JP2021050082A - 媒体搬送装置、処理装置、記録システム - Google Patents

Abstract

【課題】積載部に積載する媒体のうち最後の媒体は下流に向けて進みにくく、媒体束が適切に整合されていない状態のまま、媒体束に対し処理を行ってしまうことを防止する媒体搬送装置を提供する。【解決手段】媒体搬送装置は、媒体を支持する支持面上に媒体を積載する積載部と、積載部に積載された媒体の下流端を整合させる整合部と、媒体の前記下流端から上流の所定範囲を支持面に向けて押し付ける第１状態と、第１状態より支持面から離れる第２状態と、を切り換え可能な押さえ部と、を備えている。押さえ部は、積載部への媒体の送り込みを待つ状態では第１状態をとり、積載部に媒体が送り込まれる場合に第１状態から第２状態に切り換わり、その後第２状態から第１状態に戻る。最後の媒体が積載部に積載される場合は、最後の媒体より前の媒体が積載部に積載される場合よりも、押さえ部が第２状態から第１状態に戻るタイミングが遅い。【選択図】図１１

Description

本発明は、媒体を搬送する媒体搬送装置、並びに前記媒体搬送装置を備える処理装置及び前記処理装置を備える記録システムに関する。

媒体に所定の処理を行う処理装置には、重ねられた複数枚の媒体の幅方向の中央を綴じる中綴じ処理を行った後、媒体を綴じ位置で折る折り処理を行い、冊子体を形成可能に構成されるものがある。
尚、このような処理装置は、インクジェットプリンターに代表される記録装置による媒体への記録から、記録後の媒体の中綴じ処理及び折り処理までを、連続して実行可能な記録システムに組み込まれる場合もある。

このような処理装置は、処理前の媒体を媒体搬送装置によって媒体を積載する積載部に搬送し、積載部に載置された媒体の端部を整合部に突き当てて揃えた後に中綴じ処理を行うように構成されるものがある。
一例として特許文献１には、前記積載部に相当するコンパイルトレイと、前記整合部に相当するエンドガイドと、前記媒体に相当するシートを前記エンドガイドに向けて移動させるパドルと、コンパイルトレイ上に集積されるシートを幅方向に揃えるためにスライド移動する一対のジョガーフェンスとを備えた構成が開示されている。

特開２０１０−００１１４９号公報

上記の様な媒体搬送装置では、積載部上に積載された媒体束が乱れない様に、媒体束を積載部に向けて押さえ、また、搬送方向と交差する方向である幅方向の媒体束のエッジを規制していることが好ましい。そして、積載部上に媒体が送り込まれる際に、必要最小限の時間だけ、積載部に向けた媒体束の押さえを解除し、また、前記幅方向の媒体束のエッジの規制を解除することが好ましい。
ここで、媒体間の滑りが悪く、例えば媒体に対してインクジェット記録を行った場合の様に媒体間の摩擦係数が大きくなっている場合には、直近で積載された媒体の搬送方向下流端が整合部に達しておらず不適切な位置で止まっている場合がある。但しこの様な場合であっても、後続の媒体が送り込まれる際に、不適切な位置で止まっている媒体を搬送方向に移動させることで、不適切な位置で止まっている媒体の搬送方向下流端が整合部に達することができる場合がある。しかしながら、積載部に積載される複数枚の媒体のうち最後の媒体についてはこの様な作用が期待できない。その為、媒体束が適切に整合されていない状態のまま、媒体束に対し処理を行ってしまう虞がある。

上記課題を解決する為の、本発明の媒体搬送装置は、媒体を搬送する送り手段と、前記送り手段によって搬送される媒体を、搬送方向の下流が下方を向く傾斜姿勢で支持する支持面を有し、前記支持面上に媒体を積載する積載部と、前記積載部に積載された媒体の前記搬送方向の下流端を整合させる整合部と、前記積載部に積載された媒体の前記下流端から前記搬送方向の上流の所定範囲を前記支持面に向けて押し付ける第１状態と、前記第１状態より前記支持面から離れる第２状態と、を切り換え可能な押さえ部と、を備え、前記押さえ部は、前記積載部への媒体の送り込みを待つ状態では前記第１状態をとり、前記積載部に媒体が送り込まれる場合に前記第１状態から前記第２状態に切り換わり、その後前記第２状態から前記第１状態に戻り、前記積載部に複数枚の媒体が積載される際、最後の媒体が前記積載部に積載される場合は、前記最後の媒体より前の媒体が前記積載部に積載される場合よりも、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻るタイミングが遅いことを特徴とする。

記録システムの全体構成を示す図。 中綴じ折り機構の側面図。 中綴じ折り機構の側面図。 中綴じ折り機構の側面図。 中綴じ折り機構の側面図。 中綴じ折り機構の側面図。 媒体搬送装置の平面図。 サイドガイドとスタッカー部を搬送方向から視た図。 整合部とサイドガイドの動作を示す図。 整合部とサイドガイドの制御を示すフローチャート。 整合部とサイドガイドの動作を示すタイミングチャート。

以下、本発明を概略的に説明する。
第１の態様に係る媒体搬送装置は、媒体を搬送する送り手段と、前記送り手段によって搬送される媒体を、搬送方向の下流が下方を向く傾斜姿勢で支持する支持面を有し、前記支持面上に媒体を積載する積載部と、前記積載部に積載された媒体の前記搬送方向の下流端を整合させる整合部と、前記積載部に積載された媒体の前記下流端から前記搬送方向の上流の所定範囲を前記支持面に向けて押し付ける第１状態と、前記第１状態より前記支持面から離れる第２状態と、を切り換え可能な押さえ部と、を備え、前記押さえ部は、前記積載部への媒体の送り込みを待つ状態では前記第１状態をとり、前記積載部に媒体が送り込まれる場合に前記第１状態から前記第２状態に切り換わり、その後前記第２状態から前記第１状態に戻り、前記積載部に複数枚の媒体が積載される際、最後の媒体が前記積載部に積載される場合は、前記最後の媒体より前の媒体が前記積載部に積載される場合よりも、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻るタイミングが遅いことを特徴とする。

本態様によれば、前記積載部に複数枚の媒体が積載される際、最後の媒体が前記積載部に積載される場合は、前記最後の媒体より前の媒体が前記積載部に積載される場合よりも、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻るタイミング即ち媒体を前記支持面に向けて押し付けるタイミングが遅いので、前記最後の媒体の下流端がより確実に前記整合部に達することができ、ひいてはより適切な整合結果を得ることができる。
また、前記積載部に積載される媒体の全てに対して、前記タイミングの遅延を適用する場合に比してスループットの低下を抑制できる。
尚、本明細書において「積載部に複数枚の媒体が積載される際の最後の媒体」とは、前記積載部に積載された媒体束に対し綴じ処理等の処理が行われる場合の媒体束の最も上に位置する媒体、或いは媒体束に処理が行われず前記積載部から他の場所にそのまま排出される場合の媒体束の最も上に位置する媒体を意味する。

