JP2021060053A - 車両用油圧シリンダ装置 - Google Patents

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勇介 大形
Yusuke Ogata
勇介 大形
慎司 大板
Shinji Oita
慎司 大板
啓允 二谷
Hiromitsu Nitani
啓允 二谷
めぐみ 藤川
Megumi Fujikawa
めぐみ 藤川
義浩 大石
Yoshihiro Oishi
義浩 大石
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Abstract

【課題】2つのピストンを備えて構成される油圧シリンダ装置において、搭載性を向上できる構造を提供する。【解決手段】油圧シリンダ装置100を構成する大径ピストン104および小径ピストン106は直列に配置され、第1油圧室112および第2油圧室114についても、大径ピストン104および小径ピストン106に隣接して設けられるため、油圧シリンダ装置100は、各ピストン104、106の移動方向において長くなる傾向にある。これに対して、油圧シリンダ装置100にあっては、大径ピストン104、小径ピストン106、第1油圧室112、および第2油圧室114が、共通のカウンタ軸50内にそれぞれ配置されることで、油圧シリンダ装置100がピストンの移動方向に長くなっても搭載が可能になる。よって、油圧シリンダ装置100の搭載性が向上する。【選択図】図2

Description

本発明は、車両に備えられる油圧シリンダ装置の構造に関するものである。
互いに対向する位置に配置される2つのピストンを有し、各ピストンを押圧するための油圧室に供給される作動油の油圧を制御することで、ピストンの位置を3位置に切替可能な油圧シリンダ装置が提案されている。特許文献1に記載の油圧シリンダ装置がそれである。
特開平9−72309号公報
ところで、特許文献1の油圧シリンダ装置は、2つのピストンがその移動方向において並んで配置され、さらに各ピストンを押圧するための油圧室についてもピストンの移動方向で各ピストンと隣り合う位置に配置されているため、全長が長くなり、搭載性が悪くなるという問題がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、2つのピストンを備えて構成される油圧シリンダ装置において、搭載性を向上できる構造を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)互いに対向して配置されている第1ピストンおよび第2ピストンと、前記第1ピストンを前記第2ピストン側に向かって押圧するための第1油圧室と、前記第2ピストンを前記第1ピストン側に向かって押圧するための第2油圧室とを、有し、前記第1油圧室および前記第2油圧室に供給される作動油の油圧を制御することで、前記第1ピストンおよび前記第2ピストンの位置を変化させる車両用油圧シリンダ装置であって、(b)前記第1ピストンおよび前記第2ピストンと、前記第1油圧室と、前記第2油圧室とが、共通の回転体内に配置されていることを特徴とする。
また、第2発明の要旨とするところは、第1発明の車両用油圧シリンダ装置において、(a)前記第1ピストンおよび前記第2ピストンは、前記回転体に形成された軸穴内に摺動可能に配置され、(b)前記第1ピストンを前記第2ピストン側に向かって付勢する第1弾性部材と、前記第2ピストンを前記第1ピストン側に向かって付勢する第2弾性部材とを、前記回転体内にさらに備えることを特徴とする。
また、第3発明の要旨とするところは、第2発明の車両用油圧シリンダ装置において、(a)前記第1ピストンは、前記第2ピストンよりも大径に形成され、(b)前記軸穴は、前記第1ピストンが挿し入れられている第1軸穴と、前記第2ピストンが挿し入れられている第1軸穴よりも小径の第2軸穴とを、有し、(c)前記第1軸穴と前記第2軸穴との連結部には、前記第1ピストンの前記第2ピストン側への移動を制限する段付部が形成され、(d)前記第1ピストンには、その第1ピストンを前記回転体の軸方向に貫通する貫通穴が形成され、(e)前記第1弾性部材の付勢力が、前記第2弾性部材の付勢力よりも大きくなるように調整されていることを特徴とする。
また、第4発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明の何れか1に記載の車両用油圧シリンダ装置において、(a)前記第1油圧室の作動油の油圧を制御する第1電磁弁と、前記第2油圧室の作動油の油圧を制御する第2電磁弁とを、備え、(b)前記第1電磁弁および前記第2電磁弁の少なくとも一方は、所定の油圧式係合装置を制御するための電磁弁として使用されており、(c)前記第1ピストンおよび第2ピストンは、前記所定の油圧式係合装置に供給される作動油の油圧に応じて位置が変化させられることを特徴とする。
また、第5発明の要旨とするところは、第4発明の車両用油圧シリンダ装置において、(a)2つの回転体の間に設けられ、その2つの回転体の間で一方向の回転を伝達する一方で他方向への回転を遮断するワンウェイモード、前記2つの回転体の間での相対回転を完全に阻止するロックモード、および前記2つの回転体の間での相対回転を許容するフリーモードの何れかに切替可能なツーウェイクラッチを備え、(b)前記ツーウェイクラッチは、前記第2ピストンの位置に応じて前記各モードに切替可能に構成され、(c)前記第1電磁弁は、前記所定の油圧式係合装置に供給される作動油の油圧を制御可能に構成されており、(d)前記所定の油圧式係合装置が係合されると、前記ツーウェイクラッチは前記ワンウェイモードまたは前記フリーモードに切り替えられるものであり、(e)前記第1電磁弁から油圧が出力されると、前記第2ピストンは、前記ツーウェイクラッチが前記ワンウェイモードまたは前記フリーモードとなる位置に移動させられるように構成されていることを特徴とする。
また、第6発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明の何れか1の車両用油圧シリンダ装置において、(a)前記第1油圧室の作動油の油圧を制御する第1電磁弁と、前記第2油圧室の作動油の油圧を制御する第2電磁弁とを、備え、(b)前記第2ピストンは、第1油圧式係合装置が係合される第1位置と、第2油圧式係合装置が係合される第2位置と、前記第1油圧式係合装置および前記第2油圧式係合装置が解放されるニュートラル位置に移動可能に構成され、(c)前記第1電磁弁から前記第1油圧室に油圧が供給されると、前記第2ピストンが前記第1位置に移動させられ、前記第2電磁弁から前記第2油圧室に油圧が供給されると、前記第2ピストンが前記第2位置に移動させられることを特徴とする。
車両用油圧シリンダ装置を構成する第1ピストンおよび第2ピストンは直列に配置され、第1油圧室および第2油圧室についても、第1ピストンおよび第2ピストンに隣接して設けられるため、油圧シリンダ装置は、各ピストンの移動方向において長くなる傾向にある。これに対して、第1発明の車両用油圧シリンダ装置では、第1ピストン、第2ピストン、第1油圧室、および第2油圧室が、共通の回転体内にそれぞれ配置されることで、車両用油圧シリンダ装置がピストンの移動方向に長くなっても搭載が可能になる。よって、車両用油圧シリンダ装置の搭載性が向上する。
また、第2発明の車両用油圧シリンダ装置によれば、車両用油圧シリンダ装置を構成する第1弾性部材および第2弾性部材についても、回転体内に備えることで油圧シリンダ装置の搭載性が一層向上する。また、第1ピストンが第1弾性部材によって付勢され、第2ピストンが第2弾性部材によって付勢されることで、第1油圧室および第2油圧室に油圧が供給されない状態であっても、第1ピストンおよび第2ピストンを所定の位置で保持することができる。
また、第3発明の車両用油圧シリンダ装置によれば、第1油圧室および第2油圧室に油圧が供給されない状態において、第1ピストンが、第1弾性部材の付勢力によって当接部に当接するとともに、第2ピストンが、第2弾性部材の付勢力によって第1ピストンに当接する位置に移動させられる。また、第1油圧室の作動油の油圧が所定値以上に制御されることで、その油圧によって第2ピストンが押圧され、第2弾性部材の付勢力に抗って、第2ピストンが第1ピストンから遠ざかる位置に移動させられる。また、第2油圧室の作動油の油圧が所定値以上に制御されることで、第2ピストンが第1ピストンを押圧し、第2ピストンが段付部を越えて第1ピストン側に移動させられる。このように、第1油圧室および第2油圧室の作動油の油圧を制御することで、第2ピストンを、3つの位置に移動させることができる。
また、第4発明の車両用油圧シリンダ装置によれば、前記所定の油圧式係合装置に供給される作動油の油圧に基づいて、前記第1ピストンおよび第2ピストンの位置が変化させられるため、所定の油圧式係合装置に供給される作動油の油圧に応じて、第1ピストンおよび第2ピストンが適切な位置となるように設定されることで、第1電磁弁および第2電磁弁の少なくとも一方を、所定の摩擦係合装置を制御する電磁弁と共用化することができる。よって、電磁弁の増加を抑制することができる。
