JP2021054141A - 車両のバックドア構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックドアのインナパネルおよびヒンジレインの固定部周辺における車室に対して内外各側への突出量を抑制しながらもバックドア閉時に、固定部への入力荷重によってヒンジレインがインナパネルから剥離する変形を抑制すること。【解決手段】インナパネル20へ取り付けられバックドア1を車体に対して開閉可能に軸支するヒンジ50のインナパネル20への取り付け位置を補強するヒンジレイン3に、ヒンジ50と固定する固定部30と、固定部30から車幅方向に離間した位置においてインナパネル20と結合する第1結合部41と、固定部30から車幅方向に直交する方向に離間した位置においてインナパネル20と結合する第2結合部42と、第1結合部41と第2結合部42との間において、これらを直線で結ぶ仮想線L2と略平行に延びる高剛性部43と、を備え、高剛性部43が延びる軸線上又はその近傍に、第1結合部41を設けた。【選択図】図4

Description

この発明は、例えば、バックドアのインナパネルに取り付けられ、該バックドアを車体に対して開閉可能に、車幅方向に沿って延びる軸を介して軸支するヒンジと、インナパネルに取り付けられヒンジと対向する位置において設けられるヒンジレインと、を備えた車両のバックドア構造に関する。
車両のバックドア構造として、特許文献1に例示するように、バックドアのインナパネル(ドアインナパネル)と、該バックドアのインナパネルの後面に接合されたヒンジレイン(ヒンジリインフォースメント)とに、ヒンジが固定される固定部(ヒンジ取付け部)を有する構造が提案されている。
特許文献1のバックドア取付け構造は、インナパネルおよびヒンジレインにおける、固定部に隣接する車幅方向外側位置に、車両前後方向に凹設又は凸設されて固定部周辺に対して車両前後方向で角度を有するオフセット面を形成したものである。
これにより、特許文献1の構造は、バックドア閉時に、ヒンジレインにおける固定部周辺に、インナパネルから剥離する方向の荷重が入力された際においても該固定部周辺の剛性を確保することができるものである。
ところで、近年の車体デザインの多様化に伴って、車体後部のデザインによっては例えば、バックドアの上部の厚み、すなわちバックドアの上部におけるアウタパネルとインナパネルとの間に有する閉断面(閉断面空間)を薄くしたいニーズがある。
しかしながら、インナパネルおよびヒンジレインにおけるオフセット面を、固定部周辺に対して車両後方、すなわちバックドアの閉断面側(車室外側)に向けて突出(オフセット)して形成した特許文献1のような構成において、バックドアの上部の厚みが薄くなるような車体後部のデザインを採用しようとした場合、オフセット面の閉断面への突出長さ(オフセット長さ)が制限される。すなわち、インナパネルおよびヒンジレインにおける、固定部周辺の剛性とバックドアの上部のデザイン性との両立を図ることが困難になるおそれがある。
一方例えば、インナパネルおよびヒンジレインにおけるオフセット面を、固定部周辺に対して車両前方、すなわち車室側に向けて突出(オフセット)して形成した構成においては、上記オフセット面が、車室側へ突出することで車室が狭くなることや、車体後部に干渉し易くなるためバックドアの車体後部に対する取り付け性の低下が懸念される。
すなわち、インナパネルおよびヒンジレインにおける、固定部周辺の剛性と、車室スペースを確保すること並びにバックドアの車体への取り付け性との両立を図ることが困難になるおそれがある。
特開2015−160486号公報
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、インナパネルおよびヒンジレインの固定部周辺の車室側又は車室外側への突出量(オフセット量)を抑制しながらもバックドア閉時に、固定部にインナパネルから剥離する方向の荷重が入力された際、ヒンジレインの車室外側への曲げ変形、すなわち、ヒンジレインがインナパネルから剥離する変形を抑制できる車両のバックドア構造の提供を目的とする。
この発明は、バックドアのインナパネルに取り付けられ、該バックドアを車体に対して開閉可能に、車幅方向に沿って延びる軸を介して軸支するヒンジと、上記インナパネルに取り付けられ上記ヒンジと対向する位置において設けられるヒンジレインと、を備えた車両のバックドア構造であって、上記ヒンジレインは、上記ヒンジと固定する固定部と、上記固定部から車幅方向に離間した位置において上記インナパネルと結合する第1結合部と、上記固定部から車幅方向に直交する方向に離間した位置において上記インナパネルと結合する第2結合部と、上記第1結合部又は/及び上記固定部と上記第2結合部との間において、これらを直線で結ぶ仮想線と略平行に延びる高剛性部と、を備え、上記高剛性部が延びる軸線上又はその近傍に、上記第1結合部又は/及び上記固定部が設けられたものである。
上記構成によれば、ヒンジレインの固定部周辺だけでなく、より広範囲に亘って剛性を向上することができるため、バックドア閉時に、固定部にインナパネルから剥離する方向の荷重が入力された際、ヒンジレインの車室外側への曲げ変形、すなわち、ヒンジレインがインナパネルから剥離する変形を抑制できる。
さらに、上記構成によれば、インナパネルおよびヒンジレインの固定部周辺の車室側又は車室外側への突出量(オフセット量)を抑制しながらも、固定部周辺の剛性を向上することができる。
従って、バックドアの上部の車室外側への突出しを抑制することで、バックドアの上部の厚みを薄くしたデザインが制限されることがなく、また、バックドアの上部の車室側への突出しを抑制することで、車室スペースを確保しつつバックドアの車体への取り付け性を確保することができる。
