JP2021061097A - 接続端子、端子付き電線、およびワイヤーハーネス - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境に置かれても、防食性を維持することができる接続端子、端子付き電線、およびワイヤーハーネスを提供する。【解決手段】相手方端子と電気的に接続される端子接続部11と、電線をかしめ固定するバレル部12と、を備える端子金具10と、前記電線と電気的に接触する前記バレル部12の内側面12cに設けられた、接着性材料を備えた止水部材20と、を有し、前記止水部材20は、前記バレル部12の前記内側面12cに接触する接触面と、該接触面に対向する露出面20bとを有し、前記接触面と前記露出面20bの両面において、前記端子金具10の構成材料に対する接着強度A1が、0.5MPa以上であるとともに、120℃で100時間の加熱を受けた際の前記端子金具10の構成材料に対する接着強度をA2として、A=(A2−A1)/A1×100%として算出される接着強度増加率Aが、100%以下である、接続端子1とする。【選択図】図1

Description

本開示は、接続端子、端子付き電線、およびワイヤーハーネスに関する。
自動車等の車両に配索される電線においては、端末部で導体が露出され、端子金具が接続される場合が多い。端子金具と電線の導体とが電気的に接続された電気接続部においては、腐食を防止することが重要となる。特に、電気接続部において、異なる金属材料が接触する場合には、異種金属間腐食が起こる可能性がある。車両に用いられる電線においては、近年、軽量化などを目的として、導体の材料にアルミニウムやアルミニウム合金が用いられるようになっている。一方、端子金具の材料には銅や銅合金が用いられる。銅や銅合金の表面には、スズなどによってめっきが施されることが多い。この場合に、アルミニウム系金属と銅系金属またはスズめっき層とが接触する電気接続部において、異種金属間腐食が問題となりやすい。そのため、電気接続部における防食性を高めることが、望まれている。
電気接続部への水の侵入を抑制し、電気接続部における腐食を抑制するために、特許文献1のように、電気接続部を樹脂材料で被覆する方法が用いられる場合がある。また、他の形態として、特許文献2に、圧着加工の実施前に端子金具の電線接続部(電気接続部)の内壁面に止水部材を貼付する形態が開示されている。特許文献2では、止水部材として、変性アクリル系粘着剤等の粘着剤を主とするシート状に形成されたものが挙げられており、シート状の不織布に粘着剤を染み込ませて、シートの両面に粘着効果を有するものが例示されている。
特開2011−103266号公報 特開2017−111941号公報
自動車等の車両において、端子金具は、エンジンの近傍のように、高温となる環境に配置されることも多い。そのような端子金具に防食処理を施す場合に、高温環境でも防食性を維持することが求められる。特許文献2のように、端子金具の電気接続部の内壁面に、粘着剤を含むシート状の止水部材が貼り付けられる場合に、粘着剤の種類によっては、高温環境に置かれた際に、十分に水の侵入を抑制できなくなる可能性がある。例えば、高温環境で、止水部材が、伸縮を起こして、端子金具と電線の間の密着性を維持できなくなり、端子金具と電線の間に隙間が生じることや、止水部材の構成材料が劣化して、止水部材に亀裂が生じることが、起こり得る。すると、それらの隙間や亀裂から電気接続部へと水が侵入し、電気接続部の腐食を引き起こす要因となる。
そこで、高温環境に置かれても、防食性を維持することができる接続端子、端子付き電線、およびワイヤーハーネスを提供することを、課題とする。
本開示の接続端子は、相手方端子と電気的に接続される端子接続部と、前記端子接続部の後方に配置され、電線をかしめ固定するバレル部と、を備える端子金具と、前記電線と電気的に接触する前記バレル部の内側面に設けられた、接着性材料を備えた止水部材と、を有し、前記止水部材は、前記バレル部の前記内側面に接触する接触面と、該接触面に対向する露出面とを有し、前記接触面と前記露出面の両面において、前記端子金具の構成材料に対する接着強度A1が、0.5MPa以上であるとともに、120℃で100時間の加熱を受けた際の前記端子金具の構成材料に対する接着強度をA2として、A=(A2−A1)/A1×100%として算出される接着強度増加率Aが、100%以下である。
本開示の端子付き電線は、前記接続端子と、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を備えた電線と、を有し、前記電線の端末部において、前記導体が露出されており、前記電線は、前記導体が露出された部位を含む領域を、前記バレル部でかしめ固定され、前記接続端子に電気的に接続されている。
本開示のワイヤーハーネスは、前記端子付き電線と、前記接続端子を収容するコネクタハウジングと、を有する。
本開示にかかる接続端子、端子付き電線、およびワイヤーハーネスは、高温環境に置かれても、防食性を維持することができる。
図1は、本開示の一実施形態にかかる接続端子を示す斜視図である。 図2は、上記接続端子について、端子金具のバレル部を平面的に展開した状態を示す平面図である。 図3は、本開示の一実施形態にかかる端子付き電線の端末部を示す斜視図である。端子金具のバレル部は、電線をかしめていない状態で表示している。 図4A〜4Cは、上記端子付き電線の端末部を示す断面図であり、端子金具のバレル部で電線をかしめた状態について、それぞれ、図3中の位置A〜Cにおける断面を示している。 図5は、本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネスを示す側面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示にかかる接続端子は、相手方端子と電気的に接続される端子接続部と、前記端子接続部の後方に配置され、電線をかしめ固定するバレル部と、を備える端子金具と、前記電線と電気的に接触する前記バレル部の内側面に設けられた、接着性材料を備えた止水部材と、を有し、前記止水部材は、前記バレル部の前記内側面に接触する接触面と、該接触面に対向する露出面とを有し、前記接触面と前記露出面の両面において、前記端子金具の構成材料に対する接着強度A1が、0.5MPa以上であるとともに、120℃で100時間の加熱を受けた際の前記端子金具の構成材料に対する接着強度をA2として、A=(A2−A1)/A1×100%として算出される接着強度増加率Aが、100%以下である。
上記接続端子においては、端子金具のバレル部の内側面に、接着性材料を備えた止水部材が設けられており、止水部材は、接触面と露出面の両面において、0.5MPa以上の接着強度A1を示す。この接続端子において、端子金具のバレル部に電線を接触させ、かしめ固定することで、電線を取り囲んだバレル部の内側の空間に、止水部材に囲まれた領域を形成することができる。すると、バレル部において、止水部材に囲まれた領域に水が侵入するのが抑制される。その結果、バレル部と電線導体との接触部としてバレル部内に形成された電気接続部において、腐食が起こりにくくなる。
さらに、止水部材においては、接触面と露出面の両面について、所定の高温環境に置かれた際の接着強度増加率Aが、100%以下に抑えられている。高温環境における接着強度の変化は、止水部材の変性の指標となり、接着強度増加率Aが小さいほど、止水部材において、止水性を低下させるような大きな変性が起こっていないことが、示される。上記接続端子においては、接着強度増加率Aが100%以下に抑えられていることで、高温環境における止水部材の変性が小さく抑えられ、さらに、止水部材の変性による防水性能の低下が、起こりにくくなっている。このように、上記接続端子は、高温環境を経ても、高い防水性を維持できるものとなる。
ここで、前記止水部材の伸びをE1とし、120℃で100時間の加熱を受けた際の前記止水部材の伸びをE2として、E=(E2−E1)/E1×100%として算出される伸び増加率Eが、0%以上であるとよい。伸び増加率Eも、止水部材の変性の程度を示す指標となり、伸び増加率Eが小さいほど、止水部材において、止水性を低下させるような大きな変性が起こっていないことが、示される。止水部材の伸び増加率Eを0%以上としておくことにより、つまり、加熱を経て止水部材の伸びが低下しないようにしておくことにより、高温環境において、止水部材の変性による防食性の低下を、効果的に抑制することができる。