また、第5発明の車両用油圧シリンダ装置によれば、所定の油圧式係合装置が係合されると、ツーウェイクラッチがワンウェイモードまたはフリーモードに切り替わるのに対して、第1電磁弁から油圧が出力されると、所定の油圧式係合装置が係合されるとともに、ツーウェイクラッチがワンウェイモードまたはフリーモードに切り替えられる。従って、所定の油圧式係合装置の係合と、ツーウェイクラッチのモードの切替とを、共通の第1電磁弁で実行することができる。
また、第6発明の車両用油圧シリンダ装置によれば、第1電磁弁および第2電磁弁を制御して第2ピストンを移動させることで、第1油圧式係合装置および第2油圧式係合装置の係合状態を制御することができる。
本発明が適用された車両の概略構成を説明する図である。 図1のカウンタ軸周辺の構造を説明するための断面図である。 図2において一転鎖線で示す切断線で切断した断面図である。 図3の切替ピストンの構造を説明するための斜視図である。 図4の切替ピストンのテーパ面が形成される部位でそれぞれ切断した断面図である。 油圧シリンダ装置の作動を説明するため、図2の油圧シリンダ装置を簡略的に示した図である。 本発明の他の実施例に対応する車両用動力伝達装置の一部を示す断面図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両10の概略構成を説明する図である。図1において、車両10は、動力源として機能するエンジン12の動力を駆動輪14に伝達する車両用動力伝達装置16(以下、動力伝達装置16と称す)を備えている。
動力伝達装置16は、エンジン12と駆動輪14との間に設けられている。動力伝達装置16は、非回転部材としてのケース18内において、エンジン12に連結された流体式伝動装置としての公知のトルクコンバータ20と、トルクコンバータ20に連結された入力軸22と、入力軸22に連結されたベルト式の無段変速機24と、同じく入力軸22に連結された前後進切替装置26と、前後進切替装置26を介して入力軸22に連結されて無段変速機24と並列に設けられたギヤ機構28と、無段変速機24およびギヤ機構28の共通の出力回転部材である出力軸30と、カウンタ軸32と、出力軸30およびカウンタ軸32に各々相対回転不能に設けられて噛み合う一対のギヤから成る減速歯車装置34と、カウンタ軸32に相対回転不能に設けられているギヤ36と、ギヤ36に動力伝達可能に連結されたデファレンシャル装置38と、デファレンシャル装置38と左右の駆動輪14との間を連結する左右一対の車軸40とを、備えている。
このように構成された動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力が、トルクコンバータ20、前後進切替装置26、ギヤ機構28、減速歯車装置34、デファレンシャル装置38、車軸40等を順次介して、左右の駆動輪14へ伝達される。或いは、動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力が、トルクコンバータ20、無段変速機24、減速歯車装置34、デファレンシャル装置38、車軸40等を順次介して、左右の駆動輪14へ伝達される。前記動力は、特に区別しない場合にはトルクや力も同意である。
動力伝達装置16は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路PTに並列に設けられた、ギヤ機構28および無段変速機24を備えている。具体的には、動力伝達装置16は、入力軸22と出力軸30との間に並列に設けられ、エンジン12の動力を入力軸22から出力軸30へ各々伝達する2つの動力伝達経路を備えている。2つの動力伝達経路は、ギヤ機構28を含んで構成される第1動力伝達経路PT1と、無段変速機24を含んで構成される第2動力伝達経路PT2とから構成されている。すなわち、動力伝達装置16は、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2との2つの動力伝達経路を、入力軸22と出力軸30との間で並列に備えている。
第1動力伝達経路PT1は、第1クラッチC1および第1ブレーキB1を含んで構成される前後進切替装置26、ギヤ機構28、副クラッチとして機能するツーウェイクラッチTWCを備え、エンジン12の動力を入力軸22からギヤ機構28を経由して駆動輪14へ伝達する動力伝達経路である。第1動力伝達経路PT1において、エンジン12から駆動輪14に向かって、前後進切替装置26、ギヤ機構28、ツーウェイクラッチTWCの順番で配置されている。第2動力伝達経路PT2は、無段変速機24および第2クラッチC2を備え、エンジン12の動力を入力軸22から無段変速機24を経由して駆動輪14へ伝達する動力伝達経路である。
第2動力伝達経路PT2を構成する無段変速機24は、入力軸22と同軸心上に設けられて入力軸22に連結されたプライマリ軸58と、プライマリ軸58に連結された有効径が可変のプライマリプーリ60と、出力軸30と同軸心上に設けられたセカンダリ軸62と、セカンダリ軸62に連結された有効径が可変のセカンダリプーリ64と、それら各プーリ60,64の間に巻き掛けられた伝動ベルト66とを、備えている。無段変速機24は、各プーリ60,64と伝動ベルト66との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる公知のベルト式の無段変速機である。無段変速機24において、プライマリプーリ60の有効径が、油圧アクチュエータ60aによって変更され、セカンダリプーリ64の有効径が、油圧アクチュエータ64aによって変更されることで、無段変速機24の変速比γcvtが調整される。
また、ギヤ機構28を有する第1動力伝達経路PT1におけるギヤ比EL(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)は、第2動力伝達経路PT2における最大変速比である無段変速機24の最ロー側変速比γmaxよりも大きな値に設定されている。すなわち、ギヤ比ELは、最ロー側変速比γmaxよりもロー側の変速比に設定されている。これより、第2動力伝達経路PT2は、第1動力伝達経路PT1よりもハイ側の変速比が形成される。なお、入力軸回転速度Ninは入力軸22の回転速度であり、出力軸回転速度Noutは出力軸30の回転速度である。
動力伝達装置16では、エンジン12の動力を駆動輪14へ伝達する動力伝達経路PTが、車両10の走行状態に応じて、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2との間で切り替えられる。そのため、動力伝達装置16は、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2とを選択的に形成するための複数の係合装置を備えている。複数の係合装置は、第1クラッチC1、第1ブレーキB1、第2クラッチC2、およびツーウェイクラッチTWCに対応している。
第1クラッチC1は、第1動力伝達経路PT1上に設けられ、第1動力伝達経路PT1を選択的に接続したり、遮断したりするための係合装置であって、車両前進走行する場合に係合することで、第1動力伝達経路PT1を動力伝達可能にする係合装置である。第1ブレーキB1は、第1動力伝達経路PT1上に設けられ、第1動力伝達経路PT1を選択的に接続したり、遮断したりするための係合装置であって、車両後進走行する場合に係合することで、第1動力伝達経路PT1を動力伝達可能にする係合装置である。第1動力伝達経路PT1は、第1クラッチC1または第1ブレーキB1の係合によって形成される。
第2クラッチC2は、第2動力伝達経路PT2上に設けられ、第2動力伝達経路PT2を選択的に接続したり、遮断したりするための係合装置であって、車両前進走行する場合に係合することで、第2動力伝達経路PT2を動力伝達可能にする係合装置である。第1クラッチC1、第1ブレーキB1、第2クラッチC2は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる公知の油圧式の湿式摩擦係合装置である。第1クラッチC1および第1ブレーキB1は、それぞれ前後進切替装置26を構成する要素の1つである。
ツーウェイクラッチTWCは、第1動力伝達経路PT1上に設けられ、車両前進方向に作用する動力を伝達する一方、車両後進方向に作用する動力を遮断するワンウェイモードと、車両前進方向および車両後進方向に作用する動力を伝達するロックモードと、動力伝達を完全に遮断するフリーモードとに、切替可能に構成されている。
例えば、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードに切り替えられた状態において、ツーウェイクラッチTWCにエンジン12から車両前進方向に作用する動力が伝達された場合には、その動力がツーウェイクラッチTWCを経由して駆動輪14に伝達される。一方、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードに切り替えられた状態において、ツーウェイクラッチTWCにエンジン12から車両後進方向に作用する動力が伝達された場合には、その動力がツーウェイクラッチTWCによって遮断される。
