JP2017135931A - ワイヤハーネスおよびワイヤハーネスの配策方法 - Google Patents

ワイヤハーネスおよびワイヤハーネスの配策方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高圧電線と外装部品とを有するワイヤハーネスにおいて、コストを低減することができるとともに、車両等への配索性が良いものを提供する。
【解決手段】高圧電線55と、高圧電線55の外周を被っている外装部品63とを有するワイヤハーネスにおいて、少なくとも1つの曲げ箇所の曲げ荷重を44ニュートン未満とした。
【選択図】図2

Description

本発明は、ワイヤハーネスおよびワイヤハーネスの配策方法に係り、特に、曲げ荷重を44ニュートン未満としたものに関する。
従来、図49で示すように、硬質のプロテクタ301を用いて高圧電線303を曲げて所望の経路で配策しているものが知られている。硬質のプロテクタ301は、たとえば、クリップ305によって、車両の車体307に固定されている。
また、従来、高圧電線等で構成された導電路集合体(ハーネス本体)をコルゲートチューブで覆い、コルゲートチューブの外周に、そのほぼ全長にわたり水硬化性部材の全体用水硬化性テープを巻き付け、さらに強度が必要とする屈曲部に、水硬化性部材の部分用水硬化性テープを巻き付けて二重構造とし、補強部を形成しているワイヤハーネスが知られている(たとえば、特許文献1参照)。これにより、硬質のプロテクタを用いることなく、ハーネス本体を所望の形状に保持している。
特開2012−174666号公報
ところで、図49で示す従来のものでは、車両に設置されている硬質のプロテクタ内に高圧電線を這わせるので、高圧電線が硬い場合であっても高圧電線の配策形状を維持することができるが、硬質のプロテクタの製造に高価な金型を要する等、コストが上昇してしまうという問題がある。
また、従来の水硬化性部材の水硬化性テープを用いるものも、高圧電線が硬い場合であっても高圧電線の配策形状を維持することができるが、水硬化性テープを巻き付ける必要があるので、高圧電線の配策工程が煩雑になるという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高圧電線と外装部品とを有するワイヤハーネスにおいて、コストを低減することができるとともに、車両等への配索性が良いワイヤハーネスおよびワイヤハーネスの配策方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、高圧電線と、この高圧電線の外周を被っている外装部品とを有するワイヤハーネスにおいて、少なくとも1つの曲げ箇所の曲げ荷重を44ニュートン未満としたワイヤハーネスである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイヤハーネスであって、前記高圧電線と前記外装部品とは、これらにおける複数の曲げ形態毎の予め算出された曲げ荷重データに基づき、前記曲げ荷重が44ニュートン未満となる組み合わせより設定されたワイヤハーネスである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のワイヤハーネスであって、前記高圧電線の前記曲げ荷重が37N未満であり、前記外装部品の前記曲げ荷重が7N未満であるワイヤハーネスである。
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のワイヤハーネスであって、前記予め算出された曲げ荷重データは、曲げ形態としては、前記ハーネス本体の少なくとも一部を曲げる形態であり、前記構成部材が電線である場合には、前記電線の曲率半径と曲げ荷重との相関を示すデータと、前記電線の径と曲げ荷重との相関を示すデータであり、前記構成部材としての外装部品がコルゲートチューブである場合にあっては、前記コルゲートチューブの肉厚と曲げ荷重との相関を示すデータであるワイヤハーネスである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のワイヤハーネスであって、電気自動車、ハイブリッド車のバッテリとインバータの間、インバータとモータの間を接続するワイヤハーネスである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のワイヤハーネスであって、前記電気自動車もしくは前記ハイブリッド車の車体に、少なくとも2つの固定部材を用いて固定されるように構成されているワイヤハーネスである。
請求項7に記載の発明は、高圧電線と、この高圧電線の外周を被っている外装部品とを有するワイヤハーネスの配索方法において、前記高圧電線と前記外装部品とにおける複数の曲げ形態毎の曲げ荷重データを予め算出し、前記曲げ荷重データに基づき、曲げ荷重の総和が44ニュートン未満となる組み合わせより前記高圧電線と前記外装部品とを選定し、前記選定した高圧電線と外装部品とによって前記ワイヤハーネスを構成し、前記ワイヤハーネスを曲げて配索をするワイヤハーネスの配策方法である。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のワイヤハーネスの配策方法であって、前記予め算出された曲げ荷重データは、曲げ形態としては、前記ハーネス本体の少なくとも一部を曲げる形態であり、前記構成部材が電線である場合には、前記電線の曲率半径と曲げ荷重との相関を示すデータと、前記電線の径と曲げ荷重との相関を示すデータであり、前記構成部材としての外装部品がコルゲートチューブである場合にあっては、前記コルゲートチューブの肉厚と曲げ荷重との相関を示すデータであるワイヤハーネスの配策方法である。
本発明によれば、高圧電線と外装部品とを有するワイヤハーネスにおいて、コストを低減することができるとともに、車両等への配索性が良いワイヤハーネスおよびワイヤハーネスの配策方法を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係るワイヤハーネスの使用態様を示す図である。 (a)は本発明の実施形態に係るワイヤハーネスの設置態様(車体に設置し終えた状態)を示す図であり、(b)は本発明の実施形態に係るワイヤハーネスを車体に設置する前の状態を示す図であり、(c)は外装部品(コルゲート)を示す図である。 高圧電線の曲げ荷重を示す図である。 2本の高圧電線を組み合わせたときにおける曲げ荷重を示す図である。 ワイヤハーネスを設置する作業者のアンケート結果を示す図である。 高圧電線の曲げ荷重の測定方法を示す図である。 高圧電線の曲げ荷重を示す図である。 2本の高圧電線を組み合わせたときにおける曲げ荷重を示す図である。 ワイヤハーネスを設置する作業者のアンケート結果を示す図である。 図6で示す場合における、高圧電線の曲げ半径と高圧電線の曲げ荷重との関係を示す図である。 図6で示す場合における、高圧電線の導体断面積と高圧電線の曲げ荷重との関係を示す図である。 高圧電線の曲げ荷重の測定方法を示す図である。 図12で示す場合における、高圧電線の曲げられる部位の長さと、高圧電線の曲げ荷重との関係を示す図である。 図12で示す場合における、高圧電線の導体断面積と高圧電線の曲げ荷重との関係を示す図である。 外装部品の断面形状を示す図である。 外装部品の曲げ荷重の測定方法を示す図である。 外装部品の曲げ半径と肉部の厚さとを変えた場合における、図16で示す態様の曲げ荷重の測定結果を示す図である。 図17の図をグラフ化した図である。 図17の図をグラフ化した図である。 図17の図をグラフ化した図である。 図12で示す場合において、高圧電線(WA,WB,WD)の曲げられる部位の長さと、高圧電線(WA,WB,WD)の曲げ荷重との関係を示す図である。 図21の図をグラフ化したものである。 図12で示す場合において、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線WDの曲げられる部位の長さと、高圧電線WDの曲げ荷重との関係を示す図である。 図23の図表をグラフ化したものである。 図23の図表をグラフ化したものである。 図6で示す場合において、高圧電線WDの曲げ半径と、高圧電線WDの芯線の断面積と、高圧電線WDの曲げ荷重との関係を示す図である。 図26の図表をグラフ化したものである。 図26の図表をグラフ化したものである。 電線の柔軟性の測定方法を説明するための概略図である。 電線の密着力の測定方法を説明するための概略図である。 電線の柔軟性と密着力との関係を示すグラフである。 (a)は充実押出により得られた絶縁体の断面を示す図であり、(b)はチューブ押出により得られた絶縁体の断面を示す図である。 充実押出により得られた電線及びチューブ押出により得られた電線に関し、柔軟性と密着力との関係を示すグラフである。 絶縁体のちぎれを説明するための概略図である。 変性樹脂の添加量と絶縁体の引張伸び率との関係を示すグラフである。 変性樹脂の添加量と絶縁体のちぎれ寸法との関係を示すグラフである。 変性樹脂の添加量と皮むき寸法精度との関係を示すグラフである。 変性樹脂の添加量と絶縁体の硬さ(ショアD)との関係を示すグラフである。 ゴム材料の添加量と電線柔軟性との関係を示すグラフである。 ゴム材料の添加量と密着力との関係を示すグラフである。 電線柔軟性の測定方法を説明するための概略図である。 各滑剤における添加量と密着力との関係を示すグラフである。 各滑剤における添加量と絶縁体の引張強度との関係を示すグラフである。 滑剤を組み合わせた場合の絶縁体の摩耗性と密着力との関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態の高柔軟電線を示す断面図である。 コルゲートチューブの概略構成を示す断面図である。 コルゲートチューブの内径と曲げ荷重との関係を示す図である。 コルゲートチューブの内径と曲げ荷重との関係を示すグラフである。 従来の配索構造を示す図である。
本発明の実施形態に係るワイヤハーネス(ワイヤハーネスの配索構造)41は、図1で示すように、たとえば、自動車(電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車)43のインバータ45とモータ47とを接続し、また、自動車のバッテリ49とインバータ45とを接続するために用いられるものであり、ハーネス本体51と高圧電線55と外装部品63とを備えて構成されている。なお、図1に参照符号44で示すものは、モータ47で回転駆動される自動車43の前輪である。
外装部品63は、たとえば、容易に変形する(たとえば、1本の高圧電線55よりも容易に曲がる)コルゲートチューブで構成されており、高圧電線55を被っている。
そして、たとえば、直線状に延びているワイヤハーネス本体51(ワイヤハーネス41)の少なくとも1つの曲げ箇所の曲げ荷重を44ニュートン未満にしてある。
さらに説明すると、ハーネス本体51は、少なくとも複数の高圧電線55より構成されている。高圧電線55は、システム電圧(回路電圧)が直流60V以上で使用される自動車用ケーブルであり、たとえば、細長い円柱状に形成されている。また、高圧電線55は、銅等の導電体で構成された芯線と、この芯線を覆っている絶縁体(ゴムや合成樹脂等)で構成された被覆56とを備えて構成されている。
複数本の高圧電線55は、図2で示すように、これらの長手方向がお互いに一致するようにしてお互いがならんで延びている。なお、図2(a),(b)では、外装部品(コルゲート)63の表示を簡略化して、外装部品63を蛇腹状ではなく単なる筒状に描いている。
ワイヤハーネス41では、たとえば、ハーネス本体51(高圧電線55)の両端のそれぞれに、コネクタ(図示せず)が設けられている。そして、一方のコネクタが一方の電気機器(たとえば、インバータ45)に接続され、他方のコネクタが他方の電気機器(たとえば、モータ47)に接続されることで、一方の電気機器(たとえば、インバータ45)と他方の電気機器(たとえば、モータ47)とがワイヤハーネス41で電気的に接続されるようになっている。
