JP2021075931A - 地下躯体の補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】地下躯体に構造上不安定な部分が生じた場合にも、この地下躯体の内部空間を、既設トンネルの一部に大断面トンネルを構築する際の作業領域として、安全に利用するための、地下躯体の補強構造を提供する。【解決手段】既設トンネルの一部に大断面トンネルを構築するに際し、作業領域となる空間を確保するために設けた地下躯体を補強する、地下躯体の補強構造であって、地下躯体が、大断面トンネルの構築予定領域の外側であって周方向に構築されるリング状躯体と、リング状躯体よりなる筒体の両端部各々に構築され、既設トンネルが貫通される前方側褄壁及び後方側褄壁と、により構成され、既設トンネルの既設覆工体における、前方側褄壁に接合された範囲の所定位置、及び地山に面する範囲の所定位置に、既設トンネルの軸線方向に延在する緊張材の一端及び他端が設置されている。【選択図】図3

Description

本発明は、既設トンネルの一部に大断面トンネルを構築するべく、作業領域となる空間を確保するために設けた地下躯体の補強構造に関する。
従来より、大深度地下において本線トンネルの一部分に大断面トンネルを構築するための、様々な方法が検討されている。その方法の多くは、大断面トンネルの構築予定領域を小断面シールド掘削機で構築した複数の外殻シールドトンネルで囲繞した後、これら外殻シールドトンネルの内側を掘削して大断面トンネルを構築している。
そして、大断面トンネルの構築予定領域を小断面の外殻シールドトンネルで囲繞する方法として、例えば、特許文献1では、本線シールドトンネルの一部を全周にわたって切広げ、リング状の外殻シールド発進部を施工する。次に、外殻シールド発進部の中空部に資材供給装置を設置し、資材供給装置にシールド機を供給し、これを発進させて外殻シールドトンネルを構築している。
特許第6256914号公報
特許文献1では、リング状躯体の中空部に設置した資材供給装置を、シールド機の発進基地として利用するだけなく、資材を供給するための通路としても利用している。すると、資材供給装置で発進準備中のシールド機が待機している場合に、資材搬送を行うことができず、作業の効率性に課題が生じる。
このような中、リング状躯体よりなる筒体における軸線方向の両端部各々に、褄壁を対をなして設けることにより地下躯体を構築する。そして、このリング状躯体と対をなす褄壁とで囲まれた地下躯体の内部空間を、シールド機の発進基地と、外殻シールドトンネルへの資材供給通路とを兼ね備えた作業領域として使用する方法が検討されている。
こうして確保した作業領域は、地下躯体が大断面トンネル構築予定領域を取り囲む大きさに構築されていることから、リング状躯体の中空部を利用する場合と比較して、十分な広さを確保することができる。
しかし、施工条件等により、褄壁に作用する過大な側方土圧に十分耐えることができる程度の壁厚を確保できない場合には、両褄壁を支持するための支保工を作業領域に配置する必要が生じる。このような支保工は、発進準備段階のシールド機を配置する際の障害になるなど、大断面トンネルの構築作業が煩雑となりやすい。
また、外殻シールドトンネルを構築するべく、この作業領域からシールド機を発進させると、少なくともいずれか一方の褄壁にはシールド開口が形成されるが、その数量は、構築しようとする外殻シールドトンネルの本数と同数となる。したがって、外殻シールドトンネルの構築作業が進むにつれて、褄壁は構造上不安定となり、作業領域を安全な状態で確保することが困難となる。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、地下躯体に構造上不安定な部分が生じた場合にも、この地下躯体の内部空間を、既設トンネルの一部に大断面トンネルを構築する際の作業領域として安全に利用するための、地下躯体の補強構造を提供することである。
