JP2021066925A - チタン合金丸棒およびコネクティングロッド - Google Patents

チタン合金丸棒およびコネクティングロッド Download PDF

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Abstract

【課題】良好な引張強さと延性とを備え、さらに、高いヤング率と熱間加工性とを有するチタン合金丸棒およびコネクティングロッドを提供する。【解決手段】所定の化学組成を有し、[Al+10×O≦10.5]、[0.50≦Nb+10×Si]、および[1.00≦2×Fe+5×Cr]を満足し、金属組織が、面積率で、85.0%以上のα相を有し、α相結晶粒の等軸化率が70%以上であり、前記チタン合金丸棒の長手方向と、α相の結晶格子のc軸方向とのなす角をθとした場合に、観察される全てのα相結晶粒に対する、θが0°以上45°以下であるα相結晶粒の割合が、15.0%以上であるチタン合金丸棒。【選択図】図2

Description

本発明は、チタン合金丸棒およびコネクティングロッドに関する。
チタン合金は、良好な引張強さと伸びとを有し、かつ軽量な合金である。このため、燃費性向上の観点から、自動車等のエンジンを構成する、コネクティングロッドと呼ばれる部品に使用されることがある。軽量な点で、チタン合金はコネクティングロッドの素材に適している。しかしながら、チタン合金をコネクティングロッドに使用する上で問題になる点がある。チタン合金は、引張強さは高いものの、たわみやすく、比較的、ヤング率が低い点である。
ヤング率が低いと、変形しやすく、エンジンの安全性の面で問題が生じる場合がある。したがって、ヤング率を担保するため、部品厚を厚くすることが必要になり、チタン合金の軽量性という利点が十分に活かされていなかった。
特開2010−7166号公報
特許文献1には、Alを5.5〜7.0%含有した鋳造用チタン合金が開示されている。特許文献1のように、Alを含有させることで、強度が向上し、ヤング率も向上すると考えられる。
その一方、Alを添加した場合、熱間加工性が低下し、鋳造により部品の形状に成形を行う必要が生じる。コネクティングロッドは、ピストンにより生じた駆動力によって繰り返し荷重を受ける。このため、鋳造欠陥が残存しやく、疲労強度が低下しやすい鋳造加工より、例えば、丸棒などの形状から鍛造加工を行うのが望ましい。しかしながら、Alを含有させた場合には、部品の成形に必要な鍛造加工に耐えうる十分な熱間加工性を得ることができないという課題がある。
本発明は、上記課題を解決し、良好な引張強さと延性とを備え、さらに、高いヤング率と熱間加工性とを有するチタン合金丸棒およびコネクティングロッドを提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記のチタン合金丸棒おコネクティングロッドを要旨とする。
(1)一方向に延びたチタン合金丸棒であって、
化学組成が、質量%で、
Al:7.0〜9.0%、
O:0.20%以下、
N:0.010%以下、
C:0.010%以下、
H:0.013%以下、
Nb:0〜2.00%、
Si:0〜0.30%、
Fe:0〜2.00%、
Cr:0〜2.00%、
残部:Tiおよび不純物であり、
下記(i)〜(iii)式を満足し、
金属組織において、面積率で、85.0%以上のα相を有し、
α相結晶粒の等軸化率が70%以上であり、
前記チタン合金丸棒の長手方向と、α相結晶格子のc軸方向とのなす角をθとした場合に、測定される全てのα相結晶粒に対して、θが0°以上45°以下であるα相結晶粒の割合が、15.0%以上であるチタン合金丸棒。
Al+10×O≦10.5 ・・・(i)
0.50≦Nb+10×Si ・・・(ii)
1.00≦2×Fe+5×Cr ・・・(iii)
但し、上記式中の各元素記号は、チタン合金中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
(2)上記(1)に記載のチタン合金丸棒を用いたコネクティングロッド。
本発明によれば、良好な引張強さと延性とを備え、さらに、高いヤング率と熱間加工性とを有するチタン合金丸棒およびコネクティングロッドを得ることができる。