前記止水部材の質量をM1とし、120℃で100時間の加熱を受けた際の前記止水部材の質量をM2として、M=(M2−M1)/M1×100%として算出される質量増加率Mが、−0.20%以上であるとよい。質量増加率Mも、止水部材の変性の程度を示す指標となり、質量増加率Mが正の値をとること、あるいは負の値であってもその絶対が小さく抑えられていることにより、止水部材の質量が大きくは減少していないことが示される。つまり、止水部材において、止水性の低下につながるような、質量の減少を伴う大きな変性が起こっていないことが、示される。止水部材の質量増加率Mを−0.20%以上としておくことにより、つまり、質量の減少率を、絶対値で0.20%以下としておくことにより、高温環境において、止水部材の変性による防食性の低下を、効果的に抑制することができる。
前記止水部材は、前記接触面と前記露出面の両方に前記接着性材料を露出させた両面テープであるとよい。すると、両面テープの一方面を端子金具のバレル部の内側面に貼り付けることにより、止水部材を端子金具に簡便に配置することができる。
この場合に、前記両面テープは、基材を有さず、前記接触面と前記露出面を構成する前記粘着性材料が、一体に連続しているとよい。すると、止水部材を薄く形成することができるとともに、高温環境下において、基材の影響によって、止水部材が変性を起こす可能性を、排除することができる。
あるいは、前記両面テープは、基材を有し、前記基材の両面に、前記粘着性材料が配置されているとよい。すると、両面テープの取り扱い性が上がり、止水部材を端子金具に配置する際の簡便性が、さらに高くなる。
前記止水部材は、前記バレル部の前後方向に相互に離間して、前記前後方向に交差する幅方向に延びた、1対の前後止水部と、前記1対の前後止水部の幅方向端部の間を相互に連結して、前記バレル部の前記前後方向に延びた、連結止水部と、を有するとよい。すると、端子金具のバレル部の内側面に電線を接触させ、かしめ固定した際に、電線と端子金具の間の電気接続部において、前後方向からの水の侵入を、前後止水部によって抑制できるとともに、バレル部の側周部からの水の侵入を、連結止水部によって抑制できる。その結果、電気接続部において、各方向からの水の侵入を抑制し、高い防食性を得ることができる。
この場合に、前記連結止水部は、前記1対の前後止水部の幅方向両側に設けられているとよい。すると、1対の前後止水部が、幅方向両側において相互に連結されることになるので、止水部材の取り扱い性や強度が高くなる。
前記バレル部は、導体の外周に絶縁被覆が設けられ、端末部において前記導体が露出した前記電線に対して、前記端末部に露出した前記導体をかしめ固定するワイヤバレルと、前記ワイヤバレルの後方に設けられ、前記電線の前記絶縁被覆が設けられた部位をかしめ固定するインシュレーションバレルと、を一体に有し、前記1対の前後止水部のうち一方は、前記ワイヤバレルに設けられ、他方は、前記インシュレーションバレルに設けられるとよい。すると、端末部で導体を露出させた電線をバレル部でかしめ固定する際に、ワイヤバレルにかしめられる露出した導体部分を、1対の前後止水部の間の領域に収めることができる。すると、その導体と端子金具の間の電気接続部の全域を、前後止水部および連結止水部によって止水し、水の侵入から保護することができる。その結果、止水部材が、電気接続部に対して、高い防食性を発揮するものとなる。
前記接着性材料は、アクリル樹脂を含有するとよい。アクリル樹脂は、高い止水性を示すうえ、加熱を受けた際の変性を小さく抑えやすい。よって、止水部材が高い止水性を示しやすく、また、高温環境でもその高い止水性を維持しやすくなる。
前記止水部材の厚さは、0.1mm以下であるとよい。すると、端子金具を電線に接続した際に、接続箇所が、止水部材の存在によって大型化しにくくなる。
本開示にかかる端子付き電線は、上記の接続端子と、導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を備えた電線と、を有し、前記電線の端末部において、前記導体が露出されており、前記電線は、前記導体が露出された部位を含む領域を、前記バレル部でかしめ固定され、前記接続端子に電気的に接続されている。
上記端子付き電線においては、導体が露出された電線の端末部をかしめ固定する端子金具のバレル部の内側面に、接着性材料を含んだ止水部材が設けられている。止水部材の存在により、電線導体と端子金具の間の電気接続部に、水が侵入しにくくなり、電気接続部の腐食が起こりにくくなる。特に、止水部材が所定の下限以上の接着強度A1を有することにより、止水部材が高い防食性を発揮する。さらに、止水部材において、加熱を受けた際の接着強度増加率Aが所定の上限以下に規定されていることにより、端子付き電線が高温環境に置かれた際にも、止水部材が大きな変性を起こさない。その結果、高温環境を経ても、端子付き電線において、防食性の低下が起こりにくくなっている。
ここで、前記バレル部において、前記導体が露出した領域よりも前方および後方の位置で、前記止水部材が、前記電線の軸線方向の周りを全周にわたって囲んでいるとよい。すると、電線の導体と端子金具の間の接触部として形成される電気接続部全体が、止水部材によって全周を取り囲まれた領域の中に配置されることになる。すると、電気接続部に対して、前後方向から水が侵入するのが、高度に抑制され、電気接続部において、高い防食性が得られる。
前記バレル部は、幅方向両端部が重畳された状態で、前記電線をかしめ固定しており、前記導体が露出した領域よりも前方から後方までに及ぶ領域を含んで、重畳された前記端子金具の構成材料の間に、前記止水部材が配置されているとよい。電線をかしめ固定するバレル部の重畳部において、重畳された構成材料の間に、止水部材が配置されていることにより、バレル部に囲まれた領域の内部に、重畳部の隙間から水が侵入するのが、高度に抑制される。その結果、電線導体と端子金具が接触した電気接続部において、高い防食性が得られる。
前記端子金具は、銅または銅合金を含み、前記電線の前記導体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含むとよい。この場合には、端子金具と電線導体の間の電気接続部において、異種金属間腐食が発生する可能性があるが、端子金具のバレル部に止水部材が設けられ、電気接続部への水の侵入が抑制されることにより、異種金属間腐食を抑制することができる。さらに、その異種金属間腐食が抑制された状態を、高温環境を経ても維持することができる。
本開示にかかるワイヤーハーネスは、上記の端子付き電線と、前記接続端子を収容するコネクタハウジングと、を有する。
上記ワイヤーハーネスは、上記のような止水部材を端子金具の内側面に備えた、端子付き電線を含んでいる。よって、ワイヤーハーネスの端末の接続端子の部位が高い防食性を有し、さらに高温環境を経てもその防食性が低下しにくい。また、防食性を付与するための構造が、端子金具の内側に設けられた止水部材として構成されており、接続端子の外側には露出されないことにより、止水部材が、コネクタハウジングに接続端子を挿入する際の妨げとなりにくく、また、コネクタハウジングを大型化させる要因にもなりにくい。外部の物体と止水部材の接触による止水性の低下も、排除することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の一実施形態にかかる接続端子、端子付き電線、およびワイヤーハーネスについて、図面を用いて詳細に説明する。本開示の一実施形態にかかる接続端子を電線の端末に接続したものが、本開示の一実施形態にかかる端子付き電線となる。また、本開示の一実施形態にかかる端子付き電線を含んで、本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネスが構成される。なお、本明細書において、「直交」や「〜方向」等、部材の形状や配置を表す概念には、電気接続部材の分野で、一般に許容される程度の誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「接着性材料」等の語において用いられる、「接着」との概念には、「粘着」つまり「感圧接着」も含むものとする。本明細書において、特記しない限り、各種特性は、室温、大気中における値とする。
