JP2021070343A - アクスルケースのブレーキフランジ取付構造 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)ブレーキフランジに円筒部を設け、円筒部に形成したスロット部をアクスルケースに溶接しているので、溶接部分の剛性値は、アクスルケースの剛性値に円筒部の剛性値が加わることになり、アクスルケース自体を改変しなくても、図3に示す従来例と比べると円筒部の分だけ高まる。従って、溶接部における引張応力を軽減できる。
(2)ブレーキフランジが挿通されて剛性が大幅に高まった部分と何も挿通されていない剛性が低い部分との間の剛性が、円筒部によって徐変される。その剛性徐変部である円筒部をアクスルケースに溶接しているので、剛性が大きく変化することに起因する応力集中部への溶接接合を回避でき、溶接亀裂発生の抑制に有効である
(3)車重、路面反力によってアクスルケースが下方に凸となる曲げ変形した際、引張応力が最大となるスロット部の鉛直方向最下端において、溶接がスロット部の内周面に沿って折り返されているため、溶接ビードの端部が存在せず、図3に示す従来例のように溶接ビートの端部が表面張力により半球状となることに起因する応力集中を回避できる。
(4)スロット部の内周面をその周方向に溶接しているので、溶接の始端部、終端部を引張応力が最大となるスロット部の鉛直方向最下端を避けて設定できる。すなわち、溶け込みが不安定となって溶接強度が低くなる溶接の始端部、終端部を、溶接部の引張応力が最大となる部位から避けることができる。
(5)以上要するに、簡単な構成で、ブレーキフランジをアクスルケースに固定する溶接部における応力を軽減でき、車両上下方向の荷重により溶接部に生じる引張応力と、制動時の制動トルクにより溶接部に生じる剪断応力との双方の応力に対し、低コストで高い耐久性を発揮でき、溶接部における亀裂発生を抑制できる。
図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように、本発明の一実施家形態に係るアクスルケース1のブレーキフランジ取付構造は、アクスルケース1の車幅方向両端部に夫々挿通された孔明き円板状のブレーキフランジ2と、ブレーキフランジ2の孔からアクスルケース1の表面に沿って車幅方向に延出された円筒部6と、円筒部6にその内外を連通して周方向に形成されたスロット部7と、スロット部7の内周面とアクスルケース1の表面とをスロット部7の周方向に沿って溶接して成る溶接ビード8と、を備えている。以下、各構成要素について説明する。
本実施形態に係るブレーキフランジ取付構造が適用されるアクスルケース1は、図1(a)に示すものと同様に、ディファレンシャル機構が収容されるディファレンシャル収容部1aと、ディファレンシャル収容部1aから車幅方向左右両側に延出された装置取付部1bとを備えている。
図1(a)に示すように、アクスルケース1には、エンドチューブ5とスプリングシート4との間に位置して、ブレーキフランジ2が配設されている。図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように、ブレーキフランジ2は、孔明き円板状に形成されており、アクスルケース1の車幅方向両端部に挿通されている。ブレーキフランジ2には、制動装置が取り付けられ、制動トルクが加わる。
図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように、ブレーキフランジ2には、その端面から車幅方向にアクスルケース1の表面に沿って延出された円筒部6が設けられており、ブレーキフランジ2および円筒部6がアクスルケース1に挿通されている。ブレーキフランジ2および円筒部6は、鋼材からなり、鍛造加工や鋳造加工等によって一体的に成形されている。但し、ブレーキフランジ2と円筒部6とを別々に成形し、それらを溶接してもよい。
図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように、円筒部6には、その内外を連通して周方向に沿ってスロット部7が形成されている。スロット部7は、本実施形態においては、円筒部6の車体前後方向の2箇所に、円筒部6の周方向に沿ってアクスルケース1の中立軸N(荷重F、Rによって曲げられるアクスルケース1の中立軸)を横切るように形成されている。なお、本実施形態における中立軸Nは、アクスルケース1の中心軸(ドライブシャフトの位置)と程等しいため、中心軸を代用してもよい。
図4(a)、図4(b)、図4(c)に示すように、スロット部7の内周面とアクスルケース1の表面とは、スロット部7の周方向に沿って全周溶接して成る溶接ビード8によって接合されている。すなわち、ブレーキフランジ2は、円筒部6のスロット部7がアクスルケース1の表面に溶接されることで、アクスルケース1に取り付けられている。
図1(a)に示すアクスルケース1には、スプリングシート4を介して下向きの荷重Fが加わり、エンドチューブ5に路面反力として上向きの荷重Rが加わる。これらの荷重F、Rによって、アクスルケース1には下に凸となる曲げモーメントが生じ、アクスルケース1の中立軸N(中心軸)から下側の範囲において引張応力が発生する。引張応力の大きさは、アクスルケース1の左右中心軸に直交するアクスルケース1の断面係数に反比例する。亀裂発生の主な要因は、引張応力の高い部位に溶接部8(溶接ビード)が存在することであるから、溶接部8においてアクスルケース1の断面係数を大きくすることが、引張応力の低減に繋がり、亀裂発生抑制に対し有効である。
図6(a)に本発明の変形実施形態に係るアクスルケース1のブレーキフランジ取付構造を車両の前後方向から見た正面図を示し、図6(b)に同構造を上方から見た平面図を示す。この変形実施形態は、図4(a)、図4(b)を用いて上述した前実施形態と比べると、スロット部7の範囲が広がり、ブレーキフランジ2の上部の端部とアクスルケース1とが周方向に溶接(溶接ビード9)され、円筒部6の上部の端部とアクスルケース1とが周方向に溶接(溶接ビード10)されている点が相違し、その他は同様の構成となっている。よって、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、相違点を説明する。
2 ブレーキフランジ
6 円筒部
7 スロット部
7a 鉛直方向最下端部
8 溶接ビード(溶接部)
N 中立軸
Claims (4)
- アクスルケースの車幅方向両端部に夫々挿通された孔明き円板状のブレーキフランジと、該ブレーキフランジの孔から前記アクスルケースの表面に沿って車幅方向に延出された円筒部と、該円筒部にその内外を連通して周方向に形成されたスロット部と、該スロット部の内周面と前記アクスルケースの表面とを前記スロット部の周方向に沿って溶接して成る溶接ビードと、を備えたことを特徴とするアクスルケースのブレーキフランジ取付構造。
- 前記円筒部が、前記ブレーキフランジの孔から前記アクスルケースの表面に沿って車幅方向の外方に延出されている、ことを特徴とする請求項1に記載のアクスルケースのブレーキフランジ取付構造。
- 前記溶接ビートの溶接始端および溶接終端が、前記スロット部の鉛直方向最下部を避けて配置されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のアクスルケースのブレーキフランジ取付構造。
- 前記スロット部が、前記円筒部の周方向に沿って前記アクスルケースの中立軸を横切るように形成され、前記溶接ビートの溶接始端および溶接終端が、前記アクスルケースの中立軸の部分に配置されている、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のアクスルケースのブレーキフランジ取付構造。
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