また、ツーウェイクラッチTWCがロックモードに切り替えられた状態において、ツーウェイクラッチTWCにエンジン12から車両前進方向に作用する動力が伝達された場合には、その動力がツーウェイクラッチTWCを経由して駆動輪14に伝達される。同様に、ツーウェイクラッチTWCがロックモードに切り替えられた状態において、ツーウェイクラッチTWCにエンジン12から車両後進方向に作用する動力が伝達された場合には、その動力がツーウェイクラッチTWCを経由して駆動輪14に伝達される。さらに、ツーウェイクラッチTWCがロックモードに切り替えられた状態において、車両前進走行中に惰性走行された場合には、駆動輪14の回転がツーウェイクラッチTWCを経由してエンジン12側に伝達されてエンジン12が連れ回されることで、エンジンブレーキが発生する。なお、ツーウェイクラッチTWCの構造については後述する。
エンジン12は、電子スロットル装置や燃料噴射装置や点火装置などのエンジン12の出力制御に必要な種々の機器を有するエンジン制御装置42を備えている。エンジン12は、図示しない電子制御装置によって、運転者による車両10に対する駆動要求量に対応するアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量θaccに応じてエンジン制御装置42が制御されることで、エンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。
トルクコンバータ20は、エンジン12と無段変速機24との間に設けられ、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、および入力軸22に連結されたタービン翼車20tを備えている。トルクコンバータ20は、エンジン12の動力を入力軸22へ伝達する流体伝動装置である。トルクコンバータ20は、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間すなわちトルクコンバータ20の入出力回転部材間を直結可能な公知のロックアップクラッチLUを備えている。ロックアップクラッチLUは、車両の走行状態に応じてポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間(すなわちエンジン12と入力軸22との間)を直結する。例えば、比較的高車速領域において、ロックアップクラッチLUによってエンジン12と入力軸22とが直結される。
動力伝達装置16は、ポンプ翼車20pに連結された機械式のオイルポンプ44を備えている。オイルポンプ44は、エンジン12により回転駆動されることにより、無段変速機24を変速制御したり、無段変速機24におけるベルト挟圧力を発生させたり、前記複数の係合装置の各々の係合や解放などの作動状態を切り替えたり、ロックアップクラッチLUの作動状態を切り替えたりするための作動油圧の元圧を、車両10に備えられた図示しない油圧制御回路へ供給する。
前後進切替装置26は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置26p、第1クラッチC1、および第1ブレーキB1を備えている。遊星歯車装置26pは、入力要素としてのキャリヤ26cと、出力要素としてのサンギヤ26sと、反力要素としてのリングギヤ26rとの3つの回転要素を有する差動機構である。キャリヤ26cは、入力軸22に連結されている。リングギヤ26rは、第1ブレーキB1を介してケース18に選択的に連結される。サンギヤ26sは、入力軸22の外周側に配置され、その入力軸22に対して相対回転可能に設けられた小径ギヤ48に連結されている。キャリヤ26cとサンギヤ26sとは、第1クラッチC1を介して選択的に連結される。
ギヤ機構28は、小径ギヤ48と、カウンタ軸50と一体的に回転するとともに小径ギヤ48と噛み合う大径ギヤ52とを備えている。また、カウンタ軸50には、出力軸30に設けられている出力ギヤ56と噛み合うカウンタギヤ54が、カウンタ軸50に対して相対回転可能に設けられている。なお、カウンタ軸50が、本発明の回転体に対応している。
カウンタ軸50の軸方向で、大径ギヤ52とカウンタギヤ54との間に、ツーウェイクラッチTWCが設けられている。
図2は、図1のカウンタ軸50周辺の構造を説明するための断面図である。なお、カウンタ軸50およびカウンタ軸50に設けられている各部材は、カウンタ軸50の回転軸線CLに対して略対称であるため、カウンタ軸50の内部を除く回転軸線CLの下半分が省略されている。
カウンタ軸50は、回転軸線CLを中心にして回転可能に配置されている。また、カウンタ軸50の外周側には、大径ギヤ52およびカウンタギヤ54が、カウンタ軸50の軸方向(以下、カウンタ軸50の軸方向を、特に言及する場合を除いて単に軸方向と称す)に並んで配置されている。
大径ギア52は、円盤状に形成され、外周部には、小径ギヤ48と噛み合う噛合歯52aが形成されている。大径ギヤ52の内周部には、カウンタ軸50とスプライン嵌合するためのスプライン歯52bが形成され、スプライン歯52bがカウンタ軸50の外周面に形成されたスプライン歯とスプライン嵌合させられることで、大径ギヤ52とカウンタ軸50とが一体的に回転させられる。
カウンタギヤ54は、円環状に形成され、外周部に出力ギヤ56と噛み合うための噛合歯54aが形成されている。また、カウンタギヤ54の内周とカウンタ軸50の外周との間には軸受70が介挿され、カウンタギヤ54は、その軸受70を介してカウンタ軸50に相対回転可能に支持されている。
軸方向で大径ギヤ52とカウンタギヤ54との間に、ツーウェイクラッチTWCが設けられている。ツーウェイクラッチTWCは、カウンタ軸50に固定されることでカウンタ軸50と一体回転する内輪72と、内輪72を覆うように配置され、軸方向でカウンタギヤ54側の内周部がカウンタギヤ54と嵌合することでカウンタギヤ54と一体回転する外輪74と、内輪72と外輪74との間に介挿されている第1ポール76および第2ポール78(図3参照)と、第1ポール76および第2ポール78の後述する爪部76b、78bを外周側(外輪74側)に向かって付勢するスプリング80(図3参照)とを、含んで構成されている。
内輪72は、円板状に形成され、内周部がカウンタ軸50に相対回転不能に固定されている。外輪74は円盤状に形成され、軸方向でカウンタギヤ54側の内周部に形成されているスプライン歯74aが、カウンタギヤ54に形成されているスプライン歯54bとスプライン嵌合することで、外輪74はカウンタギヤ54と一体回転する。外輪74の軸方向で大径ギヤ52と向かい合う面には、軸方向で大径ギヤ52から遠ざかる方向に凹む凹み82が形成され、その凹み82によって形成された空間に内輪72が配置されている。これより、内輪72および外輪74を径方向外側から見た場合において、内輪72と外輪74とが重なっている。
図3は、図2において一転鎖線で示す切断線Dで切断した断面図である。図3に示すように、回転軸線CLを中心とした径方向で内輪72と外輪74との間には、第1ポール76および第2ポール78が介挿されている。なお、図3は周方向の一部を示しており、実際には、複数個の第1ポール76および複数個の第2ポール78が、互いに干渉しない範囲で交互に配置されている。
第1ポール76は、所定の厚みを有する板状の部材から構成され、内輪72の後述する第1収容部84に回動可能に収容されている略円形状の基部76aと、外輪74の後述する切欠88と係合可能な爪部76bとを、備えて構成されている。第2ポール78は、所定の厚みを有する板状の部材から構成され、内輪72の後述する第1収容部84に回動可能に収容されている略円形状の基部78aと、外輪74の切欠88と係合可能な爪部78bとを、備えて構成されている。第1ポール76および第2ポール78は、基本的には同じ形状に形成されている。
内輪72の外周部には、第1ポール76の基部76aを回動可能に収容するとともに、第1ポール76の爪部76bを外輪74に向かって付勢するスプリング80を収容する第1収容部84、および、第2ポール78の基部78aを回動可能に収容するとともに、第2ポール78の爪部78bを外輪74に向かって付勢するスプリング80を収容する第2収容部86が、形成されている。
第1収容部84において第1ポール76の基部76aを収容する部位は、基部76aの外形に沿った円弧状に形成されている。また、第1収容部84においてスプリング80を収容する部位は、スプリング80の長さの方向に沿って矩形に形成されている。第1収容部84に収容されるスプリング80は、一端が第1収容部84の矩形に形成された部位の底部と当接するとともに他端が爪部76bに当接し、爪部76bを外輪74に向かって付勢している。
第2収容部86において第2ポール78の基部78aを収容する部位は、基部78bの外形に沿って円弧状に形成されている。また、第2収容部86においてスプリング80を収容する部位は、スプリング80の長さの方向に沿って矩形に形成されている。第2収容部86に収容されるスプリング80は、一端が第2収容部86の矩形に形成された部位の底部と当接するとともに、他端が爪部78bに当接し、爪部78bを外輪74に向かって付勢している。
外輪74の内輪72と対向する部位(すなわち外輪74の内周側)には、複数個の切欠88が等角度間隔に形成されている。切欠88は、外輪74の周方向において左右対称に形成されている。具体的には、切欠88をカウンタ軸50の軸方向から見たとき、略三角形状に形成されている。第1ポール76の爪部76bおよび第2ポール78の爪部78bは、何れも切欠88に係合可能となっている。具体的には、図3において、内輪72が時計回りに回転した場合には、第1ポール76の爪部76bと切欠88とが互いに当接することで、第1ポール76と切欠88とが係合する。このとき、内輪72および外輪74が、時計回りに一体的に回転する。また、図3において、内輪72が反時計回りに相対回転した場合には、第2ポール78の爪部78bと切欠88とが互いに当接することで、第2ポール78と切欠88とが係合する。このとき、内輪72および外輪74が、反時計回りに一体的に回転する。
