以下、本開示の希土類磁石の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示の希土類磁石の製造方法を限定するものではない。
理論に拘束されないが、本開示の希土類磁石の製造方法において、混合粉末中の磁性粉末の粒子が充分に配向する理由について、図面を用いて、従来の希土類磁石の製造方法等と比較しながら説明する。
図1A〜図1Fは、本開示の希土類磁石の製造方法の一例を模式的に示す説明図である。図1Aは、本開示の希土類磁石の製造方法の一例において、圧縮成形前の混合粉末に磁場を印加している状態を模式的に示す説明図である。図1Bは、図1Aのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。図1Cは、本開示の希土類磁石の製造方法の一例において、磁場を印加した後の混合粉末を圧縮成形している状態を模式的に示す説明図である。図1Dは、図1Cのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。図1Eは、本開示の希土類磁石の製造方法の一例において、圧粉体を焼結している状態を模式的に示す図である。図1Fは、図1Eのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。
図2A〜図2Dは、比較のため、従来の希土類磁石の製造方法の一例を模式的に示す説明図である。図2Aは、従来の希土類磁石の製造方法の一例において、混合粉末を磁場中で圧縮成形している状態を模式的に示す説明図である。図2Bは、図2Aのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。図2Cは、従来の希土類磁石の製造方法の一例において、圧粉体を焼結している状態を模式的に示す説明図である。図2Dは、図2Cのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。
図3A〜図3Fは、比較のため、従来の希土類磁石の製造方法の別の例を模式的に示す説明図である。図3A〜図3Fに示した希土類磁石の製造方法は、特許文献1に開示された製造方法に相当する。図3Aは、従来の希土類磁石の製造方法の別の例において、混合粉末を磁場中で圧縮成形している状態を模式的に示す説明図である。図3Bは、図3Aのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。図3Cは、従来の希土類磁石の製造方法の別の例において、圧粉体をさらに圧縮成形している状態を模式的に示す説明図である。図3Dは、図3Cのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。図3Eは、従来の希土類磁石の製造方法の別の例において、さらに圧縮成形した圧粉体を焼結している状態を模式的に示す説明図である。図3Fは、図3Eのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。
図4A〜図4Dは、比較のために実施した希土類磁石の製造方法を模式的に示す説明図である。図4Aは、比較のために実施した希土類磁石の製造方法において、混合粉末に磁場を印加している状態を模式的に示す説明図である。図4Bは、図4Aのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。図4Cは、比較のために実施した希土類磁石の製造方法において、磁場印加後の混合粉末を焼結している状態を模式的に示す説明図である。図4Dは、図4Cのキャビティ近傍の拡大縦断面図である。
まず、図1A〜図1Fに示した本開示の希土類磁石の製造方法の一例について説明する。図1A及び図1Bに示したように、改質材粉末10と磁性粉末20の混合粉末30を、ダイス40の貫通孔に設けたキャビティ60に格納する。キャビティ60は、貫通孔の下方からパンチ50を挿入して形成する。キャビティ60の内部に格納した混合粉末30には、破線矢印の方向に磁場を印加する。このとき、キャビティ60の上方からパンチ50を挿入せず、混合粉末30には圧力を付与しない。磁性粉末20の各粒子に付した矢印は、各粒子の磁化方向を示す。磁性粉末20の各粒子は磁場によって鎖状に配列されるが、磁性粉末20の各粒子が配向するまでには至らない。
図1A及び図1Bに示した状態で、貫通孔の上方からパンチ50を挿入して、図1C及び図1Dの白抜き矢印に示した方向に、混合粉末30を圧縮成形する。磁性粉末20には、予め磁場が印加されており、これによって、磁性粉末20には磁力が発現している。そのため、混合粉末30を圧縮成形する際には、混合粉末30に磁場を印加しなくてもよい。そして、圧縮力が加わると、磁性粉末20に発現している磁力と相まって、混合粉末30の各粒子が流動するとともに、図1C及び図1Dに示したように、磁性粉末20の各粒子が配向した圧粉体32が得られる。その後、ダイス40を加熱して圧粉体32を焼結すると、図1E及び図1Fに示したように、改質材粉末10は磁性粉末20の粒子間でバインダ相15となり、磁性粉末20の各粒子の配向が固定された焼結体34となる。その結果、焼結体(希土類磁石)の残留磁化が向上する。図1E及び図1Fでは、加熱中に圧粉体32を白抜き矢印の方向に加圧する加圧焼結の例が示されているが、これに限られない。この点については後述する。