この発明の態様として、上記高剛性部は、上記ヒンジレインにおいて、上記インナパネルを有する側(車両下方または前方)、又は、その反対側(車両上方または後方)へ突出するビードで形成したものである。
上記構成によれば、ヒンジレインに高剛性部を備えるにあたり、部品点数や質量を増大させずに曲げ変形を抑制できる。
この発明の態様として、上記インナパネルには、上記ヒンジレインに形成した上記ビードと連続して延びるビードが設けられ、上記インナパネル側の上記ビードと、上記ヒンジレイン側の上記ビードとは、少なくとも一部が互いの板厚方向において重複するものである。
上記構成によれば、上記インナパネル側のビードと上記ヒンジレイン側のビードとで、ヒンジレインとインナパネルとを板厚方向に重ね合わせたビードとなるため、より効果的に上下方向の曲げ変形を抑制できる。
この発明の態様として、上記ヒンジレイン側の上記ビードは、その延在方向の上記第2結合部の側の端部、又は/及び、該第2結合部と反対側の端部が、夫々に対応する結合部又は固定部に至るまで延びる延長部を備えており、上記インナパネル側の上記ビードと、上記ヒンジレイン側の上記ビードの上記延長部とは、互いの板厚方向において重複するものである。
上記構成によれば、上記ヒンジレイン側の上記ビードを、第2結合部、又は/及び、第1結合部或いは固定部まで延長した延長部を有して形成するとともに、上記延長部において上記インナパネル側の上記ビードと重複させることで、バックドアの開閉の繰り返しにより応力が集中し易い第2結合部、又は/及び、第1結合部或いは固定部を、効果的に高剛性化して補強することができる。
この発明の態様として、上記ヒンジレインは、車幅方向両端部において上記インナパネルを有する側、又は、その反対側へ突出するフランジ部を備えたものである。
上記構成によれば、バックドア閉時に、固定部にインナパネルから剥離する方向の荷重が入力された際、上記ヒンジレインがインナパネルから剥離する方向の変形をさらに抑制できる。
この発明によれば、インナパネルおよびヒンジレインの固定部周辺の車室側又は車室外側への突出量(オフセット量)を抑制しながらもバックドア閉時に、固定部にインナパネルから剥離する方向の荷重が入力された際、ヒンジレインの車室外側への曲げ変形、すなわち、ヒンジレインがインナパネルから剥離する変形を抑制できる。
車両のバックドア構造に備えたバックドアを、外装部品を一部省略して示した背面図。 車両のバックドア構造に備えたバックドアの、上部を拡大して示した正面図(a)、車両右側のヒンジおよび、その周辺を車両右側且つ車室側から視た斜視図(b)。 車両のバックドア構造に備えたバックドアを、外装部品およびアウタパネルアッパ部材を取り除いて車両後方に対して斜め上方から視た背面図。 図1中のA−A線に沿った要部矢視断面図。 図3中の要部拡大図(a)、図5(a)においてヒンジレインを取り除いて示した図5(a)対応図(b)。 図5(a)中のB−B線に沿った要部矢視断面図。 車両左側のヒンジレインを、車両左側かつ後方から視た斜視図。 車両左側のヒンジレインの背面図。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態のバックドア構造を備えた車両について、図1から図8を用いて上述する。
なお、図中において、矢印Fは車両前方向、矢印Rは車両右方向、矢印Lは車両左方向、矢印Uは車両上方向、矢印outは車幅方向外側、矢印inは車幅方向内側を示している。
図1に示すように、車両の車体後部には、開口部(図示省略)が車両後方に向けて開口形成されるとともに、該開口部を閉塞するバックドア1を備えている。
バックドア1の上部は、車体後部の開口部の上縁の左右各側の位置においてヒンジ50を介して該開口部を開閉可能に軸支される。
なお、車体後部の開口部の左右各縁部とバックドア1との間には、バックドア1の開動作を補助するとともに開状態を維持するバックドアダンパ100が設けられている(図2(a)参照)。
図1〜図4に示すように、バックドア1は、アウタパネル10(図1、図3、図4参照)とインナパネル20(図2(a)(b)、図3、図4参照)と、左右各側に備えたヒンジ50に対応する位置に設けられたヒンジレイン3(「ヒンジレインフォースメント」とも称する)(図3、図4参照)と、アウタパネル10の外面(車室外側の面)を覆う外装部材4(図1参照)を備えている。
なお、図1中仮想線で示した符号4aは、ガーニッシュで形成された外装部材4としての外装パネルであり、仮想線で示した符号4bは、外装部材4としてのサイドスポイラであり、これら符号4a,4b以外の外装部材4の図示は省略している。
図1、図3に示すように、バックドア1のアウタパネル10は、バックドア1の下部に配設されるアウタパネルロア10d(図1参照)と、バックドア1の上部に配設されるアウタパネルアッパ10uとを備えており、上下方向に連続するように配設されている。図3は、アウタパネル10のうちアウタパネルアッパ10uを取り除いて後方斜め上方(図4中の矢視D1)から視たバックドア1の斜め上方から視た背面図である。
図3、図4に示すように、バックドア1のインナパネル20は、アウタパネル10に対して車室側(車両下方かつ後方)に配設され、アウタパネル10の外周端部(例えば後述する前上端フランジ部14(図4参照))が、その裏側に折り返されてインナパネル20の外周縁部(例えば後述する前上端フランジ部24(同図参照))上に折り重ねられることで、アウタパネル10とインナパネル20とがヘム加工で互いに接合される。
なお、バックドア1のインナパネル20の周縁部には、ウェザーストリップwsがドア閉時において車体後部の開口部の周縁部に弾接するように車室側の面から装着されている(図2(a)(b)、図4参照)。
