JP2021074941A - 画像形成装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力画像に生じる主走査方向の濃度ムラの補正処理において、非定常的に発生する濃度ムラに起因した補正精度の低下を防止する。【解決手段】画像形成装置のCPUは、プリンタ部によってシートに形成された、複数のパッチを含むチャート画像における各パッチの濃度を測定する。画像処理部は、各パッチの濃度の測定結果を示す濃度測定データに対して、濃度測定値の移動平均を行う平均化フィルタによるフィルタ処理を行う。画像処理部は、濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて、平均化フィルタのサイズを変更する。画像処理部は、フィルタ処理後の濃度測定データに基づいて、プリンタ部による画像形成において生じる濃度ムラを補正するための補正データを作成する。CPUは、画像処理部によって作成された補正データに基づいて、入力画像データを補正する。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置及びその制御方法に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置では、気温及び湿度等の使用環境の変動や、部材の経時変化又は耐久性による性能劣化等に起因して、出力画像の色味に変動が生じうる。また、感光ドラムの感度ムラ、感光ドラムに照射されるレーザ光量の端部落ち、使用される光学系のレンズ収差等に起因して、出力画像に濃度ムラ又は色ムラが生じうる。一般に、副走査方向よりも主走査方向に表れる濃度ムラ又は色ムラの方が、出力画像に与える影響が大きくなりうる。
出力画像に生じる主走査方向の濃度ムラを補正するためには、補正対象の濃度ムラを精度よく測定する必要がある。しかし、実際の測定では、補正対象である主走査方向の(定常的な)濃度ムラの他に、非定常的に発生する濃度ムラが混在した状態で行われうる。特許文献1には、複数の濃度パターンを感光体周囲長等に基づく所定の間隔で形成し、各濃度パターンに対して補正値を求めることによって、副走査方向の濃度ムラの影響を低減しつつ、主走査方向の濃度ムラを補正する技術が開示されている。
特開2006−343679号公報
しかしながら、上述のように出力画像に非定常的に発生する濃度ムラは、その要因に依存して、濃度域ごとに異なる強度で発生しうる。例えば、現像器への現像剤(トナー)補給量のムラに起因して発生する非定常的な濃度ムラは、低濃度域では小さく、高濃度域で大きくなりうる。上述の従来技術では、出力画像に生じる主走査方向の濃度ムラを補正対象とした補正処理において、濃度域ごとに強度が異なる非定常的な濃度ムラの影響を十分に低減することができない可能性がある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、出力画像に生じる主走査方向の濃度ムラの補正処理において、非定常的に発生する濃度ムラに起因した補正精度の低下を防止するための技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る画像形成装置は、画像データに基づいてシートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段によってシートに形成された、複数のパッチを含むチャート画像における各パッチの濃度を測定する測定手段と、前記測定手段による測定結果を示す濃度測定データに対して、濃度測定値の移動平均を行う平均化フィルタによるフィルタ処理を行う処理手段と、前記処理手段によるフィルタ処理後の前記濃度測定データに基づいて、前記画像形成手段による画像形成において生じる濃度ムラを補正するための補正データを作成する作成手段と、前記作成手段によって作成された前記補正データに基づいて、入力画像データを補正する補正手段と、を備え、前記処理手段は、前記濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて、前記平均化フィルタのサイズを変更することを特徴とする。
本発明によれば、出力画像に生じる濃度ムラの補正処理において、非定常的に発生する濃度ムラに起因した補正精度の低下を防止することが可能になる。
画像形成装置の概略的なハードウェア構成例を示すブロック図。 測定用チャート及び濃度測定データの例を示す図。 画像形成装置の階調特性の例、及び階調特性の補正用のγSHLUTの例を示す図。 濃度域ごとの、トナー補給量のムラに起因して生じる非定常的な濃度ムラの大きさの例を示す図。 画像形成装置において実行される処理手順を示すフローチャート。 S103における処理手順を示すフローチャート。 濃度測定データから取得される各階調レベルの濃度平均値の例と、画像信号値と出力濃度との関係を表す濃度特性の例を示す図。 測定用チャート上に、濃度測定データに対して適用される平均化フィルタのサイズの例を示した模式図。 フィルタ処理が適用された濃度測定データの例を示す図。 非定常的な濃度ムラが低減された濃度測定データの例を示す図。 濃度域に応じて平均化フィルタのサイズを変更する例を示す図。 感光ドラムの露光量と感光ドラムの表面電位Vとの関係の例を示す図。 測定用チャート及び平均化フィルタのサイズの例を示す図。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一又は同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
[実施例1]
<画像形成装置>
図1は、実施例1に係る画像形成装置10の概略的なハードウェア構成例を示すブロック図である。本実施例の画像形成装置10は、記録紙等の記録材に画像形成を行う画像形成機能(プリント機能)を有しており、コピージョブ、スキャンジョブ及びプリントジョブ等の種々のジョブを実行する機能を有する複合機(MFP)として構成されている。コピージョブは、原稿の画像を光学的に読み取り、その複製画像を記録紙(シート)に印刷するジョブである。スキャンジョブは、原稿の画像を光学的に読み取って得られた画像データをファイルとして保存又は外部装置へ送信するジョブである。プリントジョブは、PC等の外部装置から受信した画像データ(印刷データ)に基づいて記録紙に画像を印刷するジョブである。画像形成装置10は、例えば、印刷装置、プリンタ、複写機又はファクシミリ装置として構成されてもよい。なお、以下では、画像形成装置10内の搬送路において画像形成用の記録紙(シート)が移動する(即ち、シートの搬送方向)方向を副走査方向、シートの搬送方向に直交する方向を主走査方向とする。
