JP2021053836A - 印刷物及び該印刷物を用いた包装材 - Google Patents

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Takayo Yamaoka
貴世 山岡
文 水谷
Fumi Mizutani
文 水谷
武嗣 國弘
Takeshi Kunihiro
武嗣 國弘
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Abstract

【課題】面内の触感を均一にし得る印刷物を提供する。【解決手段】少なくとも基材を有する印刷物であって、前記印刷物は、平面内に、第一領域と前記第一領域に隣接する第二領域とを有し、前記第一領域は、前記基材上に、絵柄層及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層をこの順に有し、前記第二領域は、前記基材上に、絵柄層を介することなく電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層を有し、前記第一領域の純水の接触角をθ1度、前記第二領域の純水の接触角をθ2度と定義した際に、下記式(1)を満たす、印刷物。(|θ1−θ2|/θ2)×100≦2.0% (1)【選択図】図1

Description

本発明は、印刷物及び該印刷物を用いた包装材に関する。
紙基材上に絵柄層を形成した印刷物は、各種の包装材等に用いられている。
該印刷物は、絵柄層の耐久性を高めたりすることなどを目的として、紙基材上に絵柄層を形成した後に、全面に表面保護層が形成される場合がある。
上記のように、絵柄層上に表面保護層を形成した印刷物として、例えば、特許文献1の印刷物が提案されている。
特開2019−18445号公報
特許文献1の印刷物は、全面に表面保護層を有しているため、印刷物表面の諸物性は面内で均一であるようにも思われる。
しかし、特許文献1のように全面に表面保護層を有する印刷物の表面を手で触れた際に、表面の外観形状が同一であるにも関わらず、触感が異なるように感じられる箇所があり、見た目と触感との違いにより違和感を受けるケースが頻発した。特に、表面形状が略平滑で光沢度の高い印刷物では前述した違和感を受けるケースが増加する傾向があった。また、近年、環境保護の観点からインキ組成物中にバイオマス由来成分を添加する場合があり、表面保護層を構成するインキにバイオマス由来成分を添加した際に、前述の違和感を受けるケースが増加する場合があった。
本発明は、印刷物の面内の触感を均一にし得る印刷物、及び該印刷物を用いた包装材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1]少なくとも基材を有する印刷物であって、前記印刷物は、平面内に、第一領域と前記第一領域に隣接する第二領域とを有し、前記第一領域は、前記基材上に、絵柄層及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層をこの順に有し、前記第二領域は、前記基材上に、絵柄層を介することなく電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層を有し、前記第一領域の純水の接触角をθ1度、前記第二領域の純水の接触角をθ2度と定義した際に、下記式(1)を満たす、印刷物。
(|θ1−θ2|/θ2)×100≦2.0% (1)
[2]前記電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層の厚みが2〜20μmである、上記[1]に記載の印刷物。
[3]前記電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層がバイオマス由来成分を含む、上記[1]又は[2]に記載の印刷物。
[4]前記絵柄層がバイオマス由来成分を含む、上記[1]〜[3]の何れかに記載の印刷物。
[5]前記絵柄層の厚みが0.1〜3μmである、上記[1]〜[4]の何れかに記載の印刷物。
[6]前記第一領域と前記第二領域との境界の段差が2.0μm以下である、上記[1]〜[5]の何れかに記載の印刷物。
前記基材が紙基材である請求項1〜6の何れか1項に記載の印刷物。
請求項1〜7の何れか1項に記載の印刷物を用いてなる包装材。
本発明の印刷物及び該印刷物を用いた包装材は、面内の触感を均一にすることができる。
本発明の印刷物の一実施形態を示す断面図である。
[印刷物]
本発明の印刷物は、少なくとも基材を有してなり、印刷物の平面内に、第一領域と前記第一領域に隣接する第二領域とを有し、前記第一領域は、前記基材上に、絵柄層及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層をこの順に有し、前記第二領域は、前記基材上に、絵柄層を介することなく電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層を有し、前記第一領域の純水の接触角をθ1度、前記第二領域の純水の接触角をθ2度と定義した際に、下記式(1)を満たすものである。
(|θ1−θ2|/θ2)×100≦2.0% (1)
