JP7183890B2 - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、希土類磁石の製造方法に関する。本開示は、特に、Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型及びThNi17型のいずれかの結晶構造を有する磁性相を備える希土類磁石及びその製造方法に関する。
高性能希土類磁石としては、Sm-Co系希土類磁石及びNd-Fe-B系希土類磁石が実用化されているが、近年、これら以外の希土類磁石が検討されている。
例えば、Sm、Fe、及びNを含有する希土類磁石(以下、「Sm-Fe-N系希土類磁石」ということがある。)が検討されている。Sm-Fe-N系希土類磁石は、例えば、Sm、Fe、及びNを含有する磁性粉末(以下、「SmFeN粉末」ということがある。)を用いて製造される。
SmFeN粉末は、ThZn17型及びThNi17型のいずれかの結晶構造を有する磁性相を含有する。この磁性相は、Sm-Fe結晶にNが侵入型で固溶していると考えられている。そのため、SmFeN粉末は、熱によってNが乖離して分解され易い。このことから、Sm-Fe-N系希土類磁石は、SmFeN粉末を樹脂及び/又はゴム等を用いて成形して製造されることが多い。
それ以外のSm-Fe-N系希土類磁石の製造方法としては、例えば、特許文献1に開示されている製造方法が挙げられる。この製造方法は、SmFeN粉末と金属亜鉛を含有する粉末(以下、「金属亜鉛粉末」ということがある。)を混合し、その混合粉末を磁場中で成形し、その磁場成形体を焼結(液相焼結を含む)する。
国際公開第2015/199096号公報
磁場成形体の焼結方法には、大別して、無加圧焼結法と加圧焼結法がある。いずれの焼結法においても、磁場成形体を焼結することによって、高密度の希土類磁石(焼結体)が得られる。無加圧焼結法においては、焼結中の磁場成形体に圧力を付与しないため、高密度の焼結体を得るには、900℃以上の高温で3時間以上の長時間にわたり磁場成形体を焼結することが一般的である。一方、加圧焼結法においては、焼結中の磁場成形体に圧力を付与するため、600~800℃の低温でも0.1~5時間の短時間で磁場成形体を焼結しても、高密度の焼結体を得られることが一般的である。
SmFeN粉末と金属亜鉛粉末の混合粉末の磁場成形体を焼結する場合、SmFeN粉末の熱による分解を避けるため、加圧焼結を採用するが、通常の加圧焼結の焼結温度よりもさらに低温で焼結する。このような低温でも焼結が可能であるのは、焼結時に金属亜鉛粉末中の亜鉛成分が磁性粉末の表面に固相又は液相拡散して、焼結(固化)するためである。このように、磁場成形体中の金属亜鉛粉末は、バインダとしての機能を有する。また、磁場成形体中の金属亜鉛粉末は、SmFeN粉末中のα-Fe相を改質し、SmFeN粉末中の酸素を吸収して保磁力を向上させる、改質材としての機能も有する。このように、バインダと改質材の両方の機能を有する粉末としては、金属亜鉛粉末のほかに、亜鉛合金粉末が挙げられる。
しかし、SmFeN粉末と改質材粉末の混合粉末の磁場成形体を焼結したとき、焼結体について、所望の密度が得られず、密度低下から予測されるよりも希土類磁石(焼結体)の残留磁化が低下することがある、という課題を、本発明者らは見出した。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本開示は、SmFeN粉末と改質材粉末の混合粉末の磁場成形体を焼結したとき、焼結体の残留磁化の低下を安定して抑制可能な希土類磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本開示の希土類磁石の製造方法を完成させた。本開示の希土類磁石の製造方法は、次の態様を含む。
〈1〉Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型及びThNi17型のいずれかの結晶構造を有する磁性相を含有する磁性粉末を準備すること、
金属亜鉛及び亜鉛合金の少なくともいずれかを含有する改質材粉末を準備すること、
前記磁性粉末と前記改質材粉末を混合して、混合粉末を得ること、
前記混合粉末を磁場中で圧縮成形して、磁場成形体を得ること、及び
キャビティを有するダイスと、前記キャビティの内部を摺動可能なパンチとを準備し、前記キャビティの内部に前記磁場成形体を挿入し、前記パンチで前記磁場成形体に圧力を付加しつつ、前記磁場成形体中の磁性粉末粒子の表面に亜鉛成分を固相又は液相拡散させて、前記磁場成形体を焼結すること、
を含み、
前記キャビティの内形と前記パンチの外形との間のクリアランスLが、0.01~0.08mmであり、かつ、
前記キャビティの内形と前記磁場成形体の外形との間のクリアランスIと、前記磁性粉末の粒径d50(mm)とが、0≦I/d50≦4.3の関係を満足する、