図1に示すように、画像形成装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、不揮発メモリ14、ハードディスク装置15、表示部16、操作部17、濃度センサ部18、ネットワークI/F(インタフェース)部19、スキャナ部20、画像処理部21、プリンタ部22、及びファクシミリ通信部23を備える。プリンタ部22は、画像データに基づいてシートに画像を形成する画像形成手段の一例である。
CPU11は、OS(オペレーティングシステム)プログラムをベースとして、OS上でミドルウェアやアプリケーションプログラム等の各種プログラムを実行することで、画像形成装置10全体の動作を制御する。ROM12は、制御プログラム等の各種プログラムを格納している。CPU11は、ROM12に格納されているプログラムを実行することにより、画像形成装置10の各種機能を実現する。本実施例では、CPU11は、プリンタ部22による出力画像に生じる濃度ムラを補正するための補正値を求め、求めた補正値に基づいて、画像形成用の画像信号値を補正する処理を行う。RAM13は、CPU11がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するためのワークメモリ、又はCPU11が画像データを格納するための画像メモリとして使用される。
不揮発メモリ14は、画像形成装置10の電源がオフにされても記憶内容を保持し続けられる、書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリ)である。不揮発メモリ14には、装置固有の情報及び各種の設定情報等が格納される。ハードディスク装置15は、不揮発メモリ14よりも大きい容量を有する不揮発性記憶装置である。ハードディスク装置15には、OSプログラム及びアプリケーションプログラム等の各種プログラム、並びに、画像データ、及びジョブに関連する履歴情報を含むデータ等の各種データが保存される。
表示部16は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)で構成され、操作画面等の各種画面を表示する機能を有する。操作部17は、ジョブの投入や設定の変更等のための各種操作をユーザから受け付ける機能を有する。操作部17は、例えば、タッチパネル、テンキー、文字入力キー、スタートキー等を含んでもよい。
ネットワークI/F部19は、有線LAN又は無線LAN等のネットワークを介して接続されている、PC等の外部装置との通信を行う。ファクシミリ通信部23は、外部装置との間でファクシミリ送信又は受信を行う。画像処理部21は、例えば、画像の拡大、縮小、又は回転等の画像処理、画像データ(印刷データ)をビットマップ形式の画像データに変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮又は伸長処理といった、各種の画像処理を行う。
スキャナ部20は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成する機能を有する。スキャナ部20は、例えば、原稿に光を照射する光源、原稿からの反射光を受光して、原稿の画像を幅方向(主走査方向)にライン(主走査ライン)単位で読み取るラインイメージセンサ、画像の読取位置をライン単位で移動させるための移動機構を含みうる。スキャナ部20は、更に、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるための、レンズやミラー等から成る光学系、及びラインイメージセンサから出力されるアナログ画像信号をデジタル画像データに変換する変換部を含みうる。
プリンタ部22は、入力された画像データに基づいて画像を記録紙に印刷(形成)する機能を有する。本実施例のプリンタ部22は、電子写真方式で画像形成を行うレーザプリンタとして構成される。プリンタ部22は、記録紙の搬送機構、感光体である感光ドラム、帯電器、レーザユニット、現像器と、転写装置、クリーニング装置、定着装置等を含む。現像器は、現像剤を担持して回転する現像スリーブと、当該現像器内の現像剤を撹拌しながら搬送する搬送スクリューとを含む。プリンタ部22は、主走査方向に沿った1ライン分の画像の形成位置を副走査方向に移動させながら、1ラインずつ画像形成を繰り返すことで、記録紙上に2次元の画像を形成する。
濃度センサ部18は、記録紙上に形成された画像(トナー像)の濃度の測定に使用されるセンサである。本実施例では、プリンタ部22によって出力(印刷)された測定用チャート(図2(A)の測定用チャート30)についての濃度分布の測定に使用される。濃度センサ部18は、例えば、赤、緑及び青のLED光源と、当該LED光源から出射された光の反射光を受光するPD(フォトダイオード)とで構成される。PDから出力される電圧を濃度値に変換することにより、画像の濃度の測定が可能である。なお、濃度センサ部18ではなくスキャナ部20を用いて、記録紙上に形成された画像の濃度を測定することも可能である。
<測定用チャート>
図2(A)は、本実施例の画像形成装置10において使用される測定用チャートの例を示す図である。測定用チャート30は、プリンタ部22による出力画像に生じる主走査方向の濃度ムラを階調レベルごとに調べるための濃度測定に用いられる、複数のパッチを含むチャート画像である。測定用チャート30は、同一階調レベルのパッチ群が主走査方向に配置され、それぞれ異なる複数の階調レベルのパッチ群が副走査方向に配置されたチャートである。
図2(A)に示す測定用チャート30では、一例として、主走査方向に32個のパッチ、副走査方向に16個のパッチが配置されている。例えば、1画素が10ビットで表現される場合、副走査方向に配置された16個のパッチに対応する画像信号値は0〜1023の値を取ることができる。この場合に、副走査方向に配置されたこれら16個のパッチに対して順に64ごとの画像信号値が設定されることで、測定用チャート30における副走査方向のそれぞれのパッチは、64階調レベルごとの階調レベルに対応することになる。即ち、階調ステップ幅を64階調レベルとした、それぞれ異なる複数の階調レベルが、16個のパッチによって表現される。なお、測定用チャート30における主走査方向のパッチ数、副走査方向のパッチ数、及び副走査方向に隣接するパッチ間の階調ステップ幅は、本例のものに限定されず、任意に設定可能である。