以下、本明細書において、「電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層」のことを「透明樹脂層」と称する場合がある。また、本明細書等において、AA〜BBは、AA以上BB以下であることを意味する。
以下、本発明の印刷物の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の印刷物100の一実施形態を示す断面図である。
図1の印刷物100は、基材10を有し、平面内に、第一領域R1と前記第一領域に隣接する第二領域R2とを有している。また、図1の印刷物100の第一領域R1は、基材10上に、絵柄層20及び透明樹脂層30をこの順に有している。また、図1の印刷物100の第二領域R2は、基材10上に、絵柄層を介することなく透明樹脂層30を有している。
本明細書において「平面内」とは、本発明の印刷物の基材を基準とした透明樹脂層を有する側の平面内(図1の印刷物を、基材を基準として透明樹脂層側から視認したxy面内)を意味する。
<基材>
基材は、従来からの印刷物等に用いられている材料であれば限定されず、クレーコート紙等のコート紙、上質紙、中質紙、クラフト紙、合成紙、含浸紙、ラミネート紙、蒸着紙、金属箔貼合紙、印刷用塗布紙及び記録用塗布紙等の紙基材;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム及びポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、蒸着プラスチックフィルム等のプラスチックフィルム基材;紙基材とプラスチック基材との複合体;等が挙げられる。
基材の中でも、紙基材は、環境を汚染しにくい点で好ましい。また、紙基材の中でもコート紙は、第二領域の透明樹脂層が紙基材に浸透することを抑制して式(1)を満たしやすくし得るとともに、紙の風合いを維持しやすい点で好ましい。
なお、紙基材は、プラスチックフィルム基材に比べて、表面が荒れており、インキの浸透性も高い傾向がある。このため、基材として紙基材を用いた場合、基材上に形成する層の積層構成が異なる領域ごとに、表面物性も異なる値を示しやすい。例えば、紙基材上にA層及びB層を有する領域iと、紙基材上にB層のみを有する領域iiとは、表面物性が異なるものとなりやすい。このため、基材として紙基材を用いた場合、通常は後述する式(1)を満たしにくい。しかし、本発明では、後述する手法により、基材が紙基材であっても式(1)を満たすことを可能としている。
基材の厚みは特に限定されないが、紙の場合は、通常は坪量100〜600g/m程度であり、プラスチックフィルムの場合は、通常は9〜50μm程度である。
基材表面のJIS B0601:1994の算術平均粗さ(Ra)は0.50μm以下であることが好ましく、0.35μm以下であることがより好ましい。
基材表面のRaを0.50μm以下とすることにより、印刷物表面の光沢度を高めやすくすることができ、印刷物に高級感を付与しやすくできる。なお、基材が紙基材の場合、紙の風合いを維持しやすくするために、Raは0.20μm以上であることが好ましく、0.25μm以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、算術平均粗さ(Ra)は、カットオフ値0.25mmの値をいうものとする。基材表面のRaは、10箇所の測定値の平均値として算出することが好ましい。後述する第一領域及び第二領域のRaも同様である。
<領域>
本発明の印刷物は、平面内に、第一領域と、第一領域に隣接する第二領域とを有する。
また、本発明の印刷物の第一領域は、基材上に、絵柄層及び透明樹脂層をこの順に有する。また、本発明の印刷物の第二領域は、基材上に、絵柄層を介することなく透明樹脂層を有する。
本発明の印刷物は、第一領域と第二領域との積層構成が相違している。通常、積層構成が異なる領域同士は、表面物性が少なからず相違しやすい。本発明では、第一領域と第二領域との積層構成が相違するにも関わらず、後述する手法により、第一領域と第二領域との接触角の値を近似させることを可能とし、ひいては式(1)を満たすことを可能としている。
本発明の印刷物は、第一領域の純水の接触角をθ1度、第二領域の純水の接触角をθ2度と定義した際に、下記式(1)を満たすことを要する。
(|θ1−θ2|/θ2)×100≦2.0% (1)
式(1)を満たさないことは、第一領域と第二領域との接触角の値が近似しないことを意味する。そして、第一領域と第二領域との接触角の値が近似しない場合、第一領域と第二領域との境界で触感が変化し、面内の触感を均一にすることができない。なお、式(1)を満たす場合、第一領域と第二領域との水滴の付着状態を略同等にすることもできる。このため、式(1)を満たすことにより、水滴が付着する環境下において、外観の違和感を抑制することもできる。
本発明の印刷物は、下記式(2)を満たすことが好ましく、下記式(3)を満たすことがより好ましく、下記式(4)を満たすことがさらに好ましい。
(|θ1−θ2|/θ2)×100≦1.7% (2)
(|θ1−θ2|/θ2)×100≦1.5% (3)
(|θ1−θ2|/θ2)×100≦1.3% (4)
