JP2021070732A - インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、染料を色材(着色剤)として用いたインクジェットインクの場合、耐湿性や耐光性が劣り、印刷された文字や図柄の安定性に懸念がある。
そこで、上記問題を解決するために、顔料を色材として含むインクジェットインクを用いる場合、ドロップオンデマンドインクジェット装置にインク循環機構を設け、顔料粒子の沈降防止を図ることによって、印刷される文字や図柄の濃度変化やインクの吐出安定性を確保する方法(特許文献1,2参照)、顔料として四三酸化鉄を用いるとともに、インク中の四三酸化鉄の粒度分布規定したインクジェットインク(特許文献3)、顔料を含む着色剤、エステルガム、エタノール、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステルからなるインクジェットインク(特許文献4)が提案されている。
(1)特許文献1,2の方法
特許文献1,2の方法では、ドロップオンデマンドインクジェット装置にインク循環機構を余分に設けて、顔料の沈降を防ぐようにしているため、印刷される文字や図柄の濃度変化やインクの吐出安定性を確保することができるのであるが、装置が複雑化するとともに、装置の維持コストや製造コストの面で問題がある。
(2)特許文献3のインクジェットインク
特許文献3のインクジェットインクの場合、主溶剤として水を使用しており、印刷対象となる錠剤の種類によって、定着性が異なる。すなわち、一般的に知られているとおり、水性インクでは素錠や口腔内崩壊錠(以下OD錠)には浸透し定着するが、糖衣錠やフィルムコーティング錠(以下FC錠)には浸透せず、溶剤の乾燥が遅いため、定着する前に転写等が発生してしまう。
(3)特許文献4のインクジェットインク
特許文献4のインクジェットインクの場合、吐出安定性を確保するためにエステルガムを使用しているが、日本の食品添加物使用基準において、エステルガムはチューインガムのみに使用可能と明記されている。また、日本の医薬品添加物規格でも投与経路は、一般外用剤、経皮、その他の外用と明記されている。
したがって、経口投与する錠剤に使用するには安全性に懸念がある。
本発明において、顔料としては、可食性のものであれば特に限定されないが、たとえば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、二酸化チタン、アルミニウムレーキなどが挙げられ、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄などの酸化鉄が好適である。
酸化鉄の配合割合が0.5重量未満では、印刷体の色濃度に問題が出るおそれがあり、10重量部を超えると、ノズルのつまりなどの問題が生じるおそれがある。
すなわち、PVPは、分散剤としてだけではなくバインダーとしても作用し、別途バインダーを加えなくてもよくなる。そして、分子量1000以上10万未満のPVPが特に好ましい。
PVP:エタノール=1:4〜1:8が好ましく、PVP:エタノール=1:5〜1:7がより好ましい。
すなわち、エタノールが少なすぎると、顔料粒子がノズルに詰まりやすくなり、ドット抜けなどが発生しやすくなり、多すぎると、印刷濃度に問題がでるおそれがある。
すなわち、プリンタを一定期間以上停止してプリンタを再稼働させる場合のように、インクが連続的に使用されるのではない場合、分散媒が揮発してノズル先端で顔料濃度が高くなったり、インクが固化したりして、ノズルが詰まるおそれがあるが、上記表面調整剤を成分中に加えることによって、分散媒の揮発を遅らせることができる。
上記グリセリン脂肪酸エステルとしては、たとえば、ステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、 ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸等の各種脂肪酸とグリセリンとの反応生成物である モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ならびに上記各種脂肪酸とポリグリセリンとの反応生成物であるポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられ、具体的には、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノクエン酸モノステアリン酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸モノステアリン酸エスエル、デカグリセンリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノミスチリン酸エステルなどのグリセリン脂肪酸エステルなどのHLB(親水性親油性バランス)が7〜15のものが好ましい。
