JP2021059651A - 硬化性樹脂組成物、その硬化物及び該硬化物を含む構造体 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、その硬化物及び該硬化物を含む構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】成形時の流れ性に優れ、実用的な成形性を有し、かつ、硬化させることにより耐熱性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリマレイミド化合物(A)、ポリアルケニルフェノール化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)及び下記式(1)の部分構造を含むN−オキシル化合物(D)を含有する硬化性樹脂組成物。(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、及びカルボキシ基から選択される官能基を表し、*は他の構造との結合部を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、その硬化物、該硬化性樹脂組成物を用いた構造体の製造方法、及び該硬化物を含む構造体に関する。
近年、電子機器及び産業機器に用いられる半導体パッケージには、電子部品の高密度集積化に伴い、小型化、薄型化、高密度配線化、高耐熱化等の性能が求められている。そのためプラスチック材料である半導体パッケージの封止材にも高耐熱化が求められている。
封止材の成形方法として、トランスファー成形とコンプレッション成形が知られている。
トランスファー成形は、材料をプランジャー内で加熱軟化させ、加熱軟化した材料をスプルー、ランナー、ゲートなどの金型内流路を介して、加熱された金型キャビティの中に押し込み、金型キャビティの中で硬化させる方法である。材料を流動性の高い状態でキャビティ内に注入するため、低い圧力での成形が可能である。トランスファー成形は、高い圧力を必要とする他の成形方法と比べてインサート物を損傷しにくいという特徴がある。
一方、コンプレッション成形は、高温の金型キャビティ内に材料を投入し、金型を低圧で閉めてガス抜きを行った後、さらに圧をかけて材料を硬化させる方法である。
いずれの方法においても重要なのは材料の流動性である。半導体パッケージ形状に対して、材料の流動性が適切でない場合、金型キャビティ内に未充填部分が生じたり、成形品にボイド及びクラック等が生じたりするなどの成形不良が発生しやすい。
トランスファー成形及びコンプレッション成形で使用される封止材には、従来、エポキシ樹脂及びフェノール系硬化剤等が広く用いられてきた。しかし、これらの樹脂のガラス転移温度は一般に、高くても200℃であり、近年のさらなる高耐熱化の要求を満たすことが困難になりつつある。そこで、より耐熱性に優れた樹脂、例えば、多官能エポキシ樹脂を多く配合した硬化性樹脂組成物、及びビスマレイミド、トリアジン骨格、ベンゾオキサジン骨格、シルセスキオキサン骨格などの耐熱性に優れた構造を含む硬化性樹脂組成物等が提案されている。
特許文献1(特開平11−140277号公報)は、(A)分子中にビフェニル誘導体及び/又はナフタレン誘導体を含むノボラック構造のフェノール樹脂を総フェノール樹脂量中に30〜100質量部含むフェノール樹脂、(B)分子中にビフェニル誘導体及び/又はナフタレン誘導体を含むノボラック構造のエポキシ樹脂を総エポキシ樹脂量中に30〜100質量部含むエポキシ樹脂、(C)無機充填材、(D)硬化促進剤を必須成分とすることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物を記載している。
特許文献2(特開平5−43630号公報)は、N,N’−(アルキル置換ジフェニルメタン)ビスマレイミドと、サリチルアルデヒドとフェノールの縮合ポリフェノールからのポリアリルフェノールとを含有してなる芳香族ビスマレイミド樹脂組成物を記載している。
特許文献3(特開平5−6869号公報)は、(A)1分子中に2個以上のマレイミド基を有するマレイミド化合物、(B)特定の繰り返し単位を有するアリル化フェノール樹脂、及び(C)硬化触媒を含有する樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を記載している。
特許文献4(特開平6−93047号公報)は、マレイミド化合物、特定構造のアルケニルフェノール化合物及びエポキシ基含有有機シラン化合物を、特定比率で配合してなる硬化性樹脂組成物を記載している。
特開平11−140277号公報 特開平5−43630号公報 特開平5−6869号公報 特開平6−93047号公報
封止材の高耐熱化を図るため、特許文献1のように多官能エポキシ樹脂を用いて硬化物の架橋密度を高めた場合、樹脂の反応性が高いために成形が完了する前に架橋反応が進行してゲル化する。封止材の高耐熱化を図るため、特許文献2〜4のように耐熱性に優れた樹脂を使用すると、樹脂の軟化点温度が高いために成形温度における封止材の溶融粘度が高くなる。結果として、これらの封止材は、成形時における流動性が低く、金型キャビティ内での未充填や成形物内部でのボイド等の発生を招いてしまうという課題があった。一方で、ゲルタイムを長くすることにより成形時の流動性を向上させようとすると、硬化性が悪化し、金型からの離型が困難になる等、作業性が悪くなるという課題がある。したがって、硬化物の高耐熱性、成形時の高流動性、及び実用的な成形性を兼ね備えた封止材が強く望まれている。
上述の現状に鑑みて、本発明は、成形時の流れ性に優れ、実用的な成形性を有し、かつ、硬化させることにより耐熱性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の基礎骨格を有するアルケニル化された(芳香環にアルケニル基が結合した)フェノール化合物、ポリマレイミド化合物、ラジカル重合開始剤、及びN−オキシル化合物を含む硬化性樹脂組成物が、加工性に優れ、かつ、硬化することにより耐熱性に優れた硬化物を与えることを見出した。すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1]
ポリマレイミド化合物(A)、ポリアルケニルフェノール化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)及びN−オキシル化合物(D)を含有する硬化性樹脂組成物。
[2]
前記N−オキシル化合物(D)が下記式(1)の部分構造を含む化合物である、[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure 2021059651
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、及びカルボキシ基から選択される官能基を表し、*は他の構造との結合部を表す。)
[3]
前記N−オキシル化合物(D)が下記式(1)−1〜(1)−4で表される、[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure 2021059651
(式中、R5〜R14は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、及びカルボキシ基から選択される官能基を表し、Xは酸素原子、カルボニル基、及び−CHZ−から選択される二価基を表し、Zは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、ベンゾイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、イソチオシアナト基、及びシアノ基から選択される一価基を表す。)
[4]