希土類磁石の製造方法。
本開示によれば、クリアランスLの範囲を特定するだけでなく、クリアランスIと磁性粉末の粒径d50との間で所定の関係を満足させることにより、焼結体の残留磁化の低下を安定して抑制可能な希土類磁石の製造方法を提供することができる。
図1は、ダイスのキャビティに磁場成形体を挿入した状態の一例を模式的に示す縦断面図である。 図2Aは、本開示の希土類磁石の製造方法において、図1のA部の状態を拡大して示す模式図である。 図2Bは、図2Aに示す部分の磁場成形体に圧力を付与した状態を示す模式図である。 図3Aは、本開示の希土類磁石の製造方法において、図1のB部の状態を拡大して示す模式図である。 図3Bは、図3Aに示す部分の磁場成形体に圧力を付与した状態を示す模式図である。 図4Aは、従来の希土類磁石の製造方法において、図1のA部の状態を拡大して示す模式図である。 図4Bは、図4Aに示す部分の磁場成形体に圧力を付与した状態を示す模式図である。 図5Aは、従来の希土類磁石の製造方法において、図1のB部の状態を拡大して示す模式図である。 図5Bは、図5Aに示す部分の磁場成形体に圧力を付与した状態を示す模式図である。
以下、本開示の希土類磁石の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示の希土類磁石の製造方法を限定するものではない。
SmFeN粉末と改質材粉末の混合粉末の磁場成形体を焼結する場合の問題について、図面を用いて説明する。
図1は、ダイスのキャビティに磁場成形体を挿入した状態の一例を模式的に示す縦断面図である。図4Aは、従来の希土類磁石の製造方法において、図1のA部の状態を拡大して示す模式図である。図4Bは、図4Aに示す部分の磁場成形体に圧力を付与した状態を示す模式図である。図5Aは、従来の希土類磁石の製造方法において、図1のB部の状態を拡大して示す模式図である。図5Bは、図5Aに示す部分の磁場成形体に圧力を付与した状態を示す模式図である。
図1に示したように、焼結には、パンチ10とダイス20を用いる。ダイス20は、キャビティ25を有している。キャビティ25の内部では、パンチ10が摺動する。キャビティ25に磁場成形体30を挿入する。後述するクリアランスL及びクリアランスIは、パンチ10及びダイス20に比べて、非常に小さいため、図1においては、描画の都合上、これらの記載を省略している。
図4Aに示したように、キャビティ25の内形とパンチ10の外形との間には、クリアランスLが存在する。また、図4A及び図5Aに示したように、キャビティ25の内形と磁場成形体30の外形との間には、クリアランスIが存在する。なお、図4A及び図5Aにおいて、破線は磁場成形体30の外形を示す。磁場成形体30は、磁性粉末粒子32と改質材粉末粒子の圧粉体であるが、図面においては、改質材粉末粒子に関する記載を省略している。この理由については後述する。また、本明細書において、特に断りのない限り、磁性粉末粒子とは磁性粉末を構成している粒子を意味し、改質材粉末粒子とは改質材粉末を構成する粒子を意味する。
図4A及び図5Aに示したように、磁性粉末粒子32は概ね一方向(図4A及び図5Aの上下方向)に配向している。これは、磁性粉末と改質材粉末を磁場中で成形しているためである。図面において、磁性粉末粒子32中の矢印は、各粒子の配向方向を示す。
磁場成形体30に圧力を付与すると、パンチ10の近傍(図1のA部)では、図4Bに示したように、磁場成形体30が座屈して、磁場成形体30から磁性粉末粒子32の一部が離脱するため、磁場成形体30に付与した圧力の一部を逸失する。その結果、焼結体の密度が低下して、残留磁化が低下する。磁場成形体30の座屈は、磁性粉末粒子32が硬質であることに起因する。一方、磁場成形体30に圧力を付与したとき、軟質な改質材粉末粒子は充分に変形するため、磁場成形体30の座屈にほとんど寄与しない。このことから、磁場成形体30の挙動(座屈)は、磁場成形体30中の磁性粉末粒子32の挙動を考えればよいことに基づき、図面中で改質材粉末粒子の記載を省略した。
また、パンチ10から離れた部位(図1のB部)では、磁場成形体30に圧力を付与すると、図5Bの一点鎖線に示したように、個々の磁性粉末粒子32が鎖状に連結しようとするため、磁場成形体30の内部にブリッジ(隙間)が発生する。そして、理論に拘束されないが、このブリッジの発生により、焼結体の密度が低下するだけでなく、図5Bに示したように、磁性粉末粒子32の配向に乱れを生じる。この配向の乱れにより、焼結体の密度の低下から予測される以上に、残留磁化が低下すると考えられる。個々の磁性粉末粒子32の鎖状の連結は、個々の磁性粉末粒子32が磁性を有していることに起因し、それによってブリッジが発生する。このことから、磁場成形体30の挙動(ブリッジの発生)は、磁場成形体30の磁性粉末粒子32の挙動を考えればよいことに基づき、図面中で改質材粉末粒子中の記載を省略した。