内輪72の周方向において隣り合う第1ポール76および第2ポール78は、回転軸線CLを通るとともに第1ポール76と第2ポール78との間の中間を通る直線L1に対して互いに対称となるように配置されている。このように、第1ポール76および第2ポール78が配置されることで、第1ポール76は、内輪72が時計回りに回転すると外輪74の切欠88に当接可能となり、第2ポール78は、内輪72が反時計回りに回転すると切欠88に当接可能となる。
図3に示すような、第1ポール76の爪部76bが切欠88に当接した状態において、内輪72が時計回りに回転すると、第1ポール76を介して内輪72と外輪74とが係合し、内輪72と外輪74とが一体的に回転させられる。一方、内輪72が反時計回りに回転した場合には、爪部76bが切欠88を乗り越えることで、内輪72と外輪74との相対回転が許容される。ここで、本実施例では、エンジン12から車両前進方向に作用する駆動力が伝達されると、内輪72が時計回りに回転するように設定されている。これより、第1ポール76、スプリング80、第1収容部84、および切欠88によって、エンジン12からの車両前進方向に作用する駆動力を外輪74側に伝達する一方、エンジン12からの車両後進方向に作用する駆動力を遮断するワンウェイクラッチが構成される。
また、図3に示すような、第2ポール78の爪部78bが切欠88に当接した状態において、内輪72が反時計回りに回転すると、第2ポール78を介して内輪72と外輪74とが係合し、内輪72と外輪74とが一体的に回転させられる。一方、内輪72が時計回りに回転した場合には、爪部78bが切欠88を乗り越えることで、内輪72と外輪74との相対回転が許容される。ここで、本実施例では、エンジン12から車両後進方向に作用する駆動力が伝達されると、内輪が反時計回りに回転するように設定されている。これより、第2ポール78、スプリング80、第2収容部86、および切欠88によって、エンジン12からの車両後進方向に作用する駆動力を伝達する一方、エンジン12からの車両前進方向に作用する駆動力を遮断するワンウェイクラッチが構成される。
また、内輪72の外周側には、内輪72に相対回転不能に嵌合するとともに、内輪72に対して軸方向に相対移動可能な切替ピストン90が設けられている。
図4は、図3の切替ピストン90の構造を説明するための斜視図である。図4に示すように、切替ピストン90には、内輪72側に突き出す突起90aが形成され、その突起90aが、内輪72の外周面に形成されている凹部72aに嵌合している。これより、切替ピストン90は、内輪72に対して相対回転不能、且つ、軸方向への相対移動可能となっている。
また、切替ピストン90のうち第1ポール76の外周側に位置する部位には、第1ポール76と当接可能なテーパ面92aが形成されている。また、切替ピストン90のうち第2ポール78の外周側に位置する部位には、第2ポール78と当接可能なテーパ面92b(図5参照)が形成されている。第1テーパ面92aと第2テーパ面92bとは、テーパが形成される位置が異なっている。図5は、図4の切替ピストン90のテーパ面92a、92bが形成される部位でそれぞれ切断した断面図である。図5に示すように、テーパ面92a、92bは、ともに軸方向で切替ピストン90の開口側(切替ピストン90の先端側、紙面左側)に向かうほど、回転軸線CLから遠ざかる方向に傾斜している。また、テーパ面92a、92bは、テーパが形成される位置が軸方向でそれぞれ異なっており、テーパ面92aは、テーパ面92bに比べて、切替ピストン90の開口側から遠ざかる位置に形成されている。また、径方向外側から見たとき、テーパ面92aとテーパ面92bとは、互いに重ならない位置に形成され、切替ピストン90の先端を基準としたとき、軸方向でテーパ面92bが終了した点からテーパ面92aが開始されている。
図4に戻り、切替ピストン90が図4の矢印E側から矢印F側に向かって軸方向に移動すると、最初は、第1ポール76および第2ポール78ともに切替ピストン90と当接することはなく、第1ポール76の爪部76bおよび第2ポール78の爪部78bが共に外輪74に向かって突き出した状態となる。すなわち、図3に示す状態となる。このとき、第1ポール76の爪部76bおよび第2ポール78の爪部78bが、ともに切欠88に当接していることから、内輪72の時計回りおよび反時計回りの回転が外輪74に伝達されることとなる。このとき、ツーウェイクラッチTWCは、内輪72と外輪74との間の相対回転が完全に阻止され、エンジン12からの車両前進方向および車両後進方向の駆動力が、駆動輪14に伝達されるロックモードとなる。
また、切替ピストン90がさらに矢印F側に向かって移動すると、切替ピストン90の第2テーパ面92bと第2ポール78とが当接し、切替ピストン90の矢印F側への移動に伴い、第2ポール78の爪部78bが、第2テーパ面92bによって内輪72側に押し込まれる。このとき、第2ポール78がワンウェイクラッチとして機能しなくなり、第1ポール76のみがワンウェイクラッチとして機能する。このとき、ツーウェイクラッチTWCは、前進方向への回転を伝達する一方で後進方向への回転を遮断する、すなわち、エンジン12からの車両前進方向の駆動力を伝達する一方、エンジン12からの車両後進方向の駆動力を遮断するワンウェイモードとなる。
さらに、切替ピストン90が矢印F側に向かって移動すると、第2ポール78の爪部78bと切替ピストン90との当接が維持されるとともに、第1ポール76の爪部76bと切替ピストン90の第1テーパ面92aとが当接する。切替ピストン90の矢印F方向への移動に伴い、第1ポール76の爪部76bが、第1テーパ面92aによって内輪72側に押し込まれる。このとき、第1ポール76および第2ポール78がワンウェイクラッチとして機能しなくなる。このとき、ツーウェイクラッチTWCは、内輪72と外輪74との間の相対回転が許容され、内輪72と外輪74との間で完全に動力伝達が遮断されるフリーモードとなる。
上述したように、ツーウェイクラッチTWCは、切替ピストン90の軸方向への移動に伴い、ロックモード、ワンウェイモード、およびフリーモードの3つのモードに切替可能に構成されている。このツーウェイクラッチTWCのモードを切り替える切替ピストン90は、その切替ピストン90を各モードに応じた3つの位置に移動させることができる車両用油圧シリンダ装置100(以下、油圧シリンダ装置100)によって制御される。以下、油圧シリンダ装置100の構造について説明する。
図2に戻り、油圧シリンダ装置100は、カウンタ軸50内に配置されている。油圧シリンダ装置100は、カウンタ軸50の回転軸線CLと平行に形成されている軸穴102内に摺動可能に配置されている大径ピストン104および小径ピストン106と、大径ピストン104を軸方向で小径ピストン106側に向かって付勢する第1スプリング108と、小径ピストン106を大径ピストン104側に向かって付勢する第2スプリング110と、大径ピストン104を小径ピストン106側に向かって押圧するための第1油圧室112と、小径ピストン106を大径ピストン104側に向かって押圧するための第2油圧室114とを、含んで構成されている。これら大径ピストン104、小径ピストン106、第1スプリング108、第2スプリング110、第1油圧室112、および第2油圧室114は、何れもカウンタ軸50の軸穴102内に配置されている。なお、大径ピストン104が本発明の第1ピストンに対応し、小径ピストン106が本発明の第2ピストンに対応し、第1スプリング108が本発明の第1弾性部材に対応し、第2スプリング110が本発明の第2弾性部材に対応している。
大径ピストン104および小径ピストン106は、軸穴102内において軸方向に互いに対向して配置され、互いに当接可能となっている。軸穴102は、大径ピストン104が挿し入れられる第1軸穴102aと、小径ピストン106が挿し入れられる第1軸穴102aよりも小径の第2軸穴102bとを、有している。また、第1軸穴102aと第2軸受102bとは軸方向に連続しており、第1軸穴102aと第2軸穴102bとの連結部には、段付部118が形成されている。大径ピストン104は、段付部118に当接することで、軸方向で小径ピストン106側への移動が制限されている。
大径ピストン104は、小径ピストン106よりも大径に形成されている。大径ピストン104は、有底円筒状に形成され、底部104aが小径ピストン106に向かい合う状態で第1軸穴102aに摺動可能に挿し入れられている。小径ピストン106は、段付の円柱状に形成され、第2軸穴102bに摺動可能に挿し入れられている。また、小径ピストン106の外周面には、断面L字状の切替ピストン90が接続されている。カウンタ軸50には、切替ピストン90が挿し通される径方向穴116が形成されている。径方向穴116は、カウンタ軸50の軸方向で所定の寸法を有し、切替ピストン90は、径方向穴116の軸方向の寸法の範囲で、小径ピストン106と一体的に軸方向に移動することができる。切替ピストン90の軸方向への移動と連動して、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモード、ロックモード、およびフリーモードの何れかに切り替えられる。言い換えれば、ツーウェイクラッチTWCは、切替ピストン90に接続された小径ピストン106の位置に応じて各モードの何れかに切替可能に構成されている。
