JP2009001739A - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、耐衝撃性が高く、耐熱性に優れたポリ乳酸含有熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的としている。
【解決手段】 本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸:100重量部、2種以上の充填材を乾式にて高速撹拌して得られるハイブリッドフィラー:5〜60重量部、および必要に応じ、ゴム成分:0〜50重量部を混合して得られる。ハイブリッドフィラーとしては、アスペクト比が5〜100である繊維状充填材と、アスペクト比が1〜2である粒子状充填材とを乾式にて高速撹拌することにより得られるフィラーが特に好ましく用いられる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ乳酸を含む熱可塑性樹脂組成物および該組成物を成形してなる成形品、ならびに該組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、耐熱性、耐衝撃性の改善されたポリ乳酸含有熱可塑性樹脂組成物に関する。
一般に熱可塑性樹脂からなる各種成形品は、原油などの埋蔵化石資源を原料に用いて合成されるものが多く、埋蔵化石資源の使用量抑制の観点から、近年、植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂の利用が強く要求されてきている。
植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂は、植物の成長過程で二酸化炭素を吸収しているため、たとえば、廃棄時に焼却された場合でも、環境中の二酸化炭素濃度が増大しないという性質も有している。そのため、植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂は、埋蔵化石資源の使用量抑制という点に加えて、二酸化炭素発生量を削減でき、ひいては地球温暖化防止などの環境問題を解決し得るものとして期待されている。
このような植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂として、ポリ乳酸が知られている。ポリ乳酸は、高い融点を持ち、また溶融成形が可能で、しかも、生分解性を有するため、植物由来の原料を用いて合成される熱可塑性樹脂として特に期待されている。しかしながら、ポリ乳酸は、脆く耐衝撃性が低いため、実際上、使用できる分野が限られていた。
耐衝撃性の改善のため、たとえば、特許文献1では、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル樹脂と、繊維状無機充填材とからなる乳酸系樹脂組成物が開示されている。なお、特許文献1においては、アスペクト比が5未満の充填材については、充填材同士の相互作用が低くなり、好ましくない旨が記載されている。
特開2002−105298号公報
特許文献1に記載のように、繊維状充填材を添加することで、ポリ乳酸含有樹脂組成物の耐衝撃性はある程度改善される。しかし、様々な用途への展開においては、耐衝撃性のさらなる向上が要望される。また、ポリ乳酸は高い融点を有するものの、高温環境下での使用など多用途展開を図る上では、耐熱性のさらなる向上が要望される。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、耐衝撃性が高く、耐熱性に優れたポリ乳酸含有熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
かかる課題を解決する本発明は、以下の事項を要旨として含む。
(1)ポリ乳酸:100重量部、
2種以上の充填材を乾式にて高速撹拌して得られるハイブリッドフィラー:5〜60重量部、および必要に応じ、
ゴム成分:0〜50重量部を混合して得られる熱可塑性樹脂組成物。
(2)ポリ乳酸100重量部に対して、前記ハイブリッドフィラーを15〜40重量部の割合で混合して得られる(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)前記ハイブリッドフィラーが、少なくとも、アスペクト比が5〜100である繊維状充填材と、アスペクト比が1〜2である粒子状充填材とを乾式にて高速撹拌することにより得られるフィラーである(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記繊維状充填材が、ウォラストナイトである(3)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)前記粒子状充填材が、粒子状炭酸カルシウムである(3)または(4)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6)前記ハイブリッドフィラーが、アスペクト比が5〜100のウォラストナイト50〜90重量%と、アスペクト比が1〜2の粒子状炭酸カルシウム50〜10重量%とを乾式にて高速撹拌することにより得られるフィラーである(1)〜(5)の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(7)前記ハイブリッドフィラーが