図1はhcp構造においてc軸方向を模式的に示した図である。 図2は合金丸棒の長手方向とc軸方向とのなす角θを、模式的に示した図である。
本発明者らは、良好な引張強さと延性とを備え、さらに、高いヤング率と熱間加工性とを有するチタン合金を得るため種々の検討を行った。その結果、以下の(a)〜(d)の知見を得た。
(a)チタン合金にAlを含有させることで、ヤング率を向上させることができる。加えて、Alは軽量な金属であり、密度を低下させるため、軽量化の点からも望ましい。その一方、Alは、熱間加工時の変形抵抗を増加させることから、Alを含有させた場合、必然的に、熱間加工温度を高温化させる必要が生じる。
この場合、著しい酸化が生じ、素材表面で割れが発生したり、酸化スケールが発生したりするといったように、熱間加工性が低下する場合がある。また、チタン合金は、hcp構造を有し、異方性が強いため、熱間加工時の歩留まりが悪い。このため、異方性を低減し、歩留まりを向上させることも、熱間加工性の観点から要求される。
(b)そこで、Al含有量を所定量に制限する必要がある。加えて、同様の効果を有するOについても、含有量を一定量に制限する必要がある。また、Alを含有させることで、高温化した熱間加工温度に対し、Nbおよび/またはSiを所定量含有させることで耐酸化性を向上させることが望ましい。
(c)加えて、高いヤング率を確保するため、α相の形成量を所定値以上とする必要がある。一方、熱間加工性を担保するため、チタン合金の金属組織中にβ相が一定量含まれるような成分設計とする。β相は、ヤング率を低下させるが、熱間加工性を向上させるためである。すなわち、チタン合金の金属組織を調整するよう、チタン合金の化学組成および製造条件を制御する必要がある。
(d)さらに、熱間加工性を向上させるためには、チタン合金の結晶粒を等軸化するとともに、異方性を低減するのが好ましい。このためには、製造時において、溶体化処理条件を制御することで、β相からα相への変態時に形成する結晶粒を制御するのが好ましい。
本発明に係るチタン合金丸棒は、上記の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明の各要件について詳しく説明する。
本発明に係るチタン合金丸棒は、一方向に延びた形状を有する。
1.化学組成
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Al:7.0〜9.0%
Alは、高温強度を向上させ、高温域までα相を安定化させる効果を有する。また、ヤング率を向上させる効果も有する。Alを含有させることで、良好なヤング率と低密度化を実現することができる。このため、Al含有量は7.0%以上とし、7.5%以上とするのが好ましい。しかしながら、Al含有量が過剰になると、脆化相であるであるα相(TiAl相)が析出するようになり、延性が低下する場合がある。このため、Al含有量は9.0%以下とし、8.5%以下とするのが好ましい。
O:0.20%以下
Oは、チタン合金に含有される不純物元素であり、強度を向上させる効果を有する。このため、O含有量を所定量に制限することで、強度を調整することができる。しかしながら、O含有量が過剰であると、脆化相であるα相の析出を促進させる。また、室温での延性が低下する。このため、O含有量は、0.20%以下とする。O含有量は0.18%以下とするのが好ましく、0.15%以下とするのがより好ましい。一方、O含有量の過度な低減は、製造コストを増加させるため、O含有量は0.01%以上とするのが好ましい。
ここで、AlおよびOは、両元素とも強度の向上に寄与する元素である。その一方、両元素は、ともに過剰に含有させると、脆化相であるα相が析出しやすくなることから、下記(i)式を満足する必要がある。
Al+10×O≦10.5 ・・・(i)
(i)式左辺値が10.5を超えると、脆化相であるα相が析出し、熱間加工性を低下させる。このため、(i)式左辺値は10.5以下とする。(i)式左辺値は、10.0以下とするのが好ましく、9.5以下とするのがより好ましい。(i)式左辺値の下限は、特に定めないが、通常、7.1以上になると考えられる。
N:0.010%以下
C:0.010%以下
NおよびCは、チタン合金に含有される不純物であり、機械的特性を低下させる場合がある。N含有量は0.010%以下とする。また、C含有量は0.010%以下とする。NおよびC含有量は、極力低減するのが好ましい。