一方、図2A〜図2Dに示した従来の希土類磁石の製造方法の一例のように、混合粉末30を磁場中で圧縮成形すると(図2A及び図2B、参照)、磁性粉末20の各粒子の配向が充分でないまま圧粉体となる。これは、磁場の印加と圧縮成形が同時であると、圧縮力によって、磁性粉末20の各粒子が鎖状に配列したまま互いに接触して、磁性粉末20の各粒子が流動し難くなり、その結果、配向が妨げられると考えられる。そして、図2A及び図2Bに示したような磁性粉末20の各粒子の配向が不充分な圧粉体32が焼結されると、磁性粉末20の各粒子の配向が不充分なままバインダ相15で固定されて、図2C及び図2Dに示したような焼結体34が得られる。
ネオジム−鉄−ホウ素系(Nd2Fe14B系)希土類焼結磁石(ナノ結晶化された熱間塑性加工磁石を除く)の製造方法においては、図2A及び図2Bに示したような磁場中での圧縮成形は、高い配向性が得られる方法として広く知られている。しかし、ネオジム−鉄−ホウ素系希土類磁石の製造方法に用いる磁性粉末と比べて、サマリウム−鉄−窒素系希土類磁石に用いる磁性粉末の異方性磁界は高い。そのため、サマリウム−鉄−窒素系希土類磁石に用いる磁性粉末を配向させるには、より強力な磁場の印加が必要である。また、ネオジム−鉄−ホウ素系希土類磁石の製造方法に用いる磁性粉末と比べて、サマリウム−鉄−窒素系希土類磁石に用いる磁性粉末は、その磁性粉末粒子表面の摩擦係数が高い。これにより、サマリウム−鉄−窒素系磁性粉末においては、圧縮成形によって磁性粉末粒子が互いに接触すると、磁性粉末粒子が流動し難い。これらのことから、サマリウム−鉄−窒素系希土類磁石の製造方法で、図2A及び図2Bに示したような磁場中での圧縮成形を採用して、磁場配向と磁性粉末粒子の流動性を向上させるには、従来よりも高磁場及び高圧力で圧縮成形すればよいようにも思われる。しかし、圧縮成形にはタングステンカーバイド系超硬合金製の金型を用いることが多い。タングステンカーバイド系超硬合金製の金型を用いるとき、超硬合金中にバインダとして含有しているコバルトによって、漏れ磁場が発生し易いため、混合粉末に従来よりも高磁場を印加することは容易ではない。また、磁性粉末のような硬質の粉末を従来よりも高圧力で圧縮成形することは、金型の耐久性の観点から好ましくない。これらのことから、サマリウム−鉄−窒素系希土類磁石の製造方法において、図2A及び図2Bに示したような磁場中での圧縮成形を採用して、磁場配向と磁性粉末粒子の流動性の向上を図ることは難しい。
一方、図3A〜図3Fに示した従来の希土類磁石の製造方法の別の例のように、混合粉末30を磁場中で圧縮成形した(図3A及び図3B、参照)後、その圧粉体をさらに圧縮成形すると(図3C及び図3D、参照)、磁性粉末20の各粒子の配向が幾分改善される(図3D、参照)。しかし、依然として、磁性粉末20の各粒子の配向が充分ではないまま、図3E及び図3Fに示したような焼結体34が得られる。
また、図4A〜図4Dに示した比較のために実施した希土類磁石の製造方法のように、加圧なして混合粉末30に磁場を印加して(図4A及び図4B、参照)、それを加圧焼結しても(図4C及び図4D、参照)、磁性粉末20の各粒子の配向が充分でないまま焼結体34となる(図4D、参照)。これは、加圧焼結時に、改質材粉末が融液(液相焼結状態)になり、その融液が潤滑性を有していても、加圧によって磁性粉末20の各粒子が互いに接触すると、高摩擦力により、それらの流動が妨げられ、所望の配向が得られないためであると考えられる。
これらのことから、混合粉末30中の磁性粉末20の各粒子が比較的自由に流動できる状態、すなわち、圧縮成形前の状態で混合粉末30に予め磁場を印加すると、充分に配向した圧粉体が得られることを本発明者らは知見した。そして、このような圧粉体を焼結すると、充分に配向した焼結体が得られ、その結果、残留磁化を従来よりも一層向上可能なことを、本発明者らは知見した。
これまで述べてきた知見等によって完成された、本開示の希土類磁石の製造方法の構成要件を、次に説明する。
《希土類磁石の製造方法》
本開示の希土類磁石の製造方法は、混合工程、圧縮成形工程、焼結工程、及び磁場印加工程を含む。以下、各工程について説明する。
〈混合工程〉
金属亜鉛粉末及び亜鉛合金粉末の少なくともいずれかを含有する改質材粉末と、サマリウム−鉄−窒素系磁性粉末とを混合して、混合粉末を得る。「金属亜鉛粉末及び亜鉛合金粉末の少なくともいずれかを含有する改質材粉末」及び「サマリウム−鉄−窒素系磁性粉末」を、それぞれ、「改質材粉末」及び「磁性粉末」ということがあることは、前述したとおりである。
