JP2021070799A - ポリウレタン樹脂水性分散体及びポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法 - Google Patents

ポリウレタン樹脂水性分散体及びポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機械強度及び耐熱性に優れるポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法を提供する。【解決手段】イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)と鎖伸長剤(a3)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体であって、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)が、高分子ポリオール(a1)及びアニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)を含有する活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記ポリウレタン樹脂(U)の数平均分子量が4万〜100万であり、前記有機ポリイソシアネート成分(B)の内の90モル%以上が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるポリウレタン樹脂水性分散体(Q)。【選択図】なし

Description

本発明はポリウレタン樹脂水性分散体及びポリウレタン樹脂水性分散体製造方法に関する。
ポリウレタン樹脂はポリオールとイソシアネート成分の反応により得られるが、イソシアネート成分の一種である4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)はコスト、反応性に優れ、得られるポリウレタン樹脂の皮膜が優れた柔軟性、機械強度、耐熱性を有することから人工皮革・合成皮革等の皮革用ポリウレタン樹脂の原料として好適に用いられている。
従来、皮革用ポリウレタン樹脂はDMF等の溶剤中で合成された溶剤系ポリウレタン樹脂が主流であったが、近年の環境規制の強化から樹脂の水性化、特にポリウレタン樹脂を水性媒体中に分散させたポリウレタン樹脂水性分散体への切り替えが検討されつつある。
ポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法は、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマーを合成した後にプレポリマーを水性媒体に分散させ、分散後に残存するイソシアネート基を多官能アミン及び/又は系中の水により伸長反応させる方法が一般的である。
上記の製造方法では、水性媒体に分散させる工程途中でイソシアネート基と水の伸長反応が生じるため、4,4’−MDIのような反応性が高い芳香族イソシアネートでは、分散工程が完了する前に伸長反応が進行してしまい、その結果、プレポリマーの粘度が上昇して分散不良となるため、安定的に水性分散体を得ることは困難であった。
4,4’−MDIをイソシアネート成分として使用したポリウレタン樹脂水性分散体としては、イソシアネート成分とポリオールの量比を調整して水酸基末端のウレタンプレポリマーを製造し、水性媒体に分散させる方法あるいは、イソシアネート基末端のプレポリマーを製造した後に残存イソシアネート基をメタノール等の低分子モノオールと反応させて失活させた後に、水性媒体に分散させる方法(例えば、特許文献1)や、反応性の低い脂肪族イソシアネートを併用する方法(例えば、特許文献2)が開示されている。しかしながら、特許文献1の方法では、プレポリマーを水性媒体に分散した後に十分な鎖伸長反応が行えないため、得られるポリウレタン樹脂の分子量が低く、機械強度や耐熱性が十分とはいえないという問題がある。また、特許文献2の方法では、分散工程でのプレポリマーの粘度上昇は抑制できるものの、ポリウレタン樹脂の皮膜の機械強度が十分とはいえないという問題がある。
特許第6521348号公報 特許第5588570号公報
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、機械強度及び耐熱性に優れるポリウレタン樹脂水性分散体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。即ち本発明は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)と鎖伸長剤(a3)を反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体であって、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)が、高分子ポリオール(a1)及び、アニオン性基又はカチオン性基と活性水素基を有する化合物(a2)を含有する活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記ポリウレタン樹脂(U)の数平均分子量が4万〜100万であり、前記有機ポリイソシアネート成分(B)の内の90モル%以上が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるポリウレタン樹脂水性分散体(Q);ブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)と水性媒体との分散体を30℃〜150℃にしてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)を生成させて、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)と鎖伸長剤(a3)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法であって、前記ブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)が、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)とイソシアネートブロック化剤(C)とを反応させてなるブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)が、高分子ポリオール(a1)及びアニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)を含有する活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記ポリウレタン樹脂(U)の数平均分子量が4万〜100万であり、前記有機ポリイソシアネート成分(B)の内の90モル%以上が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の製造方法である。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体(Q)は、その乾燥皮膜が、優れた機械物性(破断伸度)、耐熱性を示し、特に人工皮革又は合成皮革用原料として有用である。
本発明は、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)と鎖伸長剤(a3)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体であって、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)が、高分子ポリオール(a1)及びアニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)を含有する活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記ポリウレタン樹脂(U)の数平均分子量が4万〜100万であり、前記有機ポリイソシアネート成分(B)の内の90モル%以上が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるポリウレタン樹脂水性分散体(Q)である。
高分子ポリオール(a1)は、数平均分子量(以下、Mnとも記載する)が500以上1万以下の高分子ポリオールである。