HLBが、上記の範囲未満または上記範囲を超えると、インクの固化が防げずに、インクがノズルに詰まりやすくなったり、ドット抜けなどが発生しやすくなったりするおそれがある。
すなわち、表面調整剤の添加量が多すぎると、ノズルが詰まったり、ドット抜けが発生したりするおそれがあり、少なくなると、表面調整剤の添加効果を得られなくなるおそれがある。
保湿成分としては、たとえば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、水、食用乳化剤などが挙げられる。
保湿成分の添加量としては、5重量%以下が好ましい。
上記メディアレスの分散機としては、乳化分散装置(たとえば、パウレック社の商品名マイクロフルイダイサー、吉田機械工業社の商品名ナノマイザー、スギノマシン社の商品名スターバースト)が挙げられる。
一方、分散メディアとしては、サンドミルやビーズミルが挙げられる。
上記ビーズミルに使用されるビーズ(媒体)としては、特に限定されないが、ジルコニアビーズが一般的である。
すなわち、分散体形成工程において得られた分散体は、遠心分離によって顔料濃度が低くなっているので、そのままでは、十分な濃度の文字や図柄を印刷できないおそれがある。
そこで、分散体の他の成分、特に、分散媒を取り除くなどして、濃縮を図り、顔料濃度を高めることが好ましい。
すなわち、濃縮工程で濃縮分散体は、各成分がインクとして使用するために適した濃度範囲になっていない場合がある。
そこで、各成分が使用に適した濃度範囲となるように濃度調整すればよい。
健康食品、又は医薬品用の錠剤は、コーティングの施された錠剤、コーティングのない素錠、易崩壊性の錠剤等、様々な種類の錠剤にも使用できる。
この錠剤としては、素錠、OD錠、FC錠、糖衣錠等の種々の剤形のものを対象とできる。
食品類としては、たとえば、ガム、キャンディー、ビスケット、クッキー、饅頭、チョコレート、みかん、りんご、スイカ、メロン、マンゴー、柿、桃等の果物や、野菜、加工肉類等が挙げられる。
したがって、カートリッジタンクに入れた状態で長期間安定した印刷状態を保つことができ、カートリッジ式の汎用のインクジェット印刷装置や、ピエゾ方式の印刷装置に使用することができる。
また、各成分中、主成分となる有機溶媒が50重量%以上であるので、水により印刷不良や印刷対象物自体に変質が発生する恐れのある印刷対象物や浸透しにくい印刷対象物に印刷できる。
(分散体1)
顔料としての三二酸化鉄20重量部、分散剤としてのポリビニルピロリドン(分子量1000〜10万未満、以下、「PVP1」と記す)4重量部、分散媒としてのエタノール24重量部を、Φ0.3mmジルコニアビーズとともに、ディスクタイプの横型ビーズミルに投入し、2時間分散処理して予備分散体1を得た。
この予備分散体1を、冷却高速遠心機(東興機械社製)にて、遠心分離して粗大顔料粒子を取り除き、分散体1として得た。
上記PVP1を8重量部とするとともに、エタノールを20重量部とした以外は、上記分散体1と同様にして分散体2を得た。
分散剤として、PVP1に代えてポリビニルピロリドン(分子量10万〜30万、以下、「PVP2」と記す)を用いた以外は、上記分散体1と同様にして分散体3を得た。
分散剤として、PVP1に代えてヒドロキシプロピルセルロースを用いた以外は、上記分散体1と同様にして分散体4を得た。
上記ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC」と記す)を8重量部とするとともに、エタノールを20重量部とした以外は、上記分散体4と同様にして分散体5を得た。
顔料としての三二酸化鉄50重量部、分散剤としてのPVP1を6重量部、分散媒としてのエタノール44重量部を用いて上記予備分散体1と同様にして予備分散体6を得たのち、上記分散体1と同様にして分散体6を得た。
なお、本明細書おいて、以下に記載する平均分散粒子径および最大分散粒子径は、すべてマイクロトラック・ベル社製の粒度分布計(UPA型)を用いて測定したものである。
因みに、予備分散体1〜6の平均分散粒子径D50は、240〜290nmであった。
上記分散体1を30重量部、エタノールを69.5重量部、表面調整剤としてのデカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB9、以下、「エステルA」と記す)を0.5重量部の割合で、ガラス製ビーカーに入れ、ステンレス鋼製のプロペラで攪拌混合してインクジェットインクサンプルを得た。