、シランカップリング剤および/またはチタネートカップリング剤で表面処理されている(1)〜(6)の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(8)前記ゴム成分が、アクリルゴムである(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(9)前記ポリ乳酸のメルトマスフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が3〜25g/10分である(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(10)前記(1)〜(9)の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
(11)2種以上の充填材を乾式にて高速撹拌してハイブリッドフィラーを得る工程と、
ポリ乳酸:100重量部、
前記工程により得られたハイブリッドフィラー:5〜60重量部、および必要に応じ、
ゴム成分:0〜50重量部を混合する工程と、を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
本発明によれば、耐衝撃性が高く、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物、その製法および該組成物を成形してなる成形品について説明する。
熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸、ハイブリッドフィラー、および必要に応じ、ゴム成分を混合して得られる。
ハイブリッドフィラーは、ポリ乳酸100重量部に対して、5〜60重量部、好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは15〜40重量部の割合で混合される。ハイブリッドフィラーを上記範囲で混合することで、ポリ乳酸含有樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性が改善される。また、本発明の組成物に、さらにゴム成分を混合することで、上記特性、特に耐衝撃性のさらなる改善が図られる。ゴム成分を混合する場合、その配合量は、ポリ乳酸100重量部に対して、50重量部以下であり、好ましくは5〜45重量部、さらに好ましくは10〜35重量部である。ゴム成分の配合量が多すぎると、耐熱性が低下する場合がある。
まず、本発明で使用するポリ乳酸、ハイブリッドフィラー、および必要に応じ配合されるゴム成分について、さらに具体的に説明する。
ポリ乳酸
本発明で用いるポリ乳酸としては、乳酸の単独重合体である乳酸ホモポリマーの他、乳酸と他の化合物とを共重合させた乳酸コポリマー、さらには、これらをブレンドしたブレンドポリマーが挙げられる。
ポリ乳酸は、射出成形できる程度の加工性を有し、そのメルトマスフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは3〜25g/10分であり、さらに好ましくは5〜20g/10分である。ポリ乳酸のMFRが低すぎると、加工性が低下し、また、ハイブリッドフィラーとの混和性が低下するおそれがある。一方、ポリ乳酸のMFRが高すぎると、得られる樹脂組成物の耐熱性および耐衝撃性が低下するおそれがある。また、ポリ乳酸におけるL−乳酸単位とD−乳酸単位との構成重量比W/Wは、特に限定はされないが、融点を高くすることができるという点より、L−乳酸、D−乳酸のいずれか一方の単位を75重量%以上含有していることが好ましく、90重量%以上含有していることがより好ましい。本発明では、L−乳酸単位を、好ましくは75重量%以上、特に、90重量%以上含有するものが好ましい。
乳酸コポリマーは、乳酸モノマー、または乳酸モノマーより合成することができるラクチドと共重合可能な他の成分が、乳酸モノマーとともに共重合されたものである。このような共重合可能な他の成分としては、エステル結合を形成可能な官能基を2個以上有する化合物が挙げられ、たとえば、ジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどや、これらを構成成分とする各種ポリエステル、各種ポリエーテルなどが挙げられる。
ポリ乳酸の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法で製造することができるが、たとえば、次の方法により製造することができる。
まず、原料となるサトウキビ、とうもろこし、芋類などから乳酸の濃縮・精製品を生成させる。具体的には、原料となるサトウキビ等を絞ることにより、粗糖溶液を採取し、得られた粗糖溶液を濃縮する。そして、濃縮した粗糖溶液に発酵菌体を投入し、発酵させて粗乳酸を生成させる。次いで、粗乳酸溶液から発酵菌体を取り除き、濃縮処理を行う。最後に、得られた濃縮処理液を、蒸発精製処理により再び濃縮することにより、乳酸の濃縮・精製品(液状)を得る。
次いで、上記にて得られた乳酸の濃縮・精製品を重合させ、ポリ乳酸を得る。
具体的には、まず、乳酸の濃縮・精製品をさらに濃縮した後、脱水縮合反応させることによりオリゴマーを生成させる。次いで、得られたオリゴマーを反応させて粗ラクチドとし、得られた粗ラクチドを溶融晶析してラクチドを精製する。そして、得られたラクチドを開環重合させることにより、ポリ乳酸を得ることができる。
