以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
図1は、実施形態の駐車支援システム20が搭載される車両10の平面図である。車両10は、例えば、内燃機関(エンジン、図示されず)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ、図示されず)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。また、車両10は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。また、車両10における車輪13の駆動に関わる装置の方式、個数、および、レイアウト等は、種々に設定することができる。
図1に示すように、車両10は、車体12と、4個の車輪13と、1または複数(本実施形態では4個)の撮像部14a、14b、14c、14dと、1または複数(本実施形態では8個)の測距部16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16h、16i、16j、16k、16lと、を備える。撮像部14a、14b、14c、14dを区別する必要がない場合、撮像部14と記載する。測距部16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16h、16i、16j、16k、16lを区別する必要がない場合、測距部16と記載する。
車体12は、乗員が乗車する車室を構成する。車体12は、車輪13、撮像部14および測距部16等を収容または保持する。
4個の車輪13は、車体12の前後左右に設けられている。例えば、前側の2個の車輪13は、転舵輪として機能して、後側の2個の車輪13は、駆動輪として機能する。
撮像部14は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、または、CIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部14は、所定のフレームレートで生成される複数のフレーム画像を含む動画、または、静止画のデータを撮像画像のデータとして出力する。撮像部14は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、例えば、水平方向の140°〜190°の範囲を撮影することができる。撮像部14の光軸は、斜め下方に向けて設定されている。従って、撮像部14は、周辺の路面を含む車両10の周辺を撮像した撮像画像のデータを出力する。
撮像部14は、車体12の外周部に設けられている。例えば、撮像部14aは、車体12の前端部の左右方向の中央部(例えば、フロントバンパー)に設けられている。撮像部14aは、車両10の前方の周辺を撮像した撮像画像を生成する。撮像部14bは、車体12の後端部の左右方向の中央部(例えば、リアバンパー)に設けられている。撮像部14bは、車両10の後方の周辺を撮像した撮像画像を生成する。撮像部14cは、車体12の左端部の前後方向の中央部(例えば、左側のサイドミラー12a)に設けられている。撮像部14cは、車両10の左方の周辺を撮像した撮像画像を生成する。撮像部14dは、車体12の右端部の前後方向の中央部(例えば、右側のサイドミラー12b)に設けられている。撮像部14dは、車両10の右方の周辺を撮像した撮像画像を生成する。
測距部16は、例えば、車両10の外周部に設けられ、超音波を含む音波等を検出波として送信して、車両10の周辺に存在する他の車両等の対象物が反射した検出波を捉えるソナーである。なお、測距部16は、レーザ光等の検出波を出力するレーダーやミリ波レーダー等であってもよい。測距部16は、車両10の周辺の情報である検出情報を検出して駐車支援装置34に出力する。例えば、測距部16は、検出波を送信してから受信するまでの時間である応答時間を、対象物の位置を特定するための検出情報として検出する。なお、測距部16は、一度の検出波の送信に対して、対象物の複数の個所が反射した複数の検出波を受信した場合、最も早く受信した検出波の応答時間のみを検出情報に含めてもよい。駐車支援装置34は、測距部16の検出結果により、車両10の周辺の障害物等の物体の有無や当該物体までの距離を測定することができる。測距部16は、検出部とも称される。