前記ポリマレイミド化合物(A)と前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)の合計100質量部に対して、前記ラジカル重合開始剤(C)を0.01〜10質量部含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[5]
前記ラジカル重合開始剤(C)100質量部に対して、前記N−オキシル化合物(D)を0.1〜40質量部含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[6]
前記ポリマレイミド化合物(A)の平均核体数が2個以上10個以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[7]
前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)が、下記式(2)−1:
Figure 2021059651
及び任意に下記式(2)−2:
Figure 2021059651
で表される構造単位を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
(式(2)−1及び式(2)−2において、R15はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又はヒドロキシ基を表し、式(2)−1において、R16はそれぞれ独立に下記式(3):
Figure 2021059651
で表される2−アルケニル基を表し、式(3)において、R17、R18、R19、R20及びR21はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素原子数6〜12のアリール基であり、式(3)の*は、芳香環を構成する炭素原子との結合部を表し、R15及びR16は各フェノール骨格単位で同じでもよく異なっていてもよく、式(2)−1、式(2)−2の各Qはそれぞれ独立に式−CR2223−で表されるアルキレン基、炭素原子数5〜10のシクロアルキレン基、芳香環を有する二価の有機基、脂環式縮合環を有する二価の有機基、又はこれらを組み合わせた二価の有機基を表し、R22及びR23はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素原子数6〜12のアリール基を表す。)
[8]
前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)一分子あたりの、式(2)−1に示す構造単位の平均数をp、式(2)−2に示す構造単位の平均数をqとしたときに、pは1.1〜35の実数、p+qは1.1〜35の実数、qは式:p/(p+q)の値が0.4〜1になる実数である、[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[9]
前記ポリマレイミド化合物(A)100質量部に対して、前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)を30〜200質量部含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[10]
さらに充填材(E)を含有する、[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
[11]
前記ポリマレイミド化合物(A)と前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)の合計100質量部に対して、前記充填材(E)を100〜1900質量部含む、[10]に記載の硬化性樹脂組成物。
[12]
[1]〜[11]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
[13]
[1]〜[11]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を、トランスファー成形又はコンプレッション成形することを含む構造体の製造方法。
[14]
[12]に記載の硬化物と基材とを含む構造体であって、前記硬化物が、前記基材と接着した構造体。
本開示によれば、成形時の流れ性に優れ、実用的な成形性を有し、かつ、硬化させることにより耐熱性に優れた硬化物が得られる硬化性樹脂組成物を提供できる。本開示の硬化性樹脂組成物を用いて、成形不良のない、信頼性の高い成形物を得ることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。本発明の一実施態様は、ポリマレイミド化合物(A)、ポリアルケニルフェノール化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)及びN−オキシル化合物(D)を含有する硬化性樹脂組成物である。
[ポリマレイミド化合物(A)]
ポリマレイミド化合物(A)は、下記式(4)で表されるマレイミド基を2つ以上有する化合物である。
Figure 2021059651
式(4)において、*は、芳香環又は直鎖、分岐鎖若しくは環状脂肪族炭化水素基を含む有機基との結合部を表す。
ポリマレイミド化合物(A)としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン等のビスマレイミド、トリス(4−マレイミドフェニル)メタン等のトリスマレイミド、ビス(3,4−ジマレイミドフェニル)メタン等のテトラキスマレイミド及びポリ(4−マレイミドスチレン)等のポリマレイミドが挙げられる。ポリマレイミド化合物(A)の平均核体数(1分子中のマレイミド基の数の平均)は、成形時の流れ性の観点から、2個以上10個以下であることが好ましく、2個以上7個以下であることがより好ましく、2個以上5個以下であることがさらに好ましい。
ポリマレイミド化合物(A)としては、芳香族ポリマレイミド化合物及び脂肪族ポリマレイミド化合物が挙げられるが、耐熱性の観点から、芳香族ポリマレイミド化合物が好ましい。芳香族ポリマレイミド化合物は、式(4)で表されるマレイミド基を2つ以上有し、これらのマレイミド基が同一又は異なる芳香環に結合している化合物である。芳香環の具体例としては、ベンゼン等の単環、ナフタレン、アントラセン等の縮合環等が挙げられる。
芳香族ポリマレイミド化合物の具体例としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−プロピル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジプロピル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−ブチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−マレイミド−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]プロパン、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(3−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(3−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(3−マレイミドフェニル)スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(3−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホキシド、ビス(3−マレイミドフェニル)スルホキシド、