このとき、ハーネス本体51(高圧電線55と外装部品63)が、図2(b)で示す状態から図2(a)で示す状態に曲げられるのであるが、このときのハーネス本体51の曲げ箇所の曲げ荷重が44N(ニュートン)未満(より好ましくは、42N未満、さらに好ましくは38N未満)となっている。上記44Nとは、たとえば、ハーネス本体51を曲げているときにおける曲げ荷重の最大値である。
また、図2(a)で示す状態では、自動車(電気自動車もしくは記ハイブリッド車)43の車体に、少なくとも2つの固定部材(クランプ部材)54を用い、曲げ箇所の曲げの形態を維持した状態で固定されている。
図2(a)で示すように、ワイヤハーネス41の設置(配策)が終了している状態では、ハーネス本体51の曲げ箇所の曲率半径Rが60mm以下(たとえば、40mm〜60mm程度)になっている。
さらに説明すると、図2(a)で示すものでは、3本の高圧電線55とが、お互いが近接して延伸しており、お互いに隣接する高圧電線55同士の間隔(一方の高圧電線55の中心軸と他方の高圧電線55の中心軸との間の距離)が、高圧電線55の外径よりもわずかに大きくなっている。
図2(a)で示すハーネス本体51の曲げ箇所の曲率半径Rは、たとえば、外装部品63において、曲率半径が最も小さくなる箇所(図2(a)に示す内側の外装部品63の表皮の内側の部位)のものであるが、ハーネス本体51の曲げ箇所の曲率半径Rとして、いずれかの高圧電線55の中心軸の曲率半径を採用してもよいし、図2(a)に示す外装部品63の表皮の外側の部位の曲率半径を採用してもよい。
なお、高圧電線55が内部を通っている筒状の外装部品63は、たとえば、合成樹脂で構成されている。
また、上記説明では、ハーネス本体51を二次元の態様で曲げているが、三次元の態様で曲げてもよい。すなわち、上記説明では、ハーネス本体51を図2の紙面に直交する方向に延伸する軸まわりでのみ円弧状に曲げているが、この曲げに加えて、図2の紙面の左右方向や上下方向に延伸する軸まわりで同時に曲げてもよい。
また、ワイヤハーネス41では、ハーネス本体51の各構成部材は、曲げ荷重に関して所定の組み合わせによって設定されている。所定の組み合わせとは、各構成部材(高圧電線55、外装部品63)のそれぞれにおける複数の曲げ形態毎(曲げの態様毎)の予め算出された曲げ荷重データ(予め別途計測してもとめられた曲げ荷重データ)に基づき、曲げ荷重の総和が44N未満となる組み合わせである。
ここで、ハーネス本体51が外装部品63を有さない高圧電線55のみで構成されており、ハーネス本体51の一部が1/4円弧状に曲げられる場合を例に掲げて説明する。なお、図2(a)では、ハーネス本体51の一部がほぼ1/4円弧状に曲げられている。
図3では、ハーネス本体51の曲げ半径(曲率半径)Rが60mmである場合における高圧電線55の曲げ荷重(図2で示すような曲げの曲げ荷重;曲げ荷重の最大値)の測定結果を示している。高圧電線55として、被覆56が架橋ポリエチレンで構成されている高圧電線WAと、被覆56が柔軟架橋ポリエチレンで構成されている高圧電線WBと、被覆56がシリコンゴムで構成されている高圧電線WCと、被覆56が酢酸ビニルゴム塑性物で構成されている高圧電線WDと、被覆56が柔軟架橋ポリエチレンで構成されている高圧電線WEとを採用している。各高圧電線WA,WB,WC,WDは、被覆56の材料以外は、同じに構成されている。
各高圧電線WA,WB,WC,WD,WEの被覆(絶縁体)の厚さは、1.4mmであり、各高圧電線WA,WB,WC,WD,WEの外径は、9.1mmである。
なお、高圧電線WA、高圧電線WB、高圧電線WCおよび高圧電線WDの芯線(素線の構成)は、「0.32/19/26」になっている。「0.32/19/26」では、直径が0.32mmの素線を19本撚って1本の撚り線とし、この撚り線を26本撚ったものを芯線としている。
また、高圧電線WEの芯線は、「0.18/19/80」になっている。「0.18/19/80」では、直径が0.3mmの素線を19本撚って1本の撚り線とし、この撚り線を80本撚ったものを芯線としている。
このときの各高圧電線WA,WB,WC,WD,WEそれぞれの曲げ荷重(予め計測してもとめられた曲げ荷重)は、高圧電線WAが22N、高圧電線WBが16N、高圧電線WCが6N、高圧電線WDが8N、高圧電線WEが12Nになっている。
図4は、各高圧電線WA,WB,WC,WD,WEから2本の高圧電線を選択(重複選択有り)し、この選択した2本の高圧電線を組み合わせて、図2で示す態様の曲げをしたときの曲げ荷重を示している。2本の高圧電線の曲げ荷重は、1本の高圧電線と曲げ荷重と、他の1本の高圧電線の曲げ荷重との和になっている。
図5は、高圧電線55を1/4円弧状に曲げて、コネクタ53をコネクタ57に接続する作業してときにおける、作業者のアンンケート結果である。
高圧電線55の組み合わせは、図4で示したものと同じである。ハウジングにかかる荷重とは、図4で示した荷重であって、組み合わされた高圧電線55の曲げ荷重である。
女性A、女性B、女性C、女性D、女性F、女性G、女性H、女性I、男性A、男性B、男性C、男性Dの12人を対象(作業者;被研者)としている。図5の表中の「○」は、高圧電線55を曲げてコネクタ53をコネクタ57に接続する作業を許容することができ、上記作業を継続して行うことができることを意味している。
たとえば、図2で示すワイヤハーネス41の配策作業(ただし外装部品63は不存在)においては、図5で示すように、2本の高圧電線WAでハーネス本体51が構成されていることでハーネス本体51の曲げ箇所の曲げ荷重が44Nになっている。この場合、女性Aは、ワイヤハーネス41の接続作業を許容することができないとしている。また、1本の高圧電線WAと1本の高圧電線WBとでハーネス本体51が構成されていることでハーネス本体51の曲げ箇所の曲げ荷重が38Nになっている場合、女性Aは、ワイヤハーネス41の接続作業を許容することができるとしている。
図5全体を見ると、ハーネス本体51の曲げ箇所の曲げ荷重が44N未満であれば、ワイヤハーネス41の接続作業を、作業者が許容することができるものとみなせる。
次に、図7で示す態様でハーネス本体51の曲げがなされコネクタ53の相手コネクタ57への接続がなされる場合について説明する。
図7では、ハーネス本体51の曲げ半径(曲率半径)Rが40mmである場合における高圧電線55の曲げ荷重(曲げ荷重の最大値))の測定結果を示している。高圧電線55として、図3の場合と同様にして、被覆56が架橋ポリエチレンで構成されている高圧電線WAと、被覆56が柔軟架橋ポリエチレンで構成されている高圧電線WBと、被覆56がシリコンゴムで構成されている高圧電線WCと、被覆56が酢酸ビニルゴム塑性物で構成されている高圧電線WDと、被覆56が柔軟架橋ポリエチレンで構成されている高圧電線WEとを採用している。
各高圧電線WA,WB,WC,WD,WEの被覆(絶縁体)の厚さは、図3の場合と同様に、1.4mmであり、各高圧電線WA,WB,WC,WD,WEの外径は、9.1mmである。
なお、図3の場合と同様に、高圧電線WA、高圧電線WB、高圧電線WCおよび高圧電線WDの芯線(素線の構成)は、「0.32/19/26」になっている。また、高圧電線WEの芯線は、「0.18/19/80」になっている。
このときの各高圧電線WA,WB,WC,WD,WEそれぞれの曲げ荷重(予め計測してもとめられた曲げ荷重)は、高圧電線WAが43N、高圧電線WBが28N、高圧電線WCが13N、高圧電線WDが14N、高圧電線WEが20Nになっている。
図8は、図4の場合と同様にして、各高圧電線WA,WB,WC,WD,WEから2本の高圧電線を選択(重複選択有り)し、この選択した2本の高圧電線を組み合わせて、図7で示す態様の曲げをしたときの曲げ荷重を示している。2本の高圧電線の曲げ荷重は、1本の高圧電線と曲げ荷重と、他の1本の高圧電線の曲げ荷重との和になっている。
図9は、高圧電線55を1/2円弧状に曲げて、コネクタ53をコネクタ57に接続する作業してときにおける、作業者のアンンケート結果である。
高圧電線55の組み合わせは、図8で示したものと同じである。ハウジングにかかる荷重とは、図5の場合と同様である。
図5の場合と同様に、女性A、女性B、女性C、女性D、女性F、女性G、女性H、女性I、男性A、男性B、男性C、男性Dの12人を対象としている。
たとえば、図7で示すワイヤハーネス41の接続作業において、図9で示すように、2本の高圧電線WBでハーネス本体51が構成されていることでハーネス本体51の曲げ箇所の曲げ荷重が56Nになっている場合、女性Aは、ワイヤハーネス41の接続作業を許容することができないとしている。また、1本の高圧電線WBと1本の高圧電線WDとでハーネス本体51が構成されていることでハーネス本体51の曲げ箇所の曲げ荷重が42Nになっている場合、女性Aは、ワイヤハーネス41の接続作業を許容することができるとしている。
図9全体を見ると、図5の場合と同様にして、ハーネス本体51の曲げ箇所の曲げ荷重が42N未満であれば、ワイヤハーネス41の接続作業を、作業者が許容することができるものとみなせる。
次に、ハーネス本体51が外装部品63と高圧電線55とで構成されている場合を例に掲げて説明する。
外装部品63は、この断面(長手方向に対して直交する平面による断面)が、たとえば、図15で示すような「ロ」字状になっている。これにより、外装部品63は矩形な筒状になっており、内部に複数本の高圧電線55が設置されるようになっている。なお、外装部品63の断面形状が円環状等、他の形状になっていてもよい。
外装部品63の幅W1は所定の値になっており、高さT1も所定の値になっている。外装部品63の肉厚は「t1」になっている。
なお、上記説明では、外装部品63は、この断面形状が一定の形状になっているが、断面形状が周期的に変化していてもよい。すなわち、外装部品63が、この長手方向で大径部と小径部とを交互に繰り返す形状のもの(コルゲートチューブ)になっていてもよい。
図17は、外装部品63の曲げ半径(曲率半径)Rと、肉部の厚さt1とを変えた場合における、図16で示す態様の曲げ荷重の測定結果を示している。たとえば、外装部品63の肉厚t1が0.15mmであり曲げ半径Rが50mmである場合、外装部品63の曲げ荷重(たとえば曲げ荷重の最大値)は2.27Nになっている。
なお、図17も例示しているだけなので、曲げ半径Rが「50mm」、「35mm」、「25mm」の場合を示しているが、曲げ半径Rが60mmの場合の曲げ荷重は、曲げ半径Rが50mmの場合よりも僅かに小さくなる。また、曲げ半径Rが40mmの場合の曲げ荷重は、曲げ半径Rが50mmの場合と曲げ半径Rが35mmの場合の曲げ荷重との間の値になる。
ハーネス本体51が外装部品63と高圧電線55とで構成されている場合には、図2で示すような作業において、外装部品63の曲げ荷重と各高圧電線55の曲げ荷重との和を44N未満にすればよい。
たとえば、図7で示す態様の曲げ半径Rが40mmである接続をする場合、図8で示す2本の高圧電線WDと、図17で示す厚みt1が0.4mmの外装部品63を組み合わせればよい。この場合、2本の高圧電線WDの曲げ荷重と厚みt1が0.4mmの外装部品63の曲げ荷重との和は、28N+9.09N=37.09Nの近似値であって、37.09Nよりも僅かに小さくなる。僅かに小さくなる理由は、9.09Nは、図17で示すように、曲げ半径Rが40mmよりも僅かに小さい35mmになっているからである。