図1、図2(a)、図3、図4に示すように、バックドア1の上部かつ車幅方向中央部には、バックウインドウ開口1Aが開口形成されるとともに、バックウインドウ開口1Aを閉塞するバックウインドウ5(図4参照)を備えている。バックウインドウ開口1Aの周縁部は、該周縁部に対応するアウタパネル10とインナパネル20とが互いに接合されている。なお、図1、図2(a)、図3はバックウインドウ5の図示を省略している。
なお、バックウインドウ5は、その外周縁部がバックウインドウ開口1Aの周縁部において、該周縁部に対応するアウタパネル10に対して車室外側から接着剤6により接着されている(図4参照)。
バックドア1は、インナパネル20とアウタパネル10との間に閉断面1sが構成されており、該閉断面1sは、バックウインドウ5よりも上方に位置するバックドア1の上辺部1Uにおいては、車幅方向に延びている。
図2(a)、図3、図4、図5(b)に示すように、上辺部1Uにおけるインナパネル20は、バックウインドウ開口1Aの上縁を形成する後下端フランジ部21と、該後下端フランジ部21の前上端から車両前方程上方に位置するように緩やかに傾斜して延びる上辺主要部22と、上辺主要部22の前上端から上辺主要部22よりも急峻に立ち上がり、アウタパネル10に対して近接するまで車両前方程上方に位置するように傾斜して延びる立上がり部23と、立上がり部23の前上端からアウタパネル10に沿って前方へ延びる前上端フランジ部24(図4参照)と、を備えて一体形成されている。
インナパネル20の上辺主要部22と立上がり部23との間には、車幅方向に沿って延びる折り曲げ部25が形成されている。図4に示すように、折り曲げ部25は、車両前方かつ下方へ突状に形成されており、車幅方向に延びる稜線として形成されている。
図4に示すように、バックドア1の上辺部1Uにおけるアウタパネル10は、バックウインドウ開口1Aの上縁部を形成する後下端フランジ部11と、該後下端フランジ部11の前上端から立ち上がる立上がり部12と、立上がり部12の前上端から車両前方程上方に位置するように緩やかに傾斜して延びる上辺主要部13と、上辺主要部13の前上端から前方へ延びる前上端フランジ部14と、を備えて一体形成されている。
また図2(a)(b)、図4に示すように、ヒンジ50は、車体に取り付けられる車体側取付け部材51と、バックドア1に取り付けられるドア側取付け部材52と、車幅方向に直線状に延びる軸としてのピン53(図2(b)、図4、図6参照)とを備えている。ピン53は、ヒンジ50の回転中心を成し、図2(b)、図6に示すように、該ヒンジ50の回転中心軸L1(ピン53の軸方向)が車幅方向と平行になるように直線状に延びている。
ドア側取付け部材52は、ピン53を介して車体側取付け部材51に軸支される。図6に示すように、ドア側取付け部材52は、車幅方向に互いに離間する内外各側に、一対の取付けフランジ部152a,152b(車幅内側取付けフランジ部152aおよび車幅外側取付けフランジ部152b)を備えて全体として略ハット形状に形成されている。
一対の取付けフランジ部152a,152bは、ボルトB1およびナットN1を用いてバックドア1に締結可能に車幅方向の内外各側(すなわち互いに相離反する方向)へ突出形成されており、夫々の取付けフランジ部152a,152bには、ボルトB1の挿通を許容するボルト挿通穴54a,54bが貫通形成されている。
車体側取付け部材51は図示省略するが、車体後部の開口部の上縁に取り付け可能に形成されおり、車体後部の開口部の上縁に位置するルーフ後端において車幅方向に延びるリヤヘッダの上面に設けられたヒンジブラケットにボルトB2およびナットN2(図2(b)、図4参照)を用いて締結固定される。
図3、図4、図5(a)に示すように、ヒンジレイン3は、バックドア1の左右各側のヒンジ50に対向する位置、すなわち、バックドア1の上辺部1Uの両サイドの位置に配設されている。ヒンジレイン3は、上記位置においてインナパネル20に対して車室外側(閉断面1sの側)の面から複数箇所において接合されている。ヒンジレイン3のインナパネル20に対する具体的な接合箇所については後述する。
ヒンジレイン3は図4に示すように、バックドア1の上辺部1Uにおいて、該上辺部1Uの上下方向(車両前後方向)の略全長に亘って、すなわち、ヒンジ50に対向する位置からバックウインドウ開口1Aの上縁部に至るまでインナパネル20に沿って後下方に延びている。
なお、図4は図1中又は図5(a)中のA−A線に沿った要部矢視断面図を示す。
具体的にヒンジレイン3は図4、図5(a)、図7、図8に示すように、バックウインドウ開口1Aの上縁部を形成する後下端フランジ部31と、該後下端フランジ部31の前上端から車両前方程上方に位置するように緩やかに傾斜して延びる上辺主要部32と、上辺主要部32の前上端から該上辺主要部32の傾斜角度よりも急峻に立ち上がり、アウタパネル10に対して近接するまで車両前方程上方に位置するように延びる立上がり部33と、を備えて一体形成されている。
ヒンジレイン3の上辺主要部32と立上がり部23との間には、車両平面視でインナパネル20の折り曲げ部25に対応して車幅方向に沿って延びる折り曲げ部35が形成されている。折り曲げ部35は、車両前方かつ下方へ突状に形成されており、車幅方向に延びる稜線として形成されている。
図5(a)に示すように、ヒンジレイン3をインナパネル20に対して閉断面1sの側(車室外側)から接合した状態において、インナパネル20とヒンジレイン3とは、夫々の後下端フランジ部21,31(図4参照)、上辺主要部22,32、立上がり部23,33の略全体が互いに当接した状態となる。
なお上述したように、バックウインドウ開口1Aの周縁部は、該周縁部に対応するアウタパネル10とインナパネル20とが互いに接合されるが、ヒンジレイン3を備えた位置においては、図4に示すように、アウタパネル10とインナパネル20の各後下端フランジ部11,21の間にヒンジレイン3の後下端フランジ部31が介在している。
