JP2021049485A - 分離材、充填カラム、及び分離材の製造方法 - Google Patents

分離材、充填カラム、及び分離材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021049485A
JP2021049485A JP2019172780A JP2019172780A JP2021049485A JP 2021049485 A JP2021049485 A JP 2021049485A JP 2019172780 A JP2019172780 A JP 2019172780A JP 2019172780 A JP2019172780 A JP 2019172780A JP 2021049485 A JP2021049485 A JP 2021049485A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
active hydrogen
porous polymer
separating material
polymer particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019172780A
Other languages
English (en)
Inventor
健 安江
Takeshi Yasue
健 安江
史彦 河内
Fumihiko Kawachi
史彦 河内
真裕 青嶌
Masahiro Aoshima
真裕 青嶌
優 渡邊
Masaru Watanabe
優 渡邊
泰史 後藤
Yasushi Goto
泰史 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Corp
Original Assignee
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Showa Denko Materials Co Ltd
Priority to JP2019172780A priority Critical patent/JP2021049485A/ja
Publication of JP2021049485A publication Critical patent/JP2021049485A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】夾雑タンパク質の非特異吸着を抑制しつつ、高い吸着量を有し、かつ通液性に優れる分離材、該分離材を備えるカラム、及び分離材の製造方法を提供すること。【解決手段】疎水性である多孔質ポリマー粒子、及び、該多孔質ポリマー粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層を備え、上記被覆層が、水酸基を有する高分子を含み、上記多孔質ポリマー粒子と前記水酸基を有する高分子とが、活性水素基と、該活性水素基と反応し得る官能基とが反応してなる基を介して連結されている、分離材。【選択図】なし

Description

本発明は、分離材、充填カラム、及び分離材の製造方法に関する。
従来、タンパク質に代表される生体高分子を分離精製する場合、一般的には、多孔質型の合成高分子を母体とするイオン交換体、親水性天然高分子の架橋ゲルを母体とするイオン交換体等が用いられている。多孔質型の合成高分子を母体とするイオン交換体の場合、塩濃度による体積変化が小さいため、カラムに充填してクロマトグラフィーで用いると、通液時の耐圧性に優れる傾向にある。しかし、このイオン交換体を、タンパク質等の分離に用いると、疎水的相互作用に基づく不可逆吸着等の非特異吸着が起きるため、ピークの非対称化が発生する、又は、疎水的相互作用でイオン交換体に吸着されたタンパク質が吸着されたまま回収できないという問題点がある。
一方、デキストラン、アガロース等の多糖に代表される親水性天然高分子の架橋ゲルを母体とするイオン交換体の場合、タンパク質の非特異吸着がほとんどないという利点がある。ところが、このイオン交換体は、水溶液中で著しく膨潤するため、溶液のイオン強度による体積変化、及び、遊離酸形と負荷形との間での体積変化が大きく、機械的強度も十分ではないという欠点を有する。特に、架橋ゲルをクロマトグラフィーで使用する場合、通液時の圧力損失が大きく、通液によりゲルが圧密化するといった欠点がある。
親水性天然高分子の架橋ゲルの欠点を克服するため、これをいわば“骨格”となる剛直な物質と組み合わせる試みがこれまでになされている。例えば、多孔性高分子の細孔内に天然高分子ゲル等のゲルを保持した複合体が、ペプチド合成の分野で知られている(例えば、特許文献1参照)。
セライト等の無機多孔質体にデキストラン、セルロースといった多糖等のキセロゲルを保持させた分離材が知られている(例えば、特許文献2及び3参照)。このゲルには収着性能を付加するために、ジエチルアミノエチル(DEAE)基等が付与されており、ヘモグロビンの除去に用いられる。
マクロネットワーク構造のコポリマーの細孔を、モノマーから合成した架橋共重合体のゲルで埋めたハイブリッドコポリマーのイオン交換体が知られている(例えば、特許文献4参照)。架橋共重合体ゲルは、架橋度が低い場合、圧力損失、体積変化等の問題があるが、ハイブリッドコポリマーにすることで通液特性が改善され、圧力損失が少なく、イオン交換容量が向上し、リーク挙動が改善される。
有機合成ポリマー基体の細孔内に巨大網目構造を有する親水性天然高分子の架橋ゲルを充填した複合化充填材が提案されている(例えば、特許文献5及び6参照)。また、メタクリル酸グリシジルとアクリル架橋モノマーにより構成される多孔質粒子を合成する技術が知られている(例えば、特許文献7参照)。さらに、ジビニルベンゼン等の多官能のスチレン系モノマーを重合した架橋多孔質ポリマー粒子の表面を、アガロース、デキストラン等の多糖類で被覆した分離材が提案されている(例えば、特許文献8参照)。