測距部16a、16b、16c、16dは、サイドソナーとも呼ばれ、車両10の左右の側部に設けられている。測距部16a、16b、16c、16dは、車両10の側方の対象物を検出して、検出情報を出力する。測距部16e、16fは、コーナーソナーとも呼ばれ、測距部16a、16b、16c、16dよりも車両10の後部(例えば、車両10のコーナー近傍)に設けられ、測距部16a、16b、16c、16dよりも後方(例えば、後方の外側)に向けられている。測距部16e、16fは、車両10の斜め後方の対象物を検出して、検出情報を出力する。測距部16g、16hは、コーナーソナーとも呼ばれ、測距部16a、16b、16c、16dよりも車両10の前部(例えば、車両10のコーナー近傍)に設けられ、測距部16a、16b、16c、16dよりも前方(例えば、前方の外側)に向けられている。測距部16g、16hは、車両10の斜め前方の対象物を検出して、検出情報を出力する。測距部16i、16jは、リアソナーとも呼ばれ、車両10の後端部に設けられている。測距部16i、16jは、車両10の後方の対象物を検出して、検出情報を出力する。測距部16k、16lは、フロントソナーとも呼ばれ、車両10の前端部に設けられている。測距部16k、16lは、車両10の前方の対象物を検出して、検出情報を出力する。
具体的には、測距部16aは、車両10の左側面の前側の位置に設けられている。測距部16aは、左方向に向けられている。測距部16aは、車両10の前側の左側方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
測距部16bは、車両10の左側面の後側の位置に設けられている。測距部16bは、左方向に向けられている。測距部16bは、車両10の後側の左側方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
測距部16cは、車両10の右側面の前側の位置に設けられている。測距部16cは、右方向に向けられている。測距部16cは、車両10の前側の右側方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
測距部16dは、車両10の右側面の後側の位置に設けられている。測距部16dは、右方向に向けられている。測距部16dは、車両10の後側の右側方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
測距部16eは、車両10の後端部の左側の位置に設けられている。測距部16eは、左後方に向けられている。測距部16eは、車両10の左後方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
測距部16fは、車両10の後端部の右側の位置に設けられている。測距部16fは、右後方に向けられている。測距部16fは、車両10の右後方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
測距部16gは、車両10の前端部の左側の位置に設けられている。測距部16gは、左前方に向けられている。測距部16gは、車両10の左前方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
測距部16hは、車両10の前端部の右側の位置に設けられている。測距部16hは、右前方に向けられている。測距部16hは、車両10の右前方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
測距部16i、16jは、車両10の後端部において測距部16e、16fの間で互いに左右方向に間隔を空けて設けられている。測距部16i、16jは、後方に向けられている。測距部16i、16jは、車両10の後方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
測距部16k、16lは、車両10の前端部において測距部16g、16hの間で互いに左右方向に間隔を空けて設けられている。測距部16k、16lは、前方に向けられている。測距部16k、16lは、車両10の前方の検出領域に存在する対象物に関する検出情報を出力する。
図2は、実施形態の駐車支援システム20の全体構成を示すブロック図である。駐車支援システム20は、車両10に搭載されて、車両10の周辺の対象物に応じて、車両10の運転を自動運転(一部自動運転を含む)によって支援する。
図2に示すように、駐車支援システム20は、撮像部14と、測距部16と、制動システム22と、加速システム24と、操舵システム26と、変速システム28と、車速センサ30と、モニタ装置32と、駐車支援装置34と、車内ネットワーク36とを備える。
制動システム22は、車両10の減速を制御する。制動システム22は、制動部40と、制動制御部42と、制動部センサ44とを有する。