第２の態様は、第１の態様において、前記積載部に積載された媒体の、前記搬送方向と交差する方向である幅方向における一方のエッジと対向する第１サイドガイド及び他方のエッジと対向する第２サイドガイドを備え、前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドは、前記幅方向における媒体のエッジを整合する整合位置と、前記整合位置より媒体のエッジから離れる離間位置と、を変位可能であり、前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドは、前記積載部への媒体の送り込みを待つ状態では前記整合位置にあり、前記積載部に媒体が送り込まれる場合に前記整合位置から前記離間位置に変位し、その後前記離間位置から前記整合位置に戻り、前記積載部に複数枚の媒体が積載される際、最後の媒体が前記積載部に積載される場合は、前記最後の媒体より前の媒体が前記積載部に積載される場合よりも、前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドが前記離間位置から前記整合位置に戻るタイミングが遅いことを特徴とする。

本態様によれば、前記積載部に複数枚の媒体が積載される際、最後の媒体が前記積載部に積載される場合は、前記最後の媒体より前の媒体が前記積載部に積載される場合よりも、前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドが前記離間位置から前記整合位置に戻るタイミングが遅いので、前記最後の媒体の下流端がより確実に前記整合部に達した状態で、前記幅方向のエッジを整合することができ、ひいてはより適切な整合結果を得ることができる。

第３の態様は、第２の態様において、前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドが前記離間位置から前記整合位置に戻った後、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻ることを特徴とする。
本態様によれば、前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドが前記離間位置から前記整合位置に戻った後、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻るので、前記押さえ部が、前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドによる媒体の整合を阻害することがない。

第４の態様は、第２のまたは第３の態様において、前記搬送方向において前記送り手段と前記整合部との間に位置するとともに前記支持面と対向配置され、前記媒体に接触しつつ回転することにより、前記媒体を前記整合部に向けて移動させるパドルを備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記搬送方向において前記送り手段と前記整合部との間に位置するとともに前記支持面と対向配置され、前記媒体に接触しつつ回転することにより、前記媒体を前記整合部に向けて移動させるパドルを備えるので、媒体の下流端がより確実に前記整合部に達することができ、ひいてはより適切な整合結果を得ることができる。

第５の態様は、第２から第４の態様のいずれかにおいて、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻るタイミング、及び前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドが前記離間位置から前記整合位置に戻るタイミングは、前記積載部に媒体が送り込まれる際の条件に応じて調整されることを特徴とする。

本態様によれば、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻るタイミング、及び前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドが前記離間位置から前記整合位置に戻るタイミングは、前記積載部に媒体が送り込まれる際の条件に応じて調整されるので、媒体の下流端がより確実に前記整合部に達することができ、ひいてはより適切な整合結果を得ることができる。

第６の態様に係る処理装置は、第１から第５の態様のいずれかに係る媒体搬送装置と、前記積載部に積載された媒体に処理を行う処理部とを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、処理装置において、上述した第１から第５の態様のいずれかの作用効果が得られる。

第７の態様に係る記録システムは、媒体に記録を行う記録ユニットと、前記記録ユニットで記録が行われた前記媒体を受け入れて処理を行う、第６の態様に係る処理装置とを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、記録システムにおいて、上述した第６の態様の作用効果が得られる。

以下、本発明を具体的に説明する。
各図において示すＸ−Ｙ−Ｚ座標系は直交座標系であり、Ｘ軸方向が装置奥行き方向を示し、Ｙ軸方向が装置幅方向を示し、Ｚ軸方向が装置高さ方向であって鉛直方向を示している。

＜＜＜記録システムの概略＞＞＞
図１に示す記録システム１は、一例として、図１の右方から左方に向かって順に記録ユニット２と、中間ユニット３と、第１ユニット５と、第１ユニット５に対して着脱可能な処理装置としての第２ユニット６とを備えている。

記録ユニット２は、搬送される媒体に記録を行う。中間ユニット３は、記録後の媒体を記録ユニット２から受け入れて第１ユニット５に受け渡すものであり、主として媒体の乾燥を促進させる機能を果たす。第１ユニット５には、受け入れた媒体に乾燥処理を施す乾燥部５０と、記録ユニット２における記録後の媒体を束にして端を綴じる端綴じ処理を行う端綴じ部４２が設けられている。第２ユニット６には、記録ユニット２における記録後の媒体の束の中央を綴じて折り、冊子体にする中綴じ折り機構７０が設けられている。尚、以下では記録後の媒体の束の中央を綴じる処理、及びそれに続いて媒体の束を折る処理を、簡略化して「中綴じ処理」と称することとする。
以下、記録ユニット２、中間ユニット３、第１ユニット５、第２ユニット６の順に詳しく説明する。

＜＜＜記録ユニットについて＞＞＞
記録ユニット２は、媒体に記録を行う記録部としてのラインヘッド２０を備えるプリンター部１０と、スキャナー部１１を備える複合機として構成されている。本実施形態においてラインヘッド２０は、液体の一例であるインクを媒体に吐出して記録を行う、所謂インクジェット式の記録ヘッドとして構成されている。
プリンター部１０の下部には、複数の媒体収容カセット１２を備えるカセット収容部１４が設けられている。媒体収容カセット１２に収容された媒体Ｐが、実線で示される給送経路２１を通ってラインヘッド２０による記録領域に送られて、記録動作が行われる。ラインヘッド２０による記録後の媒体は、ラインヘッド２０の上方に設けられる記録後排出トレイ１３に媒体を排出するための経路である第１排出経路２２か、中間ユニット３に媒体を送るための経路である第２排出経路２３か、のいずれかに送られる。

図１において、第１排出経路２２を破線で示し、第２排出経路２３を一点鎖線で示している。第２排出経路２３は記録ユニット２の＋Ｙ方向に延設され、媒体を隣接する中間ユニット３の受入経路３０に受け渡す。

また、記録ユニット２は、図１において二点鎖線で示される反転用経路２４を備え、媒体の第１面への記録後に、媒体を反転して第２面への記録を行う両面記録が可能に構成されている。尚、給送経路２１、第１排出経路２２、第２排出経路２３、及び反転用経路２４のそれぞれには、媒体を搬送する手段の一例として、図示を省略するローラー対が一対以上配置されている。

記録ユニット２には、記録ユニット２における媒体の搬送や記録に係る動作を制御する制御部２５が設けられている。尚、記録システム１は、記録ユニット２、中間ユニット３、第１ユニット５、及び第２ユニット６が互いに機械的及び電気的に接続されて、記録ユニット２から第２ユニット６まで媒体を搬送可能に構成されている。尚本実施形態における制御部２５は、記録ユニット２に接続された中間ユニット３、第１ユニット５、及び第２ユニット６における各種動作の制御を行うことができる。

記録ユニット２は操作部１９を備え、操作部１９から、記録ユニット２、中間ユニット３、第１ユニット５、及び第２ユニット６での各種処理に関する種々の設定、及び実行指令を入力することができるように構成されている。また操作部１９は表示パネル（不図示）を備えており、この表示パネルに、各種情報を表示できる様に構成されている。

＜＜＜中間ユニットについて＞＞＞
続いて中間ユニット３について説明する。図１に示される中間ユニット３は、記録ユニット２から受け入れた媒体を第１ユニット５に受け渡す。中間ユニット３は、記録ユニット２と第１ユニット５との間に配置されている。記録ユニット２の第２排出経路２３を搬送された媒体は、受入経路３０から中間ユニット３に受け入れられて、第１ユニット５に向けて搬送される。尚、受入経路３０は、図１において実線で示されている。

