JP2021070811A - ポリアミド樹脂組成物ならびにそれからなる成形体および車載カメラ用部品 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物ならびにそれからなる成形体および車載カメラ用部品 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的特性、寸法安定性、吸湿条件下でのリフロー耐熱性に優れつつ、接着性にも優れるポリアミド樹脂組成物を提供する。【解決手段】半芳香族ポリアミド(A)と、非晶性ポリアミド(B)と、繊維状充填材(C)とを含有する樹脂組成物であって、(A)と(B)の質量比(A/B)が、90/10〜70/30であり、(C)の含有量が、(A)と(B)の合計100質量部に対して、40〜100質量部であり、温度85℃、相対湿度85%の条件で168時間吸湿処理した場合の飽和吸湿率が2.5質量%以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体、車載カメラ部品に関するものである。
近年、車両は、走行安全性を高めるために、車載カメラを設置することが多くなっている。車載カメラの構成部品のうち、カメラ筐体とカメラ鏡筒には、主に樹脂材料が使用されている。カメラ筐体は、カメラ機器の構造部品を収納するケース部品であり、カメラ鏡筒は、カメラ用のレンズを保持するホルダー部品である。いずれの部品も、カメラやレンズの保護や保持のため、機械的特性や寸法安定性に優れることが求められている。また、いずれの部品も、湿熱条件下、リフロー方式による電気配線のはんだ付けで高い温度に晒された場合であっても、寸法変化や外観変化が生じないリフロー耐性が求められている。
特許文献1や2には、カメラ筐体やカメラ鏡筒に、耐熱性に優れた半芳香族ポリアミドに、無機フィラーを配合した樹脂組成物を用いることが開示されている。しかしながら、特許文献1や2の樹脂組成物は、結晶性が高いため、前記樹脂組成物からなる部品は、通常これらの分野で用いられているエポキシ樹脂等の熱硬化性の接着剤に対して、接着しにくい場合があり、接着性が劣る部品は、力や衝撃が加わった際に、接着した相手部品から剥離する場合がある。
特開2010−286544号公報 特開2015−209521号公報
本発明は、上記課題を解決するものであって、機械的特性、寸法安定性、吸湿条件下でのリフロー耐熱性に優れつつ、接着性にも優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、非晶性ポリアミドと繊維状充填材とを特定量含有する半芳香族ポリアミドの樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)半芳香族ポリアミド(A)と、非晶性ポリアミド(B)と、繊維状充填材(C)とを含有する樹脂組成物であって、
(A)と(B)の質量比(A/B)が、90/10〜70/30であり、
(C)の含有量が、(A)と(B)の合計100質量部に対して、40〜100質量部であり、
温度85℃、相対湿度85%の条件で168時間吸湿処理した場合の飽和吸湿率が2.5質量%以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)半芳香族ポリアミド(A)が、テレフタル酸を主成分とする芳香族ジカルボン酸成分と、炭素数8以上の脂肪族ジアミンを主成分とする脂肪族ジアミン成分とを含有することを特徴とする(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)炭素数8以上の脂肪族ジアミンが、デカンジアミンであることを特徴とする(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)繊維状充填材(C)が、アミノシラン系カップリング剤により表面処理されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)繊維状充填材(C)が、アスペクト比10〜20の繊維状充填材と、アスペクト比3〜6の繊維状充填材とを含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)さらに、酸変性されたポリオレフィン(D)を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
(8)成形体における繊維状充填材(C)の平均長さが50μm以下であることを特徴とする(7)に記載の成形体。
(9)上記(7)または(8)に記載の成形体を含有する車載カメラ用部品。
本発明によれば、機械的特性、寸法安定性、吸湿条件下でのリフロー耐熱性に優れつつ、接着性にも優れるポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
接着強度を評価する方法の説明図である。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、半芳香族ポリアミド(A)と非晶性ポリアミド(B)と繊維状充填材(C)とを含有する。
本発明の樹脂組成物を構成する半芳香族ポリアミド(A)は、芳香族ジカルボン酸成分と、脂肪族ジアミン成分とを含有する。