かかる目的を達成するため本発明の地下躯体の補強構造は、既設トンネルの一部に大断面トンネルを構築するに際し、作業領域となる空間を確保するために設けた地下躯体を補強する、地下躯体の補強構造であって、前記地下躯体が、前記大断面トンネルの構築予定領域の外側であって周方向に構築されるリング状躯体と、該リング状躯体よりなる筒体の両端部各々に構築され、前記既設トンネルが貫通される前方側褄壁及び後方側褄壁と、により構成され、前記既設トンネルの既設覆工体における、前記前方側褄壁に接合された範囲の所定位置、及び地山に面する範囲の所定位置に、前記既設トンネルの軸線方向に延在する緊張材の一端及び他端が設置されていることを特徴とする。
上述する本発明の地下躯体の補強構造によれば、緊張材を用いて前方側褄壁に作用する側方土圧の一部を負担することから、前方側褄壁にシールド開口が形成されるなど剛性が低下する事態が生じた場合にも、前方側褄壁の構造安全性を確保できる。したがって、地下躯体の内方空間を、大断面トンネルを構築する際に必要な小断面シールド掘削機の発進基地と、小断面シールド掘削機で構築した外殻シールドトンネルへの資材搬入通路を兼ね備えた作業領域として安全に利用することができ、作業効率を大幅に向上することが可能となる。
また、地下躯体の広大な内部空間を作業領域として利用できることから、外殻シールドトンネルへ資材搬入通路を複数パターン確保できる。したがって、発進準備中の小断面シールド掘削機により1つの通路が塞がれるたり、不慮の事態により1つの通路が使用不能となった場合にも、作業を中断することなく他の通路を利用して効率よく作業を進捗させることが可能となる。
本発明の地下躯体の補強構造は、前記前方側褄壁に、前記大断面トンネル構築予定領域の外周に沿って軸線方向に構築される複数の外殻シールドトンネルが接続されており、前記外殻シールドトンネルの外殻覆工体における、前記前方側褄壁に接合された範囲の所定位置、及び地山に面する範囲の所定位置に、前記外殻シールドトンネルの軸線方向に延在する緊張材の一端及び他端が設置されていることを特徴とする。
上述する本発明の地下躯体の補強構造によれば、既設トンネルだけでなく外殻シールドトンネルにも緊張材を設置することから、複数の緊張材は、前方側褄壁の広い範囲に分散して配置され、前方側褄壁に作用する側方土圧を効率よく分担することができる。したがって、シールド開口が多数形成されることによって前方側褄壁自身の剛性が大幅に低下しても、前方側褄壁の構造安定性を確保することが可能となる。
本発明の地下躯体の補強構造は、前記前方側妻壁に、前記既設トンネルと分合流する支線トンネルが交差して接続されており、前記支線トンネルの支線覆工体における、前記前方側褄壁に接合された範囲の所定位置、及び地山に面する範囲の所定位置に、前記支線トンネルの軸線方向に延在する緊張材の一端及び他端が設置されていることを特徴とする。
上述する本発明の地下躯体の補強構造によれば、前方側褄壁に支線トンネルが交差している場合にも、この支線トンネルを利用して緊張材を設置できるため、前方側褄壁の構造安定性を確保しつつ、地下躯体の内部空間作業領域として安全に利用しながら、既設トンネルに支線トンネルとの分合流部となる大断面トンネルを構築することが可能となる。
本発明の地下躯体の補強構造は、前記前方側褄壁の内側面と前記リング状構造物の内周面とで形成される入隅部に入隅部ピースが固定されていることを特徴とする。
上述する本発明の地下躯体の補強構造によれば、入隅部ピースにより、地下躯体内方への前方側褄壁の倒れ込みを確実に抑止することができ、地下躯体の内方空間を作業領域として使用する際の安全性をより高めることが可能なる。
本発明によれば、入隅部ピースと緊張材を用いて前方側褄壁に作用する側方土圧の一部を負担することから、前方側褄壁にシールド開口が形成されるなど剛性が低下する事態が生じた場合にも、前方側褄壁の構造安全性を確保でき、地下躯体の内方空間を、作業領域として安全に利用することができ、作業効率を大幅に向上することが可能となる。
本発明の実施の形態における本線トンネルの一部に設ける大断面トンネルの構築予定領域を示す図である。 本発明の実施の形態における本線トンネルの一部に設ける大断面トンネルの構築手順を示す図である。 本発明の実施の形態における大断面トンネルを構築する際の作業領域を形成する地下躯体の補強構造を示す図である。 本発明の実施の形態における地下躯体の補強構造の詳細を示す図である。 本発明の実施の形態における地下躯体の断面を示す図である 本発明の実施の形態における地下躯体の補強方法を示す図である(その1)。 本発明の実施の形態における地下躯体の補強方法を示す図である(その2)。