また、大径ピストン104の外周面と第1軸穴102aの内周面との間、および、小径ピストン106の外周面と第2軸穴102bの内周面との間には、それぞれOリングが介挿されることで作動油の漏洩が防止されている。
第1スプリング108は、軸方向において、大径ピストン104の底部104aと軸穴102に固定されたプラグ120との間に介挿されている。第1スプリング108は、大径ピストン104の内周側に配置され、一端が大径ピストン104の底部104aに当接するとともに、他端がプラグ120の軸方向の一端に当接している。第1スプリング108は、大径ピストン104を軸方向で小径ピストン106側に向かって付勢している。
第2スプリング110は、軸方向において、第2軸穴102bに形成されている段付部122と小径ピストン106の外周面に形成されている段付部124との間に介挿されている。第2スプリング110は、小径ピストン106を軸方向で大径ピストン104側に向かって付勢している。
第1油圧室112は、軸方向で大径ピストン104とプラグ120との間に設けられている。第1油圧室112に油圧が供給されると、その油圧によって大径ピストン104が軸方向で小径ピストン106側に向かって押圧される。また、大径ピストン104の底部104aには、その底部104aを軸方向に貫通する貫通穴126が形成されている。従って、第1油圧室112の作動油の油圧が、貫通穴126を通って小径ピストン106にも作用し、小径ピストン106についても、第1油圧室112の作動油の油圧によって、軸方向で大径ピストン104から遠ざかる側に押圧される。第1油圧室112には、プラグ120を軸方向に貫通する貫通穴120aを通って油圧(作動油)が供給される。このプラグ120側から第1油圧室112に供給される作動油の油圧は、電磁弁SL2によって制御される。すなわち、電磁弁SL2によって調圧された油圧が第1油圧室112に供給される。また、電磁弁SL2は、第2クラッチC2の係合油圧を制御可能に構成されている。すなわち、電磁弁SL2は、クラッチC2の係合油圧を制御するための電磁弁としても使用され、第1油圧室112の作動油の油圧と、第2クラッチC2の係合油圧とが、共通の電磁弁SL2によって制御される。電磁弁SL2は、供給電流に比例して出力される油圧が高くなるリニアソレノイド弁が使用されている。なお、電磁弁SL2が本発明の第1電磁弁に対応し、第2クラッチC2が本発明の所定の油圧式係合装置に対応している。
第2油圧室114は、小径ピストン106の軸方向で大径ピストン104に対して背面側に隣接するようにして設けられている。第2油圧室114に油圧が供給されると、その油圧によって、小径ピストン106が軸方向で大径ピストン104側に向かって押圧される。第2油圧室114には、軸穴102内に設けられている円筒管128を通って油圧(作動油)が供給される。第2油圧室114に供給される作動油の油圧は、電磁弁SRによって制御される。すなわち、電磁弁SRによって調圧された油圧が、第2油圧室114に供給される。電磁弁SRは、供給電流に比例して出力される油圧が高くなるリニアソレノイド弁が使用されている。なお、電磁弁SRが、本発明の第2電磁弁に対応している。
油圧シリンダ装置100において、第1油圧室112および第2油圧室114に供給される作動油の油圧を制御することで、大径ピストン104および小径ピストン106の軸方向の位置が変化させられる。
図6は、油圧シリンダ装置100の作動を説明するための図であり、図2の油圧シリンダ装置100を簡略的に示すものである。なお、図6にあっては、油圧シリンダ装置100が簡略的に示されていることから、図2の油圧シリンダ装置100と形状等が異なるものの、その機能や作動については何ら変わらない。
図6(a)は、車両停止中の油圧シリンダ装置100の状態を示している。車両停止中にあっては、電磁弁SL2および電磁弁SRの供給電流がゼロすなわち電力供給が停止(SL2:OFF、SR:OFF)されることで、第1油圧室112および第2油圧室114には油圧が供給されず、第1油圧室112および第2油圧室114において作動油の油圧による押圧力は発生しない。このとき、大径ピストン104は、第1スプリング108の付勢力によって、軸方向で小径ピストン106側(紙面左側)に移動させられ、大径ピストン104の一端が段付部118に当接した状態となる。また、小径ピストン106は、第2スプリング110の付勢力によって、軸方向で大径ピストン104側(紙面右側)に移動させられ、小径ピストン106と大径ピストン104とが当接させられている。ここで、第1スプリング108の付勢力が、第2スプリング110の付勢力よりも大きくなるように調整されていることで、第2スプリング110の付勢力に抗って、大径ピストン104の一端が段付部118に当接させられた状態が維持されている。図6(a)に示す状態において、小径ピストン106に接続されている切替ピストン90が、軸方向でツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードとなる位置に移動するように設定されている。
図6(b)は、動力伝達装置16において、動力伝達経路PTが第1動力伝達経路PT1から第2動力伝達経路PT2に切り替えられる過渡期、具体的には第1クラッチC1が解放されるとともに第2クラッチC2が係合される過渡期の油圧シリンダ装置100の状態を示している。電磁弁SL2が通電(SL2:ON)されることで、電磁弁SL2から調圧された油圧が出力される。この電磁弁SL2からの油圧によって第2クラッチC2の係合油圧が制御されて第2クラッチC2が係合される。このとき、第1油圧室112においても、電磁弁SL2からの油圧が供給される。また、第2油圧室114には、第1油圧室112の作動油の油圧に応じて、電磁弁SRからの油圧が供給される。
例えば、第1油圧室112の作動油の油圧、すなわち電磁弁SL2から出力される作動油の油圧が所定値α未満の範囲では、電磁弁SRの供給電流がゼロ(SR:OFF)とされることで、第2油圧室114には油圧が供給されない。なお、所定値αは、予め実験的または設計的に求められる値であり、第1油圧室112の作動油の油圧が所定値αとなっても、第2スプリング110の付勢力によって、小径ピストン106が大径ピストン104と当接する状態が維持される範囲に設定されている。従って、大径ピストン104および小径ピストン106は、図6(a)と同じ位置となり、切替ピストン90は、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードとなる位置に移動させられている。
また、電磁弁SL2から出力される作動油の油圧が所定値αを越えると、電磁弁SRが通電(SR:ON)され、電磁弁SRから第2油圧室114に油圧が供給される。このとき、電磁弁SRから出力される油圧は、第1油圧室112の作動油の油圧によって、小径ピストン106が大径ピストン104から遠ざかる方向に移動しない範囲であって、且つ、第2油圧室114の油圧によって、大径ピストン104が小径ピストン106に押されて段付部118から離れない範囲に設定されている。従って、大径ピストン104および小径ピストン106は、図6(a)と同じ位置となり、切替ピストン90は、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードとなる位置で保持される。
このように、第1クラッチC1が解放されるとともに第2クラッチC2が係合される過渡期において、電磁弁SL2から出力される油圧によって第2クラッチC2が係合される。さらに、電磁弁SL2から出力される油圧が第1油圧室112に供給されることで、小径ピストン106および小径ピストン106に接続された切替ピストン90は、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードとなる位置に移動させられ、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードに切り替えられる。第2クラッチC2が係合される過渡期において、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードに切り替わることで、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイクラッチとして機能し、第1動力伝達経路PT1と第2動力伝達経路PT2との間での動力伝達経路の切替過渡期におけるトルクの受け渡しが、ツーウェイクラッチTWCによって適切なタイミングで実行され、切替過渡期に発生するショックが抑制される。