半芳香族ポリアミド(A)の芳香族ジカルボン酸成分は、テレフタル酸を主成分として含有することが好ましい。本発明において、「テレフタル酸を主成分とする」とは、芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸を90モル%以上含有することを意味する。芳香族ジカルボン酸成分中のテレフタル酸の含有量は、95モル%以上であることが好ましく、100モル%であることがより好ましい。半芳香族ポリアミド(A)の芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸を主成分として含有しない場合、得られる樹脂組成物は、吸湿条件下でのリフロー耐熱性が低くなることがある。
芳香族ジカルボン酸成分は、テレフタル酸以外の他の芳香族ジカルボン酸を含有してもよい。他の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。
半芳香族ポリアミド(A)の脂肪族ジアミン成分は、炭素数8以上の脂肪族ジアミンを主成分として含有することが好ましい。本発明において、「炭素数8以上の脂肪族ジアミンを主成分とする」とは、脂肪族ジアミン成分が、炭素数8以上の脂肪族ジアミンを90モル%以上含有することを意味する。脂肪族ジアミン成分中の、炭素数8以上の脂肪族ジアミンの含有量は、95モル%以上であることが好ましく、100モル%であることがより好ましい。半芳香族ポリアミド(A)の脂肪族ジアミン成分が、炭素数8以上の脂肪族ジアミンを主成分として含有しない場合、得られる樹脂組成物は、加工性が低下することがある。
炭素数8以上の脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンが挙げられる、中でも、耐熱性と加工性のバランスの観点から、1、10−デカンジアミンがより好ましい。
脂肪族ジアミン成分は、炭素数8以上の脂肪族ジアミン以外の他の脂肪族ジアミンを含有してもよい。他の脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミンが挙げられる。
半芳香族ポリアミド(A)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸;脂肪族ジアミン以外のジアミン;ラクタム類;ω−アミノカルボン酸を含有してもよい。
芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジアミン以外のジアミンとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミン;メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
ラクタム類としては、例えば、カプロラクタム、ラウロラクタムが挙げられる。ω−アミノカルボン酸としては、例えば、アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸が挙げられる。
半芳香族ポリアミド(A)は、ジカルボン酸成分やジアミン成分の他に、モノカルボン酸成分を含有してもよい。モノカルボン酸成分としては、例えば、ステアリン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘン酸等の脂肪族モノカルボン酸;4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、アルキル安息香酸類、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸等の芳香族モノカルボン酸が挙げられる。中でも、加工性が向上することから、モノカルボン酸は、分子量が140以上であることが好ましく、汎用性が高いことから、ステアリン酸であることがより好ましい。なお、モノカルボン酸の分子量は、重合時に用いる原料のモノカルボン酸の分子量とする。
モノカルボン酸成分の含有量は、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、0.3〜5.0モル%であることが好ましく、0.6〜4.0モル%であることがより好ましく、1.0〜3.5モル%であることがさらに好ましい。モノカルボン酸成分の含有量が0.3〜5.0モル%であることにより、半芳香族ポリアミドは、分子量を大きく低下させずに加工性を向上させることができる。
半芳香族ポリアミド(A)は、従来から知られている加熱重合法や溶液重合法の方法を用いて製造することができる。中でも、工業的に有利である点から、加熱重合法が好ましく用いられる。加熱重合法としては、ジカルボン酸成分とジアミン成分とから反応生成物を得る工程(i)と、得られた反応生成物を重合する工程(ii)とからなる方法が挙げられる。