改質材粉末と磁性粉末の混合方法に、特に制限はない。混合方法としては、乳鉢、ノビルタ(登録商標)、マラーホイール式ミキサー、アジテータ式ミキサー、メカノフュージョン、V型混合器、及びボールミル等を用いて混合する方法が挙げられる。これらの方法を組み合わせてもよい。なお、V型混合器は、2つの筒型容器をV型に連結した容器を備え、その容器を回転することにより、容器中の粉末が、重力と遠心力で集合と分離が繰り返され、混合される装置である。
改質材粉末と磁性粉末の混合には、上述のようなミキサー等を用いなくてもよい。例えば、改質材粉末と磁性粉末のそれぞれを、後述する圧縮成形工程で用いるダイスのキャビティに格納する際、その格納動作によって、磁性粉末と改質材粉末を混合すること等が挙げられる。
〈圧縮成形工程〉
改質材粉末と磁性粉末の混合粉末を圧縮成形して、圧粉体を得る。圧縮成形方法に特に制限はない。圧縮成形工程で用いる金型を、後述する焼結工程及び磁場印加工程で用いる金型と共用してもよい。圧縮成形工程で用いる金型を、焼結工程及び磁場印加工で用いる金型と共有する場合には、金型のキャビティ内に磁場を印加し易く、かつ焼結時の高温及び高圧に耐え得る材質で造られていることが好ましい。金型の材質としては、例えば、タングステンカーバイド系超硬合金及び/又はインコネル等が挙げられる。また、これらの組合せであってもよい。金型の耐久性等の観点からは、金型の材質は、タングステンカーバイド系超硬合金であることが好ましい。
金型の構造に特に制限はない。例えば、図1Bに示したように、ダイス40とパンチ50を備える金型が挙げられる。ダイス40はキャビティ60を有し、パンチ50はキャビティ60の内部を摺動する。混合粉末30をダイス40のキャビティ60内に格納し、図1の白矢印に示した方向にパンチ50を移動させることによって、混合粉末30を圧縮成形する。
図1Bに示したパンチ50は四角柱形であり、ダイス40のキャビティ60は四角筒形であるが、これに限られず、圧粉体の形状によって、パンチ50及びキャビティ60の形状を種々変更できる。
パンチ50には加圧装置(図示しない)が連結され、パンチ50をキャビティ60の内部で軸方向(図1Bの白矢印の方向)に移動させることにより、混合粉末30を圧縮成形する。図1Bに示した態様においては、二つのパンチ50を備えているが、両方を移動させてもよいし、いずれか一方を移動させてもよい。加圧装置としては、例えば、油圧シリンダ、空圧シリンダ、又は電動サーボシリンダ並びにこれらの組合せ等が挙げられる。また、金型を後述する焼結工程と共有する場合には、ダイス40及びパンチ50の少なくともいずれかに、その内部又は外周にヒータ(図示しない)を設置する。あるいは、ダイス40及びパンチ50の少なくともいずれかを、加熱炉(図示しない)の内部に挿入する。このような加熱源を用いて、キャビティ60の内部に格納した圧粉体32を焼結する。加熱源の設置方法としては、典型的には、例えば、ダイス40の外周にヒータ又は加熱炉を設置することが挙げられる。
ダイス40及びパンチ50の態様は、図1Bに示した態様に限られない。図1Bに示した態様では、ダイス40に貫通孔を設け、貫通孔をキャビティ60としているが、これに限られない。例えば、ダイス40に、底部が閉塞されたキャビティ60を設け、底部と反対側にパンチ50を設けてもよい。
混合粉末30を圧縮成形して圧粉体を得るときの圧力は、鎖状に配列されている磁性粉末20の各粒子(図1B、参照)が流動して、磁性粉末20の各粒子が配向した圧粉体(図1D、参照)が得られるように設定される。磁性粉末20の各粒子を配向させる観点からは、金型の耐久性を損なわない限りにおいて、圧縮成形時の圧力は大きい方が好ましい。圧縮成形時の圧力としては、例えば、1000MPa以上、1100MPa以上、1200MPa以上、1300MPa以上、又は1400MPa以上であってよく、5000MPa以下、4500MPa以下、4000MPa以下、3500MPa以下、又は3000MPa以下であってよい。
混合粉末を圧縮成形して圧粉体を得るときの温度は、典型的には室温であるが、磁性粉末が改質材粉末で改質されない温度であればよい。改質材粉末が主として金属亜鉛粉末を含有するとき、混合粉末を380℃以上に加熱すると、改質相(Γ相等)が生成する。このことから、混合粉末を圧縮成形して圧粉体を得るときの温度は、例えば、360℃以下、300℃以下、200℃以下、100℃以下、又は50℃以下であってよい。一方、混合粉末を圧縮成形して圧粉体を得るときの温度は、混合粉末の流動性を確保できればよく、例えば、−100℃以上、−50℃以上、−40℃以上、−30℃以上、−20℃以上、−10℃以上、0℃以上、又は5℃以上であってよい。なお、Γ相は、Zn10Fe3で表される組成を有する相を意味する。なお、本明細書において、「混合粉末を圧縮成形して圧粉体を得る」とは、改質相の生成を伴わずに混合粉末を圧縮成形して圧粉体を得ることを意味する。