本発明の地下躯体の補強構造は、大断面トンネルが本線トンネルの一部分に構築されるものであれば、いずれの用途に用いられるものであっても採用可能である。本実施の形態では、既設の本線トンネルと支線トンネルとの分岐合流部をなす大断面トンネルを構築する場合を事例に挙げ、図1〜図7を参照しつつ、大断面トンネルを構築する際の作業領域として内部空間が使用される地下空間の補強構造について、その詳細を説明する。
図1で示すように、既設の本線トンネル1には、支線トンネル2との分岐合流部となる範囲に、大断面トンネル構築予定領域3が設定されており、この大断面トンネル構築予定領域3に沿って、複数の外殻シールドトンネル4が構築されている。
これら複数の外殻シールドトンネル4には、図2(a)で示すように、その内部を利用して大断面トンネル構築予定領域3を囲繞する外殻部躯体5が構築され、図2(b)で示すように、外殻部躯体5の内方を掘削することにより、本線トンネル1と支線トンネル2との分岐合流部をなす大断面トンネル100が構築される。
このような手順により大断面トンネル100を構築するに際し、複数の外殻シールドトンネル4は、一般に、小断面シールド掘削機(図示せず)を用いたシールド工法により構築される。このため、図1で示すように、本線トンネル1を囲繞するようにして地下躯体6を構築し、その内部空間を、小断面シールド掘削機の発進基地と、外殻シールドトンネル4の内部を利用して外殻部躯体5を構築する際の資材搬入通路を兼ね備えた、作業領域7として利用する。
地下躯体6は、図3で示すように、リング状躯体61よりなる筒体と、小断面シールド掘削機が発進した際にシールド開口622が形成される前方側褄壁62と、前方側褄壁62に対向する後方側褄壁63と、により構成され、これらに囲まれた内部空間全体が作業領域7となっている。
リング状躯体61は、図1で示すように、本線トンネル1を囲繞するようにして、大断面トンネル構築予定領域3の外周より外側に構築され、本実施の形態では、リング状躯体61を2体並列して構築しこれらを連結して1つの筒体としている。その構築方法は、例えば、支線トンネル2のセグメントの一部を撤去して矩形シールド掘削機を発進させ、大断面トンネル構築予定領域3の一部を取り囲むように周回させた後に、支線トンネル2に到達させる。
なお、本実施の形態では、地下躯体6に2体のリング状躯体61を設けているが、必ずしもこれに限定されるものでなく、その数量は1体でも3体以上でもよい。また、リング状躯体61は、矩形シールド掘削機にて構築したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、円周推進工法により構築してもよい。
前方側褄壁62及び後方側褄壁63は、図3で示すように、2体のリング状躯体61よりなる筒体の両端部各々に設けられたコンクリート壁であり、その外周縁は、リング状躯体61の内周面と一体となるように接合されている。
また、前方側褄壁62及び後方側褄壁63はともに、先行構築された本線トンネル1と貫通する部位が、本線トンネル1の本線覆工体11と一体となるように接合されている。また、支線トンネル2と交差する部位も、支線トンネル2の支線覆工体21と一体となるように接合されている。
そして、前方側褄壁62はさらに、地下躯体6を構築したのちに、作業領域7を発進基地として小断面シールド掘削機が順次発進されることにより、シールド開口622が形成される。このため、このシールド開口622は、前方側褄壁62と一体となるよう強固に固着されたコンクリート造の褄壁補強坑口621によって補強されている。
このような構成の地下躯体6は、大深度地下に構築されることから前方側褄壁62及び後方側褄壁63に過大な側方土圧が作用する。また、外殻シールドトンネル4の構築作業が進行するにつれて、前方側褄壁62にはシールド開口622の数量が増えるため、その構造が不安定となりやすい。このため、前方側褄壁62及び後方側褄壁63が作業領域7側に倒伏もしくは破損することのないよう、以下の補強を行っている。
≪地下躯体の補強構造≫
地下躯体6の補強構造を、リング状躯体61を利用した補強構造、本線トンネル1の本線覆工体11を利用した補強構造、支線トンネル2の支線覆工体21を利用した補強構造、及び外殻シールドトンネル4の外殻覆工体41を利用した補強構造ごとで、その詳細を説明する。