工程(i)としては、例えば、ジカルボン酸粉末を、予めジアミンの融点以上かつジカルボン酸の融点以下の温度に加熱し、この温度のジカルボン酸粉末とに、ジカルボン酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含まずに、ジアミンを添加する方法が挙げられる。または、別の方法としては、溶融状態のジアミンと固体のジカルボン酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得た後、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で、ジカルボン酸とジアミンの反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る方法が挙げられる。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。工程(i)としては、反応生成物の形状の制御が容易な前者の方が好ましい。
工程(ii)としては、例えば、工程(i)で得られた反応生成物を、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、半芳香族ポリアミドを得る方法が挙げられる。固相重合は、重合温度180〜270℃、反応時間0.5〜10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
工程(i)および工程(ii)の反応装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いればよい。工程(i)と工程(ii)を同じ装置でおこなってもよいし、異なる装置でおこなってもよい。
加熱重合法における加熱の方法は特に限定されないが、例えば、水、蒸気、熱媒油等の媒体にて反応容器を加熱する方法、電気ヒーターで反応容器を加熱する方法、攪拌により発生する攪拌熱等内容物の運動に伴う摩擦熱を利用する方法が挙げられる。また、これらの方法を組み合わせてもよい。
半芳香族ポリアミド(A)の製造において、重合の効率を高めるため重合触媒を用いてもよい。重合触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられる。重合触媒の添加量は、通常、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、2モル%以下で用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を構成する非晶性ポリアミド(B)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて窒素雰囲気下で16℃/分の昇温速度により測定される融解熱量が1cal/g以下のポリアミドである。
本発明において、非晶性ポリアミド(B)は、温度85℃、相対湿度85%の条件で168時間吸湿処理した場合の飽和吸湿率が3.0質量%以下であることが好ましく、2.7質量%以下であることがより好ましい。
非晶性ポリアミド(B)の飽和吸湿率が3.0質量%を超えると、得られる成形体は、吸湿による寸法変化率が大きくなることがあり、また吸湿した状態の成形体は、リフロー温度に晒された場合、ブリスターが発生することがある。
飽和吸湿率が3.0質量%以下の非晶性ポリアミド(B)の市販品としては、例えば、「リルサンクリアーG850」(飽和吸湿率2.7質量%、アルケマ社製)、「リルサンクリアーG170」(飽和吸湿率2.8質量%、アルケマ社製)が挙げられる。非晶性ポリアミド(B)は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリアミド(B)のガラス転移温度は特に限定されないが、80〜200℃であることが好ましく、110〜170℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が80℃未満であると、得られる樹脂組成物は、耐熱性が著しく低下する場合がある。一方、ガラス転移温度が200℃を超えると、得られる樹脂組成物は、エポキシ樹脂等の接着剤に対する接着性が低くなる場合がある。
本発明の樹脂組成物において、半芳香族ポリアミド(A)と非晶性ポリアミド(B)の質量比(A/B)は、90/10〜70/30であることが必要であり、85/15〜75/25であることが好ましい。樹脂組成物は、(A)の質量比率が、(A)と(B)の合計に対して、90質量%を超えると、エポキシ樹脂等の接着剤に対する接着性が低くなる。一方、前記質量比率が70質量%未満の場合、得られる成形体は、吸湿による寸法変化率が大きくなったり、吸湿した状態の成形体は、リフロー温度に晒された場合に、ブリスターが発生する。
本発明の樹脂組成物を構成する繊維状充填材(C)は、平均長さ/繊維径で定義されるアスペクト比が、3以上であることが好ましく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、金属繊維(ステンレス繊維、酸化アルミニウム繊維等)、セラミック繊維、ボロンウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、アスベスト、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、針状酸化チタン、セピオライト、ゾノトライト、ミルドファイバー、カットファイバーが挙げられる。中でも、汎用性が高いので、ガラス繊維、ワラストナイトが好ましい。これらの繊維状充填材は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