圧力の一部の逸失並びにブリッジ発生及び磁性粉末粒子32の配向の乱れは、キャビティ25の内形とパンチ10の外形との間のクリアランスL、キャビティ25と磁場成形体30の外形との間のクリアランスIだけでは説明できないことを本発明者らは知見した。さらに、キャビティの内形と磁場成形体の外形との間のクリアランスIと、磁性粉末の粒径d50とを所定の関係にすることにより、圧力の一部の逸失並びにリッジ発生及び磁性粉末粒子32の配向の乱れを著しく低減できることを本発明者らは知見した。
理論に拘束されないが、キャビティの内形と磁場成形体の外形との間のクリアランスIと、前記磁性粉末の粒径d50とが所定の関係を満足して、磁場成形体30を加圧焼結したときの状況を、図面を用いて説明する。
図2Aは、本開示の希土類磁石の製造方法において、図1のA部の状態を拡大して示す模式図である。図2Bは、図2Aに示す部分の磁場成形体に圧力を付与した状態を示す模式図である。図3Aは、本開示の希土類磁石の製造方法において、図1のB部の状態を拡大して示す模式図である。図3Bは、図3Aに示す部分の磁場成形体に圧力を付与した状態を示す模式図である。
図2Aに示したように、キャビティ25の内形とパンチ10の外形との間には、クリアランスLが存在する。また、図2A及び図3Aに示したように、キャビティ25の内形と磁場成形体30の外形との間には、クリアランスIが存在する。なお、図2A及び図3Aにおいて、破線は磁場成形体30の外形を示す。
図2A及び図3Aに示したように、磁性粉末粒子32は概ね一方向(図2A及び図3Aの上下方向)に配向している。これは、磁性粉末と改質材粉末を磁場中で成形しているためである。図面において、磁性粉末粒子32中の矢印は、各粒子の配向方向を示す。
50とIを所定の関係にすると、磁場成形体30に圧力を付与しても、パンチ10の近傍(図1のA部)では、図2Bに示したように、磁場成形体30が座屈しすることはなく、磁場成形体30から磁性粉末粒子32の一部が離脱することはない。そのため、磁場成形体30に付与した圧力の一部が逸失することはなく、焼結体において所望の密度が得られ、残留磁化の低下を抑制できる。
パンチ10から離れた部位(図1のB部)においても、d50とIを所定の関係にすると、磁場成形体30に圧力を付与しても、図3Bに示したように、磁場成形体30の内部にブリッジ(隙間)が発生することはない。また、理論に拘束されないが、図3Bに示したように、圧力の付与によって、個々の磁性粉末粒子32が、相互に規則正しく離間距離を短縮する。これにより、焼結体において所望の密度が得られるだけでなく、焼結体中の磁性粉末粒子32の配向が乱れることもない。その結果、焼結体の密度から予測されるよりも高い残留磁化を得ることができる。
これまで述べてきた知見等によって完成された、本開示の希土類磁石の製造方法の構成要件を、次に説明する。
《希土類磁石の製造方法》
本開示の希土類磁石の製造方法は、磁性粉末準備工程、改質材粉末準備工程、混合工程、磁場成形工程、及び焼結工程を含む。以下、各工程について説明する。
〈磁性粉末準備工程〉
磁性粉末を準備する。本開示の希土類磁石の製造方法に用いる磁性粉末は、Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型及びThNi17型のいずれかの結晶構造を有する磁性相を含有すれば、特に制限はない。磁性相の結晶構造としては、前述の構造のほかに、TbCu型の結晶構造を有する相等が挙げられる。なお、Smはサマリウム、Feは鉄、そして、Nは窒素である。また、Thはトリウム、Znは亜鉛、Niはニッケル、Tbはテルビウム、そして、Cuは銅である。
磁性粉末中には、例えば、組成式(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17で表される磁性相を含有してもよい。本開示の製造方法で得られる希土類磁石(以下、「成果物」ということがある。)は、磁性粉末中の磁性相に由来して、磁気特性を発現する。なお、i、j、及びhは、モル比である。
磁性粉末中の磁性相には、本開示の製造方法の効果及びその成果物の磁気特性を阻害しない範囲で、Rを含有していてもよい。このような範囲は、上記組成式のiで表される。iは、例えば、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.50以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。Rは、Sm以外の希土類元素並びにY及びZrから選ばれる1種以上である。本明細書で、希土類元素とは、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuである。なお、Yはイットリウム、Zrはジルコニウム、Scはスカンジウム、Laはランタン、Ceはセリウム、Prはプラセオジム、Ndはネオジム、Pmはプロメチウム、Smはサマリウム、Euはユウロビウム、Gdはガドリニウム、Tbはテルビウム、Dyはジスプロシウム、Hoはホルミウム、Erはエルビウム、Tmはツリウム、Ybはイッテルビウム、そして、Luはルテニウムである。