図2(B)は、測定用チャート30を用いた測定により得られる濃度測定データ(濃度分布データ)の例を示す図である。濃度測定データ40は、画像形成装置10において測定用チャート30をプリンタ部22により記録紙に形成し、当該記録紙上の測定用チャート30の各主走査方向位置における濃度を測定することによって得られる。図2(B)において、横軸は主走査方向位置をパッチ番号で示しており、縦軸は測定された各パッチの濃度を示している。なお、図2(B)では、簡略化のため、主走査方向における25パッチ、副走査方向における9パッチ(9階調レベル)に対応する濃度測定データを抜粋して示している。
図2(B)において、9本の実線のグラフG1〜G9は、副走査方向におけるそれぞれ異なる位置に配置された、それぞれ異なる階調レベルに対応する複数のパッチ群から得られた、各パッチの濃度の測定結果を示している。測定用チャート30に含まれる各パッチに対応する画像信号値は、主走査方向において均一の値である。このため、画像信号値に基づく濃度が記録紙上で忠実に再現されれば、各主走査方向位置の濃度の測定結果を示すグラフG1〜G9は直線で描かれるはずである。
しかし、図2(B)に示すように、プリンタ部22による画像形成の際に、出力画像に主走査方向の濃度ムラ(即ち、主走査方向位置ごとの濃度の変動)が発生しうる。本実施例では、画像処理部21は、このような濃度ムラの補正のための補正データ(補正特性)であるルックアップテーブル(SHLUT)を作成する処理と、作成したSHLUTに基づいて入力画像データを補正する処理とを行う。なお、CPU11が濃度ムラを補正するために用いるSHLUTを作成する作成処理を実行する構成としてもよい。このSHLUTは、入力画像信号と、当該入力画像信号に対する補正後の画像信号である出力画像信号とを対応付ける補正テーブルである。さらに、本実施例では、プリンタ部22の主走査方向の位置ごとの階調特性が理想的な階調特性となるように、主走査方向の位置に対応するγSHLUTが作成される。このγSHLUTを用いて変換された出力画像信号の信号値は、画像形成装置10が記録紙上に画像を形成する際に、所望の濃度を実現するための信号値となる。
図3は、画像形成装置10の階調特性の例、及び階調特性の補正用のγSHLUT(補正データ)の例を示す図である。図3(A)は、画像形成装置10において主走査方向のある位置の階調特性(画像信号値と濃度との関係)の例、図3(B)は、画像形成装置10における理想的な階調特性の例をそれぞれ示している。また、図3(C)は、図3(A)に示す階調特性を、図3(B)に示す理想的な階調特性に補正するためのγSHLUT(補正データ)の例を示しており、当該γSHLUTは、入力画像信号と、補正後の画像信号である出力画像信号との関係を示している。
主走査方向のある位置において、画像形成装置10は、図3(A)に示すような階調特性を有している。画像形成装置10は、図3(C)に示すようなγSHLUTを用いて入力画像データの画像信号値を補正することにより、出力画像に適用される階調特性を、図3(B)に示すような理想的な階調特性に近づけることを実現する。なお、本実施例において、図3(C)に示されるγSHLUT(補正データ)は、後述するS1034(図6)において得られる補正量に基づいて作成される。
<補正対象の濃度ムラの具体例>
ここで、本実施例における画像形成装置10における補正対象の濃度ムラについて、より具体的に説明する。
本実施例において補正対象とする濃度ムラは、画像形成装置10において定常的な要因に起因して出力画像に生じる主走査方向の濃度ムラである。このような定常的な濃度ムラは、例えば、感光ドラム(感光体)の感光層の塗工ムラ、感光ドラム表面を帯電させるための帯電ワイヤの傾き、露光装置(レーザユニット)の光量ムラ、及び感光ドラムと現像スリーブとの軸方向における距離の差に起因する。出力画像においてこのような濃度ムラが生じないように濃度ムラの補正処理を行うためには、測定用チャート30を用いて主走査方向の定常的な濃度ムラをより精度良く把握することが必要となる。
しかし、実際には、上述のように定常的に発生する濃度ムラだけでなく、非定常的に発生する濃度ムラが出力画像に表れることがある。この非定常的な濃度ムラは、主走査方向及び副走査方向のいずれにおいても発生する。主走査方向に非定常的に発生する濃度ムラは、例えば、現像器への現像剤(トナー)補給量のムラに起因しうる。具体的には、トナー容器から現像器へトナーが補給された直後に現像器内でトナーが十分に撹拌されずに、現像器内の搬送スクリューのピッチに依存して、主走査方向に濃度ムラが発生する。
副走査方向に非定常的に発生する濃度ムラは、例えば、感光ドラム及び現像スリーブが真円でないことによる、副走査方向の現像ムラ、及び感光ドラムの周方向における感光層の塗工ムラといった、電子写真方式の画像形成装置の構成部材に起因しうる。また、副走査方向に非定常的に発生する濃度ムラは、トナーの摩擦帯電ムラ、及び用紙搬送時のショックといった、画像形成装置において一時的に発生する現象に起因することもある。
これらの非定常的な濃度ムラは、要因に依存して、濃度域ごとにその強度が異なりうる。図4は、濃度域ごとの、トナー補給量のムラに起因して生じる非定常的な濃度ムラの大きさの例を示す図である。横軸は、現像器へのトナーの補給量を示し、縦軸は、濃度ムラに相当する、現像器へのトナー補給直後の濃度変動ΔDを示している。また、図4における濃度0.2、0.8及び1.6は、それぞれ、低濃度域、中間濃度域、及び高濃度域の濃度に相当する。図4の例によれば、トナーの補給量が同じであっても、濃度が高いほど、トナー補給直後の濃度変動ΔDが大きく、濃度が低いほど、トナー補給直後の濃度変動ΔDが小さいことがわかる。