混合粉末を圧縮成形して圧粉体を得るときの成形時間(加圧時間)は、改質材粉末及び磁性粉末それぞれの粒径及び配合量等を考慮して、所望の圧粉体が得られるように適宜決定すればよい。成形時間(加圧時間)としては、例えば、5秒以上、10秒以上、20秒以上、30秒以上、40秒以上、又は50秒以上であってよく、240秒以下、180秒以下、120秒以下、90秒以下、80秒以下、又は70秒以下であってよい。
混合粉末を圧縮成形して圧粉体を得るときの雰囲気に特に制限はないが、混合粉末及び圧粉体の酸化を抑制する観点から不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気も含まれる。
〈焼結工程〉
上述した圧粉体を焼結する。焼結方法としては、無加圧焼結及び加圧焼結のいずれも採用することができるが、焼結体の密度向上の観点からは加圧焼結が好ましい。焼結体の密度の向上により、残留磁化が向上する。また、加圧焼結時の加圧力は、磁性粉末20の各粒子の配向にも寄与する観点から、加圧焼結が好ましい。
焼結方法の一例について、図1E及び図1Fを用いて説明する。キャビティ60を有するダイス40と、キャビティ60の内部を摺動可能なパンチ50を準備する。そして、キャビティ60内に圧粉体32を格納し、パンチ50で圧粉体32に圧力を付加しつつ、圧粉体32を加熱すれば加圧焼結を実現できるし、パンチ50で圧粉体に圧力を付与せずに圧粉体を加熱すれば無加圧焼結を実現できる。このようにして、改質材粉末10がバインダ相15となり、焼結体34が得られる。
焼結温度としては、改質材粉末と磁性粉末が相互に拡散して固化する限りにおいて、特に制限はない。改質材粉末と磁性粉末とが相互に固相で拡散する温度(固相焼結温度)と、液相の改質材粉末と固相の磁性粉末とが相互に拡散する温度(液相焼結温度)のいずれも採用することができる。改質材粉末の融点がT℃であるとき、焼結温度は、例えば、(T−50)℃以上、(T−45)℃以上、又は(T−40)℃以上であってよく、(T+20)℃以下、(T+10)℃以下、(T+5)℃以下、T℃以下、(T−5)℃以下、(T−10)℃以下、(T−15)℃以下、(T−20)℃以下、又は(T−30)℃以下であってよい。
改質材粉末が、主として金属亜鉛粉末を含有する場合には、金属亜鉛の融点は420℃であるため、焼結温度は、例えば、370℃以上、375℃以上、又は380℃以上であってよく、440℃以下、430℃以下、425℃以下、420℃以下、415℃以下、410℃以下、405℃以下、400℃以下、又は390℃以下であってよい。改質材粉末が、主としてZn0.95Al0.05合金(Zn:95原子%、Al:5原子%)粉末を含有する場合には、Zn0.95Al0.05合金の融点は400℃であるため、焼結温度は、例えば、350℃以上、355℃以上、又は360℃以上であってよく、420℃以下、410℃以下、405℃以下、400℃以下、395℃以下、390℃以下、385℃以下、380℃以下、又は370℃以下であってよい。なお、「主として」とは、該当する粉末の含有量が改質材粉末20全体に対して、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であり、100質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、96質量%、又は95質量%以下であることを意味する。
焼結温度に関し、改質材粉末が、金属亜鉛粉末と亜鉛合金粉末の両方を主として含有する場合には、上述のTとして、金属亜鉛粉末の融点と亜鉛合金粉末の融点の低い方を適用することが好ましい。例えば、改質材粉末が金属亜鉛粉末とZn0.95Al0.05合金粉末の両方を主として含有する場合には、Tとして、Zn0.95Al0.05合金の融点、すなわち、400℃を適用する。亜鉛合金粉末が複数種類ある場合には、金属亜鉛合金粉末と複数種類の亜鉛合金粉末の融点のうち、最も低い融点をTとして適用することが好ましい。このようにすることで、焼結中に改質材粉末の一部が溶融しつつも、固相焼結の様相を残存させることができる。なお、「金属亜鉛粉末と亜鉛合金粉末の両方を主として」とは、金属亜鉛粉末と亜鉛合金粉末の合計含有量が、改質材粉末全体に対して、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であり、100質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、又は96質量%以下であることを意味する。亜鉛合金粉末が複数種類ある場合には、金属亜鉛合金粉末と複数種類の亜鉛合金粉末の合計含有量が、改質材粉末全体に対して、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であり、100質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、又は96質量%以下であることを意味する。
