20~80mgKOH/g、特に好ましくは30~70mgKOH/gである。酸価が10mgKOH/g未満であると、マイクロ繊維セルロースとの接着性が不十分となり、分散性が悪くなる可能性がある。他方、酸価が90mgKOH/gを超えると、マイクロ繊維セルロースとの接着性は十分であるものの、母材となる樹脂との相溶性が悪くなり、逆に複合樹脂中で分散性が悪くなる可能性がある。
(ポリエチレン)
本形態の繊維状セルロース複合樹脂は、分子量が100万g/mol以上のポリエチレンを含む。ポリエチレンの分子量は、より好ましくは100万~1000万g/mol、特に好ましくは200万~800万g/molである。分子量が100万g/mol以上であると、溶融時に繊維と相互作用しつつ樹脂同士の相互作用も可能となり、混練機内で複合樹脂が一体として動き易くなる。結果、複合樹脂がノズル出口等から排出される際に連続的に一体として排出され、ストランド形成し易くなると考えられる。なお、分子量100万g/mol以上のPEは、UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)と呼ばれる。他方、分子量が1000万g/molを超えると、溶融時の粘度が低くなりすぎるため、母材となる樹脂と相溶しづらくなり、不均一な部分が生じることで、ストランドが安定して引けなくなる可能性がある。
ポリエチレンの融点は、好ましくは125℃以上、より好ましくは130~160℃、特に好ましくは135~155℃である。融点が125℃未満であると、混練機等の入口ですぐに溶融して壁面に付着してしまい、ポリエチレンが混練物中において均一に分散せず、ノズル出口から排出される瞬間のMFC配合率のブレが大きくなり、ストランドが切れると考えれれる。他方、融点が160℃を超えると、必要以上に混練温度を上げる必要があり、マイクロ繊維セルロースが熱分解等により着色する可能性がある。
ポリエチレンは、例えば、粉末状、ペレット状、シート状、ブロック状等とすることができる。ただし、ポリエチレンは、粉末状であるのが好ましい。ポリエチレンが粉末状であると、マイクロ繊維セルロースの水分散液に添加、混合、乾燥することで、マイクロ繊維セルロース同士が凝集する間隙に一部入り込むことで、何も加えない場合と比べて、混練機によるシェアで再分散可能な程度の凝集により抑えることができる。
ポリエチレンが粉末状である場合、ポリエチレンの平均粒子径は、好ましくは10~1000μm、より好ましくは15~100μm、特に好ましくは20~80μmである。平均粒子径が10μm未満であると、マイクロ繊維セルロースの水分散液中でポリエチレン粉末同士が凝集して浮いてしまい、マイクロ繊維セルロース同士の間隙に入り込むことができずに凝集を抑制する効果が十分に発揮できなくなる可能性がある。他方、ポリプロピレン粉末の平均粒子径が100μm以下であると、スラリー(MFC水分散液)との混合時においてポリエチレンがセルロース繊維間に入り込み易く、乾燥時に全体に均一にポリエチレンがいきわたる。結果、混練時にノズル出口から排出される瞬間のMFC配合率のブレが少なく、ストランドが引けると考えられる。
平均粒子径は、ISO13320に準拠して測定した値である。
ポリエチレンのデュロメータ硬さは、好ましくは30以上、より好ましくは50以上、特に好ましくは60以上である。この点、排出されたストランドは水や空気で冷却された後に、ストランドカッターにて粒状にカット加工される。しかるに、常温でのポリエチレンのデュロメータ硬さが30以上であると、排出されたストランドがストランドカッターに移送される過程で切れづらくなると考えられる。
デュロメータ硬さは、JIS K 7215(1986)に準拠してタイプAの測定機で測定した値である。
無水マレイン酸変性ポリプロピレンとポリエチレンとは、乾燥質量比で、好ましくは10:90~90:10、より好ましくは15:85~85:15、特に好ましくは50:50~80:20の割合で含まれていると好適である。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの含有比が小さいと、マイクロ繊維セルロースと無水マレイン酸変性ポリプロピレンが付着する間にポリエチレンが入り込み、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとマイクロ繊維セルロースとの接着を阻害する可能性がある。他方、無水マレイン酸変性ポリプロピレンの含有比が大きいと、無水マレイン酸変性ポリプロピレンとマイクロ繊維セルロースとの接着性は良好となるものの、混練吐出時のストランド加工時にストランド自体の強度が不足し、ストランドが引けなくなる可能性がある。
(相互作用しない無機粉末)