上述のような非定常的な濃度ムラの発生に起因して、測定用チャート30を用いた測定により、本来補正対象とすべき主走査方向の濃度ムラを示すデータを適切に取得できず、その結果、出力画像における濃度ムラの補正精度が低下してしまう。具体的には、測定用チャート30を用いた測定により得られる濃度測定データは、補正対象である主走査方向の定常的な濃度ムラに、非定常的に発生する濃度ムラが混在した状態で取得されうる。このようにして取得された濃度測定データに基づいて、主走査方向の濃度ムラの補正のための補正処理を入力画像データに対して行うと、過補正又は補正不足が生じて補正精度が低下する結果となりうる。本実施例では、以下で説明する処理により、このような非定常的な濃度ムラの影響を低減し、主走査方向の濃度ムラの補正をより精度良く行えるようにする。
画像形成装置10は、理想的な階調を再現するためのγSHLUTを作成する階調補正機能を有する。本実施例では、画像形成装置10における主走査方向の濃度を均一にするために、主走査方向位置ごとに、階調特性の補正用のγSHLUTを作成する。例えば、主走査方向を32分割する場合、γSHLUTは32個作成される。さらに、各色32個のγSHLUTが作成されれば、4色で128個のγSHLUTが作成されることになる。
また、CPU11は、上述の濃度ムラを補正するためのSHLUTを作成するために、測定用チャート30の濃度を測定して得られた濃度測定データに対して平均化フィルタによるフィルタ処理を適用する。その際、CPU11は、測定用チャート30の各パッチに対応する画像信号値に応じて平均化フィルタのサイズを変更して、フィルタ処理を行う。更に、CPU11は、フィルタ処理後の濃度測定データにおける、主走査方向のパッチ群についての濃度測定値の平均値と、各主走査方向位置におけるパッチの濃度測定値との差分(濃度差)に基づいて、濃度ムラの補正用のSHLUTを求める。さらに、CPU11は、濃度測定値の平均値と画像信号値とに基づいてプリンタ部22の階調特性を求め、このプリンタ部22の階調特性を理想的な階調特性へ補正するためのγLUTを作成する。そして、CPU11は、γLUTとSHLUTとを合成することで、主走査方向の各位置におけるγSHLUTを作成する。画像形成装置10は、画像形成の際には、作成した補正用のγSHLUTを用いた補正処理を入力画像データに対して行うことで、濃度ムラの補正と階調特性の補正とを行い、補正後の画像データをプリンタ部22へ出力する。
<処理手順>
次に、図5(A)を参照して、本実施例の画像形成装置10において実行される処理手順について説明する。図5(A)は、CPU11によって実行される処理手順を示すフローチャートである。同図の各ステップの処理は、ROM12等の記憶装置に格納されているプログラムをCPU11が読み出して実行することによって画像形成装置10において実現されうる。
まず、S101で、CPU11は、操作部17を介して、濃度ムラに関する補正処理の実行指示がユーザによって行われると、測定用チャート30を印刷するよう、プリンタ部22を制御する。次にS102で、CPU11は、測定用チャート30が印刷された記録紙の搬送中に、搬送路の途中に設けられた濃度センサ部18を用いて、測定用チャート30の濃度測定を行う。具体的には、CPU11は、S101で出力された測定用チャート30の各パッチの濃度を測定し、図2(B)に示すような、階調レベルごとに、各主走査方向位置における濃度の測定結果(測定値)を示す濃度測定データを取得する。
なお、測定用チャート30の濃度の測定は、濃度センサ部18に代えてスキャナ部20を用いて行われてもよい。その場合、ユーザは、プリンタ部22によって測定用チャート30が印刷されて排出された記録紙を、スキャナ部20にセットする。更に、CPU11は、スキャナ部20にセットされた記録紙に印刷されている測定用チャート30をラインイメージセンサにより読み取らせ、当該ラインイメージセンサの出力に基づいて各パッチの濃度を測定する。その際、ラインイメージセンサから出力されるRGB形式の信号値を濃度値へ変換する処理が必要となりうる。
S103で、CPU11は、S102における測定結果(図2(B))に基づいて、主走査方向の濃度ムラの補正処理に用いられるSHLUT(補正データ)を作成するよう、画像処理部21を制御する。なお、S103における補正データの作成処理の詳細については、図6を用いて後述する。さらに、CPU11は、予め作成されたγLUTとステップS103において作成されたSHLUTとを合成し、γSHLUTを作成する。S103の作成処理が完了すると、CPU11は、図5(A)の手順による処理を終了する。
その後、CPU11は、画像形成の実行時に、S103において作成された主走査方向位置ごとのγSHLUT(補正データ)に基づいて、プリンタ部22による画像形成用の入力画像データに対して濃度ムラの補正処理を行うよう、画像処理部21を制御する。
補正処理の対象となる入力画像データは、操作部17を介して又は外部装置からネットワークを介してユーザによって印刷指示が行われる任意の出力画像に対応する画像データである。補正処理による補正後の画像データを用いてプリンタ部22によって画像形成が行われることで、主走査方向の濃度ムラを抑制した状態で画像を出力(印刷)することが可能になる。階調補正機能等で作成した理想的な階調を再現するためのγLUTとSHLUTを合成したγSHLUTを用いた処理を行うことで、主走査方向の濃度ムラを抑制し、且つ、階調性を再現した状態で印刷することができる。
<S103の処理>
次に、図6を参照して、S103における処理手順について説明する。S103では、CPU11による制御下で、画像処理部21が図6の手順に従った処理を実行する。
まずS1031で、画像処理部21は、S102で取得された濃度測定データに対して平均化フィルタを用いたフィルタ処理(即ち、移動平均を行う平均化処理)を行う。画像処理部21は、このフィルタ処理において適用する平均化フィルタのサイズを、濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて変更する。本実施例では、平均化フィルタの主走査方向のサイズを変更する例について説明するが、後述する実施例2及びその他の実施例のように、副走査方向のサイズを変更することも可能である。
ここで、濃度測定データにおける処理対象の濃度域は、S102において測定対象とされた測定用チャート30の各パッチに対応する画像信号値に基づいて特定される。測定用チャート30では、画像信号値が大きいほど、対応するパッチの濃度が高く、画像信号値が小さいほど、対応するパッチの濃度は低い。このため、濃度測定データにおいて、処理対象の濃度測定値が得られたパッチに対応する画像信号値が大きいほど、主走査方向のサイズが大きい平均化フィルタが適用される。処理対象の濃度測定値が得られたパッチに対応する画像信号値が小さいほど、主走査方向のサイズが小さい平均化フィルタが適用される。なお、S1031におけるフィルタ処理の詳細については後述する。