図6(c)は、第1動力伝達経路PT1から第2動力伝達経路PT2への切替完了後の油圧シリンダ装置100の状態を示している。すなわち、第2クラッチC2の完全係合後の油圧シリンダ装置100の状態を示している。動力伝達経路PTの切替が完了すると、第2クラッチC2が完全係合された状態となることから、電磁弁SL2からは、第2クラッチC2の完全係合状態を維持するための比較的高圧の油圧が出力される。また、電磁弁SRにおいて供給電流がゼロ(SR:OFF)とされ、第2油圧室114には油圧が供給されない。このとき、大径ピストン104は、段付部118に当接した状態となる。また、小径ピストン106は、第1油圧室112の作動油の油圧によって押圧され、第2スプリング110の付勢力に抗って、大径ピストン104から遠ざかる位置に移動させられる。これより、小径ピストン106および切替ピストン90は、図6(c)に示すように、図6(a)、図6(b)に示す状態よりも、さらに大径ピストン104から遠ざかる側(紙面左側)に移動した状態となる。小径ピストン106および切替ピストン90が、大径ピストン104から遠ざかる側に移動すると、図2において切替ピストン90がカウンタギヤ54側(紙面左側)に移動することから、ツーウェイクラッチTWCがフリーモードに切り替えられる。よって、第2動力伝達経路PT2に動力が伝達されると、ツーウェイクラッチTWCによって第1動力伝達経路PT1の動力伝達が遮断され、第1動力伝達経路PT1および第2動力伝達経路PT2が同時に動力伝達状態に切り替わることが防止される。ツーウェイクラッチTWCがフリーモードに切り替わることで、第1動力伝達経路PT1への回転伝達が完全に遮断され、第1動力伝達経路PT1を構成する回転部材の引き摺りによる燃費の悪化が抑制される。このように、電磁弁SL2から第1油圧室112に油圧が供給されることで、小径ピストン106および切替ピストン90が、ツーウェイクラッチTWCがフリーモードとなる位置に移動させられ、ツーウェイクラッチTWCがフリーモードに切り替えられる。
図6(d)は、シフトポジションが、後進走行ポジションであるRポジション、または、惰性走行中にエンジンブレーキを発生させることができるM1ポジションに切り替えられたときの油圧シリンダ装置100の状態を示している。Rポジションに切り替えられると、第1ブレーキB1が係合されるとともに、ツーウェイクラッチTWCがロックモードに切り替えられる。また、シフトポジションがM1ポジションに切り替えられると、第1クラッチC1が係合されるとともに、ツーウェイクラッチTWCがロックモードに切り替えられる。このように、シフトポジションがRポジションまたはM1ポジションに切り替えられた場合には、何れもツーウェイクラッチTWCがロックモードに切り替えられる。
また、シフトポジションがRポジションまたはM1ポジションに切り替えられた場合には、第2クラッチC2が解放されることから、第2クラッチC2の係合油圧を制御する電磁弁SL2への供給電流が停止され(SL2:OFF)、第1油圧室112には油圧が供給されない。一方、電磁弁SRが通電(SR:ON)させられ、電磁弁SRから第2油圧室114に油圧が供給される。このとき電磁弁SRから出力される油圧は、小径ピストン106が大径ピストン104を押圧することで、大径ピストン104が段付部118から遠ざかる位置に移動させられる値に設定されている。従って、電磁弁SRから第2油圧室114に油圧が供給されると、小径ピストン106が、第2油圧室114の作動油の油圧による押圧力、および、第2スプリング110の付勢力によって大径ピストン104を押圧し、大径ピストン104が、第1スプリング108の付勢力に抗ってプラグ120側に移動させられ、プラグ120に当接させられた状態となる。
この状態において、小径ピストン106および切替ピストン90は、図6(d)に示すように、図6(a)、図6(b)に示す状態よりもさらにプラグ120側に移動した状態となる。切替ピストン90がプラグ120側に移動すると、図2において切替ピストン90が大径ギヤ52側に移動するため、ツーウェイクラッチTWCにおいて第1ポール76および第2ポール78がともにワンウェイクラッチとして機能するロックモードに切り替えられる。従って、シフトポジションがRポジションにおいて車両後進方向に作用するエンジン12の動力を駆動輪14側に伝達することができるとともに、M1ポジションにおいて駆動輪14側から伝達される回転をエンジン12側に伝達することでエンジンブレーキを発生させることができる。
上記のように、油圧シリンダ装置100にあっては、第2クラッチC2に供給される作動油の油圧に基づいて、大径ピストン104および小径ピストン106の位置が変化させられる。ここで、第2クラッチC2を係合状態を制御する電磁弁SL2から油圧が出力されると、第2クラッチC2が係合されるととともに、小径ピストン106は、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードまたはフリーモードに切り替わる位置に移動させられる。従って、第1クラッチC1が解放されるとともに第2クラッチC2が係合される過渡期において、ツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードに切り替わり、切替過渡期のショックが抑制される。また、第2クラッチC2の係合後は、電磁弁SL2から出力される油圧によってツーウェイクラッチTWCがフリーモードに切り替わり、第1動力伝達経路PT1を構成する回転部材の引き摺りが抑制される。これより、油圧シリンダ装置100の第1油圧室112の油圧の制御と、第2クラッチC2の制御とを、共通の電磁弁SL2で実行することができる。また、第2クラッチC2が係合されるとツーウェイクラッチTWCがワンウェイモードまたはフリーモードに切り替わるため、第2動力伝達経路PT2が動力伝達状態に切り替わると、第1動力伝達経路PT1がツーウェイクラッチTWCによって遮断されることから、第1動力伝達経路PT1および第2動力伝達経路PT2が同時に動力伝達状態に切り替わることを防止することができる。
上述のように、本実施例によれば、油圧シリンダ装置100を構成する大径ピストン104および小径ピストン106は直列に配置され、第1油圧室112および第2油圧室114についても、大径ピストン104および小径ピストン106に隣接して設けられるため、油圧シリンダ装置100は、各ピストン104、106の移動方向において長くなる傾向にある。これに対して、油圧シリンダ装置100にあっては、大径ピストン104、小径ピストン106、第1油圧室112、および第2油圧室114が、共通のカウンタ軸50内にそれぞれ配置されることで、油圧シリンダ装置100がピストンの移動方向に長くなっても搭載が可能になる。また、油圧シリンダ装置100は、カウンタ軸50内に配置されることから、油圧シリンダ装置100をカウンタ軸50の外部に設ける場合に必要となる付随部品も不要となる。よって、油圧シリンダ装置100の搭載性が向上する。
また、本実施例によれば、油圧シリンダ装置100を構成する第1スプリング108および第2スプリング110についても、カウンタ軸50内に設けられることで油圧シリンダ装置100の搭載性が一層向上する。また、第2クラッチC2を制御する電磁弁SL2が、第1油圧室112の作動油の油圧を制御する電磁弁としても使用されることで、電磁弁の増加を抑制することができる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、本発明の他の実施例に対応する車両用動力伝達装置150(以下、動力伝達装置150)の一部を示す断面図である。動力伝達装置150は、複数個の遊星歯車装置と、複数個のクラッチ(またはブレーキ)を有する、有段式の自動変速機152を備えて構成されている。
自動変速機152は、回転軸線CLを中心にして回転可能な回転軸154と、回転軸154の外周側に配置されている遊星歯車装置156と、回転軸154に連結されている回転ドラム158と遊星歯車装置156のサンギヤSに連結されている連結部材162との間を断接する第1クラッチC1aと、回転ドラム158と遊星歯車装置156のリングギヤRとの間を断接する第2クラッチC2aとを、含んで構成されている。なお、回転軸154が本発明の回転体に対応し、第1クラッチC1aが本発明の第1油圧式係合装置に対応し、第2クラッチC2aが本発明の第2油圧式係合装置に対応している。
回転ドラム158は、径方向に伸びる円盤部158aと、円盤部158aの外周端部から回転軸線CLと平行に伸びる円筒部158bとから構成されている。円盤部158aの内周端部が回転軸154に連結されることで、回転ドラム158は、回転軸154と一体的に回転する。連結部材162は、円盤状に形成され、内周端部が遊星歯車装置156のサンギヤSに連結されている。また、連結部材162の外周側には、第1摩擦係合要素160の内側摩擦板168がスプライン嵌合される円筒部162aが形成されている。
第1クラッチC1aは、回転ドラム158の円筒部158bとサンギヤSに連結されている連結部材162の円筒部162aとの間に設けられている第1摩擦係合要素160と、第1摩擦係合要素160を押圧するための第1ピストン164とを、含んで構成されている。
第1摩擦係合要素160は、円筒部158bの内周面にスプライン嵌合されている複数枚の外側摩擦板166と、連結部材162の円筒部162aの外周面にスプライン嵌合されている複数枚の内側摩擦板168と、回転ドラム158の円筒部158bの内周面に軸方向への移動不能に嵌め着けられ、内側摩擦板168および外側摩擦板166の軸方向の移動を規制するスナップリング170とを、含んで構成されている。外側摩擦板166と内側摩擦板168とは、軸方向において交互に積層されている。第1摩擦係合要素160は、回転軸154の軸方向(以下、回転軸154の軸方向を、特に言及する場合を除いて単に軸方向と称す)で隣り合う位置に配置されている第1ピストン164によって押圧される。