(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17については、典型的には、Sm(Fe(1-j)Co17のSmの位置にRが置換しているが、これに限られない。例えば、Sm(Fe(1-j)Co17に、侵入型でRの一部が配置されていてもよい。
磁性粉末中の磁性相には、本開示の製造方法の効果及びその成果物の磁気特性を阻害しない範囲で、Coを含有してもよい。このような範囲は、上記組成式で、jで表される。jは、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.52以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。
(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17については、典型的には、(Sm(1-i)Fe17のFeの位置にCoが置換しているが、これに限られない。例えば、(Sm(1-i)Fe17に、侵入型でCoの一部が配置されていてもよい。
磁性粉末中の磁性相は、(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17で表される結晶粒に、Nが侵入型で存在することによって、磁気特性の発現及び向上に寄与する。
(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17については、hは1.5~4.5をとり得るが、典型的には、(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17である。hは、1.8以上、2.0以上、又は2.5以上であってもよく、4.2以下、4.0以下、又は3.5以下であってもよい。(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17全体に対する(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%がより一層好ましい。一方、(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17のすべてが(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17でなくてもよい。(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17全体に対する(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17の含有量は、98質量%以下、95質量%以下、又は92質量%以下であってよい。
磁性粉末は、(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17で表される磁性相の他に、本開示の製造方法の効果及び成果物の磁気特性を実質的に阻害しない範囲で、酸素及びM並びに不可避的不純物元素を含有してもよい。成果物の磁気特性を確保する観点からは、磁性粉末全体に対する、(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17で表される磁性相の含有量は、80質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上であってよい。一方、磁性粉末全体に対して、(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17で表される磁性相の含有量を過度に高くしなくとも、実用上問題はない。したがって、その含有量は、99質量%以下、98質量%以下、又は97質量%以下であってよい。(Sm(1-i)(Fe(1-j)Co17で表される磁性相の残部が、酸素及びMの含有量となる。また、Mの一部は、侵入型及び/又は置換型で、磁性相に存在していてもよい。
上述のMとしては、Ga、Ti、Cr、Zn、Mn、V、Mo、W、Si、Re、Cu、Al、Ca、B、Ni、及びCから選ばれる1種以上が挙げられる。不可避的不純物元素とは、原材料及び/又は磁性粉末を製造等するに際し、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物元素のことをいう。これらの元素は、置換型及び/又は侵入型で上述した磁性相に存在していてもよいし、上述した磁性相以外の相に存在していてもよい。あるいは、これらの相の粒界に存在していてもよい。なお、Gaはガリウム、Tiはチタン、Crはクロム、Znは亜鉛、Mnはマンガン、Vはバナジウム、Moはモリブデン、Wはタングステン、Siはシリコン、Reはレニウム、Cuは銅、Alはアルミニウム、Caはカルシウム、Bはホウ素、Niはニッケル、そして、Cは炭素である。