<接続端子の概略>
まず、本開示の一実施形態にかかる接続端子について、構造の概略を説明する。図1に、本開示の一実施形態にかかる接続端子1の全体構造を、斜視図にて示す。また、図2に、端子金具10のバレル部12を平面的に展開した状態で、接続端子1を拡大平面図にて表示する。本実施形態にかかる接続端子1は、端子金具10と、止水部材20とを有している。端子金具10の表面に、止水部材20が配置されている。
端子金具10は、金属材料の板材を所定の形状に打ち抜き、曲げ加工したものより構成されている。端子金具10は、端子接続部11と、バレル部12とを有している。バレル部12は、端子接続部11の後方に、端子接続部11と一体に連続して設けられている。なお、本明細書では、端子金具10において、端子接続部11が配置された方向を前方、バレル部12が配置された方向を後方とする。また、端子金具10を構成する板材の板面に沿って、前後方向に直交する方向を幅方向とする。
端子接続部11は、相手方端子と電気的に接続される部位である。端子接続部11の具体的な形状は、端子金具10の種類等に応じて設計されればよく、特に限定されるものではない。図示した形態においては、端子金具10は、相手方端子である箱型のメス型端子と嵌合接続できるオス型端子として構成されており、端子接続部11は、平板状のタブ型に成形されている。
バレル部12は、電線3をかしめ固定し、電線3と端子金具10を、物理的、また電気的に接続する部位である。バレル部12は、ワイヤバレル13と、インシュレーションバレル14と、を一体に有している。ワイヤバレル13が前方に、インシュレーションバレル14が後方に設けられている。図3に示すように、端末部において絶縁被覆32が除去されて導体31が露出された電線3に対して、ワイヤバレル13が、露出された導体31をかしめ固定し、インシュレーションバレル14が、絶縁被覆32に被覆された部位をかしめ固定する。ワイヤバレル13およびインシュレーションバレル14は、底面12aの幅方向両端部からそれぞれ、側壁面12b,12bが立ち上がり、断面U字形状に成形されている。ワイヤバレル13の方が、インシュレーションバレル14よりも、側壁面12b,12bの立ち上がりの高さが小さくなっているが、ワイヤバレル13の底面12aおよび側壁面12b,12bの全域が、それぞれ、インシュレーションバレル14の底面12aおよび側壁面12b,12bと一体に連続している。
端子金具10を構成する金属材料は、特に限定されるものではないが、端子材料として一般的に用いられる黄銅の他、各種銅合金、銅などを例示することができる。端子金具10の表面の一部(例えば接点)もしくは全体には、スズ、ニッケル、金、またはそれらの金属を含む合金など、各種金属によりめっきが施されていてもよい。
端子金具10においては、バレル部12の内側面12cに、止水部材20が設けられている。ここで、端子金具10の内側面12cとは、バレル部12の断面U字形状の内周側に当たる、電線3と電気的に接触する側の面を指す。止水部材20は、端子金具10を電線3に接続した際に、電線導体31と端子金具10の間の電気接続部に、水(電解質を含む;以下においても同様)が侵入するのを、抑制する部材である。
止水部材20は、バレル部12の内側面12cに接触する接触面20a(図1,2では表示されない)と、接触面20aに対向する露出面20bとを有している。止水部材20は、接着性材料を備えており、接触面20aおよび露出面20bの両面に、接着性材料を露出させている。バレル部12で電線3をかしめ固定していない状態において、接触面20aは、バレル部12の内側面12cに接着されている。一方、その状態において、露出面20bは、バレル部12の内側面12cの外側、つまりバレル部12の断面U字形状において内側面12cよりも内側に、露出されている。止水部材20を構成する粘着性材料は、樹脂、エラストマー等のポリマー材料より構成することができる。
止水部材20が有するべき材料特性については、後述するが、それらの材料特性を有する限りにおいて、止水部材20は、いかなる形態をとっていてもよい。表裏両面に粘着性材料を露出させた可撓性のテープ体、つまり両面テープを止水部材20として用いる形態や、接着剤等、流体状の接着性材料を、塗布等により膜状として、バレル部12の内側面12cに配置して、止水部材20とする形態を、例示することができる。好ましくは、取り扱い性の高さや、バレル部12への止水部の配置の簡便性等の観点から、止水部材20は、両面テープとして構成されることが好ましい。
止水部材20が両面テープより構成される場合に、その両面テープは、紙や布、樹脂製シート等より構成された基材の両面に、接着性材料の層を設けたものであっても、基材等、粘着性材料以外の層を有さず、接触面20aと露出面20bを構成する粘着性材料が一体に連続しているもの、つまり、1層の粘着性材料の表裏の面がそれぞれ接触面20aおよび露出面20bとなっているものであってもよい。止水部材20を端子金具10に接着する際などにおける止水部材20の取り扱い性を高める観点からは、両面テープは、基材を有することが好ましい。一方、後述するように、止水部材20への加熱の影響を低減する観点からは、両面テープを、基材を有さないものとし、基材自体の熱変性等、基材の存在による加熱時の影響を排除することが好ましい。止水部材20が両面テープより構成される場合をはじめ、止水部材20の厚さは特に限定されないが、接続端子1および次に説明する端子付き電線4の省スペース性を高める観点から、その厚さは、0.1mm以下、さらには0.09mm以下であることが好ましい。両面テープを、基材を有さないものとすれば、止水部材20を薄く形成しやすくなる。
止水部材20は、1対の前後止水部、つまり前方止水部21および後方止水部22と、1対の連結止水部23,23とを、それぞれ帯状の部位として有している。前後止水部21,22は、バレル部12の前後方向に相互に離間して、幅方向に延びている。前方止水部21は、ワイヤバレル13に設けられ、後方止水部22は、インシュレーションバレル14に設けられている。連結止水部23,23は、前方止水部21と後方止水部22の間を相互に連結して、バレル部12の前後方向に延びている。連結止水部23,23は、前方止水部21と後方止水部22の間を連続的に連結していれば、図示した形態の前後方向中途部のように、バレル部12の前後方向に沿っていない部位を有してもよい。前後止水部21,22と連結止水部23,23は、平面状に連続して一体に形成されていることが好ましい。
端子付き電線4について後に説明するように、前方止水部21と後方止水部22の間の離間距離L1は、接続端子1に接続される電線3の端末において導体31が露出された領域を、前方止水部21と後方止水部22の間の領域に収めることができる距離として、設定されている。また、前方止水部21および後方止水部22が幅方向に占める長さL2,L3は、それぞれ電線3の外周を1周取り囲んで、さらに余長が生じる距離として、設定されている。
1対の連結止水部23の一方が設けられる幅方向位置は、電線3をかしめ固定するために、電線3を取り囲んだバレル部12の幅方向両端部が重畳され、重畳部が形成された際に、外側に重畳される領域(外側重畳材15bとなる領域)に重なるように、設定されている。好ましくは、前後止水部21,22の幅方向端部に、連結止水部23が設けられているとよい。少なくともこのような位置に連結止水部23が設けられていれば、連結止水部23の数は、1つのみであってもよい。この場合には、前後止水部21,22の一端のみが連結止水部23で連結され、他端は連結止水部に連結されずに開放されたままとなった、開放型の形状に、止水部材20を形成することができる。しかし、図示した形態のように、1対の連結止水部23,23が設けられることが好ましく、この場合には、前後止水部21,22の両端をそれぞれ連結止水部23が連結する、閉鎖型の形状に、止水部材20を形成することができる。特に止水部材20が両面テープより構成される場合には、端子金具10に止水部材20を接着する際の取り扱い性や、止水部材20全体としての強度の等の観点から、開放型よりも、閉鎖型とすることが好ましい。例えば、図1等に示すように、断面U字状に曲げ成形されたバレル部12の内側面12cに、止水部材20を接着する際に、前後止水部21,22の相互間の位置関係が、幅方向両端部で固定されている方が、バレル部12の曲げ形状に沿わせて、両面テープの面を曲げた状態で、正しい位置に、止水部材20の接着を行いやすい。