焼結圧力及び焼結時間は、磁性粉末及び改質材粉末それぞれの粒径及び配合量等を考慮して、適宜決定すればよい。焼結圧力としては、例えば、500MPa以上、700MPa以上、900MPa以上、1100MPa以上、1300MPa以上、又は1400MPa以上であってよく、5000MPa以下、4000MPa以下、3500MPa以下、3000MPa以下、2500MPa以下、2300MPa以下、2100MPa以下、1900MPa以下、1700MPa以下、又は1600MPa以下であってよい。焼結時間としては、例えば、10秒以上、100秒以上、500秒以上、1000秒以上、1500秒以上、1800秒以上、2000秒以上、2500秒以上であってよく、3600秒以下、3200秒以下、3000秒以下、2800秒以下、又は2700秒以下であってよい。
圧粉体及び焼結体の酸化を防止する観点から、焼結は不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気には窒素ガス雰囲気も含まれる。
〈磁場印加工程〉
混合粉末の圧縮成形前に、予め、混合粉末に磁場を印加する。これにより、混合粉末中の磁性粉末には磁力が発現するため、磁場の印加を解除しても、混合粉末には磁力が残存する。図1B及び図1Dに示したように、磁力が残存している混合粉末30を圧縮成形すると、配向していない磁性粉末20の粒子(図1B、参照)が、圧縮力によって混合粉末の粒子が流動して、磁性粉末20の粒子が配向する(図1D、参照)。
混合粉末中の磁性粉末に磁力を発現させることができれば、磁場の印加方法に特に制限はない。磁場の印加方法としては、例えば、容器の内部に混合粉末を装入し、混合粉末に磁場を印加する方法等が挙げられる。容器としては、容器の内部に磁場を作用させることができれば特に制限はなく、例えば、混合粉末を圧縮成形する金型を、容器として用いることができる。磁場の印加に際しては、容器の外周に磁場発生装置を設置すること等が挙げられる。また、印加する磁場が大きい場合には、例えば、着磁装置等も用いることができる。
印加する磁場の大きさは、例えば、100kA/m以上、150kA/m以上、160kA/m以上、300kA/m以上、500kA/m以上、1000kA/m、又は1500km/A以上であってよく、4000kA/m以下、3000kA/m以下、2500kA/m、又は2000kA/m以下であってよい。磁場の印加方法としては、電磁石を用いた静磁場を印加する方法、及び交流を用いたパルス磁場を印加する方法等が挙げられる。
混合粉末の圧縮成形をするより前に、予め、混合粉末に磁場を印加していればよく、圧縮成形中の混合粉末に磁場を印加してもよいし、しなくてもよい。
磁場の印加方向は特に制限されないが、典型的には、混合粉末の圧縮成形方向と垂直な方向に磁場を印加する。これにより、磁場を印加した後の混合粉末を圧縮成形したときに、混合粉末中の磁性粉末の粒子を配向させ易い。
次に、磁性粉末及び改質材粉末それぞれについて説明する。
〈磁性粉末〉
本開示の希土類磁石の製造方法に用いる磁性粉末は、Sm、Fe、及びNを含有すればよい。このような磁性粉末は、典型的には、少なくとも一部にTh2Zn17型及びTh2Ni17型のいずれかの結晶構造を有する磁性相を含有する。磁性相の結晶構造としては、前述の構造のほかに、TbCu7型の結晶構造を有する相等が挙げられる。なお、Smはサマリウム、Feは鉄、そして、Nは窒素である。また、Thはトリウム、Znは亜鉛、Niはニッケル、Tbはテルビウム、そして、Cuは銅である。
磁性粉末中には、例えば、組成式(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nhで表される磁性相を含有してもよい。本開示の製造方法で得られる希土類磁石(以下、「成果物」ということがある。)は、磁性粉末中の磁性相に由来して、磁気特性を発現する。なお、i、j、及びhは、モル比である。
磁性粉末中の磁性相には、本開示の製造方法の効果及び成果物の磁気特性を阻害しない範囲で、Rを含有していてもよい。このような範囲は、上記組成式のiで表される。iは、例えば、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.50以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。Rは、Sm以外の希土類元素並びにY及びZrから選ばれる1種以上である。本明細書で、希土類元素とは、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuである。なお、Yはイットリウム、Zrはジルコニウム、Scはスカンジウム、Laはランタン、Ceはセリウム、Prはプラセオジム、Ndはネオジム、Pmはプロメチウム、Smはサマリウム、Euはユウロビウム、Gdはガドリニウム、Tbはテルビウム、Dyはジスプロシウム、Hoはホルミウム、Erはエルビウム、Tmはツリウム、Ybはイッテルビウム、そして、Luはルテニウムである。
