JP2021055832A - 密封部材 - Google Patents

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【課題】 密封性を維持しつつ、長期間に亘って低トルク化を図ることができる密封部材を提供すること。【解決手段】 カルボキシル基含有アクリルゴム、タルク、及び、ガラス繊維を含み、前記タルクの含有量が、前記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して1〜30重量部であるゴム組成物の加硫物からなる摺動部を有する密封部材。【選択図】 図1

Description

本発明はオイルシール等の密封部材に関する。
トランスミッションやディファレンシャルギヤ用のオイルシールをはじめ、自動車では多くのオイルシールが用いられている。
自動車用途のオイルシールは、オイルの密封性とともに低燃費化の要求に伴い低トルク化が求められている。
密封部材の低トルク化を図る手法としては、相手部材と摺動するゴム部材を低摩擦化する手法が提案されている。
具体的には、例えば、黒鉛、二硫化モリブテン、ポリテトラフルオロエチレンなどの固体潤滑剤を上記ゴム部材に配合する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、固体潤滑剤は通常、オイルが切れた状態等の貧潤滑状態になってはじめて自己潤滑性を発現する。そのため、内部空間に封入した多量のオイルによる良好な潤滑下で常時使用されるオイルシールに上記固体潤滑剤を配合しても、更なる低摩擦化を図ることは困難であった。
また、オイルシールの低トルク化を図る手法として、例えば、特許文献2は、オイルシールの摺動部に梨地加工とコーティング処理とを施す手法を提案している。
特開2001−348460号公報 特開2011−241868号公報
特許文献2で提案されたオイルシールによれば、摺動部に梨地加工とコーティング処理とが施されているため、相手部材との接触面積を低減してオイルシールの低トルク化を図ることができる。しかしながら、コーティング層が磨滅すると、その後は早期に低トルク化効果が消失するという問題があった。
本発明は、このような状況のもと、密封性を維持しつつ、長期間に亘って低トルク化を図ることができる密封部材を提供することを目的する。
本発明の密封部材は、カルボキシル基含有アクリルゴム、タルク、及び、ガラス繊維を含み、
上記タルクの含有量が、上記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して1〜30重量部であるゴム組成物
の加硫物からなる摺動部を有する。
本発明の密封部材は、密封部材の摺動部を構成する上記ゴム組成物の加硫物がタルクとガラス繊維とを含むため、低トルク化に適している。これは、密封部材の相手部材との摺接面において、加硫ゴムの摩耗、タルクの脱落及びガラス繊維の露出による突起の形成によって、充分な粗さを有する摺接面が継続的に生じるためと考えている。このような摺接面を有する密封部材をオイルシールとして使用した際には、上記摺接面と相手部材との間に液膜が効率良く形成されて潤滑状態が良好になり、オイルのせん断抵抗を下げ、オイルシールの低トルク化が達成され、更には低トルク状態が維持される。
また、上記密封部材は、所定量のタルクを含有しているため、上記摺動部に相手部材に対する適切な締め付け力を付与し、密封部材として要求される密封性を確保することができる。
本発明の密封部材において、上記タルクの粒径は、1〜20μmが好ましい。
また、上記密封部材において、上記ガラス繊維は、繊維径が5〜20μm、繊維長が10〜400μm、アスペクト比が2〜20であり、上記ゴム組成物は、上記ガラス繊維の含有量が、上記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して15〜40重量部である、ことが好ましい。
これらの場合、要求される密封性を確保しつつ、密封部材の低トルク化を図るのにより適している。
本発明の密封部材によれば、密封性を維持しつつ、長期間に亘って低トルク化を図ることができる。