θ1及びθ2の絶対値の範囲は、透明樹脂層を構成する材料によって相違するため一概にはいえないが、通常、60〜100度程度であり、好ましくは70〜90度である。
本明細書において、接触角は、被測定面に3.0μLの液滴(純水)を滴下し、着滴10秒後の静的接触角をθ/2法に従って計測するものとする。接触角の測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とする。また、測定用サンプルを前記雰囲気に10分以上放置してから測定するものとする。θ1及びθ2は、10箇所の測定値の平均値とすることが好ましい。
本発明の印刷物は、第一領域と第二領域との境界の段差が2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましい。段差を2.0μm以下とすることにより、面内の触感をより均一にすることができる。
第一領域と第二領域との境界の段差は、例えば、印刷物の断面写真から算出できる。なお、段差は、10箇所の段差の平均値として算出することが好ましい。
第一領域と第二領域との境界の段差を小さくするためには、絵柄層の厚みを後述する範囲とすること、及び、絵柄層の硬化性樹脂組成物が完全に硬化する前に透明樹脂層を形成すること(この場合、透明樹脂層の一部が絵柄層に浸透して段差が緩和されやすい)が有効である。
第一領域の面積をS1、第二領域の面積をS2とした際に、S1/S2は0.1〜9であることが好ましく、0.25〜4であることがより好ましい。S1/S2を前記範囲とすることにより、本発明の効果を体感しやすくできる。
第一領域とこれに隣接する第二領域との組み合わせを一組とした際に、印刷物の平面内の任意の方向において、前記組み合わせを二組以上有することが好ましく、三組以上有することがより好ましい。このように、第一領域とこれに隣接する第二領域との組み合わせを繰り返し有することにより、本発明の効果を体感しやすくできる。
本発明の印刷物は、高級感を付与するために、表面が略平滑であることが好ましい。このため、本発明の印刷物は、第一領域及び第二領域ともに、JIS B0601:1994の算術平均粗さ(Ra)が0.30μm以下であることが好ましく、0.25μm以下であることがより好ましく、0.20μm以下であることがさらに好ましい。
本発明の印刷物は、高級感を付与するために、光沢度が高いことが好ましい。このため、本発明の印刷物は、第一領域及び第二領域ともに、JIS Z8741:1997の60度の鏡面光沢度が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
第一領域及び第二領域の鏡面光沢度は、10箇所の測定値の平均値として算出することが好ましい。
Ra及び鏡面光沢度を上記範囲とした場合、見た目と触感との違いによる違和感を受けやすくなるが、式(1)を満たすことにより、当該違和感を抑制することができる。
<絵柄層>
絵柄層は、印刷物の意匠性を高めることなどを目的として、基材上の任意の箇所に形成される。絵柄層が形成された箇所が、本発明の印刷物の第一領域となる。
絵柄層は、例えば印刷により形成することができる。絵柄層は、図1のように単層であってもよいが、2以上の層から形成されるものであってもよい。
絵柄層は、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのプロセスカラーによる多色印刷によって形成できる他、絵柄を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成できる。
絵柄層の絵柄は、木目調、コルク調、繊維調、文字、数字、図形、記号、風景、人物、動物、キャラクター等の通常の印刷で用いられる絵柄であれば、特に制限されることなく使用できる。
絵柄層は、顔料、染料等の着色剤、及び、バインダー樹脂を含むことが好ましい。絵柄層は、さらに、各種の添加剤(体質顔料、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等)を含んでいてもよい。
顔料、染料等の着色剤は汎用の材料を用いることができる。
バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
後述する透明樹脂層は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む。このため、絵柄層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことにより、絵柄層が存在しない第二領域と、第一領域との組成に共通性を与え、式(1)を満たしやすくできる。
絵柄層に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物としては、後述する透明樹脂層の電離放射線硬化性樹脂組成物で例示するものと同様のものが挙げられる。
なお、絵柄層に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物と、透明樹脂層に用いる電離放射線硬化性樹脂組成物とは同一又は類似する分子構造のものを用いることが好ましい。