そして、これら後下端フランジ部11,21,31を、後述する第2接合部42(後述する第2車幅内側接合部42aおよび第2車幅中間接合部42m)においてスポット溶接により3枚接合している(図5(a)(b)、図7、図8参照)。
図5(a)、図7、図8に示すように、ヒンジレイン3の後下部には、前上部の車幅方向外端よりも車幅方向外側へ張り出(オフセット)した後下部車幅外側張出し部38が形成されている。なお、図5(a)に示すように、この後下部車幅外側張出し部38は、バックウインドウ開口1Aの上縁部よりも車幅方向外側に延びており、後下端フランジ部31が形成されていない。
一方同図に示すように、ヒンジレイン3の前上部には、後下部の車幅方向内端よりも車幅方向内側へ張り出(オフセット)した前上部車幅内側張出し部39が形成されている。
図4、図6に示すように、インナパネル20とヒンジレイン3との各立上がり部23,33は共に、車幅方向の直交断面視で前上後下状に傾斜して延び、ヒンジレイン3の立上がり部33の前面(車室側の面)とインナパネル20の立上がり部23の後面(車室外側の面)とが、後述するとおり互いに接合されている。すなわち、インナパネル20およびヒンジレイン3の各立上がり部23,33は夫々の板厚方向において互いに接合されている。
さらに図5(a)(b)、図6に示すように、インナパネル20およびヒンジレイン3の各立上がり部23,33の車幅方向におけるヒンジ50に対向する位置には、ボルトB1およびナットN1を用いて、ヒンジ50をインナパネル20およびヒンジレイン3に対して締結固定するヒンジ取付け部26,36が形成されている。
具体的には図5(b)、図6に示すように、インナパネル20側のヒンジ取付け部26は、インナパネル20の立上がり部23の車幅方向において、互いに離間する各位置に対応して一対が形成されている。
図6に示すように、インナパネル20側のこれら一対のヒンジ取付け部26のうち、車幅方向内側のヒンジ取付け部26a(車幅内側ヒンジ取付け部26a)は、ヒンジ50における車幅内側取付けフランジ部152aに対応する位置に形成されるとともに、車幅方向外側のヒンジ取付け部26b(車幅外側ヒンジ取付け部26b)は、ヒンジ50における車幅外側取付けフランジ部152bに対応する位置に形成されている。
同様に図5(a)、図6、図7、図8に示すように、ヒンジレイン3側のヒンジ取付け部36は、ヒンジレイン3の立上がり部33の車幅方向において、互いに離間する各位置に対応して一対が形成されている。
図6に示すように、ヒンジレイン3側のこれら一対のヒンジ取付け部36のうち、車幅方向内側のヒンジ取付け部36a(車幅内側ヒンジ取付け部36a)は、ヒンジ50における車幅内側取付けフランジ部152aに対応する位置に形成されるとともに、車幅方向外側のヒンジ取付け部36b(車幅外側ヒンジ取付け部36b)は、ヒンジ50における車幅外側取付けフランジ部152bに対応する位置に形成されている。
なお図6に示すように、インナパネル20側のヒンジ取付け部26については車室側の面(当例では前面)が、ヒンジレイン3側のヒンジ取付け部36については車室外側の面(当例では後面)が、夫々ヒンジ取付け座面として平坦状に形成されている。
そして図2(a)(b)、図4、図6に示すように、ヒンジ50は、該ヒンジ50に備えたドア側取付け部材52が、ヒンジレイン3側とインナパネル20側との夫々のヒンジ取付け部26,36において、車室側からボルトB1およびナットN1を用いて締結固定される。
具体的には図6に示すように、インナパネル20とヒンジレイン3との夫々の側におけるヒンジ取付け部26,36は、これらの正面視中央部に、ヒンジ締結用のボルトB1の挿通を許容するボルト挿通穴27,37が貫通形成されている。
図6に示すように、インナパネル20とヒンジレイン3との夫々における車幅内側ヒンジ取付け部26a,36aに貫通形成されたボルト挿通穴27a,37aは、互いに連通するとともに、図4、図6に示すように、インナパネル20とヒンジレイン3との夫々における車幅外側ヒンジ取付け部26b,36bに貫通形成されたボルト挿通穴27b,37bは、互いに連通する。
そして、図6に示すように、ヒンジレイン3側に設けた車幅内側ヒンジ取付け部36aと、ヒンジ50に備えたドア側取付け部材52に形成された車幅内側取付けフランジ部152aとで、インナパネル20側に設けた車幅内側ヒンジ取付け部26aを挟み込むようにして、ボルトB1およびナットN1を用いて締結固定している。ヒンジレイン3における、当該締結位置(ボルト挿通穴37aの形成位置)を車幅内側締結部30aと称する。
同様に、図4、図6に示すように、ヒンジレイン3側に設けた車幅外側ヒンジ取付け部36bと、ヒンジ50に備えたドア側取付け部材52に形成された車幅外側取付けフランジ部152bとで、インナパネル20側に設けた車幅外側ヒンジ取付け部26bを挟み込むようにして、ボルトB1およびナットN1を用いて締結固定している。このヒンジレイン3における、当該締結位置(ボルト挿通穴37bの形成位置)を車幅外側締結部30bと称する。
図5(a)、図6、図7、図8に示すように、ヒンジレイン3における、締結部30(30a,30b)(車幅内側締結部30aおよび車幅外側締結部30b)に対して車幅方向に離間した位置には、インナパネル20とスポット溶接により接合した第1接合部41が複数形成されている(図中「×」印参照)。
すなわち、複数の第1接合部41は、ヒンジレイン3における、ヒンジ50の回転中心軸L1上又はその近接において、互いに離間して形成されている。
当例では、第1接合部41は、立上がり部33の車幅方向における、車幅外側ヒンジ取付け部36bに対して車幅方向外側で隣接する位置と、一対のヒンジ取付け部36a,36b(車幅内側ヒンジ取付け部36aと車幅外側ヒンジ取付け部36b)の間の位置と、車幅内側ヒンジ取付け部36aに対して車幅方向内側で隣接する位置との3箇所に形成されている。