なお、外装部品63の曲げ荷重と各高圧電線55の曲げ荷重との和を44N未満にする場合、高圧電線55の曲げ荷重を37N未満とし、外装部品63の曲げ荷重を7N未満とすることが望ましい。外装部品63の曲げ荷重と各高圧電線55の曲げ荷重との和を42N未満にする場合、高圧電線55の曲げ荷重を35.3N未満とし、外装部品63の曲げ荷重を6.7N未満とすることが望ましい。外装部品63の曲げ荷重と各高圧電線55の曲げ荷重との和を38N未満にする場合、高圧電線55の曲げ荷重を32N未満とし、外装部品63の曲げ荷重を5N未満とすることが望ましい。
ここで、図3、図7で示す曲げ荷重データのもとめ方を、図6や図12を参照しつつ、例を掲げて説明する。
図6では、支持材65と、この支持材65に対して接近もしくは離れる方向に移動自在な支持材67と、ロードセル等の荷重測定装置69とを用いて、高圧電線55の曲げ荷重と曲げ半径Rとの関係等を測定している。
すなわち、支持材65と支持材67との間に1本の高圧電線55を設置して、支持材67を下降して支持材65に近づけ、高圧電線55を、目標となる曲げ半径(データがほしい曲げ半径)Rになるまで半円弧状に湾曲させる。このときの高圧電線55の反力をロードセル69で測定する。
高圧電線55の種類や目標とする曲げ半径Rと変えることで、高圧電線55の種類や曲げ半径Rに応じた様々曲げ荷重データを得ることができる。
図12では、一対の支持材71とプッシュプルゲージ等の荷重測定装置72を用いて、高圧電線55の曲げ荷重と曲げ半径Rとの関係等を測定している。
すなわち、一対の支持材71で高圧電線55の一方の端部を挟み込み高圧電線55の一方の端部を固定している。この状態で、プッシュプルゲージ72を介して、高圧電線55の他方の端を押し(矢印参照)、高圧電線55の他方の端部を目標となる曲げ半径(データがほしい曲げ半径)Rになるまで1/4円弧状に湾曲させる。このときの高圧電線55の反力をプッシュプルゲージ72で測定する。
そして、上述した場合と同様にして、高圧電線55の種類や目標とする曲げ半径Rと変えることで、高圧電線55の種類や曲げ半径Rに応じた様々曲げ荷重データを得ることができる。
図16では、図6で示す場合と同様にして、支持材65と、この支持材65に対して接近もしくは離れる方向に移動自在な支持材67と、ロードセル等の荷重測定装置69とを用いて、たとえば、外装部品63の曲げ荷重と曲げ半径Rとの関係を測定している。また、外装部品63の曲げ荷重と曲げ半径Rとの関係等を、図12で示す態様でももとめている。
ところで、ワイヤハーネス41では、予め算出された曲げ荷重データは、曲げ形態として、図2で示すように、ハーネス本体51の一部(少なくとも一部でもよい。)を曲げる形態になっている。たとえば、図2では、ワイヤハーネス本体51の長手方向の中間部を曲げている。
また、予め算出された曲げ荷重データは、構成部材が高圧電線55である場合には、高圧電線55の曲率半径Rと曲げ荷重との相関(関係)を示すデータと、高圧電線55の径(たとえば芯線の径)と曲げ荷重との相関(関係)を示すデータである。
また、予め算出された曲げ荷重データは、構成部材が外装部品63である場合にあっては、コルゲートチューブの肉厚t1と曲げ荷重との相関(関係)を示すデータである。
詳しく説明する。図10は、図6で示す場合における、高圧電線55の曲げ半径Rと高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。高圧電線55として、図2で示す高圧電線WDを用いている。
図10の横軸(x軸)は、曲げ半径R(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N;ニュートン)を示している。曲げ半径Rが40mmであるときの曲げ荷重、60mmであるときの曲げ荷重、80mmであるときの曲げ荷重、100mmであるときの曲げ荷重を実際にもとめ(複数の点におけるx座標とy座標とをもとめ)、これらをつなぐ近似式をもとめると、y=38.039×10−0.025xという近似式(f1)が得られる。
図11は、図6で示す場合における、高圧電線55の導体断面積(芯線の延伸方向に対して直交している平面による芯線の断面積)と高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。高圧電線55として、図2等で示す高圧電線WDにおいて、芯線の導体断面積(外径)を変えたものを用いている。高圧電線55の導体断面積は、高圧電線55の導体の外径と等価である。
図11の横軸(x軸)は、芯線の断面積(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。芯線の断面積が3mmであるときの曲げ荷重、12mmであるときの曲げ荷重、40mmであるときの曲げ荷重、60mmであるときの曲げ荷重を実際にもとめ(複数の点におけるx座標とy座標とをもとめ)、これらをつなぐ近似式をもとめると、y=0.0116x−0.1473x+1.7583という近似式(f2)が得られる。
図13は、図12で示す場合における、高圧電線55の曲げ半径Rと等価である高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。高圧電線55として、図2等で示す高圧電線WDを用いている。
図13の横軸(x軸)は、曲げ長さL(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0005x−0.2745x+41.3という近似式(f3)が得られる。
図14は、図12で示す場合における、高圧電線55の導体断面積と高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。高圧電線55として、図2等で示す高圧電線WDにおいて、芯線の外径を変えたものを用いている。
図14の横軸(x軸)は、芯線の断面積(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.5596x−2.5397という近似式(f4)が得られる。
図18、図19、図20は、図16で示す場合における外装部品63の曲げ荷重を示す図である(図17の図表をグラフ化した図である)。
図18(a)は、外装部品63の曲げ半径Rを50mmとしたときにおける、外装部品63の肉厚t1と曲げ荷重との関係を示す図である。
図18(a)の横軸(x軸)は、外装部品63の肉厚t1(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=53.448x−2.5315x+1.4962という近似式(f5)が得られる。
図18(b)は、外装部品63の曲げ半径Rを35mmとしたときにおける、外装部品63の肉厚t1と曲げ荷重との関係を示す図である。
図18(b)の横(x軸)は、外装部品63の肉厚t1(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=53.4824x−2.2735x+1.6853という近似式(f6)が得られる。
図18(c)は、外装部品63の曲げ半径Rを25mmとしたとききにおける、外装部品63の肉厚t1と曲げ荷重との関係を示す図である。
図18(c)の横(x軸)は、外装部品63の肉厚t1(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=56.683x−2.3223x+2.2281という近似式(f7)が得られる。
図19(a)は、外装部品63の肉厚t1を0.15mmとしたときにおける、外装部品63の曲げ半径Rと曲げ荷重との関係を示す図である。
図19(a)の横軸(x軸)は、外装部品63の曲げ半径R(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0018x−0.1636x+6.05という近似式(f8)が得られる。
図19(b)は、外装部品63の肉厚t1を0.20mmとしたときにおける、外装部品63の曲げ半径Rと曲げ荷重との関係を示す図である。
図19(b)の横軸(x軸)は、外装部品63の曲げ半径R(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0018x−0.165x+7.02という近似式(f9)が得られる。
図19(c)は、外装部品63の肉厚t1を0.25mmとしたときにおける、外装部品63の曲げ半径Rと曲げ荷重との関係を示す図である。
図19(c)の横軸(x軸)は、外装部品63の曲げ半径R(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0019x−0.1828x+8.4133という近似式(f10)が得られる。
図20(a)は、外装部品63の肉厚t1を0.30mmとしたときにおける、外装部品63の曲げ半径Rと曲げ荷重との関係を示す図である。
図20(a)の横軸(x軸)は、外装部品63の曲げ半径R(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0023x−0.2122x+10.797という近似式(f11)が得られる。
図20(b)は、外装部品63の肉厚t1を0.40mmとしたときにおける、外装部品63の曲げ半径Rと曲げ荷重との関係を示す図である。
図20(b)の横軸(x軸)は、外装部品63の曲げ半径R(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0024x−0.2196x+13.803という近似式(f12)が得られる。
図20(c)は、外装部品63の肉厚t1を0.50mmとしたときにおける、外装部品63の曲げ半径Rと曲げ荷重との関係を示す図である。
図20(c)の横軸(x軸)は、外装部品63の曲げ半径R(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0031x−0.2874x+20.363という近似式(f13)が得られる。
図21は、図12で示す場合において、高圧電線55として図3等で示した高圧電線WA、高圧電線WB、高圧電線WDを用いた、高圧電線55の曲げ半径と等価である高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図表である。
図22は、図21の図表をグラフ化したものである。
図22(a)は、高圧電線WAにおける、高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図22(a)の横軸(x軸)は、曲げ長さL(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0001x−0.0785x+13.3という近似式(f14)が得られる。
図22(b)は、高圧電線WBにおける、高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図22(b)の横軸(x軸)は、曲げ長さL(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0001x−0.0675x+10.5という近似式(f15)が得られる。
図22(c)は、高圧電線WDにおける、高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図22(c)の横軸(x軸)は、曲げ長さL(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=8×10−5−0.0415x+6.2という近似式(f16)が得られる。
図23は、図12で示す場合において、高圧電線55として図3等で示した高圧電線WDを用い、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線55の曲げ半径Rと等価である高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図表である。
図24、図25は、図23の図表をグラフ化したものである。