なお、ポリ乳酸を乳酸コポリマーとする場合には、乳酸モノマーからオリゴマーを生成させる際、オリゴマーから粗ラクチドを生成させる際、またはラクチドを開環重合させる際に、乳酸モノマーと共重合可能な他の成分を適宜添加すれば良い。
ハイブリッドフィラー
本発明で用いるハイブリッドフィラーは、2種以上の充填材を、乾式にて高速撹拌することにより得られるフィラーである。
ハイブリッドフィラーは、2種以上の充填材を、乾式にて高速撹拌することにより得られるものであれば良く、高速撹拌する際の撹拌条件は特に限定されないが、たとえば、ヘンシェルミキサー等を用いて、回転翼の周速(翼先端速度)が、通常10〜60m/s、好ましくは15〜55m/sとなるように、撹拌することにより得られる。
2種以上の充填材を高速撹拌し、ハイブリッドフィラー化することにより、上記したポリ乳酸中への分散性を高めることができる。
また、ハイブリッドフィラーを構成する2種以上の充填材としては、特に限定されないが、本発明では、繊維状充填材と、粒子状充填材とを含有し、これら繊維状充填材と、粒子状充填材とを乾式にて高速撹拌することにより得られるものであることが好ましい。特に、このような繊維状および粒子状の充填材を用いることにより、得られる成形体の耐熱性や耐衝撃性を向上させることができる。
繊維状充填材のアスペクト比は、好ましくは5〜100、さらに好ましくは10〜50、特に好ましくは15〜35である。アスペクト比が小さすぎると、得られる成形体の耐熱性や耐衝撃性が不十分となる場合がある。一方、大きすぎると、射出成形を行う際に型内に注入するための注入ノズルが詰まるおそれがある。
なお、本発明において充填材のアスペクト比とは、充填材の平均長軸径と50%体積累積径との比である。ここで、平均長軸径は光学顕微鏡写真で無作為に選んだ100個の充填材の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均長軸径である。また、50%体積累積径は、X線透過法で粒度分布を測定することにより求められる値である。
繊維状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。50%体積累積径が大きすぎても小さすぎても、得られる成形体の耐熱性や耐衝撃性が不十分となる場合がある。
繊維状充填材の具体例としては、ガラス繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、ゾノライト、塩基性硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、テトラポット型酸化亜鉛、石膏繊維、ホスフェート繊維、アルミナ繊維、針状炭酸カルシウム、針状ベーマイトなどを挙げることができる。なかでも、少ない添加量で耐熱性や耐衝撃性を改善できることから、ウォラストナイトが好ましい。
粒子状充填材のアスペクト比は、好ましくは1〜2、さらに好ましくは1〜1.5である。また、粒子状充填材の50%体積累積径は、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜30μmである。50%体積累積径が大きすぎても小さすぎても、得られる成形体の耐熱性や耐衝撃性が不十分となる場合がある。
粒子状充填材の具体例としては、粒子状炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、粒子状酸化亜鉛、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化アンチモン、赤燐、各種金属粉、クレー、各種フェライト、ハイドロタルサイトなどを挙げることができる。これらの粒子状充填材は、中空体としたものであってもよい。なかでも、耐熱性や耐衝撃性の改善性という点より、粒子状炭酸カルシウムが好ましい。
これら繊維状充填材と、粒子状充填材とを使用する場合における、これらの比率は、重量比で、繊維状充填材:粒子状充填材=95:5〜5:95の範囲が好ましく、95:5〜50:50の範囲がより好ましく、90:10〜50:50がさらに好ましく、80:20〜60:40の範囲が特に好ましい。繊維状充填材と粒子状充填材との比率を、上記範囲とすることにより、得られる成形体の耐熱性や耐衝撃性が顕著に改善される。
特に、上記のような繊維状充填材と、粒子状充填材とを乾式にて高速撹拌し、これら繊維状充填材と、粒子状充填材とを含むハイブリッドフィラーとすることにより、次のような効果を奏する。すなわち、繊維状充填材および粒子状充填材の凝集塊を解砕することができ、しかもこれらの充填材を均一に分散させることができるため、ポリ乳酸に配合させた場合における、分散性を向上させることができる。そのため、得られる成形体中へも良好に分散させることができ、そのため、これらの充填材の添加効果をさらに高めることができる。
なお、2種以上の充填材(たとえば、繊維状充填材、粒子状充填材)を乾式にて高速撹拌し、ハイブリッドフィラー化する際には、表面を疎水化処理することが好ましい。疎水化処理することにより、ポリ乳酸中への分散性のさらなる向上を図ることができ、その結果、得られる成形体の耐熱性や耐衝撃性のさらなる向上を図ることができる。疎水化処理に用いられる処理剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、脂肪酸、油脂、界面活性剤、ワックス、その他の高分子などが挙げられるが、特に、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤が好ましい。なお、これらは、併用しても良い。