絵柄層はバイオマス由来成分を含んでいてもよい。当該バイオマス由来成分は、絵柄層のバインダー樹脂として含むことが好ましい。
また、後述する透明樹脂層がバイオマス由来成分を含んでいる場合、絵柄層もバイオマス由来成分を含むことが好ましく、その場合、両層のバイオマス由来成分は、同一又は類似する分子構造のものを用いることが好ましい。
絵柄層に用いるバイオマス由来成分としては、後述する透明樹脂層のバイオマス由来成分で例示するものと同様のものが挙げられる。
絵柄層のバインダー樹脂は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物と、バイオマス由来成分との混合であることが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物と、バイオマス由来成分との質量比は、90:10〜60:40であることが好ましく、90:10〜80:20であることがより好ましい。
絵柄層の厚みは、絵柄の鮮明性と、第一領域と第二領域との段差の抑制とのバランスの観点から、0.1〜3μmであることが好ましく、0.5〜2μmであることがより好ましい。
絵柄層は、絵柄層を構成する各成分を含む絵柄層形成用インキを調製し、該インキを塗布し、必要に応じて、乾燥及び硬化することにより形成できる。
絵柄層を塗布する手段としては、オフセット印刷及びフレキソ印刷等が挙げられ、オフセット印刷が好ましい。オフセット印刷により絵柄層を形成することにより、絵柄層の表面を平坦にしやすくでき、式(1)を満たしやすくできる。
絵柄層形成用インキ中に電離放射線硬化性樹脂組成物を含む場合、該電離放射線硬化性樹脂組成物を部分的に硬化させた状態で後述する透明樹脂層を形成するようにすることが好ましい。このようにすることで、絵柄層と透明樹脂層との密着性が向上できるたけではなく、透明樹脂層の一部が絵柄層に浸透することにより、第一領域と第二領域との段差を緩和しやすくできる。
基材と絵柄層との間には、厚み0.5μm以上の他の層を有さないことが好ましい。基材と絵柄層との間に他の層を介在させないことにより、基材の風合いを維持したり、第一領域と第二領域との間の段差を小さくしやすくできる。
なお、厚み0.5μm未満の薄膜層であれば、基材と絵柄層との間に形成することも好適である。このような薄膜層としては、密着性を向上するためのプライマー層等が挙げられる。
<透明樹脂層>
透明樹脂層(電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層)は、第一領域の絵柄層上、及び、第二領域の基材上に絵柄層を介することなく形成される層である。
図1に示すように、透明樹脂層30は、基材10の絵柄層20を有する側の全領域を覆うように形成することが好ましい。
透明樹脂層は、例えば、透明樹脂層を構成する各成分を含む透明樹脂層形成用インキを調製し、該インキを塗布し、硬化することにより形成できる。
透明樹脂層を塗布する手段としては、オフセットインラインコーターによる印刷が好ましい。オフセットインラインコーターによる印刷は、オフセット印刷機にフレキソ印刷ユニットが付いているものであり、フレキソ版の凸部に付着させたインキをブランケットに移し、ブランケットを介して印刷対象物にインキを転写する印刷方法である。オフセットインラインコーターによる印刷で透明樹脂層を形成することにより、第一領域及び第二領域の透明樹脂層の表面物性を略同等にしやすくできる。この理由は以下(A)及び(B)のように考えられる。
(A)通常のオフセット印刷(平版オフセット印刷)では透明樹脂層の膜厚を厚くしにくいため、下層の表面凹凸が透明樹脂層の表面に反映されやすい。しかし、オフセットインラインコーターによる印刷では、透明樹脂層の膜厚を厚くしやすいため、下層の表面凹凸が透明樹脂層の表面に反映されることを抑制しやすくできる(膜厚が薄い場合、周期の短い高周波の凹凸をカットできても、周期の長い低周波の凹凸はカットできない。一方、膜厚が厚い場合、周期の長い低周波の凹凸もカットすることができる。)。さらに、オフセットインラインコーターによる印刷はオフセット方式であるため、ブランケット上でインキを一旦レベリングして面内の均一性を高めることができ、かつ、転写直後の透明樹脂層の表面はブランケットの形状が反映された平滑で均一なものとなりやすい(但し、通常のオフセット印刷(平版オフセット印刷)の場合、膜厚を厚くしにくいため転写直後でも下層の表面凹凸が反映されてしまい、透明樹脂層の表面を平滑にすることは困難である。)。このため、オフセットインラインコーターによる印刷では、第一領域及び第二領域の積層構成が異なっていても、第一領域及び第二領域の表面を何れも略平滑にしやすくできる。
(B)オフセットインラインコーターによる印刷では、透明樹脂層の膜厚を厚くしやすいため、下層の材料が透明樹脂層の表面にブリードすることを抑制しやすくできる。このため、オフセットインラインコーターによる印刷では、第一領域及び第二領域の積層構成が異なっていても、第一領域及び第二領域の表面近傍の材料組成を略同一にしやすくできる。
以上のように、オフセットインラインコーターによる印刷は、透明樹脂層の厚くすることにより下層の影響(下層の凹凸及び下層の成分のブリード)を排除しやすい点、及び、オフセット方式により均一性が良好である点において、第一領域及び第二領域の透明樹脂層の表面物性を略同等にしやすくするための有効な手段であるといえる。