高分子ポリオール(a1)としては、ポリカーボネートポリオール(a11)、ポリエステルポリオール(a12)及びポリエーテルポリオール(a13)等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール(a11)としては、炭素数2〜20の多価アルコールの1種又は2種以上(好ましくは1〜3種)と低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とから、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。(a11)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記炭素数2〜20の多価アルコールとしては、炭素数2〜12の直鎖ジオール又は分岐を有する炭素数3〜12の脂肪族ジオール[エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコール等の直鎖アルコール;1,2−プロピレングリコール、1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール及び4−メチルオクタンジオール等の分岐アルコール等];炭素数6〜20の脂環式ジオール[1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ジオキサン、2,7−ノルボルナンジオール、テトラヒドロフランジメタノール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等];炭素数8〜20の芳香環含有ジオール[m−又はp−キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン及びビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等];炭素数3〜20のトリオール[脂肪族トリオール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)等];炭素数5〜20の4〜8価アルコール[脂肪族ポリオール(ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等);糖類(ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びその誘導体)];等が挙げられる。
(a11)の市販品としては、デュラノール T6002[1,6−ヘキサンジオールを用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、ETERNACOLL UH−300[1,6−ヘキサンジオールを用いたMn=3000のポリカーボネートジオール、宇部興産(株)製]、ETERNACOLL UM−90(1/3)[1,4−シクロヘキサンジメタノール/1,6−ヘキサンジオール=1/3(モル比)を用いたMn=900のポリカーボネートジオール、宇部興産(株)製]、デュラノール G4672[1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=70/30(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、デュラノール T5652[1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]、クラレポリオール C−2090[3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=90/10(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、クラレ(株)製]、クラレポリオール C−2050[3−メチル−1,5−ペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=50/50(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、クラレ(株)製]、クラレポリオール C−2015N[2−メチル−1,8−オクタンジオール/1,9−ノナンジオール=85/15(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、クラレ(株)製]、クラレポリオール C−2065N[2−メチル−1,8−オクタンジオール/1,9−ノナンジオール=65/15(モル比)を用いたMn=2000のポリカーボネートジオール、クラレ(株)製]、ETERNACOLL UC−100[1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いたMn=1000のポリカーボネートジオール、宇部興産(株)製]等が挙げられる。
ポリエステルポリオール(a12)としては、縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールは、前記炭素数2〜20の多価アルコールと炭素数2〜10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体[酸無水物、低分子量アルキル(炭素数1〜4)エステル及び酸ハロゲン化物等]との脱水縮合により得られるポリエステルポリオールである。
縮合型ポリエステルポリオールは、前記炭素数2〜20の多価アルコールと炭素数2〜10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体との脱水縮合により得られるポリエステルポリオールである。
炭素数2〜10の多価カルボン酸としては脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等)、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)等が挙げられる。そのエステル形成性誘導体としては、前記炭素数2〜10の多価カルボン酸の酸無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキル(炭素数1〜4)エステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの混合物が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエステルジオール(例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等)等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの市販品としては、サンエスター2610[Mn=1000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、サンエスター4620[Mn=2000のポリテトラメチレンアジペートジオール]、サンエスター2620[Mn=2000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、クラレポリオールP−2010[Mn=2000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタンアジペートジオール]、クラレポリオールP−3010[Mn=3000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタンアジペートジオール]及びクラレポリオールP−6010[Mn=6000のポリ−3−メチル−1,5−ペンタンアジペートジオール]等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールは、前記炭素数2〜20の多価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4〜12のラクトン(例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン)等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
