JP2021053547A - 不純物検知装置及び不純物検知方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン交換体からの金属溶出量をより低濃度域で評価可能な、イオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知装置及び不純物検知方法を提供する。【解決手段】第1のイオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知装置であって、前記第1のイオン交換体を充填する領域を含み水を通水可能な通水カラムと、前記水の流れに関して前記領域の1次側に配された第2のイオン交換体と、前記水の流れに関して前記領域の2次側に配された、前記水の不純物濃度を分析する分析手段と、を含む。前記不純物検知装置を用い、第1のイオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知方法。【選択図】図1

Description

本発明は、超純水製造用に使用されるイオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知装置及び不純物検知方法に関する。
半導体製造のために使用される超純水に対しては、極めて高い清浄度が要求される。例えば、ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)では、主な金属元素の濃度として1ng/L以下が求められている。また、更に厳しい管理が求められることもある。
超純水は、一般に、原水(工業用水、市水、井水等)を、必要に応じて前処理システムで処理し、そして一次純水システムおよび二次純水システム(サブシステム)で順次処理することにより製造する。超純水製造装置のサブシステムは、例えば、紫外線酸化装置と、イオン交換装置(典型的にはカートリッジポリッシャー)と、限外ろ過膜装置とをこの順に有する。紫外線酸化装置でTOC成分(有機物)を酸化分解し、イオン交換装置で金属イオンを含むイオン不純物を吸着除去し、限外ろ過膜装置で微粒子を除去する。超純水の水質が向上するにつれて、不純物の除去性能の他、装置を構成する部材からの溶出物が問題となる。イオン交換装置には、イオン交換体(典型的には、非再生型イオン交換樹脂)が充填されている。このイオン交換体の品質(清浄度)が、超純水の水質にとって、極めて重要である。つまり、イオン交換体からの溶出物が少ないこと、特に、金属元素の溶出が少ないことが求められる。
なお、超純水は、上記のように、一般的には一次純水システムに続いて二次純水システムを設けた純水製造装置により製造される高度な水(二次純水)を言うが、必ずしも処理手順により定義されるものではなく、半導体基板のような極めて清浄な表面を得ることが求められる電子部品等の洗浄用水として適当な用水(高純度な水)を指す。
特許文献1には、イオン交換樹脂を高度に精製して特にホウ素溶出量が低減されたイオン交換樹脂を得ることを目的として、ホウ素濃度1ppt以下に処理した水を用いてイオン交換樹脂を精製するイオン交換樹脂の精製方法が開示される。
特許文献2には、金属濃度が0.1ng/L以下の超純水を安定して製造することができる超純水製造装置が開示される。この装置は、アニオン交換樹脂を用いた脱イオン装置を最後段の脱イオン装置として設置した超純水製造装置であって、該アニオン交換樹脂として、予めカチオン溶出量を分析評価し、規定値以下であることを確認したアニオン交換樹脂を用いた超純水製造装置である。
特開2011−110515号公報 特開2009−112944号公報
イオン交換体の清浄度を評価するにあたり、評価に用いる純水や評価に用いる評価装置の清浄度が重要である。しかしながら、イオン交換体からの金属溶出量の低濃度域(場合によっては金属濃度として0.01ng/L以下)での評価は、これまで実施されておらず、その評価方法も確立されていない。
本発明の目的は、イオン交換体からの金属溶出量をより低濃度域で評価可能な、イオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知装置及び不純物検知方法を提供することである。
本発明の一態様により、
第1のイオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知装置であって、
前記第1のイオン交換体を充填する領域を含み、水を通水可能な通水カラムと、
前記水の流れに関して前記領域の1次側に配された第2のイオン交換体と、
前記水の流れに関して前記領域の2次側に配された、前記水の不純物濃度を分析する分析手段と、
を含むことを特徴とする不純物検知装置が提供される。
本発明の別の態様により、
第1のイオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知方法であって、
前記第1のイオン交換体を充填する領域を含み、水を通水可能な通水カラムと、前記水の流れに関して前記領域の1次側に配された第2のイオン交換体と、前記水の流れに関して前記領域の2次側に配された、前記水の不純物濃度を分析する分析手段と、を含む不純物検知装置を用い、
前記領域に前記第1のイオン交換体を充填する前に、前記水の流れに関して前記第2のイオン交換体の1次側から前記水として純水を供給して前記通水カラムに通水することにより、前記不純物検知装置の少なくとも一部を洗浄する、洗浄工程と、