<端子付き電線>
次に、本開示の一実施形態にかかる端子付き電線4について説明する。端子付き電線4は、上記で説明した接続端子1と、電線3とを有している。電線3の端末に、接続端子1が接続されている。図3および図4A〜4Cに、端子付き電線4の構成を示している。図3は、電線3をかしめ固定していない状態でバレル部12を表示した、全体の斜視図であり、図4A〜4Cは、バレル部12で電線3をかしめ固定した状態を、図3中の位置A〜Cでそれぞれ切断した断面を示す図である。
電線3は、導体31と、導体31の外周を被覆する絶縁被覆32とを有している。電線2の導体31は、単一の金属線として構成されてもよいが、複数の素線が撚り合わされてなる撚線として構成されることが好ましい。この場合、撚線は、1種の金属素線より構成されていてもよいし、2種以上の金属素線より構成されていてもよい。また、撚線は、金属素線以外に、有機繊維等の素線を含んでいてもよい。図4に示すように、導体31は、円形圧縮されていてもよい。導体31を構成する金属素線の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料などを例示することができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金を導体として用いた電線は、軽量化等を目的として、近年、自動車等の車両において、使用されるようになっている。
絶縁被覆32の材料としては、例えば、ゴム、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)等のハロゲン系ポリマー、熱可塑性エラストマー等のポリマーなどを挙げることができる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。ポリマーには、適宜、各種添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
電線3の端末部においては、絶縁被覆32が除去され、導体31が絶縁被覆32から露出された状態となっている。端子付き電線4においては、この導体31が露出された部位を含む領域にて、電線3を端子金具10のバレル部12でかしめ固定することにより、電線3と接続端子1が接続されている。バレル部12の前方部を占めるワイヤバレル13が、電線3の端末に露出した導体31の外周をかしめ、導体31との間に電気的接続を形成するとともに、導体31を物理的に固定している。一方、バレル部12の後方部を占めるインシュレーションバレル14が、電線3の導体31が絶縁被覆32に覆われた部位を、絶縁被覆32の外周からかしめ、電線3の物理的固定を補助している。ワイヤバレル13およびインシュレーションバレル14は、それぞれ、電線3の外周を全周にわたって取り囲んでおり、幅方向両端部の領域が相互に重畳されて、重畳部15が形成された状態で、電線3をかしめ固定している。
図3に示すように、端子付き電線4において、端子金具10のバレル部12の内側面12cに設けられた止水部材20のうち、前方止水部21および後方止水部22は、電線3の導体31が露出した領域よりも、それぞれ前方および後方に配置されている。そして、バレル部12で電線3をかしめた状態において、前方止水部21および後方止水部22は、それぞれ、電線3の軸線方向(電線3の延長線上を含む)の全周を囲んでいる。一方、連結止水部23,23は、電線3の導体31が露出した領域よりも前方から後方までに及ぶ領域を含む範囲に、配置されている。一方の連結止水部23は、重畳部15にて重畳された端子金具10の構成材料(内側重畳材15aと外側重畳材15b)の間に、位置している。他方の連結止水部23は、端子金具10のバレル部12と電線3の間に、位置している。バレル部12で電線3をかしめた状態において、止水部材20は、接触面20aの全域にて、端子金具10の内側面12cに接着されているとともに、次に説明するように、露出面20bにて、電線3の表面、端子金具10の他の部位の外側面、止水部材20の他の部位の露出面20bのいずれかに、接着されている。
バレル部12で電線3をかしめ固定した状態において、代表的な位置における端子付き電線4の断面は、図4A〜4Cに示した状態となっている。なお、図4A〜図4Cでは、端子付き電線4の各構成部材のかしめ前の形状との対応関係、および部材間の境界を分かりやすく示すために、各部材の変形が小さくなっているとともに、バレル部12に囲まれた領域において、止水部材20と接着対象の部材との間に、若干の空隙が残っている。しかし、実際には、電線3をかしめる際の各部材の構成材料の変形により、バレル部12に囲まれた領域において、電線3に占められない空隙は、止水部材20によって埋められ、ほぼ残存しない。
図4Aは、位置Aにおける断面を示している。位置Aは、インシュレーションバレル14の後端部近傍の、後方止水部22が設けられた箇所である。この位置においては、止水部材20が電線3の軸線方向の全周を取り囲んでおり、電線3の絶縁被覆32と、電線3を取り囲む端子金具10のインシュレーションバレル14の間に、全周にわたって、止水部材20の後方止水部22が介在している。電線3の外周部において、後方止水部22は、接触面20aがインシュレーションバレル14の内側面12cに接着され、露出面20bが電線3の絶縁被覆32に接着された状態で、電線3とインシュレーションバレル14の間の領域を閉塞している。インシュレーションバレル14の重畳部15においては、重畳された内側重畳材15aと外側重畳材15bの間に、後方止水部22が介在している。重畳部15において、後方止水部22は、端子金具10の構成材料のうち外側に重畳された部位である外側重畳材15bの内側面12cに、接触面20aにて接着され、内側に重畳された部位である内側重畳材15aの外側面に、露出面20bにて接着された状態で、内側重畳材15aと外側重畳材15bの間の領域を閉塞している。
図4Bは、ワイヤバレル13の中途部に当たる位置Bにおける断面を示している。この位置においては、重畳部15にて重畳された端子金具10の構成材料の間に、連結止水部23が介在している。つまり、重畳部15において、一方の連結止水部23が、端子金具10の外側重畳材15bの内側面12cに、接触面20aにて接着されるとともに、内側重畳材15aの外側面に、露出面20bにて接着された状態で、内側重畳材15aと外側重畳材15bの間の領域を閉塞している。また、他方の連結止水部23は、内側重畳材15aの内側面12cに、接触面20aにて接着されるとともに、電線3の導体31の外周面に、露出面20bにて接着されている。なお、この内側に位置する方の連結止水部23は、設けられなくても、止水部材20による止水性にほぼ影響を与えない。図示は省略するが、インシュレーションバレル14の中途部でも、位置Bと同様に、内側重畳材15aと外側重畳材15bの間、および内側重畳材15bと電線3の間に、それぞれ連結止水部23が介在している。
図4Cは、位置Cにおける断面を示している。位置Cは、ワイヤバレル13の前端部近傍の、止水部材20の前方止水部21が設けられた箇所である。位置Cは、電線3の導体31が配置された位置よりも、前方に当たる。この位置Cにおいては、前方止水部21が、電線3の延長上にて、電線3の軸線方向の全周を取り囲んで配置されている。しかし、位置Cには電線3が存在しないため、幅方向両端部を重畳されて円環状に成形されたワイヤバレル13が、間に電線3を介在させることなく、押し潰された状態となっている。前方止水部21は、押し潰されたワイヤバレル13の対向する部位の間の領域に配置されている。前方止水部21は、接触面20aがワイヤバレル13の内側面12cに接着されるとともに、露出面20bが、対向する部位どうしで相互に接着された状態で、押し潰されたワイヤバレル13の内側の空間を閉塞している。