磁性粉末の粒径d50は、d50とIとの関係が所定の範囲になる限りにおいて、特に制限はない。d50は、例えば、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、又は9μm以上であってよく、20μm以下、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、又は10μm以下であってよい。なお、d50は、メジアン径を意味する。また、磁性粉末のd50は、例えば、乾式レーザ回折・散乱法によって測定される。
本開示の製造方法では、磁性粉末に、後述する改質材粉末を混合する。磁性粉末中の酸素は、改質材粉末中の金属亜鉛又は亜鉛合金粉末に吸収されることで、成果物の磁気特性、特に保磁力を向上させることができる。磁性粉末中の酸素の含有量は、製造工程中で、改質材粉末が、磁性粉末中の酸素を吸収する量を考慮して決定すればよい。磁性粉末の酸素含有量は、磁性粉末全体に対して、低い方が好ましい。磁性粉末の酸素含有量は、磁性粉末全体に対して、2.00質量%以下が好ましく、1.34質量%以下がより好ましく、1.05質量%以下がより一層好ましい。一方、磁性粉末中の酸素の含有量を極度に低減することは、製造コストの増大を招く。このことから、磁性粉末の酸素の含有量は、磁性粉末全体に対して、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよい。
磁性粉末は、これまで説明してきたことを満足すれば、その製造方法に特に制限はなく、市販品を用いてもよい。磁性粉末の製造方法としては、例えば、サマリウム酸化物及び鉄粉から還元拡散法でSm-Fe-N粉末を製造し、窒素と水素の混合ガス、窒素ガス、及びアンモニアガス等の雰囲気中で600℃以下の加熱処理をして、Sm-Fe-N粉末を得る方法等が挙げられる。あるいは、例えば、溶解法でSm-Fe合金を得て、その合金を粗粉砕して得た粗粉砕粒を窒化し、それを所望の粒径になるまで、さらに粉砕する方法が挙げられる。粉砕には、例えば、乾式ジェットミル、乾式ボールミル、湿式ボールミル、又は湿式ビーズミル等を用いることができる。これらを組み合わせて用いてもよい。
〈改質材粉末準備工程〉
改質材粉末を準備する、本開示の製造方法で用いる改質材粉末は、金属亜鉛及び亜鉛合金の少なくともいずれかを含有する。
金属亜鉛とは、合金化されていない亜鉛のことを意味する。金属亜鉛の純度は、95.0質量%以上、98.0質量%以上、99.0質量%以上、又は99.9質量%以上であってよい。
亜鉛合金をZn-Mで表すと、Mは、Zn(亜鉛)と合金化して、亜鉛合金の溶融開始温度を、Znの融点よりも降下させる元素及び不可避的不純物元素であることが好ましい。亜鉛合金の溶融開始温度を、Znの融点よりも降下させるMとしては、ZnとMとで共晶合金を形成する元素が挙げられる。このようなMとしては、典型的には、Sn、Mg、及びAl並びにこれらの組み合せ等が挙げられる。Snはスズ、Mgはマグネシウム、そして、Alはアルミニウムである。これらの元素による融点降下作用、及び、成果物の特性を阻害しない元素についても、Mとして選択することができる。また、不可避的不純物元素とは、改質材粉末の原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物元素のことをいう。
Zn-Mで表される亜鉛合金において、Zn及びMの割合(モル比)は、焼結温度が適正になるように適宜決定すればよい。亜鉛合金全体に対するMの割合(モル比)は、例えば、0.05以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.90以下、0.80以下、0.70以下、0.60以下、0.50以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。
改質材粉末の粒径は、特に制限はないが、磁性粉末の粒径よりも細かい方が好ましい。改質材粉末の粒径は、d´50(メジアン径)で、例えば、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、又は2μm以上であってよく、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、又は4μm以下であってよい。また、改質材粉末の粒径d´50(メジアン径)は、例えば、乾式レーザ回折・散乱法によって測定される。