(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nhについては、典型的には、Sm2(Fe(1−j)Coj)17NhのSmの位置にRが置換しているが、これに限られない。例えば、Sm2(Fe(1−j)Coj)17Nhに、侵入型でRの一部が配置されていてもよい。
磁性粉末中の磁性相には、本開示の製造方法の効果及び成果物の磁気特性を阻害しない範囲で、Coを含有してもよい。このような範囲は、上記組成式で、jで表される。jは、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.52以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。
(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nhについては、典型的には、(Sm(1−i)Ri)2Fe17NhのFeの位置にCoが置換しているが、これに限られない。例えば、(Sm(1−i)Ri)2Fe17Nhに、侵入型でCoの一部が配置されていてもよい。
磁性粉末中の磁性相は、(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17で表される結晶粒に、Nが侵入型で存在することによって、磁気特性の発現及び向上に寄与する。
(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nhについては、hは1.5〜4.5をとり得るが、典型的には、(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17N3である。hは、1.8以上、2.0以上、又は2.5以上であってもよく、4.2以下、4.0以下、又は3.5以下であってもよい。(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nh全体に対する(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17N3の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%がより一層好ましい。一方、(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nhのすべてが(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17N3でなくてもよい。(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nh全体に対する(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17N3の含有量は、99質量%以下、98質量%以下、又は97質量%以下であってよい。
磁性粉末は、(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nhで表される磁性相の他に、本開示の製造方法の効果及び成果物の磁気特性を実質的に阻害しない範囲で、酸素及びM1並びに不可避的不純物元素を含有してもよい。成果物の磁気特性を確保する観点からは、磁性粉末全体に対する、(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nhで表される磁性相の含有量は、80質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上であってよい。一方、磁性粉末全体に対して、(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nhで表される磁性相の含有量を過度に高くしなくとも、実用上問題はない。したがって、その含有量は、99質量%以下、98質量%以下、又は97質量%以下であってよい。(Sm(1−i)Ri)2(Fe(1−j)Coj)17Nhで表される磁性相の残部が、酸素及びM1の含有量となる。また、M1の一部は、侵入型及び/又は置換型で、磁性相に存在していてもよい。
上述のM1としては、Ga、Ti、Cr、Zn、Mn、V、Mo、W、Si、Re、Cu、Al、Ca、B、Ni、及びCから選ばれる一種以上が挙げられる。不可避的不純物元素とは、原材料及び/又は磁性粉末を製造等するに際し、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物元素のことをいう。これらの元素は、置換型及び/又は侵入型で上述した磁性相に存在していてもよいし、上述した磁性相以外の相に存在していてもよい。あるいは、これらの相の粒界に存在していてもよい。なお、Gaはガリウム、Tiはチタン、Crはクロム、Znは亜鉛、Mnはマンガン、Vはバナジウム、Moはモリブデン、Wはタングステン、Siはシリコン、Reはレニウム、Cuは銅、Alはアルミニウム、Caはカルシウム、Bはホウ素、Niはニッケル、そして、Cは炭素である。