前記洗浄工程で前記領域を通った後の水の不純物濃度を分析する、ブランク測定工程と、
前記ブランク測定工程で得られた不純物濃度が所定値以下もしくは所定値未満であることを確認した後に、前記領域に前記第1のイオン交換体を充填する、イオン交換体充填工程と、
前記第1のイオン交換体が充填された通水カラムに、前記水の流れに関して前記第2のイオン交換体の1次側から前記水として純水を通水し、前記第1のイオン交換体を通った後の水の不純物濃度を分析する、サンプル測定工程と
を含むことを特徴とする不純物検知方法が提供される。
本発明によれば、イオン交換体からの金属溶出量をより低濃度域で評価可能な、イオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知装置及び不純物検知方法が提供される。
洗浄工程を説明するための、不純物検知装置の模式図である。 ブランク測定工程を説明するための、不純物検知装置の模式図である。 イオン交換体充填工程を説明するための、不純物検知装置の模式図である。 サンプル測定工程を説明するための、不純物検知装置の模式図である。 再生工程を説明するための、不純物検知装置の模式図である。 実施例の結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、純水の抵抗率(25℃)は例えば0.1MΩ・cm以上である。本発明に関して、「純水」は、超純水と呼ばれる抵抗率が15MΩ・cm超もしくは18MΩ・cm超の水も含む。
本発明の一態様に係る不純物検知装置は、第1のイオン交換体(評価対象)からの不純物溶出を検知するための装置である。不純物検知装置は、図1に示すように、通水カラム1を含む。通水カラム1は、評価対象となる第1のイオン交換体を充填する領域(以下、「充填領域」ということがある)を含み、水を通水可能に構成される。通水カラム1としては、水の入口および出口を備え、これら開口を除いて密閉可能な容器を用いることができる。通水カラム1の内部の少なくとも一部が充填領域として利用される。
不純物検知装置は、水の流れに関して充填領域の1次側に配された第2のイオン交換体12を含む。第2のイオン交換体12は、充填領域(およびその2次側)の清浄度、および第1のイオン交換体に流通させる水の清浄度を向上または維持するために設置される。
詳しくは、通水カラム1に前記水として純水(特には超純水)を供給するラインL1が、通水カラム1(特にはその水入口)に接続される。ラインL1に、水を通水可能な容器2が設けられ、その内部に第2のイオン交換体12が収容される。容器2は、水の入口および出口を備え、これら開口を除いて密閉可能な容器である。
あるいは、図示しないが、容器2を使用せずに、第2のイオン交換体を、通水カラム1の内部の、充填領域の1次側の部分に収容してもよい。つまり、通水カラム1の内部において、第2のイオン交換体を入口側に配し、充填領域(第一のイオン交換体)を出口側に配することができる。
なお、ラインL1には、別途超純水製造装置で製造された超純水を供給することができる。ラインL1に供給する超純水は、第2のイオン交換体12の負荷を極力少なくするために、金属濃度が極力低いことが望ましく、超純水の金属濃度(超純水に複数種の金属元素が含まれる場合はそれぞれの金属元素の金属濃度)は好ましくは1ng/L未満、より好ましくは0.1ng/L未満である。
不純物検知装置は、水の流れに関して充填領域の2次側に配された、水の不純物濃度を分析する分析手段(不図示)を含む。例えば、通水カラム1から水を排出するラインL2が、通水カラム1(特にはその水出口)に接続される。充填領域の2次側に、不純物濃度分析用のサンプル水として水を採取する箇所(サンプリングポイント)が設けられる。例えば、不図示のサンプリングポイントが、ラインL2に設けられ、サンプル水が不図示の分析手段に送られる。分析手段については後述する。
実使用において大量の水を高純度に精製するために、典型的には、第1のイオン交換体は粒状である。また、第2のイオン交換体12は、例えば膜状、繊維状またはモノリス状であり、典型的には膜状またはモノリス状である。例えば圧力損失の観点から、第2のイオン交換体12はモノリス状であることが特に好ましい。
不純物としての金属を効果的に除去する観点から、第2のイオン交換体12がカチオン交換体を含むことが好ましく、強酸性のカチオン交換基を有するカチオン交換体を含むことがより好ましい。例えば、強酸性カチオン交換樹脂(粒状)、強酸性カチオン交換繊維、強酸性カチオン交換モノリスなどを第2のイオン交換体12に適用できる。なお、カチオン交換体に加えて、アニオン交換体を併用してもよい。例えば、カチオン交換体とアニオン交換体を混合してもよいし、これらを積層してもよいし、それぞれの交換体を収容した別々の容器を直列に配置してもよい。アニオン交換体には、微粒子除去効果も期待できる。
特には、第2のイオン交換体12に用いるカチオン交換体がモノリス状であることが好ましい。モノリス状のイオン交換体は水との接触効率が高い。特に、強酸性カチオン交換モノリスは水中の微量金属不純物を効果的に除去できるので好ましい。