上記(A)及び(B)の作用を生じさせやすくするために、透明樹脂層形成用インキは粘度を高くすることが好ましい。該インキの粘度が高いと、インキのレベリングが抑制され、下層の表面凹凸をより反映させにくくできるためである。また、該インキの粘度が高いと、透明樹脂層の厚みを厚くしやすくできる。なお、通常のオフセット印刷(平版オフセット印刷)では、インキの粘度を高くした際の印刷は困難である。
該インキの粘度を高くする手段としては、インキを無溶剤とすること、インキ中に電離放射線硬化性樹脂組成物以外の樹脂成分を添加すること等が挙げられる。
なお、透明樹脂層形成用インキは、インキのレベリングを抑制するため、絵柄層が形成された基材に転写した後、直ちに電離放射線を照射して硬化することが好ましい。
透明樹脂層の厚みは、2〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましく、3.5〜7.5μmであることがさらに好ましい。
透明樹脂層の厚みを2μm以上とすることにより、式(1)を満たしやすくすることができる。また、透明樹脂層の厚みを20μm以下とすることにより、印刷物にカールが生じることを抑制しやすくできる。
《電離放射線硬化性樹脂組成物》
上述したように、式(1)を満たしやすくするためには、透明樹脂層形成用インキをオフセットインラインコーターによる印刷で塗布し、直後に電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化することが好ましい。このため、透明樹脂層は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが肝要である。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。
電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物(紫外線硬化の場合、「紫外線硬化性化合物」と称する場合もある。)としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、耐擦傷性を向上する観点からは、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーのうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。電離放射線硬化性化合物中には、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物(紫外線硬化性樹脂組成物)は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物中には、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤等の添加剤を含有していてもよい。
《その他の樹脂成分》
上述したように、式(1)を満たしやすくするためには、透明樹脂層形成用インキの粘度を高くすることが好ましく、そのためには、該インキ中に、電離放射線硬化性樹脂組成物以外の樹脂成分(その他の樹脂成分)を添加することが好ましい。また、その他の樹脂成分は、粘度向上の観点から、重量平均分子量が高いものを用いることが好ましい。
その他の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。
透明樹脂層中において、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物と、その他の樹脂成分との質量比は、90:10〜60:40であることが好ましく、90:10〜80:20であることがより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物90に対してその他の樹脂成分を10以上とすることにより、透明樹脂層形成用インキの粘度を高くしやすくできる。また、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物60に対してその他の樹脂成分を40以下とすることにより、透明樹脂層形成用インキの硬化が阻害されることを抑制し、該インキのレベリングを抑制しやすくできる。なお、透明樹脂層形成用インキの粘度が高すぎる場合、ブランケットから被印刷物にインキを転写する際に、インキの一部がブランケット側に持って行かれて、転写不良を生じる場合がある。電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物60に対してその他の樹脂成分を40以下とすることにより、前述した転写不良を抑制しやすくし得る点で好ましい。
−バイオマス由来成分−
上述したその他の樹脂成分は、環境対応の観点からバイオマス由来成分であることが好ましい。すなわち、透明樹脂層はバイオマス由来成分を含むことが好ましい。
バイオマス由来成分とは植物由来の成分である。バイオマス由来成分であるか否かは、下記に示す放射性炭素(C14)の測定により判定することができる。