本形態の繊維状セルロース複合樹脂は、繊維状セルロースと相互作用しない無機粉末を含むとより好適である。相互作用しない無機粉末を含むことで、セルロース繊維同士の水素結合を物理的に阻害する趣旨である。
ここで、相互作用しないとは、セルロースと共有結合、イオン結合、金属結合による強固な結合をしないことを意味する(つまり、水素結合、ファンデルワールス力による結合は相互作用しないという概念に含まれる。)。好ましくは、強固な結合は、結合エネルギーが100kJ/molを超える結合である。
相互作用しない無機粉末は、好ましくは、スラリー中で共存した際に、セルロース繊維の持つ水酸基を水酸化物イオンへ解離させる作用の少ない無機粉末である。この点、無機粉末であると、操業上も有利である。具体的には、複合樹脂の乾燥方法としては、例えば、熱源である金属ドラムに水分散体を直接あてる方法で乾燥(例えば、ヤンキードライヤーやシリンダードライヤーによる乾燥等。)する方法と、熱源に水分散体を直接触れさせずに加温する方法、つまり空気中で乾燥(例えば、恒温乾燥機による乾燥等。)する方法とが存在する。しかるに、樹脂粉末は、加温した金属板(例えば、ヤンキードライヤー、シリンダードライヤー等。)に接触させて乾燥した際に、金属板表面に皮膜ができ熱伝導が悪化し、乾燥効率が著しく低下する。このような問題が生じ難い点で、無機粉末は有利である。
相互作用しない無機粉末の平均粒子径は、1~10000μmが好ましく、10~5000μmがより好ましく、100~1000μmが特に好ましい。平均粒子径が10000μmを超えると、水系媒体を除去する際にセルロース繊維同士の間隙に入って凝集を阻害する効果が発揮できないおそれがある。他方、平均粒子径が1μm未満であると、微細なためにマイクロ繊維セルロース同士の水素結合を阻害することができないおそれがある。
本明細書において、相互作用しない無機粉末の平均粒子径は、粉体をそのまま又は水分散体の状態で粒度分布測定装置(例えば株式会社堀場製作所のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を用いて測定される体積基準粒度分布から算出される中位径である。
無機粉末としては、例えば、Fe、Na、K、Cu、Mg、Ca、Zn、Ba、Al、Ti、ケイ素元素等の周期律表第I族~第VIII族中の金属元素の単体、酸化物、水酸化物、炭素塩、硫酸塩、ケイ酸塩、亜硫酸塩、これらの化合物よりなる各種粘土鉱物等を例示することができる。具体的には、例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、酸化亜鉛、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ほう酸アルミニウム、アルミナ、酸化鉄、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、ワラストナイト、ガラスビーズ、ガラスパウダー、シリカゲル、乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪砂、硅石、石英粉、珪藻土、ホワイトカーボン、ガラスファイバー等を例示することができる。これらの無機充填剤は、複数が含有されていてもよい。また、古紙パルプに含まれるものであってもよいし、製紙スラッジ中の無機物を再生した所謂再生填料等であってもよい。
ただし、製紙用の填料や顔料として好適に使用される炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、クレー、焼成クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウム及び再生填料等の中から選択される少なくとも1種以上の無機粉末を使用するのが好ましく、炭酸カルシウム、タルク、クレーの中からから選択される少なくとも1種以上を使用するのがより好ましく、軽質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムの少なくともいずれか一方を使用するのが特に好ましい。炭酸カルシウム、タルク、クレーを使用すると、樹脂等のマトリックスとの複合化が容易である。また、汎用的な無機材料であるため、用途の制限が生じることが少ないとのメリットがある。さらに、炭酸カルシウムは下記の理由から特に好ましい。軽質炭酸カルシウムを使用する場合は、粉末のサイズや形状を一定に制御しやすくなる。このため、セルロース繊維のサイズや形状に合わせて、間隙に入り込んでセルロース繊維同士の凝集を抑制する効果を生じやすくするようにサイズや形状を調整して、ピンポイントで効果を発揮しやすくできるメリットがある。また、重質炭酸カルシウムを使用すると、重質炭酸カルシウムが不定形であることから、スラリー中に様々なサイズの繊維が存在する場合でも、水系媒体除去時に繊維が凝集する過程において、間隙に入り込んでセルロース繊維同士の凝集を抑制することができるとのメリットがある。