ヒマシ油系ポリオールには、ヒマシ油及びヒマシ油が多価アルコール又はアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)で変性された変性ヒマシ油が含まれる。変性ヒマシ油はヒマシ油と多価アルコールとのエステル交換及び/又はAO付加により製造できる。ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油及びヒマシ油のエチレンオキサイド(以下、EOと略記)付加物(付加モル数4〜30モル)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(a13)としては、脂肪族ポリエーテルポリオール及び芳香族環含有ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、前記多価アルコールへの炭素数2〜12のアルキレンオキサイド付加物(2種以上の場合はブロック共重合/又はランダム共重合)等が挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、EO、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−,2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、スチレンオキサイド及びα−オレフィンオキサイド等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシアルキレンポリオール[ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールポリオキシエチレン/プロピレンポリオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等]等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールの市販品としては、PTMG1000[Mn=1000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG2000[Mn=2000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTMG3000[Mn=3000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、三菱化学(株)製]、PTGL2000[Mn=2000の変性ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、保土谷化学工業(株)製]、PTGL3000[Mn=3000の変性ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、保土谷化学工業(株)製]、サンニックスPP−2000[Mn=2000のポリプロピレングリコール、三洋化成工業(株)製]及びサンニックスジオールGP−3000[Mn=3000のポリプロピレンエーテルトリオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
芳香族ポリエーテルポリオールとしては、芳香環含有ポリオールへの前記アルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
芳香環含有ポリオールとしては、炭素数8〜20の芳香脂肪族多価アルコール[例えば、m−又はp−キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等];炭素数6〜20の芳香族ポリオール[例えば、レゾルシン、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS及びビスフェノールF等)等]等が挙げられる。
芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのEO付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物及びビスフェノールAのEO20モル付加物等]及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、POと略記)付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物及びビスフェノールAのPO5モル付加物等]等のビスフェノール骨格を有するポリオール並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
これらの高分子ポリオール(a1)のうち、得られる皮膜の機械物性の観点から好ましくはポリカーボネートポリオール(a11)及びポリエーテルポリオール(a13)であり、更に好ましくはポリカーボネートポリオール(a11)であり、特に好ましくはポリカーボネートジオールである。
(a1)のMnは、得られる皮膜の柔軟性、機械物性及び耐熱性の観点から、好ましくは500〜6000、更に好ましくは1000〜3000である。
本発明における高分子ポリオール(a1)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「Waters Alliance 2695」[Waters社製]
カラム:「Guardcolumn Super H−L」(1本)、「TSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの」
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μl
流量:0.6ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール
アニオン性基又はカチオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a2)としては、アニオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a21)及びカチオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a22)等が挙げられる。
(a2)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(a21)としては、例えばアニオン性基としてカルボキシル基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸等)、酒石酸及びアミノ酸(例えばグリシン、アラニン及びバリン等)等]、アニオン性基としてスルホン酸基を含有し、炭素数が2〜16の化合物[例えば、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸及びスルホイソフタル酸ジ(エチレングリコール)エステル等]、アニオン性基としてスルファミン酸基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシルエチル)スルファミン酸等]等並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(a21)の塩に用いられる中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1〜20のアミン化合物又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
炭素数1〜20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミン等が挙げられる。(a21)の塩に用いられる中和剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(a21)の塩に用いられる中和剤としては、生成するポリウレタン樹脂水性分散体の乾燥性及び得られる皮膜の耐水性の観点から、25℃における蒸気圧が高い化合物が好適である。このような観点から、(a21)の塩に用いられる中和剤としては、アンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミンが好ましい。
(a21)の内、得られる皮膜の機械物性、耐水性及びポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から好ましいのは、2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸並びにこれらの塩類であり、更に好ましいのは2,2−ジメチロールプロピオン酸のアンモニア又は炭素数1〜20のアミン化合物による中和塩及び2,2−ジメチロールブタン酸のアンモニア又は炭素数1〜20のアミン化合物による中和塩である。