本発明の第1実施形態にかかるオイルシールの断面図である。 実施例及び比較例において、トルクの測定に使用したシールトルク試験機の一部を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態にかかる密封部材について図面を参照しながら詳述する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態にかかるオイルシールの断面図である。
オイルシール10は環状に形成され、その外周部の外周面が、例えばトランスミッションのハウジング35等に固定され、内周部のリップ先端24が回転軸36等の相手部材の軸表面のリップ当たり面36aに摺接し、ハウジング35と回転軸36との間の空間内に封入した潤滑油等を密封する。
オイルシール10は、金属環11と弾性部材12とを加硫接着してなる。金属環11は、軸方向に平行な部分14と、垂直な部分15とによって断面L字形状に屈曲して形成されている。弾性部材12は、金属環11の平行部分14の外周面及び垂直部分15の軸方向一側面を覆うように接着されるとともに、径方向内側に保護リップ19及び回転軸36との摺接部となるリップ先端24を備えるリップ頭部18を備えている。リップ頭部18の外周面には、締め付け力を補助するためのガータばね13が設けられている。
保護リップ19は、回転軸36に向かって延び、回転軸36との間の粉塵の通過を阻止している。また、保護リップ19は、リップ頭部18から離れる方向へ向けて斜めに延びている。
リップ頭部18は、金属環11の平行部分14の内周側に配置されるとともに、その外周面にガータばね13を嵌合するばね溝18aを有し、内周面は、径方向内方に向けて先細り形状となっている。したがって、リップ頭部18の内周面には、先細り形状のリップ先端(境界縁)24を境として軸方向両側に、互いに反対方向側に傾斜する2つのリップ側面20,23が形成されている。
保護リップ19から離れて配置された一方のリップ側面20は、密封流体側に配置されたリップ密封液側面とされ、保護リップ19側に配置された他方のリップ側面23は、リップ大気側面とされている。リップ頭部18では、主にリップ先端24が、回転軸36のリップ当たり面(軸の表面)36aに摺接する。なお、リップ頭部18は、リップ先端24が回転軸36のリップ当たり面36aに接触することによって径外方向に湾曲し、変形したリップ先端24とその近傍のリップ密封液側面20とリップ大気側面23とがリップ当たり面36aに接触するが、図1では、湾曲していない状態のリップ頭部18を示している。
リップ頭部18を含む弾性部材12は、ゴム組成物の加硫物からなる。上記ゴム組成物は、カルボキシル基含有アクリルゴムと、タルクと、ガラス繊維とを含む。ここで、タルクの含有量は、カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して1〜30重量部である。
オイルシール10は、弾性部材12が上記加硫物からなるため、優れた密封性を維持しつつ、長期間に亘って低トルク化を図ることができる。
オイルシール10のリップ先端24は、回転軸36のリップ当たり面36aとの摺接によって、加硫ゴムの摩耗、タルクの脱落及びガラス繊維の露出による突起の形成が継続的に生じ、これによってリップ先端24は、充分な粗さを持続すると考えている。その結果、オイルシール10のトルクが低下し、その状態が長期間に亘って維持されると考えている。
以下、上記ゴム組成物について詳述する。
上記ゴム組成物は、未加硫のカルボキシル基含有アクリルゴムと、タルクと、ガラス繊維とを含む。
上記カルボキシル基含有アクリルゴムとしては特に限定されず、例えば、カルボキシル基含有モノマーとアクリルモノマーとの共重合体である、下記式(1)で表されるポリマー等が挙げられる。
Figure 2021055832

(式(1)中、m、nはそれぞれ独立して正の整数である。Rは、−C、−C、又は、−COCHである。)
上記式(1)において、mとnの比率(n/m)は、0.0001〜0.15が好ましい。上記比率(n/m)が0.0001よりも小さいと、加硫物の機械的特性が不十分になるとともに、加硫物の切断時伸びが大きく低下し、上記加硫物からなる摺動部を有するオイルシールは、長期に亘って密封性を維持することができないことがある。上記比率(n/m)が0.15よりも大きい場合も、加硫物の切断時伸びが大きく低下し、この場合も上記加硫物からなる摺動部を有するオイルシールは、長期に亘って密封性を維持することができないことがある。