相互作用しない無機粉末の配合量は、繊維状セルロースに対して、好ましくは1~9900質量%、より好ましくは5~1900質量%、特に好ましくは10~900質量%である。配合量が1質量%を下回ると、セルロース繊維の間隙に入って凝集抑制する作用が不足となるおそれがある。他方、配合量が9900質量%を上回ると、セルロース繊維としての機能を発揮できなくなるおそれがある。
ところで、本形態のように無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び相互作用しない無機粉末を併用すると、それぞれが凝集する条件で混合した場合でも無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び相互作用しない無機粉末がお互いに凝集を防ぐような効果を発揮する。また、粒径が小さい粉体は表面積が大きく重力の影響よりも分子間力の影響を受けやすく、その結果として凝集しやすくなるため、粉体とマイクロ繊維セルローススラリーとを混合する際に粉体がスラリー中でうまくほぐれなかったり、水系媒体の除去時に粉体同士が凝集することで、マイクロ繊維セルロースの凝集を防ぐ効果が十分に発揮されなくなったりするおそれがある。しかしながら、無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び相互作用しない無機粉末を併用すると、自身の凝集を緩和することができると考えられる。
無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び相互作用しない無機粉末を併用する場合、無水マレイン酸変性ポリプロピレン:相互作用しない無機粉末の平均粒径の比は、1:0.1~1:10000が好ましく、1:1~1:1000がより好ましい。この範囲にあると、自身の凝集力の強さから生じる問題(例えば、粉体がスラリー中でうまくほぐれなかったり、水系媒体の除去時に粉体同士が凝集したりする問題。)が発生せずに、マイクロ繊維セルロースの凝集を防ぐ効果を十分に発揮できるようになると考えられる。
無水マレイン酸変性ポリプロピレン及び相互作用しない無機粉末を併用する場合、無機粉末の質量%:無水マレイン酸変性ポリプロピレンの質量%の比は、1:0.01~1:100が好ましく、1:0.1~1:10がより好ましい。この範囲にあると、異種粉体同士が自身の凝集を阻害することが可能になると考えられる。つまり、この範囲にあると、自身の凝集力の強さから生じる問題(例えば、粉体がスラリー中でうまくほぐれなかったり、水系媒体の除去時に粉体同士が凝集したりする問題。)が発生せずに、マイクロ繊維セルロースの凝集を防ぐ効果を十分に発揮できるようになると考えられる。
(分散剤)
本形態の繊維状セルロース複合樹脂は、分散剤と混合するとより好ましいものになる。分散剤としては、芳香族類にアミン基及び/又は水酸基を有する化合物、脂肪族類にアミン基及び/又は水酸基を有する化合物が好ましい。
芳香族類にアミン基及び/又は水酸基を有する化合物としては、例えば、アニリン類、トルイジン類、トリメチルアニリン類、アニシジン類、チラミン類、ヒスタミン類、トリプタミン類、フェノール類、ジブチルヒドロキシトルエン類、ビスフェノールA類、クレゾール類、オイゲノール類、没食子酸類、グアイアコール類、ピクリン酸類、フェノールフタレイン類、セロトニン類、ドーパミン類、アドレナリン類、ノルアドレナリン類、チモール類、チロシン類、サリチル酸類、サリチル酸メチル類、アニスアルコール類、サリチルアルコール類、シナピルアルコール類、ジフェニドール類、ジフェニルメタノール類、シンナミルアルコール類、スコポラミン類、トリプトフォール類、バニリルアルコール類、3-フェニル‐1-プロパノール類、フェネチルアルコール類、フェノキシエタノール類、ベラトリルアルコール類、ベンジルアルコール類、ベンゾイン類、マンデル酸類、マンデロニトリル類、安息香酸類、フタル酸類、イソフタル酸類、テレフタル酸類、メリト酸類、ケイ皮酸類などが挙げられる。