中間ユニット３において、媒体を搬送する搬送経路は二つある。一つ目の搬送経路は、受入経路３０から図１において点線で示す第１スイッチバック経路３１を経て、合流経路３３に搬送される経路である。二つ目の経路は、受入経路３０から図１において二点鎖線で示す第２スイッチバック経路３２を経て、合流経路３３に搬送される経路である。
第１スイッチバック経路３１は矢印Ａ１方向に媒体を受け入れた後、矢印Ａ２方向に媒体をスイッチバックさせる経路である。第２スイッチバック経路３２は矢印Ｂ１方向に媒体を受け入れた後、矢印Ｂ２方向に媒体をスイッチバックさせる経路である。

受入経路３０は、分岐部３５において第１スイッチバック経路３１と第２スイッチバック経路３２とに分岐している。分岐部３５には、媒体の送り先を第１スイッチバック経路３１と第２スイッチバック経路３２とのいずれかに切り換える不図示のフラップが設けられている。

また、第１スイッチバック経路３１と第２スイッチバック経路３２は合流部３６において合流している。したがって、媒体が受入経路３０から第１スイッチバック経路３１または第２スイッチバック経路３２のいずれに送られても、共通の合流経路３３を経て第１ユニット５に媒体を受け渡すことができる。

中間ユニット３は、記録ユニット２からラインヘッド２０による直近の記録面を上にした状態で媒体を受入経路３０に受け入れるが、合流経路３３において媒体は湾曲反転されて、直近の記録面が下を向いた状態になる。
したがって、直近の記録面が下を向いた状態の媒体が、中間ユニット３の＋Ｙ方向から第１ユニット５の第１搬送経路４３に受け渡される。
尚、受入経路３０、第１スイッチバック経路３１、第２スイッチバック経路３２、及び合流経路３３のそれぞれには、媒体を搬送する手段の一例として、図示を省略するローラー対が一つ以上配置されている。

記録ユニット２において、複数の媒体に連続して記録を行う場合、中間ユニット３に入った媒体は、第１スイッチバック経路３１を通る搬送経路と、第２スイッチバック経路３２を通る搬送経路と、に交互に送られる。このことによって、中間ユニット３における媒体搬送のスループットを高めることができる。

また、本実施形態のラインヘッド２０のように、媒体に対して液体、具体的にはインクを吐出して記録を行う構成である場合、後段の第１ユニット５や第２ユニット６で処理を行う際に媒体が湿っていると、記録面が擦れたり、媒体の整合性が不良となったりすることがある。
記録後の媒体を、記録ユニット２から中間ユニット３を介して第１ユニット５に受け渡すことにより、記録後の媒体が第１ユニット５に送られるまでの搬送時間を長くとり、第１ユニット５或いは第２ユニット６に到達するまでに、媒体をより乾燥させることができる。

＜＜＜第１ユニットについて＞＞＞
続いて、第１ユニット５について説明する。図１に示される第１ユニット５は、−Ｙ方向の下方に中間ユニット３から媒体を受け入れる受け入れ部４１を備えている。中間ユニット３の合流経路３３を搬送される媒体は、受け入れ部４１から第１ユニット５内に入り、第１搬送経路４３に受け渡される。

第１ユニット５は、受け入れ部４１から受け入れた媒体に対し処理を行う乾燥部５０と、受け入れ部４１から受け入れた媒体に対し、或いは乾燥部５０で処理された媒体に対して処理を行う端綴じ部４２と、を備えている。
第１ユニット５は、受け入れ部４１から受け入れた媒体を端綴じ部４２に送る第１搬送経路４３と、第２分岐部Ｄ２で第１搬送経路４３から分岐して媒体を乾燥部５０に送る第２搬送経路４４と、を備えている。第２分岐部Ｄ２には、媒体の送り先を第１搬送経路４３と第２搬送経路４４との間で切り換える不図示のフラップが設けられている。

端綴じ部４２は、例えば媒体の片側の角部や媒体の片側の一辺など、媒体の端部を綴じる端綴じ処理を行う構成部である。端綴じ部４２は、一例としてステープラーを備えて構成されている。
乾燥部５０は、媒体に乾燥処理を施す構成部である。本実施形態において、乾燥部５０は、媒体を加熱することにより媒体を乾燥させる。乾燥部５０の詳細な構成は後で説明するが、乾燥部５０による乾燥処理後の媒体は、端綴じ部４２、または第２ユニット６に設けられる中綴じ折り機構７０のいずれかに送られる。

また、第１ユニット５は、受け入れ部４１から受け入れた媒体にパンチ処理を行うパンチ処理部４６を備えている。パンチ処理部４６は、第１ユニット５に受け入れられた媒体が通る第１搬送経路４３の、受け入れ部４１に近い位置に設けられており、第１搬送経路４３の上流でパンチ処理を実行可能に構成されている。尚、受け入れ部４１から受け入れた媒体に対し、パンチ処理部４６によるパンチ処理は施されていてもいなくてもよい。

受け入れ部４１から受け入れた媒体は、図１に示される第１搬送経路４３を通って処理トレイ４８、或いは後述する第２ユニット６へ送ることができる。処理トレイ４８において媒体は、搬送方向の後端を揃えて処理トレイ４８にスタックされる。所定の枚数の媒体Ｐが処理トレイ４８にスタックされたら、媒体Ｐの後端に対し、端綴じ部４２による端綴じ処理を行うことができる。第１ユニット５は、＋Ｙ方向に媒体を排出する第２排出部６２を備えている。尚、第１ユニット５は、第２排出部６２の他、後述する第１排出部６１及び第３排出部６３を備え、これらからも媒体を排出可能に構成されている。

端綴じ部４２で処理された媒体は、不図示の排出手段によって第２排出部６２から第１ユニット５の装置外に排出されるとともに、第２排出部６２から排出される媒体を受ける第１トレイ４０に載置される。第１トレイ４０は、第１ユニット５から＋Ｙ方向に突出して設けられている。本実施形態において第１トレイ４０は、ベース部４０ａと延長部４０ｂを備え、延長部４０ｂはベース部４０ａに収納可能に構成されている。

また、第１搬送経路４３には、第２分岐部Ｄ２の下流の第３分岐部Ｄ３で第１搬送経路４３から分岐する第３搬送経路４５が接続されている。第３分岐部Ｄ３には、媒体の送り先を第１搬送経路４３と第３搬送経路４５との間で切り換える不図示のフラップが設けられている。

第１ユニット５の上部には、上部トレイ４９が設けられている。第３搬送経路４５は、第３分岐部Ｄ３から前述した第３排出部６３まで連なり、第３搬送経路４５を搬送された媒体は、不図示の排出手段によって第３排出部６３から上部トレイ４９に排出される。つまり、受け入れ部４１から受け入れた媒体は、端綴じ部４２を経由せずに、上部トレイ４９に排出することができる。

第１搬送経路４３には、第１分岐部Ｄ１で第１搬送経路４３から分岐し、第１合流部Ｇ１で第１搬送経路４３に再び合流する重ね経路６４が設けられている。重ね経路６４は、媒体を二枚重ねて乾燥部５０または端綴じ部４２に送る重ね処理部４７を構成する。先行して搬送される先行媒体を重ね経路６４に送り、第１搬送経路４３を搬送される後続媒体と先行媒体を第１合流部Ｇ１で合流させることにより、先行媒体と後続媒体とを重ねて第１合流部Ｇ１より下流に搬送することができる。尚、重ね処理部４７は、重ね経路６４を複数設け、三枚以上の媒体を重ねて下流に送る構成としてもよい。