次にS1032で、画像処理部21は、フィルタ処理後の濃度測定データから、階調レベルごとに濃度平均値を取得する。具体的には、画像処理部21は、測定用チャート30における、それぞれ副走査方向に並べられた、異なる階調レベルに対応する複数のパッチ群について、それぞれの濃度平均値(即ち、階調レベルごとに取得された濃度測定値の平均値)を取得する。図7(A)には、S1032において濃度測定データから取得される各階調レベルの濃度平均値を破線で示している。
次にS1033で、画像処理部21は、フィルタ処理後の濃度測定データにおける各パッチの濃度測定値と、S1032で得られた、当該パッチを含む主走査方向のパッチ群の濃度平均値との差分(濃度差)を取得する。即ち、画像処理部21は、階調レベルごとに、各主走査方向位置における濃度測定値の、濃度平均値に対する濃度差を取得する。
次にS1034で、画像処理部21は、フィルタ処理後の濃度測定データにおける各パッチの濃度測定値が示す出力濃度の、濃度平均値に対する濃度差を補正するために必要となる画像信号の補正量を決定する。この補正量は、各パッチが配置された主走査方向位置における、画像信号値と出力濃度との関係を表す濃度特性を用いて決定される。画像処理部21は、各主走査方向位置における出力濃度が濃度平均値に等しくなるように、当該出力濃度を補正するための補正量を求める。
図7(B)は、ある主走査方向位置における画像信号値と出力濃度との関係を表す濃度特性の例を示しており、横軸は画像信号値、縦軸は画像信号値に対応する出力濃度を示している。図7(B)の例では、濃度を「0.97」から「0.93」に補正するためには、画像信号値を「778」から「765」へ補正する必要がある。この場合、対象となる主走査方向位置における画像信号値の補正量は「−13」と求められる。S1034では、画像処理部21は、測定用チャート30における全てのパッチについて、画像信号値の補正量を決定する。
その後S1035で、画像処理部21は、主走査方向位置ごとの(予め保存されている)SHLUT0を、S1034で取得した補正量に応じて補正することにより、補正用のSHLUT(補正データ)を作成する。図2(A)に示すように、測定用チャート30において主走査方向に32個のパッチが配置されている場合、S1035では、図3(C)に示すようなSHLUT(補正特性)が、32個のパッチに対応する32個の主走査方向位置のそれぞれに対して作成される。即ち、32個の主走査方向位置に対応する32個のSHLUT(SHLUT1〜SHLUT32)が作成される。作成されたSHLUTは、RAM13又は不揮発メモリ14等の記憶装置に格納された状態で保持される。
画像処理部21は、S1035の処理が完了すると、図6の手順によるS103の処理を終了する。
なお、濃度測定データは、測定用チャート30のパッチ単位で取得された濃度測定値を含んでいるが、主走査方向及び副走査方向の少なくともいずれかにおいてパッチ間で濃度測定値の補間(例えば、線形補間)が行われてもよい。例えば、画像形成装置10の主走査方向における画像形成可能な範囲が320mmであり、当該範囲内に32個のパッチを配置した場合、主走査方向のパッチ間の間隔は10mmとなる。画像形成の解像度が1200dpiである場合、この間隔は472画素分の間隔である。そこで、主走査方向に隣り合うパッチ間において線形補間により等間隔に471個の濃度測定値を求めることにより、1画素ごとの濃度測定値を求めることができる。これにより、画素単位での濃度ムラの補正処理が可能になる。また、副走査方向に隣り合うパッチ間で濃度測定値の線形補間を行うことで、例えば1階調レベルごとの濃度測定値を求めることができる。このように線形補間が行われた濃度測定データが、上述の処理に用いられてもよい。
<S1031のフィルタ処理の具体例>
上述のように、本実施例では、S1031におけるフィルタ処理に用いる平均化フィルタのサイズを、S102において測定対象となった測定用チャート30の各パッチの濃度(濃度域)に基づいて適宜変更する。以下では、このような平均化フィルタのサイズの変更及びその効果について説明する。
図8は、測定用チャート30上に、濃度測定データに対して適用される平均化フィルタのサイズの例を太線の枠により示した模式図である。図9は、図8に示すサイズの平均化フィルタを用いたフィルタ処理が適用された濃度測定データの例を示す図である。なお、図9では、低濃度域、中間濃度域、及び高濃度域のそれぞれの測定結果に相当する3つのグラフ(グラフG3,G5,G8)を示している。
図8(B)は、平均化フィルタのサイズとして、測定用チャート30における主走査方向の2パッチ、副走査方向の1パッチの範囲に対応するサイズ(サイズ2×1)を示している。なお、測定用チャート30の各パッチのサイズを約10mm×10mmとした場合、図8(B)に示すサイズ2×1の平均化フィルタによる平均化処理は、20mm×10mmの範囲を対象として行われる。図8(C)は、平均化フィルタのサイズとして、測定用チャート30における主走査方向の3パッチ、副走査方向の1パッチの範囲に対応するサイズ(サイズ3×1)を示している。また、図8(A)は、平均化フィルタのサイズとして、サイズ1×1を示しており、これは平均化フィルタによるフィルタ処理が行われない場合に相当する。この場合、図9(A)に示すように、グラフG3,G5,G8のいずれも、フィルタ処理前の濃度測定データを示す図7(A)のグラフと同一となっている。
図9(A)〜(C)から分かるように、平均化フィルタのサイズを主走査方向において大きくするほど、とりわけ高濃度域(グラフG8)において、非定常的な濃度ムラに起因する、主走査方向の濃度ムラの変動が小さくなっている。これは、高濃度域において非定常的な濃度ムラが低減されていることを示している。一方、低濃度域(グラフG3)では、濃度ムラの変動が元々少なく、フィルタ処理による非定常的な濃度ムラの低減効果も小さい。
ここで、図10は、濃度測定データ40から非定常的な濃度ムラを低減して得られた濃度測定データ40'を示している。なお、濃度測定データ40'は、非定常的な濃度ムラを低減するために、測定用チャート30を50枚の記録紙に出力してそれぞれ濃度測定を行い、その測定結果を平均化することによって得られたデータである。