繊維状充填材の表面は、半芳香族ポリアミド(A)中への分散性を高める目的で、アミノシラン系カップリング剤やエポキシ樹脂によって表面処理されていることが好ましく、中でも、機械的特性や、エポキシ樹脂等の接着剤に対する接着性を向上させる観点から、アミノシラン系カップリング剤によって表面処理されていることがより好ましい。アスペクト比が3未満の充填材を用いた場合、エポキシ樹脂等の接着剤に対する接着性が小さくなることがある。
本発明において、繊維状充填材(C)の、成形体における平均長さは、吸湿による寸法変化の異方性が低減することから、50μm以下であることが好ましい。なお、繊維状充填材(C)の「平均長さ」とは、成形体中の500個の充填材について、各充填材の最も長い部分の長さを平均した値である。原料として用いる繊維状充填材(C)は、平均長さが特に限定されないが、成形体において平均長さが50μm以下となるものが好ましい。原料として用いる繊維状充填材(C)の平均長さの下限は、特に限定されないが、原料の取り扱いの観点から、0.1μmであることが好ましい。
樹脂組成物における繊維状充填材(C)は、アスペクトの異なる2種類の繊維状充填材(C)を含有すると、得られる成形体は、吸湿による寸法変化の異方性を小さくすることができることから、アスペクト比が10〜20の繊維状充填材(C)と、アスペクト比が3〜6の繊維状充填材(C)とを、質量比(C/C)40/60〜60/40で含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物における繊維状充填材(C)の含有量は、半芳香族ポリアミド(A)と非晶性ポリアミド(B)の合計100質量部に対して、40〜100質量部であることが必要であり、50〜80質量部であることが好ましい。樹脂組成物は、繊維状充填材(C)の含有量が40質量部未満の場合、機械的特性が低下することに加え、エポキシ樹脂等の接着剤に対する接着性が低くなり、前記含有量が100質量部を超えると、半芳香族ポリアミド(A)や非晶性ポリアミド(B)との溶融混練が困難となり、ペレットを製造することができなくなる。
本発明の樹脂組成物において、繊維状充填材(C)100質量部に対する非晶性ポリアミド(B)の含有量は、10〜50質量部であることが好ましい。非晶性ポリアミド(B)の含有量が10質量部未満であると、樹脂組成物は、溶融粘度が高くなり、ペレットを製造することができない場合があり、非晶性ポリアミド(B)の含有量が50質量部を超えると、樹脂組成物は、機械的特性が低下する場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、曲げ弾性率が低くなり耐衝撃性が向上することから、さらに、酸変性されたポリオレフィン(D)を含有してもよい。
酸変性されたポリオレフィンとは、モノマー成分として不飽和カルボン酸をさらに含有するポリオレフィンである。不飽和カルボン酸の含有量は、酸変性ポリオレフィン100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。
酸変性されたポリオレフィン(D)としては、例えば、エチレン/オレフィン系モノマー/不飽和カルボン酸共重合体、エチレン/芳香族ビニル系モノマー/ジエン系モノマー/不飽和カルボン酸共重合体が挙げられる。エチレン/オレフィン系モノマー/不飽和カルボン酸共重合体の市販品としては、例えば、「タフマーMH5020」(無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体、三井化学社製)が挙げられる。また、エチレン/芳香族ビニル系モノマー/ジエン系モノマー/不飽和カルボン酸共重合体の市販品としては、「タフテックM1943」(無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、旭化成社製)が挙げられる。
ポリアミド樹脂組成物が、酸変性されたポリオレフィン(D)を含有する場合、酸変性されたポリオレフィン(D)の含有量は、半芳香族ポリアミド(A)と非晶性ポリアミド(B)の合計100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、繊維状充填材(C)以外の他の充填材、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、結晶核剤等の添加剤を含有してもよい。
繊維状充填材(C)以外の他の充填材としては、粒子状、板状、不定形状の充填材が挙げられる。その含有量は、ポリアミド樹脂組成物において、30質量%以下であることが好ましい。ただし、粒子状の充填材を含有する場合、接着性の観点から、ポリアミド樹脂組成物における含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