このように、端子付き電線4においては、電線3の導体31の露出部の全域を含む領域が、止水部材20によって、外部の環境から遮断された状態となっている。その結果、電線導体31と端子金具10の間の電気接続部に、外部から水が侵入するのが、抑制される。具体的には、導体31が露出した領域よりも前方および後方で、それぞれ前方止水部21および後方止水部22が、電線3の軸線方向の全周を囲んでいる。そして、前方止水部21は、押し潰されたバレル部12の間の空間、後方止水部22は、電線3とバレル部12の間の空間を閉塞しており、それらの空間を介して、水が前後方向からバレル部12の内部に侵入するのが、抑制される。また、導体31が露出した領域よりも前方から後方までに及ぶ領域を含んで、連結止水部23が、重畳部15を構成する内側重畳材15aと外側重畳材15bの間に配置されている。そして、連結止水部23は、内側重畳材15aと外側重畳材15bの間の空間を閉塞しており、重畳部15の隙間を介して、バレル部12の側周部から内部へと、水が侵入するのを、抑制することができる。
このように、本端子付き電線4においては、電線3と端子金具10が電気的に接触した電気接続部が、止水部材20によって、外部の環境に対して遮断され、電気接続部への水の侵入が抑制されることにより、水との接触による電気接続部の腐食を抑制することができる。特に、端子金具10が、銅または銅合金を含む材料より構成され、導体31がアルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでいる場合のように、電気接続部6において異種金属が接触している場合には、水との接触によって異種金属間腐食が発生しやすいが、止水部材20の存在によって、異種金属間腐食も、効果的に抑制することができる。
また、本端子付き電線4においては、電気接続部を防食するための止水部材20が、端子金具10の内側に設けられている。よって、特許文献1のように、電気接続部の外側を樹脂材料で被覆して防食を図る場合よりも、電気接続部周辺において、端子付き電線4が占める空間を小さくすることができ、省スペース性に優れる。特に、電気接続部の箇所も含めて、接続端子1をネクタハウジング等の収容部材に収容する場合に、止水部材20の存在によって収容が妨げられることや、大型の収容部材の使用が必要になることも、起こりにくい。また、それら収容部材等、端子付き電線4の外部の物体に止水部材20が接触することにより、止水性能に影響が生じる事態も起こらない。
<ワイヤーハーネス>
次に、本開示の実施形態にかかるワイヤーハーネスについて説明する。本実施形態にかかるワイヤーハーネス5について、図5を参照しながら説明する。
本実施形態にかかるワイヤーハーネス5は、上記実施形態にかかる端子付き電線4を有している。ワイヤーハーネス5は、複数の端子付き電線を含んでもよい。その場合に、ワイヤーハーネス5を構成する端子付き電線の全てが、上記実施形態にかかる端子付き電線4であっても、一部のみが、上記実施形態にかかる端子付き電線4であってもよい。
図3に示すワイヤーハーネス5は、複数の端子付き電線4を含んでいる。ワイヤーハーネス5は、メインハーネス部51の先端部から、3つの分岐ハーネス部52が分岐した構成を有している。メインハーネス部51において、複数の端子付き電線4が束ねられている。それらの端子付き電線4は、3つの群に分けられて、それぞれの群が、各分岐ハーネス部52において束ねられている。メインハーネス部51および分岐ハーネス部52において、粘着テープ54を用いて、複数の端子付き電線4を束ねるとともに、曲げ形状を保持している。ワイヤーハーネス5はさらに、コネクタハウジング53を有している。コネクタハウジング53は、ワイヤーハーネス5を構成する端子付き電線4の端末に設けられた接続端子1を、収容している。
ワイヤーハーネス5に含まれる端子付き電線4の端末部において、上記のように、止水部材20により、端子金具10と電線3の間の電気接続部の腐食が抑制されているため、本ワイヤーハーネ5は、防食性に優れたものとなる。よって、このワイヤーハーネス5は、自動車内等、水と接触する可能性のある用途に、好適に使用することができる。また、止水部材20が、端子付き電線4の外側に露出していないことにより、コネクタハウジング53が大型化すること、また、コネクタハウジング53に接続端子1を収容する際に、作業性が低下することや、損傷等によって防食性能に影響が生じることを、回避できる。
<止水部材の特性>
ここで、端子金具10のバレル部12に設けられる止水部材20が有すべき特性について、説明する。上記で説明したように、止水部材20は、接触面20aと露出面20bの両面に、接着性材料を備えている。
止水部材20は、接触面20aと露出面20bの両面において、端子金具10の構成材料に対する接着強度A1が、0.5MPa以上となっている。止水部材20は、そのように大きな接着強度A1を有することで、接触面20aおよび露出面20bにおいて、端子金具10の表面に、強固に接着される。その結果、端子付き電線4において、止水部材20は、端子金具10と電線3の間の電気接続部への水の侵入を、効果的に抑制し、高い防食性能を発揮することができる。接着強度A1は、1.0MPa以上であると、さらに好ましい。なお、ここで規定している接着強度A1は、止水部材20が高温環境を経ていない、室温の初期状態において得られる値である。止水部材20による防食性能をさらに高度に保障する観点からは、端子金具10の構成材料のみならず、電線3の絶縁被覆32の構成材料に対する止水部材20の接着強度も、0.5MPa以上、さらには1.0MPa以上であるとよい。止水部材20の接着強度は、JIS K 6850に準拠したせん断接着試験により、引張せん断接着強度として評価すればよい。
また、止水部材20においては、高温環境に置かれた際の特性の変化が、小さく抑えられている。高温環境において、止水部材20が変性を起こし、その変性が、止水性能の低下の原因となる場合がある。例えば、止水部材20が、温度変化時に収縮を起こすことで、バレル部12と電線3の表面の間、内側重畳材15aと外側重畳材15bの間等、止水部材20接触面20aに面する部材と露出面20bに面する部材の間の箇所において、それらの部材の一方または両方に対して、止水部材20が十分に密着できなくなり、それらの部材の間に隙間が生じてしまう可能性がある。また、高温環境において止水部材20の構成材料が劣化すると、止水部材20に亀裂が発生する可能性がある。これらの隙間や亀裂の形成によって、端子金具10に電線導体31が接触した電気接続部が、外部の環境からの遮断を維持することが、難しくなる場合がある。すると、電気接続部への外部からの水の侵入を、十分に抑制できなくなり、止水部材20の止水性が低下してしまう。
しかし、高温環境における止水部材20の変性が、小さく抑えられていれば、止水部材20の変性に起因する隙間や亀裂の発生、および結果としての止水性の低下を、抑制することができる。止水部材20の変性は、止水部材20が示す特性の変化として現れる。そこで、高温環境への放置を経て、止水部材20の特性の変化が、所定の水準以下に抑えられていることをもって、高温環境での止水部材20の変性に起因する止水性の低下が、十分に抑制されていることを示す、指標とすることができる。
ここで、高温環境における止水部材20の特性の変化量を評価するための基準となる高温条件として、120℃で100時間の加熱を、基準高温条件と定義する。以下に示す止水部材20の各種特性について、止水部材20を基準高温条件に置く前の初期状態における値と、止水部材20を高温環境に置いて室温まで放冷した後の値との比較により、基準高温条件での加熱によるその特性の変化量が、見積もられる。
高温環境における止水部材20の変性の程度を反映する指標として、まず、接着強度増加率Aを挙げることができる。接着強度増加率Aは、止水部材20が基準高温条件にて加熱を受けた際の、止水部材20の接着強度の増加率を示す。つまり、端子金具10の構成材料に対する止水部材20の接着強度を、初期状態において、上記のようにA1とするとともに、基準高温条件での加熱後の状態において、A2とすると、接着強度増加率Aは、下の式(1)によって表される。
A=(A2−A1)/A1×100% (1)