制動部40は、例えば、ブレーキおよびブレーキペダル等を含み、車両10を減速させるための装置である。
制動制御部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータ等のコンピュータである。制動制御部42は、駐車支援装置34からの指示に基づいて、制動部40を制御して、車両10の減速を制御する。
制動部センサ44は、例えば、位置センサであって、制動部40がブレーキペダルの場合、制動部40の位置を検出する。制動部センサ44は、検出した制動部40の位置を車内ネットワーク36に出力する。
加速システム24は、車両10の加速を制御する。加速システム24は、加速部46と、加速制御部48と、加速部センサ50とを有する。
加速部46は、例えば、アクセルペダル等を含み、車両10を加速させるための装置である。
加速制御部48は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータ等のコンピュータである。加速制御部48は、駐車支援装置34からの指示に基づいて、加速部46を制御して、車両10の加速を制御する。
加速部センサ50は、例えば、位置センサであって、加速部46がアクセルペダルの場合、加速部46の位置を検出する。加速部センサ50は、検出した加速部46の位置を車内ネットワーク36に出力する。
操舵システム26は、車両10の進行方向を制御する。操舵システム26は、操舵部52と、操舵制御部54と、操舵部センサ56とを有する。
操舵部52は、例えば、ハンドルまたはステアリングホイール等を含み、車両10の転舵輪を転舵させて、車両10の進行方向を操舵する装置である。
操舵制御部54は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータ等のコンピュータである。操舵制御部54は、駐車支援装置34からの指示に基づいて、操舵部52を制御して、車両10の進行方向を制御する。
操舵部センサ56は、第3検出部の一例であって、例えば、ホール素子等を含む角度センサであって、操舵部52の回転角である操舵角を検出する。操舵部センサ56は、検出した操舵部52の操舵角を車内ネットワーク36に出力する。
変速システム28は、車両10の変速比を制御する。変速システム28は、変速部58と、変速制御部60と、変速部センサ62とを有する。
変速部58は、例えば、シフトレバー等を含み、車両10の変速比を変更させる装置である。
変速制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータ等のコンピュータである。変速制御部60は、駐車支援装置34からの指示に基づいて、変速部58を制御して、車両10の変速比を制御する。
変速部センサ62は、例えば、位置センサであって、変速部58がシフトレバーの場合、変速部58の位置を検出する。変速部センサ62は、検出した変速部58の位置を車内ネットワーク36に出力する。
車速センサ30は、例えば、車両10の車輪13の近傍に設けられたホール素子を有し、車輪13の回転量または単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車速センサ30は、検出した回転量または回転数を示す車輪速パルス数を、車速を算出するためのセンサ値として、車内ネットワーク36へ出力する。駐車支援装置34は、車輪速センサ30から取得したセンサ値に基づいて車両10の速度(車速)や移動量等を算出することができる。
モニタ装置32は、車両10の車室内のダッシュボード等に設けられている。モニタ装置32は、表示部64と、音声出力部66と、操作入力部68とを有する。
表示部64は、駐車支援装置34が送信した画像データに基づいて、画像を表示する。表示部64は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、または、有機ELディプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)等の表示装置である。表示部64は、例えば、自動運転と手動運転との切り替えを指示する操作指示を受け付ける画像を表示する。
音声出力部66は、駐車支援装置34が送信した音声データに基づいて音声を出力する。音声出力部66は、例えば、スピーカである。音声出力部66は、例えば、自動運転と手動運転との切り替えを指示する操作指示に関する音声を出力する。