第１ユニット５において、重ね処理部４７は、乾燥部５０に対し鉛直下方に位置するとともに、乾燥部５０、端綴じ部４２、及び重ね処理部４７が、鉛直方向から見て、すなわち上面から見て重なる部位を有する。尚、乾燥部５０及び重ね処理部４７のみ、または端綴じ部４２及び重ね処理部４７のみが重なる構成でもよい。
乾燥部５０、端綴じ部４２、及び重ね処理部４７がこのような位置関係で配置されることにより、装置の水平方向寸法の増大を抑制して装置の小型化を実現できる。

尚、第１ユニット５において、第１搬送経路４３、第２搬送経路４４、及び第３搬送経路４５のそれぞれには、媒体を搬送する手段の一例として、図示を省略するローラー対が一対以上配置されている。

続いて、第１ユニット５に設けられた乾燥部５０について説明する。
乾燥部５０は、媒体の乾燥処理を行う乾燥処理部としてのヒートローラー対５１と、ヒートローラー対５１を含み、媒体を周回搬送可能なループ状搬送経路５２と、を備えている。第１搬送経路４３から分岐した第２搬送経路４４は、ヒートローラー対５１の上流でループ状搬送経路５２に合流しており、第２搬送経路４４に設けられた搬送ローラー対６８によって媒体を送り、ループ状搬送経路５２に導入することができる。

ヒートローラー対５１は、本実施形態では下方のローラーが不図示の駆動源により駆動される乾燥駆動ローラーであり、上方のローラーが乾燥駆動ローラーの回転に従動回転する乾燥従動ローラーである。乾燥駆動ローラーは、不図示のヒーターにより加熱され、これにより乾燥駆動ローラーが発熱し、媒体の乾燥が行われる。但し、ヒートローラー対５１を構成するローラーのうち少なくとも一方が加熱される構成であればよく、双方が加熱される構成であっても良い。

但し、中間ユニット３から送られる媒体は、直近の記録面が下を向いた状態で、第１ユニット５の受け入れ部４１から第１搬送経路４３を経由して第２搬送経路４４に入る。そして媒体は、直近の記録面が下を向いた状態でヒートローラー対５１にニップされる。したがってヒートローラー対５１のうち、加熱されるローラーが、媒体の直近の記録面に接触するローラーであることが好ましい。

乾燥部は、ループ状搬送経路５２を備えており、ループ状搬送経路５２において媒体を周回搬送可能に構成されているので、媒体を複数回、周回搬送することにより、ヒートローラー対５１による乾燥処理を複数回施すことができる。したがって、媒体をより確実に乾燥させることができる。
また、ループ状搬送経路５２を備えることにより、例えば、ヒートローラー対５１を搬送経路に複数設ける場合に比して、装置のコストアップを抑制できるとともに、消費電力を抑制できる。

記録システム１において、ヒートローラー対５１による加熱は、記録ユニット２に設けられた制御部２５によって制御される。制御部２５は、条件に応じてヒートローラー対５１の加熱を制御することができる。条件としては、例えば媒体の種別や剛性、厚み、坪量等の他、記録ユニット２における記録時に媒体に吐出されたインクの吐出量、媒体への記録が両面記録か片面記録か、乾燥する際の温度や湿度等の環境条件等が挙げられる。
これらの条件に応じてヒートローラー対５１による加熱を制御することにより、媒体をより適切に乾燥することができる。ヒートローラー対５１による加熱の制御は、例えば、加熱の有無、加熱する場合の温度、加熱する場合に余熱を行うか否か、ヒートローラー対５１の加熱を開始するタイミング等が挙げられる。

また、ヒートローラー対５１において、一方の乾燥従動ローラーはバネ等の不図示の押圧手段により他方の乾燥駆動ローラーに対して押圧されており、押圧手段による押圧力を変更可能に構成することができる。押圧手段による押圧を変更する押圧力変更手段（不図示）を制御部２５で制御することにより、ヒートローラー対５１におけるニップ圧を調整することができる。ヒートローラー対５１におけるニップ圧は、条件に応じて変更することが好ましい。条件としては、ヒートローラー対５１による加熱を制御する場合と同様の条件を用いることができる。

ループ状搬送経路５２には、第４搬送経路５９が接続されている。第４搬送経路５９は、第１搬送経路４３に第２合流部Ｇ２で合流し、ヒートローラー対５１による乾燥処理後の媒体を第１搬送経路４３に戻す経路である。
また、ループ状搬送経路５２には、第５搬送経路６０が接続されている。第５搬送経路６０は、第１排出部６１に連なる経路であり、ヒートローラー対５１による乾燥処理後の媒体を第２ユニット６に向けて送り出す経路である。
そして第１ユニット５は、乾燥部５０で処理された媒体を第１排出部６１に送る第１状態と、乾燥部５０で処理された媒体を端綴じ部４２に送る第２状態と、を切り換え可能な切り換え部材としての切換フラップ（不図示）を備えている。

尚、乾燥部５０は、ループ状搬送経路５２を有しない構成とすることも可能である。
また、本実施形態においては、媒体を外部から加熱することにより媒体を乾燥させる乾燥部５０について説明したが、乾燥部５０は、例えば媒体に対して風を当てることにより媒体を乾燥させる構成とすることも可能である。

＜＜＜第２ユニットについて＞＞＞
続いて第２ユニット６について説明する。
第２ユニット６は、第１ユニット５の第１トレイ４０の下側において、第１ユニット５に対して着脱可能に設けられている。
第１ユニット５の第１排出部６１から第２ユニット６に受け渡された媒体は、搬送経路６９を搬送されて、中綴じ折り機構７０に送られる。中綴じ折り機構７０は、媒体を積載する積載部としてのスタック部７１を備え、このスタック部７１に積載された媒体束を中綴じ位置で綴じた後、中綴じ位置で折って冊子体にすることができる。

中綴じ折り機構７０による中綴じ処理後の媒体束Ｍは、図１に示される第２トレイ６５に排出される。第２トレイ６５は媒体排出方向である＋Ｙ方向の先端に規制部６６を備え、第２トレイ６５に排出された媒体束Ｍが媒体排出方向に第２トレイ６５からはみ出す、或いは第２トレイ６５から落下することを抑制する。符号６７は、第２ユニット６から排出される媒体束Ｍを第２トレイ６５にガイドするガイド部６７である。

続いて、主として図２、図７を参照して中綴じ折り機構７０の構成について更に説明する。尚、以下では１枚の媒体を媒体Ｐと称し、スタック部７１に積載された、複数枚の媒体Ｐからなる媒体束を媒体束Ｍと称する。
図２において中綴じ折り機構７０は、媒体搬送装置８０と、処理部７０ａとを備えている。媒体搬送装置８０は、搬送経路６９に設けられ、媒体Ｐを搬送する送り手段としての送りローラー対７５と、送りローラー対７５により搬送される媒体Ｐをスタックする、積載部としてのスタック部７１とを備えている。処理部７０ａは、スタック部７１に積載された媒体束Ｍを綴じ位置で綴じる綴じ機構７２と、媒体束Ｍを綴じ位置で折る折り手段としての折りローラー対７３と、を備えている。