上記分散体1に代えて、上記分散体2を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクサンプルを得た。
上記分散体1を30重量部、エタノールを70重量部の割合でそれぞれ配合して、インクジェットインクサンプルを得た。
表面調整剤として、上記エステルAに代えて、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(HLB13、以下、「エステルB」と記す)を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクサンプルを得た。
表面調整剤として、上記エステルAに代えて、グリセリンクエン酸モノステアリン酸エステル(HLB9.5、以下、「エステルC」と記す)を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクサンプルを得た。
表面調整剤として、上記エステルAに代えて、グリセリンジアセチル酒石酸モノステアリン酸エステル(HLB9、以下、「エステルD」と記す)を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクサンプルを得た。
表面調整剤として、上記エステルAに代えて、デカグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB13、以下、「エステルE」と記す)を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクサンプルを得た。
表面調整剤として、上記エステルAに代えて、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル(HLB15、以下、「エステルF」と記す)を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクサンプルを得た。
分散体1を10重量部、エタノールを89.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクサンプルを得た。
分散体1に代えて分散体6を60重量部、エタノールを39.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして、インクジェットインクサンプルを得た。
分散体6を72重量部、エタノールを27.5重量部とした以外は、実施例10と同様にして、インクジェットインクサンプルを得た。
染料としての食用青色1号(以下、「染料A」と記す)を5重量部、PVP1を4重量部、水を86.5重量部、上記エステルAを0.5重量部の割合で混合して、インクジェットインクサンプルを得た。
染料としての食用赤色3号(以下、「染料B」と記す)を5重量部、PVP1を8重量部、水を86.5重量部、上記エステルAを0.5重量部の割合で混合して、インクジェットインクサンプルを得た。
分散体1に代えて、分散体3を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクサンプルを得た。
分散体1に代えて、分散体4を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクサンプルを得た。
分散体1に代えて、分散体5を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクサンプルを得た。
エタノールに代えて、水を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェットインクサンプルを得た。
また、上記実施例1〜11および比較例1〜6で得たインクジェットインクサンプルのそれぞれについて、連続印字性、分散安定性、素錠への定着性、OD錠への定着性、FC錠への定着性、糖衣錠への定着性、乾燥性を以下のように評価し、その結果を表4に示した。
〔連続印字性〕
インクジェットインクサンプルをそれぞれオンデマンド型のサーマルインクジェットプリンタ(紀州技研工業株式会社製HQ1000)のカートリッジに充填して、FC錠に連続印字テストを行った時に、トラブル(ノズル詰り、印字不良等)なしの場合を○、軽微なトラブル(1ドット抜け)がある場合を△、ドット抜けの数が多く、はっきりとした筋が確認できる場合、あるいは、印字不良の場合を×と判定した。
〔分散安定性〕