図9(A)〜(C)と図10とを比較すると、図9(A)〜(C)に示す、フィルタ処理後の濃度測定データにおける高濃度域(グラフG8)の濃度分布は、平均化フィルタのサイズが大きいほど、濃度測定データ40'の濃度分布に近づいている。これは、平均化フィルタのサイズが大きいほど、非定常的な濃度ムラが低減されていることを示している。一方、図9(A)〜(C)に示すフィルタ処理後の濃度測定データにおける低濃度域(グラフG3)の濃度分布は、平均化フィルタのサイズが小さいほど、濃度測定データ40'の濃度分布に近づいており、非定常的な濃度ムラが低減されている。逆に、平均化フィルタのサイズが大きくなると、フィルタ処理後の濃度測定データは、破線の円で示す領域において濃度測定データ40'の濃度分布からずれが生じている(グラフの傾きが小さくなっている)。
このように、濃度測定データに適用されるフィルタ処理に用いる平均化フィルタのサイズを大きくすることによって、主走査方向の濃度ムラの変動を小さくする(即ち、非定常的な濃度ムラを低減する)ことが可能である。一方で、平均化フィルタのサイズを大きくしすぎると、補正対象の主走査方向の濃度ムラを鈍らせることになり、S103で作成される補正データ(SHLUT)に基づく補正処理において補正不足が引き起こされる可能性が考えられる。
このため、濃度測定データにおける濃度域ごとの非定常な濃度ムラの影響の程度、及び非定常的な濃度ムラが表れる間隔と考慮して、平均化フィルタのサイズを設定する必要がある。本実施例では、一例として、図4を用いて上述したように現像器へのトナー補給量のムラに起因する非定常的な濃度ムラに対処するように、平均化フィルタのサイズを設定する場合について説明する。
図4に示すように、現像器へのトナー補給量のムラに起因して生じる濃度ムラは、低濃度域では小さく、高濃度域で大きくなる。このため、非定常的な濃度ムラが小さい低濃度域において適用する平均化フィルタのサイズを大きくすると、濃度測定データにおける補正対象の主走査方向の濃度ムラを鈍らせる結果となりうる。その結果、濃度測定データから作成される補正データに基づく補正処理における補正精度が低下しうる。したがって、低濃度域において適用する平均化フィルタのサイズを、高濃度域において適用する平均化フィルタのサイズより小さくする。
また、トナー補給量のムラに起因する非定常的な濃度ムラは、現像器のスクリューピッチに応じた間隔で発生しうる。例えば、スクリューピッチが約10mmである場合、約10mm間隔で濃度ムラが発生する。そのため、トナー補給量のムラに起因する非定常的な濃度ムラを考慮して平均化フィルタのサイズを設定する場合、例えば、隣接するスクリューを含む間隔に基づいて設定(例えば、20〜30mm程度の間隔を処理対象とするサイズに設定)すればよい。
図11は、濃度測定データに対するフィルタ処理が適用される濃度域に応じて平均化フィルタのサイズを変更する例を示している。図11の例では、低濃度域(グラフG1〜3)に対してはサイズ1×1の平均化フィルタ、中間濃度域(グラフG4〜G6)に対してはサイズ2×1の平均化フィルタ、高濃度域(グラフG7〜G9)に対してはサイズ3×1の平均化フィルタを適用している。
このように、濃度域が高いほど、平均化フィルタのサイズ(本実施例では主走査方向のサイズ)を大きくし、濃度域が低いほど、平均化フィルタのサイズ(本実施例では主走査方向のサイズ)を小さくしている。なお、図11の例は、平均化フィルタのサイズの設定の一例にすぎない。また、FIR(有限インパルス応答)フィルタで構成される平均化フィルタのサイズに対応するフィルタ係数の数(フィルタ長)を一定とし、各フィルタ係数に対する重み付けを変更することにより、適用される平均化フィルタのサイズを変更してもよい。
以上説明したように、本実施例の画像形成装置10において、CPU11は、濃度センサ部18又はスキャナ部20を用いて、プリンタ部22によってシートに形成された、複数のパッチを含むチャート画像における各パッチの濃度を測定する。画像処理部21は、各パッチの濃度の測定結果を示す濃度測定データに対して、濃度測定値の移動平均を行う平均化フィルタによるフィルタ処理を行う。画像処理部21は、濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて、平均化フィルタのサイズを変更する。画像処理部21は、フィルタ処理後の濃度測定データに基づいて、プリンタ部22による画像形成において生じる濃度ムラを補正するための補正データを作成する。更に、CPU11は、画像処理部21によって作成された補正データに基づいて、入力画像データを補正する。
このように、本実施例では、濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて、濃度測定データに対するフィルタ処理に用いる平均化フィルタのサイズを変更する。具体的には、非定常的な濃度ムラとして現像器へのトナー補給量のムラに起因する濃度ムラを想定した場合、非定常的な濃度ムラは、低濃度域では小さく、高濃度域で大きくなる。このような要因の非定常的な濃度ムラに対処するために、処理対象の濃度域が高いほど主走査方向のサイズが大きく、処理対象の濃度域が低いほど主走査方向のサイズが小さい平均化フィルタを用いて、濃度測定データに対してフィルタ処理を行う。
これにより、濃度測定データにおける非定常的な濃度ムラの影響を低減し、濃度測定データに基づいて補正対象の濃度ムラ(定常的な要因に起因した主走査方向の濃度ムラ)をより精度良く把握することが可能になる。その結果、非定常的な濃度ムラの影響に起因して、濃度ムラの補正処理において過補正又は補正不足が生じて補正精度が低下することを防止でき、即ち、補正対象の濃度ムラの補正精度が低下することを防止できる。本実施例によれば、とりわけ、現像器へのトナー補給量のムラに起因して主走査方向に発生する非定常的な濃度ムラの影響を適切に低減することができる。
なお、本実施例では、現像器へのトナー補給量のムラに起因して発生する非定常的な濃度ムラに対処する例について説明したが、他の要因で発生する非定常的な濃度ムラに対処するように、平均化フィルタのサイズを濃度域に応じて適宜変更してもよい。
[実施例2]