また、脂肪族類にアミン基及び/又は水酸基を有する化合物としては、例えば、カプリルアルコール類、2-エチルヘキサノール類、ペラルゴンアルコール類、カプリンアルコール類、ウンデシルアルコール類、ラウリルアルコール類、トリデシルアルコール類、ミリスチルアルコール類、ペンタデシルアルコール類、セタノール類、ステアリルアルコール類、エライジルアルコール類、オレイルアルコール類、リノレイルアルコール類、メチルアミン類、ジメチルアミン類、トリメチルアミン類、エチルアミン類、ジエチルアミン類、エチレンジアミン類、トリエタノールアミン類、N,N-ジイソプロピルエチルアミン類、テトラメチルエチレンジアミン類、ヘキサメチレンジアミン類、スペルミジン類、スペルミン類、アマンタジン類、ギ酸類、酢酸類、プロピオン酸類、酪酸類、吉草酸類、カプロン酸類、エナント酸類、カプリル酸類、ペラルゴン酸類、カプリン酸類、ラウリン酸類、ミリスチン酸類、パルミチン酸類、マルガリン酸類、ステアリン酸類、オレイン酸類、リノール酸類、リノレン酸類、アラキドン酸類、エイコサペンタエン酸類、ドコサヘキサエン酸類、ソルビン酸類などが挙げられる。
以上の分散剤は、セルロース繊維同士の水素結合を阻害する。したがって、混練に際してマイクロ繊維セルロースが樹脂中において確実に分散するようになる。また、以上の分散剤は、マイクロ繊維セルロース及び樹脂の相溶性を向上させる役割も有する。この点でマイクロ繊維セルロースの樹脂中における分散性が向上する。
分散剤の混合量は、マイクロ繊維セルロース100質量部に対して、好ましくは0.1~1,000質量部、より好ましくは1~500質量部、特に好ましくは10~200質量部である。分散剤の混合量が0.1質量部を下回ると、樹脂強度の向上が十分ではないとされるおそれがある。他方、混合量が1,000質量部を上回ると、過剰となり樹脂強度が低下する傾向となる。
この点、前述した無水マレイン酸変性ポリプロピレンは酸基とマイクロ繊維セルロースのカルバメート基とが結合することで相溶性を向上し、もって補強効果を上げるためのものであり、分子量が大きいため更なる樹脂とも馴染み易く、強度向上に寄与していると考えられる。一方、上記の分散剤は、マイクロ繊維セルロース同士の水酸基同士の間に介在して凝集を防ぎ、もって樹脂中での分散性を向上するものであり、また、分子量が無水マレイン酸変性ポリプロピレンに比べ小さいため、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが入り込めないようなマイクロ繊維セルロース間の狭いスペースに入ることができ、分散性を向上して強度向上する役割を果たす。以上のような観点からは、無水マレイン酸変性ポリプロピレンの分子量は、分散剤の分子量の2~2000倍、好ましくは5~1000倍であると好適である。
この点をより詳細に説明すると、相互作用しない無機粉末は物理的にマイクロ繊維セルロース同士の間に介在することで水素結合を阻害し、もってマイクロ繊維セルロースの分散性を向上する。これに対し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、酸基とマイクロ繊維セルロースのカルバメート基とを結合することで相溶性を向上し、もって補強効果を上げる。この点、分散剤がマイクロ繊維セルロース同士の水素結合を阻害する点は同じであるが、相互作用しない無機粉末はマイクロオーダーであるため、物理的に介在して水素結合を抑制する。また、無機粉末は、無機粉末自体が剛直であるため、樹脂等と複合化した場合に樹脂等の物性向上に寄与する。一方、分散剤は分子レベルであり、極めて小さいためマイクロ繊維セルロースを覆うようにして水素結合を阻害し、マイクロ繊維セルロースの分散性を向上する効果は高い。しかしながら、樹脂中に残り、物性低下に働く可能性がある。
(複合樹脂の製造方法)
マイクロ繊維セルロース(あるいはマイクロ繊維セルロースの水分散液)は、無水マレイン酸変性ポリプロピレン及びポリエチレンと混合する。この混合物(液)は、混練して複合樹脂とするに先立って、乾燥して乾燥物にすると好適である。乾燥しておくと、混練に際して繊維状セルロースを乾燥させる必要がなく、熱効率が良い。
混合物の乾燥は、例えば、ロータリーキルン乾燥、円板式乾燥、気流式乾燥、媒体流動乾燥、スプレー乾燥、ドラム乾燥、スクリューコンベア乾燥、パドル式乾燥、一軸混練乾燥、多軸混練乾燥、真空乾燥、攪拌乾燥等の中から1種又は2種以上を選択使用して行うことができる。
混合物は、乾燥するに先立って脱水して脱水物にするとより好適である。この脱水は、例えば、ベルトプレス、スクリュープレス、フィルタープレス、ツインロール、ツインワイヤーフォーマ、バルブレスフィルタ、センターディスクフィルタ、膜処理、遠心分離機等の脱水装置の中から1種又は2種以上を選択使用して行うことができる。
さらに、乾燥した混合物(乾燥物)は、粉砕して粉状物にしておくと好適である。乾燥物の粉砕は、例えば、ビーズミル、ニーダー、ディスパー、ツイストミル、カットミル、ハンマーミル等の中から1種又は2種以上を選択使用して行うことができる。