図24(a)は、高圧電線55の芯線の断面積が3mmである場合における、高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図24(a)の横軸(x軸)は、曲げ長さL(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=3×10−5−0.0125x+1.7という近似式(f17)が得られる。
図24(b)は、高圧電線55の芯線の断面積が12mmである場合における、高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図24(b)の横軸(x軸)は、曲げ長さL(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=8×10−5−0.0415x+6.2という近似式(f18)が得られる。
図24(c)は、高圧電線55の芯線の断面積が40mmである場合における、高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図24(c)の横軸(x軸)は、曲げ長さL(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0005X−0.2745x+41.3という近似式(f19)が得られる。
図24(d)は、高圧電線55の芯線の断面積が60mmである場合における、高圧電線55の曲げられる部位の長さLと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図24(d)の横軸(x軸)は、曲げ長さL(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0008X−0.453x+69.4という近似式(f20)が得られる。
図25(a)は、高圧電線55の曲げられる部位の長さLが100mmである場合における、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図25(a)の横軸(x軸)は、芯線の断面積(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.5596x−2.5397という近似式(f21)が得られる。
図25(b)は、高圧電線55の曲げられる部位の長さLが200mmである場合における、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図25(b)の横軸(x軸)は、芯線の断面積(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.1808x−0.8726という近似式(f22)が得られる。
図25(c)は、高圧電線55の曲げられる部位の長さLが300mmである場合における、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図25(c)の横軸(x軸)は、芯線の断面積(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0779x−0.2651という近似式(f23)が得られる。
図26は、図6で示す場合において、高圧電線55として図3等で示した高圧電線WDを用い、高圧電線55の曲げ半径Rと、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図表である。
図27、図28は、図26の図表をグラフ化したものである。
図27(a)は、高圧電線55の曲げ半径Rが40mmである場合における、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図27(a)の横軸(x軸)は、芯線の断面積(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0116x−0.1473x+1.7583という近似式(f24)が得られる。
図27(b)は、高圧電線55の曲げ半径Rが80mmである場合における、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図27(b)の横軸(x軸)は、芯線の断面積(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.1274x−0.1022という近似式(f25)が得られる。
図28(a)は、高圧電線55の芯線の断面積が40mmである場合における、高圧電線55の曲げ半径Rと、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図28(a)の横軸(x軸)は、曲げ半径R(単位は、m)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=38.039×10−0.025xという近似式(f26)が得られる。
図28(b)は、高圧電線55の曲げ半径Rが60mmである場合における、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図28(b)の横軸(x軸)は、芯線の断面積(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.2082x−0.4002という近似式(f27)が得られる。
図28(c)は、高圧電線55の曲げ半径Rが100mmである場合における、高圧電線55の芯線の断面積と、高圧電線55の曲げ荷重との関係を示す図である。
図28(c)の横軸(x軸)は、芯線の断面積(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図10や図11で示す場合と同様にして、y=0.0764x−0.0667という近似式(f28)が得られる。
ここで、図46で示すようなコルゲートチューブ63において、コルゲートチューブ63の内径IDと曲げ荷重との関係について説明する。
コルゲートチューブ63は、ポリアミドで構成されており、コルゲートチューブ63の肉厚t1は、0.27mmになっている。コルゲートチューブ63の曲げ荷重の測定は、図16で示した場合と同様にしてなされる。
コルゲートチューブ63の内径IDとして、コルゲートチューブ63の小径部の内径を採用している。
図47は、コルゲートチューブ63の曲げ半径(曲率半径)Rを40mmとし、コルゲートチューブ63の内径IDを変えた場合における曲げ荷重の測定結果を示している。たとえば、コルゲートチューブ63の内径IDが5mmである場合、コルゲートチューブ63の曲げ荷重(たとえば曲げ荷重の最大値)は0.47Nになっている。
図48は、図17の図表をグラフ化した図である。図48の横軸(x軸)は、コルゲートチューブ63の内径ID(単位は、mm)を示しており、縦軸(y軸)は、曲げ荷重(単位は、N)を示している。図48からy=0.6268x−2.5339という近似式(f29)が得られる。
これらの近似式f1〜f29もしくはこれらと同様な近似式を予めもとめておいて、これの近似式を適宜用いることにより、実際に測定していない径の芯線や曲げ半径Rや実際に測定していない肉厚t1で構成されたコルゲートチューブ63であっても、相関データを得ることができ、ハーネス本体51の各構成部材における曲げ荷重データ得ることができ、これに基づき、曲げ荷重の総和を44N未満となる組み合わせを容易に得ることができる。
ここで、高圧電線55の被覆56について説明する。高圧電線55の被覆56は、たとえば、次で示すような絶縁体組成物で構成されている。
すなわち、高圧電線55(図2、図7等で示す高圧電線WD)の被覆56を構成する絶縁体組成物は、(A)エチレン共重合体及び変性樹脂と、(B)エチレンアクリルゴム及び酢酸ビニルゴムの少なくともいずれか一方と、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを80〜140質量部と、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)滑剤を0.5〜4質量部とを含有し、エチレン共重合体と変性樹脂が質量部で20:20〜77:3の関係を満たし、(A)成分と(B)成分が質量部で(A):(B)=40:60〜80:20の関係を満たしている。
以下、図面を用いて、本発実施形態についてさらに説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
本発明者は、高柔軟電線(高圧電線)に用いるため、種々の材料に対して柔軟性、強度(引張破断強さ)、耐液性(バッテリ液)、耐液性(ガソリン)及び耐熱性を検討した。表1はこの検討結果であり、材料としてEVA等の樹脂材料、HNBR等のゴム材料及びエラストマー材料を選択し、それぞれに対して上述した特性を検討した結果を示す。
ここで、表1における柔軟性は、ショアDの硬さが32以下であり、かつ、ショアAの硬さが85以下の場合は「○」と評価し、この範囲外の場合は「×」と評価している。強度(引張破断強さ)は、ASTM D638に基づき測定した結果であり、引張破断強さが10.3MPa以上の場合は「○」と評価し、10.3MPa未満の場合は「×」と評価している。
なお、表1における耐液性(バッテリ液)については、次のように評価した。まず、各樹脂からJIS K6251に準拠する引張試験片6個を作成した。そのうち3つを50℃のバッテリ液に20時間浸した。そして、バッテリ液に浸した試験片3つと浸していない試験片3つの引張試験を行い、以下の式より、浸漬前の試験片の伸び率に対する浸漬後の試験片における伸び率の平均比率(%)をもとめた。浸漬後の変化率が50%以上の場合は「○」と評価し、50%未満の場合は「×」と評価している。
平均比率(%)=(浸漬後の試験片の伸び率−浸漬前の試験片の伸び率)/(浸漬前の試験片の伸び率)×100
また、耐液性(ガソリン)については、ISO6722に準拠して測定した。具体的には、まず、ガソリンへの浸漬前に試験サンプルの外径を測定した。次に、試験サンプルをガソリンに浸漬し、30分間放置した。浸漬後、ガソリンから試験サンプルを取り出して表面に付着しているガソリンを拭き取り、浸漬前と同じ箇所で外形を測定した。そして、以下の式より、ガソリンへの浸漬前の外径に対する浸漬後の外径の変化率(%)をもとめた。ガソリンへの浸漬前の外径に対する浸漬後の外径の変化率が15%以下の場合を「○」と評価し、15%を超えた場合を「×」と評価した。
変化率(%)=(浸漬後の外径−浸漬前の外径)/(浸漬前の外径)×100
耐熱性については、まず、JIS3号形で厚さが1mmのダンベル状試験片を作成した。次に、試験片を170℃、180℃、190℃のオーブンにそれぞれ投入して加熱し、加熱後の試験片をJIS K6251に規定に準じて引張伸び率を測定した。この際、各加熱温度における試験片の引張伸び率が100%以下となる加熱時間をもとめた。そして、各試験片における加熱温度と引張伸び率が100%以下となる加熱時間とをアレニウスプロットすることにより、10000時間後の推定寿命を予測した。10000時間後の推定寿命が150℃以上の場合を「○」と評価し、150℃未満の場合を「×」と評価した。
表1において、「EVA」は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名「EV270」(三井・デュポンポリケミカル(株))を示す。「EEA」は、エチレン−エチルアクリレート共重合体(商品名「NUC−6520」(日本ユニカー(株))を示す。「EMA」は、エチレン−メチルアクリレート共重合体(商品名「エルバロイ(登録商標)AC1125」(三井・デュポンポリケミカル(株))を示す。「LDPE」は低密度ポリエチレン(商品名「LD400」(日本ポリエチレン(株))を示す。