操作入力部68は、乗員の入力を受け付ける。操作入力部68は、例えば、タッチパネルである。操作入力部68は、表示部64の表示画面に設けられている。操作入力部68は、表示部64が表示する画像を透過可能に構成されている。これにより、操作入力部68は、表示部64の表示画面に表示される画像を乗員に視認させることができる。操作入力部68は、表示部64の表示画面に表示される画像に対応した位置を乗員が触れることによって入力した指示を受け付けて、駐車支援装置34へ送信する。なお、操作入力部68は、タッチパネルに限らず、押しボタン式等のハードスイッチであってもよい。
駐車支援装置34は、ECU(Electronic Control Unit)等のマイクロコンピュータを含むコンピュータであり、車両10の駐車支援を行なう。
駐車支援装置34は、CPU(Central Processing Unit)34aと、ROM(Read Only Memory)34bと、RAM(Random Access Memory)34cと、表示制御部34dと、音声制御部34eと、SSD(Solid State Drive)34fと、を備える。CPU34a、ROM34bおよびRAM34cは、同一パッケージ内に集積されていてもよい。
CPU34aは、ハードウェアプロセッサの一例であって、ROM34b等の不揮発性の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して、当該プログラムにしたがって各種の演算処理および制御を実行する。CPU34aは、例えば、車両10の自動運転による駐車支援を実行する。
ROM34bは、各プログラムおよびプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM34cは、CPU34aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。表示制御部34dは、駐車支援装置34での演算処理のうち、主として、撮像部14で得られた画像の画像処理、表示部64に表示させる表示用の画像のデータ変換等を実行する。音声制御部34eは、駐車支援装置34での演算処理のうち、主として、音声出力部66に出力させる音声の処理を実行する。SSD34fは、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、駐車支援装置34の電源がオフされた場合にあってもデータを維持する。
車内ネットワーク36は、例えば、CAN(Controller Area Network)およびLIN(Local Interconnect Network)等を含む。車内ネットワーク36は、加速システム24と、制動システム22と、操舵システム26と、変速システム28と、測距部16と、車速センサ30と、モニタ装置32の操作入力部68と、駐車支援装置34とを互いに情報を送受信可能に接続する。
図3は、駐車支援装置34の機能を説明する機能ブロック図である。図3に示すように、駐車支援装置34は、取得部71と、検出部72と、操作受付部73と、駐車支援部74と、を有する。また、駐車支援部74は、目標位置算出部74aと、経路算出部75bと、移動制御部76cと、を含む。これらの取得部71、検出部72、操作受付部73、および駐車支援部74は、CPU34aがROM34b等の記憶装置に記憶されたプログラム(駐車プログラム)を読み出しそれを実行することにより、実現される。なお、取得部71、検出部72、操作受付部73、および駐車支援部74の一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む回路等のハードウェアによって構成されてもよい。
取得部71は、車両10の周辺の情報である周辺情報を取得する。具体的には、取得部71は、周辺情報として、撮像部14から撮像画像を取得し撮像部14から検出情報を取得する。
検出部72は、取得部71によって取得された周辺情報に基づいて、車両の周囲の障害物、駐車区画、および車両10の駐車領域PA(図5)等を検出する。
障害物は、例えば、他の車両や、壁、柱、柵、突起、段差、輪留め、物体等である。また、障害物は、例えば、駐車場内を歩く人等を含む。検出部72は、種々の手法により、障害物の有無や高さ、大きさ等を検出することができる。検出部72は、例えば、測距部16の検出結果に基づいて、障害物を検出することができる。また、測距部16は、そのビームの高さに対応した物体を検出でき、当該ビームの高さより低い物体を検出できない。よって、測距部16の検出結果と、それぞれのビームの高さとによって、検出部72は、障害物の高さを検出することができる。また、検出部72は、車速センサ30や不図示の加速度センサの検出結果と、測距部16の検出結果とに基づいて、障害物の有無あるいは高さを検出してもよい。また、検出部72は、例えば、撮像部14が撮像した画像に基づく画像処理によって、障害物の高さ等の形状を検出してもよい。