H:0.013%以下
Hは、チタン合金に含有される不純物元素であり、脆化を引き起こす場合がある。このため、H含有量は0.013%以下とする。H含有量は0.010%以下とするのが好ましく、0.008%以下とするのがより好ましい。
Nb:0〜2.00%
Si:0〜0.30%
NbおよびSiは、いずれもβ安定化元素であり、耐酸化性を向上させる効果を有する。本発明に係るチタン合金丸棒では、Alを含有させることで、ヤング率を向上させており、熱間加工温度を上昇させる必要が生じる。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Nbを過剰に含有させると、製造コストが増加する。このため、Nb含有量は、2.00%以下とする。また、Siを過剰に含有させると、金属間化合物が形成し、疲労強度が低下する。このため、Si含有量は0.30%以下とする。
加えて、チタン合金は酸化しやすく、上述した熱間加工温度の上昇により、歩留まりの低下が生じる。歩留まりの低下は、具体的には、加工時の酸化スケールの押し込みが生じる、酸化スケール直下に形成する硬化層が厚くなり、除去が不十分にできない等に起因すると考えられる。このため、本発明に係るチタン合金丸棒においては、NbおよびSi含有量が下記(ii)式を満足する。
0.50≦Nb+10×Si ・・・(ii)
(ii)式右辺値が0.50未満であると、熱間加工温度の上昇に耐えうる耐酸化性を得ることができない。このため、(ii)式右辺値は0.50以上とするのが好ましく、0.80以上とするのがより好ましい。
Fe:0〜2.00%
Cr:0〜2.00%
Feは共析型のβ安定化元素であり、β相を安定化させる効果を有する。そして、Feを含有させることで、β相を確保し、熱間加工性を向上させることができる。さらに、Feはα相中への分配が少ないため、α相の高温での高強度化を抑制できる。任意添加元素として一般的なVおよびMoは、全率固溶型の元素であるが、これら元素と比較しても元素熱間加工性の改善に有効であり、安価でもある。このため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Feを過剰に含有させると、インゴット中で偏析を生じる場合がある。このため、Fe含有量は2.00%以下とする。
Crも、Feと同様に、共析型のβ安定化元素であり、β相を顕著に安定化させる効果を有する。このため、Crを必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Crを過剰に含有させると、Feと同様、インゴット中で偏析を生じる場合がある。このため、Cr含有量は2.00%以下とする。
また、FeとCrとは、複合添加することで、β相を一定量形成させることができる。このため、本発明に係るチタン合金丸棒においては、FeまたはCrの少なくとも一方を含有させ、FeおよびCr含有量が下記(iii)式を満足する。
1.00≦2×Fe+5×Cr ・・・(iii)
(iii)式右辺値が1.00未満であると、β相を十分確保できず、良好な熱間加工性、および延性を得ることができない。このため、(iii)式右辺値は1.00以上とする。(iii)式右辺値は、1.50以上とするのが好ましく、2.50以上とするのがより好ましい。
なお、上記(i)〜(iii)式中の各元素記号は、チタン合金中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
本発明の化学組成において、残部はTiおよび不純物である。ここで「不純物」とは、上記のO、N、C、H等の元素に加え、チタンを工業的に製造する際に、スクラップ等の原料、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。特に、原料にスクラップを使用する場合は、V、Sn、Zr、Mn、Mo、Cu等の元素が不純物として混入する場合がある。これらの元素については、各含有量が0.1%以下であり、かつ総含有量が0.3%以下であれば、不純物として許容される。
2.金属組織
2−1.α相面積率