カチオン性基と活性水素原子を含有する化合物(a22)としては、例えばカチオン性基として3級アミノ基を有し、活性水素原子として水酸基を有する化合物、例えば、炭素数1〜20の3級アミノ基含有ジオール[N−アルキルジアルカノールアミン(例えばN−メチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン及びN−メチルジプロパノールアミン等)及びN,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(例えばN,N−ジメチルエタノールアミン等)等]等の化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(a22)の塩に用いられる中和剤としては、例えば炭素数1〜10のモノカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロパン酸等)、炭酸、炭酸ジメチル、硫酸ジメチル、メチルクロライド及びベンジルクロライド等が挙げられる。
(a22)の塩に用いられる中和剤としては、生成する複合樹脂水性分散体の乾燥性及び乾燥皮膜の耐水性の観点から、25℃における蒸気圧が高い化合物が好適である。このような観点から(a22)に用いられる中和剤としては、炭素数1〜10のモノカルボン酸及び炭酸が好ましく、更に好ましいのはギ酸及び炭酸、特に好ましいのは炭酸である。
(a21)及び(a22)に用いられる中和剤は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水分散工程前、水分散工程中又は水分散後のいずれの時期に添加してもよいが、ウレタン樹脂の安定性及び水性分散体の安定性の観点から、水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。また、脱溶媒時に揮発した中和剤を脱溶媒後に追添加しても良く、追添加する中和剤種は上記記載のものから自由に選択することができる。
(a2)の使用量は、(U)中のアニオン性基又はカチオン性基の含有量が、(U)の重量を基準として、好ましくは0.09〜1.0ミリモル/g、更に好ましくは0.11〜0.90ミリモル/g、特に好ましくは0.13〜0.70ミリモル/gとなるよう調節する。
本発明におけるアニオン性基又はカチオン性基の含有量とは、未中和のカチオン性基又はアニオン性基のミリモル/gを意味する。例えば、(a21)におけるアニオン性基又はカチオン性基の含有量は、2,2−ジメチロールプロピオン酸のトリエチルアミン塩の場合は、カルボキシル基(−COOH)のミリモル/gを、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸のトリエチルアミン塩の場合はスルホ基(−SOH)のミリモル/gを指す。また、(a22)におけるアニオン性基又はカチオン性基の含有量は、3級アミノ基ミリモル/gを指す。
鎖伸長剤(a3)としては、水、前記炭素数2〜20の多価アルコール、炭素数2〜36のポリアミン、及び炭素数2〜20のアミノアルコール(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。(a3)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記炭素数2〜36のポリアミンとしては、炭素数2〜36の脂肪族ポリアミン[例えば、エチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキシレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン及びヘキサエチレンヘプタミン等のポリ(n=2〜6)アルキレン(炭素数2〜6)ポリ(n=3〜7)アミン等]、炭素数6〜20の脂環式ポリアミン(例えば、1,3−又は1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−又は2,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等)、炭素数6〜20の芳香族ポリアミン(例えば、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、4,4’−又は2,4’−メチレンジアニリン等)、炭素数3〜20の複素環式ポリアミン(例えば、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等)並びにヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)等が挙げられる。
(a3)の内で得られる乾燥皮膜の柔軟性、機械物性、耐熱性の観点から好ましいのは、炭素数2〜36の脂肪族ポリアミン、炭素数2〜20のアミノアルコール及び炭素数6〜20の芳香族ポリアミンであり、更に好ましいのは、炭素数6〜20の芳香族ポリアミンであり、特に好ましいのは4,4’−メチレンジアニリンである。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は必要に応じて反応停止剤(a4)を使用することができる。
反応停止剤(a4)としては、炭素数1〜20のモノアルコール類(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等)、炭素数1〜20のモノアミン類(例えば、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン等)が挙げられる。反応停止剤(a4)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明における有機ポリイソシアネート成分(B)としては、2〜3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b1)、炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(b2)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)、炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)及びこれらのポリイソシアネートの変性物(b5)等が挙げられる。有機ポリイソシアネート成分(B)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(b1)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、トリレンジイソシアネートをTDIと略記)、粗製TDI、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ジフェニルメタンジイソシアネートをMDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が挙げられる。
炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(b2)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(b3)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
(b1)〜(b4)のポリイソシアネートの変性物(b5)としては、前記ポリイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基含有変性物等;遊離イソシアネート基含有量が8〜33重量%、好ましくは10〜30重量%、特に12〜29重量%のもの)、例えば変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等のポリイソシアネートの変性物が挙げられる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は有機ポリイソシアネート成分(B)として、4,4’−MDIを必須で含有し、その含有量は有機ポリイソシアネート成分(B)の全モル数に対して90モル%以上である。4,4’−MDIを有機ポリイソシアネート(B)の全モル数に対して90モル%以上含有することにより得られる皮膜の機械物性及び耐熱性に優れたポリウレタン樹脂が得られる。
得られる皮膜の機械物性及び耐熱性の観点から、(B)における4,4’−MDIの割合は、(B)の全モル数に対して90モル%以上であり、好ましくは100モル%である。