また、駐車区画は、標示または物として設けられている。駐車区画とは、車両10をその場所に駐車するよう設定された目安あるいは基準となる区画である。また、駐車境界は、駐車区画の境界あるいは外縁であって、例えば、駐車区画線や、枠線、直線、帯、段差、それらのエッジ等である。すなわち、駐車境界は、標示や物体等である。検出部72は、例えば、撮像部14が撮像した画像に基づく画像処理によって、駐車区画および駐車境界を検出することができる。また、検出部72は、検出した駐車区画が車両10が駐車可能か否かを種々の方法によって判定することができる。例えば、検出部72は、駐車区画内に車両10の駐車に障害となる障害物を検出しない場合には、当該駐車区画は駐車可能であると判定する。すなわち、検出部72は、駐車可能な駐車区画を駐車領域として検出することができる。検出部72は、車両10の後方、車両10の左右の側方、および車両10の前方の駐車可能な駐車区画を検出することができる。すなわち、検出部72は、車両10の全周における車両10の周囲の駐車可能な駐車区画を検出することができる。ここで、車両10の後方は、換言すると、車両10の前後方向で車両10よりも後方に位置する領域である。また、車両10の全周は、車両10の上下方向に延びる車両10の中心線回りの車両10の周囲の領域である。
操作受付部73は、操作入力部68に対する操作に応じた操作入力部68からの信号を取得(受信)する。
駐車支援部74は、特定した対象物に応じて各システム22、24、26、28の全部または一部を制御することによる車両10の自動運転によって、車両10の駐車領域に含まれる車両10の駐車目標位置と駐車目標位置に車両10を移動させるための移動経路とを算出し、移動経路にしたがって車両10を駐車目標位置に移動させる。すなわち、駐車支援部74は、車両10の駐車を支援する。
駐車支援部74の目標位置算出部74aは、例えば、検出部72による検出結果に基づいて、車両10を誘導する目安あるいは目標となる位置としての車両10の移動目標位置、言い換えれば、駐車目標位置を公知の手法等により算出(決定)する。駐車目標位置は、移動経路の終点であってもよいし、移動経路の途中であってもよい。目標位置は、例えば、点や、線、枠、領域等として設定されうる。目標位置は、表示位置と同じであってもよい。目標位置算出部74aは、目標位置決定部とも称される。
駐車支援部74の経路算出部75bは、車両10の現在位置から駐車領域に含まれる駐車目標位置に車両10を移動させるための移動経路を算出する。経路算出部75bは、例えば、車両10すなわち自車の現在の位置や、決定された駐車目標位置、障害物の検出結果等に基づいて、公知の手法等により、移動経路を設定する。
移動制御部76cは、車両10の各部を制御して車両10の移動を制御する。具体的には、移動制御部76cは、各システム22、24、26、28の全部または一部を制御することにより、車両10の移動を制御する。移動制御部76cは、移動経路にしたがって車両10を駐車目標位置PPに移動させる。このとき、移動制御部76cは、車両10の基準点10a(図1)を駐車目標位置PPに一致させるように車両10を移動させる。車両10の基準点10aは、例えば、車両10の後輪軸の中心である。
また、移動制御部76cは、モニタ装置32や音声出力部66を制御して、車両10の位置に応じた表示出力や音声出力によって、運転者に、移動経路に沿った車両10の移動を案内してもよい。
次に、駐車支援装置34が行なう駐車支援処理の一つである並列駐車支援処理について説明する。並列駐車支援処理は、車両10の駐車形態として並列駐車を支援する処理であり、ここでは、車両10を駐車領域に向けて後退させて駐車領域に駐車させる例である。
図4および図5は、実施形態の駐車支援中の車両10の周辺の平面図である。図4および図5において、矢印は車両10の進行方向を示す。
図4に示すように、車両10が、車両10の周辺の障害物の一例である他車両201,202の前方を横切っている状態を想定する。他車両201と他車両202とは、車両10が駐車可能な間隔を空けて駐車しているとする。また、他車両201,202の前方には、壁300が配置されている。他車両201,202と壁300との間は車両10の通路である。この状態において、他車両201,202aの間に車両10が並列駐車する場合の車両10の動作は、以下の通りである。すなわち、車両10は、他車両201,202の前を通過した後に停止する。次に、車両10は、他車両201,202の間に後退で進入する。そして、車両10は、他車両201,202の間に停止する。この場合、図5に示されるように車両10の切り返しが必要な場合がある。
