JP7351236B2 - 熱伝導性グリース - Google Patents

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Description

本発明は、熱伝導性グリースに関し、特に、パワーモジュール機器に実装使用した場合の発熱・冷却に伴う、塗布部分でのポンプアウトを低減する耐ポンプアウト性の良好な熱伝導性グリースに関する。
電子機器に使用されている半導体部品の中には、コンピューターのCPUやインバーター、コンバーター等の電源制御用のパワー半導体のように使用中に発熱をともなう部品がある。これらの半導体部品を熱から保護し、正常に機能させるためには、発生した熱をヒートシンク等の放熱部品へ伝導させ放熱する方法がある。熱伝導性グリースは、これら半導体部品と放熱部品を密着させるように両者の間に塗布され、半導体部品の熱を放熱部品に効率よく伝導させるために用いられる。近年、これら半導体部品を用いる電子機器の性能向上や小型・高密度実装化が進んでおり、放熱対策に用いられる熱伝導性グリースにはより高い熱伝導性が求められる。
熱伝導性グリースは、液状炭化水素やシリコーン油やフッ素油等の基油に、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの金属酸化物や、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物や、アルミニウムや銅などの金属粉末等、熱伝導率の高い充填剤が多量に分散されたグリース状の組成物である。例えば、特定の表面改質剤を配合したもの(特許文献1、2等参照)等が開示されている。
一般に熱伝導性グリースの放熱性は、発熱体と放熱板の界面での熱抵抗と反比例するため、熱抵抗の低減には2面間の加圧により熱伝導性グリースが薄く広がり、2面間距離が短くなる展性が求められている。ただし、高展性とするには、フィラーの充填率を低くし、柔らかい性質にすることが望ましい。フィラーの充填率が低下すると熱伝導率も下がるため、高展性と高熱伝導率のバランスを取ることが重要となる。
さて、発熱体と放熱部材の熱膨張率の違いなどにより、発熱時に2面間に塗布された熱伝導性グリースが、2面間の熱膨張率の違いに基づく加熱冷却時の隙間の変化によって塗布部分からはみ出し、その内部にボイド(空隙)が発生して良好な熱伝導率を維持できなくなる場合がある。この現象をポンプアウトと呼び、部品寿命を決定する重要な特性となっている。そのため、多くの耐ポンプアウト性を改善する方法が提示されている(特許文献3~5等参照)。
特開2014-122307号公報 特開2008-280516号公報 特開2018-076423号公報 特願2009-134943号公報 特願2006-092718号公報
エレクトロニクス機器における半導体素子は、小型化・高性能化に伴い、発熱密度及び発熱量が増大しており、熱伝導性グリースにおいてはより高い放熱特性が求められている。しかしながら、従来の技術では耐ポンプアウト性が十分とは言い難い。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、耐ポンプアウト性に優れる熱伝導性グリースを提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の増ちょう剤を用いることで、優れた耐ポンプアウト性を有する熱伝導性グリースとなることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1は、基油と、無機粉末充填剤と、増ちょう剤と、を含有し、前記基油はエステル油を含有し、前記増ちょう剤は、芳香族ポリウレアを含有する熱伝導性グリースである。
(2)本発明の第2は、第1の発明において、さらに、基油拡散防止剤を含有し、前記基油拡散防止剤は、フッ素系拡散防止剤を含有する、熱伝導性グリースである。
(3)前記拡散防止剤は、熱伝導性グリース100質量部に対して0.01質量部以上0.5質量部以下の割合で含有する(2)に記載の熱伝導性グリースである。
(4)前記増ちょう剤は、基油100質量部に対して1質量部以上10質量部以下の割合で含有する(1)乃至(3)のいずれかに記載の熱伝導性グリースである。
(5)前記無機粉末充填剤が、銅、アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び炭化ケイ素からなる群より選択される1種以上を含有する(1)乃至(4)のいずれかに記載の熱伝導性グリースである。
(6)前記無機粉末充填剤は、熱伝導性グリース100質量部に対して80質量部以上93質量部以下の割合で含有する(1)乃至(5)のいずれかに記載の熱伝導性グリースである。
(7)前記基油は、熱伝導性グリース100質量部に対して6質量部以上9質量部以下の割合で含有する(1)乃至(6)のいずれかに記載の熱伝導性グリースである。
本発明によれば、耐ポンプアウト性に優れる熱伝導性グリースを提供できる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。また、本明細書において、「~」との表記は、「以上」「以下」を意味し、「X:Y~A:B」との表記は「X:Y」及び「A:B」そのものを含み、「X:Y」と「A:B」との間の範囲を意味する。