<リング状躯体61を利用した補強構造>
図3及び図4で示すように、リング状躯体61には、その内周面に入隅部ピース81とズレ止め部材82が設けられている。
入隅部ピース81は、図4で示すように、前方側褄壁62を構築した際、前方側褄壁62の内側面(後方側褄壁63と対向する面)とリング状躯体61とにより形成される入隅部に配置された駒形状の部材であり、リング状躯体61に一体に設けられている。また、前方側褄壁62と対向する面には、前方側褄壁62に埋設されるアンカーボルト811が設けられている。
また、ズレ止め部材82は、前方側褄壁62を構築した際に、前方側褄壁62の壁厚内となる位置に配置されており、コンクリート部材の付着性能を高めるべく用いられるものであればいずれを採用してもよく、本実施の形態では、穴あき鋼板ジベルを採用している。
<本線トンネル1を利用した補強構造>
図3で示すように、本線トンネル1には、シールド掘進機で掘削された地山の壁面に複数のセグメント111を組み立てることにより、円筒状の本線覆工体11が構築されている。この本線覆工体11の内周面には、本線覆工体11の軸線方向に延在する緊張材83が設置され、また、本線覆工体11の外周面には、ズレ止め部材86が設置されている。
緊張材83は、構造物に対してプレストレスを導入する際に用いられている部材であればいずれを採用してもよく、本実施の形態では、PC鋼棒を採用している。この緊張材83は、一方の端部を、本線覆工体11における外周面が前方側褄壁62と接合しているセグメント111aに、他方の端部を、本線覆工体11における外周面が地山に面しているセグメント111bに、それぞれ設置金具84を介して設置されている。
設置金具84は、図4で示すように、本線覆工体11の内周面から突出して設けられ、緊張材83が貫通する孔が形成された定着板841と、定着板841の裏面に設けられた補強材842とにより構成されている。本実施の形態では、定着板841をボルト接合により本線覆工体11のセグメント111aに設置しているが、その方法はいずれでもよく、また、補強材842も必ずしも設けなくてもよい。
このような構成の設置金具84を介して、緊張材83を本線覆工体11に設置するには、まず、図3で示すように、外周面が前方側褄壁62と接合しているセグメント111aと、外周面が地山に面しているセグメント111bの各々に、設置金具84を設置しておく。また、緊張材83をなすPC鋼棒にネジ溝を形成しておく。
そのうえで、図4で示すように、緊張材83の一方の端部を外周面が前方側褄壁62と接合しているセグメント111aに取り付けた定着板841の孔に貫通させ、この一方の端部に対してナット85を螺合する。図3で示すように、緊張材83の他方の端部も、同様の方法で外周面が地山に面しているセグメント111bに固定した設置金具84に取り付けたのち、緊張材83の両端部に螺合したナット85を利用して、緊張材83に緊張力を付与する。
なお、緊張材83は図5で示すように、本線トンネル1の本線覆工体11を軸線方向からみて上方及び下方の2カ所に配置しているが、これに限定されるものではなく、その配置位置や数量はいずれでもよい。
一方、ズレ止め部材86は、リング状躯体61の内周面に設けたものと同様に、コンクリート部材の付着性能を高めるべく用いられるものであればいずれを採用してもよく、本実施の形態では、穴あき鋼板ジベルを採用している。また、その設置位置は、設置金具84を固定したセグメント111aであって、前方側褄壁62を構築した際、前方側褄壁62の壁厚内となる位置に配置されている。
<支線トンネル2を利用した補強構造>
また、図5で示すように、支線トンネル2にも本線トンネル1と同様に、シールド掘進機で掘削された地山の壁面に複数のセグメントを組み立てることにより、円筒状の支線覆工体21が構築されている。そして、この支線覆工体21の内周面に、本線トンネル1と同様の緊張材83が一対の設置金具84を介して設置されている。
なお、対をなす設置金具84の配置位置は、本線トンネル1と同様に、一方の端部を、支線覆工体21における外周面が前方側褄壁62と接合しているセグメントに、他方の端部を、支線覆工体21における外周面が地山に面しているセグメントにそれぞれ設置されている。