なお、評価対象となる第1のイオン交換体に純水を通水する際(後述のサンプル測定工程)は、第2のイオン交換体12として、カチオン交換体はH形で使用し、アニオン交換体はOH形で使用する。第2のイオン交換体として使用するH形のカチオン交換体、OH形のアニオン交換体は、事前に、すなわち不純物検知装置に組み込む前に、再生および洗浄したものを使用することができる。カチオン交換体は、酸の水溶液(塩酸、硝酸もしくは硫酸の水溶液など)で再生を行い、純水で洗浄する。また、アニオン交換体は、アルカリ(NaOHなど)の水溶液で再生を行い、純水で洗浄する。
通水カラム1の接液部がパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、塩化ビニル樹脂(超純水用の塩化ビニル樹脂、いわゆるクリーンPVC)、アクリル樹脂のうちの少なくとも一種で形成されていることが好ましい。接液部の構成部材からの、金属等の不純物溶出が少ないからである。半導体部品洗浄用の超純水など第1のイオン交換体を用いて実際に製造する水の評価項目(不純物、特に金属元素)や評価レベル(濃度)に応じて、接液部の材質を選定することができる。
〔不純物検知方法〕
本発明の一態様に係る不純物検知方法においては、前記不純物検知装置を用いてイオン交換体からの不純物溶出を検知する。この方法は、次の工程を含む。
・洗浄工程(図1参照):通水カラム1の充填領域に第1のイオン交換体11を充填する前に、水の流れに関して第2のイオン交換体12の1次側から前記水として純水を供給して通水カラム1に通水することにより、不純物検知装置の少なくとも一部を洗浄する。
・ブランク測定工程(図2参照):洗浄工程で充填領域を通った後の水(純水、もしくは純水が汚染されて純水に該当しなくなった水)の不純物濃度を分析する。
・イオン交換体充填工程(図3参照):ブランク測定工程で得られた不純物濃度が所定値以下もしくは所定値未満であることを確認した後に、充填領域に第1のイオン交換体11を充填する。
・サンプル測定工程(図4参照):第1のイオン交換体11が充填された通水カラム1に、水の流れに関して第2のイオン交換体12の1次側から前記水として純水を通水し、第1のイオン交換体11を通った後の水(純水、もしくは純水が汚染されて純水に該当しなくなった水)の不純物濃度を分析する。
洗浄工程において、純水が第2のイオン交換体12を通過する際に、不純物(第1のイオン交換体を用いて実際に製造する水の評価項目とされる不純物、特に金属元素)が純水から除去される。そのため、充填領域に入る純水中の不純物濃度は低減されている。したがって、不純物検知装置の少なくとも一部を高度に洗浄することができるとともに、サンプリングポイントにおける純水中の不純物濃度分析(ブランク測定工程)における、不純物濃度(ブランク濃度)を下げることができる。洗浄工程では、不純物検知装置の、水の流れについて第2のイオン交換体12より2次側の部分(充填領域を含む)を洗浄することができる。例えば、イオン交換体12の2次側の、サンプリングポイントに至るまでの部分を洗浄することができる。場合によっては、分析手段の少なくとも一部を洗浄することも可能である。洗浄に使用した後の水は、適宜廃棄または別用途で使用すればよい。
ブランク測定工程では、充填領域(イオン交換体は未充填)を通過した後の水の不純物濃度を、分析手段を用いて分析する。図2では、通水カラム1の出口ラインL2から、分析用のサンプル水が採取される。
イオン交換体充填工程では、不純物濃度(ブランク測定工程で測定されたブランク濃度)が所定値以下もしくは所定値未満であることを確認した後に、図3に示すように、評価対象となる第1のイオン交換体11を通水カラム1の充填領域に充填する。ブランク濃度が所定値以下もしくは所定値未満にならないうちは、さらに洗浄工程とブランク測定工程を行う。
不純物濃度(特には金属濃度)の前記所定値は、低濃度域の不純物溶出量を評価する観点から、好ましくは0.1ng/L以下、より好ましくは0.05ng/L以下、さらに好ましくは0.01ng/L以下である。サンプル測定工程において複数種の金属元素の濃度を分析する場合、サンプル測定工程で分析対象とする複数種の金属元素の全てについて、ブランク測定工程においても濃度分析することが好ましい。この場合、当該複数種の金属元素のそれぞれについて、前記所定値を上記のとおりとすることができる。
濃度分析する金属は、例えば、Na、Ca、Al、Fe、Cr、PbおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
図4に示すように、サンプル測定工程において、評価対象である第1のイオン交換体11が充填された状態で、第2のイオン交換体12の1次側から純水を通水する。具体的にはラインL1から純水を供給する。このとき、第2のイオン交換体12によって純水から不純物が除去されるため、通水カラム1に入る純水中、つまり第1のイオン交換体に入る純水中の不純物濃度は低減される。すなわちブランク水質が向上および安定する。そして、第1のイオン交換体1を通過した水の不純物の濃度を分析する。これにより、第1のイオン交換体から溶出する微量不純物を低濃度域において高精度で評価することができる。換言すれば、ブランク水質の向上および安定によって、微量不純物の溶出を検出し、評価することが可能となる。
〔再生工程〕
洗浄工程の前に、第2のイオン交換体12を不純物検知装置に組み込んだ状態で、第2のイオン交換体12を再生する再生工程を行うことができる。
・再生工程:水の流れに関して第2のイオン交換体12の1次側から、第2のイオン交換体12を再生する再生液を、通水カラム1に通液する(図5)。