また、ハイブリッドフィラーを疎水化処理する方法としては、特に限定されず、たとえば、(1)ハイブリッドフィラーを構成する各充填材及び処理剤を合わせて仕込み、乾式にて高速撹拌する方法、(2)各充填材を合わせて仕込み、乾式にて高速撹拌した後に処理剤を添加し、さらに乾式にて高速撹拌する方法、(3)各充填材に別々に処理剤を添加し、乾式にて高速撹拌した後に混合し、更に乾式にて高速撹拌する方法、などが挙げられる。これらのなかでも、上記(2)の方法が好ましく、特にこの場合においては、処理剤を添加する際には、噴霧する方法などにより除々に添加していくことが好ましい。
ハイブリッドフィラーの混合割合は、ポリ乳酸100重量部に対して、5〜60重量部、好ましくは10〜50重量部、より好ましくは15〜40重量部である。本発明で用いられるハイブリッドフィラーは、ポリ乳酸への分散性が高いため、ポリ乳酸中に比較的に多く添加することができ、その結果、得られる成形体の耐熱性や耐衝撃性のさらなる向上が可能となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるハイブリッドフィラーの存在形態は特に限定はされない。上記の乾式高速撹拌により、繊維状充填材および粒子状充填材の凝集塊が解砕され、繊維状充填材と粒子状充填材とがミクロンオーダーで混合し、繊維状充填材の一次粒子の周辺に、粒子状充填材の一次粒子がミクロ分散した形態(以下、「ハイブリッド形態」と呼ぶ)のハイブリッドフィラーが得られる。本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ハイブリッドフィラーは、上記ハイブリッド形態を維持していてもよいが、ポリ乳酸との混合時に、繊維状充填材と粒子状充填材とが解離し、それぞれが解砕された一次粒子あるいはそれに類似した形態(極微小の凝集塊)でポリ乳酸中に分散していてもよい。繊維状充填材と粒子状充填材とをハイブリッド形態でポリ乳酸に混合することにより、繊維状充填材と粒子状充填材とを別々に混合する場合に比べて、充填材の分散性が顕著に向上する。繊維状充填材と粒子状充填材とを別々に混合する場合には、それぞれの凝集塊(二次粒子)が充分に解砕されず、凝集塊が残留することがある。一方、本発明のように、繊維状充填材と粒子状充填材とをハイブリッド形態でポリ乳酸に混合することにより、それぞれの充填材がポリ乳酸中に微分散するため、均一な熱可塑性樹脂組成物が得られ、耐熱性や耐衝撃性の顕著な改善が達成される。
ゴム成分
本発明の組成物には、耐衝撃性を改善するため、さらにゴム成分が混合されていてもよい。ゴム成分を混合する場合、その配合量は、ポリ乳酸100重量部に対して、50重量部以下であり、好ましくは5〜45重量部、さらに好ましくは10〜35重量部である。ゴム成分の配合量が多すぎると、耐熱性が低下する場合がある。
ゴム成分は、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の非晶性高分子である。このようなゴム成分としては、たとえばアクリルゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ポリプロピレンオキシドゴム、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合ゴム、多硫化ゴムなどがあげられ、特に組成物の耐熱性を大きく損なうことなく、耐衝撃性を改善できることから、アクリルゴムが好ましく用いられる。アクリルゴムは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を主要な構成要素とする共重合ゴムであり、各種のアクリルゴムが知られている。
本発明で好ましく用いられるアクリルゴムのさらに具体的な例としては、下記のような(メタ)アクリレート共重合体があげられる。
(メタ)アクリレート共重合体は、エポキシ基を含有する単量体の単位、好ましくはエポキシ基含有(メタ)アクリレート単量体単位を、全単量体単位100重量%に対して、0.5〜10重量%含有してなり、かつ、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のものであることが好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリレート単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2−エポキシエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種または2種以上併せて使用することができる。これらのなかでも、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジルメタクリレートがより好ましい。
また、エポキシ基含有(メタ)アクリレート単量体以外のエポキシ基を含有する単量体としては、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