上記充填材以外の添加剤の含有量は、ポリアミド樹脂組成物において、2質量%以下であることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、温度85℃、相対湿度85%の条件で168時間吸湿処理した場合の飽和吸湿率が、2.5質量%以下であることが必要であり、2.0質量%以下であることが好ましい。樹脂組成物の飽和吸水率が2.5質量%を超えると、得られる成形体は、吸湿による寸法変化率が大きくなったり、吸湿した状態の成形体は、リフロー温度に晒された場合に、ブリスターが発生したりする。飽和吸湿率が2.0質量%以下の樹脂組成物は、飽和吸水率が3.0質量%以下の非晶性ポリアミド(B)を原料として用いることにより製造することができる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる、本発明の成形体は、機械的特性に優れ、曲げ強度を150MPa以上とすることができ、好ましくは、170MPa以上とすることができ、また、曲げ弾性率を5.0GPa以上とすることができ、好ましくは7.0MPa以上とすることができる。
また、本発明の成形体は、寸法安定性に優れ、真円度を2.0%以下とすることができ、好ましくは、1.0%以下とすることができる。
また、本発明の成形体は、リフロー耐熱性に優れ、吸湿による寸法変化率を、MD、TDともに、0.15%以下とすることができ、好ましくは、0.12%以下とすることができ、吸湿した状態の成形体は、リフロー温度に晒されても、ブリスター発生を抑制することができる。
また、本発明の成形体は、エポキシ樹脂等の接着剤に対する接着性が大きくなり、後述する評価方法で測定される接着強度を、2.5MPa以上とすることができ、好ましくは、3.0MPa以上とすることができる。
本発明において、半芳香族ポリアミド(A)と、非晶性ポリアミド(B)と、繊維状充填材(C)とから、樹脂組成物を製造する方法は特に限定されないが、溶融混練法がより好ましい。溶融混練法としては、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押出機、二軸押出機等を用いる方法が挙げられる。溶融混練温度は、半芳香族ポリアミド(A)が溶融し分解しない領域から選ばれ、通常、(A)の融点をTmとして、(Tm−20℃)〜(Tm+50℃)で混練することが好ましい。
本発明の樹脂組成物の加工方法としては、例えば、溶融混合物をストランド状に押出しペレット形状にする方法;溶融混合物をホットカットやアンダーウォーターカットしてペレット形状にする方法;シート状に押出しカッティングする方法;ブロック状に押出し粉砕してパウダー形状にする方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、焼結成形法が挙げられ、機械的特性、成形性の向上効果が大きいことから、射出成形法が好ましい。射出成形機は特に限定されないが、例えば、スクリューインライン式射出成形機またはプランジャ式射出成形機が挙げられる。射出成形機のシリンダー内で加熱溶融されたポリアミド樹脂組成物は、ショットごとに計量され、金型内に溶融状態で射出され、所定の形状で冷却、固化された後、成形体として金型から取り出される。射出成形時の樹脂温度は、半芳香族ポリアミド(A)の融点をTmとして、Tm以上とすることが好ましく、(Tm+50℃)未満とすることがより好ましい。なお、ポリアミド樹脂組成物の加熱溶融時には、用いるポリアミド樹脂組成物ペレットは、十分に乾燥されたものであることが好ましい。含有する水分量が多いと、射出成形機のシリンダー内で樹脂が発泡し、最適な成形体を得ることが困難となることがある。射出成形に用いるポリアミド樹脂組成物ペレットの水分率は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、0.3質量部未満であることが好ましく、0.1質量部未満であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、機械的特性、寸法安定性、リフロー耐熱性に優れつつ、接着性にも優れているため、車載カメラ用部品に好適に用いることができ、中でも、鏡筒や筐体に、より好適に用いることができる。また、その他、電気電子コネクタ、スイッチ、アルミ電解コンデンサ端子台、アクチュエータ部品等にも用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
A.測定方法
(1)融点、ガラス転移温度
十分に乾燥した半芳香族ポリアミドや非晶性ポリアミドのペレットを削り、その削り屑10mgを、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7を用いて、窒素雰囲気下、下記の条件で測定した。
すなわち、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温(1st scan)し、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温し、25℃で5分間保持した。再び昇温速度20℃/分で昇温(2nd scan)した。1st scanの昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を、ガラス転移温度(Tg)とし、2nd scanの吸熱ピークのトップを融点(Tm)とした。
(2)相対粘度
上記(1)で得られた削り屑を96質量%硫酸に溶解させ、濃度1g/dL、25℃の条件で測定した。
(3)非晶性ポリアミド(B)の飽和吸湿率