次に、駐車支援処理の流れを図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の駐車支援装置34が実行する駐車支援処理(駐車支援方法)のフローチャートである。
図6に示すように、取得部71は、撮像部14の撮像画像および測距部16の検出情報、すなわち車両10の周辺情報を取得する(S1)。なお、取得部71は、規定の周期で車両10の周辺情報を繰り返し取得する。
次に、検出部72は、取得部71が取得した周辺情報(撮像部14の撮像画像、撮像部14の検出情報)に基づいて、障害物や駐車区画線等の物体を検出するとともに、駐車領域PA(図5)を検出する(S2)。なお、この検出部72による検出は、規定の周期で繰り返し行なわれている。また、図5では、駐車領域PAが、破線の四角によって示されている。
図6に戻って、操作受付部73が操作入力部68を介して駐車支援の指示等を乗員から受け付けると(S3)、目標位置算出部74aは、検出部72による検出結果に基づいて、駐車領域PAに含まれる駐車目標位置PPを算出する(S4)。図5では、駐車目標位置PPが、×印で示されている。
次に、経路算出部75bは、車両10の現在位置から駐車領域に含まれる駐車目標位置に車両10を移動させるための移動経路を算出する(S5)。
次に、移動制御部76cは、各システム22、24、26、28の全部または一部を制御することにより、移動経路にしたがって車両10を駐車目標位置PPに移動させる。すなちち、移動制御部76cは、自動運転を実行する。
S6の処理においては、移動経路に車両10の一部が駐車領域PAに入った状態での車両10の切り返しが必要な場合がある。この切り返しに関する処理について詳細に説明する。
図7は、実施形態の駐車支援装置34が実行する駐車支援処理における切り返しに関する処理のフローチャートである。図7の処理は、車両10が駐車領域PAに後退で向かう際に開始される。また、このとき、前述のとおり、取得部71による周辺情報の取得と、検出部72による障害物や駐車区画線等の物体(基準物)の検出は、規定の周期で繰り返し行なわれている。
図7に示すように、駐車支援部74は、車両10が切り返し無しで駐車目標位置PPに到達可能かを判定する(S11)。ここで、駐車支援部74においては、目標位置算出部74aおよび経路算出部75bが、それぞれ、取得部71によって取得された周辺情報に基づいて、必要に応じて、駐車目標位置PP、駐車領域PAおよび移動経路を補正する。すなわち、駐車目標位置PP、駐車領域PAおよび移動経路は、周辺情報に応じて更新される。したがって、ここでの駐車支援部74による、車両10が切り返し無しで駐車目標位置PPに到達可能かの判定は、最新の移動経路を算出するときに行なうことができる。別の言い方をすると、最新の移動経路に切り返し位置RP(図5)が設定された場合には、切り返しが必要であり、最新の移動経路に切り返し位置RPが設定されていない場合は、切り返しは不要である。ここで、図5には、車両10の切り返し位置RPが黒丸で示されている。
図7に戻って、駐車支援部74は、車両10が切り返し無しで駐車目標位置PPに到達可能である判定した場合には(S11:Yes)、当該処理を終了する。一方、駐車支援部74は、車両10が切り返し無しで駐車目標位置PPに到達可能ではないと判定した場合には(S11:No)、S12に進む。
S12にて、駐車支援部74は、駐車領域PAの前方への車両10の突出量が閾値を下回ったかを判定する(S12)。詳細には、図5に示すように、駐車領域PAの前方への車両の突出量は、駐車領域PAの入口側の端部PAaに対する駐車領域PA外への突出量T1である。すなわち、突出量T1は、駐車領域PAの奥側の端部PAbから入口側の端部PAaに向かう第1方向D1における、駐車領域PAからの車両10の突出量T1である。突出量T1は、飛び出し量とも称される。
ここで、駐車領域RAの入口側の端部PAaは、換言すると、駐車領域RAに車両が並列駐車するときに車両10が進入する側の端部である。すなわち、端部PAaは、駐車領域PAの長手方向の一端部である。駐車領域PAの長手方向に車両10の前後方向が沿うように、当該駐車領域PAに車両10が駐車する。端部PAaは、例えば、駐車領域RAの短手方向(幅方向)において、他車両201,202の前端部201a,201bのすくなくとも一方と、第1方向D1の位置が同じである。よって、突出量T1は、駐車領域RAを算出するための基準物(車両201,202)に対する第1方向D1での突出量とも言える。