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ジマレイミドナフタレン、2,3−ジマレイミドナフタレン、1,5−ジマレイミドナフタレン、1,8−ジマレイミドナフタレン、2,6−ジマレイミドナフタレン、2,7−ジマレイミドナフタレン、4,4’−ジマレイミドビフェニル、3,3’−ジマレイミドビフェニル、3,4’−ジマレイミドビフェニル、2,5−ジマレイミド−1,3−キシレン、2,7−ジマレイミドフルオレン、9,9−ビス(4−マレイミドフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−マレイミド−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)フルオレン、3,7−ジマレイミド−2−メトキシフルオレン、9,10−ジマレイミドフェナントレン、1,2−ジマレイミドアントラキノン、1,5−ジマレイミドアントラキノン、2,6−ジマレイミドアントラキノン、1,2−ジマレイミドベンゼン、1,3−ジマレイミドベンゼン、1,4−ジマレイミドベンゼン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)ベンゼン、2−メチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、2,6−ジメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、4−エチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、5−エチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、4,6−ジメチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、2,4,6−トリメチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジマレイミドベンゼン、4−メチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、ポリ(4−マレイミドスチレン)等が挙げられる。脂肪族ビスマレイミド化合物の具体例としては、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、ビス(3−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチルヘキサン)等が挙げられる。市販品としては例えば、BMI(商品名、大和化成工業株式会社製)シリーズ等が挙げられる。
中でも耐熱性の観点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリ(4−マレイミドスチレン)、1,3−ジマレイミドベンゼン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]プロパン、ビス(3−エチル−4−マレイミド−5−メチルフェニル)メタン、4−メチル−1,3−ジマレイミドベンゼン、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチルヘキサン)が好ましく、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ポリ(4−マレイミドスチレン)、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]プロパン、ビス(3−エチル−4−マレイミド−5−メチルフェニル)メタンがより好ましい。好ましい市販品としては、BMI1000シリーズ、BMI2000シリーズ、BMI3000シリーズ、BMI4000、BMI5100、BMI7000シリーズ、BMI-TMHが挙げられ、より好ましくはBMI1000シリーズ、BMI2000シリーズ、BMI4000、BMI5100である。
[ポリアルケニルフェノール化合物(B)]
ポリアルケニルフェノール化合物(B)は、分子内に少なくとも2つのフェノール骨格を有し、かつ分子内のフェノール骨格を形成する芳香環の一部又は全部に2−アルケニル基が結合している化合物である。2−アルケニル基としては、下記式(3)で表される構造の基が好ましい。
Figure 2021059651
式(3)において、R17、R18、R19、R20及びR21はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素原子数6〜12のアリール基である。式(3)の*は、芳香環を構成する炭素原子との結合部を表す。
式(3)におけるR17、R18、R19、R20及びR21を構成する炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができる。炭素原子数5〜10のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基等を挙げることができる。炭素原子数6〜12のアリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。中でも、式(3)で表される2−アルケニル基は、R17、R18、R19、R20及びR21が全て水素原子の、アリル基であることが好ましい。
ポリアルケニルフェノール化合物(B)において、フェノール骨格を形成する全芳香環のうち好ましくは40〜100%、より好ましくは60〜100%、さらに好ましくは80〜100%の芳香環に2−アルケニル基が結合されている。
ポリアルケニルフェノール化合物(B)の基本骨格としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン共重合体樹脂等の公知のフェノール樹脂の骨格が挙げられる。下記式(2)−1及び任意に式(2)−2に示す構造単位を有するポリアルケニルフェノール化合物(B)を好ましく使用することができる。
Figure 2021059651
Figure 2021059651
式(2)−1及び式(2)−2に示す構造単位は、ポリアルケニルフェノール化合物(B)を構成する好ましいフェノール骨格単位であり、これらのフェノール骨格単位の結合順序は特に限定されない。式(2)−1及び式(2)−2に示す構造単位は、ランダムに結合していてもよく、ブロック的に結合していてもよい。式(2)−1及び式(2)−2において、R15はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又はヒドロキシ基であり、式(2)−1において、R16はそれぞれ独立に式(3)で表される2−アルケニル基である。R15及びR16は各フェノール骨格単位で同じでもよく異なっていてもよい。式(2)−1及び式(2)−2における各Qはそれぞれ独立に式−CR2223−で表されるアルキレン基、炭素原子数5〜10のシクロアルキレン基、芳香環を有する二価の有機基、脂環式縮合環を有する二価の有機基、又はこれらを組み合わせた二価の有機基であり、R22及びR23はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素原子数6〜12のアリール基である。
前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)一分子あたりの、式(2)−1に示す構造単位の平均数をp、式(2)−2に示す構造単位の平均数をqとしたときに、好ましくはpは1.1〜35の実数、p+qは1.1〜35の実数、qは式:p/(p+q)の値が0.4〜1になる実数である。