インクジェットインクサンプルをそれぞれオンデマンド型のサーマルインクジェットプリンタ(紀州技研工業株式会社製HQ1000)のカートリッジに充填して、印刷対象物としてのFC錠に1日1回、文字を印刷し、1日目に印刷された文字の濃度と比較して、3ヵ月間経過後も文字の濃度に変化がない場合を〇、1週間以上3か月未満のうちに濃度変化がみられる場合を△、1週間未満に濃度変化がみられる場合を×と判定した。
〔定着性〕
素錠、OD錠、FC錠、糖衣錠の4種の錠剤のそれぞれを印刷対象物とし、これらの錠剤に対して各実施例および比較例で作製したインクジェットインクサンプルを用いて文字を印刷するとともに、印刷部分を綿棒でこすった時の剥離の有無により確認し、剥がれない場合を○、剥がれがある場合を×と判定した。
〔乾燥性〕
印刷対象物としてのFC錠に、各実施例および比較例で作製したインクジェットインクサンプルを用いて文字を印刷するとともに、印刷直後から刷毛を印刷部分に接触させ、印刷直後から刷毛にインクが付着しなくなるまでの時間、すなわち、乾燥時間を計測し、2秒未満で乾燥する場合を○、2秒以上で乾燥する場合を×と判定した。
〔にじみ〕
印刷された文字ドットのぼやけ状態、色の分離の有無を目視により確認し、ぼやけや分離が確認できない場合を○、ぼやけや分離が確認できる場合を×と判定した。
〔耐光性〕
印刷対象物としてのFC錠に、各実施例および比較例で作製したインクジェットインクサンプルを用いて文字を印刷したのち、印刷面に(サンシャインウェザーメーター(OKIエンジニアリング社製)を用いて積算照度120万lux・hとなる条件で光を当て、印刷された文字の変色の有無を目視で確認し、変色なしの場合を○、変色ありの場合を×と判定した。
〔耐湿性〕
印刷対象物としてのFC錠に、各実施例および比較例で作製したインクジェットインクサンプルを用いて文字を印刷したのち、45℃、湿度75%の恒温恒湿槽で6ヵ月保管して、印刷された文字の状態を目視で確認し、文字の滲みが発生しない場合を○、にじみが発生した場合を×と判定した。
なお、実施例2のインクジェットインクサンプルについては、他の実施例のインクジェットインクサンプルに比べ連続印字安定性、分散安定性に少し問題があるようであるが、これは分散剤と、分散媒との配合割合に影響されているのではないかと思われる。
したがって、連続印刷については、表面調整剤を添加せずとも満足できるが、間欠印刷における印刷不良を防止するには、表面調整剤を添加することが好ましいと思われる。
顔料としての三二酸化鉄24重量部、分散剤としてのポリビニルピロリドン(分子量1000〜10万未満、以下、「PVP1」と記す)4重量部、分散媒としてのエタノール76重量部を、Φ0.3mmジルコニアビーズとともに、ディスクタイプの横型ビーズミルに投入し、2時間分散処理して、予備分散体7を得た。
この予備分散体6を、遠心力1.7万Gに設定して冷却高速遠心機(東興機械社製)にて、粗大粒子を取り除き、分散体6を得た。
得られた分散体7をろ過濃縮し、濃縮分散体7を得た。
分散媒として、エタノールに代えて水を用いた以外は、上記実施例9と同様にして予備分散体8、分散体8、濃縮分散体8を得た。
顔料として、黄色三二酸化鉄を用いた以外は、上記実施例9と同様にして予備分散体9、分散体9、濃縮分散体9を得た。
分散媒として、エタノールに代えて水を用いた以外は、上記実施例11と同様にして予備分散体10、分散体10、濃縮分散体10を得た。
Claims (7)
- 成分として、顔料と、分散剤と、分散媒を少なくとも含み、各成分が、可食性であるインクジェットインクであって、
前記分散媒が、有機溶媒のみからなり、前記有機溶媒が、50重量%以上含まれるとともに、前記顔料の平均分散粒子径(D50)が50〜200nm、かつ、前記顔料の最大分散粒子径(D99)が400nm未満であることを特徴とするインクジェットインク。 - 前記顔料が、可食性の酸化鉄である請求項1に記載のインクジェット。
- 前記インクジェットインク100重量部中、前記可食性の酸化鉄が0.5〜10重量部含まれる請求項2に記載のインクジェットインク。
- 前記分散剤が、分子量1000以上10万未満のポリビニルピロリドンである請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェットインク。
- 前記有機溶媒が、エタノールである請求項1〜請求項4のいずれかに記載のインクジェットインク。
- 表面調整剤を含む請求項1〜請求項5のいずれかに記載のインクジェットインク。
- 前記表面調整剤が、グリセリン脂肪酸エステルである請求項6に記載のインクジェットインク。
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