改質材粉末の酸素含有量が少ないと、磁性粉末中の酸素を多く吸収できて好ましい。この観点からは、改質材粉の酸素含有量は、改質材粉末全体に対し、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%がより好ましく、1.0質量%以下がより一層好ましい。一方、改質材粉末の酸素の含有量を極度に低減することは、製造コストの増大を招く。このことから、改質材粉末の酸素の含有量は、改質材粉末全体に対して、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよい。
〈混合工程〉
磁性粉末と改良材粉末を混合して、混合粉末を得る。混合方法に、特に制限はない。混合方法としては、乳鉢、マラーホイール式ミキサー、アジテータ式ミキサー、メカノフュージョン、V型混合器、及びボールミル等を用いて混合する方法が挙げられる。これらの方法を組み合わせてもよい。なお、V型混合器は、2つの筒型容器をV型に連結した容器を備え、その容器を回転することにより、容器中の粉末が、重力と遠心力で集合と分離が繰り返され、混合される装置である。
上述したように、改質材粉末は、バインダと改質材の両方の機能を有する。しかし、改質材粉末は、成果物の磁化に寄与しないため、改質材粉末の混合量が過剰であると、成果物の磁化が低下する。バインダ及び改質材としての機能を確保する観点から、混合粉末全体に対して、亜鉛成分が、1質量%以上、3質量%以上、6質量%以上、又は9質量%以上になるように、改質材粉末を混合してよい。成果物の磁化の低下を抑制する観点から、混合粉末全体に対して、亜鉛成分が、20質量%以下、18質量%以下、又は16質量%以下になるように、改質材粉末を混合してよい。なお、亜鉛成分とは、改質材粉末中の亜鉛の量を意味し、例えば、改質材粉末中が金属亜鉛と亜鉛合金の両方を含有する場合には、金属亜鉛中の亜鉛の量と亜鉛合金中の亜鉛の量の合計である。
〈磁場成形工程〉
混合粉末を磁場中で圧縮成形して、磁場成形体を得る。これにより、磁場成形体に配向性を付与することができ、成果物(希土類磁石)に異方性を付与して残留磁化を向上させることができる。
磁場成形方法は、周囲に磁場発生装置を設置した成形型を用いて、混合粉末を圧縮成形する方法等、常法でよい。成形圧力は、50MPa以上、100MPa以上、又は150MPa以上であってよく、1500MPa以下、1000MPa以下、又は500MPa以下であってよい。印加する磁場の大きさは、0.3T以上、0.5T以上、又は1.0T以上であってよく、5.0T以下、4.0T以下、又は3.0T以下であってよい。磁場の印加方法としては、電磁石を用いた静磁場を印加する方法、及び交流を用いたパルス磁場を印加する方法等が挙げられる。
〈焼結工程〉
パンチ10で磁場成形体30に圧力を付加しつつ、磁場成形体30中の磁性粉末粒子の表面に亜鉛成分を固相又は液相拡散させて、磁場成形体30を焼結する。
磁場成形体に圧力を付与する方法について、図1を用いて説明する。キャビティ25を有するダイス20と、キャビティ25の内部を摺動可能なパンチ10を準備する。そして、キャビティ25の内部に磁場成形体30を挿入し、パンチ10で磁場成形体30に圧力を付加しつつ、磁場成形体30を焼結する。上述したように、クリアランスL及びクリアランスIは、パンチ10及びダイス20に比べて、非常に小さいため、図1においては、描画の都合上、これらの記載を省略している。また、図1に示したパンチ10は円柱型であり、ダイス20のキャビティ25は円筒型であるが、これに限られず、成果物の形状によって、パンチ10及びキャビティ25の形状を種々変更できる。また、ダイス20の外形については、操業上の都合等、種々の事情に応じて適宜選択できる。
パンチ10には加圧装置(図示しない)が連結され、パンチ10をキャビティ25の内部で軸方向(図1の上下方向)に摺動させることにより、磁場成形体30に圧力を付与する。図1に示した態様においては、二つのパンチ10を備えているが、両方を摺動させてもよいし、いずれか一方を摺動させてもよい。加圧装置としては、例えば、油圧シリンダ、空圧シリンダ、又は電動サーボシリンダ並びにこれらの組合せ等が挙げられる。また、パンチ10及びダイス20の少なくともいずれかに、その内部又は外周にヒータ(図示しない)が設置されるか、あるいは、パンチ10及びダイス20の少なくともいずれかを、加熱炉に挿入できるようにする。典型的には、例えば、ダイス20の外周にヒータ又は加熱炉を設置することが挙げられる。
磁場成形体に圧力を付与しつつ、磁場成形体を焼結する(以下、「加圧焼結する」ということがある。)ことができれば、パンチ10及びダイス20の態様は、図1に示した態様に限られない。図1に示した態様では、ダイス20に貫通孔を設け、貫通孔をキャビティ25としているが、これに限られない。例えば、ダイス20に、底部が閉塞されたキャビティ25を設け、底部と反対側にパンチ10を設けてもよい。