大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、樹脂成分中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、樹脂成分がバイオマス由来であるか否かを判定することができる。
バイオマス由来成分としては汎用のものを用いることができ特に限定されないが、透明樹脂層形成用インキ中における電離放射線硬化性樹脂組成物との相溶性の観点から、下記に示すロジン変性アルキッド樹脂が好ましい。
[ロジン変性アルキッド樹脂]
樹脂酸、脂肪酸及び多塩基酸を含む酸成分と、多価アルコールとの縮重合体であって、濁点滴定法による溶解性パラメータsp値が9.0〜11.0(cal/cm1/2であり、酸価が1〜50mgKOH/gである、ロジン変性アルキッド樹脂。
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれるモノマー及びオリゴマー等の成分は比較的高いsp値を有する。上記のロジン変性アルキッド樹脂は、9.0〜11.0(cal/cm1/2という高いsp値を有することにより、電離放射線硬化性樹脂組成物との相溶性を良好にすることができる。
上記ロジン変性アルキッド樹脂の濁点滴定法による溶解性パラメータsp値は、9.3〜10.0(cal/cm1/2がより好ましく、9.5〜10.0(cal/cm1/2がさらに好ましい。
sp値を高くするために、上記ロジン変性アルキッド樹脂を構成する脂肪酸に含まれる炭素数は少ないことが好ましい。具体的には、当該脂肪酸に含まれる炭素数が8〜16であることが好ましく、8〜14であることがより好ましい。
このような低鎖長の脂肪酸は、ヤシ油やパーム核油に多く含まれるため、上記ロジン変性アルキッド樹脂を構成する脂肪酸としては、ヤシ油又はパーム核油の脂肪酸であることが好ましい。また、バイオマス由来の成分比率を高めるとの観点から、上記ロジン変性アルキッド樹脂全体に対する脂肪酸部分の割合は、30〜85質量%であることが好ましく、50〜85質量%であることがより好ましい。
濁点滴定法による溶解性パラメータsp値の算出について説明する。これは、簡便な実測法である濁点滴定により測定することができ、下記のK.W.SUH,J.M.CORBETTの式に従い算出される値である。なお、この方法によるsp値の算出については、J.Appl.Polym.Sci.1968,12,2359を参考にすることができる。
sp値=(Vml 1/2・δH+Vmh 1/2・δD)/(Vml 1/2+Vmh 1/2
濁点滴定では、試料0.5gを良溶媒であるトルエン10mL又はトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)10mLに溶解させた中に低sp値貧溶媒であるn−ヘキサンを加えていき、濁点での滴定量H(mL)を読み、同様にトルエン溶液中に高sp値貧溶媒であるエタノールを加えたときの濁点における滴定量D(mL)を読み、これらを下記式に適用し、Vml、Vmh、δH、及びδDを算出し、上記式へ代入すればよい。
なお、上記の濁点滴定で用いた各溶剤の分子容やsp値は次の通りである。
良溶媒の分子容 φ0 トルエン:106.28mL/mol
TMPTA:279.55mL/mol
低sp値貧溶媒の分子容 φl n−ヘキサン:131.61mL/mol
高sp値貧溶媒の分子容 φh エタノール:58.39mL/mol
各溶剤のsp値 トルエン:9.14、TMPTA:9.88
n−ヘキサン:7.28、エタノール:12.58
ml=(φ0・φl)/{(1−VH)・φl+VH・φ0}
mh=(φ0・φh)/{(1−VD)・φh+VD・φ0}
VH=H/(M+H)
VD=D/(M+D)
δH=(δ0・M)/(M+H)+(δl・H)/(M+H)
δD=(δ0・M)/(M+D)+(δl・D)/(M+D)
δ0:良溶媒のsp値
δl:低sp値貧溶媒のsp値
δh:高sp値貧溶媒のsp値
H:低sp値貧溶媒の滴定量(mL)
D:高sp値貧溶媒の滴定量(mL)
M:良溶媒の量(mL)
VH:低sp値貧溶媒滴定量の体積分率(%)
VD:高sp値貧溶媒滴定量の体積分率(%)
上記ロジン変性アルキッド樹脂の酸価は、1〜50mgKOH/gである。酸価を50mgKOH/g以下とすることにより、オフセット印刷に適用した際にインキが乳化することを抑制しやすくできる。酸価は、1〜25mgKOH/gであることが好ましく、1〜10mgKOH/gであることがより好ましい。
上記ロジン変性アルキッド樹脂の重量平均分子量は、1000〜70000であることが好ましい。重量平均分子量を1000以上とすることにより、透明樹脂層形成用インキの粘度を高くしやすくできる。また、重量平均分子量を70000以下とすることにより、電離放射線硬化性樹脂組成物に対する溶解性を良好にしやすくできる。
本明細書において重量平均分子量とは、GPC法によるで測定したポリスチレン換算の分子量を意味する。
上記ロジン変性アルキッド樹脂は、例えば、特開2018−65912号公報に開示されている方法により製造することができる。
《添加剤》