送りローラー対７５は、不図示の駆動源により駆動される駆動ローラー７５ａと、駆動ローラー７５ａの回転に従動回転する従動ローラー７５ｂと、を備え、駆動ローラー７５ａは、制御部２５（図１参照）によって制御されて回転する。
図２において符号Ｇは、搬送経路６９とスタック部７１とが合流する合流位置Ｇを示している。媒体Ｐは、送りローラー対７５によって搬送経路６９からスタック部７１に送られる。
スタック部７１は、送りローラー対７５によって搬送される媒体Ｐを搬送方向＋Ｒ下流が下方を向く傾斜姿勢で支持する支持面８５を備え、支持面８５と対向する対向面８６との間に媒体Ｐを受け入れてスタックする。

また図２及び図７に示されるように媒体搬送装置８０は、スタック部７１にスタックされた複数枚の媒体Ｐの下流端Ｅ１を整合させる整合部７６、スタック部７１にスタックされた媒体Ｐの−Ｘ方向のエッジＦ１と対向する第１サイドガイド９５、スタック部７１にスタックされた媒体Ｐの＋Ｘ方向のエッジＦ２と対向する第２サイドガイド９６、媒体Ｐを搬送方向＋Ｒに送る第１パドル８１及び第２パドル８２、これらパドルによる媒体Ｐの送りを補助する第１補助パドル８３及び第２補助パドル８４、のこれらを備えている。

第１パドル８１は、搬送方向＋Ｒにおいて送りローラー対７５の下流であって、また折りローラー対７３の下流に最初に位置するパドルである。第１パドル８１は、スタック部７１の支持面８５と対向配置される。
第２パドル８２は、搬送方向＋Ｒにおいて第１パドル８１の下流に位置するとともに、スタック部７１の支持面８５と対向配置される。
第１パドル８１及び第２パドル８２は、媒体Ｐに接触しつつ図２の時計回り方向に回転することにより、媒体Ｐを整合部７６に向けて移動させる。第１パドル８１及び第２パドル８２は、制御部２５（図１参照）によって制御されて回転する。

第１補助パドル８３は、搬送方向＋Ｒにおいて第２パドル８２の下流に位置するとともに、スタック部７１の支持面８５と対向配置される。
第２補助パドル８４は、搬送方向＋Ｒにおいて第１補助パドル８３の下流に位置するとともに、スタック部７１の支持面８５と対向配置される。
第１補助パドル８３及び第２補助パドル８４は、上述した第１パドル８１及び第２パドル８２と同方向、即ち図２の時計回り方向に回転し、支持面８５からの媒体Ｐの浮き上がりを規制する。第１補助パドル８３及び第２補助パドル８４は、制御部２５（図１参照）によって制御されて回転する。
尚、第１パドル８１、第２パドル８２、第１補助パドル８３、第２補助パドル８４、の各パドルについて、以下では特に区別する必要のない場合は便宜上「パドル群」と称することとする。

スタック部７１には、媒体Ｐの下流端Ｅ１に当接可能な整合部７６と、媒体Ｐの上流端Ｅ２に当接可能な当接部７７とが設けられている。整合部７６及び当接部７７は、不図示の駆動手段により、搬送方向＋Ｒと、その逆方向−Ｒとの双方に移動可能に構成されている。
整合部７６は、媒体Ｐの下流端Ｅ１を整合させ、当接部７７は、媒体Ｐの上流端Ｅ２を整合させる。整合部７６及び当接部７７は、例えば、不図示の駆動源の動力によって動作するラックピニオン機構やベルト移動機構等を用い、搬送方向＋Ｒ及び逆方向−Ｒに移動させることができる。

また整合部７６には、媒体Ｐの下流端Ｅ１から上流の所定範囲を支持面８５に向けて押し付ける押さえ部７６ａが一体に形成されている。押さえ部７６ａは、不図示の駆動源の動力により、媒体束Ｍの下流端Ｅ１から上流の所定範囲を支持面８５に向けて押し付ける第１状態（図３、図４）と、この第１状態より支持面８５から離れる第２状態（図２、図５、図６）と、を切り換え可能である。尚、以下では便宜上、押さえ部７６ａの第１状態を「開き状態」と称し、第２状態を「閉じ状態」と称する。
整合部７６、押さえ部７６ａ、及び当接部７７は、制御部２５（図１参照）によって制御される。

図７においてスタック部７１には、上述したようにスタック部７１にスタックされた媒体Ｐの−Ｘ方向のエッジＦ１と対向する第１サイドガイド９５と、スタック部７１にスタックされた媒体Ｐの＋Ｘ方向のエッジＦ２と対向する第２サイドガイド９６とが設けられている。第１サイドガイド９５及び第２サイドガイド９６は、不図示の駆動手段により、スタック部７１における媒体Ｐの幅方向であるＸ軸方向に移動可能に構成されている。第１サイドガイド９５及び第２サイドガイド９６は、例えば、不図示の駆動源の動力によって動作するラックピニオン機構やベルト移動機構等を用い、−Ｘ方向及び＋Ｘ方向に移動させることができる。

第１サイドガイド９５及び第２サイドガイド９６は、互いに近づく方向に変位してスタック部７１にスタックされた媒体ＰのエッジＦ１、Ｆ２に当接することで、媒体Ｐの幅方向のエッジＦ１、Ｆ２を整合させる整合位置（図９の状態（ｂ）、（ｃ））と、この整合位置よりエッジＦ１、Ｆ２から離れる離間位置（図９の状態（ａ））と、を変位可能である。尚、図９では離間位置から整合位置に変位した第１サイドガイド９５及び第２サイドガイド９６を、ハッチングを付して示しており、また開き状態から閉じ状態に変化した押さえ部７６ａを、ハッチングを付して示している。
第１サイドガイド９５及び第２サイドガイド９６は、制御部２５（図１参照）によって制御される。

尚、本実施形態において第１サイドガイド９５は、図８に示す様に搬送方向から視て媒体ＰのエッジＦ１を含むＸ軸方向の所定範囲が入り込む形状を成しており、第２サイドガイド９６も同様に媒体ＰのエッジＦ２を含むＸ軸方向の所定範囲が入り込む形状を成している。図８において符号９５ａは、媒体ＰのエッジＦ１と当接する面を示し、符号９６ａは、媒体ＰのエッジＦ２と当接する面を示している。
スタック部７１にスタック可能な媒体束Ｍの積載高さは、支持面８５と、第１サイドガイド９５及び第２サイドガイド９６において支持面８５と対向する面との間隔Ｔ１によって制限される。尚、本実施形態において押さえ部７６ａが開き状態にある際に押さえ部７６ａにおいて支持面８５と対向する面と支持面８５との間隔も、間隔Ｔ１と同じ大きさとなる様に構成されている。

尚、図７に示す様にパドル群は、媒体幅方向において適宜の間隔を開けて複数設けられる。本実施形態において第１パドル８１は、媒体幅方向において四つ設けられ、第２パドル８２は、媒体幅方向において二つ設けられている。また第１補助パドル８３及び第２補助パドル８４は、媒体幅方向において四つ設けられる。第２パドル８２の設置数が第１パドル８１の設置数より少ないことで、第２パドル８２による過剰な媒体搬送を抑制できる。
尚、本実施形態において整合部７６及び押さえ部７６ａは媒体幅方向において四つ設けられ、スタック部７１には、整合部７６の移動方向に沿って開口部７１ａが設けられ、この開口部７１ａの内側に整合部７６及び押さえ部７６ａが配置されている。開口部７１ａの位置では、媒体Ｐを支持することができないため、各パドルは、開口部７１ａを避けた位置に配置されている。
図７において直線ＣＬは、Ｘ軸方向即ち媒体幅方向での中心位置を示している。各パドルは、媒体幅方向において、中心位置ＣＬに対し左右対称の位置に配置される。