15を構成する炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができる。炭素原子数1〜5のアルコキシ基の具体例としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基等を挙げることができる。R15としては、耐熱性の観点から水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、及びヒドロキシ基が好ましい。
Qを構成する式−CR2223−で表されるアルキレン基のR22及びR23において、炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができ、炭素原子数2〜6のアルケニル基の具体例としてはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等を挙げることができ、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基等を挙げることができ、炭素原子数6〜12のアリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等を挙げることできる。R22及びR23としては、耐熱性の観点から水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基、ビフェニル基、及びナフチル基が好ましい。
Qを構成する炭素原子数5〜10のシクロアルキレン基の具体例としては、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基等を挙げることができる。中でも、耐熱性の観点からシクロペンチレン基が好ましい。芳香環を有する二価の有機基の具体例として、フェニレン基、トリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレニレン基、アントラセニレン基、キシリレン基、4,4−メチレンジフェニル基等を挙げることができる。芳香環を有する二価の有機基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜14であることがより好ましい。脂環式縮合環を有する二価の有機基の具体例として、ジシクロペンタジエニレン基等を挙げることができる。脂環式縮合環を有する二価の有機基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜10であることがより好ましい。
硬化物の機械強度が高いことから、Qがジシクロペンタジエニレン基、フェニレン基、メチルフェニレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基、アントラセニレン基、4,4−メチレンジフェニル基、1,4−フェニレンビスメチレン基、4,4’−ビフェニレンビスメチレン基、キシリレン基、又はビフェニレン基であることが好ましい。ポリアルケニルフェノール化合物(B)の粘度が低く、ポリマレイミド化合物(A)との混合に有利であることから、Qが−CH2−であることが好ましい。
pは好ましくは1.1〜35の実数であり、より好ましくは2〜30の実数であり、さらに好ましくは3〜10の実数である。pが1.1以上であれば、硬化性樹脂組成物の硬化物を高温環境に置いたときの熱分解開始温度が適切であり、35以下であれば、硬化性樹脂組成物の粘度が成形時の加工により好適な範囲となる。
p+qは好ましくは1.1〜35の実数であり、より好ましくは2〜30の実数であり、さらに好ましくは3〜10の実数である。p+qが1.1以上であれば、硬化性樹脂組成物の硬化物を高温環境に置いたときの熱分解開始温度が適切であり、35以下であれば、硬化性樹脂組成物の粘度が成形時の加工により好適な範囲となる。
qは、好ましくは式:p/(p+q)の値が0.4〜1となる実数であり、より好ましくは式:p/(p+q)の値が0.6〜1となる実数であり、さらに好ましくは式:p/(p+q)の値が0.8〜1となる実数である。式:p/(p+q)の値が1となる場合、qは0である。すなわち、この実施態様ではポリアルケニルフェノール化合物(B)は、式(2)−2に示す構造単位を含まない。ポリアルケニルフェノール化合物(B)は式(2)−1に示す構造単位からなることができる。qが上記条件を満たす値であれば、硬化性樹脂組成物の硬化度を用途に応じて十分なものとすることができる。
ポリアルケニルフェノール化合物(B)の好ましい数平均分子量Mnは300〜5000であり、より好ましくは400〜4000であり、さらに好ましくは500〜3000である。数平均分子量Mnが300以上であれば、硬化性樹脂組成物の硬化物を高温環境に置いたとき熱分解開始温度が適切であり、5000以下であれば、硬化性樹脂組成物の粘度が成形時の加工により好適な範囲となる。
ポリアルケニルフェノール化合物(B)は、原料となるフェノール樹脂の水酸基の一部を2−アルケニルエーテル化した後、クライゼン転位反応により、2−アルケニル基を転位させることにより得ることができる。原料フェノール樹脂として、好ましくは下記式(2)−2で表される構造単位を有する公知のフェノール樹脂を使用することができる。
Figure 2021059651
ポリアルケニルフェノール化合物(B)の原料フェノール樹脂の具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン共重合体樹脂等を挙げることができる。
原料フェノール樹脂の2−アルケニルエーテル化反応としては、(i)塩化アリル、塩化メタリル、臭化アリル等のハロゲン化2−アルケニル化合物とフェノール化合物を反応させる公知の方法、及び(ii)酢酸アリルのようなカルボン酸2−アルケニル化合物とフェノール化合物を反応させる公知の方法の2つの方法を例示することができる。ハロゲン化2−アルケニル化合物を用いた2−アルケニルエーテル化反応は、例えば特開平2−91113号公報に記載の方法を使用することができる。カルボン酸2−アルケニル化合物とフェノール樹脂を反応させる方法は、例えば特開2011−26253号公報に記載の方法を使用することができる。
フェノール性水酸基に対するハロゲン化2−アルケニル化合物又はカルボン酸2−アルケニル化合物の使用量は0.4〜5.0当量が好ましく、より好ましくは0.6〜4.0当量である。0.4当量以上であると、クライゼン転位した後のポリマレイミド化合物(A)との反応部位の量がより適切であり、より耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。2−アルケニルエーテル化反応は、2−アルケニル化合物を原料フェノール樹脂と混合し、4〜40時間反応させることにより実施する。2−アルケニルエーテル化反応において、原料フェノール樹脂が溶解する溶媒を用いることができる。原料フェノール樹脂を溶解可能なカルボン酸2−アルケニル化合物を用いて、無溶媒で反応を実施することもできる。原料フェノール樹脂の2−アルケニルエーテル化率は、ハロゲン化2−アルケニル化合物又はカルボン酸2−アルケニル化合物の使用量を前記使用量より多く使用し、かつ反応時間を前記反応時間より短く調整することにより2−アルケニル化合物の反応率(転化率)を低く抑制することでも制御することができる。
目的とするポリアルケニルフェノール化合物(B)は、前記(i)又は(ii)に記載の方法により製造されたポリアルケニルエーテル化合物にクライゼン転位反応を行うことにより得ることができる。クライゼン転位反応は、ポリアルケニルエーテル化合物を100〜250℃の温度に加熱し、1〜20時間反応させることにより行うことができる。クライゼン転位反応は高沸点の溶剤を用いて行ってもよく、無溶媒で行うこともできる。転位反応を促進するため、チオ硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩を添加することもできる。詳細は例えば特開平2−91113号公報に開示されている。