第1ピストン164は、径方向に伸びる部材から構成され、内周端部が後述する車両用油圧シリンダ装置200(以下、油圧シリンダ装置200)の小径ピストン206に接続されている。第1ピストン164は、小径ピストン206の軸方向への移動に連動して移動し、第1ピストン164が第1摩擦係合要素160を押圧することで、第1クラッチC1aが係合され、回転ドラム158と連結部材162とが連結される。
第2クラッチC2aは、回転ドラム158の円筒部158bの内周側とリングギヤRの外周側との間に設けられている第2摩擦係合要素172と、第2摩擦係合要素172を押圧するための第2ピストン174とを、含んで構成されている。
第2摩擦係合要素172は、回転ドラム158の円筒部158bの内周面にスプライン嵌合されている複数枚の外側摩擦板176と、リングギヤRの外周面にスプライン嵌合されている複数枚の内側摩擦板178と、回転ドラム158の円筒部158bの内周面に軸方向への移動不能に嵌め着けられ、外側摩擦板176および内側摩擦板178の軸方向への移動を規制するスナップリング180とを、含んで構成されている。外側摩擦板176と内側摩擦板178とは、軸方向において交互に積層されている。第2摩擦係合要素172は、第2ピストン174によって押圧される。
第2ピストン174は、径方向に伸びる円盤部174aと、円盤部174aの外周端部に連結され、軸方向に向かって伸びる円筒状の円筒部174bとから構成されている。円盤部174aは、回転軸54に対して軸方向への相対移動可能とされている。円筒部174bは、回転ドラム158の外周側に配置されるとともに、その回転ドラム158に嵌合することで回転ドラム158と一体的に回転する。また、円筒部174bの軸方向で円盤部174aが連結される部位と反対側の端部には、内周側に向かって伸びることで、第2摩擦係合要素172を押圧可能な押圧部174cが形成されている。第2ピストン174が、軸方向で円盤部174a側に向かって移動すると、第2ピストン174が第2摩擦係合要素172を押圧する。このとき、第2クラッチC2aが係合され、回転ドラム158とリングギヤRとが接続される。
第2ピストン174は、第1ピストン164に連結され、第2ピストン174の円盤部174aに向かって伸びる押圧部材182によって押圧されることで、軸方向に移動させられる。押圧部材182は、回転ドラム158を軸方向に貫通することで、第2ピストン174の円盤部174aを押圧可能に構成されている。第1ピストン164が軸方向で第1摩擦係合要素160から遠ざかる側に移動すると、押圧部材182についても、第1ピストン164に連動して第1摩擦係合要素160から遠ざかる方向に移動する。このとき、押圧部材182の端部が第2ピストン174の円盤部174aを押圧することで、第2ピストン174は、軸方向で第1摩擦係合要素160から遠ざかる側に移動し、第2ピストン174の押圧部174cが第2摩擦係合要素172を押圧する。
このように、第1ピストン164が、軸方向で第1摩擦係合要素160側に移動すると、第1摩擦係合要素160が第1ピストン164によって押圧されて第1クラッチC1aが係合され、第1ピストン164が、軸方向で第1摩擦係合要素160から遠ざかる側に移動すると、第2摩擦係合要素172が第2ピストン174によって押圧されて第2クラッチC2aが係合される。また、第1ピストン164の軸方向において第1クラッチC1aが係合される位置と、第1ピストン164の軸方向において第2クラッチC2aが係合される位置との間には、第1クラッチC1aおよび第2クラッチC2aが共に解放されるニュートラル位置が設定されている。第1ピストン164は、油圧シリンダ装置200によって、第1クラッチC1aの係合される第1位置、第2クラッチC2aの係合される第2位置、第1クラッチC1aおよび第2クラッチC2aが解放されるニュートラル位置(N位置)の3位置に移動させられる。なお、第1位置と第2位置との間に、N位置が設定されている。以下、油圧シリンダ装置200の構造について説明する。
油圧シリンダ装置200は、回転軸154内に配置されている。油圧シリンダ装置200は、回転軸154の軸穴202に嵌め入れられている大径ピストン204および小径ピストン206と、大径ピストン204を軸方向で小径ピストン206側に向かって付勢する第1スプリング208と、小径ピストン206を軸方向で大径ピストン204側に向かって付勢する第2スプリング210と、大径ピストン204を小径ピストン206に向かって押圧するための第1油圧室212と、小径ピストン206を軸方向で大径ピストン204側に向かって押圧するための第2油圧室214とを、含んで構成されている。油圧シリンダ装置200においても、大径ピストン204、小径ピストン206、第1スプリング208、第2スプリング210、第1油圧室212、および第2油圧室214が、何れも回転軸154内に配置されている。なお、大径ピストン204が本発明の第1ピストンに対応し、小径ピストン206が本発明の第2ピストンに対応し、第1スプリング208が本発明の第1弾性部材に対応し、第2スプリング210が本発明の第2弾性部材に対応している。
軸穴202は、大径ピストン204が挿し入れられている第1軸穴202aと、小径ピストン206が挿し入れられている第1軸穴202aよりも小径の第2軸穴202bとを、有している。第1軸穴202aと第2軸穴202bとは連続しており、第1軸穴202aと第2軸穴202bとの連結部には、段付部218が形成されている。大径ピストン204は、段付部218に当接することで、軸方向で小径ピストン206側への移動が制限されている。
大径ピストン204は、有底円筒状に形成され、底部204aが小径ピストン206に向かい合う状態で第1軸穴202aに摺動可能に挿し入れられている。小径ピストン206は、段付の円柱状に形成され、第2軸穴202bに摺動可能に挿し入れられている。小径ピストン206の外周面には、第1ピストン164の内周端部が接続されている。回転軸154には、径方向に伸びる径方向穴216が形成されている。第1ピストン164は、回転軸154の径方向穴216を通って、小径ピストン206の外周面に接続されている。径方向穴216は、回転軸154の軸方向で所定の寸法を有し、第1ピストン164は、径方向穴216の軸方向の寸法の範囲で、小径ピストン206とともに回転軸154に対して軸方向に相対移動することができる。
第1スプリング208は、大径ピストン204と、第1軸穴202aに固定されたプラグ220との間に介挿されている。第1スプリング208は、大径ピストン204の内周側に配置され、一端が大径ピストン204の底部204aに当接するとともに他端がプラグ220の一端に当接してる。第1スプリング208は、大径ピストン204を軸方向で小径ピストン206側に向かって付勢している。
第2スプリング210は、小径ピストン206の外周面に形成されている段付部と第2軸穴202bに形成されている段付部との間に介挿されている。第2スプリング210は、小径ピストン206を軸方向で大径ピストン204側に向かって付勢している。
第1油圧室212は、軸方向で大径ピストン204とプラグ220との間に設けられている。第1油圧室212に油圧が供給されると、その油圧によって大径ピストン204が軸方向で小径ピストン206側に向かって押圧される。また、大径ピストン204の軸方向で小径ピストン206と向かい合う底部204aには、軸方向に貫通する貫通穴226が形成されている。従って、第1油圧室212の作動油の油圧によって、小径ピストン206についても、軸方向で大径ピストン204から遠ざかる方向に押圧される。第1油圧室212には、電磁弁SLAによって調圧された油圧が、プラグ220に形成されている穴220aを通って供給される。なお、電磁弁SLAが、本発明の第1電磁弁に対応している。
第2油圧室214は、小径ピストン206の軸方向で大径ピストン204の背面側に隣接して設けられている。第2油圧室214に油圧が供給されると、その油圧によって、小径ピストン206が軸方向で大径ピストン204側に向かって押圧される。第2油圧室214には、電磁弁SLBによって調圧された油圧が、第2油圧室214に連通する油穴228を通って供給される。なお、電磁弁SLBが、本発明の第2電磁弁に対応している。
上記のように構成される油圧シリンダ装置200において、第1油圧室212および第2油圧室214に供給される作動油の油圧が制御されることにより、小径ピストン206が軸方向に移動させられることで、小径ピストン206に接続された第1ピストン164が、前記第1位置、第2位置、およびN位置の何れかに移動させられる。
例えば、図7は、第1油圧室212および第2油圧室214の何れにも油圧が供給されない状態を示している。このとき、図7に示すように、大径ピストン204は、第1スプリング208の付勢力によって段付部218に当接させられている。また、小径ピストン206は、第2スプリング210の付勢力によって大径ピストン204に当接させられている。なお、第1スプリング208の付勢力が、第2スプリング210の付勢力よりも大きくなるように調整されていることで、第2スプリング210の付勢力に抗って、大径ピストン204と段付部118とが当接させられた状態が維持される。