また、支線覆工体21にはその外周面に、本線トンネル1と同様のズレ止め部材(図示せず)を設置してもよい。この場合にズレ止め部材は、外周面が前方側褄壁62と接合し、また設置金具84が取り付けられたセグメントに対して、前方側褄壁62を構築した際、前方側褄壁62の壁厚内となる位置に配置するとよい。
前方側褄壁62は、これらリング状躯体61に設けた入隅部ピース81のアンカーボルト811及びズレ止め部材82、本線覆工体11に設けたズレ止め部材86を埋設されるようにして、2体のリング状躯体61よりなる筒体の軸線方向端部にコンクリートを打設し硬化させることにより構築される。
<外殻シールドトンネル4を利用した補強構造>
図3で示すように、複数の外殻シールドトンネル4にはぞれぞれ、本線トンネル1と同様に、小断面シールド掘進機で掘削された地山の壁面に複数のセグメント411を組み立てることにより、円筒状の外殻覆工体41が構築されている。
そして、この外殻覆工体41の内周面に本線トンネル1と同様の緊張材83が、一方の端部を、外殻覆工体41における外周面が前方側褄壁62と接合しているセグメント411aに、他方の端部を、外殻覆工体41における外周面が地山に面しているセグメント411bに、それぞれ設置金具84を介して設置されている。
ここで、外殻シールドトンネル4は、前方側褄壁62が構築されたのちに構築するものであるから、設置金具84が設置されたセグメント411aは、前方側褄壁62と一体に接合されていない。そこで、図4で示すように、外殻シールドトンネル4を構築する際、前方側褄壁62に形成されるシールド開口622の外周を補強する褄壁補強坑口621に、設置金具84が設置されたセグメント411aを、アンカーボルト6211を介して一体に接合している。なお、褄壁補強坑口621は、前方側褄壁62に対して一体となるよう強固に固着しておく。
上述する補強構造により地下躯体6は、図3で示すように、前方側褄壁62に側方土圧が作用した場合に、リング状躯体61との間に設けた入隅部ピース81とズレ止め部材82とにより、その挙動が阻害され側方土圧に抵抗する。
また、本線トンネル1の本線覆工体11に設けた緊張材83の一方の端部が、設置金具84及びセグメント111aを介して前方側褄壁62に設置されている。したがって、前方側褄壁62に側方土圧が作用した場合に、セグメント111a及び設置金具84を介して緊張材83に作業領域7に向かう引張力が作用される。
しかし、緊張材83の他方の端部が、設置金具84を介して地山に面するセグメント111bに固定されている。このため、セグメント111bとセグメント111aとの間に存在する複数のセグメント111に、作業領域7に向かう引張力が伝達されるが、この引張力は、地山との間に生じる周面摩擦力で相殺される。
また、前方側褄壁62はさらに、支線トンネル2の支線覆工体21にも緊張材83を設置しているため、本線トンネル1の本線覆工体11に設けた緊張材83と同様の効果を得ることができる。これにより、地下躯体6が大深度地下に構築される場合であっても、前方側褄壁62が損傷したり、作業領域側に倒伏するような現象を抑制することが可能となる。
なお、後方側褄壁63にも補強が必要となる場合には、図3で示すように、リング状躯体61を利用して入隅部ピース81とズレ止め部材82を設ける、また、本線トンネル1及び支線トンネル2を利用して緊張材83を設ける等、前方側褄壁62に対して行ったものと同様の補強構造を形成するとよい。
また、小断面シールド掘進機の発進に伴って順次構築される外殻シールドトンネル4の外殻覆工体41にも緊張材83が設置される。したがって、前方側褄壁62に作用する側方土圧に起因して、セグメント411a及び設置金具84を介して緊張材83に作業領域7に向かう引張力が作用した場合にも、地山に面するセグメント411bとセグメント411aとの間に存在する複数のセグメント411と、地山との間に生じる周面摩擦力で相殺される。
このように、本線覆工体11、支線覆工体21及び外殻覆工体41の各々に緊張材83を複数設けることにより、これら複数の緊張材83は、前方側褄壁62の広い範囲に分散して配置されることとなるから、前方側褄壁62に作用する側方土圧を効率よく分担することができる。これにより、シールド開口622が形成されることによって前方側褄壁62自身の剛性が低下しても、前方側褄壁62の構造安定性を確保することが可能となる。