上記式(1)で表される上記カルボキシル基含有アクリルゴムは、カルボキシル基を有するユニットが架橋点としての役割を果たし、加硫剤との共存下で加熱することにより加硫ゴムとなる。
上記カルボキシル基含有アクリルゴムは、カルボキシル基含有モノマーと、アクリルモノマーと、更に第三のモノマーとを反応させて形成された共重合体であっても良い。上記第三のモノマーとしては、例えば、アクリル酸ブトキシエチル、エチレン、アクリル酸メチル等の1種または複数種の組み合わせが挙げられる。
上記カルボキシル基含有アクリルゴムとしては、市販品を用いることもできる。上記カルボキシル基含有アクリルゴムの市販品としては、例えば、Nipol(登録商標) AR12や、Nipol AR14(いずれも日本ゼオン社製)、NOXTITE(登録商標) PA−521、NOXTITE PA−522HF、NOXTITE PA−526、NOXTITE PA−524(いずれもユニマテック社製)、ラクレスター(登録商標) CH、ラクレスター CT、ラクレスター CUC(いずれも大阪ソーダ社製)等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有アクリルゴムとしては、1種類のカルボキシル基含有アクリルゴムを用いても良いし、2種類以上のカルボキシル基含有アクリルゴムを併用しても良い。
上記タルクは、含水ケイ酸マグネシウム(化学式:MgSi10(OH))を主成分とする無機粉末である。
上記タルクは、上記ゴム組成物中に配合できるものであれば良い。
上記ゴム組成物におけるタルクの含有量は、上記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、1〜30重量部である。
この場合、オイルシールとしての密封性を維持しつつ、長期間に亘って低トルク性能を維持することができる。
一方、上記タルクの含有量が1重量部未満では、上記ゴム組成物の加硫物の硬さが低く、オイルシールの密封性が不充分になる。また、上記タルクの含有量が30重量部を超えると、相手部材との摺接面にガラス繊維が過度に露出することでガラス繊維が破損し易くなり、当該ガラス繊維に基づく適切な突起を形成することができず、低トルク化を図ることが困難になる。
上記タルクの含有量は、密封性を維持しつつ、長期間に亘って低トルク性能を維持するのにより適している点で、上記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、10〜20重量部が好ましい。
上記タルクの形状は特に限定されないが、例えば、鱗片状、板状、球状等が挙げられる。上記タルクの形状は、鱗片状が好ましい。
上記タルクの粒径は、1〜20μmが好ましい。上記粒径が1μm未満では、タルクによるゴムの補強効果が大きくなり、摺動部が摩耗しにくくなる。それにより、ガラス繊維が相手部材との摺接面に露出しにくくなり、当該摺接面に適切な突起を形成しにくくなる。一方、上記粒径が20μmを超えると摺動部の摩耗が過大になって、相手部材との摺接面にガラス繊維が過度に露出することで、ガラス繊維が破損しやすくなる。この場合も、上記摺接面にガラス繊維に基づく適切な突起を形成しにくくなる。そのため、いずれの場合も低トルク化を図ることが困難になる。
上記タルクの粒径は、4〜10μmがより好ましい。
上記タルクの粒径は、JIS Z 8825:2013 粒子径解析−レーザ回析・散乱法に基づいて測定する。
上記タルクとしては、市販品を用いることもできる。上記タルクの市販品としては、例えば、ミストロンベーパー(イメリス スペシャリティーズ ジャパン社製)、タルク JA−24R(浅田製粉社製)、微粉タルク P−2(日本タルク社製)等が挙げられる。
上記タルクは、例えば、シランカップリング剤等で表面処理されたものであっても良い。
また、上記ゴム組成物を調製する際には、マスターバッチ化されたタルクを使用しても良い。
上記ガラス繊維は、上記ゴム組成物中に配合できるものであれば良い。
上記ガラス繊維の寸法は特に限定されないが、例えば、繊維径が5〜20μm、繊維長が10〜400μm、アスペクト比が2〜20程度のものが好ましい。このようなガラス繊維を上記タルクとともに用いた場合、オイルシールの相手部材との摺接面に当該ガラス繊維に基づく適切な突起を形成するのに適している。