本発明におけるイソシアネートブロック化剤(C)としては、炭素数2〜6のラクタム(例えばε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等)、炭素数1〜15のオキシム[例えばアセトオキシム、メチルエチルケトオキシム(MEKオキシム)、メチルイソブチルケトオキシム(MIBKオキシム)及びシクロヘキサノンオキシム等]、炭素数2〜15の第二級アミン[例えば脂肪族アミン(ジメチルアミン、ジイソピルアミン、ジ−n−プロピルアミン及びジイソブチルアミン等)、炭素数4〜15の脂環式アミン(メチルヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等)、芳香族アミン(アニリン及びジフェニルアミン等)等]、炭素数6〜20のフェノール及びアルキルフェノール[例えばフェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、キシレノール、ジイソプロピルフェノール及びジ−t−ブチルフェノール等]、環の構成単位としてイミノ基と窒素−炭素2重結合とを有する5員環化合物[例えばイミダゾール、2−メチルイミダゾール、ピラゾール、3−メチルピラゾール及び3,5−ジメチルピラゾール、1,2,4−トリアゾール等]、イミン[例えばエチレンイミン及びポリエチレンイミン等]、活性メチレン含有化合物[例えばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル及びアセト酢酸エチル等]、特許公開2002−309217号公報及び特許公開2008−239890号公報に記載のブロック化剤並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの内、ブロック化剤の解離温度が低く、脱ブロック化反応が容易であることから、好ましいものは炭素数1〜15のオキシム、炭素数2〜15の第二級アミン、環の構成単位としてイミノ基と窒素−炭素2重結合とを有する5員環化合物及び活性メチレン含有化合物であり、更に好ましいのはメチルエチルケトオキシム、ジイソプロピルアミン、3,5−ジメチルピラゾール及びマロン酸ジエチルである。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、必要により酸化防止剤、着色防止剤、耐候安定剤、可塑剤及び離型剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤の使用量は(U)の重量を基準として好ましくは10重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)のウレタン基濃度は、得られる皮膜のの柔軟性、機械物性、耐熱性の観点から、(U)の重量を基準として、好ましくは1.0〜2.4ミリモル/g、更に好ましくは1.1〜2.0ミリモル/g、特に好ましくは1.2〜1.8ミリモル/gである。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)のウレア基濃度は、得られる皮膜のの柔軟性、機械物性、耐熱性の観点から、(U)の重量を基準として、好ましくは0.20〜1.0ミリモル/g、更に好ましくは0.22〜0.9ミリモル/g、特に好ましくは0.25〜0.70ミリモル/gである。なお、ミルモル/gをmmol/gと表記する場合もある。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)のMnは、4万〜100万であり、好ましくは4万以上、更に好ましくは5万以上である。Mnが4万未満では得られる皮膜の機械物性及び耐熱性が悪くなる場合があり、Mnが100万を超えると得られる皮膜の機械物性が悪くなる場合がある。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、例えば以下の条件で測定することができる。
装置:「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「Guardcolumn α」+「TSKgel α−M」[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.125重量%のジメチルホルムアミド溶液
溶液注入量:100μl
流量:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン
本発明は、ブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)と水性媒体との分散体を30℃〜150℃にしてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)を生成させて、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)と鎖伸長剤(a3)と反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法であって、前記ブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)が、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)とイソシアネートブロック化剤(C)とを反応させてなるブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)が、高分子ポリオール(a1)及びアニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)を含有する活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記ポリウレタン樹脂(U)の数平均分子量が4万〜100万であり、前記有機ポリイソシアネート成分(B)の内の90モル%以上が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の製造方法である。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体(Q)を製造する具体的な方法としては、例えば、以下の[1]及び[2]の方法が挙げられる。
[1]高分子ポリオール(a1)、アニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)、必要により鎖伸長剤(a3)を含有する活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、有機溶媒(S)の存在下又は不存在下で反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)を製造した後に、イソシアネートブロック化剤(C)を反応させてブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)を製造し、次いで必要により(P0)中の(a2)により導入された親水基(アニオン性基又はカチオン性基)部分を中和により塩として水性媒体に分散させた後、得られた水性分散体を加熱してブロック化剤を解離させて、生じたイソシアネート基を鎖伸長剤(a3)及び必要により反応停止剤(a4)によりイソシアネート基が実質的に無くなるまで反応させた後、必要により有機溶媒(S)を留去することで(Q)を製造する方法。
[2]高分子ポリオール(a1)、アニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)、必要により鎖伸長剤(a3)を含有する活性水素成分(A)とイソシアネートブロック化剤(C)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、有機溶媒(S)の存在下又は不存在下で反応させてブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)を製造し、次いで必要により(P0)中の(a2)により導入された親水基(アニオン性基又はカチオン性基)部分を中和により塩として水性媒体に分散させた後、得られた水性分散体を加熱してブロック化剤を解離させ、生じたイソシアネート基を鎖伸長剤(a3)及び必要により反応停止剤(a4)によりイソシアネート基が実質的に無くなるまで反応させた後に、必要により有機溶媒(S)を留去することで(Q)を製造する方法。
[1]及び[2]の製造方法の内、得られる皮膜の機械強度、耐熱性の観点から、好ましいのは[1]の製造方法である。
[1]の製造方法における(P)製造する際及び、[2]の製造方法における(P0)製造する際の活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート成分(B)のモル比[有機ポリイソシアネート成分(B)/活性水素成分(A)]は、好ましくは1.01〜2.0、更に好ましくは1.1〜1.9、特に好ましくは1.3〜1.8である。
[1]及び、[2]の製造方法における(P)のイソシアネート基とイソシアネートブロック化剤(C)のモル比[ブロック化剤(C)/(P)イソシアネート基]としては、好ましくは0.8〜1.5、更に好ましくは0.9〜1.3、特に好ましくは1.0〜1.2である。モル比が0.8以上であると、ブロック化されていない残存イソシアネート基が後の水分散工程で水と反応し、分散不良を起こすことがないため好ましい。モル比が1.5以下であると過剰なブロック化剤(C)が乾燥皮膜中に残存し、皮膜の機械物性の低下を招くことがないため好ましい。