図７において符号９１は、回転軸８１ａ即ち第１パドル８１の動力源となるモーターであり、符号９２は、回転軸８２ａ、８３ａ、８４ａ、即ち第２パドル８２、第１補助パドル８３、第２補助パドル８４、のこれらの動力源となるモーターであり、符号９４は、第２モーター９２から回転軸８２ａ、８３ａ、８４ａへ駆動力を伝達する動力伝達部である。

次に、図２において合流位置Ｇの下流には、スタック部７１にスタックされた媒体束Ｍを搬送方向＋Ｒにおける所定の位置で綴じる綴じ機構７２が設けられている。本実施形態における綴じ位置は、スタック部７１にスタックされた媒体束Ｍの搬送方向＋Ｒにおける中央部Ｃである。
綴じ機構７２は、一例としてステープラーであり、綴じ手段の一例である綴じ部７２ａにおいて媒体束Ｍを綴じる。綴じ部７２ａは、媒体Ｐの幅方向であるＸ軸方向に間隔を空けて複数設けられている。前述したように、綴じ機構７２は搬送方向において媒体束Ｍの中央部Ｃを綴じ位置として媒体束Ｍを綴じるように構成されている。

綴じ機構７２の下流には、折りローラー対７３が設けられている。対向面８６は、折りローラー対７３のニップ位置Ｎに対応する位置が開口しており、スタック部７１から折りローラー対７３への媒体束Ｍの進入路７８が形成されている。対向面８６の進入路７８の入り口には、スタック部７１から綴じ位置である中央部Ｃをニップ位置Ｎに誘う斜面が形成されている。

スタック部７１を挟んで折りローラー対７３の反対側には、図２〜図４、図６に示すようにスタック部７１から退避した退避状態と、図５に示すようにスタック部７１にスタックされた媒体束Ｍの綴じ位置に対して進出した進出状態と、を切り換え可能なブレード７４を備えている。符号７９は支持面８５に設けられた孔部７９であり、孔部７９をブレード７４が通ることができる。

＜＜＜中綴じ処理の際の媒体の搬送について＞＞＞
次に、図２〜図８を参照して、第２ユニット６において媒体Ｐを搬送して中綴じ処理を行い、排出するまでの基本的な流れについて説明する。
スタック部７１に媒体Ｐが送り込まれる前の状態、即ち待機状態では、押さえ部７６ａは閉じ状態にあり、第１サイドガイド９５及び第２サイドガイド９６は整合位置にある（図９の状態（ｃ））。これにより、スタック部７１上に既に積載された媒体Ｐ、即ち媒体束Ｍの整合の乱れが抑制される。尚、以降において第１サイドガイド９５及び第２サイドガイド９６を区別する必要のない場合は便宜上これらを「一対のサイドガイド」と称することとする。
またこのときパドル群は、１枚目の媒体Ｐが送り込まれる前は図２に示す様に媒体Ｐと接触しない位相で停止した状態が維持されている。

スタック部７１に媒体Ｐが送り込まれる場合、押さえ部７６ａは閉じ状態から開き状態に切り換えられ、また、一対のサイドガイドは整合位置から離間位置に変位する（図９の状態（ａ））。
そしてスタック部７１に送り込まれる媒体Ｐが１枚目の媒体Ｐである場合には、送りローラー対７５（図２参照）によりスタック部７１に媒体Ｐが送り込まれるタイミングでパドル群が回転を開始するよう制御される。以降、パドル群は最後の媒体Ｐが送り込まれ、そして中綴じ処理が終了して媒体束Ｍが折りローラー対７３によって排出されるまで、回転を継続する。
図２においてスタック部７１に送られてくる媒体Ｐは自重により整合部７６に向けて移動するとともに、パドル群の回転により下流単Ｅ１が整合部７６に向けて突き当てられる。
図２は、スタック部７１に複数枚重ねられた媒体Ｐが媒体束Ｍとしてスタックされている状態を示している。

尚、スタック部７１に媒体Ｐを受け入れる際、整合部７６は、図２に示されるように、搬送経路６９とスタック部７１との合流位置Ｇから整合部７６までの距離が、媒体Ｐの長さよりも長くなるように配置されている。このことにより、搬送経路６９から搬送される媒体Ｐの上流端Ｅ２が搬送経路６９に残ることなく、媒体Ｐがスタック部７１に受け入れられる。スタック部７１の搬送方向＋Ｒにおける整合部７６の位置は、媒体Ｐのサイズに応じて変えることができる。

そして媒体Ｐの下流端Ｅ１が整合部７６に達したと想定されるタイミング以降で、先ず、一対のサイドガイドを離間位置から整合位置に変位させる（図９の状態（ｂ））。そしてその後、押さえ部７６ａを、開き状態から閉じ状態に切り換える（図９の状態（ｃ）及び図３）。
スタック部７１に最後の媒体Ｐがスタックされるまで、一対のサイドガイド並びに押さえ部７６ａは、図９の状態（ａ）、状態（ｂ）、状態（ｃ）、のこの順での状態遷移を繰り返す。

次に、スタック部７１に最後の媒体Ｐがスタックされたら、媒体束Ｍの搬送方向＋Ｒにおける中央部Ｃを綴じ部７２ａで綴じる綴じ処理を行う。搬送経路６９からスタック部７１への媒体Ｐの搬送が終わった時点では、図３に示されるように、中央部Ｃは綴じ部７２ａの位置からずれているので、図４に示されるように整合部７６を−Ｒ方向に移動させて、媒体束Ｍの中央部Ｃを綴じ部７２ａと対向する位置に配置する。更に、当接部７７を＋Ｒ方向に移動させて媒体束Ｍの上流端Ｅ２に当接させる。整合部７６と当接部７７とにより媒体束Ｍの下流端Ｅ１と上流端Ｅ２とを整合させて、媒体束Ｍの中央部Ｃを綴じ部７２ａで綴じる。

媒体束Ｍを綴じ部７２ａで綴じたら、一対のサイドガイドを整合位置から離間位置に変位させ、また押さえ部７６ａを、閉じ状態から開き状態に切り換える。その後、図４から図２への変化で示すように、整合部７６を＋Ｒ方向に移動させ、綴じた中央部Ｃが、折りローラー対７３のニップ位置Ｎと対向する位置に配置されるように媒体束Ｍを移動させる。自重により媒体束Ｍが整合部７６と当接した状態を保ったまま、整合部７６のみを＋Ｒ方向に移動させることにより、媒体束Ｍを＋Ｒ方向に移動させることができる。尚、当接部７７を、媒体束Ｍの上流端Ｅ２に当接した状態を維持する様に＋Ｒ方向に移動させてもよい。

続いて、媒体束Ｍの中央部Ｃが折りローラー対７３のニップ位置Ｎと対向する位置に配置されたら、図５に示されるように、ブレード７４を＋Ｓ方向に進出させて中央部Ｃを折りローラー対７３に向けて撓ませる。撓んだ媒体束Ｍの中央部Ｃが進入路７８を通って、媒体束Ｍが折りローラー対７３のニップ位置Ｎに向かって移動される。