≪1.熱伝導性グリース≫
本実施の形態に係る熱伝導性グリースは、少なくとも、基油と、無機粉末充填剤と、増ちょう剤と、を含有する。
熱伝導性グリースにおけるポンプアウト現象は、熱の影響によりその熱伝導性グリースの追随性が喪失することで、チャネリングと呼ばれる熱伝導性グリースの流れが不均一(流れの偏り)となることにより生じる。そこで、熱伝導性グリースにおいて特定の増ちょう剤を用いることにより、このようなチャネリング現象が改善し、ポンプアウトを抑制することができる。
以下、熱伝導性グリースに含まれる各成分について説明する。
(1)無機粉末充填剤
無機粉末充填剤は、熱伝導性グリースに高い熱伝導性を付与する。本実施の形態に係る熱伝導性グリースに用いられる無機粉末充填剤は、基油より高い熱伝導性を有するものであれば特に限定されないが、金属酸化物、無機窒化物、金属(合金も含む)、ケイ素化合物、カーボン材料などの粉末が好適に用いられる。
より具体的に、金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等を挙げることができる。無機窒化物としては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等を挙げることができる。金属としては、銅、アルミニウム、銀等を挙げることができる。ケイ素化合物としては炭化ケイ素、シリカ等を挙げることができる。カーボン材料としては、ダイヤモンド、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等を挙げることができる。
無機粉末充填剤としては、電気絶縁性を求める場合には、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカ、ダイヤモンドなどの、半導体やセラミックなどの非導電性物質の粉末が好ましく、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、シリカの粉末がより好ましく、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムの粉末が特に好ましい。
また、上記の無機粉末充填剤のなかでも高い熱伝導性を有するという観点からは、銅、アルミニウム、銀、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム窒化ホウ素及び炭化ケイ素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。電気的な特性に対する要求が無い場合は、金属粉末や炭素材料粉末と非導電性物質の粉末とを組み合わせて用いることもできる。
無機粉末充填剤の種類は1種類であってもよいし、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。
無機粉末充填剤は、平均粒径の異なる2種以上を組み合わせることが好ましい。これにより、熱伝導性グリース中で、無機粉末充填剤の充填密度が高くなりやすくなり、基油の離油をより効果的に抑制することができる。異なる平均粒子径の組み合せは、2種類や3種類、それ以上でも構わないが、充填率を上げ過ぎると、流動性に劣り、塗布性や耐ポンプアウト性が劣る場合もあるので、要求特性に応じて配合割合を決めればよい。
無機粉末充填剤は、平均粒径の異なる2種類を組み合わせて用いる場合には、平均粒径3μm以上50μm以下の粗粒と、平均粒径1.0μm未満の微粉の無機粉末充填剤を組み合わせることができる。この様な場合、小型化の進む電子部品においては、熱伝導率と実装時の展性の観点から粗粒の平均粒径は3μm以上15μm以下であることが好ましい。
本実施の形態に係る熱伝導性グリースにおいて、無機粉末充填剤の平均粒径はレーザー回折散乱法(JIS R 1629:1997に準拠)により測定した粒度分布の体積平均径として算出できる。
例えば、粗粒と微粉の2種類の平均粒径を有する無機粉末充填剤を組み合わせる場合の質量比は、粗粒の質量比率を無機粉末充填剤全体100質量%に対し、50質量%以上60質量%以下の範囲で混合するのが好ましい。また、さらに粗粒と微粉との中間の平均粒径を有する中粒を加え、3種類の平均粒径を有する無機粉末充填剤の組み合わせとすることもでき、その場合は、無機粉末充填剤全体100質量%に対し、粗粒の質量比率を50質量%以上60質量%以下とし、中粒の質量比率を20質量%以上30質量%以下の範囲で混合するのが好ましい。
この様な3種類の平均粒径を有する無機粉末充填剤の組み合わせとする場合、中粒には平均粒径1.5μm以上3μm未満の無機粉末充填剤を用いる。粗粒、中粒、微粉の3種類の平均粒径を有する無機粉末充填剤を組み合わせることにより、無機粉末充填剤をより高密度に充填することができ、無機粉末充填剤の含有量をより多くすることができる。