粉状物の平均粒子径は、好ましくは1~10000μm、より好ましくは10~5000μm、特に好ましくは100~1000μmである。粉状物の平均粒子径が10000μmを上回ると、混練性に劣るものになるおそれがある。他方、粉状物の平均粒子径が1μmを下回るものにするには大きなエネルギーが必要になるため、経済的でない。
粉状物の平均粒子径の制御は、粉砕の程度を制御することのほか、フィルター、サイクロン等の分級装置を使用した分級によることができる。
混合物(粉状物)の嵩比重は、好ましくは0.03~1.0、より好ましくは0.04~0.9、特に好ましくは0.05~0.8である。嵩比重が1.0を超えるということは繊維状セルロース同士の水素結合がより強固であり、樹脂中で分散させることは容易ではなくなることを意味する。他方、嵩比重が0.03を下回るものにするのは、移送コストの面から不利である。
嵩比重は、JIS K7365に準じて測定した値である。
混合物(粉状物)の水分率は、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下である。水分率が50%を上回ると、樹脂と混練する際のエネルギーが膨大になり、経済的でない。
水分率は、定温乾燥機を用いて、試料を105℃で6時間以上保持し質量の変動が認められなくなった時点の質量を乾燥後質量とし、下記式にて算出した値である。
繊維水分率(%)=[(乾燥前質量-乾燥後質量)÷乾燥前質量]×100
この乾燥粉砕物は、混練して繊維状セルロース複合樹脂とする。本形態の複合樹脂によると、繊維状セルロースの配合率が、例えば50質量%以上と高い場合であっても加工適性に優れ、ストランドをひくことができる。
ちなみに、複合樹脂全量に対する繊維状セルロースの配合率は、例えば50質量%以上、好ましくは50~70質量%、より好ましくは55~68質量%である。配合率が70質量%を超えると、本形態によっても複合樹脂の加工適性が不十分とされる可能性がある。
乾燥粉状物の混練は、例えば、以下に説明する更なる樹脂を添加して混練する場合と同様の方法で行うことができる。したがって、ここでは説明を省略する。
本形態の繊維状セルロース複合樹脂は、更なる樹脂と混練し、繊維状セルロースの配合率が、例えば10%となるまで希釈して使用することができる。この混練は、例えば、粉状物である本形態の複合樹脂とペレット状の更なる樹脂とを混ぜ合わせる方法によることのほか、更なる樹脂をまず溶融し、この溶融物の中に粉状物である本形態の複合樹脂を添加するという方法によることもできる。
混練処理には、例えば、単軸又は二軸以上の多軸混練機、ミキシングロール、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、スクリュープレス、ディスパーザー等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。これらの装置なかで、二軸以上の多軸混練機を使用することが好ましい。二軸以上の多軸混練機を2機以上、並列又は直列にして、使用しても良い。
混練処理の温度は、樹脂のガラス転移点以上であり、樹脂の種類によって異なるが、80~280℃とするのが好ましく、90~260℃とするのがより好ましく、100~240℃とするのが特に好ましい。
更なる樹脂としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂の少なくともいずれか一方を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、脂肪族ポリエステル樹脂や芳香族ポリエステル樹脂等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、メタアクリレート、アクリレート等のポリアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ただし、ポリオレフィン及びポリエステル樹脂の少なくともいずれか一方を使用するのが好ましい。また、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレンを使用するのが好ましい。さらに、ポリエステル樹脂としては、脂肪族ポリエステル樹脂として、例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等を例示することができ、芳香族ポリエステル樹脂として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等を例示することができるが、生分解性を有するポリエステル樹脂(単に「生分解性樹脂」ともいう。)を使用するのが好ましい。