基準高温条件での加熱を経て接着強度が上昇する場合には、接着強度増加率Aは正の値となる。一方、基準高温条件での加熱を経て接着強度が低下する場合には、接着強度増加率Aは負の値となる。接着強度A1,A2は、JIS K 6850に準拠したせん断接着試験により、引張せん断接着強度として評価すればよい。
本実施形態においては、止水部材20の接触面20aと露出面20bの両面において、接着強度増加率Aが100%以下となっている(A≦100%)。つまり、基準高温条件での加熱を経て、止水部材20の接着強度が、初期状態の倍以上に大きくならないように、抑えられている。基準高温条件での加熱を経て止水部材20の接着性が増大することは、熱変性によって、止水部材20を構成する接着性材料の硬さが上昇していることを意味する。接着性のポリマー材料が硬さの上昇を起こすと、熱膨張率が大きくなる傾向がある。端子付き電線4において、止水部材20が、熱膨張率の上昇を伴う変性を起こすと、温度変化を受けた際に、端子金具10のバレル部12の表面等、止水部材20が接着されている材料(接着対象材)と、止水部材20との間に、隙間が生じてしまう可能性がある。特に、加熱後の放冷時に、止水部材20が接着対象材の表面に対して剥離を起こし、両者の間に隙間が生じやすくなる。しかし、止水部材20の接着強度増加率Aを100%以下に抑えておくことで、硬さの上昇に伴う熱膨張率の上昇等、止水部材20の止水性能を低下させるような変性を小さく抑えることができる。その結果、高温環境を経ても、高い止水性能を維持しやすくなる。それらの効果をさらに高める観点から、接着強度増加率Aは、75%以下、さらには50%以下であると、特に好ましい。
止水部材20の接着強度増加率Aが小さいほど、加熱による変性の程度が小さくなるので、接着強度増加率Aには、下限値は特に設けられない。また、接着強度増加率Aが負の値を取る場合、つまり、基準高温条件での加熱を経て止水部材20の接着強度が小さくなる場合もあるが、接着強度が小さくなる方の変化は、止水部材20と接着対象材の間における隙間の形成、またその結果としての止水性能の低下には、つながりにくい。しかし、加熱を経た後に、止水部材20の接着強度が小さくなりすぎると、その接着強度の小ささ自体が、止水部材20と接着対象材の間の密着性の低下につながる可能性もある。その観点から、接着強度増加率Aが負の値となる場合に、A2≧0.1MPaとしておくことが好ましい。
高温環境における止水部材20の変性の程度を反映する別の指標として、伸び増加率Eを挙げることができる。伸び増加率Eは、止水部材20が基準高温条件にて加熱を受けた際の、止水部材20の伸びの増加率を示す。つまり、止水部材20の伸びを、初期状態において、E1とするとともに、基準高温条件での加熱後の状態において、E2とすると、伸び増加率Eは、下の式(2)によって表される。
E=(E2−E1)/E1×100% (2)
基準高温条件での加熱を経て伸びが上昇する場合には、伸び増加率Eは正の値となる。一方、基準高温条件での加熱を経て伸びが低下する場合には、伸び増加率Eは負の値となる。伸びE1,E2は、JIS K 6850に準拠したせん断接着試験により、評価すればよい。
本実施形態においては、伸び増加率Eは0%以上であることが好ましい(E≧0%)。つまり、基準高温条件での加熱を経て、止水部材20の伸びが、初期状態よりも小さくならないことが、好ましい。加熱を経て、熱変性により、止水部材20の伸びが減少すると、端子付き電線4において、温度変化を受けた際に、止水部材20が、接着対象材の伸縮に追随しにくくなる。すると、止水部材20と接着対象材の間に、隙間が生じやすくなる。しかし、止水部材20の伸び増加率Eを0%以上とし、基準高温条件での加熱を経て伸びが低下しないようにしておくことで、伸びの低下に伴う止水部材20の止水性の低下を、小さく抑えることができる。その結果、高温環境を経ても、高い止水性能を維持しやすくなる。それらの効果をさらに高める観点から、伸び増加率Eは、5%以上、さらには10%以上であると、特に好ましい。止水部材20の伸び増加率Eが大きいほど、加熱によって伸びが向上し、伸びの不足による止水性能の低下を回避しやすくなるので、伸び増加率Eには、上限値は特に設けられない。
高温環境における止水部材20の変性の程度を反映するさらに別の指標として、質量増加率Mを挙げることができる。質量増加率Mは、止水部材20が基準高温条件にて加熱を受けた際の、止水部材20の質量の増加率を示す。つまり、止水部材20の質量を、初期状態において、M1とするとともに、基準高温条件での加熱後の状態において、M2とすると、質量増加率Mは、下の式(3)によって表される。
M=(M2−M1)/M1×100% (3)
基準高温条件での加熱を経て止水部材20の質量が増加する場合には、質量増加率Mは正の値となる。また、質量の増加が大きいほど、質量増加率Mの値が大きくなる。一方、基準高温条件での加熱を経て質量が減少する場合には、質量増加率Mは負の値となる。また、質量の減少が大きいほど、質量増加率Mの値が小さくなる。つまり、質量増加率Mの絶対値|M|が大きくなる。
本実施形態においては、質量増加率Mは−0.20%以上となっている(M≧−0.20%)。つまり、基準高温条件での加熱を経た際に、止水部材20の質量が減少しないか(M≧0%)、減少するとしても、その減少量が、初期状態の質量の0.20%以内の範囲に抑えられている(−0.20%≦M<0%)。加熱を経て止水部材20の質量が減少することは、加熱によって止水部材20の構成成分の一部が除去されたことを示す。止水部材20の構成成分の除去の形態としては、一部の成分の揮発や変性を挙げることができる。止水部材20を構成する接着性材料の構成成分が揮発や変性を起こすと、接着性材料が、接着性等、当初有していた特性を維持できなくなる。そのような止水部材20の変性に伴って、止水部材20の止水性能が低下してしまう可能性がある。しかし、止水部材20の質量増加率Mを−0.20%以上としておくことで、加熱による止水部材20の構成成分の除去を小さく抑え、高温環境を経ても、高い止水性能を維持することができる。それらの効果をさらに高める観点から、質量増加率Mは、−0.10%以上であると、特に好ましい。さらには、質量増加率Mが0.0%以上、つまり基準高温条件での加熱を経て、質量の減少が起こらないことが好ましい。
止水部材20の質量増加率Mが負の値をとる場合、つまり基準高温条件での加熱を経て質量が減少する場合に、質量の減少量が小さいほど、加熱による構成成分の除去量が少なくなるので、質量増加率Mには、上限値は特に設けられない。また、質量増加率Mが正の値を取る場合、つまり、基準高温条件での加熱を経て止水部材20の質量が増大する場合もあるが、質量の増大を引き起こす変化としては、空気中からの吸湿をはじめとして、止水部材20の止水性能に実質的な影響を与えないものが多い。よって、止水性能の維持の観点からは、止水部材20の質量の増大は、起こっても問題ない。ただし、吸湿等、質量を増大させる方向の変化も、止水部材20の耐久性等の観点から、小さい方が好ましく、質量増加率Mが正の値をとる場合に、その値は、0.20%以下であることが好ましい。つまり、増減両方向の質量の変化率が、0.20%の範囲に収まっているとよい(|M|≦0.20%)。
以上のように、基準高温条件における加熱を経て、止水部材20の接着強度増加率A、さらには伸び増加率Eや質量増加率Mは、加熱による止水部材20の変性の程度を示す良い指標となる。そして、止水部材20の構成材料の選択等により、それらのパラメータの値を上記所定の範囲に収めることにより、加熱による止水部材20の止水性能の低下を、抑制することができる。その結果、端子付き電線4において、高温環境を経ても、高い防食性を維持することができる。そのような特性を有する端子付き電線4、またそのような端子付き電線4を含むワイヤーハーネス5は、自動車等の車両のように、水との接触の可能性があり、かつ、高温に晒される箇所に、好適に用いることができる。