これら3つの第1接合部41を、車幅方向の外側から内側の順に第1車幅外側接合部41b、第1車幅中間接合部41m、第1車幅内側接合部41aに設定する。
なお、第1車幅内側接合部41aは、ヒンジレイン3の立上がり部33の車幅方向の内端側、すなわち、前上部車幅内側張出し部39に形成されるとともに、第1車幅外側接合部41bは、立上がり部33の車幅方向の外端側に形成されている。
図5(a)に示すように、ヒンジレイン3における、車幅方向に直交する方向において締結部30a,30bに対して後下方向に離間した位置には、インナパネル20とスポット溶接により接合した第2接合部42が複数形成されている。すなわち、複数の第2接合部42は、ヒンジレイン3における、ヒンジ50の回転中心軸L1から離間した位置に形成されている(図中「×」印参照)。
当例では図5(a)、図7、図8に示すように、第2接合部42は、ヒンジレイン3の後下端フランジ部31において車幅方向において互いに離間した2つの位置と、上辺主要部32の後側かつ車幅方向外側の位置(すなわち、後下部車幅外側張出し部38の位置)と、上辺主要部22の前側かつ車幅方向外側の位置との合計4箇所に形成されている(図中「×」印参照)。
これら第2接合部42のうち、後下端フランジ部31に形成した2つの第2接合部42であって、車幅方向内側に位置する第2接合部42を、第2車幅内側接合部42aに設定するとともに、車幅方向外側に位置する第2接合部42を、第2車幅中間接合部42mに設定する。
また図5(a)に示すように、ヒンジレイン3には、上下方向(前後方向)に直線状に延びる複数の高剛性部としてのビード43(43a,43b)が車幅方向に間隔を隔てて配設されており、何れもインナパネル20の側と反対側、すなわち閉断面1sの側(車室外側)(図4参照)へ突状に形成されている。
当例においては、ヒンジレイン3には、車幅方向内側に位置する車幅内側ビード43aと、車幅方向外側に位置する車幅外側ビード43bとの2つのビード43が配設されている。
図8に示すように、車幅内側ビード43aは、第1車幅中間接合部41mと第2車幅内側接合部42aとを直線状に結ぶ仮想線L2の近傍において、該仮想線L3と略平行に延びている。
当例では図8に示すように、車幅内側ビード43aは、ヒンジレイン3の上辺主要部32の正面視(すなわち図4中の矢視D1)で、第1車幅中間接合部41mを中心として仮想線L3に対して時計回りに10度程度傾いた仮想線(軸線)L2’上に形成されている。換言すると、車幅内側ビード43aは、前上端が第1車幅中間接合部41mに位置するとともに、後下端が、第2車幅内側接合部42aに対して若干車幅方向外側(第2車幅内側接合部42aと第2車幅中間接合部42mとの間)に位置するように直線状に延びている。
これにより、バックドア1の閉時に第2車幅内側接合部42aに加わる応力だけでなく第2車幅中間接合部42mに加わる応力を、車幅内側ビード43aによってヒンジレイン3の広範囲に分散することができる。従って、これら第2車幅内側接合部42aおよび第2車幅中間接合部42mに応力が集中することを1つの車幅内側ビード43aによって効率よく回避できる。
車幅内側ビード43aは、さらに詳しくは図5(a)、図7、図8に示すように、上辺主要部32における第1車幅中間接合部41mの位置と、第2車幅内側接合部42aの車幅方向外側近傍位置との間において直線状に延びる本体部44と、立上がり部33において本体部44の前上端から該本体部44と連続して直線状に延びる延長部45とで形成している。
図4、図5(a)に示すように、車幅内側ビード43aは、本体部44がヒンジレイン3の上辺主要部32に設けられ、延長部45が立上がり部33に設けられ、共に周辺に対して閉断面1sの側へ突出形成されている。
図4に示すように、車幅内側ビード43aの本体部44は、その延在方向(長手方向)の略全長に亘ってヒンジレイン3の上辺主要部32の上下方向(車両前後方向)の全長に亘って延びるとともに、インナパネル20の上辺主要部22の上面に対して上方に離間して形成されている。これにより、本体部44の内部、すなわちヒンジレイン3の本体部44に相当する部位おいては、インナパネル20との間にビード状閉断面43asが構成されている。
本体部44の前上端に位置する折り曲げ部35は、インナパネル20の立上がり部23における、折り曲げ部25よりも上方の位置に当接されている。すなわち、ヒンジレイン3の折り曲げ部35は、インナパネル20の折り曲げ部25よりも閉断面1sの側に離間した位置(立上がり部23に沿って上方に離間した位置)に形成されており、本体部44は、その延在方向の前上端に至るまで内部にビード状閉断面43asを有している(図4参照)。
ここで図4に示すように、上辺部1Uの車幅方向の直交断面視において、インナパネル20の折り曲げ部25と後下端フランジ部21とを直線状に結ぶ仮想線を、閉断面1sの仮想底面に相当する仮想底面ラインL4に設定する。
そして上辺部1Uの車幅方向の直交断面視において、車幅内側ビード43aの本体部44は、その延在方向の略全長に亘って仮想底面ラインL4の直交方向における、仮想底面ラインL4からの高さ(h)が、締結部30a,30bの仮想底面ラインL4からの高さ(H)よりも低くなるように形成されている(図4中のH>h参照)。
これにより、バックドア1の上辺部1Uに、閉断面1sの側へ突出する車幅内側ビード43aの本体部44を形成しながらも、該上辺部1Uに有する閉断面1sの上下方向(車両前後方向)の大きさ(厚さ)を極力確保している。
図5(a)、図6、図7、図8に示すように、延長部45は、ヒンジレイン3の立上がり部33の車幅方向における、車幅内側ヒンジ取付け部36aと車幅外側ヒンジ取付け部36bとの間に位置し、これら36a,36bに対して車両後方(閉断面1sの側)へ一段高くなるように突出形成されている(図6参照)。