第2のイオン交換体12として事前に(不純物検知装置に組み込む前に)再生および洗浄したものを充填し、再生工程を行わずに使用する場合に比べて、第2のイオン交換体12を不純物検知装置に組み込んだ後に、好ましくは洗浄工程の直前に、再生工程を行うことによって、環境や移送に起因するコンタミネーションのリスクを低減することができる。なお、再生液によるコンタミネーションを避けるため、カチオン交換体とアニオン交換体の両方を用いる場合は、それぞれを独立して再生可能とするために、カチオン交換体の単床とアニオン交換体の単床を、別々の容器に設置することが好ましい。この場合、金属元素の微量不純物評価を行うために、第1のイオン交換体11の直前の第2のイオン交換体12は、カチオン交換体とすることが好ましい。
再生工程後に、洗浄工程を行うことによって、すなわち第2のイオン交換体の1次側から純水を通水することにより、不純物検知装置から再生液を押し出すことができる。
再生工程で用いる再生液として酸の水溶液、例えば塩酸、または硝酸もしくは硫酸の水溶液を用いることができる。この場合、再生液である酸水溶液が、通水カラム1(第1のイオン交換体を充填する前の、空の状態)を通過することによって、通水カラム1に含まれていた不純物(特には金属)を除去することができ(酸洗浄効果)、したがって前記ブランク濃度をさらに低減することができる。例えば、再生工程において、第2のイオン交換体のイオン交換容量の10倍当量以上の酸を含む量の酸水溶液を、第2のイオン交換体に通液することができる。
不純物濃度の分析は、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)を用いて行うことができる。これにより、微量元素の分析評価を高精度で容易に行うことができ、SiやBの分析も可能である。
なお、第2のイオン交換体12については、イオン交換体充填工程で使用する前記所定値を達成することができるように、その材料、形状、寸法などを選定することができ、また使用条件(洗浄工程およびサンプル測定工程における運転条件)を決めることができる。洗浄工程およびサンプル測定工程における運転条件は、同じとすることができる。
例えば、後に詳述するモノリス状有機多孔質カチオン交換体を第2のイオン交換体12として用いる場合、洗浄工程およびサンプル測定工程において第2のイオン交換体12の1次側から通水カラム1に純水を通水するときの通水条件は、次のようにすることができる。すなわち、通水速度SV(第2のイオン交換体の体積基準の空間速度)は、好ましくは20000h−1以下、より好ましくは10〜4000h−1である。当該SVの下限値側は特に好ましくは500h−1以上である。また、第2のイオン交換体12を通過するときの純水の線速度LVは、好ましくは100m/h以下、特に好ましくは1〜80m/hである。
分析手段で金属濃度を分析する場合、低濃度域の金属溶出量を評価する観点から、分析対象となる全金属元素のそれぞれに関して金属濃度の定量下限値が好ましくは0.1ng/L以下、より好ましくは0.05ng/L以下、さらに好ましくは0.01ng/L以下である。
本発明は、例えば超純水製造装置のサブシステムに備わるイオン交換体からの不純物の溶出量を評価するために有用である。
〔モノリス状カチオン交換体〕
第2のイオン交換体12として、モノリス状有機多孔質カチオン交換体(以下、「モノリスカチオン交換体」ともいう)を用いることができる。例えば、モノリスカチオン交換体としては、全構成単位中、架橋構造単位を0.1〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが乾燥状態で1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が乾燥状態で10〜200μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体が好ましい。モノリスカチオン交換体は、乾燥状態での全細孔容積が0.5〜10mL/gであること、カチオン交換基を有していること、水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量が、0.3〜5.0mg当量/mL(水湿潤状態)であること、カチオン交換基が有機多孔質カチオン交換体中に均一に分布していること、およびH形であることが、通液速度を高くすることができる等の観点から好ましい。
乾燥状態のモノリスカチオン交換体の開口の平均直径及び以下に述べるモノリス中間体の開口の平均直径は、水銀圧入法により求められ、水銀圧入法により得られた細孔分布曲線の極大値を指す。また、モノリスカチオン交換体の骨格の乾燥状態での平均太さは、乾燥状態のモノリスカチオン交換体のSEM(走査型電子顕微鏡)観察により求められる(SEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、それらの平均値を平均太さとする)。なお、骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の太さは短径と長径の平均である。
モノリスカチオン交換体において、導入されたカチオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布していることが好ましい。
<モノリスカチオン交換体の製造方法>
モノリス(モノリスカチオン交換体の、イオン交換基導入前のモノリス状物)は、次の工程を行うことにより得られる。