ポリマレイミド化合物(A)を100質量部としたとき、ポリアルケニルフェノール化合物(B)の配合量は30〜200質量部とすることが好ましく、35〜175質量部とすることがより好ましく、40〜150質量部とすることがさらに好ましい。上記配合量が30質量部以上であれば成形時の流れ性がより良好である。一方、上記配合量が200質量部以下であれば硬化物の耐熱性がより良好である。
[ラジカル重合開始剤(C)]
硬化性樹脂組成物にラジカル重合開始剤(C)を配合することで、硬化性樹脂組成物の硬化を促進することができる。ラジカル重合開始剤(C)としては、例えば光ラジカル開始剤、熱ラジカル開始剤等が挙げられる。ラジカル重合開始剤(C)は好ましくは熱ラジカル開始剤である。熱ラジカル開始剤としては、有機過酸化物を挙げることができる。有機過酸化物は、10時間半減期温度が100〜170℃の有機過酸化物であることが好ましく、具体的にはジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、及びクメンハイドロパーオキサイド等を挙げることができる。ラジカル重合開始剤(C)の好ましい使用量は、ポリマレイミド化合物(A)及びポリアルケニルフェノール化合物(B)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、より好ましくは0.05〜7質量部であり、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。ラジカル重合開始剤(C)の使用量が0.01質量部以上であれば十分に硬化反応が促進され、10質量部以下であれば硬化性樹脂組成物の保存安定性がより良好である。
[N−オキシル化合物(D)]
理論により束縛されることを望むものではないが、硬化性樹脂組成物中で、ラジカル重合開始剤(C)から発生したラジカルによりラジカル種が発生し、ポリマレイミド化合物(A)とポリアルケニルフェノール化合物(B)が架橋・重合して硬化する。N−オキシルラジカルが発生したラジカル種を捕捉することで硬化性樹脂組成物中のラジカル濃度を調整し、架橋反応の進行及び成形時の流れ性の低下を抑制すると考えられる。
N−オキシル化合物(D)としては、例えば下記式(1)の部分構造を含む化合物を用いることができる。
Figure 2021059651
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、及びカルボキシ基から選択される官能基を表し、*は他の構造との結合部を表す。)なお、式(1)の酸素原子に付した「・」はラジカルを意味する。
1〜R4は好ましくは飽和又は不飽和の炭化水素基である。当該炭化水素基は直鎖、分岐鎖、脂環、芳香環のいずれであってもよく、置換基を有していてもよい。より好ましくは炭素原子数1〜10の前記の炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素原子数1〜6の前記の炭化水素基であり、よりいっそう好ましくはメチル基又はフェニル基である。
式(1)の部分構造を含むN−オキシル化合物(D)として、下記式(1)−1〜(1)−4で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2021059651
(式中、R5〜R14は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、及びカルボキシ基から選択される官能基を表し、Xは酸素原子、カルボニル基、及び−CHZ−から選択される二価基を表し、Zは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、ベンゾイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、イソチオシアナト基、及びシアノ基から選択される一価基を表す。)なお、式(1)−1〜(1)−4の酸素原子に付した「・」はラジカルを意味し、飽和又は不飽和の炭化水素基は直鎖、分岐鎖、脂環、芳香環のいずれであってもよく、置換基を有していてもよい。
式(1)−1において、R5及びR6は互いに同じでもよく異なっていてもよい。R5及びR6は水素原子、飽和又は不飽和の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基であることが好ましく、水素原子、前記の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であることがより好ましく、水素原子、前記の炭化水素基であることがさらに好ましい。前記の炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6である。
式(1)−2及び式(1)−4において、R7〜R10及びR11〜R14は同じでもよく異なっていてもよく、好ましくは水素原子、前記の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、カルボキシ基であり、より好ましくは水素原子、前記の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、炭素原子数1〜3の直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基であり、よりいっそう好ましくは水素原子、メチル基である。Xは好ましくはカルボニル基、及び−CHZ−から選択される二価基であり、より好ましくは−CHZ−である。Zは好ましくは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、ベンゾイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミノ基、及びアミド基から選択される一価基であり、より好ましくは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキニルオキシ基、アミノ基、アミド基、ベンゾイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、ヒドロキシ基、アルキニルオキシ基、及びアミド基から選択される一価基である。
N−オキシル化合物(D)は、好ましくは式(1)−2、式(1)−3、及び式(1)−4で表される化合物あり、より好ましくは式(1)−4で表される化合物である。
N−オキシル化合物(D)は、23℃において固体又は液体であることが好ましく、ハンドリング性及び硬化性樹脂組成物中での分散性に優れることから固体であることがより好ましい。