ここで、図5(b)、図6に示すように、インナパネル20の立上がり部23の車幅方向における車幅内側ヒンジ取付け部26aと車幅外側ヒンジ取付け部26bとの間の位置には、インナパネル側ビード28が形成されている。インナパネル側ビード28は、これら26a,26bに対して車両後方(閉断面1sの側)へ一段高くなるように突出形成されている。
図4、図6に示すように、インナパネル側ビード28は、インナパネル20の立上がり部23の車幅方向において、延長部45に対応する位置に設けられ、車幅内側ビード43aの本体部44と連続するように直線状に延びるとともに(図4参照)、延長部45と板厚方向において隙間なく重複する。すなわち、インナパネル側ビード28の後面は、延長部45の前面に当接している(図4、図6参照)。
延長部45とインナパネル側ビード28とは共に、上述したように、閉断面1sの側(車両後方)へ突状に形成しているが、その突出量を極力小さく形成している。
これにより、バックドア1の上辺部1Uの上部に、閉断面1sの側へ突出する延長部45およびインナパネル側ビード28を形成しながらも、該上辺部1Uの上部に有する閉断面1sの上下方向(車両前後方向)の大きさ(厚さ)を極力確保している。
また図4に示すように上辺部1Uの車幅方向の直交断面視において、車幅内側ビード43aは、延長部45を、本体部44に対して折り曲げ部35を介して屈曲形成するとともに立上がり部33に沿って上方へフランジ状に突出形成したものである。
これにより、車幅内側ビード43aの本体部44は、フランジ状の延長部45をインナパネル20の立上がり部23(インナパネル側ビード28)に対して接合した状態において、車幅方向の直交断面視でインナパネル20の立上がり部23に対して車両後方へ起立した姿勢となるように配することができる(図4参照)。
すなわち、車幅内側ビード43aは、本体部44が、インナパネル20の立上がり部23に対して直交する方向に、より沿うような姿勢で配設することができる。
これにより、車幅内側ビード43aは、本体部44が、例えばインナパネル20の立上がり部23の側へ倒伏させた姿勢(立上がり部23が延びる方向に、より沿うような姿勢)で構成する場合と比して、バックドア1の閉時にヒンジレイン3の締結部30a,30bにおいて、ヒンジレイン3がインナパネル20から剥離する方向(図4中の太矢印D2方向)の荷重が入力された際においても、その荷重に対する突っ張り部材として機能させることができる。
従って、ヒンジレイン3に車幅内側ビード43aを設けることで、ヒンジレイン3がインナパネル20から剥離することを、より効果的に抑制することができる。
図5(a)、図7、図8に示すように、車幅外側ビード43bは、ヒンジレイン3の上辺主要部32において、車幅内側ビード43aの本体部44に対して車幅方向外側近傍へ離間した位置において車幅内側ビード43aの延在方向に沿って直線状に延びる仮想線L2’(図8参照)と平行に直線状に延びている。
すなわち図8に示すように、車幅外側ビード43bは、その延在方向に沿って直線状に延びる仮想線L3が仮想線L2と略平行(若干傾いた方向)に延びている。
車幅外側ビード43bは、ヒンジレイン3の上辺主要部32の上下方向(前後方向)の全長に亘って、車幅内側ビード43aの本体部44と同様に、閉断面1sの側(上方)へ突出形成されるとともに、該本体部44と略同じ高さおよび長さで形成されている。車幅外側ビード43bは、その延在方向の略全長に亘ってインナパネル20の上辺主要部32の上面に対して上方に離間して形成されている。これにより、車幅外側ビード43bの内部、すなわちヒンジレイン3の車幅外側ビード43bに相当する部位おいては、インナパネル20との間にビード状閉断面43bsが構成されている(図5(a)参照)。
図8に示すように、車幅外側ビード43bの延在方向の、前上端からの立上がり部33に沿った延長線L3’は、車幅外側締結部30b又はその近傍を通過する。
当例では、車幅外側ビード43bは、延長線L3’が車幅外側締結部30bと第1車幅外側接合部41bとの間を通過するように設けられている。
これにより、バックドア1の閉時に車幅外側締結部30bに加わる応力だけでなく第1車幅外側接合部41bに加わる応力を、車幅外側ビード43bによってヒンジレイン3の広範囲に分散することができる。従って、これら車幅外側締結部30bおよび第1車幅外側接合部41bに応力が集中することを1つの車幅外側ビード43bによって効率よく回避できる。
一方図8に示すように、車幅外側ビード43bの延在方向の、後下端からの後下端フランジ部31に沿った延長線L3’’は、第2車幅中間接合部42m又はその近傍を通過する。
これにより、バックドア1の閉時に第2車幅中間接合部42mに加わる応力を、車幅外側ビード43bによってヒンジレイン3の広範囲に分散し、結果として第2車幅中間接合部42mに応力が集中することを効率よく回避できる。
図4、図6、図7、図8に示すように、ヒンジレイン3は、車幅方向の内外両端部、並びに上端部において閉断面1sの側(車両上方または後方)へ突出するビード状フランジ部46が形成されている。
ヒンジレイン3の車幅方向両端部のビード状フランジ部46a,46bは、共にヒンジレイン3の上端から下端又はその手前に至るまで上下方向(車両前後方向)に連続して延びている。
車幅方向両端部のビード状フランジ部46a,46bのうち、車幅方向内端部に位置するビード状フランジ部46a(車幅内端ビード状フランジ部46a)は、上述したように、ヒンジレイン3に前上部車幅内側張出し部39を形成するのに伴って車両上方(車両前方)程車幅方向内側へ迂回するように延びている。