第I工程:イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤及び水の混合物を撹拌することにより油中水滴型エマルジョンを調製し、次いで油中水滴型エマルジョンを重合させて全細孔容積が16mL/gを超え、30mL/g以下の連続マクロポア構造のモノリス状の有機多孔質中間体(以下、「モノリス中間体」とも記載する。)を得る工程。
第II工程:芳香族ビニルモノマー、一分子中に少なくとも2個以上のビニル基を有する全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%の架橋剤、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒及び重合開始剤からなる混合物を調製する工程。
第III工程:第II工程で得られた混合物を静置下、且つ第I工程で得られたモノリス中間体の存在下に重合を行い、共連続構造体である有機多孔質体であるモノリスを得る工程。
なお、第I工程と第II工程の順序はなく、第I工程後に第II工程を行ってもよく、第II工程後に第I工程を行ってもよい。
第I工程は、特開2002−306976号公報記載の方法に準拠して行えばよい。
第I工程で用いる油溶性モノマーの中で、好適なものとしては、芳香族ビニルモノマーであり、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらモノマーは、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、0.3〜5モル%、好ましくは0.3〜3モル%とすることが、共連続構造の形成に有利となるため好ましい。
第I工程で用いられる界面活性剤は、カチオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、例えば両性界面活性剤を用いることができる。界面活性剤は一種単独又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70質量%の範囲で選択することができる。
また、第I工程では、油中水滴型エマルジョン形成の際、必要に応じて重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤は、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよい。
第I工程において、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤を混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルジョンを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
第I工程で得られるモノリス中間体は、架橋構造を有する有機ポリマー材料、好適には芳香族ビニルポリマーである。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.1〜5モル%、好ましくは0.3〜3モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。特に、全細孔容積が16〜20mL/gの場合には、共連続構造を形成させるため、架橋構造単位は3モル%未満とすることが好ましい。
第I工程で得られるモノリス中間体の乾燥状態での質量当りの全細孔容積は、16mL/gを超え、30mL/g以下、好適には16mL/gを超え、25mL/g以下である。すなわち、このモノリス中間体は、基本的には連続マクロポア構造ではあるが、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)が格段に大きいため、モノリス構造を構成する骨格が二次元の壁面から一次元の棒状骨格に限りなく近い構造を有している。これを重合系に共存させると、モノリス中間体の構造を型として共連続構造の多孔質体が形成される。モノリス中間体の全細孔容積を上記範囲とするには、モノマーと水の比を、概ね1:20〜1:40とすればよい。
また、第I工程で得られるモノリス中間体は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で5〜100μmである。モノリス中間体は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
第II工程で用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、分子中に重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒に対する溶解性が高い親油性の芳香族ビニルモノマーであれば、特に制限はないが、上記重合系に共存させるモノリス中間体と同種類もしくは類似のポリマー材料を生成するビニルモノマーを選定することが好ましい。
第II工程で用いられる芳香族ビニルモノマーの添加量は、重合時に共存させるモノリス中間体に対して、質量で5〜50倍、好ましくは5〜40倍である。