上記ガラス繊維の繊維長及び繊維径は、無作為に選択した100本のガラス繊維を顕微鏡で観察して各ガラス繊維の繊維長及び繊維径を測定し、繊維長及び繊維径のそれぞれの平均値を算出したものである。このとき、顕微鏡としては、光学顕微鏡や捜査型電子顕微鏡などを用いることができる。
上記ガラス繊維のアスペクト比は、上記繊維長を上記繊維径で除した値である。
上記ゴム組成物における上記ガラス繊維の含有量は、上記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して、15〜40重量部が好ましい。
上記ガラス繊維の含有量がこの範囲にあれば、オイルシールにおける上記加硫物の硬さを密封性を確保するのに適した硬さとしつつ、上記オイルシールの摺接面に低トルク化に適した凹凸を形成するのに好適である。
上記ガラス繊維は、シランカップリング剤で表面処理されたものが好ましい。
この場合、弾性部材12を構成する上記ゴム組成物の加硫物の切断時引張強さ(Tb)及び切断時伸び(Eb)が向上し、長期間に亘って低トルク化を維持するのにより適したオイルシールとなる。
上記ゴム組成物は、更に、加硫剤を含有する。上記加硫剤は、アミン系加硫剤等のカルボキシル基含有アクリルゴムを架橋できるものであれば良い。
また、上記ゴム組成物は、必要に応じて、グアニジン化合物、スルフェンアミド化合物、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、3級アミン等の加硫促進剤、飽和脂肪酸(例えば、ステアリン酸等)、マイクロクリスタリンワックス等の加工助剤、老化防止剤を含有しても良い。
また、上記ゴム組成物は、カーボンブラック、シリカ等の補強用フィラーを含有しても良い。これらの補強用フィラーは、シランカップリング剤などで表面処理されていても良い。
上記ゴム組成物は、更に、オイルシールに配合される他の公知の添加剤等を含有しても良い。
上記ゴム組成物の加硫物のデュロメータA硬さは、A65〜A75が好ましい。
上記加硫物のデュロメータA硬さがA65未満では、弾性部材12の相手部材(回転軸36)に対する締め付け力が不十分となりオイル漏れが発生することがある。
一方、上記加硫物のデュロメータA硬さがA75を超えると、弾性部材12の相手部材に対する追従性が不十分となり、この場合もオイル漏れが発生することがある。
上記デュロメータA硬さは、JIS K 6253−3:2012に準拠した方法で測定すれば良い。
上記ゴム組成物の加硫物の切断時引張強さ(Tb)は、6.5MPa以上が好ましい。
また、上記ゴム組成物の加硫物の切断時伸び(Eb)は、100%以上が好ましい。
上記加硫物がこれらの引張特性を充足する場合、弾性部材12は十分な機械強度を有し、長期間に亘ってオイルシールとしての密封性を確保するのに適している。
上記切断時引張強さ(Tb)及び上記切断時伸び(Eb)は、JIS K 6251:2017に準拠した方法で測定すれば良い。
本実施形態に係るオイルシール10は、例えば下記の工程を経て製造することができる。
(1)まず、未加硫のカルボキシル基含有アクリルゴム、タルク、ガラス繊維、及び、加硫剤、更には、必要に応じて配合する加硫促進剤や加工助剤等の各種添加剤を含有するゴム組成物を調製する。このゴム組成物は、予め各配合成分を計量し、ロール、ニーダ等の混錬機で混練することによって調製すれば良い。
(2)次に、金型内に、上記ゴム組成物を注型し、所定の条件で加硫成形する。
この工程では、上記ゴム組成物を加硫成形する際に、金属環11を金型内に予め設けておき、金属環11と弾性部材12とを加硫接着させることが好ましい。これにより、製造工数を低減することができる。
(3)その後、成形品を金型から取り出し、ガータばね13を嵌合させ、オイルシール10を完成する。
(他の実施形態)
本発明の実施形態に係る密封部材は、オイルシールに限定されず、例えば、ダストシールや、他のシール部材等であっても良い。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例のそれぞれでは、図1に示した形状のオイルシールと、物性を測定するためのシートとを作製した。
実施例及び比較例で、ゴム組成物の調製に用いたカルボキシル基含有アクリルゴム、タルク、及び、ガラス繊維は以下の通りである。
・カルボキシル基含有アクリルゴム:
Nipol AR12(日本ゼオン社製)
・タルク:
ミストロンベーパー(イメリス スペシャリティーズ ジャパン社製)、粒径=7μm