車幅方向両端部のビード状フランジ部46a,46bのうち、車幅方向外端部に位置するビード状フランジ部46b(車幅外端ビード状フランジ部46b)は、上述したように、ヒンジレイン3に後下部車幅外側張出し部38を形成するのに伴って車両下方(車両後方)程車幅方向外側へ迂回するように延びている。
図4、図7、図8に示すように、ヒンジレイン3の上縁部に沿って延びるビード状フランジ部46u(上端ビード状フランジ部46u)は、車幅方向の内外両端部のビード状フランジ部46a,46bの各上端同士を繋ぐように車幅方向に連続して延びている。
本実施形態の車両のバックドア構造は図2(a)(b)、図3に示すように、バックドア1のインナパネル20に取り付けられるとともに、図1〜図6に示すように、該バックドア1を車体(図示省略)に対して開閉可能に、車幅方向に沿って延びる軸としてのピン53(図2(b)、図4〜図6参照)を介して軸支するヒンジ50と、インナパネル20に取り付けられヒンジ50と対向する位置において設けられるヒンジレイン3(図3、図4、図5(a)、図6参照)と、を備えた車両のバックドア構造であって、ヒンジレイン3は、ヒンジ50と固定(締結)する固定部としての締結部30a,30b(図4、図5(a)、図6〜図8参照)と、締結部30a,30bから車幅方向に離間した位置においてインナパネル20と結合する第1接合部41(第1結合部)(図5(a)、図6〜図8参照)と、締結部30a,30bから車幅方向に直交する方向に離間した位置においてインナパネル20と結合する第2接合部42(第2結合部)(図5(a)、図7、図8参照)と、第1車幅中間接合部41mと第2車幅中間接合部42mとの間において、図5(a)、図7、図8に示すように、これらを直線で結ぶ仮想線L2と略平行に延びる高剛性部としてのビード43(43a,43b)と、を備え、図8に示すように、車幅内側ビード43aが延びる軸線上L2’又はその近傍に、第1車幅中間接合部41mが設けられるとともに、車幅外側ビード43bが延びる軸線(仮想線)L3(延長線L3’)上又はその近傍に、車幅外側締結部30bおよび第1車幅外側接合部41bが設けられたものである。
上記構成によれば、バックドア1閉時に、ヒンジレイン3の締結部30a,30bにインナパネル20から剥離する方向(図4の太矢印D2参照)の荷重が入力された際、その荷重を、ヒンジレイン3における、締結部30a,30bに対して、車幅方向に離間して設けられた第1接合部41および車幅方向に直交方向に離間して設けられた第2接合部42によって受け止めることができる。
さらに、バックドア1閉時に、締結部30a,30bに上記荷重が入力された際や、これに伴って第1接合部41や第2接合部42にモーメント荷重が入力された際においても、これら荷重を、ヒンジレイン3における、締結部30a,30b、第1接合部41および第2接合部42の夫々の周辺よりも広範囲にビード43によって分散することができる。
これにより、バックドア1閉時に、ヒンジレイン3の締結部30a,30bにインナパネル20から剥離する方向に入力される荷重に対してヒンジレイン3の剛性を向上させることができ、結果としてバックドア1開閉の繰り返し荷重により、ヒンジレイン3が締結部30a,30bにおいてインナパネル20から剥離することを防ぐことができる。
さらに、バックドア1閉時に、締結部30a,30bに入力される上記荷重を、締結部30a,30b周辺のみで局所的に受け止めるのではなく、ヒンジレイン3の広範囲の部位に亘って受け止めることができるため、バックドア1開閉の繰り返し荷重により、ヒンジレイン3の締結部30a,30bにおけるインナパネル20からの剥離を防ぎながらも、ヒンジレイン3の締結部30a,30b周辺が車室内側(車両前方かつ下方)又は車室外側(車両後方かつ上方)への突出量(オフセット量)を抑制できる。
具体的には、インナパネル20およびヒンジレイン3の締結部30a,30b周辺における、車室外側(車両後方かつ上方)への突出量を抑制することで、バックドア1の上部の厚み(アウタパネル10とインナパネル20との間に有する閉断面1s)を薄くしたデザインを採用し易くすることができる。
一方、インナパネル20およびヒンジレイン3の締結部30a,30b周辺における、車室側(車両前方)への突出量を抑制することで、車室が狭くなることを抑制することができるとともに、バックドア1を車体後部に対してヒンジ50を介して取り付ける際の取り付け性を確保することができる。
この発明の態様として図3、図4、図5(a)、図6、図7、図8に示すように、高剛性部を、ヒンジレイン3において、インナパネル20を有する側(車両前方かつ下方)、又は、その反対側(車両後方かつ上方)へ突出するビード43(43a,43b)で形成したものである。
上記構成によれば、ヒンジレイン3に高剛性部を備えるにあたり、部品点数や質量を増大させずに曲げ変形を抑制できる。
この発明の態様として図4、図6に示すように、インナパネル20には、ヒンジレイン3に形成した車幅内側ビード43aの本体部44と連続して延びるインナパネル側ビード28が設けられ、インナパネル側ビード28と、車幅内側ビード43aとは、少なくとも一部が、互いの板厚方向において重複するものである(同図参照)。
上記構成によれば、インナパネル側ビード28と車幅内側ビード43aとで、ヒンジレイン3とインナパネル20とを板厚方向に重ね合わせたビードとなるため、より効果的に上下方向の曲げ変形を抑制できる。
この発明の態様として図5(a)、図7、図8に示すように、ヒンジレイン3側の車幅内側ビード43aは、その延在方向の前上端(第2車幅内側接合部42aの側と反対側の端部)が、第1車幅中間接合部41mに至るまで延びる延長部45を備えており、図4、図6に示すように、インナパネル側ビード28と、車幅内側ビード43aの延長部45とは、互いの板厚方向において重複するものである。