本発明に係るチタン合金丸棒の金属組織は、面積率で、85.0%以上のα相を有する。α相が、面積率で、85.0%未満であると、良好なヤング率を得ることができない。このため、α相は、面積率で85.0%以上とし、90.0%以上とするのが好ましい。一方、α相が過剰になる、すなわち、β相が少なすぎると、熱間加工性を確保することができない。このため、α相は、面積率で、99.0%以下とするのが好ましい。
なお、α相の面積率は、EBSD法を利用した結晶方位解析を行うことで測定することができる。具体的には、SEM(走査型電子顕微鏡)により、L断面(丸棒長手方向に平行な断面)の中央部を1000倍で観察し、測定領域を100μm×100μmの領域とし、測定ピッチを0.2μmとし、測定を行う。測定した結果に基づき、結晶方位解析を行い、α相とβ相とを同定する。上記測定を任意の3か所で行い、平均値算出し、α相の面積率とする。なお、結晶方位解析では、解析ソフトのOIM−analysisを用い、Phase−Mapから算出すればよい。
2−2.等軸化率
本発明に係るチタン合金丸棒は、強度、熱間加工性、および室温から温間の温度域での延性を確保するため、α相の等軸化率を規定する。チタン合金丸棒が加工等で変形される際、各結晶粒は、周囲の結晶粒と連続的に変形する必要がある。このため、等軸化されていない圧延組織のような細長い結晶粒が多いと、周囲の結晶粒と接する長さが長くなり、変形抵抗が大きくなると考えられる。この結果、延性が低下する。
したがって、α相の等軸化率を70%以上とする。等軸化率とは、観察される全てのα相に対する等軸粒の割合のことをいい、結晶粒の形状に関し、等方性の度合いを示す指標である。また、等軸粒とは、アスペクト比、すなわち長軸長さ/短軸長さが、3.3以下であることをいう。
α相の等軸化率が70%未満であると、良好な熱間加工性および室温から温間の温度域での延性を確保することができない。また、所望する強度も得ることができない。このため、α相の等軸化率は70%以上とする。α相の等軸化率は80%以上とするのが好ましく、85%以上とするのが好ましい。
なお、等軸化率については、以下の手順で観察を行う。具体的には、チタン合金丸棒のC断面(長手方向に垂直な断面)の中心部が観察面となるように、組織観察を行う。観察倍率は200〜300倍とし、光学顕微鏡またはSEMを用いる。この組織観察により、アスペクト比が3.3以下となる結晶粒の面積を測定し、全体のα相の面積で除し、百分率で表記し、等軸化率とする。アスペクト比は、結晶粒を楕円相当として、長軸および短軸を算出すればよい。
2−3.チタン合金丸棒長手方向のα相結晶粒の配向
α相の結晶構造は、図1に示すようなhcp構造(六方最密充填構造)である。α相においては、hcp格子の底面に垂直な方向(以下、単に「c軸方向」ともいう。)が、ヤング率が高い方向となる。通常、加工等を考慮し、コンロッドに用いられる丸棒では、長手方向のヤング率が重要になる。このため、合金丸棒の長手方向と、α相のhcp格子のc軸方向とが極力平行になるのが望ましい。すなわち、図2に示すように、チタン合金丸棒の長手方向と、α相の結晶格子のc軸方向とのなす角をθとした場合に、θが0°になるのが最も望ましい。
そして、本発明に係るチタン合金丸棒では、測定される全てのα相結晶粒に対し、θが0°以上45°以下であるα相結晶粒の割合(以下、単に「c軸配向α相率」と記載する。)が、15.0%以上とする。c軸配向α相率は、17.5%以上とするのが好ましく、20.0%以上とするのが好ましい。なお、c軸配向α相率の上限は特に設けない。
c軸配向α相率は、EBSD法を利用した結晶方位解析を行うことで測定することができる。具体的には、SEM(走査型電子顕微鏡)により、L断面(丸棒長手方向に平行な断面)の中央部を100倍で観察し、測定領域を1000μm×1000μmの領域とし、測定ピッチを2μmとし、測定を行う。測定した結果に基づき、結晶方位解析を行い、α相を同定する。上記測定を任意の3か所で行い、θが0°以上45°以下であるα相結晶粒を抽出し、測定される全α相結晶粒に対する割合(%)を算出する。なお、結晶方位解析では、解析ソフトのOIM−analysisを用いればよい。
3.目標とする特性値