N−オキシル化合物(D)の具体例としては、特に限定はされないが、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、3−カルボキシ−2,5−ジフェニル−2,5−ジメチルピロリジン−1−オキシル、イソインドリン−2−オキシル、1,1,3,3−テトラメチルイソインドリン−2−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−(プロパルギルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−(2−ヨードアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−(メトキシカルボニル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−[2−[2−(4−ヨードフェノキシ)エトキシ]カルボニル]ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−イソチオシアナト−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等を挙げることができる。中でも、長期信頼性の観点から好ましくは2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、3−カルボキシ−2,5−ジフェニル−2,5−ジメチルピロリジン−1−オキシル、イソインドリン−2−オキシル、1,1,3,3−テトラメチルイソインドリン−2−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−(プロパルギルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−(メトキシカルボニル)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−イソチオシアナト−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである。入手しやすさの観点からより好ましくは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−(プロパルギルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである。これらの一種又は二種以上を用いることができる。
N−オキシル化合物(D)は、ラジカル重合開始剤(C)100質量部に対して0.1〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは0.15〜35質量部であり、さらに好ましくは0.2〜30質量部である。N−オキシル化合物(D)がラジカル重合開始剤(C)100質量部に対して0.1質量部以上であれば成形時の流れ性がより良好であり、40質量部以下であれば硬化物の強度がより良好である。
[充填材(E)]
硬化性樹脂組成物はさらに充填材(E)を含んでもよい。充填材(E)の種類に特に制限はなく、例として固体シリコーンゴム粒子、固体ゴム粒子、シリコーンパウダー等の有機充填材、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素等の無機充填材などが挙げられ、用途により適宜選択することができる。充填材(E)は、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、固体シリコーンゴム粒子、及び固体ゴム粒子からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
硬化性樹脂組成物を半導体封止用途に使用する場合には、熱膨張係数の低い硬化物を得るために絶縁性である無機充填材を配合することが好ましい。無機充填材は特に限定されず、公知のものを使用することができる。無機充填材として、具体的には、非晶質シリカ、結晶性シリカなどのシリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの粒子が挙げられる。低粘度化の観点からは真球状の非晶質シリカが望ましい。無機充填材は、シランカップリング剤などで表面処理が施されたものであってもよいが、表面処理が施されていなくてもよい。
充填材(E)の平均粒径は0.1〜30μmが好ましく、最大粒径が100μm以下、特に75μm以下のものがより好ましい。平均粒径がこの範囲にあると硬化性樹脂組成物の粘度が使用時に適切であり、狭ピッチ配線部又は狭ギャップ部への注入性も適切である。ここでいう平均粒径とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定される体積累積粒径D50である。
硬化性樹脂組成物の充填材(E)の含有量は、用途に応じて適宜決定することができる。硬化性樹脂組成物の充填材(E)の含有量は、ポリアルケニルフェノール化合物(A)とポリマレイミド化合物(B)の合計100質量部に対して、好ましくは100〜1900質量部、より好ましくは200〜1500質量部、さらに好ましくは300〜1000質量部である。充填材(E)の含有量が100質量部以上であれば、硬化物の熱膨張係数がより適切であり、1900質量部以下であれば、成形時の流れ性がより良好である。
その他の添加剤として、シランカップリング剤、消泡剤、着色剤、蛍光体、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、難燃剤、接着付与剤、離型剤等を硬化性樹脂組成物に配合することも可能である。例えば、接着性を改良する観点からシランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤は特に限定されず、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。シランカップリング剤は、単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。硬化性樹脂組成物へのシランカップリング剤の配合量は、ポリマレイミド化合物(A)及びポリアルケニルフェノール化合物(B)の合計100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。上記配合量が0.01質量部以上であれば、シランカップリング剤の効果が十分発揮され、10質量部以下であれば、硬化物の吸湿性及び強度がより良好である。
[硬化性樹脂組成物の調製方法]
硬化性樹脂組成物の調製方法は、ポリマレイミド化合物(A)、ポリアルケニルフェノール化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、N−オキシル化合物(D)、及びその他の任意成分が均一に混合及び分散できれば特に限定されない。ポリマレイミド化合物(A)、ポリアルケニルフェノール化合物(B)を先に溶融混合し、その後にラジカル重合開始剤(C)、N−オキシル化合物(D)及び任意の添加剤を加える方法は、各材料が均一に混合しやすいため好ましい。
各成分の混合方法は特に限定されない。各成分を所定の配合割合で反応容器、ポットミル、二本ロールミル、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー、ディスパー、単軸又は二軸(同方向又は異方向)押出機、ニーダーなどの混合機に投入し、撹拌又は混練することにより混合することができる。ラボスケールでは回転式混合機が容易に撹拌条件を変更できるため好ましく、工業的には生産性の観点から二軸ミキサーが好ましい。各混合機は撹拌条件を適宜変更して用いることができる。
硬化性樹脂組成物の粉末化を行う場合は作業工程により発生した熱により樹脂が溶融しない方法であれば特に限定されないが、少量であればメノウ乳鉢を用いるのが簡便である。市販の粉砕機を利用する場合、粉砕に際して発生する熱量が少ないものが混合物の溶融を抑制するために好ましい。粉末の粒径については1mm以下とすることが好ましい。
[構造体の作製方法]
硬化性樹脂組成物は、加熱することにより溶融させることができる。加熱温度は80〜130℃が、硬化反応が生じにくいため好ましい。溶融した硬化性樹脂組成物を任意の好ましい形状に成形し、必要に応じて硬化させ、脱型することにより、構造体を作製することができる。構造体の作製方法としては、モールディング成形、特にトランスファー成形及びコンプレッション成形が好ましい。トランスファー成形での好ましい条件として、例えばサイズが10mm×80mm×3mm厚の金型の場合、天板及び金型の温度を170〜190℃、保持圧力を50〜150kg/cm2、並びに保持時間を1.5〜10分間とすることができる。コンプレッション成形での好ましい条件として、例えばサイズが100mm×80mm×3mm厚の金型の場合、天板及び金型の温度を170〜190℃、保持圧力を5〜20MPa、並びに保持時間を1.5〜10分間とすることができる。