非晶性ポリアミド(B)のペレットを十分に乾燥した後、ファナック社製射出成形機(α−100iA)を用いて、非晶性ポリアミド(B)のガラス転移点をTgとして、シリンダー温度(Tg+110℃)、金型温度(Tg−90℃)の条件で、肉厚1mmの60mm角の板状試験片を作製し、得られた板状試験片を温度85℃、相対湿度85%の条件下で168時間吸湿処理したのち、処理前後の質量から、下記式より算出した。
飽和吸湿率(%)=(吸湿処理後質量−吸湿処理前質量)/吸湿処理前質量×100
(4)曲げ強度、曲げ弾性率
得られた樹脂組成物のペレットを十分に乾燥した後、ファナック社製射出成形機(α−100iA)を用いて、用いた半芳香族ポリアミドの融点をTmとして、シリンダー温度(Tm+15℃)、金型温度(Tm−190℃)の条件で、ダンベル片を作製した。
得られたダンベル片を用いて、ISO178に準拠して、曲げ強度や曲げ弾性率を測定した。
(5)真円度
上記(4)におけるダンベル片の作製条件と同じ条件で、外径15mm×内径13mm×厚み2mmのリング状試験片を作製した。
得られたリング状試験片の内径を、画像寸法測定機(キーエンス社製VM−8040)を用いて測定して、下記式より真円度を算出した。
真円度[%]=(最大内径―最小内径)/平均内径×100
(6)樹脂組成物の飽和吸湿率
上記(4)におけるダンベル片の作製条件と同じ条件で、幅20mm×長さ20mm×厚み2mmの板状試験片を作製した。金型は、20mm×2mmの面にフィルムゲートを有するものを用いた。
得られた板状試験片の質量を測定して、「吸湿処理前質量」とした。その後、温度85℃、相対湿度85%の条件下で板状試験片を168時間静置した後、測定した板状試験片の質量を「吸湿処理後質量」として、下記式より飽和吸湿率を測定した。
飽和吸湿率[%]=(吸湿処理後質量−吸湿処理前質量)/{吸湿処理前質量×(100−灰分[%])/100)}×100
なお、灰分は、上記方法で作製した複数個の板状試験片を削り、削り屑約2gをるつぼに入れ、電気炉にて600℃で12時間処理して求めた。
(7)吸湿寸法変化率
上記(6)に記載の方法で作製した板状試験片の4辺の長さを測定し、MD(流動方向)、TD(MDと直交する方向)の平均値を算出し、吸湿前寸法とした。この板状試験片を(5)と同じ条件で吸湿した後、同様に板状試験片の4辺の長さを測定し、吸湿後寸法とした。下記式から吸湿寸法変化率を算出した。
吸湿寸法変化率[%]=(吸湿処理後寸法−吸湿処理前寸法)/吸湿処理前寸法×100
(8)耐ブリスター性
上記(6)において吸湿させた板状試験片4枚を、赤外線加熱式のリフロー炉中、150℃で1分間加熱した後、100℃/分の速度で265℃まで昇温して10秒間処理をおこなった。
上記リフロー処理後、目視でブリスターが発生した板状試験片の枚数で、耐ブリスター性を評価した。
(9)繊維状充填材(C)の平均長さ
上記(6)に記載の方法で作製した複数個の板状試験片を削り、削り屑約2gをるつぼに入れ、電気炉にて600℃で12時間処理した。その後、るつぼ内に残った灰を、水中で分散後、ランダムに抽出し、マイクロスコープを用いて観察し、充填材の寸法を測定した。充填材の最も長い部分をその充填材の長さとし、500個の充填材を測定し、平均した値をその充填材の「平均長さ」とした。
(10)接着強度
上記(4)におけるダンベル片の作製条件と同じ条件で、JIS K 7139 A1型ダンベル試験片を作製した。
このダンベル試験片の平行部の中央において、流動方向と直交する方向に切断して、図1にように2枚の試験片2a、2bを得た。片方の試験片2aに接着面積が100mm(10mm×10mm)となるように1液型のエポキシ接着剤(パナソニック社製「CV5350AS」)1を塗布した。塗布後、図1のように、もう片方の試験片2bを重ね合わせて、90℃×1時間の条件で熱処理をおこなった。
接着した試験片の両端を引張試験機に取り付け、引張速度10mm/分で引張試験をおこない、接着強度を測定した。
B.原料
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)芳香族ジカルボン酸成分
・TPA:テレフタル酸
(2)脂肪族ジアミン成分
・HDA:1,6−ヘキサンジアミン
・MPDA:2−メチルペンタンジアミン
・NDA:1,9−ノナンジアミン
・DDA:1,10−デカンジアミン
(3)モノカルボン酸成分
・STA:ステアリン酸
(4)重合触媒
・SHP:次亜リン酸ナトリウム一水和物
(5)半芳香族ポリアミド(A)
・ポリアミド10T
[工程(i)]
TPA粉末4560質量部、重合触媒9質量部、STA490質量部を、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、100℃に加温したDDA4950質量部を、33質量部/分の速度で、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)にTPA粉末に添加し反応生成物を得た。原料モノマーのモル比は、DDA:TPA:STA=49.6:47.4:3.0(原料モノマーの末端基の当量比率はDDA:TPA:STA=50.4:48.1:1.5)であった。
[工程(ii)]
工程(i)で得られた反応生成物を、引き続き工程(i)で用いたリボンブレンダー式の反応装置内で、窒素気流下、230℃に昇温し、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド10Tを得た。