本発明に係るチタン合金丸棒においては、長手方向のヤング率が115GPa以上である場合をヤング率が良好であると評価する。また、引張強さが950MPa以上である場合を引張強さが良好であると評価し、破断伸びが15%以上である場合を、延性が良好であると評価する。さらに、熱間加工性については、酸化増量を評価指標とし、酸化増量が10.0mg/cm以下である場合を熱間加工性が良好であると評価する。なお、本発明に係るチタン合金丸棒においては、良好な比強度を得る上で、低密度であるという効果も得ることができる。そして、密度が4.40g/cm以下である場合を、良好な値として評価する。
4.製造方法
本発明に係るチタン合金丸棒およびコネクティングロッドの好ましい製造方法について説明する。本発明に係るチタン合金丸棒は、製造方法によらず、上述の構成を有していれば、その効果を得られるが、例えば、以下のような製造方法により、安定して製造することができる。
4−1.鋳塊製造工程
所定の化学組成の鋳塊を電子ビーム溶解、真空アーク溶解、プラズマアーク溶解などの方法で製造するのが好ましい。鋳塊のサイズは特に制限しない。しかしながら、真空アーク溶解では鋳塊が大きくなると偏析が著しくなるため、真空アーク溶解の場合は小さい鋳塊の方が好ましい。また、FeおよびCrを含有させる場合は、これらの元素が偏析しやすいため、電子ビーム溶解を用い、小さな鋳塊を製造するのが好ましい。
4−2.分塊工程
得られた鋳塊は、凝固欠陥を含む凝固組織である。凝固組織は、熱間加工性を低下させるため、好ましくない。このため、必要に応じて、得られた鋳塊を分塊してもよい。分塊は、鍛造、圧延いずれで行ってもよい。
分塊工程においては、加熱温度はβ変態点(℃)以上1150℃以下とするのが好ましい。加熱温度がβ変態点未満であると、十分に凝固組織を解消することができない。このため、加熱温度は、β変態点以上とするのが好ましく、β変態点+50℃以上とするのがより好ましい。なお、加工途中にβ変態点を下回ってもよい。また、再加熱する場合はβ変態点以上に加熱するのが好ましい。一方、加熱温度が1150℃を超えると、鋳塊が著しく酸化する。このため、加熱温度は1150℃以下とするのが好ましい。
分塊工程において、総断面減少率が20%以上の加工、すなわち粗鍛造を行うのが好ましい。総断面減少率が20%未満であると、十分、鋳造組織を解消することができないからである。
4−3.β溶体化・加工工程
続いて、β変態点以上に再度加熱し、β単相域で断面減少率が5〜30%の加工を加え、その後、急冷を行う工程(以下、単に「β溶体化・加工工程」と記載する。)をするのが好ましい。β変態点以下においては、β相からα相への変態が生じる。このため、β単相域で加熱、加工した後の冷却において、当該変態が生じることになる。
この変態により形成するα相が、変態前のβ相の粒界に沿って形成する場合は、熱間加工性が低下する。このような粒界周辺でのα相の析出は、合金元素が増えるほど、顕著に生じるが、チタン合金丸棒の等軸化を阻害し、強度、延性等を低下させる場合がある。したがって、変態により形成するα相は、変態前のβ相の粒内に形成するのが好ましい。
変態の際、α相を粒内に形成させるためには、粒内で析出核となるひずみを導入し、粒界周辺での析出を抑制するのが好ましい。このため、断面減少率が5%以上の加工を加えるのが好ましい。一方、過剰にひずみを導入すると、粒内での析出核としては機能せず、再結晶の駆動力として組織内に蓄積される。このため、断面減少率が30%以下の加工を加えるのが好ましい。
また、加熱および加工後に、β相単域から急冷するのが好ましい。急冷は、加工後の断面積が100cm(10000mm)以下となるような形状で、水冷または強制空冷で行うのが好ましい。断面積が100cm超となるような形状で、水冷または強制空冷より冷却速度が低い冷却方法を用いた場合では、十分速い冷却速度で急冷を行うことができないからである。
なお、分塊工程における加工と、溶体化・加工工程における加工を一緒に行ってもよい。この場合、分解工程および溶体化・加工の一連の工程を通し、β変態点以上で行い、総断面減少率が25〜50%の加工を行った後、上記急冷を行うことになる。
4−4.仕上圧延工程