第II工程で用いられる架橋剤は、分子中に少なくとも2個の重合可能なビニル基を含有し、有機溶媒への溶解性が高いものが好適に用いられる。好ましい架橋剤は、機械的強度の高さと加水分解に対する安定性から、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル等の芳香族ポリビニル化合物である。架橋剤使用量は、ビニルモノマーと架橋剤の合計量(全油溶性モノマー)に対して0.3〜5モル%、特に0.3〜3モル%である。なお、上記架橋剤使用量は、ビニルモノマー/架橋剤重合時に共存させるモノリス中間体の架橋密度とほぼ等しくなるように用いることが好ましい。
第II工程で用いられる有機溶媒は、芳香族ビニルモノマーや架橋剤は溶解するが芳香族ビニルモノマーが重合して生成するポリマーは溶解しない有機溶媒であり、有機溶媒の使用量は、上記芳香族ビニルモノマーの濃度が30〜80質量%となるように用いることが好ましい。
第II工程で用いられる重合開始剤は、熱又は光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は油溶性であるほうが好ましい。重合開始剤の使用量は、モノマーの種類や重合温度等によって大きく変動するが、ビニルモノマーと架橋剤の合計量に対して、約0.01〜5質量%の範囲で使用することができる。
第III工程の重合系に特定の連続マクロポア構造のモノリス中間体を存在させると、粒子凝集構造は消失し、上述の共連続構造を持つモノリスが得られる。
前記モノリスの製造方法において、反応容器の内容積は、モノリス中間体を反応容器中に存在させる大きさのものであれば特に制限されず、反応容器内にモノリス中間体を載置した際、平面視でモノリスの周りに隙間ができるもの、反応容器内にモノリス中間体が隙間無く入るもののいずれであってもよい。このうち、重合後の骨太のモノリスが容器内壁から押圧を受けることなく、反応容器内に隙間無く入るものが、モノリスに歪が生じることもなく、反応原料などの無駄がなく効率的である。なお、反応容器の内容積が大きく、重合後のモノリスの周りに隙間が存在する場合であっても、ビニルモノマーや架橋剤は、モノリス中間体に吸着、分配されるため、反応容器内の隙間部分に粒子凝集構造物が生成することはない。
第III工程において、反応容器中、モノリス中間体は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。第II工程で得られた混合物とモノリス中間体の配合比は、前述の如く、モノリス中間体に対して、ビニルモノマーの添加量が質量で3〜50倍、好ましくは4〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な開口径を有しつつ、骨太の骨格を有する前記モノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中のビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体の骨格内で重合が進行する。
第III工程において、反応容器中、モノリス中間体は混合物(溶液)で含浸された状態に置かれる。第II工程で得られた混合物とモノリス中間体の配合比は、前述の如く、モノリス中間体に対して、芳香族ビニルモノマーの添加量が質量で5〜50倍、好ましくは5〜40倍となるように配合するのが好適である。これにより、適度な大きさの空孔が三次元的に連続し、且つ骨太の骨格が3次元的に連続する共連続構造のモノリスを得ることができる。反応容器中、混合物中の芳香族ビニルモノマーと架橋剤は、静置されたモノリス中間体の骨格に吸着、分配され、モノリス中間体の骨格内で重合が進行する。
第III工程の重合条件は、モノマーの種類、開始剤の種類により様々な条件が選択される。加熱重合により、モノリス中間体の骨格に吸着、分配したビニルモノマーと架橋剤が骨格内で重合し、骨格を太らせることができる。重合終了後、内容物を取り出し、未反応ビニルモノマーと有機溶媒の除去を目的に、アセトン等の溶剤で抽出して前記モノリスを得る。
モノリスカチオン交換体は、第III工程で得られたモノリスにカチオン交換基を導入する第IV工程を行うことにより得られる。
モノリスカチオン交換体に導入されるカチオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等が挙げられる。
また、モノリスに、カチオン交換基を導入する方法としては、例えば、スルホン酸基を導入する方法としては、モノリスがスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロ硫酸や濃硫酸、発煙硫酸を用いてスルホン化する方法;モノリスに均一にラジカル開始基や連鎖移動基を骨格表面及び骨格内部に導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムやアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換によりスルホン酸基を導入する方法等が挙げられる。これらの方法のうち、クロロ硫酸を用いてスチレン−ジビニルベンゼン共重合体にスルホン酸を導入する方法が、カチオン交換基を均一かつ定量的に導入できる点で好ましい。
前記モノリス及びモノリスカチオン交換体は、3次元的に連続する空孔の大きさが格段に大きいにもかかわらず、骨太骨格を有するため機械的強度が高い。また、モノリスカチオン交換体は、骨格が太いため、水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量を大きくでき、更に、被処理液を低圧、大流量で長期間通液することが可能である。