・ポリアミド9T、ポリアミド6T
樹脂組成を表1のように変更する以外は、ポリアミド10Tを製造した場合と同様の操作をおこなって、ポリアミド9T、ポリアミド6Tを得た。
表1に、ポリアミド10T、ポリアミド9T、ポリアミド6Tの樹脂組成およびその特性値を示す。
Figure 2021070811
(6)脂肪族ポリアミド
・ポリアミド66:旭化成製Leona1200、温度85℃、Tm260℃
(7)非晶性ポリアミド(B)
・G850:アルケマ社製リルサンクリアーG850、飽和吸湿率2.7%、Tg147℃
・G170:アルケマ社製リルサンクリアーG170、飽和吸湿率2.8%、Tg168℃
・G21:エムスケミージャパン社製GrivoryG21、飽和吸湿率4.4%、Tg125℃
(8)繊維状充填材(C)
・4w10012:NYCO/巴工業社製4w10012、ワラストナイト(アミノシラン未処理品)、繊維径4.5μm×繊維長50μm、アスペクト比11
・SH−800S:キンセイマテック社製SH−800S、ワラストナイト(アミノシラン処理品)、繊維径8μm、アスペクト比15
・FPW−400S:キンセイマテック社製FPW−400S、ワラストナイト(アミノシラン処理品)、繊維径8μm、アスペクト比5
・T−262H:日本電気硝子社製T−262H、ガラス繊維(アミノシラン処理品)、繊維径11μm×繊維長3mm、アスペクト比272
・4w:イメリス社製4w、ワラストナイト(未処理品)、繊維径4.5μm×繊維長50μm、アスペクト比11
(9)板状充填材
・マイカ:レプコ社製S−325(アミノシラン未処理品)、平均粒径27μm、アスペクト比30
・タルク:日本タルク社製MSZ−C(アミノシラン処理品)、平均粒径11.5μm
(10)酸変性されたポリオレフィン(D)
・MH5020:三井化学社製タフマーMH5020、無水マレイン酸変性エチレン−1−ブテン共重合体
実施例1
半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T)80質量部と非晶性ポリアミド(G850)20質量部をドライブレンドし、混合物を得た。
上記混合物を、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS)の主供給口に供給し、サイドフィーダーより繊維状充填材(4w10012)100質量部を供給し、溶融混練をおこなった。シリンダー温度は(ポリアミド10Tの融点+10℃)、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/時間であった。その後、ストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
実施例2〜13、比較例1〜12
樹脂組成を表2、3に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。
比較例13
4w10012の配合量を150質量部とした以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得ようとしたが、繊維状充填材の含有量が高かったため、ペレットを得ることができなかった。
実施例1〜13、比較例1〜12で得られたポリアミド樹脂組成物の樹脂組成およびその特性値を表2〜3に示す。
Figure 2021070811
Figure 2021070811
実施例1〜13のポリアミド樹脂組成物は飽和吸湿率が小さく、成形体は、曲げ強度、曲げ弾性率が高く、吸湿寸法変化率が小さく、吸湿した状態でリフロー温度に晒されても、ブリスターが発生しにくく、エポキシ樹脂に対する接着強度が高かった。
実施例3、7、8のポリアミド樹脂組成物を対比すると、繊維状充填材(C)として、アスペクト比が10〜20の繊維状充填材と、アスペクト比が3〜6の繊維状充填材とを併用した実施例7、8の方が、アスペクト比が10〜20の繊維状充填材単独を用いた実施例3よりも、真円度が低く、吸湿による寸法変化の異方性が小さいことがわかる。
実施例3、10のポリアミド樹脂組成物を対比すると、アミノシラン処理をしたワラストナイトを用いた実施例3の方が、未処理のワラストナイトを用いた実施例10よりも、曲げ強度および接着強度が高いことがわかる。
実施例3、12のポリアミド樹脂組成物を対比すると、酸変性ポリオレフィンを用いた方が、曲げ弾性率が低いことがわかる。
実施例1、11のポリアミド樹脂組成物を対比すると、繊維状充填材と板状充填材を併用した実施例11の方が、真円度が低く、吸湿による寸法変化の異方性が小さいことがわかる。
比較例1〜5のポリアミド樹脂組成物は、非晶性ポリアミドを含有しないため、成形体は、接着強度が低かった。
比較例6のポリアミド樹脂組成物は、飽和吸湿率が高い非晶性ポリアミドを用いたため、成形体は、吸湿率が高くなり、吸湿による寸法変化が大きかった。
比較例7のポリアミド樹脂組成物は、半芳香族ポリアミドと非晶性ポリアミドの合計に対する半芳香族ポリアミドの質量比率が低かったため、成形体は、吸湿による寸法変化が大きく、吸湿した状態の成形体は、リフロー温度に晒されると、ブリスターが発生した。