[1]における(P)を製造する際の反応温度及び、[1]及び[2]における(P0)を製造する際の反応温度は、副反応抑制の観点から、40〜120℃が好ましく、更に好ましくは50〜100℃である。反応時間は、使用する設備により適宜選択することができるが、一般的に1分〜100時間が好ましく、更に好ましくは10分〜30時間であり、特に好ましくは30分〜20時間である。
[1]及び[2]における脱ブロック化の反応温度は、30〜150℃が好ましく、更に好ましくは40〜120℃である。反応時間は、使用する設備により適宜選択することができるが、一般的に1分〜20時間が好ましく、更に好ましくは10分〜10時間であり、特に好ましくは30分〜5時間である。
有機溶媒(S)としては、アセトン及びメチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ニ塩基酸エステル(DBE)、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン等の実質的にイソシアネート基と非反応性の溶媒及び脱ブロック化反応により解離したイソシアネートブロック化剤(C)が含まれる。これらの有機溶媒(S)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、本発明における水性媒体とは、水又は水と前記有機溶媒(S)との混合物を意味する。
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q)における有機溶媒(S)の含有量は、臭気、経時安定性、環境負荷及び安全性の観点からは、(Q)の重量に基づいて、1重量%以下であることが好ましい。
本発明におけるウレタン化反応では、反応を促進させるため、必要により公知のウレタン化触媒を使用することができる。ウレタン化触媒の添加量は、ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づき、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.005〜2重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%である。
前記ウレタン化触媒としては、金属触媒[錫系(トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート及びジブチルチンマレエート等)、鉛系(オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛及びオクテン酸鉛等)、コバルト系(ナフテン酸コバルト等)、ビスマス系{ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート等}及び水銀系(フェニル水銀プロピオン酸塩等)等]、アミン触媒[トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン、ジアザビシクロアルケン類{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン}等;ジアルキルアミノアルキルアミン類{ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノオクチルアミン及びジプロピルアミノプロピルアミン等]又は複素環式アミノアルキルアミン類[2−(1−アジリジニル)エチルアミン及び4−(1−ピペリジニル)−2−ヘキシルアミン等]の炭酸塩又は有機酸塩(ギ酸塩等)等;N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、ジエチルエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン等]、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明におけるブロック化剤の解離反応では、反応速度を促進させるために、解離触媒を使用してもよい。
上記解離触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス、錫アセチルアセトナート、ビスマスアセチルアセトナート及びチタンアセチルアセトナート等の金属触媒;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7の弱酸塩(フェノール塩、2−エチルヘキサン酸塩及びギ酸塩等)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノネン−5、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノネン−5の弱酸塩(フェノール塩、2−エチルヘキサン酸塩及びギ酸塩等)、テトラメチルアンモニウムの弱酸塩(フェノール塩、2−エチルヘキサン酸塩及びギ酸塩等)、メチルトリエチルアンモニウムの弱酸塩(フェノール塩、2−エチルヘキサン酸塩及びギ酸塩等)、テトラエチルアンモニウムの弱酸塩(フェノール塩、2−エチルヘキサン酸塩及びギ酸塩等)、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムの弱酸塩(フェノール塩、2−エチルヘキサン酸塩及びギ酸塩等)等のアミン触媒が挙げられる。解離触媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明におけるブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)を水性媒体に分散する装置としては特に制限されないが、回転式分散混合装置、超音波式分散機又は混練機を用いることが好ましく、なかでも分散能力が特に優れる回転式分散混合装置が更に好ましい。
回転式分散混合装置としては、例えばマックスブレンドやヘリカル翼等の一般的な攪拌羽を有する混合装置、TKホモミキサー[プライミクス(株)製]、クレアミックス[エムテクニック(株)製]、フィルミックス[プライミクス(株)製]、ウルトラターラックス[IKA(株)製]、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]、キャビトロン(ユーロテック社製)及びバイオミキサー[日本精機(株)製]等が例示される。
本発明におけるブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)及びポリウレタン樹脂(U)は分散剤(H)を用いて水性媒体に分散させることもできる。
分散剤(H)としては、非イオン性界面活性剤(h1)、アニオン性界面活性剤(h2)、カチオン性界面活性剤(h3)、両性界面活性剤(h4)及びその他の乳化分散剤(h5)が挙げられる。(H)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(h1)としては、例えばAO付加型非イオン性界面活性剤及び多価アルコール型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。AO付加型としては、炭素数10〜20の脂肪族アルコールのEO付加物、フェノールのEO付加物、ノニルフェノールのEO付加物、スチレン化フェノールのEO付加物(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等)、炭素数8〜22のアルキルアミンのEO付加物及びポリプロピレングリコールのEO付加物等が挙げられ、多価アルコール型としては、多価(3〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエート等)及びアルキル(炭素数4〜24)ポリ(重合度1〜10)グリコシド等が挙げられる。
(h2)としては、例えば炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[例えば、ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステル又はエーテル硫酸エステル及びそれらの塩[例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を1個又は2個有するスルホコハク酸塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル又はエーテルリン酸エステル及びそれらの塩[例えば、ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[例えば、ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等];並びに炭素数8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[例えば、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