磁場成形時の成形型を、加圧焼結時に用いるパンチ10及びダイス20と共用してもよい。その際、キャビティ内の混合粉末に磁場を適用し易く、かつ加圧焼結時の高温及び高圧に耐えられる観点から、パンチ10及びダイス20材質は、例えば、WC超硬合金及び/又はインコネル等が好ましい。
図2Aに示したように、キャビティ25の内形とパンチ10の外形との間には、クリアランスLが存在する。また、図2A及び図3Aに示したように、キャビティ25の内形と磁場成形体30の外形との間には、クリアランスIが存在する。クリアランスLは、摺動部での、キャビティ25の内形とパンチ10の外形との間の距離であり、パンチ10の摺動方向に垂直な面での、キャビティ25の内形とパンチ10の外形との間の距離である。クリアランスIは、パンチ10の摺動方向に垂直な面での、キャビティ25の内形と磁場成形体30の外形との間の距離である。パンチ10の摺動方向に垂直な面とは、図2B及び図3Bに示した白抜きの矢印に垂直な面のことを意味する。
キャビティ25の内形とパンチ10の外形との間のクリアランスLが0.01mm以上であれば、キャビティ25の内部をパンチ10が支障なく摺動する。この観点からは、クリアランスLは、0.02mm以上、0.03mm以上、又は0.04mm以上であってもよい。一方、クリアランスLが0.08mm以下であれば、キャビティ25の内部をパンチ10が摺動するときの芯振れを小さくすることができ、図4Bで示したような、磁場成形体30の座屈が発生することはない。この観点からは、クリアランスLは、0.07mm以下、0.06mm以下、又は0.05mm以下であってもよい。
また、前記キャビティの内形と前記磁場成形体の外形との間のクリアランスIと、磁性粉末の粒径d50(mm)とが、0≦I/d50≦4.3の関係を満足すれば、図5Bに示したようなブリッジが発生し難い。ブリッジの発生のし難さの観点からは、I/d50は4.0以下、3.6以下、3.2以下、2.8以下、2.4以下、2.0以下、1.6以下、1.2以下、0.8以下、又は0.4以下であってもよく、0(Iが0mm)であってもよい。これらのことから、ブリッジ発生の抑制は、クリアランスIだけに依らず、クリアランスIと磁性粉末の粒径d50との関係に依ることを意味する。すなわち、粒径に対してクリアランスIが十分小さい場合(粒径に対して、クリアランスIが4.3倍以下である場合)はブリッジ形成に必要な空隙が存在しないため、ブリッジが発生しない。
磁場成形体30が含有する金属亜鉛又は亜鉛合金の融点のうち、最も低い融点をT℃とする。このとき、焼結温度が(T-30)℃以上であれば、磁場成形体30中の金属亜鉛又は亜鉛合金が軟化又は液化し、磁場成形体30中の磁性相に亜鉛成分を固相又は液相拡散させることができる。これにより、金属亜鉛又は亜鉛合金がバインダとして機能し、磁場成形体30中の個々の磁性粉末粒子32を互いに連結する。また、亜鉛成分が磁性粉末中のα-Feを改質して保磁力向上に寄与する。そして、亜鉛成分が磁性粉末中の酸素を吸収して保磁力向上に寄与する。これらの観点からは、焼結温度は、(T-20)℃以上、(T-10)℃以上、又はT℃以上であってもよい。なお、金属亜鉛の融点は、溶融開始温度とする。また、亜鉛合金が共晶合金である場合には、溶融開始温度は、共晶温度とする。
「磁場成形体30が含有する金属亜鉛又は亜鉛合金の融点のうち、最も低い融点をT℃としたとき、磁場成形体30を、(T-30)℃以上で焼結する」とは、例えば、次のことを意味する。
磁場成形体30が、金属亜鉛を含有し、かつ、亜鉛合金を含有しない場合には、Tは金属亜鉛の融点である。金属亜鉛の融点は419.5℃であるため、磁場成形体30を、389.5(419.5-30)℃以上で焼結する。
磁場成形体30が、金属亜鉛を含有せず、かつ、亜鉛合金を含有する場合には、Tは亜鉛合金の融点である。亜鉛合金が複数種類の亜鉛合金である場合には、それらの亜鉛合金の融点のうち、最も低い融点をTとする。例えば、亜鉛合金として、Zn-Sn合金(共晶温度:200℃)とZn-Mg合金(共晶温度:341℃)を含有する場合には、熱処理温度は、170(200-30)℃以上で磁場成形体30を焼結する。
磁場成形体30が、金属亜鉛と亜鉛合金の両方を含有する場合には、Tは、亜鉛合金の融点である。例えば、改良材粉末が、金属亜鉛とZn-Mg合金(共晶温度:341℃)とを含有する場合、焼結温度は、311(341-30)℃以上、500℃以下である。
これまでの説明から、焼結温度は、典型的には、150℃以上、170℃以上、200℃以上、240℃以上、280℃以上、300℃以上、390℃以上、400℃以上、410℃以上、420℃以上、又は430℃以上であってよい。
一方、焼結温度が、磁場成形体30が含有する磁性相の分解温度以下であれば、磁性相のNが乖離して分解することはなく、上述した亜鉛成分の磁性粉末への固相又は液相拡散が成立し、磁場成形体30の焼結体が得られる。