また、表1において、「HNBR」は水素化ニトリルゴムを示す。「AEM」は、エチレンアクリルゴム(商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を示す。「EPDM」はエチレンプロピレンジエンモノマー共重合体(商品名「EPT3045H」(三井化学(株))を示す。「フッ素ゴム」は、商品名「AFRAS150CS」(旭硝子(株)製)を用いている。「シリコーンゴム」は、商品名「DY32−6066」(東レ(株)製)を用いている。「CSM」は、クロロスルホン化ポリエチレン(商品名「TS430」(東ソー(株))を示す。「CM」は、塩素化ポリエチレン(商品名「エラスレン(登録商標)302NA」(昭和電工(株))を示す。
「スチレン系エラストマー」は商品名「セプトン(登録商標)2063」((株)クラレ製)を用いており、「ポリウレタン系エラストマー」は商品名「クラミロン(登録商標)U8165」((株)クラレ製)を用いている。「ポリエステル系エラストマー」は商品名「ペルプレン(登録商標)P−40H」(東洋紡(株)製)を用いている。
表1に示すように、樹脂材料は機械的強度に優れる反面、柔軟性に劣る傾向がある。また、ゴム材料は柔軟性に優れる反面、機械的強度や耐液性に課題がある場合がある。そして、樹脂材料及びゴム材料において、高い耐熱性を有する材料は限られている。フッ素ゴムは強度及び耐薬品性に優れるが、高柔軟電線に用いるにはコストが高いため実用的ではない。さらに、エラストマー材料は柔軟性には優れているが、耐熱性に劣る傾向がある。
そのため、本発明者は上述の特性を考慮した樹脂材料の選択を行い、選択した樹脂材料にゴム材料を配合すると共に、目的とする柔軟性を備えるように配合比を特定した。その結果、柔軟性を維持しながらも高い耐液性、耐摩耗性及び耐熱性を備えた絶縁体組成物に到達したものである。
本実施形態に係る絶縁体組成物は、樹脂材料としてのエチレン共重合体と、ゴム材料としてのエチレンアクリルゴム及び酢酸ビニルゴムの少なくともいずれか一方とを含有する。本実施形態の絶縁体組成物は、樹脂材料として比較的高い耐熱性を持ち、柔軟性が高いエチレン共重合体と、機械的強度は劣るが耐熱性及び柔軟性が高いエチレンアクリルゴム及び酢酸ビニルゴムの少なくともいずれか一方とを配合する。これにより、柔軟性を維持しつつも高い耐液性、耐摩耗性及び耐熱性を備えた絶縁体組成物を得ることができる。
ここで、本発明者は、電線(高圧電線)の柔軟性を得るために、絶縁体組成物と導体との密着力について調査した。具体的には、表2に示す材料Aを混練して得た絶縁体組成物を金属導体に押出成形して被覆した。さらに、得られた被覆電線に対し電子線架橋処理(750kV×16Mrad)を行い、絶縁体を構成する樹脂の架橋を行うことにより、電線サンプルを作製した。なお、金属導体としては、まず外径が0.32mmの純銅の素線を19本撚り合わせて撚線を作製し、さらに当該撚線を26本撚り合わせた、外径が9.1mmの撚線を使用した。さらに絶縁体の厚さは1.4mmとなるようにし、得られる電線サンプルの外径が11.9mmとなるように調整した。また、絶縁体は、その内周部が金属導体の素線間に食い込む充実押出により作製した。
表2において、「EEA」は、エチレン−エチルアクリレート共重合体(商品名「レクスパール(登録商標)EEA A1150」(日本ポリエチレン(株))を示す。「AEM」は、エチレンアクリルゴム(商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を示す。水酸化アルミニウムは、日本軽金属(株)製BF013を使用した。
次に、得られた電線サンプルを180度に屈曲し、屈曲回数が異なる複数の電線サンプルを作製した。そして、屈曲した電線サンプルに対し、柔軟性と密着力を評価した。具体的には、柔軟性は、長さ400mmの屈曲した電線サンプル1を、図29に示すように100mm/minの速度で曲げ、曲げRが40となるところの最大曲げ応力をロードセル2で測定した。なお、測定の際、電線サンプル1は符号3の箇所でロードセル2及び支持台4に固定した。
密着力は、まず、長さ75mmの屈曲した電線サンプル1を、図30(a)に示すように、絶縁体1aを端部から25mm除去し、金属導体1bを露出させた試験サンプルを作製した。次に、図30(b)に示すように、金属導体1bのみが貫通し、絶縁体1aが貫通しない穴部を有した試験台5に試験サンプルの金属導体1bを貫通させた。そして、金属導体1bを250mm/minの速度で引っ張り、絶縁体1aが金属導体1bから完全に剥離するまでの最大応力を測定した。図31は、屈曲回数が異なる各電線サンプルの柔軟性と密着力との関係を示す。なお、図31は、各電線サンプルに対し、柔軟性と密着力を6回ずつ測定した結果の平均値を示す。
図31より、電線サンプル1における絶縁体1aと金属導体1bの密着力が低い場合には、電線サンプル1の柔軟性が良好となることが分かる。つまり、絶縁体1aと金属導体1bの密着力が低ければ曲げたときの応力が逃げやすく、柔軟性が良好になると推測する。逆に密着力が高い電線においては、曲げたときの応力が逃げずに、柔軟性が得られなかったと推測する。
次に、本発明者は、電線の柔軟性を得るために、絶縁体の押出方法について検討した。具体的には、表3に示す材料Bを混練して得た絶縁体組成物を金属導体に押出成形して被覆した。さらに、得られた被覆電線に対し電子線架橋処理(750kV×16Mrad)を行い、絶縁体を構成する樹脂の架橋を行うことにより、電線サンプルを作製した。なお、金属導体は上述の密着力と柔軟性を測定した電線サンプルと同じものを使用した。ここで、絶縁体の押出方法としては、図32(a)のように、絶縁体1aaの内周部が金属導体の素線間に食い込む充実押出と、図32(b)のように、絶縁体1abの内周部が金属導体の素線間に食い込まないチューブ押出とを実施した。そして、充実押出により得られた電線サンプルと、チューブ押出により得られた電線サンプルとに対し、上述の柔軟性と密着力を測定し、その結果を図33に示す。
表3において、「EVM」は、エチレンと酢酸ビニルとのゴム状共重合体(商品名「レバプレン(登録商標)700」(ランクセス社)を示す。「EMA」は、エチレン−メチルアクリレート共重合体(商品名「エルバロイ(登録商標)AC1125」(三井・デュポンポリケミカル(株))を示す。「変性LLDPE」は、直鎖状低密度ポリエチレンの側鎖に極性基を導入した化合物(商品名「モディック(登録商標)LLDPE M545」(三菱化学(株))を示す。シランカップリング処理水酸化アルミニウムは、日本軽金属(株)製BF013STVを使用した。
図33に示すように、絶縁体と金属導体との密着力が高い充実押出に比べ、これらの密着力が低いチューブ押出は、柔軟性が良好となる。つまり、絶縁体の押出方法を変えることで、絶縁体と金属導体との密着力を低下させ、柔軟性を向上させることが可能となる。
ここで、上述の表2に示す材料Aを用いて作成した電線サンプルについて、加工性(皮むき性)を評価したところ、絶縁体のちぎれが発生し、皮むき寸法が不十分となるという問題が発生した。「絶縁体のちぎれ」とは、図34に示すように、皮むきの際、絶縁体がうまく切れず、その一部が残存してしまう現象であり、端子を圧着する際に導体と端子との接続不良を起こす原因となる。また、「皮むき寸法」とは、電線の切断面1cから絶縁体1aのちぎれ部までの寸法10を指している。そのため、ちぎれ部の基部から先端部までの寸法11が大きいと皮むき寸法が不十分となってしまう。そのため、皮むき寸法はワイヤハーネスに使用する電線において重要な要素である。
そこで本発明者は、十分な皮むき寸法を確保するために、絶縁体の伸び率を低減させることに着眼した。絶縁体の伸び率を低減させる方策として、難燃剤を多く配合すること等が考えられるが、摩耗性の低下が想定される。そのため、絶縁体の伸び率を低減させる方策として、変性樹脂を加えることを検討した。
具体的には、表4に示す材料を混練して得た絶縁体組成物を金属導体に押出成形して被覆した。さらに、得られた被覆電線に対し電子線架橋処理(750kV×16Mrad)を行い、絶縁体を構成する樹脂の架橋を行うことにより、電線サンプル1−1〜1−3を作製した。なお、金属導体としては、外径が0.32mmの純銅の素線を37本撚り合わせ、外径が2.25mmの撚線を使用した。さらに、絶縁体の厚さは0.7mmとなるようにし、得られる電線サンプルの外径が3.65mmとなるように調整した。また、絶縁体は、その内周部が金属導体の素線間に食い込む充実押出により作製した。
表4において、「EEA」は、エチレン−エチルアクリレート共重合体(商品名「NUC−6520」(日本ユニカー(株))を示す。「AEM」は、エチレンアクリルゴム(商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を示す。「変性EEA」は、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸の三元共重合体(商品名「BONDINE(登録商標)LX4110」(アルケマ社)を示す。シランカップリング処理水酸化アルミニウムは、日本軽金属(株)製BF013STVを使用した。
得られた各組成の電線サンプルに対し、絶縁体の引張伸び率、絶縁体のちぎれ寸法、および皮むき寸法精度を測定した。絶縁体の引張伸び率は、まず、電線サンプルから金属導体を抜き、絶縁体だけの管状サンプルを作製した。そして、管状サンプルを引張速度200mm/minの速度で引っ張り、破断するまでの伸び率を測定した。なお、図35は、各電線サンプルに対して伸び率を6回ずつ測定した結果の平均値を示す。
絶縁体のちぎれ寸法は、まず電線サンプルの皮むきを行った。具体的には、シュロニガージャパン(株)製同軸ケーブル用ストリップ装置CS5500を用い、皮むき寸法の狙い値を5mmとし、皮むき刀を入れる深さを3.05mmとして、電線サンプルの皮むきを行った。なお、電線サンプルにおける金属導体の外径は2.25mmであるが、導体の素線などを傷つけないように、皮むき刀を入れる深さを高めに設定した。皮むき刀を入れる深さが高めの場合、絶縁体の内部まで皮むき刀が入らず、絶縁体がちぎれ易くなる。そして、図34に示すように、皮むき刀が入った部分から絶縁体のちぎれ部の先端までの寸法11を絶縁体のちぎれ寸法とし、その長さを測定した。なお、図36は、各電線サンプルに対して絶縁体のちぎれ寸法を50回ずつ測定した結果の平均値を示す。
皮むき寸法精度は、電線サンプルの切断面1cから絶縁体1aのちぎれ部までの寸法10を50サンプル測定し、そのばらつきCpを次の計算式よりもとめた。そして、ばらつきCpが1.67以上を「良」と判断した。
Cp=(規格幅)/(6×寸法10の標準偏差)
図35は変性樹脂の添加量と絶縁体の引張伸び率との関係を示し、図36は変性樹脂の添加量と絶縁体のちぎれ寸法との関係を示し、図37は変性樹脂の添加量と皮むき寸法精度との関係を示す。図35〜図37に示すように、変性樹脂を添加することで、絶縁体の引張伸び率は減少し、その結果、絶縁体のちぎれ寸法も短くなり、皮むき寸法精度も改善することが分かる。そして、電線の加工性(皮むき性)を向上させるには、エチレン共重合体とエチレンアクリルゴムの合計100質量部に対して変性樹脂を3質量部以上添加する必要があることが分かる。
上述のように、樹脂材料及びゴム材料に変性樹脂を添加することで、電線の加工性(皮むき性)が改善することが分かったが、変性樹脂を添加することで材料が硬くなる、つまり柔軟性が低下してしまう。そのため、柔軟性を得るためのゴム材料の添加比率の最適化を試みた。具体的には、表5に示す材料を混練して得た絶縁体組成物をそれぞれ金属導体に押出成形して被覆した。さらに、得られた被覆電線に対し電子線架橋処理(750kV×16Mrad)を行い、絶縁体を構成する樹脂の架橋を行うことにより、電線サンプル2−1〜2−5を作製した。なお、金属導体としては、外径が0.32mmの純銅の素線を37本撚り合わせ、外径が2.25mmの撚線を使用した。さらに、絶縁体の厚さは0.7mmとなるようにし、得られる電線サンプルの外径が3.65mmとなるように調整した。また、絶縁体は、その内周部が金属導体の素線間に食い込む充実押出により作製した。