≪地下躯体の補強方法≫
次に、上記の補強構造を地下躯体6に設けるための地下躯体6の補強方法を、以下に説明する。
まず、地下躯体6を構築するべくリング状躯体61を構築したのち、前方側褄壁62及び後方側褄壁63を構築する前に、リング状躯体61の内周面に入隅部ピース81とズレ止め部材82をそれぞれ設置しておく。また、本線トンネル1の本線覆工体11における外周面に、ズレ止め部材86を設置しておく。これらの作業が終了したのち、コンクリートの打設作業及び養生を行って前方側褄壁62及び後方側褄壁63を形成して地下躯体6を構築する。
この作業と併せて、リング状躯体61と前方側褄壁62及び後方側褄壁63とにより囲まれた領域を掘削し、作業領域7を形成する。また、本線トンネル1の本線覆工体11と支線トンネル2の支線覆工体21の各々の内周面に、一対の設置金具84を介して緊張材83を設置し、ナット85利用してあらかじめ設定した所定量の緊張力を付与する。
この時点で図6(a)(b)で示すように、地下躯体6には、リング状躯体61に設けた入隅部ピース81とズレ止め部材82、本線トンネル1の本線覆工体11に設けたズレ止め部材86、及び本線トンネル1の本線覆工体11と支線トンネル2の支線覆工体21の各々に設けた緊張材83による補強構造が設けられた状態にある。
しかし、のちに前方側褄壁62に複数のシールド開口622を設けて外殻シールドトンネル4を構築することを考慮し、補強が十分でないと判断する場合には、作業領域内7に支保工9を設置する。
支保工9としては、図6(b)で示すように、前方側褄壁62及び後方側褄壁63に作用する側方土圧に対して抵抗する軸線方向支保工91を設置するが、さらに補強が必要な場合には、図6(a)で示すように、前方側褄壁62と後方側褄壁63との間に斜材92を設ける。
そして、作業領域7を小断面シールド掘削機の発進基地とし、前方側褄壁62から小断面シールド掘削機を発進させて、外殻シールドトンネル4の構築作業を開始する。外殻シールドトンネル4は、図3で示すように、前方側褄壁62に構築される褄壁補強坑口621に、前方側褄壁62と接するセグメント411aをアンカーボルト6211を介して一体に接合し、また、このセグメント411aに設置金具84を設置する。
外殻シールドトンネル4を構築する毎に、図7(a)(b)で示すように、外殻覆工体41の内周面に一対の設置金具84を介して緊張材83を設置し、ナット85利用してあらかじめ設定した所定量の緊張力を付与する。
このような、外殻シールドトンネル4を構築する作業と、外殻シールドトンネル4の外殻覆工体41に緊張材83を設置する作業とを、不要となった支保工9を撤去しつつ実施し、所望の数量の外殻シールドトンネル4を構築し終えるまで繰り返す。すべての外殻シールドトンネル4を構築した時点で、上記の補強を行っても前方側褄壁62が構造上不安定であると判断する場合には、部分的に支保工9を残置する。
なお、一対の設置金具84の配置間隔や、緊張材83に付与する緊張力等の諸条件については、周辺地盤の性状や想定される側方土圧、緊張材83に負担させる引張力等に応じて、本線覆工体11、支線覆工体21及び外殻覆工体41の各々で適宜個別に決定すればよい。
上記のとおり、地下躯体6の補強構造は、外殻シールドトンネル4を構築しながら実施することができ、また、これらの作業と並行して、既に構築済みの外殻シールドトンネル4の内部を利用して外殻部躯体5を構築する際の資材搬入等の作業を、作業領域7にて実施することができる。
このように、地下躯体6の内部空間を、小断面シールド掘削機の発進基地と、外殻シールドトンネル4の内部を利用して外殻部躯体5を構築する際の資材搬入通路等を兼ね備えた作業領域7として使用できるため、作業効率を大幅に向上できる。
また、地下躯体6の内部空間に設ける作業領域7は、構築予定の大断面トンネル100と同程度の広大な断面を有するため、外殻シールドトンネル4へ資材を搬入するための通路を複数パターン確保できる。したがって、発進準備中の小断面シールド掘削機により通路が塞がれたり、不慮の事態により1つの通路が使用不能となった場合にも、作業を中断することなく効率よく他の通路を利用して外殻部躯体5の構築作業を進行させることが可能となる。