構造体は、硬化性樹脂組成物の硬化物と基材とを含むこともできる。硬化性樹脂組成物の硬化物を任意の接着手段で基材と接着させることにより、硬化性樹脂組成物の硬化物と基材が接着した構造体を作製することができる。該硬化物の作製方法としては、モールディング成形、特にトランスファー成形及びコンプレッション成形が好ましい。
トランスファー成形及びコンプレッション成形などのモールディング成形等により、溶融した硬化性樹脂組成物を基材上で任意の好ましい形状に成形し、必要に応じて硬化させ、脱型することにより、硬化性樹脂組成物の硬化物と基材が接着した構造体を作製することもできる。
基材としては、特に制限されないが、シリコンチップ、金属ワイヤー、リードフレーム、ヒートシンク、ガラス基板等を挙げることができる。
[硬化物の作製方法]
硬化性樹脂組成物は、加熱することにより硬化させることができる。硬化温度は、好ましくは130〜300℃、より好ましくは150〜250℃であり、さらに好ましくは150〜230℃である。硬化温度が130℃以上であれば、硬化前の硬化性樹脂組成物を十分溶融させて、金型に充填することができ、硬化後の脱型も容易である。硬化温度が300℃以下であれば、材料の熱劣化又は揮発を抑制することができる。加熱時間は硬化性樹脂組成物及び硬化温度に応じて適宜変更することができるが、生産性の観点から1.5分〜24時間が好ましい。この加熱は、複数回に分けて行ってもよい。特に高い硬化度を求める場合には、過度に高温で硬化させずに、例えば硬化の進行とともに昇温させて、最終的な硬化温度を250℃以下とすることが好ましく、230℃以下とすることがより好ましい。
[硬化物の用途]
硬化性樹脂組成物の硬化物は、例えば半導体封止材、プリプレグ、層間絶縁樹脂、ソルダーレジスト、ダイアタッチなどの用途に用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
実施例及び比較例で用いた分析方法及び特性評価方法は以下のとおりである。
[特性評価方法]
[分子量]
GPCの測定条件は以下のとおりである。
装置名:JASCO LC−2000 plus(日本分光株式会社製)
カラム:Shodex(登録商標)LF−804(昭和電工株式会社製)
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/min
検出器:JASCO RI−2031 plus(日本分光株式会社製)
温度:40℃
上記測定条件で、ポリスチレンの標準物質を使用して作成した検量線を用いて数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwを算出する。
[重合度]
重合度PはGPCより算出した数平均分子量をMn、ポリアルケニルフェノール化合物(B)の繰り返し構造の分子量をMとした時、以下の式で求められる。
P=Mn/M
[ガラス転移温度(Tg)]
硬化物の耐熱性をガラス転移温度(Tg)の観点から評価する。具体的には硬化性樹脂組成物を用い、トランスファー成形機にて金型温度180℃、保持圧力100kg/cm2、及び保持時間3分の条件で成形し、5mm×5mm×5mmのガラス転移温度測定用の試験片を作製する。試験片を200℃にて5時間加熱し、後硬化させた後、熱機械測定(TMA)により測定する。エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製TMA/SS6100熱機械分析装置を使用し、温度範囲30〜300℃、昇温速度5℃/分、荷重20.0mNの条件で試験片を用いて測定を行い、線膨張係数の変位点の温度をTgとする。
[ゲルタイム]
成形時の流れ性をゲルタイムの観点から評価する。具体的には0.5gの硬化性樹脂組成物を用いてゲルタイムを測定する。ゲルタイムは、自動硬化時間測定装置(松尾産業株式会社製)を用いて、測定温度180℃、撹拌部の自転速度100rpm、公転速度50rpmの条件で測定する。測定を開始してから、攪拌部のトルクセンサーが検出するトルク値が100%になるのに要する時間(秒)をゲルタイムとする。
[スパイラルフロー]
成形時の流れ性をスパイラルフローの観点からも評価する。具体的にはトランスファー成形機を用い、金型温度180℃、保持圧力100kg/cm2、及び保持時間3分の条件で、幅3mm、厚み3mmのスパイラル形状を有する金型で硬化性樹脂組成物30gを成形したときの流動長をスパイラルフロー長(cm)とする。
[ショアD]
硬化性樹脂組成物を用い、コンプレッション成形機にて、金型温度180℃、保持圧力10MPa、及び保持時間5分間の条件で成形し、50mm×50mm×5mmの試験片を作製する。成形機からの試験片の取り出しとショアDの測定は、成形後直ちに行う。ショアDの測定は、テクロック・デュロメータGS−720G(株式会社テクロック製)を用いて180℃にて実施する。
実施例及び比較例で用いた原材料は以下のとおりである。
[原材料]
[ポリマレイミド化合物(A)]
・BMI−4000(2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェニルオキシ)フェニル]プロパン、大和化成工業株式会社)
[ポリアルケニルフェノール化合物(B)]
・BRG−APO(式(2)−1のR15=水素原子、Q=−CR2223−、R22及びR23=水素原子、式(3)のR17〜R21=水素原子)
フェノールノボラック樹脂ショウノール(登録商標)BRG−556及びBRG−558(アイカ工業株式会社)の1:1混合物を用い、特開2016−28129号公報の実施例1に準じた方法でフェノール性水酸基のオルト位又はパラ位をアリル化した樹脂(水酸基当量154、数平均分子量Mn1000、重量平均分子量Mw3000、数平均重合度6.5、p=6.5、q=0、p/(p+q)=1)を製造した。
・HE100C−APO(式(2)−1及び式(2)−2のR15=水素原子、Q=p−キシリレン基、式(3)のR17〜R21=水素原子)
フェノールアラルキル樹脂HE100C−10−15(エア・ウォーター株式会社)を用い、特開2016−28129号公報の実施例1に準じた方法でフェノール性水酸基のオルト位又はパラ位をアリル化した樹脂(水酸基当量222、数平均分子量Mn900、重量平均分子量Mw1900、数平均重合度4.0、p=3.8、q=0.2、p/(p+q)=0.95)を製造した。
[ラジカル重合開始剤(C)]
・パークミル(登録商標)D(ジクミルパーオキサイド、日油株式会社)
[N−オキシル化合物(D)]
・4−ヒドロキシ−TEMPO フリーラジカル(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル フリーラジカル、東京化成工業株式会社)
・4−プロパルギルオキシ−TEMPO フリーラジカル(4−(プロパルギルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル フリーラジカル、東京化成工業株式会社)
・4−アセトアミド−TEMPO フリーラジカル(4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル フリーラジカル、東京化成工業株式会社)
[充填材(E)]
・シリカフィラーMSR2212(球状シリカ、平均粒径22.7μm、株式会社龍森)100質量部をシランカップリング剤KBM−603(信越化学工業株式会社)0.5質量部を用いて処理した。
他の成分として、以下の化合物を用いた。
・ヒドロキノン(東京化成工業株式会社)