〔濃縮法を用いた分析〕
不純物濃度、特には金属濃度の分析において、濃縮法を用いることができる。つまり、サンプル水中の金属を濃縮して濃縮液を得、金属濃度の測定装置、例えば誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)を用いて濃縮液中の金属濃度を測定することができる。濃縮操作の濃縮倍率は、適宜決めることができる。
濃縮法としては、例えば、サンプル水中の不純物(金属)を多孔質イオン交換体で捕捉した後、捕捉した不純物を溶離液を用いて溶離し、得られた溶離液中の不純物濃度を測定する、イオン交換体濃縮法を採用することができる。その他の濃縮法として、加熱濃縮法(サンプル水を加熱して濃縮する)があるが、高倍率でクリーンに濃縮するにはイオン交換体濃縮法が好ましい。
イオン交換体濃縮法の例として、濃縮に用いるイオン交換体としてイオン吸着膜を用いるイオン吸着膜法(特開2001−153854号公報参照)がある。あるいは、イオン吸着膜に替えて、モノリス状有機多孔質イオン交換体を用いる方法「以下、「モノリス交換体法」と呼ぶことがある)を採用してもよい。モノリス交換体法では、イオン交換体にかかる差圧がイオン吸着膜法と比較して小さいため、高SV(空間速度)でイオン交換体に通水でき、所要時間の短縮が可能である。
〔イオン吸着膜法〕
イオン吸着膜(特にはカチオン交換能を有する多孔性膜)は例えばT.Hori et al., J.Membr.Sci., 132(1997)203-211 に記載の方法によって作製することができる。イオン吸着膜に導入する官能基は、膜1g当たり0.1ミリ当量〜5ミリ当量含有されていることが好ましい。多孔性膜の平均孔径は0.01μm〜5μmの範囲が好ましい。多孔性膜の空孔率は20%〜80%の範囲にあるものが好ましい。多孔性膜の膜厚は、10μm〜5mmの範囲が好ましい。
〔モノリス交換体法〕
モノリス交換体法では、濃縮に用いるイオン交換体として、第2のイオン交換体に関して前述したモノリスカチオン交換体と同様のモノリスカチオン交換体を用いることができる。
図1に示す構成を有する不純物検知装置を用いて、洗浄工程、ブランク測定工程、イオン交換体充填工程およびサンプル測定工程を実施した。条件は以下の通りとした。
・通水カラム:
内径26mm、長さ1000mmのPFA製の樹脂塔。
・第1のイオン交換体:
カートリッジポリッシャー用のイオン交換樹脂(カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを混合したもの)500mL。カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂はいずれも粒状(粒径400〜800μm程度)。通水カラムに充填した際の樹脂層(混床)の高さは600mm以上。
・第2のイオン交換体を収容する容器:
PFA製のチューブ(内径10mm程度)。
・第2のイオン交換体:
第2のイオン交換体として、モノリスカチオン交換体を用いた。このモノリスカチオン交換体は、乾燥状態での全細孔容積が2.9mL/gであり、カチオン交換基を有し、水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量が0.72mg当量/mLであり、カチオン交換基が有機多孔質カチオン交換体中に均一に分布し、H形であった。
・水(超純水)の通水量:
第1のイオン交換体の混床の体積基準の空間速度(LHSV):50h−1(流量として約420mL/分)。洗浄工程およびサンプル測定工程において、流量は同じとした。
・イオン交換体充填工程で使用した、不純物濃度の所定値:
図6に示した17種の金属元素のそれぞれについて0.005ng/L(金属濃度分析の定量下限値と同じ)。
・不純物(金属)濃度分析法
モノリスカチオン交換体を用いた濃縮法を用いた分析(後述)。
〔再生工程〕
多摩化学社製の高純度硝酸TAMAPURE AA−100(商品名)を希釈した1N硝酸をラインL1から供給し、容器2内に収容した前記モノリスカチオン交換体(第2のイオン交換体12)を通過(透過)させ、次いで通水カラム1(イオン交換体未充填)およびラインL2を経て、不純物検知装置から排出した。通液した硝酸に含まれるHNOの総量は、第2のイオン交換体のイオン交換容量の10倍当量以上であった。
〔洗浄工程〕
ラインL1から超純水を供給し、容器2内に収容した前記モノリスカチオン交換体(第2のイオン交換体12)を通過(透過)させ、次いで通水カラム1(イオン交換体未充填)およびラインL2を経て、不純物検知装置から排出した。
〔ブランク測定工程〕
洗浄工程においてラインL2に得られた水の金属濃度(ブランク濃度)を分析した。
〔イオン交換体充填工程〕
ブランク濃度が前記所定値未満になるまで洗浄を継続し、ブランク測定工程を繰り返した。ブランク濃度が前記所定値未満であることを確認した後に、超純水の供給を止め、通水カラム1の充填領域に第1のイオン交換体を充填した。
〔サンプル測定工程〕
ラインL1から超純水を供給し、容器2内に収容したモノリスカチオン交換体(第2のイオン交換体12)を通過(透過)させ、次いで通水カラム1(第1のイオン交換体が充填されている)およびラインL2を経て、不純物検知装置から排出した。ラインL2に得られた水の金属濃度(サンプル濃度)を分析した。