表5において、「EEA」は、エチレン−エチルアクリレート共重合体(商品名「NUC−6520」(日本ユニカー(株))を示す。「AEM」は、エチレンアクリルゴム(商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を示す。「変性EEA」は、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸の三元共重合体(商品名「BONDINE(登録商標)LX4110」(アルケマ社)を示す。シランカップリング処理水酸化アルミニウムは、日本軽金属(株)製BF013STVを使用した。
そして、サンプル2−1〜2−5の材料を混練して得た絶縁体組成物のショアDの硬さを測定した。さらに、得られた各組成の電線サンプルに対し、電線柔軟性及び密着力を測定した。電線柔軟性は、まず電線サンプルを、長さLが100mmとなるように切断した。次に図41に示すように、電線サンプル20の両端を支持台21に載置した。そして、電線サンプル20の中央を速度100mm/分の速度で押したときの反力を、フォースゲージを用いて測定した。なお、密着力は、上述と同様の方法で測定した。
図38は変性樹脂の添加量と絶縁体の硬さ(ショアD)との関係を示す。図38に示すように、サンプル2−1〜2−3より変性樹脂の添加量を増加させると硬さが向上することが分かる。しかし、図38に示すように、サンプル2−3〜2−5よりゴム材料の添加量を増加させると硬さが低下することが分かる。そのため、ゴム材料の添加比率を上げることで、絶縁体を柔軟化できることが分かる。
図39はゴム材料の添加量と電線柔軟性との関係を示し、図40はゴム材料の添加量と密着力との関係を示す。図39に示すように、ゴム材料の添加量を増加させたとしても、必ずしも電線の柔軟性が向上するわけではない。つまり、図40に示すように、単にゴム材料の添加量を増加させた場合、絶縁体と金属導体との密着力が上昇するため、電線の柔軟性は向上しない場合がある。
このように、電線の柔軟性を得るためには、絶縁体組成物の柔軟化も重要であるが、絶縁体組成物と導体との密着性についても十分に考慮する必要があることが分かる。そして、絶縁体組成物と導体との密着性は、上述のように、押出方法を変えることでも劇的に変化させることができるが、絶縁体組成物に含まれる滑剤によっても低減させることができる。そのため、柔軟性を得るための滑剤の種類とその添加量について検討した。具体的には、表6及び表7に示す材料を混練して得た絶縁体組成物をそれぞれ金属導体に押出成形して被覆した。さらに、得られた被覆電線に対し電子線架橋処理(750kV×16Mrad)を行い、絶縁体を構成する樹脂の架橋を行うことにより、電線サンプル3−1〜3−16を作製した。なお、金属導体としては、外径が0.32mmの純銅の素線を37本撚り合わせ、外径が2.25mmの撚線を使用した。さらに、絶縁体の厚さは0.7mmとなるようにし、得られる電線サンプルの外径が3.65mmとなるように調整した。また、絶縁体は、その内周部が金属導体の素線間に食い込む充実押出により作製した。
表6及び表7において、「EMA」は、エチレン−メチルアクリレート共重合体(商品名「エルバロイ(登録商標)AC1125」(三井・デュポンポリケミカル(株))を示す。「EVM」は、エチレンと酢酸ビニルとのゴム状共重合体(商品名「レバプレン(登録商標)700」(ランクセス社)を示す。「変性LLDPE」は、直鎖状低密度ポリエチレンの側鎖に極性基を導入した化合物(商品名「モディック(登録商標)LLDPE M545」(三菱化学(株))を示す。シランカップリング処理水酸化アルミニウムは、日本軽金属(株)製BF013STVを使用した。
また、シリコーン系滑剤としては、旭化成ワッカーシリコーン(株)製GENIOPLAST(登録商標)Pellet Sを使用した。ベヘン酸亜鉛としては、(株)サンエース製SCI−ZNBを使用した。脂肪酸エステルとしては、理研ビタミン(株)製リケスター(登録商標)EW−100を使用した。ポリエチレン系滑剤としては、三井化学(株)製ハイワックス(登録商標)400Pを使用した。ステアリン酸としては、花王(株)製ルナックS−50Vを使用した。
得られた各組成の電線サンプルに対し、密着力及び絶縁体の引張強度を測定した。密着力は、上述と同様の方法で測定した。絶縁体の引張強度は、まず電線サンプルから金属導体を引き抜き、絶縁体だけの管状サンプルを作成した。そして、管状サンプルをJIS K7161に準じて、引張試験を200mm/minの速度で実施することにより測定した。
図42は、各滑剤における添加量と密着力との関係を示す。また、図43は、各滑剤における添加量と絶縁体の引張強度との関係を示す。図42に示すように、ステアリン酸が最も密着力の低減効果があることが分かる。また、0.5質量部(phr)以上添加することで、密着力の低減効果が現れる。ただ、図43に示すように、ステアリン酸の添加量が増加すると引張強度が低下するため、絶縁体の強度を維持する観点から、ステアリン酸の添加量は4質量部(phr)以下であることが好ましい。また、密着力の低減効果を得る観点から、ステアリン酸の添加量は0.5質量部(phr)以上であることが好ましい。
次に、上述の滑剤の組み合わせについても検討した。具体的には、表8及び表9に示す材料を混練して得た絶縁体組成物をそれぞれ金属導体に押出成形して被覆した。さらに、得られた被覆電線に対し電子線架橋処理(750kV×16Mrad)を行い、絶縁体を構成する樹脂の架橋を行うことにより、電線サンプル4−1〜4−10を作製した。なお、金属導体としては、外径が0.32mmの純銅の素線を37本撚り合わせ、外径が2.25mmの撚線を使用した。さらに、絶縁体の厚さは0.7mmとなるようにし、得られる電線サンプルの外径が3.65mmとなるように調整した。また、絶縁体は、その内周部が金属導体の素線間に食い込む充実押出により作製した。なお、表8及び表9におけるEMA、EVM、変性LLDPE、シランカップリング処理水酸化アルミニウム、シリコーン系滑剤、ベヘン酸亜鉛、脂肪酸エステル、ポリエチレン系滑剤、ステアリン酸は、サンプル3−1〜3−16と同じものを使用した。
得られた各組成の電線サンプル4−1〜4−10に対し、上述と同様の方法で密着力を測定した。図44に示すように、滑剤の組み合わせとしては、シリコーン系滑剤とベヘン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛と脂肪酸エステル、シリコーン系滑剤とステアリン酸、脂肪酸エステルとステアリン酸、ベヘン酸亜鉛とポリエチレン系滑剤、ポリエチレン系滑剤とステアリン酸が好ましいことが分かる。
次に、難燃剤としての金属水酸化物の配合比と、電線柔軟性及び強度との関係を検討した。まず、表10及び表11に示す材料を混練して得た絶縁体組成物をそれぞれ金属導体に押出成形して被覆した。さらに、得られた被覆電線に対し電子線架橋処理(750kV×16Mrad)を行い、絶縁体を構成する樹脂の架橋を行うことにより、電線サンプル5−1〜5−14を作製した。なお、金属導体としては、外径が0.32mmの純銅の素線を37本撚り合わせ、外径が2.25mmの撚線を使用した。さらに、絶縁体の厚さは0.7mmとなるようにし、得られる電線サンプルの外径が3.65mmとなるように調整した。また、絶縁体は、その内周部が金属導体の素線間に食い込む充実押出により作製した。
表10及び表11において、EEAは、エチレン−エチルアクリレート共重合体(商品名「NUC−6520」(日本ユニカー(株))を示す。「AEM」は、エチレンアクリルゴム(商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を示す。さらに、水酸化アルミニウムとしては、商品名「BF013」(日本軽金属(株))を用い、水酸化マグネシウムとしては、商品名「キスマ(登録商標)5A」(協和化学(株))を用いた。
そして、得られた電線サンプルに対し、電線柔軟性及び難燃性を評価した。電線柔軟性の評価は、上述の図41に示す方法により行った。難燃性の評価は、各電線サンプルを45度の角度でドラフト内に設置し、ISO6722に規定される難燃試験に準拠して行った。すなわち、金属導体の断面積が2.5mm2以下の電線サンプルの場合は、電線サンプルの下端にブンゼンバーナーの内炎部を15秒間接触させた後ブンゼンバーナーから外した。また、金属導体の断面積が2.5mm2を超える電線サンプルの場合は、電線サンプルの下端にブンゼンバーナーの内炎部を30秒間接触させた後ブンゼンバーナーから外した。そして、電線サンプルからブンゼンバーナーを外した後、絶縁体上の炎が70秒以内に全て消え、電線サンプルの絶縁体が燃焼せずに50mm以上残ったものを「○」と評価した。電線サンプルからブンゼンバーナーを外した後に70秒を超えて燃え続けるか、電線サンプルの絶縁体の焼け残りが50mm未満のものを「×」と評価した。電線柔軟性及び難燃性の評価結果を表10及び表11に合わせて示す。
表10より、難燃剤が水酸化アルミニウムである場合、水酸化アルミニウムの配合比が樹脂材料としてのEEAとゴム材料としてのAEMの合計100質量部に対し80〜140質量部の範囲内であれば、難燃性と電線柔軟性とを両立することが可能となる。また、表11より、難燃剤が水酸化マグネシウムである場合、水酸化マグネシウムの配合比がEEA及びAEMの合計100質量部に対し60〜140質量部の範囲内であれば、難燃性と電線柔軟性とを両立することが可能となる。
上述の検討結果より、本実施形態の絶縁体組成物は、(A)樹脂材料としてのエチレン共重合体及び変性樹脂と、(B)ゴム材料としてのエチレンアクリルゴム及び酢酸ビニルゴムの少なくともいずれか一方と、(C)難燃剤としてのシランカップリング処理された水酸化アルミニウムと、(D)滑剤とを含有するものである。
エチレン共重合体としては、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
変性樹脂としては、得られる絶縁体組成物の伸び率を低減させることができれば特に限定されない。変性樹脂としては、例えば、エチレン−エチルアクリレート共重合体に無水マレイン酸を共重合させたエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸の三元共重合体、直鎖状低密度ポリエチレンの側鎖に極性基を導入した樹脂、無水マレイン酸をポリプロピレン系樹脂にグラフト共重合したマレイン酸変性樹脂、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(変性EVA)などを用いることができる。変性樹脂は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、エチレンアクリルゴムとしては、アクリル酸エチル又は他のアクリル酸エステル類とエチレンとのゴム状共重合体を用いることができる。酢酸ビニルゴムとしては、エチレンと酢酸ビニルとのゴム状共重合体(EVM)を用いることができる。
エチレン共重合体と変性樹脂は、質量部で20:20〜77:3の関係を満たすことが好ましい。エチレン共重合体が20質量部未満で、かつ、変性樹脂が20質量部を超える場合には、強度が低下し、電線の耐久性が不十分となる恐れがある。また、エチレン共重合体が77質量部を超え、かつ、変性樹脂が3質量部未満の場合には、加工性(皮むき性)が不十分となる恐れがある。