エポキシ基を含有する単量体の単位の含有量は、全単量体単位100重量%に対して、0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.7〜9重量%、さらに好ましくは1〜8重量%である。エポキシ基を含有する単量体の単位の含有割合が少なすぎると、耐衝撃性および引張伸びに劣る場合がある。一方、多すぎると、(メタ)アクリレート共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなってしまい、同様に、耐衝撃性および引張伸びに劣る場合がある。
(メタ)アクリレート共重合体を構成する、エポキシ基を含有する単量体の単位以外の単量体単位としては、アルキル(メタ)アクリレート単量体単位、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体単位などが挙げられる。エポキシ基を含有する単量体の単位以外の単量体単位として、これらの単量体単位を含有させることにより、(メタ)アクリレート共重合体のガラス転移温度(Tg)を低くすることができる。
アルキル(メタ)アクリレート単量体単位を構成する単量体としては、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なかでも、炭素数2〜12のアルキル基を有するアルキルアクリレートおよび炭素数6〜12のアルキル基を有するアルキルメタクリレートがより好ましい。これらは1種または2種以上併せて使用することができる。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体単位を構成する単量体としては、炭素数2〜18のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、たとえば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、プロポキシメチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なかでも、炭素数2〜18のアルコキシアルキル基を有するアクリレートおよび炭素数5〜18のアルコキシアルキル基を有するメタクリレートがより好ましい。これらは1種または2種以上併せて使用することができ、さらには、上述のアルキル(メタ)アクリレート単量体単位を構成する単量体とも併せて使用することもできる。
上記各単量体のなかでも、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチルアクリレートが好ましく、これらは適宜組み合わせて用いることが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート単量体単位およびアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体単位の合計の含有量は、全単量体単位100重量%に対して、好ましくは99.5〜90重量%であり、より好ましくは99.3〜91重量%、さらに好ましくは99〜92重量%である。これらの含有量が少なすぎると、ガラス転移温度(Tg)が高くなってしまい、耐衝撃性および引張伸びに劣る場合がある。
なお、(メタ)アクリレート共重合体は、上記した各単量体単位以外の単量体単位が含有されていても良い。このような単量体単位を構成する単量体としては、上記した各単量体と共重合可能なものであれば良く、特に限定されないが、たとえば、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メタ)アクリレート、4−シアノブチル(メタ)アクリレートなどのシアノ置換アルキル(メタ)アクリレート;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのようなアミノ置換アルキル(メタ)アクリレート;1,1,1−トリフルオロエチル(メタ)アクリレートのような含フッ素系(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのような水酸基置換アルキル(メタ)アクリレート;メチルビニルケトンのようなアルキルビニルケトン;ビニルエチルエーテル、アリルメチルエーテルなどのビニルまたはアリルエーテル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのビニルアミド;(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの有機酸基含有単量体;などが挙げられる。
(メタ)アクリレート共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは−5℃以下、さらに好ましくは−10℃以下、特に好ましくは−20℃以下、かつ−70℃以上である。ガラス転移温度(Tg)が高すぎると、耐衝撃性および引張伸びに劣る場合がある。また、(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、好ましくは10,000〜800,000である。
(メタ)アクリレート共重合体の製造方法は、特に限定されず、たとえば、上記した各単量体を溶液重合法、乳化重合法、微細懸濁重合法、塊状重合法などにより共重合する方法が挙げられる。重合温度に特に制限はないが、0〜100℃であることが好ましい。