(h3)としては、例えば第4級アンモニウム塩型[例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]並びにアミン塩型[例えば、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
(h4)としては、例えばベタイン型両性界面活性剤[例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[例えば、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]等が挙げられる。
(h5)としては、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシル基含有(共)重合体及び米国特許第5906704号明細書に記載のウレタン基又はエステル基を有する乳化分散剤[例えばポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]等が挙げられる。
前記(h1)〜(h5)の分散剤の内、ウレタンプレポリマー(P)及び、ポリウレタン樹脂(U)の分散安定性の観点から好ましいのは(h1)であり、更に好ましいのはフェノールのEO付加物、ノニルフェノールのEO付加物及びスチレン化フェノールのEO付加物であり、特に好ましいのはスチレン化フェノールのEO付加物である。
分散剤(H)は、ウレタンプレポリマー(P)の製造後、(P)の水分散工程前、水分散工程中又は水分散後、(P)の脱ブロック化反応後のいずれの時期に添加してもよいが、(P)の分散性及び水性分散体の安定性の観点から、水分散工程前又は水分散工程中に添加することが好ましい。
分散剤(H)を使用する場合、その含有量は、得られる皮膜の機械物性、ウレタンプレポリマー(P)及びポリウレタン樹脂(U)の分散性並びに水性分散体の安定性の観点からポリウレタン樹脂(U)の重量を基準として、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは0.01〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%である。
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q)におけるポリウレタン樹脂(U)の体積平均粒子径(Dv)は、ポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜1μm、更に好ましくは0.01〜0.5μmである。
(U)の体積平均粒子径(Dv)は、(U)中のアニオン性基又はカチオン性基の種類及び含有量、中和剤の種類及び含有量、分散剤量並びに分散工程で使用する分散機の種類及び分散条件によって制御することができる。
体積平均粒子径(Dv)は、光散乱粒度分布測定装置[LA950 V2「堀場製作所(株)製」]で測定することができる。
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の固形分濃度(揮発性成分以外の成分の含有量)は、水性分散体の取り扱い易さの観点から、好ましくは20〜65重量%、更に好ましくは25〜55重量%である。固形分濃度は、水性分散体約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
(Q)の粘度は、ハンドリング性の観点から、好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・s以下である。粘度はBL型粘度計を用いて、25℃の定温下で測定することができる。
(Q)のpHは、分散安定性の観点から、好ましくは2〜12、更に好ましくは4〜10である。pHは、pH Meter M−12[堀場製作所(株)製]で25℃で測定することができる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体(Q)は、水性繊維加工処理剤(不織布用バインダー、補強繊維用集束剤、抗菌剤用バインダー、人工皮革又は合成皮革用原料等)、水性塗料、水性接着剤、水性コーティング及び水性紙処理剤等に使用することができる。
これらの用途に用いる場合には、必要により色材(顔料、染料)、その他の樹脂並びに架橋剤、粘度調整剤、レベリング剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤等を1種又は2種以上添加することができる。
<実施例1>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に高分子ポリオール(a1)としてのデュラノールT6002[旭化成ケミカルズ(株)製]264.2重量部、アニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)としての2,2−ジメチロールプロピオン酸7.1重量部、鎖伸長剤(a3)としての1,4−ブタンジオール1.8重量部、有機ポリイソシアネート成分(B)としての4,4’−MDI76.9重量部及び反応溶媒としてのMEK150重量部を仕込み、80℃で5時間攪拌してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P−1)のMEK溶液を製造した。次いで得られた(P−1)にイソシアネートブロック化剤(C)としてのMEKオキシム17.3重量部を仕込み、80℃で2時間攪拌してブロック化反応を行い、ブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0−1)を製造した。得られた(P0−1)に中和剤としてのトリエチルアミン5.4重量部、鎖伸長剤(a3)としての4,4’−メチレンジアニリン11.3重量部、分散剤(H)としてのエマルゲンA−90[花王(株)製]36.1重量部を加えて均一化した後、鎖伸長剤(a3)及び水性媒体としての水250重量部を200rpmで撹拌しながら加え、(P0−1)を水に分散させた。得られた水性分散体を80℃で3時間加熱攪拌してブロック化剤の解離反応及び、生成した(P−1)のイソシアネート基と鎖伸長剤との伸長反応を行った後、更に減圧下70℃に加熱してMEKを留去することでポリウレタン樹脂(U−1)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)を得た。
<実施例2〜7>
使用する原料及び配合量を表1に記載ものにする以外は、実施例1と同様にして、ブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0−2)〜(P0−7)を製造し、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P−2)〜(P−7)と鎖伸長剤(a3)との伸長反応を行い、ポリウレタン樹脂(U−2)〜(U−7)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体(Q−2)〜(Q−7)を得た。
<比較例1>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に高分子ポリオール(a1)としてのデュラノールT6002を104.2重量部、アニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)としての2,2−ジメチロールプロピオン酸1.8重量部、鎖伸長剤(a3)としての1,4−ブタンジオール7.4重量部、有機ポリイソシアネート成分(B)としての4,4’−MDI36.6重量部及び反応溶媒としてのMEK350重量部を仕込み、80℃で3時間攪拌してウレタン化反応を行い、水酸基末端のポリウレタン樹脂(U)のMEK溶液を製造した。次いで得られた(U)に中和剤としてのトリエチルアミン1.4重量部、分散剤(H)としてのエマルゲンA−90[花王(株)製]7.5重量部を加えて均一化した後、水性媒体としての水250重量部を200rpmで撹拌しながら加え、更に減圧下70℃に加熱してMEKを留去することでポリウレタン樹脂(U’−1)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体(Q’−1)を得た。