上記構成によれば、バックドア1の開閉の繰り返しにより応力が集中し易い第1車幅中間接合部41mの周辺を、効果的に高剛性化して補強することができる。
この発明の態様として図5(a)、図6、図7、図8に示すように、ヒンジレイン3は、車幅方向両端部においてインナパネル20を有する側の反対側(車両後方かつ上方)へ突出するフランジ部としての車幅内端ビード状フランジ部46a、車幅外端ビード状フランジ部46bを備えたものである。
上記構成によれば、バックドア1閉時に、締結部30a,30bにインナパネル20から剥離する方向の荷重が入力された際、ヒンジレイン3の該剥離する方向への変形をさらに抑制できる。
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば、上述した第1接合部41(41a,41b,41m)は、締結部30a,30bと車幅方向に略一致する位置に形成されていれば、締結部30a,30bと車幅方向に完全に一致する位置に形成されるに限らず、車幅方向に対して直交する方向へ若干ずれた位置に形成された構成も含むものとする。
また、上述した車幅内側ビード43aや車幅外側ビード43bは、第1車幅中間接合部41mと第2車幅内側接合部42aとを直線で結ぶ仮想線L2と平行になるように形成することが好ましいが、仮想線L2と完全に平行になるように形成するに限らず、略平行に延びる構成、すなわち本実施形態のように、仮想線L2に対して若干傾いた仮想線(軸線)L2’,L3上に形成した構成を採用してもよい(図8参照)。
例えば、車幅内側ビード43aと車幅外側ビード43bとの夫々は、ヒンジレイン3の上辺主要部32の平面視で、仮想線L2に対する傾斜角が、時計回り或いは反時計回りに30度の範囲内で傾斜した構成を採用してもよい。
さらにまた、高剛性部としてのビード43は、上述した車幅内側ビード43aのように、第1車幅中間接合部41mと第2車幅内側接合部42aとを直線状に結ぶ仮想線L2上又はその近傍に沿って延びる形状に限らない。すなわち、上記仮想線L2は、第1接合部41と第2接合部42とを直線状に結ぶ仮想線であれば、第1車幅中間接合部41mと第2車幅内側接合部42aとの組み合わせ以外の2点間において直線状に延びる構成を採用してもよい。また、第1接合部41に限らず車幅内側締結部30a或いは車幅外側締結部30bと、第2接合部42との2点間において直線状に延びる構成を採用してもよい。
また、高剛性部としてのビード43は、ヒンジレイン3において、上述したように2つに限らず、1つ或いは3つ以上設けてもよい。複数のビード43を設ける場合は、互いに略平行に形成することが好ましく、何れもビード43上又はその前上端側の延長線上に第1接合部41或いは締結部30が位置するとともに、ビード43上又はその後下端側の延長線上に第2接合部42が位置することが好ましい。
1…バックドア
3…ヒンジレイン
20…インナパネル
28…インナパネル側ビード(インナパネル側のビード)
30(30a,30b)…締結部(固定部)
41(41a,41b,41m)…第1接合部(第1結合部)
42(42a,42m)…第2接合部(第2結合部)
43(43a,43b)…ビード(高剛性部、ビード)
43a…車幅内側ビード(ヒンジレインに形成したビード)
45…延長部
46a…車幅内端ビード状フランジ部(フランジ部)
46b…車幅外端ビード状フランジ部(フランジ部)
50…ヒンジ
53…ピン(車幅方向に沿って延びる軸)
L2…仮想線
L2’…車幅内側ビードが延びる軸線(高剛性部が延びる軸線)
L3…車幅外側ビードが延びる軸線(高剛性部が延びる軸線)

Claims (5)

  1. バックドアのインナパネルに取り付けられ、該バックドアを車体に対して開閉可能に、車幅方向に沿って延びる軸を介して軸支するヒンジと、上記インナパネルに取り付けられ上記ヒンジと対向する位置において設けられるヒンジレインと、を備えた車両のバックドア構造であって、
    上記ヒンジレインは、
    上記ヒンジと固定する固定部と、
    上記固定部から車幅方向に離間した位置において上記インナパネルと結合する第1結合部と、
    上記固定部から車幅方向に直交する方向に離間した位置において上記インナパネルと結合する第2結合部と、
    上記第1結合部又は/及び上記固定部と上記第2結合部との間において、これらを直線で結ぶ仮想線と略平行に延びる高剛性部と、を備え、
    上記高剛性部が延びる軸線上又はその近傍に、上記第1結合部又は/及び上記固定部が設けられた
    車両のバックドア構造。
  2. 上記高剛性部は、上記ヒンジレインにおいて、上記インナパネルを有する側、又は、その反対側へ突出するビードで形成した
    請求項1に記載の車両のバックドア構造。
  3. 上記インナパネルには、上記ヒンジレインに形成した上記ビードと連続して延びるビードが設けられ、
    上記インナパネル側の上記ビードと、上記ヒンジレイン側の上記ビードとは、少なくとも一部が互いの板厚方向において重複する
    請求項2に記載の車両のバックドア構造。
  4. 上記ヒンジレイン側の上記ビードは、その延在方向の上記第2結合部の側の端部、又は/及び、該第2結合部と反対側の端部が、夫々に対応する結合部又は固定部に至るまで延びる延長部を備えており、
    上記インナパネル側の上記ビードと、上記ヒンジレイン側の上記ビードの上記延長部とは、互いの板厚方向において重複する
    請求項3に記載の車両のバックドア構造。
  5. 上記ヒンジレインは、車幅方向両端部において上記インナパネルを有する側、又は、その反対側へ突出するフランジ部を備えた
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両のバックドア構造。
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