・1,4−ベンゾキノン(東京化成工業株式会社)
・フェノチアジン(東京化成工業株式会社)
[硬化性樹脂組成物の製造]
実施例1〜9、比較例1〜4
表1−1又は1−2に記載の組成でポリマレイミド化合物(A)、ポリアルケニルフェノール化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)、N−オキシル化合物(D)、充填材(E)、及び他の成分を混合し、2本ロール(株式会社東洋精機製作所製、ロール径8インチ、110℃、10分)を用いて溶融混練を行った。25℃にて1時間放冷して固化したのち、ミルミキサー(大阪ケミカル株式会社製、型式WB−1、25℃、30秒)を用いて粉砕することにより、粉末状の硬化性樹脂組成物を得た。得られた硬化性樹脂組成物を打錠機(株式会社富士薬品機械製)によりタブレット状に押し固めたものを用いて、トランスファー成形機で成形し、各試験片の作製及び評価を行った。
Figure 2021059651
Figure 2021059651
実施例1〜9はゲルタイムが十分に長く、スパイラルフロー長も十分に大きいことから成形時の流れ性は良好であった。さらに、実施例1〜9は硬化度が十分であり、金型からの離型が容易であり、作業性が良好であった。すなわち、実施例1〜9は、成形時の流れ性に優れ、実用的な成形性を有していた。また、実施例1〜9はショアDの値が十分に高いことからも、硬化性に優れることが示された。さらに、実施例1〜9の硬化物は一般的なエポキシ樹脂を上回るガラス転移温度を有しており、耐熱性にも優れていた。一方、比較例1、2はゲルタイムが短く、スパイラルフロー長も小さいことから成形時の流れ性は悪かった。比較例3、4は、ゲルタイムが十分に長く、スパイラルフロー長も十分に大きいことから成形時の流れ性は良好であるものの、硬化不良で脱型が困難であった。
硬化性樹脂組成物を用いて、成形不良のない、信頼性の高い成形物を得ることができる。

Claims (14)

  1. ポリマレイミド化合物(A)、ポリアルケニルフェノール化合物(B)、ラジカル重合開始剤(C)及びN−オキシル化合物(D)を含有する硬化性樹脂組成物。
  2. 前記N−オキシル化合物(D)が下記式(1)の部分構造を含む化合物である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2021059651
    (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、及びカルボキシ基から選択される官能基を表し、*は他の構造との結合部を表す。)
  3. 前記N−オキシル化合物(D)が下記式(1)−1〜(1)−4で表される、請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 2021059651
    (式中、R5〜R14は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、飽和又は不飽和の炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、及びカルボキシ基から選択される官能基を表し、Xは酸素原子、カルボニル基、及び−CHZ−から選択される二価基を表し、Zは水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基、ベンゾイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アルキニルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、イソチオシアナト基、及びシアノ基から選択される一価基を表す。)
  4. 前記ポリマレイミド化合物(A)と前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)の合計100質量部に対して、前記ラジカル重合開始剤(C)を0.01〜10質量部含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記ラジカル重合開始剤(C)100質量部に対して、前記N−オキシル化合物(D)を0.1〜40質量部含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記ポリマレイミド化合物(A)の平均核体数が2個以上10個以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)が、下記式(2)−1:
    Figure 2021059651
    及び任意に下記式(2)−2:
    Figure 2021059651
    で表される構造単位を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
    (式(2)−1及び式(2)−2において、R15はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又はヒドロキシ基を表し、式(2)−1において、R16はそれぞれ独立に下記式(3):
    Figure 2021059651
    で表される2−アルケニル基を表し、式(3)において、R17、R18、R19、R20及びR21はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素原子数6〜12のアリール基であり、式(3)の*は、芳香環を構成する炭素原子との結合部を表し、R15及びR16は各フェノール骨格単位で同じでもよく異なっていてもよく、式(2)−1、式(2)−2の各Qはそれぞれ独立に式−CR2223−で表されるアルキレン基、炭素原子数5〜10のシクロアルキレン基、芳香環を有する二価の有機基、脂環式縮合環を有する二価の有機基、又はこれらを組み合わせた二価の有機基を表し、R22及びR23はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜6のアルケニル基、炭素原子数5〜10のシクロアルキル基、又は炭素原子数6〜12のアリール基を表す。)
  8. 前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)一分子あたりの、式(2)−1に示す構造単位の平均数をp、式(2)−2に示す構造単位の平均数をqとしたときに、pは1.1〜35の実数、p+qは1.1〜35の実数、qは式:p/(p+q)の値が0.4〜1になる実数である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 前記ポリマレイミド化合物(A)100質量部に対して、前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)を30〜200質量部含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. さらに充填材(E)を含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 前記ポリマレイミド化合物(A)と前記ポリアルケニルフェノール化合物(B)の合計100質量部に対して、前記充填材(E)を100〜1900質量部含む、請求項10に記載の硬化性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を、トランスファー成形又はコンプレッション成形することを含む構造体の製造方法。
  14. 請求項12に記載の硬化物と基材とを含む構造体であって、前記硬化物が、前記基材と接着した構造体。
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