媒体束Ｍの中央部Ｃが折りローラー対７３にニップされたら折りローラー対７３が回転し、図６に示されるように、媒体束Ｍが折りローラー対７３のニップ圧により中央部Ｃで折られつつ、第２トレイ６５（図１参照）に向けて排出される。
また、中央部Ｃが折りローラー対７３にニップされた後、整合部７６は＋Ｒ方向に移動して図２の状態に戻り、スタック部７１における次の媒体Ｐの受け入れに備える。

尚、搬送経路６９には、媒体Ｐの中央部Ｃに折り筋を付ける折り筋形成手段を設けることができる。折りローラー対７３による折り位置となる中央部Ｃに折り筋を付けることにより媒体束Ｍを中央部Ｃで折り易くすることができる。

＜＜＜第１サイドガイド、第２サイドガイド、押さえ部、の動作について＞＞＞
続いて一対のサイドガイド及び押さえ部７６ａの動作について図１０及び図１１を参照して詳説する。
先ず、スタック部７１に媒体Ｐを積載する際の課題について図２を参照しつつ説明する。上述したように押さえ部７６ａは、スタック部７１への媒体Ｐの送り込みを待つ状態では閉じ状態（第１状態）をとり、スタック部７１に媒体Ｐが送り込まれる場合に閉じ状態から開き状態（第２状態）に切り換わり、その後開き状態から閉じ状態に戻る動作を基本とする。
ここで、媒体間の滑りが悪く、特にインクジェット記録を行う場合の様に媒体間の摩擦係数が大きくなっている場合には、直近で積載された媒体Ｐの下流端Ｅ１が整合部７６に達しておらず不適切な位置で止まっている場合がある。但しこの様な場合であっても、後続の媒体Ｐが、不適切な位置で止まっている媒体Ｐを搬送方向＋Ｒに移動させることで、不適切な位置で止まっている媒体Ｐの下流端Ｅ１が整合部７６に達することができる場合がある。
しかしながら、スタック部７１に積載される複数枚の媒体Ｐのうち最後の媒体Ｐについてはこの様な作用が期待できない。その為、媒体束Ｍが適切に整合されていない状態のまま、媒体束Ｍに対し中綴じ処理を行ってしまう虞がある。

この様な課題を解決する為に、図１０及び図１１に示す制御が実行される。
図１０において制御部２５（図１参照）は、スタック部７１に送り込む媒体Ｐが最後の媒体Ｐであるか否かを判断し（ステップＳ１０１）、最後の媒体Ｐでない場合には（ステップＳ１０１においてNo）、通常閉じモードを選択し（ステップＳ１０２）、最後の媒体Ｐである場合には（ステップＳ１０１においてYes）、遅延閉じモードを選択する（ステップＳ１０３）。

図１１を参照して通常閉じモードと遅延閉じモードについて詳説する。
上述したようにスタック部７１への媒体Ｐの送り込みを待つ状態では、一対のサイドガイドは整合位置にあり、押さえ部７６ａは閉じ状態にある。そしてスタック部７１へ媒体Ｐが送り込まれる際、一対のサイドガイドは整合位置から離間位置に変位し、また、押さえ部７６ａは閉じ状態から開き状態に切り換わる。一対のサイドガイドが整合位置から離間位置に変位するタイミングと、押さえ部７６ａが閉じ状態から開き状態に切り変わるタイミングは、同じタイミングである（タイミングｔ１）。

そしてスタック部７１に媒体Ｐが送り込まれると、先ず一対のサイドガイドが離間位置から整合位置に戻り、その後、押さえ部７６ａが開き状態から閉じ状態に戻る。これにより押さえ部７６ａが、一対のサイドガイドによる媒体Ｐの整合を阻害することがない。
そして本実施形態では、最後の媒体Ｐがスタック部７１に積載される場合は、最後の媒体Ｐより前の媒体Ｐがスタック部７１に積載される場合よりも、押さえ部７６ａが開き状態から閉じ状態に戻るタイミングが遅くなるように制御される。図１１において「１枚目〜最後の前の媒体」のチャートが通常閉じモードを示し、「最後の媒体」のチャートが遅延閉じモードを示している。
通常閉じモードでは、押さえ部７６ａが開き状態から閉じ状態に戻るタイミングは、図１１のタイミングｔ３であり、遅延閉じモードでは、押さえ部７６ａが開き状態から閉じ状態に戻るタイミングは、図１１のタイミングｔ５である。タイミングｔ３からタイミングｔ５の時間が遅延時間Ｗ２となる。
これにより、最後の媒体Ｐの下流端Ｅ１がより確実に整合部に達することができ、ひいてはより適切な整合結果を得ることができる。
また、スタック部７１に積載される媒体Ｐの全てに対して、遅延閉じモードを適用する場合に比してスループットの低下を抑制できる。

また同様に、最後の媒体Ｐがスタック部７１に積載される場合は、最後の媒体Ｐより前の媒体Ｐがスタック部７１に積載される場合よりも、一対のサイドガイドが離間位置から整合位置に戻るタイミングが遅くなるように制御される。
通常閉じモードでは、サイドガイドが離間位置から整合位置に戻るタイミングは、図１１のタイミングｔ２であり、遅延閉じモードでは、サイドガイドが離間位置から整合位置に戻るタイミングは、図１１のタイミングｔ４である。タイミングｔ２からタイミングｔ４の時間が遅延時間Ｗ１となる。
これにより、最後の媒体Ｐの下流端Ｅ１がより確実に整合部７６に達した状態で、サイドガイドが媒体Ｐの幅方向のエッジを整合することができ、ひいてはより適切な整合結果を得ることができる。

また、押さえ部７６ａが開き状態から閉じ状態に戻るタイミング（タイミングｔ３、ｔ５）、及びサイドガイドが離間位置から整合位置に戻るタイミング（タイミングｔ２、ｔ４）は、スタック部７１に媒体Ｐが送り込まれる際の条件に応じて調整することも好適である。これにより、媒体Ｐの下流端Ｅ１がより確実に整合部７６に達することができ、ひいてはより適切な整合結果を得ることができる。
例えば、媒体Ｐ同士の摩擦係数が高いと、最後の媒体Ｐの下流端Ｅ１が整合部７６に到達し難くなるため、第１の媒体Ｐ１より媒体Ｐ同士の摩擦係数が高い第２の媒体Ｐ２に対しては、上記遅延時間Ｗ１、Ｗ２を延長することが好適である。

また例えば媒体Ｐが膨潤すると、図８の間隔Ｔ２即ち最後に積載された媒体Ｐｍの上側の間隔が狭くなるため、最後の媒体Ｐｍの下流端Ｅ１が整合部７６に到達し難くなる。従って第１の条件よりも媒体Ｐの膨潤が顕著となる第２の条件で第２ユニット６に媒体Ｐが送り込まれる場合は、上記遅延時間Ｗ１、Ｗ２を延長することが好適である。