磁性粉末の粒径は、成果物が所望の磁気特性を有し、かつ、亜鉛蒸気の移動等、本開示希土類磁石の製造方法の効果に支障を及ぼさない限り、特に制限はない。磁性粉末の粒径としては、D50で、例えば、1μm超、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、又は9μm以上であってよく、20μm以下、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、又は10μm以下であってよい。なお、D50は、メジアン径を意味する。また、磁性粉末のD50は、例えば、乾式レーザ回折・散乱法等によって測定される。
本開示の希土類磁石の製造方法では、改質材粉末で磁性粉末を改質する。磁性粉末中の酸素は、改質材粉末中の金属亜鉛又は亜鉛合金粉末に吸収されることで、成果物の磁気特性、特に保磁力を向上させることができる。磁性粉末中の酸素の含有量は、製造工程中で、改質材粉末が、磁性粉末中の酸素を吸収する量を考慮して決定すればよい。磁性粉末の酸素含有量は、磁性粉末全体に対して、低い方が好ましい。磁性粉末の酸素含有量は、磁性粉末全体に対して、2.00質量%以下が好ましく、1.34質量%以下がより好ましく、1.05質量%以下がより一層好ましい。一方、磁性粉末中の酸素の含有量を極度に低減することは、製造コストの増大を招く。このことから、磁性粉末の酸素の含有量は、磁性粉末全体に対して、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよい。
磁性粉末は、これまで説明してきたことを満足すれば、その製造方法に特に制限はなく、市販品を用いてもよい。磁性粉末の製造方法として、例えば、サマリウム酸化物及び鉄粉から還元拡散法でSm−Fe合金粉末を製造し、窒素と水素の混合ガス、窒素ガス、及びアンモニアガス等の雰囲気中で600℃以下の加熱処理をして、Sm−Fe−N粉末を得る方法等が挙げられる。あるいは、例えば、溶解法でSm−Fe合金を製造し、その合金を粗粉砕して得た粗粉砕粒を窒化し、それを所望の粒径になるまで、さらに粉砕する方法等が挙げられる。粉砕には、例えば、乾式ジェットミル、乾式ボールミル、湿式ボールミル、又は湿式ビーズミル等を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
〈改質材粉末〉
本開示の希土類磁石の製造方法で用いる改質材粉末は、金属亜鉛及び亜鉛合金の少なくともいずれかを含有する。
金属亜鉛とは、合金化されていない亜鉛のことを意味する。金属亜鉛の純度は、95.0質量%以上、98.0質量%以上、99.0質量%以上、又は99.9質量%以上であってよい。金属面鉛粉末は、水素プラズマ反応法(HRMR法)で製造したものを用いてもよい。
亜鉛合金をZn−M2で表すと、M2は、Zn(亜鉛)と合金化して、亜鉛合金の溶融開始温度を、Znの融点よりも降下させる元素及び不可避的不純物元素であることが好ましい。亜鉛合金の溶融開始温度を、Znの融点よりも降下させるM2としては、ZnとM2とで共晶合金を形成する元素が挙げられる。このようなM2としては、典型的には、Sn、Mg、及びAl並びにこれらの組み合せ等が挙げられる。Snはスズ、Mgはマグネシウム、そして、Alはアルミニウムである。これらの元素による融点降下作用、及び、成果物の特性を阻害しない元素についても、M2として選択することができる。また、不可避的不純物元素とは、改質材粉末の原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物元素のことをいう。
Zn−M2で表される亜鉛合金において、Zn及びM2の割合(モル比)は、焼結温度及び焼結体の加熱温度が適正になるように適宜決定すればよい。亜鉛合金全体に対するM2の割合(モル比)は、例えば、0.02以上、0.05以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.90以下、0.80以下、0.70以下、0.60以下、0.50以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。
改質材粉末の粒径は、特に制限はないが、磁性粉末の粒径よりも細かい方が好ましい。改質材粉末の粒径は、D50(メジアン径)で、例えば、0.1μm超、0.5μm以上、1μm以上、又は2μm以上であってよく、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、又は4μm以下であってよい。また、改質材粉末の粒径は、例えば、乾式レーザ回折・散乱法等によって測定される。