米国特許第4965289号明細書 米国特許第4335017号明細書 米国特許第4336161号明細書 米国特許第3966489号明細書 特開平1−254247号公報 米国特許第5114577号明細書 特開2009−244067号公報 国際公開第2016/117574号
本発明は、夾雑タンパク質の非特異吸着を抑制しつつ、高い吸着量を有し、かつ通液性に優れる分離材、該分離材を備えるカラム、及び分離材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記[1]〜[7]に記載の分離材、該分離材を備えるカラム、及び分離材の製造方法を提供する。
[1]疎水性である多孔質ポリマー粒子、及び、該多孔質ポリマー粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層を備え、上記被覆層が、水酸基を有する高分子を含み、上記多孔質ポリマー粒子と上記水酸基を有する高分子とが、活性水素基と、該活性水素基と反応し得る官能基とが反応してなる基を介して連結されている、分離材。
[2]上記活性水素基が、アミノ基及びチオール基の少なくとも一方である、[1]に記載の分離材。
[3]上記水酸基を有する高分子が、多糖類又はその変性体である、[1]又は[2]に記載の分離材。
[4]上記活性水素基と反応し得る官能基がエポキシ基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の分離材。
[5]上記水酸基を有する高分子の重量平均分子量が5000〜5000000である、[1]〜[4]のいずれかに記載の分離材。
[6]カラム管と、該カラム管に充填された[1]〜[5]のいずれかに記載の分離材とを備える、充填カラム。
[7][1]〜[5]のいずれか一項に記載の分離材の製造方法であって、上記活性水素基と反応し得る官能基を有する多孔質ポリマー粒子を用意する工程、水酸基及び活性水素基を有する高分子を用意する工程、並びに、該活性水素基と、該活性水素基と反応し得る官能基とを反応させることにより、上記多孔質ポリマー粒子と該水酸基を有する高分子とを連結する工程を含む、方法。
[8]上記多孔質ポリマー粒子を用意する工程が、上記多孔質ポリマー粒子の重合途中又は重合後に活性水素基と反応し得る官能基を多孔質ポリマー粒子に導入する工程を含む、[7]に記載の方法。
本発明により、夾雑タンパク質の非特異吸着を抑制しつつ、高い吸着量を有し、かつ通液性に優れる分離材、該分離材を備えるカラム、及び分離材の製造方法が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。なお、本明細書中、「多孔質ポリマー粒子の表面」とは、多孔質ポリマー粒子の外側の表面のみでなく、多孔質ポリマー粒子の内部における細孔の表面を含むものとする。また、本明細書中(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレート等の他の類似の表現においても同様である。
<分離材>
本実施形態に係る分離材は、疎水性である多孔質ポリマー粒子と、該多孔質ポリマー粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、水酸基を有する高分子を含む被覆層とを備える。多孔質ポリマー粒子と水酸基を有する高分子とは、活性水素基と、該活性水素基と反応し得る官能基とが反応してなる基を介して連結されている。多孔質ポリマー粒子と水酸基を有する高分子との連結は、例えば、多孔質ポリマー粒子又は水酸基を有する高分子のいずれかに活性水素基を、もう一方に活性水素基と反応し得る官能基を導入しておき、両者を反応させることで行うことができる。
[多孔質ポリマー粒子]
本実施形態に係る多孔質ポリマー粒子は、例えば、多孔質化剤を含むモノマーを硬化させた粒子であってよく、例えば、従来の懸濁重合、乳化重合等により合成することができる。
モノマーとしては、例えば、芳香族系モノマー、ビニルエステル類、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類などを使用することができる。ポリマーはこれらモノマーに由来するモノマー単位のうち1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。分離材は、このようなポリマーを1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
芳香族系モノマーとしては、例えばスチレン系モノマーが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば以下の多官能性モノマー又は単官能性モノマーが挙げられる。モノマーの中でも、耐圧性の観点から、芳香族系モノマーから選ばれる1種以上のモノマーが好ましい。
多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジビニルフェナントレン等が挙げられる。これらの多官能性モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。多官能性モノマーに含まれる重合性ビニル基の個数としては、1分子当たり2〜5個が好ましく、2又は3個がより好ましい。耐久性、耐酸性及び耐アルカリ性の観点より、ジビニルベンゼンを使用することが好ましい。