尚、媒体Ｐの膨潤とは、例えば媒体Ｐが用紙であり、液体がインクである場合に、用紙がインクを吸収することに伴って生じる膨潤である。媒体Ｐの膨潤は、用紙種類や、用紙に吸収されるインクの量や、温度及び湿度や、乾燥部５０（図１参照）での乾燥時間の長短などによって変化する。
具体的には、用紙が単層で構成される普通紙の場合、用紙が複数層で構成される専用紙の場合よりも、第２ユニット６に送り込まれる時点での膨潤が顕著となる。
また吐出されるインクの量が、第１の量よりも多い第２の量の場合は、第２ユニット６に送り込まれる時点での膨潤が第１の量の場合に比べて顕著となる。
また乾燥部５０（図１参照）での乾燥時間が第１の時間よりも少ない第２の時間の場合は、第２ユニット６に送り込まれる時点での膨潤が第１の時間の場合に比べて顕著となる。
また湿度が第１の湿度よりも高い第２の湿度の場合は、第２ユニット６に送り込まれる時点での膨潤が第１の湿度の場合に比べて顕著となる。
この様に第１の条件よりも媒体Ｐの膨潤が顕著となる第２の条件で第２ユニット６に媒体Ｐが送り込まれる場合は、上記遅延時間Ｗ１、Ｗ２を延長することで、より適切な整合結果が得られる。

尚、上記実施形態においては最後の媒体Ｐの場合にのみ遅延閉じモードを適用したが、最後の媒体Ｐよりも前の媒体Ｐから遅延閉じモードを適用しても良い。またその際、スタック部７１上での媒体Ｐの積載が進むに従って、遅延時間Ｗ１、Ｗ２を増やしていっても良い。

尚、記録システム１においては、中間ユニット３及び第１ユニット５を省略しても良い。またその際、記録ユニット２と第２ユニット６をそれぞれ独立したユニットとしても良いし、記録ユニット２と第２ユニット６を一体化しても良い。即ち、記録システムを、一つの筐体内に、ラインヘッド２０と、中綴じ折り機構７０と、を含む様に構成しても良い。
以上の様に本明細書では、記録システムとは、独立したユニットの集合体である場合と、一つのユニットで構成される場合と、のいずれであっても良い意味である。

尚、本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。

１…記録システム、２…記録ユニット、３…中間ユニット、５…第１ユニット、６…第２ユニット、１０…プリンター部、１１…スキャナー部、１２…媒体収容カセット、１３…記録後排出トレイ、１４…カセット収容部、１９…操作部、２０…ラインヘッド、２１…給送経路、２２…第１排出経路、２３…第２排出経路、２４…反転用経路、２５…制御部、３０…受入経路、３１…第１スイッチバック経路、３２…第２スイッチバック経路、３３…合流経路、３５…分岐部、３６…合流部、４０…第１トレイ、４０ａ…ベース部、４０ｂ…延長部、４１…受け入れ部、４２…端綴じ部、４３…第１搬送経路、４４…第２搬送経路、４５…第３搬送経路、４６…パンチ処理部、４７…重ね処理部、４８…処理トレイ、４９…上部トレイ、５０…乾燥部、５１…ヒートローラー対、５２…ループ状搬送経路、５９…第４搬送経路、６０…第５搬送経路、６１…第１排出部、６２…第２排出部、６３…第３排出部、６４…重ね経路、６５…第２トレイ、６６…規制部、６７…ガイド部、６８…搬送ローラー対、６９…搬送経路、７０…中綴じ折り機構、７０ａ…処理部、７１…スタック部、７２…綴じ機構、７２ａ…綴じ部、７３…折りローラー対、７４…ブレード、７５…送りローラー対、７６…整合部、７６ａ…押さえ部、７７…当接部、７８…進入路、７９…孔部、８０…媒体搬送装置、８１…第１パドル、８１ａ…回転軸、８１ｂ…ブレード、８２…第２パドル、８２ａ…回転軸、８２ｂ…ブレード、８３…第１補助パドル、８３ａ…回転軸、８３ｂ…ブレード、８４…第２補助パドル、８４ａ…回転軸、８４ｂ…ブレード、８５…支持面、８６…対向面、９１…第１モーター、９２…第２モーター、９４…動力伝達部、９５…第１サイドガイド、９５ａ…ガイド面、９６…第２サイドガイド、９６ａ…ガイド面、
Ｐ…媒体、Ｍ…媒体束、Ｃ…中央部、Ｄ１…第１分岐部、Ｄ２…第２分岐部、Ｄ３…第３分岐部、Ｇ１…第１合流部、Ｇ２…第２合流部

Claims (7)

1. 媒体を搬送する送り手段と、
   前記送り手段によって搬送される媒体を、搬送方向の下流が下方を向く傾斜姿勢で支持する支持面を有し、前記支持面上に媒体を積載する積載部と、
   前記積載部に積載された媒体の前記搬送方向の下流端を整合させる整合部と、
   前記積載部に積載された媒体の前記下流端から前記搬送方向の上流の所定範囲を前記支持面に向けて押し付ける第１状態と、前記第１状態より前記支持面から離れる第２状態と、を切り換え可能な押さえ部と、を備え、
   前記押さえ部は、前記積載部への媒体の送り込みを待つ状態では前記第１状態をとり、前記積載部に媒体が送り込まれる場合に前記第１状態から前記第２状態に切り換わり、その後前記第２状態から前記第１状態に戻り、
   前記積載部に複数枚の媒体が積載される際、最後の媒体が前記積載部に積載される場合は、前記最後の媒体より前の媒体が前記積載部に積載される場合よりも、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻るタイミングが遅い、
   ことを特徴とする媒体搬送装置。
2. 請求項１に記載の媒体搬送装置において、前記積載部に積載された媒体の、前記搬送方向と交差する方向である幅方向における一方のエッジと対向する第１サイドガイド及び他方のエッジと対向する第２サイドガイドを備え、
   前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドは、前記幅方向における媒体のエッジを整合する整合位置と、前記整合位置より媒体のエッジから離れる離間位置と、を変位可能であり、
   前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドは、前記積載部への媒体の送り込みを待つ状態では前記整合位置にあり、前記積載部に媒体が送り込まれる場合に前記整合位置から前記離間位置に変位し、その後前記離間位置から前記整合位置に戻り、
   前記積載部に複数枚の媒体が積載される際、最後の媒体が前記積載部に積載される場合は、前記最後の媒体より前の媒体が前記積載部に積載される場合よりも、前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドが前記離間位置から前記整合位置に戻るタイミングが遅い、
   ことを特徴とする媒体搬送装置。
3. 請求項２に記載の媒体搬送装置において、前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドが前記離間位置から前記整合位置に戻った後、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻る、
   ことを特徴とする媒体搬送装置。
4. 請求項２または請求項３に記載の媒体搬送装置において、前記搬送方向において前記送り手段と前記整合部との間に位置するとともに前記支持面と対向配置され、前記媒体に接触しつつ回転することにより、前記媒体を前記整合部に向けて移動させるパドルを備える、
   ことを特徴とする媒体搬送装置。
5. 請求項２から請求項４のいずれか一項に記載の媒体搬送装置において、前記押さえ部が前記第２状態から前記第１状態に戻るタイミング、及び前記第１サイドガイド及び前記第２サイドガイドが前記離間位置から前記整合位置に戻るタイミングは、前記積載部に媒体が送り込まれる際の条件に応じて調整される、
   ことを特徴とする媒体搬送装置。
6. 請求項１から請求項５のいずれか一項に記載の媒体搬送装置と、
   前記積載部に積載された媒体に処理を行う処理部と、
   を備えた処理装置。
7. 媒体に記録を行う記録ユニットと、
   前記記録ユニットで記録が行われた前記媒体を受け入れて処理を行う、請求項６に記載の処理装置と、
   を備えた記録システム。

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