生分解性樹脂としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステル、カプロラクトン系脂肪族ポリエステル、二塩基酸ポリエステル等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
ヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルとしては、例えば、乳酸、リンゴ酸、グルコース酸、3-ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体や、これらのヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種を用いた共重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、ポリ乳酸、乳酸と乳酸を除く上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体を使用するのが好ましく、ポリ乳酸を使用するのが特に好ましい。
この乳酸としては、例えば、L-乳酸やD-乳酸等を使用することができ、これらの乳酸を単独で使用しても、2種以上を選択して使用してもよい。
カプロラクトン系脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリカプロラクトンの単独重合体や、ポリカプロラクトン等と上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
二塩基酸ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
生分解性樹脂は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド系樹脂等を使用することができる。これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
繊維状セルロース及び樹脂全量の配合割合は、好ましくは繊維状セルロースが1質量部以上、樹脂が99質量部以下、より好ましくは繊維状セルロースが2質量部以上、樹脂が98質量部以下、特に好ましくは繊維状セルロースが3質量部以上、樹脂が97質量部以下である。また、好ましくは繊維状セルロースが50質量部以下、樹脂が50質量部以上、より好ましくは繊維状セルロースが40質量部以下、樹脂が60質量部以上、特に好ましくは繊維状セルロースが30質量部以下、樹脂が70質量部以上である。特に繊維状セルロースが10~50質量部であると、樹脂組成物の強度、特に曲げ強度及び引張り弾性率の強度を著しく向上させることができる。
なお、最終的に得られ樹脂組成物に含まれる繊維状セルロース及び樹脂の含有割合は、通常、繊維状セルロース及び樹脂の上記配合割合と同じとなる。
(その他)
繊維状セルロース複合樹脂、あるいはこの複合樹脂を希釈して複合樹脂は、必要により再度混練する等した後、所望の形状に成形することができる。この成形の大きさや厚さ、形状等は、特に限定されず、例えば、シート状、ペレット状、粉末状、繊維状等とすることができる。
成形処理の際の温度は、樹脂のガラス転移点以上であり、樹脂の種類によって異なるが、例えば90~260℃、好ましくは100~240℃である。
混練物の成形は、例えば、金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等によることができる。また、混練物を紡糸して繊維状にし、前述した植物材料等と混繊してマット形状、ボード形状とすることもできる。混繊は、例えば、エアーレイにより同時堆積させる方法等によることができる。
混練物を成形する装置としては、例えば、射出成形機、吹込成形機、中空成形機、ブロー成形機、圧縮成形機、押出成形機、真空成形機、圧空成形機等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
以上の成形は、混練に続いて行うことも、混練物をいったん冷却し、破砕機等を使用してチップ化した後、このチップを押出成形機や射出成形機等の成形機に投入して行うこともできる。もちろん、成形は、本発明の必須の要件ではない。
次に、本発明の実施例を説明する。
(試験例2)
水分率50%以下の針葉樹晒クラフトパルプに、固形分濃度30%の尿素水溶液を用いて、固形分換算の質量比でパルプ:尿素が100:50の割合となるように混合した後、105℃で乾燥させた。その後、160℃、1時間静置することで反応させ、カルバメート変性パルプを得た。
得られたカルバメート変性パルプを蒸留水で希釈攪拌し、脱水洗浄を2回繰り返し、固形分濃度3.0質量%に調製することで洗浄後カルバメート変性パルプを得た。