実施例1において濃度測定データに適用されるフィルタ処理では、出力画像において主に主走査方向に表れる非定常的な濃度ムラに対処している。しかし、非定常的な濃度ムラは、副走査方向に表れることもある。実施例2では、このように副走査方向に表れる非定常的な濃度ムラに対処するためのフィルタ処理について説明する。以下では、実施例1と共通する部分については説明を省略し、主に実施例1と異なる部分について説明する。
副走査方向に表れる非定常的な濃度ムラの例として、実施例1で説明したもの以外に、感光ドラム(感光体)の表面を帯電させるための帯電ローラが真円でないことによる帯電電圧ムラに起因する濃度ムラがある。ここで、図12は、感光ドラムの露光量Eと、感光ドラムの表面電位Vとの関係(感光特性)の例を示す図である。図12に示すように、露光量Eが大きいほど表面電位Vの変化を示すグラフの傾きが小さくなっている。これは、露光量Eの大きい高濃度域では電位の変動による露光量差が小さく、露光量の小さい低濃度域では電位の変動による露光量差が大きくなるためである。これは、帯電電圧ムラは低濃度域において出力画像の濃度ムラに対する影響が大きくなることを意味する。
本実施例では、このように帯電電圧ムラに起因して出力画像において副走査方向に発生する濃度ムラに対処するために、フィルタ処理(S1031)に用いる平均化フィルタの副走査方向のサイズを濃度域に応じて変更する。具体的には、低濃度域において平均化フィルタの副走査方向のサイズを大きくするように、平均化フィルタのサイズを設定する。
本実施例では、実施例1とは異なる測定用チャート30を用いて濃度測定が行われる(図5(A)のS101,S102)。図13(A)は、本実施例で用いる測定用チャート30の例を示している。本実施例の測定用チャート30では、実施例1における測定用チャート30(図2(A))と同様、同一階調レベルのパッチ群が主走査方向に配置されている。一方、副走査方向においては、隣接する所定数のパッチごとに(本例では3パッチごとに)階調レベルが変化するようにパッチ群が配置されている。なお、測定用チャート30における主走査方向のパッチ数、副走査方向のパッチ数及びパッチ間の階調ステップ幅は、本例のものに限定されず、任意に設定可能である。
また、本実施例では、S1031(図6)において濃度測定データに対して適用されるフィルタ処理に用いる平均化フィルタの副走査方向のサイズを、濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて変更する。具体的には、図13(A)において太線の枠により示すように、平均化フィルタの副走査方向のサイズを、フィルタ処理の対象となる濃度域が低いほど大きく、フィルタ処理の対象となる濃度域が高いほど小さく設定する。これにより、上述したような帯電電圧ムラに起因する非定常的な濃度ムラを低減することを可能にする。
上述の帯電電圧ムラは、感光ドラムの表面を帯電させる帯電ローラの回転周期に対応する間隔で、出力画像に非定常的な濃度ムラを発生させる。このため、中間濃度域に適用される平均化フィルタのサイズが、帯電ローラの回転周期に応じて設定(例えば、約45mm程度の範囲に対応するサイズに設定)されてもよい。なお、図13(A)において平均化フィルタによるフィルタ処理の対象とならないパッチ群についてはS102における濃度測定が行われなくてもよい。
以上説明したように、本実施例では、非定常的な濃度ムラとして、帯電電圧ムラに起因する濃度ムラを想定している。この場合に、濃度ムラの影響が大きい低濃度では平均化フィルタのサイズを副走査方向に大きくし、影響が比較的小さい高濃度域では平均化フィルタのサイズを副走査方向に小さくしている。これにより、濃度測定データにおける非定常的な濃度ムラの影響を低減し、濃度測定データに基づいて補正対象の濃度ムラをより精度良く把握することが可能になる。その結果、非定常的な濃度ムラの影響に起因して、濃度ムラの補正処理において過補正又は補正不足が生じて補正精度が低下することを防止でき、即ち、補正対象の濃度ムラの補正精度が低下することを防止できる。
[実施例3]
実施例1及び2では、測定用チャート30に含まれるパッチごとの濃度測定値を含む濃度測定データに対してフィルタ処理、補正データの作成、及び補正データに基づく補正処理を行っている。実施例3では、濃度測定データの分解能を高め、より高い分解能でフィルタ処理を行うために、濃度測定データに対して補間処理を行う例について説明する。以下では、実施例1及び2と共通する部分については説明を省略し、主に実施例1と異なる部分について説明する。
図5(B)は、本実施例の画像形成装置10において実行される処理手順を示すフローチャートであり、S301が追加されている点で、実施例1及び2における処理手順(図5(A))と異なっている。
本実施例では、S102における濃度測定データの取得が完了すると、CPU11は、S301で、S102で取得された濃度測定データの補間処理を行う。例えば、実施例1で説明した例のように、測定用チャート30のパッチ間の間隔が10mmであり、画像形成の解像度が1200dpiである場合を想定する。この場合、主走査方向に隣り合うパッチ間において線形補間により等間隔に471個の濃度測定値を求めることにより、1画素ごとの濃度測定値を求めることができる。
S301の補間処理が完了すると、CPU11は、S103で、補間処理後の濃度測定データに基づいて、補正データの作成処理を行う。S1031のフィルタ処理に用いる平均化フィルタのサイズは、補間処理後の濃度測定データに合わせて設定すればよい。
このように、本実施例によれば、濃度測定データの補間処理により、平均化フィルタのサイズをより細かいサイズに設定することができ、フィルタ処理の分解能を高めることが可能となる。これにより、出力画像において非定常的な濃度ムラが表れる間隔に合わせて平均化フィルタのサイズを柔軟に変更することが可能になる。その結果、フィルタ処理により非定常的な濃度ムラの低減効果を高めることが可能になる。
[その他の実施例]
実施例1及び2では、フィルタ処理の処理対象の濃度域に応じて、平均化フィルタの主走査方向及び副走査方向のサイズをそれぞれ変更する例について説明した。しかし、平均化フィルタのサイズの変更は、主走査方向及び副走査方向の一方についてのみ行われるのではなく、両方について行われてもよい。