透明樹脂層形成用インキは各種の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、マット剤、レベリング剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、透明樹脂層形成用インキはマット剤を実質的に含有しないことが好ましい。透明樹脂層がマット剤を実質的に含有しないことにより、印刷物の高級感を高くすることができるとともに、本発明の効果を体感しやすくできる。
[包装材]
本発明の包装材は、上述した本発明の印刷物を用いてなるものである。
包装材としては、特に制限されることはないが、面内の触感を均一にし得るという効果を体感しやすい観点から、各種の容器が好ましく、箱状の容器であることがより好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.測定及び評価
実施例及び比較例で作製した印刷物について、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1−1.接触角
協和界面科学社の接触角測定器「商品名:AD−31」と、同社製の解析用のソフトウェア「商品名:FAMAS」を用いて、θ/2法に従って、印刷物の第一領域の純水に対する接触角(θ1)、及び印刷物の第二領域の純水に対する接触角(θ2)を測定した。
接触角の測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、相対湿度40〜65%とした。また、測定用サンプルを前記雰囲気に10分以上放置してから測定した。θ1及びθ2は、10箇所の測定値の平均値とした。
1−2.鏡面光沢度
BYK Gardner社の鏡面光沢度測定装置「商品名:micro−TRI-gloss」を用いて、JIS Z8741:1997に準拠して、印刷物の第一領域及び第二領域の60度鏡面光沢度を測定した。
1−3.面内の触感の均一性
印刷物の表面を目視しながら、該表面に人差し指の腹を押し当て、該表面上で人差し指を自由に5秒間動かした。20歳代、30歳代、40歳代、50歳代の4つの年代から、男女5名ずつ合計40名が前記動作を行った。
第1領域と第2領域との触感に違いを感じ難いものを3点、どちらとも言えないものを2点、第1領域と第2領域との触感に違いを感じやすいものを1点として、上記40人の評価の平均点を算出し、下記の点数でランク分けした。
<評価基準>
A:平均点が2.5以上
B:平均点が2.0以上2.5未満
C:平均点が2.0未満
2.インキの調製
以下の記載において、「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味するものとする。
2−1.バイオマス由来成分の製造
<バイオマス由来成分A>
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール36部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、ロジン160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することで、バイオマス由来成分Aの樹脂を得た。バイオマス由来成分Aの樹脂の酸価は13mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.74であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は0.7万だった。
<バイオマス由来成分B>
撹拌機、還流冷却器、温度計付きの反応釜に、ヤシ油800部、ペンタエリスリトール50部を配合し、250℃で1時間保持して、エステル交換反応を行なった。150℃に冷却し、重合ロジン160部、イソフタル酸50部、さらに還流用キシレンを加えて、250℃まで徐々に加熱し、6時間保持して脱水しながら縮重合反応を行なった。さらにキシレンを脱溶剤化するために、3時間減圧下で反応を行なって溶剤を留去することでバイオマス由来成分Bの樹脂を得た。バイオマス由来成分Bの樹脂の酸価は12mgKOH/gであり、濁点滴定法によるsp値は9.73であり、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)は1.4万だった。
2−2.インキ用ワニスの調製
下記の材料を冷却管付き反応釜に仕込み、100℃で1時間加熱及び撹拌することによりワニスAを調製した。
<ワニスAの成分>
・バイオマス由来成分A:19部
・ジトリメトロールプロパンテトラアクリレート:80部
・ブチルヒドロキシトルエン:1部
バイオマス由来成分Aをバイオマス由来成分Bに変更した以外は、ワニスAの調製と同様にしてワニスBを得た。
バイオマス由来成分Aを重量平均分子量2万のポリメタクリル酸メチルに変更した以外は、ワニスAの調製と同様にしてワニスCを得た。
2−3.絵柄層形成用インキの調整
下記の成分を混合した後、ボールミルを用いて分散し、さらに、3本ロールミルを用いてカーボンブラックの粒度が2.0μm以下になるまで練肉し、絵柄層形成用インキAを調製した。
<絵柄層形成用インキAの成分>
・ワニスA:70部
・カーボンブラック:15部
(三菱化学株式会社製、商品名:#60)