無機粉末充填剤の含有量(総含有量)は、熱伝導性グリース100質量%に対し、80質量%以上93質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以上93質量%以下である。無機粉末充填剤の総含有量をこのような範囲内とすることで、無機粉末充填剤の表面積と液体成分(基油と表面改質剤)の量のバランスから、ポンプアウトをより効果的に抑制することができる。80質量%未満では熱伝導性が低くなり過ぎ、さらにポンプアウトを抑制できなくなる場合がある。一方、93質量%を超えるとちょう度が低くなり過ぎ、十分な展性を保てなくなり、熱伝導性グリースの調製が困難になる場合がある。
(2)基油
基油としては、エステル油を含有する基油を用いる。エステル油は、ジエステルやポリオールエステルが挙げられる。ジエステルは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の二塩基酸のエステルが挙げられる。二塩基酸は、炭素数4以上36以下の脂肪族二塩基酸が好ましい。エステル部を構成するアルコール残基は、炭素数4以上26以下の一価アルコール残基が好ましい。
ポリオールエステルは、β位の炭素上に水素原子が存在していないネオペンチルポリオールのエステルで、具体的にはネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のカルボン酸エステルが挙げられる。エステル部を構成するカルボン酸残基は、炭素数4以上26以下のモノカルボン酸残基が好ましい。
また、エステル油は、上記以外にも、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール、2,4-ジエチル-ペンタンジオール等の脂肪族二価アルコールと、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪酸とのエステルも用いることができる。直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪酸は、炭素数4以上30以下の一価の直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪酸が好ましい。
基油の動粘度は、40℃粘度が180±18mm/sであることが好ましい。高温下での基油の蒸発や離油などが抑制される。
基油の含有量としては、熱伝導性グリース100質量%に対して6質量%以上9質量%以下であることが好ましい。基油の含有量が6質量以上であることにより、熱伝導性グリースに含有される油成分が適切な量となり、熱伝導性グリースをグリース状に維持することができる程度のちょう度を維持することができるため好ましい。一方で、基油の含有量が9質量%以下であることにより、高温環境に置かれた場合に熱伝導性グリースが流れ出ることや熱伝導性グリースに含有される基油が離油してポンプアウトすることをより効果的に抑制することができる。
(3)増ちょう剤
本実施の形態に係る熱伝導性グリースにおいては、増ちょう剤として、芳香族ポリウレアを含有するものを用いる。芳香族ポリウレアとは主鎖にウレア結合と芳香環を有するポリマーである。
本発明者らの研究により、増ちょう剤として、芳香族ポリウレアを含有するものを用いることにより、熱伝導性グリースのポンプアウトを効果的に抑制できることが明らかとなった。その理由は必ずしも明らかではないが、芳香族ポリウレアを含有することで熱の影響によるその熱伝導性グリースのレオロジー特性の変化を抑制するためであると考えられる。
芳香族ポリウレアは、イソシアネートとアミンとを反応させて得られる。イソシアネートはジフエニルメタン-4,4′-ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートを挙げることができる。アミンは、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、アイコシルアミン、牛脂アミン、ヤシ油アミン等の脂肪族モノアミンや、アニリン、p-トルイジン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミンを挙げることができる。
芳香族ポリウレアは、基油100質量部に対して1質量部以上10質量部以下の割合で含有することが好ましい。芳香族ポリウレアを基油100質量部に対して1質量部以上の割合で含有することにより、ポンプアウトをより効果的に抑制することができる。増ちょう剤を基油100質量部に対して10質量部以下の割合で含有することにより、ちょう度が必要以上に高くなるのを防止することができるとともに、ポンプアウトをより効果的に抑制することが可能となる。
なお、熱伝導性グリースには芳香族ポリウレア以外の増ちょう剤を含有してもよい。芳香族ポリウレア以外の増ちょう剤としては、例えば、脂肪族ポリウレア、ナトリウムテレフタラメート、ポリテトラフルオロエチレン、有機化ベントナイト、シリカゲル、石油ワックス、ポリエチレンワックス等を挙げることができる。芳香族ポリウレア以外の増ちょう剤を含有する場合、芳香族ポリウレア以外の増ちょう剤の含有量は、増ちょう剤全量中40質量%以下の割合であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