焼結圧力については、磁場成形体30の密度を高めることができる焼結圧力を、適宜選択できる。焼結圧力は、典型的には、50MPa以上、100MPa以上、200MPa以上、又は400MPa以上であってよく、2GPa以下、1.5GPa以下、1.0GPa以下、又は700MPa以下であってよい。
焼結時間は、磁場成形体30の質量等によって、適宜決定すればよい。焼結時間には、熱処理温度に達するまでの昇温時間は含まない。焼結時間は、例えば、5分以上、10分以上、30分以上、又は50分以上であってよく、600分以下、240分以下、又は120分以下であってよい。
焼結時間が経過したら、焼結体を冷却して、焼結を終了する。冷却速度は、速い方が、焼結体(成果物)の酸化等を抑制することができる。冷却速度は、例えば、0.5~200℃/秒であってよい。
焼結雰囲気については、磁場成形体30及び焼結体(成果物)の酸化を抑制するため、不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気を含む。
以下、本開示の希土類磁石の製造方法を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明する。なお、本開示の希土類磁石の製造方法は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
《試料の準備》
希土類磁石の試料を次の要領で準備した。
磁性粉末として、SmFeN粉末を準備した。SmFeN粉末は、99質量%のSmFe17を含有していた。SmFeN粉末の粒度は表1に示すとおりであった。また、改質材粉末として、金属亜鉛粉末を準備した。金属亜鉛粉末の粒度(d´50)は0.5μmであった。また、金属亜鉛粉末の純度は99.9999質量%であった。そして、V型混合器を用いて、SmFeN粉末と金属亜鉛粉末を混合して、混合粉末を得た。混合粉末全体に対する金属亜鉛の混合量は、表1に示すとおりであった。
混合粉末を磁場中で圧縮成形し磁場成形体30を得た。圧縮成形の圧力は200MPaであった。印加した磁場は1Tであった。
図1に示したパンチ10及びダイス20を用いて磁場成形体30を焼結した。具体的には、磁場成形体30をダイス20のキャビティ25に挿入し、パンチ10で磁場成形体30を加圧しつつ、5分にわたり焼結した。磁場成形体30の外形(外径)、キャビティ25の内形(内径)、パンチ10の外形(外径)、クリアランスI、I/d50、クリアランスL、焼結温度、及び焼結圧力は表1のとおりであった。なお、表1の「キャビティと磁場成形体のクリアランスI」は、キャビティ25の内形と磁場成形体30の外形との間のクリアランスIを意味する。また、「キャビティとパンチのクリアランスL」は、「キャビティ25の内形とパンチ10の外形との間のクリアランスL」を意味する。
《評価》
各試料(焼結体)について、密度と磁気特性を測定した。測定は室温で行った。密度はアルキメデス法で測定し、磁気特性は振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。
評価結果を表1に示す。
Figure 0007183890000001
クリアランスLが所定の範囲であり、かつ、クリアランスIとd50とが所定の関係を満足する全ての実施例について、所望の密度及び残留磁化を得られていることが確認できた。このことから、本開示の製造方法の効果を確認できた。
10 パンチ
20 ダイス
25 キャビティ
30 磁場成形体
32 磁性粉末粒子

Claims (1)

  1. Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型及びThNi17型のいずれかの結晶構造を有する磁性相を含有する磁性粉末を準備すること、
    金属亜鉛及び亜鉛合金の少なくともいずれかを含有する改質材粉末を準備すること、
    前記磁性粉末と前記改質材粉末を混合して、混合粉末を得ること、
    周囲に磁場発生装置を設置した成形型を用いて、前記混合粉末を磁場中で圧縮成形して、磁場成形体を得ること、及び
    キャビティを有する、前記成形型とは異なるダイスと、前記キャビティの内部を摺動可能なパンチとを準備し、前記キャビティの内部に前記磁場成形体を挿入し、前記パンチで前記磁場成形体に圧力を付加しつつ、前記磁場成形体中の磁性粉末粒子の表面に亜鉛成分を固相又は液相拡散させて、前記磁場成形体を焼結すること、
    を含み、
    前記キャビティの内形と前記パンチの外形との間のクリアランスLが、0.01~0.08mmであり、かつ、
    前記キャビティの内形と前記磁場成形体の外形との間のクリアランスIと、前記磁性粉末の粒径d50(mm)とが、3.2≦I/d50≦4.3の関係を満足する、
    希土類磁石の製造方法。
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