<比較例2>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に(a1)としてのデュラノールT6002を270.6重量部、(a2)としての2,2−ジメチロールプロピオン酸8.3重量部、(a3)としての1,4−ブタンジオール1.1重量部、有機ポリイソシアネート成分(B)としての4,4’−MDI34.2重量部及び、水添MDI35.8重量部、及び反応溶媒としてのMEK150重量部を仕込み、80℃で3時間攪拌してウレタン化反応を行い、イソシアネート基を有するプレポリマー(P’−2)のMEK溶液を製造した。次いで得られた(P)に中和剤としてのトリエチルアミン6.3重量部を加えて均一化した後、鎖伸長剤(a3)としてのエチレンジアミンの10重量%水溶液10.4重量部、鎖伸長剤(a3)及び水性媒体としての水250重量部を200rpmで撹拌しながら加え、更に減圧下70℃に加熱してMEKを留去することでポリウレタン樹脂(U’−2)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体(Q’−2)を得た。
<比較例3>
使用する原料及び使用量を表1に記載にするものにする以外は、実施例2と同様にして、イソシアネート基末端のプレポリマー(P’−3)と鎖伸長剤(a3)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U’−3)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体(Q’−3)を得た。
表1における各原料の組成は以下の通りである。
・デュラノールT6002:Mn=2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール[旭化成ケミカルズ(株)製]
・デュラノールG4672:Mn=2000のポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール[旭化成ケミカルズ(株)製]
・クラレポリオールC−2015N:Mn=2000のポリ(2−メチル−オクタメチレン/ノナメチレン)カーボネートジオール[クラレ(株)製]
・PTMG2000:Mn=2,000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール[三菱化学(株)製]
・エマルゲンA−90:ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル[花王(株)製]
Figure 2021070799
Figure 2021070799
<皮膜の柔軟性及び機械物性の評価方法>
ポリウレタン樹脂水性分散体10重量部を、縦10cm×横20cm×深さ1cmのポリプロピレン製モールドに、水分乾燥後のフィルム膜厚が200μmになる量を流し込み、室温で12時間乾燥後、循風乾燥機で120℃で1時間加熱乾燥後に50℃の温水に12時間浸漬し、浸漬後のフィルムを循風乾燥機で120℃で30分加熱乾燥することによって評価用フィルムを得た。得られたフィルムを使用し、フィルムの100%引張応力及び、破断強度を測定した。
乾燥皮膜の柔軟性は、上記で得られたフィルムの100%引張応力で評価でき、100%引張応力の数値が小さい程、柔軟性が良好である。乾燥皮膜の機械物性は、上記で得られたフィルムの破断強度で評価でき、数値が大きいほど機械物性に優れる。
尚、フィルムの100%引張応力、破断強度の測定は、「JIS K7311:1995に記載の5.引張試験」に基づいて行った。結果を表2に示す。
<皮膜の耐熱性の評価方法>
前記の<皮膜の柔軟性及び機械物性の評価方法>と同一の方法で、評価用フィルムを得た。評価用フィルムを120℃に加熱した恒温槽内で10分間静置した後、120℃雰囲気下でフィルムの引き裂き強度を測定した。乾燥皮膜の耐熱性は、上記で得られたフィルムの引き裂き強度で評価でき、数値が大きいほど耐熱性に優れる。尚、フィルムの引き裂き強度は「JIS K7311:1995に記載の6.引裂試験」に基づいて行った。結果を表2に示す。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体(Q)はその乾燥皮膜が優れた機械物性及び耐熱性を有することから、人工皮革又は合成皮革用原料組成物として特に有用である。また、人工皮革・合成皮革用原料組成物以外の水性繊維加工処理剤組成物(顔料捺染用バインダー組成物、不織布用バインダー組成物、補強繊維用集束剤組成物、及び抗菌剤用バインダー組成物等)、水性インキ組成物、水性塗料組成物、水性接着剤組成物、水性コーティング組成物(防水コーティング組成物、撥水コーティング組成物及び防汚コーティング組成物等)及び水性紙処理剤組成物等にも好適に使用できる。

Claims (6)

  1. イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)と鎖伸長剤(a3)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体であって、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)が、高分子ポリオール(a1)及びアニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)を含有する活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記ポリウレタン樹脂(U)の数平均分子量が4万〜100万であり、前記有機ポリイソシアネート成分(B)の内の90モル%以上が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるポリウレタン樹脂水性分散体(Q)。
  2. 前記ポリウレタン樹脂(U)のウレア基濃度が、(U)の重量を基準として0.20〜1.0ミリモル/gである請求項1に記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  3. 前記鎖伸長剤(a3)が、炭素数2〜36のポリアミン、炭素数2〜20のアミノアルコール及び炭素数6〜20の芳香族ポリアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  4. 前記高分子ポリオール(a1)がポリカーボネートジオールである請求項1〜3のいずれか記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  5. 人工皮革又は合成皮革用原料である請求項1〜4のいずれか記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  6. ブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)と水性媒体との分散体を30℃〜150℃にしてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)を生成させて、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)と鎖伸長剤(a3)とを反応させて得られるポリウレタン樹脂(U)を含有するポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法であって、前記ブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P0)が、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)とイソシアネートブロック化剤(C)とを反応させてなるブロック化されたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)が、高分子ポリオール(a1)及びアニオン性基又はカチオン性基と活性水素基とを有する化合物(a2)を含有する活性水素成分(A)と、有機ポリイソシアネート成分(B)とを反応させてなるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであり、前記ポリウレタン樹脂(U)の数平均分子量が4万〜100万であり、前記有機ポリイソシアネート成分(B)の内の90モル%以上が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるポリウレタン樹脂水性分散体(Q)の製造方法。
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