上記のように、止水部材20の接着強度増加率A、伸び増加率E、質量増加率Mの評価は、基準高温条件での止水部材20の保持を経て行われるが、基準高温条件での止水部材20の保持は、止水部材20単独の状態で行っても、端子金具10を構成するのと同じ金属材料の板材の表面に、止水部材20が接着された評価試料の状態で行ってもよい。あるいは、止水部材20を配置したバレル部12にて電線3をかしめ固定した、端子付き電線4の状態で行ってもよい。止水部材20の取り扱いの利便性の観点からは、評価試料の状態で、基準高温条件における保持、およびその前後の特性の評価を行うとよい。
また、止水部材20が、基材を有する両面テープより構成される場合等、接着性材料以外の部材を含む場合に、接着強度増加率A、伸び増加率E、質量増加率Mは、基材等を含む止水部材20全体に対して評価しても、止水部材20を構成する接着性材料のみに対して評価してもよい。止水部材20の接着強度、伸び、質量の変化は、主に、基材ではなく、接着性材料における変化として起こるからである。よって、接着強度増加率A、伸び増加率E、質量増加率Mの値に対する基材の寄与は、限定的である。中でも、接着強度およびその変化には、基材はほぼ関与しないので、接着強度増加率Aの値への基材の寄与は、特に小さい。ただし、好ましくは、それらのパラメータA,E,Mの値として、止水部材20全体に対して評価した値、および接着性材料のみに対して評価した値の両方が、上記の各基準を満たしているとよい。
止水部材20を構成する接着性材料の具体的な材料種は、特に限定されるものではなく、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、熱可塑性エラストマー等のポリマー材料を例示することができる。これらのポリマー材料の中でも、接着強度増加率A、伸び増加率E、質量増加率Mについて、上記の基準を満たす材料を選択しやすい等の観点で、アクリル樹脂を用いることが好ましい。接着性材料には、適宜、各種の添加剤が添加されていてもよい。止水部材20が基材を有する両面テープとして構成されている場合に、基材の構成材料も、可撓性を有するシート状の材料であれば、特に限定されるものではないが、紙や不織布等の繊維シート、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリイミド等の樹脂フィルムを、例示することができる。
以下に、実施例を示す。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。ここでは、止水部材の特性と止水性能の間の相関性について調査した。
<試料の準備>
接続端子の止水部材を構成する両面テープとして、以下の試料1〜5を準備した。
・試料1:日東電工製「No.5915」
・試料2:日東電工製「HJ−3160W」
・試料3:日東電工製「HJ−9150W」
・試料4:スリーエム製「4390」
・試料5:日東電工製「OW−5016」
表1に、上記各試料の構成材料、つまり基材および粘着性材料の種類を、両面テープ全体としての厚さとともに表示している。試料1および試料3は、基材を備えない両面テープである。その他の試料は、基材の両面に、同じ接着性材料の層を有している。試料2と試料3は、同じ接着性材料を用いて構成されており、基材の有無において異なる。
<試料の特性評価>
以下のように、各試料の両面テープの特性を評価した。以下で、基準高温条件とは、120℃の環境に試験体を100時間放置することを指す。また、各特性は、室温、大気中にて測定した。加熱後の測定も、試料を室温に放冷してから行った。
(接着強度)
各試料の両面テープの接着強度を、JIS K 6850に準拠したせん断接着試験により、引張せん断接着強度として測定した。この際、長さ10mm×幅19mmに切り出した両面テープの両面に、スズめっき銅板を固定したものを、試験体として用いた。2枚のスズめっき銅板を、長さ方向に、引張速度10mm/minで引張りながら荷重を測定し、荷重の最大値を接着力とした。接着力を接着面積で除して、接着強度とした。
初期状態において、上記のように接着強度を測定し、初期接着強度A1とした。一方、同様にして、新たに作製した試験体を、基準高温条件に放置した。その試験体に対しても、接着強度の測定を行い、加熱後接着強度A2とした。そして、接着強度増加率Aを、上記式(1)に従って算出した。
(伸び)
各試料の両面テープの伸びを、JIS K 6850に準拠したせん断接着試験により、測定した。この際、長さ25mm×幅100mmに切り出した両面テープの両面に、スズめっき銅板を固定したものを試験体として、上記接着強度の評価と同様の試験を行って、破断時の両面テープの伸びを記録した。
初期状態において、上記のように伸びを測定し、初期伸びE1とした。一方、同様にして、新たに作製した試験体を、基準高温条件に放置した。その試験体に対しても、伸びの測定を行い、加熱後伸びE2とした。そして、伸び増加率Eを、上記式(2)に従って算出した。
(質量)
各試料の両面テープの質量を、電子天秤にて測定した。この際、各試料を長さ5.0mm×幅10.0mmに切り出したものを試験体とした。
初期状態において、上記のように、試験体の質量を測定し、初期質量M1とした。その後、その試験体を、基準高温条件に放置した。さらに、高温放置後の試験体に対して、質量の測定を行い、加熱後質量M2とした。そして、質量増加率Mを、上記式(3)に従って算出した。
<加熱後の止水性能の評価>
次に、各試料にかかる両面テープを、端子付き電線の止水部材として用いた場合の止水性能について、評価を行った。試験体として、上記各試料にかかる両面テープを用いて、図1,2に示したのと同様の接続端子を作製し、さらに、図3および図4A〜4Cに示したのと同様の端子付き電線とした。この際、電線としては、銅合金製の導体と、塩化ビニル製の絶縁被覆を有するものを用いた。また、端子金具としては、スズめっき銅合金製のものを用いた。
作製した各端子付き電線を、基準高温条件にて加熱し、その後、エアリーク試験を行った。エアリーク試験においては、端子付き電線の先端の接続端子を含む領域を、水中に浸漬した状態で、端子付き電線の他端から、空気圧を印加した。50kPaの空気圧を30秒間印加する間に、接続端子のバレル部周辺から、気泡が発生するか否かを、目視観察により判定した。気泡が発生しなかった場合には、止水性が高い(A)と判定し、気泡が発生した場合には、止水性が不十分である(B)と判定した。
<試験結果>
下の表1に、試料1〜5のそれぞれについて、両面テープの構成とともに、各種特性の測定結果と、リーク試験による加熱後の止水性能の評価結果を示す。なお、試料3については、エアリーク試験は省略した。
Figure 2021061097
表1によると、試料1においては、初期状態における接着強度A1が、0.5MPa以上となっているとともに、基準高温条件における加熱を経た際の接着強度の増加率Aが、100%以下に抑えられている。そして、試料1においては、加熱後の止水性能の評価において、高い止水性を有する(A)という結果が得られている。これらの結果は、加熱前の初期状態において、止水部材が高い接着性を示すことにより、高い止水性能が得られるとともに、加熱を経ても、止水部材の変性が十分に小さく抑えられており、高い止水性能を示す状態が維持されているものと、解釈することができる。
試料2〜4においては、基準高温条件における加熱を経た際の接着強度の増加率Aが100%以下となっているものの、加熱前の初期状態における接着強度A1が、0.5MPaに達していない。そして、加熱後の止水性能の評価において、止水性が不十分である(B)との結果になっている。この止水性能の不足は、試料2〜4を構成する接着性材料が、そもそも初期状態から、十分に高い接着性を示さないことによると考えられる。初期状態から接着性が低ければ、接着強度の増加率の小ささに示されるように、加熱による変性が小さかったとしても、あるいは、接着強度が増大する方向の変性が、加熱によって起こったとしても、加熱を経て、高い止水性能が得られるようなことは、起こらない。
また、試料5においては、初期状態における接着強度A1が0.5MPa以上となっているにもかかわらず、加熱後の止水性能の評価において、止水性が不十分である(B)との結果になっている。この結果は、加熱を経た際の試料5の接着強度の増加率Aが、100%を超えていることに、対応付けることができる。つまり、試料5の止水部材は、加熱を経ない初期状態においては高い接着性を示し、高い止水性能を与える可能性がある。しかし、加熱を経た際に、止水部材が、接着強度の大幅な増大として反映されるような、大きな変性を起こし、高い止水性能を示す状態が維持できなくなったものと考えられる。