図7に示す小径ピストン206の位置が、N位置に対応している。このとき、第1ピストン164は、第1摩擦係合要素160を押圧しない位置に位置させられている。また、第2ピストン174は、第1ピストン164に連結された押圧部材182によって押圧されることはなく、第2摩擦係合要素172を押圧しない位置に位置させられている。従って、第1クラッチC1aおよび第2クラッチC2aがともに解放される。
また、図7において、電磁弁SLAから第1油圧室212に油圧が供給されると、大径ピストン204は、第1スプリング208の付勢力および第1油圧室212の作動油の油圧による押圧力によって、段付部218に当接させられた状態となる。さらに、第1油圧室212の作動油の油圧は、大径ピストン204の貫通穴226を通って小径ピストン206にも作用し、第1油圧室212の作動油の油圧が所定値以上になると、第2スプリング210の付勢力に抗って、小径ピストン206が大径ピストン204から遠ざかる方向に移動させられる。すなわち、電磁弁SLAから第1油圧室212に油圧が供給されると、小径ピストン206が、第1クラッチC1aの係合される第1位置に向かって移動させられる。小径ピストン206が第1位置に向かって移動すると、第1ピストン164についても小径ピストン206に連動して軸方向に移動し、このとき第1ピストン164が第1摩擦係合要素160を押圧する。これより、第1クラッチC1aが係合させられる。
また、図7において、電磁弁SLBから第2油圧室214に油圧が供給されると、小径ピストン206が第2油圧室214の作動油の油圧によって押圧させられ、小径ピストン206が大径ピストン204を押圧する。ここで、第2油圧室214の作動油の油圧が所定値以上になると、大径ピストン204と段付部218との当接が解除され、第1スプリング208の付勢力に抗って、大径ピストン204および小径ピストン206が、プラグ220側に向かって移動させられる。すなわち、電磁弁SLBから第2油圧室214に油圧が供給されると、小径ピストン206が、第2クラッチC2aの係合される第2位置に向かって移動させられる。小径ピストン206が第2位置に向かって移動すると、第1ピストン164および第1ピストン164に連結された押圧部材182についても連動してプラグ220側に移動し、押圧部材182の端部が、第2ピストン174の円盤部174aを押圧する。このとき、第2ピストン174が押圧部材182によって軸方向に移動させられることで、第2ピストン174の押圧部174cが第2摩擦係合要素172を押圧し、第2クラッチC2aが係合させられる。
上記のように、油圧シリンダ装置200の第1油圧室212および第2油圧室214に供給される作動油の油圧が制御されることで、小径ピストン206を、第1クラッチC1aが係合される第1位置、第2クラッチC2aが係合される第2位置、および第1クラッチC1aおよび第2クラッチC2aがともに解放されるN位置、の何れかに移動させることができる。また、第1位置と第2位置との間にN位置が設定されることで、第1クラッチC1aおよび第2クラッチC2aの同時係合についても防止される。
上述のように、油圧シリンダ装置200が回転軸154内に配置されるため、油圧シリンダ装置200が回転軸154の軸方向に長くなっても配置することができることから、油圧シリンダ装置200の搭載性が向上する。よって、本実施例においても、前述した実施例と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、電磁弁SL2および電磁弁SRは、リニアソレノイド弁から構成されていたが、必ずしもリニアソレノイド弁に限定されない。例えば、電磁弁SRは、油圧を精緻に制御する必要がないことから、オンオフソレノイド弁から構成されても構わない。
また、前述の実施例では、第1油圧室112の作動油の油圧を制御する電磁弁SL2が、第2クラッチC2を制御する電磁弁としても使用されていたが、第2油圧室114の作動油の油圧を制御する電磁弁SRについても、他の油圧式係合装置を制御する電磁弁と共用されるものであっても構わない。或いは、第1油圧室112の油圧を制御する電磁弁SL2および第2油圧室114の油圧を制御する電磁弁SRが、それぞれ第1油圧室112の油圧および第2油圧室114の油圧を専ら制御するために設けられるものであっても構わない。この場合には、電磁弁SL2および電磁弁SRともに精緻に油圧を制御する必要がなくなるため、それぞれオンオフソレノイド弁から構成することも可能になる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
50:カウンタ軸(回転体)
100、200:車両用油圧シリンダ装置
102、202:軸穴
102a、202a:第1軸穴
102b、202b:第2軸穴
104、204:大径ピストン(第1ピストン)
106、206:小径ピストン(第2ピストン)
108、208:第1スプリング(第1弾性部材)
110、210:第2スプリング(第2弾性部材)
112、212:第1油圧室
114、214:第2油圧室
118、218:段付部
154:回転軸(回転体)
SL2:電磁弁(第1電磁弁)
SLA:電磁弁(第1電磁弁)
SLB:電磁弁(第2電磁弁)
SR:電磁弁(第2電磁弁)
TWC:ツーウェイクラッチ
C2:第2クラッチ(所定の油圧式係合装置)
C1a:第1クラッチ(第1油圧式係合装置)
C2a:第2クラッチ(第2油圧式係合装置)

Claims (6)

  1. 互いに対向して配置されている第1ピストンおよび第2ピストンと、前記第1ピストンを前記第2ピストン側に向かって押圧するための第1油圧室と、前記第2ピストンを前記第1ピストン側に向かって押圧するための第2油圧室とを、有し、前記第1油圧室および前記第2油圧室に供給される作動油の油圧を制御することで、前記第1ピストンおよび前記第2ピストンの位置を変化させる車両用油圧シリンダ装置であって、
    前記第1ピストンおよび前記第2ピストンと、前記第1油圧室と、前記第2油圧室とが、共通の回転体内に配置されている
    ことを特徴とする車両用油圧シリンダ装置。
  2. 前記第1ピストンおよび前記第2ピストンは、前記回転体に形成された軸穴内に摺動可能に配置され、
    前記第1ピストンを前記第2ピストン側に向かって付勢する第1弾性部材と、前記第2ピストンを前記第1ピストン側に向かって付勢する第2弾性部材とを、前記回転体内にさらに備える
    ことを特徴とする請求項1の車両用油圧シリンダ装置。
  3. 前記第1ピストンは、前記第2ピストンよりも大径に形成され、
    前記軸穴は、前記第1ピストンが挿し入れられている第1軸穴と、前記第2ピストンが挿し入れられているその第1軸穴よりも小径の第2軸穴とを、有し、
    前記第1軸穴と前記第2軸穴との連結部には、前記第1ピストンの前記第2ピストン側への移動を制限する段付部が形成され、
    前記第1ピストンには、その第1ピストンを前記回転体の軸方向に貫通する貫通穴が形成され、
    前記第1弾性部材の付勢力が、前記第2弾性部材の付勢力よりも大きくなるように調整されている
    ことを特徴とする請求項2の車両用油圧シリンダ装置。
  4. 前記第1油圧室の作動油の油圧を制御する第1電磁弁と、前記第2油圧室の作動油の油圧を制御する第2電磁弁とを、備え、
    前記第1電磁弁および前記第2電磁弁の少なくとも一方は、所定の油圧式係合装置を制御するための電磁弁として使用され、
    前記所定の油圧式係合装置の作動油の油圧に基づいて、前記第1ピストンおよび第2ピストンの位置が変化させられる
    ことを特徴とする請求項1から3の何れか1に記載の車両用油圧シリンダ装置。
  5. 2つの回転体の間に設けられ、その2つの回転体の間で一方向の回転を伝達する一方で他方向への回転を遮断するワンウェイモード、前記2つの回転体の間での相対回転を完全に阻止するロックモード、および前記2つの回転体の間での相対回転を許容するフリーモードの何れかに切替可能なツーウェイクラッチを備え、
    前記ツーウェイクラッチは、前記第2ピストンの位置に応じて前記各モードに切替可能に構成され、
    前記第1電磁弁は、前記所定の油圧式係合装置に供給される作動油の油圧を制御可能に構成されており、
    前記所定の油圧式係合装置が係合されると、前記ツーウェイクラッチは前記ワンウェイモードまたは前記フリーモードに切り替えられるものであり、
    前記第1電磁弁から油圧が出力されると、前記第2ピストンは、前記ツーウェイクラッチが前記ワンウェイモードまたは前記フリーモードとなる位置に移動させられるように構成されている
    ことを特徴とする請求項4の車両用油圧シリンダ装置。
  6. 前記第1油圧室の作動油の油圧を制御する第1電磁弁と、前記第2油圧室の作動油の油圧を制御する第2電磁弁とを、備え、
    前記第2ピストンは、第1油圧式係合装置が係合される第1位置と、第2油圧式係合装置が係合される第2位置と、前記第1油圧式係合装置および前記第2油圧式係合装置が解放されるニュートラル位置に移動可能に構成され、
    前記第1電磁弁から前記第1油圧室に油圧が供給されると、前記第2ピストンが前記第1位置に移動させられ、前記第2電磁弁から前記第2油圧室に油圧が供給されると、前記第2ピストンが前記第2位置に移動させられる
    ことを特徴とする請求項請求項1から3の何れか1に記載の車両用油圧シリンダ装置。
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