本発明の地下躯体6の補強構造は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、リング状躯体61の内周面にズレ止め部材82、本線トンネル1の本線覆工体11にズレ止め部材86を設けたが、前方側褄壁62を一体に接合できれば、必ずしもズレ止め部材82、86を設けなくてもよい。
また、全ての外殻シールドトンネル4の外殻覆工体41に緊張材83を設けたが、これに限定されるものではなく、選択的に緊張材83を設けてもよい。さらに、緊張材83は、本線トンネル1の本線覆工体11、支線トンネル2の支線覆工体21、及び外殻シールドトンネル4の外殻覆工体41の全てに設けなくてもよく、例えば、本線トンネル1の本線覆工体11にのみに設ける構成としてもよい。
さらに、本実施の形態では、前方側褄壁62側に外殻シールドトンネル4が設けられる場合を事例に挙げたが、後方側褄壁63にも設ける場合には、前方側褄壁62と同様の手順で、外殻シールドトンネル4の外殻覆工体41を利用して緊張材83による補強を行うとよい。
100 大断面トンネル
1 本線トンネル(既設トンネル)
11 本線覆工体(既設覆工体)
111 セグメント
111a セグメント(外周面が前方側褄壁に接合された部分)
111b セグメント(外周面が地山に面する部分)
2 支線トンネル
21 支線覆工体
3 大断面トンネル構築予定領域
4 外殻シールドトンネル
41 外殻覆工体
411 セグメント
411a セグメント(外周面が前方側褄壁に接合された部分)
411b セグメント(外周面が地山に面する部分)
5 外殻部躯体
6 地下躯体
61 リング状躯体(筒体)
62 前方側褄壁
621 褄壁補強坑口
6211 アンカーボルト
622 シールド開口
63 後方側褄壁
7 作業領域
81 入隅部ピース
811 アンカーボルト
82 ズレ止め部材
83 緊張材
84 設置金具
841 定着板
842 補強材
85 ナット
86 ズレ止め部材
9 支保工
91 軸線方向支保工
92 斜材

Claims (4)

  1. 既設トンネルの一部に大断面トンネルを構築するに際し、作業領域となる空間を確保するために設けた地下躯体を補強する、地下躯体の補強構造であって、
    前記地下躯体が、前記大断面トンネルの構築予定領域の外側であって周方向に構築されるリング状躯体と、
    該リング状躯体よりなる筒体の両端部各々に構築され、前記既設トンネルが貫通される前方側褄壁及び後方側褄壁と、により構成され、
    前記既設トンネルの既設覆工体における、前記前方側褄壁に接合された範囲の所定位置、及び地山に面する範囲の所定位置に、
    前記既設トンネルの軸線方向に延在する緊張材の一端及び他端が設置されていることを特徴とする既設躯体の補強構造。
  2. 請求項1に記載の地下躯体の補強構造において、
    前記前方側褄壁に、前記大断面トンネル構築予定領域の外周に沿って軸線方向に構築される複数の外殻シールドトンネルが接続されており、
    前記外殻シールドトンネルの外殻覆工体における、前記前方側褄壁に接合された範囲の所定位置、及び地山に面する範囲の所定位置に、
    前記外殻シールドトンネルの軸線方向に延在する緊張材の一端及び他端が設置されていることを特徴とする既設躯体の補強構造。
  3. 請求項1または2に記載の地下躯体の補強構造において、
    前記前方側妻壁に、前記既設トンネルと分合流する支線トンネルが交差して接続されており、
    前記支線トンネルの支線覆工体における、前記前方側褄壁に接合された範囲の所定位置、及び地山に面する範囲の所定位置に、
    前記支線トンネルの軸線方向に延在する緊張材の一端及び他端が設置されていることを特徴とする既設躯体の補強構造。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の地下躯体の補強構造において、
    前記前方側褄壁の内側面と前記リング状構造物の内周面とで形成される入隅部に入隅部ピースが固定されていることを特徴とする既設躯体の補強構造。
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