単官能性モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン及びその誘導体が挙げられる。これらの単官能性モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。耐酸性及び耐アルカリ性の観点から、スチレンを使用することが好ましい。カルボキシル基、アミノ基、水酸基、アルデヒド基等の官能基を有するスチレン誘導体も使用することができる。
ビニルエステル類としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられる。(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
多孔質化剤としては、重合時に相分離を促し、粒子の多孔質化を促進する有機溶媒が用いられる。有機溶媒としては、例えば、脂肪族又は芳香族の炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類及びアルコール類が挙げられる。多孔質化剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、オクタン、酢酸ブチル、フタル酸ジブチル、メチルエチルケトン、ジブチルエーテル、1−ヘキサノール、2−オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール及びシクロヘキサノールから選ぶことができる。これらの多孔質化剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
多孔質化剤の量はモノマー全質量に対して0〜300質量%であってもよい。多孔質化剤の量によって、多孔質ポリマー粒子の空隙率をコントロールすることができる。さらに、多孔質化剤の種類によって、多孔質ポリマー粒子の細孔の大きさ及び形状をコントロールすることができる。
溶媒として使用する水を多孔質化剤とすることもできる。水を多孔質化剤とする場合は、モノマーに油溶性界面活性剤を溶解させ、水を吸収することによって、粒子を多孔質化させることが可能である。
多孔質化に使用される油溶性界面活性剤としては、分岐C16〜C24脂肪酸、鎖状不飽和C16〜C22脂肪酸又は鎖状飽和C12〜C14脂肪酸のソルビタンモノエステル、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノミリステート又はヤシ脂肪酸から誘導されるソルビタンモノエステル;分岐C16〜C24脂肪酸、鎖状不飽和C16〜C22脂肪酸又は鎖状飽和C12〜C14脂肪酸のジグリセロールモノエステル、例えば、ジグリセロールモノオレエート(例えば、C18:1(炭素数18個、二重結合数1個)脂肪酸のジグリセロールモノエステル)、ジグリセロールモノミリステート、ジグリセロールモノイソステアレート又はヤシ脂肪酸のジグリセロールモノエステル;分岐C16〜C24アルコール(例えば、ゲルベアルコール)、鎖状不飽和C16〜C22アルコール又は鎖状飽和C12〜C14アルコール(例えば、ヤシ脂肪アルコール)のジグリセロールモノ脂肪族エーテル;及びこれらの混合物が挙げられる。
これらのうち、ソルビタンモノラウレート(例えば、SPAN(登録商標)20、純度が好ましくは約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、更に好ましくは約70%を超えるソルビタンモノラウレート)、ソルビタンモノオレエート(例えば、SPAN(登録商標)80、純度が好ましくは約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、更に好ましくは約70%を超えるソルビタンモノオレエート)、ジグリセロールモノオレエート(例えば、純度が好ましくは約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、更に好ましくは約70%を超えるジグリセロールモノオレエート)、ジグリセロールモノイソステアレート(例えば、純度が好ましくは約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、更に好ましくは約70%を超えるジグリセロールモノイソステアレート)、ジグリセロールモノミリステート(純度が好ましくは約40%を超える、より好ましくは約50%を超える、更に好ましくは約70%を超えるジグリセロールモノミリステート)、ジグリセロールのココイル(例えば、ラウリル基、ミリストイル基等)エーテル、又はこれらの混合物が挙げられる。
これらの油溶性界面活性剤は、モノマー全質量に対して、5〜80質量%の範囲で使用することが好ましい。油溶性界面活性剤の量が5質量%以上である場合、水滴の安定性が良好となり、大きな単一孔の形成が抑制される傾向にある。油溶性界面活性剤の量が80質量%以下である場合、重合後に多孔質ポリマー粒子が形状をより保持しやすくなる。
水性媒体としては、水、又は、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。水性媒体には、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性イオン系の界面活性剤のうち、いずれも用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸塩、アルケルニルコハク酸塩(ジカリウム塩)、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールアルキルアミン又はアミド類等の炭化水素系ノニオン界面活性剤、シリコンのポリエチレンオキサイド付加物類、ポリプロピレンオキサイド付加物類等のポリエーテル変性シリコン系ノニオン界面活性剤、パーフルオロアルキルグリコール類等のフッ素系ノニオン界面活性剤が挙げられる。