また、上記の突出量T1の閾値は、例えば、車両10の後続車両203のドライバー等が、車両10の駐車が続行中であることを認識しやすい値に設定される。例えば、閾値は、車両10の前端部と前輪との間の車両前後方向に沿った長さと同じに設定され、一例として1.5mである。なお、閾値は、上記以外であってもよい。また、突出量T1は、駐車目標位置PPと車両10の基準点10aとの第1方向D1の距離と同じである。なお、駐車支援部74は、駐車領域PA(駐車目標位置PP)に対する車両10の位置を公知の方法で算出する。
駐車支援部74は、車両10の突出量T1が閾値を下回っていないと判定した場合には(S12:No)、S13に進む。
S13にて、駐車支援部74は、駐車目標位置PPの信頼度が閾値以上かつ車両10が切り返して駐車目標位置PPに到達可能な移動経路が有るかを判定する。駐車目標位置PPの信頼度が閾値以上かつ車両10が切り返して駐車目標位置PPに到達可能な移動経路が有るという条件は、車両10の切り返し条件の一つである。当該条件が満たされた場合には(S13:Yes)、駐車支援部74は、車両10が切り返し位置RPに到達していなくても、車両10の切り返しを行なう(S14)。このように、設定よりも早めに車両の切り返しを行なう理由は、駐車目標位置PPの信頼度が閾値以上であることにより、これ以上、障害物である他車両201,202の情報を得なくてもよいからである。これにより、駐車にかかる時間の短縮化が図られる。
ここで、駐車目標位置PPの信頼度について説明する。図8および図9は、実施形態の駐車目標位置PPの信頼度を説明するための説明図である。
駐車目標位置PPの信頼度は、例えば、駐車目標位置PPの算出用のデータの量(データ量)に基づいて決定される。例えば、図8に示すように、駐車目標位置PPが他車両201に基づいて算出される場合には、駐車目標位置PPの算出用のデータは、他車両201,202の側面(側部)に対する測距部16の測量点M1,M2である。この場合は、信頼度は、複数の測量点M1,M2の列の長さL1,L2に基づく。詳細には、測量点M1,M2の列の長さL1,L2は、複数の測量点M1,M2を直線近似して得られた直線の長さである。当該測量点M1,M2の列の長さL1,L2の少なくとも一方が規定の長さの場合の信頼度が、信頼度の閾値となる。よって、測量点M1,M2の列の長さL1,L2の少なくとも一方が規定の長さよりも長い場合の信頼度は、閾値よりも大きい。一方、測量点M1,M2の列の長さL1,L2の両方が規定の長さよりも短い場合の信頼度は、閾値よりも小さい。
また、例えば、図9に示すように、駐車目標位置PPが、駐車区画線301,302(基準物)に基づいて算出される場合には、駐車目標位置PPの算出用のデータは、撮像部14c,14dの撮像画像中の駐車区画線301,302のデータである。ここで、図9には、撮像部14c,14b,14dの撮像範囲Dc,Db,Ddが、一点鎖線で示されている。また、図9には、駐車目標位置PPの前方に基準点10aが位置した状態の車両10が示されている。この場合の駐車目標位置PPの信頼度は、撮像部14c,14dの撮像画像から検出できる駐車区画線301,302の長さに基づく。当該駐車区画線301,302の長さの少なくとも一方が規定の長さの場合の信頼度が、信頼度の閾値となる。よって、撮像部14c,14dの撮像画像から検出できる駐車区画線301,302の長さの少なくとも一方が規定の長さよりも長い場合の信頼度は、閾値よりも大きい。一方、撮像部14c,14dの撮像画像から検出できる駐車区画線301,302の長さの両方が規定の長さよりも短い場合の信頼度は、閾値よりも小さい。図9の例の場合、例えば、駐車目標位置PPと車両10の基準点10aとの間の距離L3が、規定の距離となると信頼度が基準値となる。規定の距離は、例えば、2mである。なお、規定の距離は、上記以外であってもよい。また、なお、信頼度の設定は、上記に限られない。
図7に戻って、駐車支援部74は、駐車目標位置PPの信頼度が閾値以上でなはなくかつ車両10が切り返して駐車目標位置PPに到達可能な移動経路が無いと判定した場合には(S13:No)、車両15が切り返し位置RPに到達したかを判定する(S15)。車両10が切り返し位置RPに到達したという条件は、車両10の切り返し条件の一つである。当該条件が満たされた場合には(S15:Yes)、駐車支援部74は、駐車目標位置PPの信頼度が閾値以上かつ車両10が切り返して駐車目標位置PPに到達可能な移動経路が無くても、車両10の切り返しを行なう(S14)。