(メタ)アクリレート共重合体を溶液重合により製造する場合には、溶媒としては、たとえば、エタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の公知の溶剤を使用すれば良く、また、重合開始剤としては、公知の有機過酸化物、アゾ化合物などを使用すれば良い。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記したポリ乳酸、ハイブリッドフィラー、および必要に応じ用いられるゴム成分を混練、あるいは溶剤に分散または溶解した後、混合し、その後、溶剤を除去することなどにより製造することができるが、混練により製造することが好ましい。
ポリ乳酸とハイブリッドフィラー、および必要に応じ用いられるゴム成分を混練する方法としては、特に限定されないが、、混練機により、180〜300℃、特には190〜250℃にて剪断を与えつつ混練する方法が好ましい。混練機としては、特に限定されないが、ブラベンダ、ラボプラストミルなどのバッチ式混練機;単軸押出機、二軸押出機などの連続式混練機;などを用いることができる。
これらの混練機を用いて混練する際には、予めポリ乳酸とハイブリッドフィラー、および必要に応じ用いられるゴム成分とを、タンブラーミキサー等の乾式混合機を用いて混合しておき、混合品の状態で混練機に投入しても良い。また、連続式混練機を用いる場合には、これらを別々の供給機から連続的に供給する方法を採用しても良い。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、老化防止剤;滑剤;ダスティング剤;などの一般的に配合される配合剤を配合して用いてもよい。これらを配合する場合における配合量は、ポリ乳酸、ハイブリッドフィラーおよびゴム成分の合計100重量部に対し、0.05〜50重量部程度とする。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリ乳酸およびゴム成分以外の樹脂を配合しても良い。このような樹脂としては、たとえば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル;ポリカプロラクトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルなどが挙げられる。これらを配合する場合における配合量は、ポリ乳酸、ハイブリッドフィラーおよびゴム成分の合計100重量部に対し、0.1〜50重量部程度とする。
成形品
本発明の成形品は、上記のようにして製造した本発明の熱可塑性樹脂組成物を、成形することにより得ることができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形する方法としては、特に限定されず、通常の熱可塑性樹脂と同様に、押出成形、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形、カレンダー成形などの方法が挙げられる。また、成形温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜270℃、さらに好ましくは190〜250℃、特に好ましくは210〜230℃である。
こうして得られる本発明の成形品は、耐衝撃性が高く、耐熱性に優れている。そのため、各種用途に用いることができ、具体的には、電気・電子機器用部品、自動車用部品、各種容器、トレー、日用雑貨などとして好適に使用される。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。これらの例中の〔部〕および〔%〕は、特に断わりのない限り重量基準である。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性の評価は下記の方法により行った。
アイゾット衝撃強さ(耐衝撃性)
熱可塑性樹脂組成物のアイゾット衝撃強さ(耐衝撃性)は、JIS K 7110に準拠して測定した。
まず、アイゾット衝撃強さを測定するための評価用成形品を製造した。具体的には、熱可塑性樹脂組成物を、縦型射出成形機(株式会社山城精機製作所製、SAV−60−52型)を用いて、ノズルおよびバレル設定温度を200℃とし、幅12.7mm、長さ170mm、厚み3mmの短冊状成形品金型(金型温度40℃)に射出・充填した。そして、金型に射出・充填された熱可塑性樹脂組成物を、40秒間冷却して、評価用成形品を製造した。
次いで、得られた評価用成形品から幅12.7mm、長さ64mm、厚み3mmの試験片を切り出し、長手方向中央部に深さ2.54mmのノッチ(2号試験片用Aノッチ)を、試験片の片側に付けた。そして、JIS K 7110にて規定された専用試験機の試料支持台に前記試験片を固定し、ノッチを形成した片側面をハンマーで打撃して、打撃、試験片破断時の吸収エネルギーから、アイゾット衝撃強さを求めた。
メルトマスフローレート(MFR)
樹脂成分のメルトマスフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠して測定した。具体的には、ポリ乳酸に関しては、測定温度190℃、2.16kg荷重にて測定した。
荷重たわみ温度(DTUL)
荷重たわみ温度(DTUL)は、上記にて製造した評価用成形品を用いて、JIS K 7191−2に準拠して、支点間距離64mm、1.82MPaの荷重で測定した。
また、実施例、比較例で熱可塑性樹脂組成物の製造に使用した成分を以下に示す。