・ガラス繊維:
MH06JB1−20(旭ファイバーグラス社製)、繊維径=10μm、繊維長=63μm
(実施例1)
(1)カルボキシル基含有アクリルゴム(Nipol AR12)100重量部、タルク(ミストロンベーパー)15重量部、ガラス繊維(MH06JB1−20)20重量部、及び、添加剤(補強用フィラー、加硫剤、加硫促進剤及び加工助剤など)80.6重量部をロールで混練し、ゴム組成物を得た。
(2−1)金属環を設置した金型に上記(1)で得たゴム組成物を注型した後、180℃、10分間の条件で一次加硫を行い、更に、180℃、4時間の条件で二次加硫を行い、図1に示した形状のオイルシールを作製した。
(2−2)上記(2−1)とは別に、上記(1)で得たゴム組成物を金型を用いて上記の加熱条件でシート状に加硫成形し、上記ゴム組成物の加硫物からなる厚さ2mmのシートを作製した。
(実施例2)
ガラス繊維の配合量を35重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、オイルシールとシートとを作製した。
(比較例1)
タルク及びガラス繊維を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、オイルシールとシートとを作製した。
(比較例2)
タルクを配合しなかった以外は、実施例2と同様にして、オイルシールとシートとを作製した。
(比較例3)
タルクを配合し、その量を35重量部とした以外は、比較例1と同様にして、オイルシールとシートとを作製した。
(比較例4)
タルクの配合量を35重量部とした以外は、実施例1と同様にして、オイルシールとシートとを作製した。
(比較例5)
タルクの配合量を35重量部とした以外は、実施例2と同様にして、オイルシールとシートとを作製した。
実施例及び比較例のそれぞれで作製したオイルシール又はシートを使って下記の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)シートを使った評価
(1−1)デュロメータA硬さ:
シートを30×50mmの寸法に切り出し、タイプAデュロメータを使用して「JIS K 6253−3:2012」に準拠した方法でデュロメータA硬さを測定した。測定は、試験片を3枚重ねて行った。
(1−2)切断時引張強さ(Tb)及び切断時伸び(Eb):
シートを切り切り出し、ダンベル状3号形の試験片を作製した。
作製した試験片を使用して「JIS K 6251:2017」に準拠した引張試験を行った。このとき、引張り速度は、500mm/minとし、試験片の数は3個とした。
(2)オルシールを使った評価
(2−1)トルク:
図2に示したように、オイルシール10の外周部をシールトルク試験機100のハウジング135に固定しつつ、オイルシール10の内周部を回転軸136に挿通し、オイル140を密封した状態で回転軸136を回転させ、そのときのトルク[mN・m]をロードセル(図示せず)で測定した。このとき、試験条件としては、
試験温度:室温(25℃)
周速:4.5m/s
なじみ試験:30min
トルク試験:2min
を採用した。結果を表1に示した。
この評価により、実施例1、2のオイルシールは、低トルク化に寄与できることが明らかとなった。
Figure 2021055832
10:オイルシール、11:金属環、12:弾性部材、13:ガータばね、
18:シール頭部、19:保護リップ、20:リップ密封液側面、23:リップ大気側面

Claims (3)

  1. カルボキシル基含有アクリルゴム、タルク、及び、ガラス繊維を含み、
    前記タルクの含有量が、前記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して1〜30重量部であるゴム組成物
    の加硫物からなる摺動部を有する密封部材。
  2. 前記タルクは、粒径が1〜20μmである、請求項1に記載の密封部材。
  3. 前記ガラス繊維は、繊維径が5〜20μm、繊維長が10〜400μm、アスペクト比が2〜20であり、
    前記ゴム組成物は、前記ガラス繊維の含有量が、前記カルボキシル基含有アクリルゴム100重量部に対して15〜40重量部である、請求項1又は2に記載の密封部材。
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