(A)エチレン共重合体及び変性樹脂と、(B)エチレンアクリルゴム及び酢酸ビニルゴムの少なくともいずれか一方が、質量部で(A):(B)=40:60〜80:20の関係を満たすことが好ましい。樹脂成分である(A)成分が40質量部未満であり、かつ、ゴム成分である(B)成分が60質量部を超える場合には、強度が低下し、電線の耐久性が不十分となる恐れがある。また、(A)成分が80質量部を超え、かつ、(B)成分が20質量部未満の場合には、柔軟性が不十分となる恐れがある。
本実施形態の絶縁体組成物は、難燃性を付与するために難燃剤として金属水酸化物を含有する。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム(Al(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化カルシウム(Ca(OH))、塩基性炭酸マグネシウム(mMgCO・Mg(OH)・nHO)、水和珪酸アルミニウム(ケイ酸アルミニウム水和物,AlO3・3SiO・nHO)、水和珪酸マグネシウム(ケイ酸マグネシウム五水和物,MgSi・5HO)等の水酸基又は結晶水を有する金属化合物を挙げることができる。金属水酸化物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。この中でも金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
金属水酸化物としての水酸化アルミニウムの配合量は、樹脂材料としての(A)成分と、ゴム材料としての(B)成分との合計100質量部に対して、80〜140質量部とすることが好ましい。水酸化アルミニウムが80質量部未満の場合には十分な難燃性を付与することができない恐れがあり、140質量部を超えると電線に必要な柔軟性が得られない恐れがある。
また、金属水酸化物は樹脂材料への相溶性を考慮して表面処理がなされたものが好ましい。金属水酸化物への表面処理としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はステアリン酸、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いて行うことができる。この中でも、本実施形態の絶縁体組成物は、シランカップリング剤を用いて表面処理を施した金属水酸化物を用いることが好ましく、シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを用いることが特に好ましい。シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを用いることで、耐摩耗性と耐熱性を両立することが可能となる。
シランカップリング処理する際のシランカップリング剤としては、特に限定されるものではない。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルエトキシシラン及びビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどのビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトシキシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。この中でも、高い耐摩耗性を付与しコストが低いという観点から、金属水酸化物の表面にビニルシリル基を付与するビニルシラン系のシランカップリング剤が好ましい。また、このようなシランカップリング剤の使用量も特に限定されないが、例えば金属水酸化物に対して0.1〜5質量%の範囲で用いることが好ましく、0.3〜1質量%の範囲で用いられることが特に好ましい。
本実施形態の絶縁体組成物は、電線の導体と絶縁体との密着性を低減し、柔軟性を向上させるため、滑剤を含有する。滑剤としては、シリコーン系滑剤、ベヘン酸亜鉛、脂肪酸エステル、ポリエチレン系滑剤及びステアリン酸からなる群より選ばれる少なくとも一つを使用することができるが、この中でもステアリン酸が好ましい。上述のように、ステアリン酸は特に密着力の低減効果が高いため、柔軟性をより向上させることが可能となる。
また、滑剤は複数種を組み合わせて使用してもよい。滑剤の組み合わせとしては、例えば、シリコーン系滑剤とベヘン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛と脂肪酸エステル、シリコーン系滑剤とステアリン酸、脂肪酸エステルとステアリン酸、ベヘン酸亜鉛とポリエチレン系滑剤、ポリエチレン系滑剤とステアリン酸の組み合わせが、密着力低減効果が高いため好ましい。そのため、本実施形態において、滑剤は、ステアリン酸、シリコーン系滑剤とベヘン酸亜鉛との混合物、ベヘン酸亜鉛と脂肪酸エステルとの混合物、シリコーン系滑剤とステアリン酸との混合物、脂肪酸エステルとステアリン酸との混合物、ベヘン酸亜鉛とポリエチレン系滑剤との混合物、及びポリエチレン系滑剤とステアリン酸との混合物からなる群より選ばれる一つであることが好ましい。
なお、滑剤の添加量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.5〜4質量部であることが好ましい。滑剤の添加量が0.5質量部未満の場合には、密着力低減効果が不十分となる恐れがある。また、滑剤の添加量が4質量部を超える場合には、ブリードアウトが生じる恐れがある。なお、ブリードアウトとは、材料の表面から添加剤等が染み出してくる現象であり、電線をワイヤハーネスに加工する際に加工設備に堆積して電線の表面に傷等が生じる主要因となる現象である。
本実施形態の絶縁体組成物には、以上の必須成分に加えて、本実施形態の効果を妨げない範囲で種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、難燃助剤、酸化防止剤、金属不活性剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、紫外線吸収剤、安定剤、顔料、染料、着色剤、帯電防止剤、発泡剤等が挙げられる。
図45は、本実施形態の高柔軟電線30の一例を示す。高柔軟電線30は、金属導体31を、上述の絶縁体組成物からなる絶縁体32で被覆することにより形成されている。
金属導体31は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。そして金属導体31は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。金属導体31の材料としては、銅、銅合金及びアルミニウム、アルミニウム合金等の公知の導電性金属材料を用いることができる。
次に、本実施形態の高柔軟電線の製造方法について説明する。高柔軟電線30の絶縁体32は、上述の材料を混練することにより調製されるが、その方法は公知の手段を用いることができる。例えば、予めヘンシェルミキサー等の高速混合装置を用いてプリブレンドした後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等の公知の混練機を用いて混練することにより、絶縁体32を構成する絶縁体組成物を得ることができる。
そして、本実施形態の高柔軟電線において、金属導体31を絶縁体32で被覆する方法も公知の手段を用いることができる。例えば絶縁体32は、一般的な押出成形法により形成することができる。そして、押出成形法で用いる押出機としては、例えば単軸押出機や二軸押出機を使用し、スクリュー、ブレーカープレート、クロスヘッド、ディストリビューター、ニップル及びダイスを有するものを使用することができる。
そして、絶縁体32の絶縁体組成物を調製する場合には、樹脂材料及びゴム材料が十分に溶融する温度に設定された二軸押出機に、エチレン共重合体及びゴム材料を投入する。この際、金属水酸化物及び滑剤、さらには必要に応じて、難燃助剤や酸化防止剤などの他の成分も投入する。そして、樹脂材料及びゴム材料等はスクリューにより溶融及び混練され、一定量がブレーカープレートを経由してクロスヘッドに供給される。溶融した樹脂材料及びゴム材料等は、ディストリビューターによりニップルの円周上へ流れ込み、ダイスにより導体の外周上に被覆された状態で押し出されることにより、金属導体31の外周を被覆する絶縁体32を得ることができる。
本実施形態の絶縁体組成物は、(A)エチレン共重合体及び変性樹脂と、(B)エチレンアクリルゴム及び酢酸ビニルゴムの少なくともいずれか一方と、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(C)シランカップリング処理された水酸化アルミニウムを80〜140質量部と、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)滑剤を0.5〜4質量部とを含有する。そして、エチレン共重合体と変性樹脂が質量部で20:20〜77:3の関係を満たし、(A)成分と(B)成分が質量部で(A):(B)=40:60〜80:20の関係を満たす。このような絶縁体組成物は、曲げに対する良好な柔軟性と加工性(皮むき性)を有するだけなく、高い耐液性及び機械的強度を有する。そのため、この絶縁体組成物を絶縁体として電線に用いることにより、車両への配索を良好に行うことができる。しかも、本実施形態の絶縁体組成物は強度及び耐熱性が高いことから、耐久性が向上した電線とすることができる。
さらに、本実施形態の絶縁体組成物は、引張伸び率が50〜350%であることが好ましい。引張伸び率が50%以上であることにより電線の柔軟性が確保でき、車両の内部において短い経路内で大きく曲げられて配索することが可能となる。また、引張伸び率が350%以下であることにより、絶縁体のちぎれが減少し、加工性(皮むき性)を向上させることができる。なお、引張伸び率は、JIS K6251(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性のもとめ方)に準じてもとめることができる。
本実施形態の高柔軟電線30は、上述の絶縁体組成物と、絶縁体組成物によって被覆される金属導体31とを備える。このような高柔軟電線30は、良好な柔軟性及び加工性、並びに高い耐液性、耐摩耗性及び耐熱性を有した絶縁体組成物によって絶縁体32が形成されている。そのため、曲げに対する良好な柔軟性を有すると共に、ガソリン等に対する耐液性及び断線等に対する耐摩耗性を有した電線となる。さらに、高柔軟電線30は、高い耐熱性も有しているため、高温部品としての内燃機関やモーター、コンバーター等の近傍に配設することが可能である。その結果、高柔軟電線30は、電気自動車等の車両への配索に好適に用いることができる。また、高柔軟電線3は、高い耐電圧性を有するため、高圧電線としても好適に用いることができる。
なお、本実施形態の高柔軟電線30において、絶縁体32は、充実押出により形成されてもよく、またチューブ押出により形成されてもよい。上述のように、本実施形態の絶縁体組成物は滑剤を含有しているため、金属導体31と絶縁体32との密着力が低減している。そのため、いずれの押出方法でも良好な柔軟性を得ることができる。ただ、より高い柔軟性が必要な場合には、絶縁体32はチューブ押出により形成されることが好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[試験サンプルの作成]
以下の実施例では、まず、表12〜表14に示す材料を溶融混練して得た絶縁体組成物を金属導体に押出成形して被覆した。さらに、得られた被覆電線に対し電子線架橋処理(750kV×16Mrad)を行い、絶縁体を構成する樹脂の架橋を行った。これにより、電線サンプル6−1〜6−16、7−1〜7−16及び8−1〜8−8を作製した。なお、金属導体としては、外径が0.32mmの純銅の素線を37本撚り合わせ、外径が2.25mmの撚線を使用した。さらに、絶縁体の厚さは0.7mmとなるようにし、得られる電線サンプルの外径が3.65mmとなるように調整した。また、絶縁体は、その内周部が金属導体の素線間に食い込む充実押出により作製した。