以上の結果より、加熱を経ない初期状態において、止水部材の接着強度A1を、0.5MPaとしておくとともに、基準高温条件での加熱を経た際の接着強度の増加率Aを100%以下としておくことで、止水部材において高い止水性を達成でき、さらに、高温環境に置かれても、その高い止水性を維持できることが分かる。試料1においてはさらに、基準高温条件での加熱を経た際の伸び増加率Eが0%以上となっているとともに、質量増加率Mが−0.20%以上となっている。これらの特性も、加熱後の止水部材の止水性の向上に、効果を示している可能性がある。
なお、上記のように、試料2と試料3は、基材の有無においてのみ異なっているが、両試料の接着強度の測定結果は、初期状態の測定値A1においても、加熱を経た際の増加率Aにおいても、一致している。つまり、基材の有無は、止水剤の初期の接着強度A1および加熱を経た際の接着強度増加率Aに対して、影響を与えていない。よって、止水部材の止水性を確保するための指標として用いる初期状態の接着強度A1および接着強度増加率Aは、基材を含んだ状態で評価しても、基材を含まない接着性材料のみの状態で評価しても、いずれでもよいと言える。伸び増加率Eおよび質量増加率Mについても、試料2と試料3の値は、大きく隔たったものとはなっておらず、少なくとも正負の変化方向において一致している。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 接続端子
10 端子金具
11 端子接続部
12 バレル部
12a 底面
12b 側壁面
12c 内側面
13 ワイヤバレル
14 インシュレーションバレル
15 重畳部
15a 内側重畳材
15b 外側重畳材
20 止水部材
20a 接触面
20b 露出面
21 前方止水部
22 後方止水部
23 連結止水部
3 電線
31 導体
32 絶縁被覆
4 端子付き電線
5 ワイヤーハーネス
51 メインハーネス部
52 分岐ハーネス部
53 コネクタハウジング
54 粘着テープ
A 位置A
B 位置B
C 位置C
L1 前方止水部と後方止水部の間の離間距離
L2 前方止水部が幅方向に占める長さ
L3 後方止水部が幅方向に占める長さ
に示すワイヤーハーネス5は、複数の端子付き電線4を含んでいる。ワイヤーハーネス5は、メインハーネス部51の先端部から、3つの分岐ハーネス部52が分岐した構成を有している。メインハーネス部51において、複数の端子付き電線4が束ねられている。それらの端子付き電線4は、3つの群に分けられて、それぞれの群が、各分岐ハーネス部52において束ねられている。メインハーネス部51および分岐ハーネス部52において、粘着テープ54を用いて、複数の端子付き電線4を束ねるとともに、曲げ形状を保持している。ワイヤーハーネス5はさらに、コネクタハウジング53を有している。コネクタハウジング53は、ワイヤーハーネス5を構成する端子付き電線4の端末に設けられた接続端子1を、収容している。

Claims (16)

  1. 相手方端子と電気的に接続される端子接続部と、前記端子接続部の後方に配置され、電線をかしめ固定するバレル部と、を備える端子金具と、
    前記電線と電気的に接触する前記バレル部の内側面に設けられた、接着性材料を備えた止水部材と、を有し、
    前記止水部材は、前記バレル部の前記内側面に接触する接触面と、該接触面に対向する露出面とを有し、前記接触面と前記露出面の両面において、
    前記端子金具の構成材料に対する接着強度A1が、0.5MPa以上であるとともに、
    120℃で100時間の加熱を受けた際の前記端子金具の構成材料に対する接着強度をA2として、A=(A2−A1)/A1×100%として算出される接着強度増加率Aが、100%以下である、接続端子。
  2. 前記止水部材の伸びをE1とし、120℃で100時間の加熱を受けた際の前記止水部材の伸びをE2として、E=(E2−E1)/E1×100%として算出される伸び増加率Eが、0%以上である、請求項1に記載の接続端子。
  3. 前記止水部材の質量をM1とし、120℃で100時間の加熱を受けた際の前記止水部材の質量をM2として、M=(M2−M1)/M1×100%として算出される質量増加率Mが、−0.20%以上である、請求項1または請求項2に記載の接続端子。
  4. 前記止水部材は、前記接触面と前記露出面の両方に前記接着性材料を露出させた両面テープである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の接続端子。
  5. 前記両面テープは、基材を有さず、前記接触面と前記露出面を構成する前記粘着性材料が、一体に連続している、請求項4に記載の接続端子。
  6. 前記両面テープは、基材を有し、
    前記基材の両面に、前記粘着性材料が配置されている、請求項4に記載の接続端子。
  7. 前記止水部材は、前記バレル部の前後方向に相互に離間して、前記前後方向に交差する幅方向に延びた、1対の前後止水部と、
    前記1対の前後止水部の幅方向端部の間を相互に連結して、前記バレル部の前記前後方向に延びた、連結止水部と、を有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の接続端子。
  8. 前記連結止水部は、前記1対の前後止水部の幅方向両側に設けられている、請求項7に記載の接続端子。
  9. 前記バレル部は、導体の外周に絶縁被覆が設けられ、端末部において前記導体が露出した前記電線に対して、前記端末部に露出した前記導体をかしめ固定するワイヤバレルと、
    前記ワイヤバレルの後方に設けられ、前記電線の前記絶縁被覆が設けられた部位をかしめ固定するインシュレーションバレルと、を一体に有し、
    前記1対の前後止水部のうち一方は、前記ワイヤバレルに設けられ、他方は、前記インシュレーションバレルに設けられる、請求項7または請求項8に記載の接続端子。
  10. 前記接着性材料は、アクリル樹脂を含有する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の接続端子。
  11. 前記止水部材の厚さは、0.1mm以下である、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の接続端子。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の接続端子と、
    導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を備えた電線と、を有し、
    前記電線の端末部において、前記導体が露出されており、前記電線は、前記導体が露出された部位を含む領域を、前記バレル部でかしめ固定され、前記接続端子に電気的に接続されている、端子付き電線。
  13. 前記バレル部において、前記導体が露出した領域よりも前方および後方の位置で、前記止水部材が、前記電線の軸線方向の周りを全周にわたって囲んでいる、請求項12に記載の端子付き電線。
  14. 前記バレル部は、幅方向両端部が重畳された状態で、前記電線をかしめ固定しており、
    前記導体が露出した領域よりも前方から後方までに及ぶ領域を含んで、重畳された前記端子金具の構成材料の間に、前記止水部材が配置されている、請求項12または請求項13に記載の端子付き電線。
  15. 前記端子金具は、銅または銅合金を含み、
    前記電線の前記導体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む、請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の端子付き電線。
  16. 請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の端子付き電線と、
    前記接続端子を収容するコネクタハウジングと、を有するワイヤーハーネス。
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