比較例8のポリアミド樹脂組成物は、半芳香族ポリアミドとしてポリアミド6Tを用いたため、飽和吸水率が高くなり、成形体は、吸湿による寸法変化が大きく、吸湿した状態の成形体は、リフロー温度に晒されると、ブリスターが発生した。
比較例9のポリアミド樹脂組成物は、繊維状充填材を含有しないため、成形体は、曲げ強度、曲げ弾性率および接着強度が低く、また、吸湿による寸法変化が大きかった。
比較例10のポリアミド樹脂組成物は、繊維状充填材ではなく板状充填材であるタルクを用いたため、曲げ強度、曲げ弾性率および接着強度が低かった。
比較例11のポリアミド樹脂組成物は、繊維状充填材ではなく板状充填材であるマイカを用いたため、接着強度が低かった。
比較例12のポリアミド樹脂組成物は、繊維状充填材の含有量が少なかったため、曲げ強度、曲げ弾性率および接着強度が低かった。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)半芳香族ポリアミド(A)と、非晶性ポリアミド(B)と、繊維状充填材(C)とを含有する樹脂組成物であって、
(A)と(B)の質量比(A/B)が、90/10〜70/30であり、
(C)の含有量が、(A)と(B)の合計100質量部に対して、40〜100質量部であり、
温度85℃、相対湿度85%の条件で168時間吸湿処理した場合の飽和吸湿率が2.5質量%以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)半芳香族ポリアミド(A)が、テレフタル酸を主成分とする芳香族ジカルボン酸成分と、炭素数8以上の脂肪族ジアミンを主成分とする脂肪族ジアミン成分とを含有することを特徴とする(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)炭素数8以上の脂肪族ジアミンが、デカンジアミンであることを特徴とする(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)非晶性ポリアミド(B)の、温度85℃、相対湿度85%の条件で168時間吸湿処理した場合の飽和吸湿率が3.0質量%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
)繊維状充填材(C)が、アミノシラン系カップリング剤により表面処理されていることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
)繊維状充填材(C)が、アスペクト比10〜20の繊維状充填材と、アスペクト比3〜6の繊維状充填材とを含有することを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
)さらに、酸変性されたポリオレフィン(D)を含有することを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
)上記(1)〜()のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
)成形体における繊維状充填材(C)の平均長さが50μm以下であることを特徴とする()に記載の成形体。
10)上記()または()に記載の成形体を含有する車載カメラ用部品。

Claims (9)

  1. 半芳香族ポリアミド(A)と、非晶性ポリアミド(B)と、繊維状充填材(C)とを含有する樹脂組成物であって、
    (A)と(B)の質量比(A/B)が、90/10〜70/30であり、
    (C)の含有量が、(A)と(B)の合計100質量部に対して、40〜100質量部であり、
    温度85℃、相対湿度85%の条件で168時間吸湿処理した場合の飽和吸湿率が2.5質量%以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. 半芳香族ポリアミド(A)が、テレフタル酸を主成分とする芳香族ジカルボン酸成分と、炭素数8以上の脂肪族ジアミンを主成分とする脂肪族ジアミン成分とを含有することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 炭素数8以上の脂肪族ジアミンが、デカンジアミンであることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 繊維状充填材(C)が、アミノシラン系カップリング剤により表面処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 繊維状充填材(C)が、アスペクト比10〜20の繊維状充填材と、アスペクト比3〜6の繊維状充填材とを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. さらに、酸変性されたポリオレフィン(D)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
  8. 成形体における繊維状充填材(C)の平均長さが50μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の成形体。
  9. 請求項7または8に記載の成形体を含有する車載カメラ用部品。

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