(A)ポリ乳酸
(A1)ポリ乳酸ペレット(トヨタ自動車(株)製 エコプラスチックU’z 品番S−17)
MFR(190℃、2.16kg荷重)=11.2g/10分
(B)ハイブリッドフィラー
ハイブリッドフィラー(B1)を下記の方法で調製した。
ハイブリッドフィラー(B1)の製造
500Lのヘンシェルミキサーに、ウォラストナイト(キンセイマテック社製 SH-400 50%体積累積径:20μm、アスペクト比:18):75部と、粒子状炭酸カルシウム(三共精粉社製 エスカロン#2000 50%体積累積径:1.8μm、アスペクト比:1):25部とを投入し、槽内温度30℃、回転速度360rpm(周速20m/s)の条件で10分間撹拌した。次いで、ミキサー内に、シランカップリング剤(信越化学工業 KBM−1003)0.5部を噴霧することにより添加し、噴霧終了後、回転速度720rpm(周速40m/s)で7分間撹拌した。その後、槽内温度を110℃に昇温し、回転速度360rpm(周速20m/s)で10分間撹拌することにより、フィラーを乾燥した。次いで、ミキサー内に、チタネート系カップリング剤(味の素ファインテクノ社製 プレンアクトKR−TTS)を噴霧することにより添加した。噴霧終了後、回転速度360rpm(周速20m/s)で5分間撹拌することにより、ハイブリッドフィラーを得た。
(C)ゴム成分
以下の方法で調整した(メタ)アクリレート共重合体(C1)をゴム成分として使用した。
(メタ)アクリレート共重合体(C1)の製造
ジャケットを備えた10Lの反応容器に、トルエン216.5部、エチルアクリレート(EA)10部、ブチルアクリレート(BA)20部、メトキシエチルアクリレート(MEA)65部、およびグリシジルメタクリレート(GMA)5部を仕込み撹拌した。次いで、反応容器の温度を80℃に調整し、ジベンゾイルパーオキシド0.25部をトルエン0.5部に溶解した状態で反応容器に添加して、重合反応を開始させた。重合反応は、80℃、6時間の条件で行った。
そして、反応容器を室温まで冷却し、その後、得られた反応溶液をメタノール中に投入することにより、反応溶液中の共重合体成分を凝固させ、次いで、乾燥することにより、ベール状の(メタ)アクリレート共重合体を得た。得られた共重合体の重合転化率は99%であり、ガラス転移温度(Tg)は−35℃であった。なお、ガラス転移温度(Tg)の測定は、TG−DTAを用いて行った。
次いで、得られたベール状の(メタ)アクリレート共重合体(C1)を、フィーダールーダー((株)森山製作所製 FR−35型)を用いて、ペレット化した。
フィーダールーダーは、ベール状の(メタ)アクリレート共重合体(C1)を2軸テーパー(斜軸)スクリューにより可塑化するためのフィーダー部と、単軸スクリューにより共重合体を先端部へと送るルーダー部と、共重合体をストランド状で吐出するためのダイスと、吐出されたストランド状の共重合体をペレット状に裁断するための回転カッターとを備えるものである。なお、本実施例では、フィーダー部およびルーダー部を100℃程度に加温した状態で、(メタ)アクリレート共重合体(C1)をペレット化した。また、回転カッターにより、裁断されたペレットには、ペレット同士が付かないようにするために、ダスティング剤としてのタルク(富士タルク工業(株)製
FM−65)を吹き付けて、ペレット表面にまぶし、その後、ペレットクーラーに送って冷却させた。ペレットへのタルク付着量は、(メタ)アクリレート共重合体(C1)100部に対して5部とした。
(D)ウォラストナイト
(D1)ウォラストナイト(キンセイマテック社製 SH-400 50%体積累積径:20μm、アスペクト比:18)
(E)粒子状炭酸カルシウム
(E1)粒子状炭酸カルシウム(三共精粉社製 エスカロン#2000 50%体積累積径:1.8μm、アスペクト比:1)
実施例1
ポリ乳酸ペレット(A1)100部と、ハイブリッドフィラー(B1)25部を、フィーダーに入れ、バレル内径40mmの二軸押出機((株)プラスチック工学研究所製 BT−40型)に供給することにより、熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。具体的には、バレル内にて、ペレットおよびフィラーを溶融・混練し、二軸押出機の先端に備え付けられたダイにより溶融・混練物をストランド状で吐出させるとともに、水槽にて冷却して固化させ、ペレタイザーでストランド状の吐出物をカットすることにより、ペレットを作製した。二軸押出機による溶融・混練条件は、スクリュー回転数100〜300rpm、バレル温度190〜210℃とした。
そして、得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物を用いて、上記した条件により評価用成形品を作製し、アイゾット衝撃強さおよび荷重たわみ温度の各評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2
ハイブリッドフィラー(B1)の量を43部とした以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例3