続いて、仕上圧延を行う。仕上圧延では、加熱温度をβ変態点未満とし、断面減少率を85%以上で圧延するのが好ましい。仕上圧延における加熱温度がβ変態点以上であると、変態が生じ、金属組織を等軸化がすることができない。このため、仕上圧延における加熱温度は、β変態点未満とするのが好ましい。仕上圧延における加熱温度は、β変態点−20℃とするのがより好ましく、β変態点−30℃とするのがさらに好ましい。また、仕上圧延の断面減少率が85%未満である場合も同様に、金属組織を等軸化がすることができない。このため、仕上圧延の断面減少率が85%以上とするのが好ましい。ここで、断面減少率は仕上圧延工程開始時の断面積を基準にしたものである。
4−5.熱処理工程
仕上圧延後に、機械的特性を調整するために、必要に応じて、熱処理を行ってもよい。ここで、熱処理温度は、β変態点−50℃以下で行うのが好ましい。熱処理温度がβ変態点−50℃を超えると、得られた等軸組織を維持することができず、等軸α粒の割合が減少する。
4−6.脱スケール工程
表面性状を良好にする必要があるためには、必要に応じて、脱スケールを行ってもよい。脱スケールは、機械研磨、ショットブラスト、酸洗等、特に制限されない。
4−7.コネクティングロッドへの製造
得られたチタン合金丸棒について、熱間型鍛造、打ち抜き、切削加工等を行い、コネクティングロッドの形状にするのが好ましい。必要に応じて、脱スケール、表面処理等を施してもよい。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に記載の化学組成を有するチタン合金丸棒を製造した。化学組成については、金属元素は、ICP分析により、Oは不活性ガス溶融赤外線吸収法、Nは不活性ガス溶融熱伝導度法、Cは高周波燃焼赤外線吸収法により測定した。分析試料は、丸棒中心から径の1/2の位置までの範囲から採取した。ここで、所定の化学組成を有する鋳塊(直径120〜140mm)を表2に記載した条件で、丸棒を製造した。得られた丸棒は、直径25〜38mmであった。
Figure 2021066925
Figure 2021066925
得られたチタン合金丸棒について、以下の値を測定または算出した。
(α相面積率)
α相の面積率は、EBSD法を利用した結晶方位解析を行った。具体的には、SEM(日本電子社製JSM−6500F)により、L断面(丸棒長手方向に平行な断面)の中央部を1000倍で観察し、測定領域を100μm×100μmの領域とし、測定ピッチを0.2μmとし、測定した。測定した結果に基づき、結晶方位解析を行い、α相とβ相とを同定した。上記測定を任意の3か所で行い、平均値を算出し、α相の面積率とした。なお、結晶方位解析では、解析ソフトのOIM−analysisを用い、Phase−Mapから算出した。
(等軸化率)
等軸化率については、以下の手順で観察を行った。具体的には、チタン合金丸棒のC断面(長手方向に垂直な断面)の中心部が観察面となるように、組織観察を行った。観察倍率は200〜300倍とし、測定機器はNikon社製ECLIPSE LV150Nを用いた。この組織観察により、アスペクト比が3.3以下となる結晶粒の面積を測定し、全体の面積で除し、百分率で表記し、等軸化率とした。
(c軸配向α相率)
c軸配向α相率は、EBSD法を利用した結晶方位解析を行うことで測定した。具体的には、SEM(走査型電子顕微鏡)により、L断面(丸棒長手方向に平行な断面)の中央部を100倍で観察し、測定領域を1000μm×1000μmの領域とし、測定ピッチを2μmとし、測定を行った。測定した結果に基づき、結晶方位解析を行い、α相を同定した。上記測定を任意の3か所で行い、θが0°以上45°以下であるα相結晶粒を抽出し、測定される全α相に対する割合(%)を算出した。なお、結晶方位解析では、解析ソフトのOIM−analysisを用い、測定機器は、日本電子社製JSM−6500Fを用いた。
(引張強さおよび破断伸び)
得られたチタン合金丸棒について、引張試験を行い、引張強さ、破断伸びを算出した。引張試験では、引張試験速度を1mm/minとし、試験片が破断に至るまで実施した。破断伸びは突合せ法により、算出した。引張試験片は、ASTM E8 サブサイズ引張試験片(平行部φ6.25mm、平行部長さ28mm、標点間距離25mm)を用い、試験片表面は、#400研磨仕上以上の平滑表面とした。
(ヤング率および密度)
ヤング率は、共振法を用い、測定を行った。なお、試験片形状は、60mm×10mm×3mmとし、試験片の表面は#600仕上とした。径中央から採取した。15mm×15mm×20mmの試験片を用いてN≧3(Nは試験片の数)とし、試験片寸法および質量から密度を算出し、その平均値を密度の値とした。