熱伝導性グリースのちょう度は200以上であれば使用可能であるが、塗布性、拡がり性、付着性、離油防止性などの点から250~400であることが好ましく、300~400であることがより好ましく、330~400であることが特に好ましい。
熱伝導性グリースの粘度は、80Pa・s以上300Pa・s以下であることが好ましく、100Pa・s以上200Pa・s以下であることが特に好ましい。
(4)基油拡散防止剤
基油拡散防止剤は、必要に応じて、本実施の形態に係る熱伝導性グリースに含有させてもよい。基油拡散防止剤は、本実施の形態に係る熱伝導性グリースにおいて必須の成分ではないが、熱伝導性グリースに含まれる基油の拡散を防止することができる。
基油拡散防止剤は、フッ素系拡散防止剤を含有することが好ましい。フッ素系拡散防止剤は優れた撥水撥油性を有することから、発熱体や放熱部材への基油の拡散を効果的に防止することができる。
基油拡散防止剤は、熱伝導性グリース100質量部に対して0.01質量部以上0.5質量部以下の割合で含有することが好ましい。拡散防止剤の含有量が、熱伝導性グリース100質量部に対して0.01質量%以上であることにより、基油の拡散を防止し、ポンプアウトをより効果的に抑制することができる。基油拡散防止剤の含有量が、熱伝導性グリース100質量部に対して0.5質量%を超えても、拡散防止剤の基油の拡散防止効果は飽和し大きく変化しない。拡散防止剤の含有量を0.5質量%以下にすることにより、コストを軽減することができる。
(5)分散剤
本実施の形態に係る熱伝導性グリースは、分散剤を含有させてもよい。分散剤は、本実施の形態に係る熱伝導性グリースにおいて必須の成分ではないが、無機粉末充填剤の表面に吸着し、無機粉末充填剤と基油との親和性を向上させる。すなわち、分散剤は、無機粉末充填剤の表面改質剤として機能し、無機粉末充填剤と基油との親和性を向上させることによって、熱伝導性グリースのちょう度を向上させることができる。
分散剤は、例えば、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、脂肪酸エステルのようなカルボン酸構造を有する化合物、ポリカルボン酸系化合物等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に、ポリグリセリンモノアルキルエーテル化合物、カルボン酸構造を有する化合物、ポリカルボン酸系化合物を併用することが好ましい。
分散剤の含有量は、熱伝導性グリース100質量%に対して0.001質量%以上1質量%以下の割合で含有することが好ましい。より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下であり、さらに好ましくは0.15質量%以上1質量%以下であり、最も好ましくは0.2質量%以上0.5質量%以下である。
分散剤を0.001質量%以上の割合で含有することにより、熱伝導性グリースに含有される無機粉末充填剤と基油との親和性をより向上させる効果が得られ、熱伝導性グリースのちょう度を効果的に高めることができる。一方、分散剤の含有量が1質量%を超えても、分散剤の特性は大きく変化しない。分散剤の含有量を1質量%以下にすることによりコストを軽減することができるため好ましい。
(6)その他の成分
本発明の熱伝導性グリースは、必要に応じて、上記の各成分の他の成分(その他の成分)を含有させてもよい。その他の成分としては、酸化防止剤、二次酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、増粘剤等を挙げることができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系、イオウ系、リン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、HALS等の化合物が挙げることができる。
二次酸化防止剤としては、サルファイド、ジサルファイド、トリサルファイド、チオビスフェノールなどのイオウ系酸化防止剤や、アルキルフォスファイト、ZnDTPなどのリン系酸化防止剤等を挙げることができる。
防錆剤としては、スルホン酸塩、カルボン酸、カルボン酸塩、コハク酸エステル等が挙げられる。腐食防止剤は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体等の化合物、チアジアゾール系化合物等を挙げることができる。
増粘剤としては、ポリブテン、ポリメタクリレート、オレフィンコポリマー、高粘度のポリアルファオレフィン等を挙げることができる。
(7)製造方法
本実施の形態に係る熱伝導性グリースの製造に関しては、均一に成分を混合できればその方法は特に限定されない。一般的な製造方法としては、プラネタリーミキサー、自転公転ミキサーなどにより混練りを行い、グリース状にした後、さらに三本ロールにて均一に混練りする方法がある。
このように混練りすることにより熱伝導性グリースを製造することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