ポリ乳酸ペレット(A1)100部と、ハイブリッドフィラー(B1)7部と、上記にて製造したペレット状の(メタ)アクリレート共重合体(C1)43部とをタンブラーミキサーにより乾式混合し、ペレット混合物を得た。そして、得られたペレット混合物を、フィーダーに入れ、バレル内径40mmの二軸押出機に供給することにより、熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。二軸押出機による溶融・混練条件は、スクリュー回転数100〜300rpm、バレル温度190〜210℃とした。
そして、得られたペレット状の熱可塑性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例4
ハイブリッドフィラー(B1)の混合量を25部とし、(メタ)アクリレート共重合体(C1)の混合量を25部とした以外は、実施例3と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例1
ポリ乳酸ペレット(A1)に、ハイブリッドフィラー(B1)を混合せず、ウォラストナイト(D1)43部を混合した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例2
ポリ乳酸ペレット(A1)に、ハイブリッドフィラー(B1)を混合せず、粒子状炭酸カルシウム(E1)43部を混合した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例3
ポリ乳酸ペレット(A1)に、ハイブリッドフィラー(B1)を混合せず、ウォラストナイト(D1)32部および粒子状炭酸カルシウム(E1)11部を混合した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を調製し、同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例4
ポリ乳酸ペレット(A1)のみを用いて、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2009001739
表1より、次の点が確認できる。
ポリ乳酸単独(比較例4)に比べ、ハイブリッドフィラーを混合することで、耐衝撃性、耐熱性が向上する(実施例1、2)。ゴム成分を添加することで、耐熱性はやや低下するが、耐衝撃性はさらに改善される(実施例3、4)。
一方、ハイブリッドフィラーに代えて、ウォラストナイト(比較例1)、炭酸カルシウム(比較例2)を混合しても、耐衝撃性はまったく改善されず、また耐熱性もほとんど改善されない。ハイブリッドフィラーと同一組成となるように、ウォラストナイトと炭酸カルシウムとを加えても(比較例3)、耐熱性はやや向上するものの、耐衝撃性は改善されない。

Claims (11)

  1. ポリ乳酸:100重量部、
    2種以上の充填材を乾式にて高速撹拌して得られるハイブリッドフィラー:5〜60重量部、および必要に応じ、
    ゴム成分:0〜50重量部を混合して得られる熱可塑性樹脂組成物。
  2. ポリ乳酸100重量部に対して、前記ハイブリッドフィラーを15〜40重量部の割合で混合して得られる請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ハイブリッドフィラーが、少なくとも、アスペクト比が5〜100である繊維状充填材と、アスペクト比が1〜2である粒子状充填材とを乾式にて高速撹拌することにより得られるフィラーである請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記繊維状充填材が、ウォラストナイトである請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記粒子状充填材が、粒子状炭酸カルシウムである請求項3または4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記ハイブリッドフィラーが、アスペクト比が5〜100のウォラストナイト50〜90重量%と、アスペクト比が1〜2の粒子状炭酸カルシウム50〜10重量%とを乾式にて高速撹拌することにより得られるフィラーである請求項1〜5の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記ハイブリッドフィラーが、シランカップリング剤および/またはチタネートカップリング剤で表面処理されている請求項1〜6の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 前記ゴム成分が、アクリルゴムである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 前記ポリ乳酸のメルトマスフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が3〜25g/10分である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
  11. 2種以上の充填材を乾式にて高速撹拌してハイブリッドフィラーを得る工程と、
    ポリ乳酸:100重量部、
    前記工程により得られたハイブリッドフィラー:5〜60重量部、および必要に応じ、
    ゴム成分:0〜50重量部を混合する工程と、を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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