(酸化増量)
800℃で100h保持し、保持前後の質量変化を表面積で除した値を酸化増量として測定した。試験片は、5mm×20mm×40mmの大きさの試験片を用い、表面は#600研磨仕上とした。この際、上記温度における保持の間で、剥離したスケールについても質量変化分に含めた。以下、結果をまとめて表3に示す。
Figure 2021066925
本発明の規定を満足する、No.1、2、5、6、9、11、13、19、20、25、28〜31、34および35は、良好な特性を示した。その一方、本発明の規定を満足しない例は、各特性値の少なくとも一つが劣る結果となった。
No.3は、Al含有量が本発明で規定する含有量を満足せず、c軸配α相率が低下し、長手方向のヤング率が低下した。また、密度の値も大きくなった。No.4は、Al含有量が本発明で規定する含有量を満足せず、等軸化率が低下し、延性(破断伸び)が低下した。No.7は、Fe含有量が本発明で規定する含有量を満足せず、c軸配向α相率が低下し、長手方向のヤング率が低下した。
No.8は、化学組成が(iii)式を満足せず、破断伸びが低下した。No.10は、Si含有量が本発明で規定する含有量を満足せず、破断伸びが低下した。No.12は、Cr含有量が本発明で規定する含有量を満足せず、α相面積率が低下し、長手方向のヤング率が低下した。
No.14〜17は、O、N、C、Hのいずれかの元素が本発明で規定する含有量を満足せず、破断伸びが低下した。No.18は、化学組成が(i)式の規定を満足せず、破断伸びが低下した。No.21は、化学組成が(ii)式の規定を満足せず、酸化増量が増加した。No.32は、化学組成が、Al含有量および(ii)式の規定を満足しなかった。このため、c軸配向α相率の規定を満足せず、引張強さ、および長手方向のヤング率が低下し、さらに、密度および酸化増量も高くなった。No.33は、化学組成が、Al含有量、(ii)式、および(iii)式の規定を満足しなかった。このため、c軸配向α相率の規定を満足せず、長手方向のヤング率が低下し、密度および酸化増量も高い値となった。
No.22は、β溶体化・加工工程を実施しなかったため、等軸化率が低下し、破断伸びが低下した。No.23は、β溶体化温度がβ変態点より低かったため、等軸化率が低下し、破断伸びが低下した。No.24は、β溶体化・加工後の冷却速度が遅かったため、等軸化率が低下し、破断伸びが低下した。No.26は仕上圧延の加熱温度がβ変態点以上であったため、等軸化率が低下し、破断伸びが低下した。No.27は、熱処理工程の熱処理温度がβ変態点より高かったため、等軸化率が低下し、破断伸びが低下した。

Claims (2)

  1. 一方向に延びたチタン合金丸棒であって、
    化学組成が、質量%で、
    Al:7.0〜9.0%、
    O:0.20%以下、
    N:0.010%以下、
    C:0.010%以下、
    H:0.013%以下、
    Nb:0〜2.00%、
    Si:0〜0.30%、
    Fe:0〜2.00%、
    Cr:0〜2.00%、
    残部:Tiおよび不純物であり、
    下記(i)〜(iii)式を満足し、
    金属組織において、面積率で、85.0%以上のα相を有し、
    α相結晶粒の等軸化率が70%以上であり、
    前記チタン合金丸棒の長手方向と、α相結晶格子のc軸方向とのなす角をθとした場合に、測定される全てのα相結晶粒に対して、θが0°以上45°以下であるα相結晶粒の割合が、15.0%以上であるチタン合金丸棒。
    Al+10×O≦10.5 ・・・(i)
    0.50≦Nb+10×Si ・・・(ii)
    1.00≦2×Fe+5×Cr ・・・(iii)
    但し、上記式中の各元素記号は、チタン合金中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合はゼロとする。
  2. 請求項1に記載のチタン合金丸棒を用いたコネクティングロッド。
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