以上から分かるように、駐車支援部74は、駐車目標位置PPの信頼度が閾値以上かつ車両10が切り返して駐車目標位置PPに到達可能な移動経路が有るという条件と、車両15が切り返し位置に到達したという条件との複数の条件のうちいずれかが満たされれば、車両10の切り返しを行なう。なお、車両の切り返し条件は、上記に限定されない。
また、駐車支援部74は、車両15が切り返し位置に到達していないと判定した場合には(S15:No)、車両10の後退を継続し(S16)、S11に戻り、S11以降の処理を繰り返す。
また、駐車支援部74は、S12にて、車両10の突出量T1が閾値を下回ったと判定した場合には(S12:Yes)、車両10の切り返しの条件が満たされているか否かに関わらず車両10に切り返しをさせる(S14)。具体的には、駐車支援部74は、車両10の突出量T1が閾値を下回ったと判定した場合には(S12:Yes)、駐車目標位置PPの信頼度が閾値以上かつ車両10が切り返して駐車目標位置PPに到達可能な移動経路が有るという条件と、車両15が切り返し位置に到達したという条件とのいずれもが満たされていなくても、車両10に切り返しをさせる。
以上のように、実施形態の駐車支援装置34は、例えば、車両10の周辺の情報である周辺情報を取得する取得部71と、取得部71によって取得された周辺情報に基づいて車両10の駐車領域PAを検出する検出部72と、車両10の駐車領域PAに含まれる車両10の駐車目標位置PPと駐車目標位置PPに車両10を移動させるための移動経路とを算出し、移動経路にしたがって車両10を駐車目標位置PPに移動させる駐車支援部74と、を備える。駐車支援部74は、車両10の駐車が並列駐車でありかつ車両10の一部が駐車領域PAに入った状態での車両10の切り返しが必要な場合に、一部が駐車領域PAに入った状態の前記車両10における、駐車領域PAの入口側の端部PAaに対する駐車領域PA外への突出量T1が、閾値を下回ったときには、車両10の切り返しの条件が満たされているか否かに関わらず前記車両10に切り返しをさせる。すなわち、車両10の車領域PAに対する入れ直しを早めに行なう。
このような駐車支援装置34によれば、例えば、駐車支援部74が、駐車領域PAの入口側の端部PAaに対する駐車領域PA外への突出量T1が閾値を下回ったときには、車両10の切り返しの条件が満たされているか否かに関わらず車両10に切り返しをさせるので、当該車両10の周辺(例えば、車両10の後続車両203)に駐車動作が続行中であることを知らせることができる。よって、並列駐車の安全性を向上させることができる。これにより、並列駐車中の車両10と後続車両203との衝突を抑制することができる。
また、本実施形態の駐車支援装置34では、例えば、車両10の切り返しの条件は、駐車目標位置PPの信頼度が規定の基準に達したことを含む。
このような駐車支援装置34によれば、例えば、駐車目標位置PPの信頼度が規定の基準に達していな場合であっても、車両10に切り返しをさせることができる。
また、本実施形態の駐車支援装置34では、例えば、車両10の切り返しの条件は、移動経路に設定された切り返し位置RPに車両10が到達したことを含む。
このような駐車支援装置34によれば、例えば、設定された切り返し位置RPに車両10が到達していない場合であっても、車両10に切り返しをさせることができる。
なお、駐車支援装置34で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、駐車支援装置34で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、駐車支援装置34で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
また、図7のフローチャートにおいて、駐車支援部74が、車両10の突出量T1が閾値を下回ったと判定した場合に(S12:Yes)、車両10の切り返しの条件が満たされているか否かに関わらず車両10に切り返しをさせる(S14)のは、検出部72が後続車両203を検出した場合のみであってもよい。すなわち、検出部72が後続車両203を検出しない場合には、S12の処理が行なわれなくてもよい。ここで、後続車両203は、例えば、駐車領域PAの前方の通路に位置する車両である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。