表12〜表14において、「EEA」は、エチレン−エチルアクリレート共重合体(商品名「NUC−6520」(日本ユニカー(株))を示す。「AEM」は、エチレンアクリルゴム(商品名「VAMAC(登録商標)−DP」(デュポン(株))を示す。「変性EEA」は、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸の三元共重合体(商品名「BONDINE(登録商標)LX4110」(アルケマ社)を示す。「EMA」は、エチレン−メチルアクリレート共重合体(商品名「エルバロイ(登録商標)AC1125」(三井・デュポンポリケミカル(株))を示す。「EVM」は、エチレンと酢酸ビニルとのゴム状共重合体(商品名「レバプレン(登録商標)700」(ランクセス社)を示す。「変性LLDPE」は、直鎖状低密度ポリエチレンの側鎖に極性基を導入した化合物(商品名「モディック(登録商標)LLDPE M545」(三菱化学(株))を示す。「EVA」は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名「UBEポリエチレン(登録商標)VZ732」(宇部丸善ポリエチレン(株))を示す。シランカップリング処理水酸化アルミニウムは、日本軽金属(株)製BF013STVを使用した。
また、全ての試験サンプルの絶縁体組成物は、滑剤としてステアリン酸を1質量部とポリエチレン系滑剤(ポリエチレン系ワックス)を2質量部含有している。ステアリン酸としては、花王(株)製ルナックS−50Vを使用した。また、ポリエチレン系滑剤としては、三井化学(株)製ハイワックス(登録商標)400Pを使用した。
[評価]
<引張強度>
JIS K7161に準じて、各試験サンプルから絶縁体のみをサンプリングし、引張試験を200mm/minの速度で実施した。この際、引張強度が10MPa以上の場合を「○」と評価し、10MPa未満の場合を「×」と評価した。
<耐摩耗性>
耐摩耗性は、テープ摩耗性によって評価した。具体的には、長さ900mmの試験サンプルを固定し、JIS R6251に規定する150番Gの摩耗テープを試験サンプルに接触させ、摩耗テープに対して1500gの重りを加える。この状態で1500mm/minの速度で摩耗テープを移動させ、試験サンプルが摩耗して金属導体と摩耗テープとが接触するまでの摩耗テープの長さを測定した。接触までの長さが330mm以上の場合を「○」と評価し、330mm未満の場合を「×」と評価した。
<耐液性>
耐液性(ガソリン)の評価はISO6722に準拠して行った。すなわち、ガソリンへの浸漬前に試験サンプルの外径を測定した。次に、試験サンプルをガソリンに浸漬し、30分間放置した。浸漬後、ガソリンから試験サンプルを取り出して表面に付着しているガソリンを拭き取り、浸漬前と同じ箇所で外形を測定した。そして、以下の式より、ガソリンへの浸漬前の外径に対する浸漬後の外径の変化率(%)をもとめた。ガソリンへの浸漬前の外径に対する浸漬後の外径の変化率が15%以下の場合を「○」と評価し、15%を超えた場合を「×」と評価した。
変化率(%)=(浸漬後の外径−浸漬前の外径)/(浸漬前の外径)×100
<電線柔軟性>
まず、被覆電線からなる試験サンプルを、長さLが100mmとなるように切断した。次に図41に示すように、試験サンプルの両端を支持台21に載置した。そして、試験サンプルの中央を速度100mm/分の速度で押したときの反力を、フォースゲージを用いて測定した。フォースゲージの値が6.50N以下の場合を「○」と評価し、6.50Nを超えた場合を「×」と評価した。
本実施形態に係る試験サンプル6−3〜6−13、7−3〜7−13及び8−3〜8−7については、上述の全ての評価において良好な結果となった。これに対し、その他の試験サンプルについては、少なくとも引張強度又は皮むき性が不十分な結果となった。
以上、本発明を実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
また、高圧電線55の被覆56だけでなく、外装部品63が被覆56と同様の材料で構成されていてもよい。
ワイヤハーネス41によれば、ハーネス本体51の曲げ箇所の曲げ荷重を44N未満としたので、高圧電線55を有していても、コネクタ53の嵌合作業性が向上する。すなわち、柔軟な高圧電線55が用いられていることで、ワイヤハーネス41の配策・組付け性能が向上する。
また、ワイヤハーネス41によれば、少なくとも1つの曲げ箇所の曲げ荷重を44ニュートン未満としたので、高圧電線55と外装部品63とを有するワイヤハーネス41において、コストを低減することができるとともに、自動車(車両)43の車体等への配索性が良くなる。また、ワイヤハーネス41の配策工程を簡素化することができる。
また、ワイヤハーネス41によれば、ハーネス本体51の各構成部材が、これらの構成部材における複数の曲げ形態毎の予め算出された曲げ荷重データに基づき、曲げ荷重の総和が44N未満となる組み合わせより設定されるので、ハーネス本体51の総曲げ荷重が44N未満となるような組み合わせを容易に選定できる。
また、ワイヤハーネス41によれば、予め算出された曲げ荷重データが、曲げ形態としては、ハーネス本体51の少なくとも一部を曲げる形態であり、構成部材が高圧電線55である場合には、高圧電線55の曲率半径Rと曲げ荷重との相関を示すデータと、高圧電線55の径と曲げ荷重との相関を示すデータであり、構成部材としての外装部品63がコルゲートチューブである場合にあっては、コルゲートチューブの肉厚と曲げ荷重との相関を示すデータであるので、曲げ形態に応じた各構成部材の適切な曲げ荷重が認識でき、ハーネス本体51の正確な総曲げ荷重を認識できる。
また、ワイヤハーネス41によれば、複数の高圧電線55の長さLが異なる場合には、長さLが長い高圧電線55Bの曲率半径Rを長さが短い高圧電線55Aの曲率半径Rより大きく設定したので、コネクタ嵌合状態において、複数の高圧電線55の曲率半径Rの相違に基づく電線長さのバラつきを吸収可能である。
また、ワイヤハーネス41によれば、高圧電線55の被覆56が上述した配合組成になっているので、耐液性、加工性等が良好になる。
また、ワイヤハーネス41によれば、ハーネス本体51の曲げ箇所の曲率半径Rが60mm以下なので、狭い設置スペースでの配索が容易になる。
また、ワイヤハーネス41によれば、ハーネス本体51の各構成部材における複数の曲げ形態毎の曲げ荷重データを予め算出し、この曲げ荷重データに基づき、曲げ荷重の総和が44N未満となる組み合わせより各構成部材を選定し、この選定した構成部材によってハーネス本体51を構成し、ハーネス本体51を曲げてコネクタ53を相手コネクタ57に接続するので、高圧電線55を有する場合にあっても、コネクタ嵌合作業性が良い。また、ハーネス本体51の総曲げ荷重が44N未満となるよう、ハーネス本体51の各構成部材を容易に選定できる。
また、ワイヤハーネス41によれば、曲げ形態に応じた各構成部材の適切な曲げ荷重が認識できるため、ハーネス本体51の正確な総曲げ荷重を認識できる。
なお、上記記載内容をワイヤハーネスの配策方法として把握してもよい。
すなわち、高圧電線と、この高圧電線の外周を被っている外装部品(たとえば、コルゲート)とを有するワイヤハーネスの配索方法において、前記高圧電線と前記外装部品と(のそれぞれ)における複数の曲げ形態毎(曲げの態様毎)の曲げ荷重データを予め算出し(予め別途計測してもとめ)、前記(算出した)曲げ荷重データに基づき、曲げ荷重の総和が44ニュートン未満となる組み合わせより前記高圧電線と前記外装部品とを選定し、前記選定した高圧電線と外装部品とによって前記ワイヤハーネスを構成し、前記ワイヤハーネスを曲げて配索をするワイヤハーネスの配策方法として把握してもよい。
この場合、前記予め算出された曲げ荷重データは、曲げ形態としては、前記ハーネス本体の少なくとも一部を曲げる形態であり(前記ハーネス本体の全体を曲げる形態と前記ハーネス本体の一部を曲げる形態であり)、前記構成部材が電線である場合には、前記電線の曲率半径と曲げ荷重との相関(関係)を示すデータと、前記電線の径と曲げ荷重との相関(関係)を示すデータであり、前記構成部材としての外装部品がコルゲートチューブである場合にあっては、前記コルゲートチューブの肉厚と曲げ荷重との相関(関係)を示すデータである。
41 ワイヤハーネス
43 自動車(電気自動車、ハイブリッド車)
45 インバータ
47 インバータとモータ
49 バッテリ
52 車体
54 固定部材
55 高圧電線
63 外装部品

Claims (8)

  1. 高圧電線と、この高圧電線の外周を被っている外装部品とを有するワイヤハーネスにおいて、
    少なくとも1つの曲げ箇所の曲げ荷重を44ニュートン未満としたことを特徴とするワイヤハーネス。
  2. 請求項1に記載のワイヤハーネスであって、
    前記高圧電線と前記外装部品とは、これらにおける複数の曲げ形態毎の予め算出された曲げ荷重データに基づき、前記曲げ荷重が44ニュートン未満となる組み合わせより設定されたことを特徴とするワイヤハーネス。
  3. 請求項2に記載のワイヤハーネスであって、
    前記高圧電線の前記曲げ荷重が37N未満であり、前記外装部品の前記曲げ荷重が7N未満であることを特徴とするワイヤハーネス。
  4. 請求項2または請求項3に記載のワイヤハーネスであって、
    前記予め算出された曲げ荷重データは、曲げ形態としては、前記ハーネス本体の少なくとも一部を曲げる形態であり、
    前記構成部材が電線である場合には、前記電線の曲率半径と曲げ荷重との相関を示すデータと、前記電線の径と曲げ荷重との相関を示すデータであり、
    前記構成部材としての外装部品がコルゲートチューブである場合にあっては、前記コルゲートチューブの肉厚と曲げ荷重との相関を示すデータであることを特徴とするワイヤハーネス。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のワイヤハーネスであって、
    電気自動車、ハイブリッド車のバッテリとインバータの間、インバータとモータの間を接続することを特徴とするワイヤハーネス。
  6. 請求項5に記載のワイヤハーネスであって、
    前記電気自動車もしくは前記ハイブリッド車の車体に、少なくとも2つの固定部材を用いて固定されるように構成されていることを特徴とするワイヤハーネス。
  7. 高圧電線と、この高圧電線の外周を被っている外装部品とを有するワイヤハーネスの配索方法において、
    前記高圧電線と前記外装部品とにおける複数の曲げ形態毎の曲げ荷重データを予め算出し、
    前記曲げ荷重データに基づき、曲げ荷重の総和が44ニュートン未満となる組み合わせより前記高圧電線と前記外装部品とを選定し、
    前記選定した高圧電線と外装部品とによって前記ワイヤハーネスを構成し、前記ワイヤハーネスを曲げて配索をすることを特徴とするワイヤハーネスの配策方法。
  8. 請求項7に記載のワイヤハーネスの配策方法であって、
    前記予め算出された曲げ荷重データは、曲げ形態としては、前記ハーネス本体の少なくとも一部を曲げる形態であり、
    前記構成部材が電線である場合には、前記電線の曲率半径と曲げ荷重との相関を示すデータと、前記電線の径と曲げ荷重との相関を示すデータであり、
    前記構成部材としての外装部品がコルゲートチューブである場合にあっては、前記コルゲートチューブの肉厚と曲げ荷重との相関を示すデータであることを特徴とするワイヤハーネスの配策方法。
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