≪実施例、比較例≫
熱伝導性グリース用の材料として、下記(A)~(E)に示す各材料を準備した。
(A)無機粉末充填剤
A1:酸化亜鉛1:平均粒径:11μm
A2:酸化亜鉛2:平均粒径:0.6μm
(B)基油
B1:エステル油 (日油社製,ユニスターH481R)
(C)分散剤
C1:酸系高級脂肪酸ポリエステル
(日本ルーブリゾール社製,HPA-N107)
(D)拡散防止剤
D1:フッ素系拡散防止剤 (DIC社製,メガファックF554)
(E)増ちょう剤
E1:芳香族ポリウレア
E2:ステアリン酸リチウム
E3:脂肪族ポリウレア
E4:有機処理シリカ (日本アエロジル社製,SH200)
下記表1に示す配合量(単位は、特段記載がない限りは、熱伝導性グリース100質量部に対する質量部である。)で、基油に分散剤、拡散防止剤を溶解させた後、無機粉末充填剤及び増ちょう剤を加え、プラネタリーミキサーにて、室温から100℃まで加熱しながら混練することにより、各材料を十分混合してグリース状とした。その後、3本ロールによる混練を繰り返し3回行って、凝集している材料の解砕、及び各材料の分散を十分行い、熱伝導性グリースを製造した。
製造した各熱伝導性グリースの試料を用いて、以下の方法で熱伝導率、粘度、耐ポンプアウト性を評価した。
[熱伝導率の評価]
熱伝導率は、京都電子工業(株)製迅速熱伝導率計QTM-500を用いて室温にて測定した。評価結果を下記表1に示す。
[粘度]
粘度は、Anton Parr社製粘度計Physixa MCR501を用いて室温にてせん断速度が6(l/sec)のときのせん断粘度を測定した。評価結果を下記表1に示す。
[パワーサイクル試験]
熱伝導性グリースをについてパワーサイクル試験を実施した。具体的には、各熱伝導性グリースをパワーモジュール(富士電機製 2MBI300VN-120-50 通電素子ダイオード)に100μmの厚さとなるように開孔率50%のメタルマスクを介して塗布し、このパワーモジュールを水冷式ヒートシンクにM5ねじでトルク3N・mの力を加えて取り付けた。そして、パワーモジュールが150℃となるように通電して60秒間昇温し、その後120秒間で放冷した。これを1サイクルとして、5000サイクル繰り返した。
上述したパワーサイクル試験後での塗布部分からの熱伝導性グリースの基油のはみ出し有無を確認した。また、初期サイクル時での熱伝導性グリースの最高温度TIと、5000サイクル時での熱伝導性グリースの最高温度TEとの差(TI-TE)を求めた。基油のはみ出しと、最高温度の差の判断基準を以下に示す。また、下記表1にパワーサイクル試験後における熱伝導性グリースのはみ出し有無、及び、最高温度TEとの差(TI-TE)の評価結果を示す。
(はみ出し)
「〇」:基油のはみ出しが確認されなかった場合。
「×」:基油のはみ出しが確認された場合。
(最高温度の差(TI-TE))
「〇」:TI-TEが1.0℃以下であった場合。
「△」:TI-TEが1.0℃超2.0℃未満であった場合。
「×」:TI-TEが2.0℃以上であった場合。
Figure 0007351236000001
表1から分かるように、増ちょう剤として芳香族ポリウレアを含有する実施例1~3の熱伝導性グリースでは、サイクル試験前後の最高温度の差(TI-TE)が1.0℃以下であった。これは、実施例1~3の熱伝導性グリースではポンプアウトが発生せず、サイクル試験後において基油の損失による熱伝導性グリースの固化(乾燥)が生じなかったためであると考えられる。
以上より、増ちょう剤として芳香族ポリウレアを含有する増ちょう剤を用いることで、優れた耐ポンプアウト性を有する熱伝導性グリースであることが確認された。

Claims (6)

  1. 基油と、無機粉末充填剤と、増ちょう剤と、を含有し、
    前記基油はエステル油を含有し、
    前記増ちょう剤は、芳香族ポリウレアを含有し、
    さらに、基油拡散防止剤を含有し、
    前記基油拡散防止剤は、フッ素系拡散防止剤を含有する、
    熱伝導性グリース。
  2. 前記基油拡散防止剤は、熱伝導性グリース100質量部に対して0.01質量部以上0.5質量部以下の割合で含有する、
    請求項に記載の熱伝導性グリース。
  3. 前記増ちょう剤は、基油100質量部に対して1質量部以上10質量部以下の割合で含有する、
    請求項1又は2に記載の熱伝導性グリース。
  4. 前記無機粉末充填剤が、銅、アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び炭化ケイ素からなる群より選択される1種以上を含有する、
    請求項1乃至のいずれかに記載の熱伝導性グリース。
  5. 前記無機粉末充填剤は、熱伝導性グリース100質量部に対して80質量部以上93質量部以下の割合で含有する、
    請求項1乃至のいずれかに記載の熱伝導性グリース。
  6. 前記基油は、熱伝導性グリース100質量部に対して6質量部以上9質量部以下の割合で含有する、
    請求項1乃至のいずれかに記載の熱伝導性グリース。
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