図6に、サンプル測定工程で得られた金属濃度すなわちサンプル濃度を示した(図6において「サンプル水」と示す)。なお、図示した17種の金属元素について金属濃度を分析した。また、サンプル濃度を測定した時点で、ラインL1に供給していた超純水についても金属濃度を分析し、さらに通水カラム1の入口水(第2のイオン交換体12の2次側、かつ第一のイオン交換体11の1次側の水)についても金属濃度を分析した(図6中、これらの金属濃度をそれぞれ「超純水」、「処理超純水」と示す)。なお、前記所定値未満であることを確認した時点の各金属のブランク濃度は、図6に「処理超純水」として示される各金属濃度とほぼ同じであった。
ラインL1に供給した超純水の金属濃度と比較して、通水カラム1の入口水(処理超純水)の金属濃度は有意に低い。この結果から、上記不純物検知方法および不純物検知装置によって、より確実に清浄な純水で第1のイオン交換体を評価可能であることがわかる。
〔モノリスカチオン交換体を用いた濃縮法を用いた分析法の詳細〕
分析手段において濃縮用にモノリスカチオン交換体を用いた。このモノリスカチオン交換体は、乾燥状態での全細孔容積が2.9mL/gであり、カチオン交換基を有し、水湿潤状態での体積当りのカチオン交換容量が0.72mg当量/mLであり、カチオン交換基が有機多孔質カチオン交換体中に均一に分布し、H形であった。このモノリスカチオン交換体をラインL2から分岐したサンプリングラインに設置し、サンプル水中の金属濃度を測定した。濃縮期間は約6日間とし、濃縮用モノリスカチオン交換体へのサンプル水は、通水速度500ml/minで約4000L通水した。サンプル水中の金属をモノリスカチオン交換体に捕捉した後、捕捉した金属イオンを多摩化学社製の高純度硝酸TAMAPURE AA−100(商品名)を希釈した2N硝酸100mlを用いて溶離し、溶離液中の金属量をICP−MSにて測定した。濃縮倍率は4000/0.1=40000倍であるから、溶離液中の金属量(ng)を濃縮倍率で除した値がサンプル水中の金属濃度となる。
1 通水カラム
2 容器
11 第1のイオン交換体
12 第2のイオン交換体

Claims (10)

  1. 第1のイオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知装置であって、
    前記第1のイオン交換体を充填する領域を含み、水を通水可能な通水カラムと、
    前記水の流れに関して前記領域の1次側に配された第2のイオン交換体と、
    前記水の流れに関して前記領域の2次側に配された、前記水の不純物濃度を分析する分析手段と、
    を含むことを特徴とする不純物検知装置。
  2. 前記第1のイオン交換体が粒状である、請求項1に記載の不純物検知装置。
  3. 前記第2のイオン交換体が膜状またはモノリス状である、請求項1または2に記載の不純物検知装置。
  4. 前記第2のイオン交換体が、少なくともカチオン交換体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不純物検知装置。
  5. 前記不純物濃度が金属濃度である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の不純物検知装置。
  6. 前記通水カラムの接液部がパーフルオロアルコキシアルカン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル樹脂およびアクリル樹脂の少なくとも一種で形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の不純物検知装置。
  7. 第1のイオン交換体からの不純物溶出を検知する不純物検知方法であって、
    前記第1のイオン交換体を充填する領域を含み、水を通水可能な通水カラムと、前記水の流れに関して前記領域の1次側に配された第2のイオン交換体と、前記水の流れに関して前記領域の2次側に配された、前記水の不純物濃度を分析する分析手段と、を含む不純物検知装置を用い、
    前記領域に前記第1のイオン交換体を充填する前に、前記水の流れに関して前記第2のイオン交換体の1次側から前記水として純水を供給して前記通水カラムに通水することにより、前記不純物検知装置の少なくとも一部を洗浄する、洗浄工程と、
    前記洗浄工程で前記領域を通った後の水の不純物濃度を分析する、ブランク測定工程と、
    前記ブランク測定工程で得られた不純物濃度が所定値以下もしくは所定値未満であることを確認した後に、前記領域に前記第1のイオン交換体を充填する、イオン交換体充填工程と、
    前記第1のイオン交換体が充填された通水カラムに、前記水の流れに関して前記第2のイオン交換体の1次側から前記水として純水を通水し、前記第1のイオン交換体を通った後の水の不純物濃度を分析する、サンプル測定工程と
    を含むことを特徴とする不純物検知方法。
  8. 前記洗浄工程の前に、前記第2のイオン交換体を再生する再生液を、前記水の流れに関して前記第2のイオン交換体の1次側から、前記通水カラムに通液する再生工程を含む、請求項7に記載の不純物検知方法。
  9. 前記再生液が酸の水溶液である、請求項8に記載の不純物検知方法。
  10. 前記所定値が、0.1ng/L以下である、請求項7〜9のいずれか一項記載の不純物検知方法。
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