例えば、図13(B)に示すように、実施例1及び2を組み合わせて、平均化フィルタのサイズを、主走査方向においては濃度域が高いほど大きく、副走査方向においては濃度域が低いほど大きくなるように設定してもよい。このような平均化フィルタのサイズの設定により、複数の要因(トナーの補給量のムラ及び帯電電圧ムラ)によって出力画像に発生する非定常的な濃度ムラに対処することが可能になる。このため、フィルタ処理により非定常的な濃度ムラの低減効果を高めることが可能になる。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。したがって、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
10:画像形成装置、11:CPU、16:表示部、17:操作部、18:濃度センサ部、19:ネットワークI/F部、20:スキャナ部、21:画像処理部、22:プリンタ部、23:ファクシミリ通信部

Claims (11)

  1. 画像データに基づいてシートに画像を形成する画像形成手段と、
    前記画像形成手段によってシートに形成された、複数のパッチを含むチャート画像における各パッチの濃度を測定する測定手段と、
    前記測定手段による測定結果を示す濃度測定データに対して、濃度測定値の移動平均を行う平均化フィルタによるフィルタ処理を行う処理手段と、
    前記処理手段によるフィルタ処理後の前記濃度測定データに基づいて、前記画像形成手段による画像形成において生じる濃度ムラを補正するための補正データを作成する作成手段と、
    前記作成手段によって作成された前記補正データに基づいて、入力画像データを補正する補正手段と、を備え、
    前記処理手段は、前記濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて、前記平均化フィルタのサイズを変更する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記処理手段は、前記濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて、前記平均化フィルタの、シートの搬送方向に直交する方向である主走査方向のサイズと、前記搬送方向である副走査方向のサイズとの少なくともいずれかを変更する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記処理手段は、処理対象の濃度域が高いほど前記主走査方向のサイズが大きく、処理対象の濃度域が低いほど前記主走査方向のサイズが小さい前記平均化フィルタを用いて、前記濃度測定データに対して前記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記処理手段は、処理対象の濃度域が高いほど前記副走査方向のサイズが小さく、処理対象の濃度域が低いほど前記副走査方向のサイズが大きい前記平均化フィルタを用いて、前記濃度測定データに対して前記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
  5. 前記処理手段は、前記濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて、前記副走査方向のサイズよりも前記主走査方向のサイズが大きい前記平均化フィルタを用いて、前記濃度測定データに対して前記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記処理手段は、前記濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて、前記主走査方向のサイズよりも前記副走査方向のサイズが大きい前記平均化フィルタを用いて、前記濃度測定データに対して前記フィルタ処理を行う
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記チャート画像には、前記主走査方向に同一階調レベルの複数のパッチを含むパッチ群が配置され、前記副走査方向にそれぞれ異なる階調レベルに対応する複数のパッチ群が配置されている
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記補正手段は、前記複数のパッチ群のそれぞれについて、前記濃度測定データにおける濃度測定値の平均値を求め、前記平均値に対する、当該パッチ群に含まれる各パッチの濃度差に基づいて、当該濃度差を補正する補正量を決定し、決定した補正量に基づいて前記補正データを作成する
    ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記チャート画像において、シートの搬送方向に直交する方向である主走査方向に隣接して配置されたパッチ間で、前記濃度測定データに含まれる濃度測定値の補間処理を行う補間手段を更に備え、
    前記処理手段は、前記補間手段による補間処理後の前記濃度測定データに応じて前記フィルタ処理の分解能を高めるように、前記平均化フィルタのサイズを設定する
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記平均化フィルタのサイズは、前記移動平均の対象となる濃度測定値の数に対応する
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 画像データに基づいてシートに画像を形成する画像形成手段を備える画像形成装置の制御方法であって、
    前記画像形成手段によってシートに形成された、複数のパッチを含むチャート画像における各パッチの濃度を測定する測定工程と、
    前記測定工程における測定結果を示す濃度測定データに対して、濃度測定値の移動平均を行う平均化フィルタによるフィルタ処理を行う処理工程と、
    前記処理工程におけるフィルタ処理後の前記濃度測定データに基づいて、前記画像形成手段による画像形成において生じる濃度ムラを補正するための補正データを作成する作成工程と、
    前記作成工程において作成された前記補正データに基づいて、入力画像データを補正する補正工程と、を含み、
    前記処理工程では、前記濃度測定データにおける処理対象の濃度域に応じて、前記平均化フィルタのサイズを変更する
    ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
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