洗浄後カルバメート変性パルプを叩解機を用いて、Fine率(FS5による繊維長分布測定で0.2mm以下の繊維の割合)が40%以上となるまで叩解して、カルバメート変性マイクロ繊維セルロース(CAMFC)を得た。
固形分濃度3.0質量%のカルバメート変性マイクロ繊維セルロース1833gに、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)20.7g及びポリエチレン(PE)粉末6.8gを添加し、攪拌後、140℃に加熱した接触式乾燥機を用いて加熱乾燥し、カルバメート変性マイクロ繊維セルロース含有物を得た。このカルバメート変性マイクロ繊維セルロース含有物の含水率は、5~22%であった。
カルバメート変性マイクロ繊維セルロース含有物を、170℃、75rpmの条件で二軸混練機にて混練し、ペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットすることで、繊維配合率66.7%のカルバメート変性マイクロ繊維セルロース複合樹脂を得た。この複合樹脂について、ストランドが引けるか否かを確認した。
次に、繊維配合率66.7%のカルバメート変性マイクロ繊維セルロース複合樹脂とPPペレットを乾燥質量比で9:51となるようにドライブレンドし、170℃、75rpmの条件で二軸混練機にて混練し、ペレッターで2mm径、2mm長の円柱状にカットすることで、繊維配合率10%のカルバメート変性マイクロ繊維セルロース複合樹脂のペレットを得た。このペレット(繊維配合率10%)は、180℃で直方体試験片(長さ59mm、幅9.6mm、厚さ3.8mm)に射出成形し、曲げ弾性率及び曲げ強度を調べた。
(その他の試験例)
カルバメート変性マイクロ繊維セルロースをカルバメート変性していないマイクロ繊維セルロース(MFC)に変える、MAPPの一部を種類の異なるPEに置き換える、流動改善剤を使用する等して試験例2と同様の試験を行った。詳細及び結果を表1~3に示した。
なお、PE粉末の物性測定は、前述したとおりとした。また、MFCの配合率には、CAMFCも含まれる。さらに、ストランドの可否については、以下のとおりとした。
◎:押出機出口から引ける長さが150cm以上の場合
〇:押出機出口から引ける長さが10cm以上150cm未満の場合
×:押出機出口から引ける長さが10cm未満の場合
また、曲げ弾性率及び曲げ強度については、JIS K7171:2008に準拠して測定した。
Figure 2023142300000002
Figure 2023142300000003
Figure 2023142300000004
(考察)
結果から、MAPPの一部をPE粉末に置き換えることで、ストランドが引ける流動性となることが分かる。また、一般的な流動改善剤(ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド)では、加工適性が不十分であることが分かる。
本発明は、繊維状セルロース複合樹脂として利用可能である。

Claims (7)

  1. 平均繊維幅が0.1μm以上の繊維状セルロースと、
    無水マレイン酸変性ポリプロピレンと、
    分子量が100万g/mol以上のポリエチレンと、を含む、
    ことを特徴とする繊維状セルロース複合樹脂。
  2. 前記繊維状セルロースは、ヒドロキシ基の一部又は全部がカルバメート基で置換されている、
    請求項1に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
  3. 前記繊維状セルロースに対する前記カルバメート基の導入量が0.3mmol/g以上である、
    請求項2に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
  4. 前記ポリエチレンの融点が130℃以上である、
    請求項1又は請求項2に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
  5. 前記ポリエチレンが平均粒子径100μm以下の粉末状である、
    請求項1又は請求項2に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
  6. デュロメータ硬さが30以上である、
    請求項1又は請求項2に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
  7. 前記無水マレイン酸変性ポリプロピレンと前記ポリエチレンとが乾燥質量比で10:90~90:10の割合で含まれている、
    請求項1又は請求項2に記載の繊維状セルロース複合樹脂。
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