改質材粉末の酸素含有量が少ないと、磁性粉末中の酸素を多く吸収できて好ましい。この観点からは、改質材粉末の酸素含有量は、改質材粉末全体に対し、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%がより好ましく、1.0質量%以下がより一層好ましい。一方、改質材粉末の酸素の含有量を極度に低減することは、製造コストの増大を招く。このことから、改質材粉末の酸素の含有量は、改質材粉末全体に対して、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよい。
上述したように、改質材粉末は、バインダと改質材の両方の機能を有する。しかし、改質材粉末は、成果物の磁化に寄与しないため、改質材粉末の混合量が過剰であると、成果物の磁化が低下する。バインダ及び改質材としての機能を確保する観点から、改質材粉末は、磁性粉末と改質材粉末の合計に対して、亜鉛成分が、1質量%以上、3質量%以上、6質量%以上、又は9質量%以上になるように、改質材粉末を混合してよい。成果物の磁化の低下を抑制する観点から、混合粉末全体に対して、亜鉛成分が、20質量%以下、18質量%以下、又は16質量%以下になるように、改質材粉末を混合してよい。なお、亜鉛成分とは、改質材粉末中の亜鉛の量を意味し、例えば、改質材粉末が金属亜鉛と亜鉛合金の両方を含有する場合には、金属亜鉛中の亜鉛の量と亜鉛合金中の亜鉛の量の合計である。
以下、本開示の希土類磁石の製造方法を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明する。なお、本開示の希土類磁石の製造方法は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
《試料の準備》
希土類磁石の試料を次の要領で準備した。
〈実施例1〜5〉
磁性粉末として、サマリウム−鉄−窒素系磁性粉末を準備した。磁性粉末は、93.0質量%のSm2Fe17N3を含有していた。磁性粉末の粒度はD50で3.16μmであった。
改質材粉末として、金属亜鉛粉末及びZn0.95Al0.05合金粉末を準備した。金属亜鉛粉末の粒度はD50で0.5μmであり、金属亜鉛粉末の純度は99.4質量%であった。Zn0.95Al0.05合金粉末の粒度はD50で0.4μmであり、Zn0.95Al0.05合金粉末の純度は98.5質量%であった。
V型混合器を用いて磁性粉末と改質材粉末を混合して、混合粉末を得た。磁性粉末と改質材粉末の合計に対する改質材粉末の配合量は5質量%であった。
図1Aに示したような、ダイス40及びパンチ50を準備し、キャビティ60に混合粉末を装入して磁場を印加した。図1Aに示したように、キャビティ60の上方からはパンチ50を挿入せず、無加圧で混合粉末30に磁場を印加した。印加した磁場の大きさは表1に示すとおりであった。また、磁場の印加方向は、キャビティ60の長手方向軸と垂直、すなわち、後続する圧縮成形の方向と垂直であった。
図1Cに示したように、キャビティ60の上方からパンチ50を挿入し、磁場を印加した後の混合粉末30を圧縮成形した。このとき、磁場は印加しなかった。圧縮成形時の圧力及び成形時間(加圧時間)は表1に示すとおりであった。圧縮成形は、アルゴン雰囲気下(97000Pa)、室温で行った。
図1Eに示したように、圧粉体32を加圧焼結して、焼結体34を得て、これを試料とした。焼結時の温度、圧力、及び加圧時間は表1のとおりであった。焼結はアルゴン雰囲気下で行った。
〈比較例1〉
図4A〜図4Dに示したように、混合粉末に磁場を印加した後、混合粉末を圧縮成形せずに加圧焼結したこと以外は、実施例1〜3と同様に試料を準備した。
〈比較例2〉
図2A〜図2Dに示したように、混合粉末を磁場中で圧縮成形(磁場の印加と圧縮成形を同時に実施)したこと以外、実施例1〜3と同様に試料を準備した。
〈比較例3〉
図3A〜図3Fに示したように、混合粉末を磁場中で圧縮成形(磁場の印加と圧縮成形を同時に実施)して圧粉体を得て、その圧粉体をさらに圧縮成形したこと以外、実施例1〜3と同様に試料を準備した。
《評価》
実施例1〜3及び比較例1〜3の試料について、密度と磁気特性を測定した。測定は室温で行った。密度はアルキメデス法で測定した。ヒステリシス特性は振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定し、残留磁化は直流事故磁束計で測定した。
また、振動試料型磁力計で測定したヒステリシス特性から、次の式を用いて配向度を算出した。
配向度=(1MA/m(1.25T)の磁場を印加時の磁化)/(6.5MA/m(8T)の磁場を印加時の磁化)
結果を表1に示す。
表1から、混合粉末の圧縮成形前に磁場を印加した実施例1〜3の試料については、残留磁化が向上していることを確認できた。
これらの結果から、本開示の希土類磁石の製造方法の効果を確認できた。