・光重合開始剤:7部
(IGM Resins B.V社、商品名:Omnirad 907)
・光重合促進剤:3部
[4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン]
ワニスAをワニスBに変更した以外は、絵柄層形成用インキAの調製と同様にして絵柄層形成用インキBを得た。
ワニスAをワニスCに変更した以外は、絵柄層形成用インキAの調製と同様にして絵柄層形成用インキCを得た。
2−4.透明樹脂層形成用インキの調製
下記の成分を混合し、透明樹脂層形成用インキAを調製した。
<透明樹脂層形成用インキAの成分>
・ワニスA:70部
・光重合開始剤:7部
(IGM Resins B.V社、商品名:Omnirad 907)
・光重合促進剤:3部
[4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン]
ワニスAをワニスBに変更した以外は、透明樹脂層形成用インキAの調製と同様にして透明樹脂層形成用インキBを得た。
ワニスAをワニスCに変更した以外は、透明樹脂層形成用インキAの調製と同様にして透明樹脂層形成用インキCを得た。
3.印刷物の作製
[実施例1]
紙基材(片面クレーコート紙、坪量310g/m、王子マテリア社製、商品名:UFコート、クレーコート面のRa:0.31μm)の塗工面側の一部に、絵柄層形成用インキAを平版オフセット印刷により塗布し、電離放射線硬化性樹脂組成物(ジトリメトロールプロパンテトラアクリレート)が完全硬化しないように紫外線照射し、半硬化状態の絵柄層(厚み1μm)を形成した。
次いで、紙基材の絵柄層を形成した側の全面に、透明樹脂層形成用インキAをオフセットインラインコーター印刷により塗布し、紫外線照射し、半硬化状態の絵柄層の硬化を進行させるとともに、透明樹脂層形成用インキA中の電離放射線硬化性樹脂組成物(ジトリメトロールプロパンテトラアクリレート)を硬化させ、厚み5μmの透明樹脂層を形成し、実施例1の印刷物を得た。
実施例1の印刷物の第一領域の面積(S1)と、第二領域の面積(S2)との比(S1/S2)は0.43であった。
[実施例2]
絵柄層形成用インキAを絵柄層形成用インキBに変更し、透明樹脂層形成用インキAを透明樹脂層形成用インキBに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の印刷物を得た。
[比較例1]
絵柄層形成用インキAを絵柄層形成用インキCに変更し、透明樹脂層形成用インキAを透明樹脂層形成用インキCに変更し、透明樹脂層の塗布手段をオフセットインラインコーター印刷からフレキソ印刷に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の印刷物を得た。比較例1の印刷物は、透明樹脂層の厚みが5μmであった。
Figure 2021053836
表1の結果から、式(1)を満たす実施例の印刷物は、面内の触感を均一にし得ることが確認できる。
10:基材
20:絵柄層
30:電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層(透明樹脂層)
100:印刷物

Claims (8)

  1. 少なくとも基材を有する印刷物であって、
    前記印刷物は、平面内に、第一領域と前記第一領域に隣接する第二領域とを有し、
    前記第一領域は、前記基材上に、絵柄層及び電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層をこの順に有し、
    前記第二領域は、前記基材上に、絵柄層を介することなく電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層を有し、
    前記第一領域の純水の接触角をθ1度、前記第二領域の純水の接触角をθ2度と定義した際に、下記式(1)を満たす、印刷物。
    (|θ1−θ2|/θ2)×100≦2.0% (1)
  2. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層の厚みが2〜20μmである、請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む層がバイオマス由来成分を含む、請求項1又は2に記載の印刷物。
  4. 前記絵柄層がバイオマス由来成分を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷物。
  5. 前記絵柄層の厚みが0.1〜3μmである、請求項1〜4の何れか1項に記載の印刷物。
  6. 前記第一領域と前記第二領域との境界の段差が2.0μm以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の印刷物。
  7. 前記基材が紙基材である請求項1〜6の何れか1項に記載の印刷物。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の印刷物を用いてなる包装材。
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