両性イオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の炭化水素界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤及び亜リン酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記界面活性剤の中でも、モノマーの重合時の分散安定性の観点から、アニオン系界面活性剤が好ましい。
必要に応じて添加される重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤は、モノマー100質量部に対して、0.1〜7.0質量部の範囲で使用することができる。
重合温度は、モノマー及び重合開始剤の種類に応じて、適宜選択することができる。重合温度は、25〜110℃が好ましく、50〜100℃がより好ましい。
多孔質ポリマー粒子の合成において、粒子の分散安定性を向上させるために、モノマーの乳化液に分散安定剤を添加してもよい。
分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、セルロース類(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等)、ポリビニルピロリドンが挙げられ、トリポリリン酸ナトリウム等の無機系水溶性高分子化合物も併用することができる。これらのうち、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドンが好ましい。分散安定剤の添加量は、モノマー100質量部に対して1〜10質量部が好ましい。
モノマーが単独で重合することを抑えるために、亜硝酸塩類、亜硫酸塩類、ハイドロキノン類、アスコルビン酸類、水溶性ビタミンB類、クエン酸、ポリフェノール類等の水溶性の重合禁止剤を用いてもよい。
多孔質ポリマー粒子は、酸素元素の存在比が、22%以下であってよい。多孔質ポリマー粒子における酸素元素の存在比は、20%以下、18%以下、15%以下、又は13%以下であってもよく、10%以下であることが好ましい。また、機械的強度を向上させ、通液性を向上させる観点から、酸素元素の存在比は7%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。多孔質ポリマー粒子における酸素元素比率は、X線光電子分光法により測定することができる。X線光電子分光法による測定は、例えば、多孔質ポリマー粒子の外側の表面から深さ方向10nmにおいて行うことができる。多孔質ポリマー粒子における酸素元素存在比は、被膜層の形成後に測定してもよい。
酸素元素存在比は、次の条件で測定することができる。X線光電子分光装置(アルバック・ファイ製 PHI5000 VersaProbeII)を用いて、X線(単色化AlKα線1486.6eV)を検出角度45°で分析面積200μmΦに照射する。ナロースキャン時は、X線ビーム径200μmΦ(50W、15kV)、パルスエネルギー29.35eVとし、炭素と酸素存在比を測定する。また、アルゴンエッチングは4kV2×2mmで行う。
多孔質ポリマー粒子の表面には、活性水素基と反応し得る官能基が導入されていることが好ましい。活性水素基と反応し得る官能基としては、例えば、NHSエステル(N−ヒドロキシスクシンイミド)等の活性エステル基、エポキシ基などが挙げられる。活性水素基と反応し得る官能基としては、活性水素基との反応性と非特異吸着の抑制の観点から、エポキシ基が好ましい。
活性水素基と反応し得る官能基を多孔質ポリマー粒子の表面に導入する方法としては、例えば、該官能基を有するモノマーを重合により多孔質ポリマー粒子に導入する方法が挙げられる。
活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーは、例えば、多孔質ポリマー粒子の重合開始前に他のモノマーと混合しておき、共重合させてもよい。また、多孔質ポリマー粒子の重合途中(モノマーを重合して多孔質ポリマー粒子を形成する途中)で、該官能基を有するモノマーを後添加することにより、多孔質ポリマー粒子に該官能基を導入してもよい。活性水素基と反応し得る官能基を多孔質ポリマー粒子の表面又は表面付近により多く導入して、多孔質ポリマー粒子の表面の該官能基量を向上させる観点から、該官能基を含むモノマーは、重合途中に後添加することが好ましい。さらに、多孔質ポリマー粒子を予め重合した後で、活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーを導入することがより好ましい。多孔質ポリマー粒子の重合後に該官能基を有するモノマーを導入する方法としては、具体的には、予め他のモノマーを重合して得られた多孔質ポリマー粒子をシードとして用い、活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーをシード重合する方法が挙げられる。
活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーは、例えば、エポキシ基含有モノマーであってよい。エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、エポキシ基含有モノビニルモノマーを用いることが好ましい。エポキシ基含有モノビニルモノマーは、1分子中に、1個以上の重合性ビニル基(エチレン性不飽和結合を有する基)と、1個以上のエポキシ基とを有するモノマーである。エポキシ基含有モノビニルモノマーを用いることによって、固相担体としての多孔質ポリマー粒子に適切な量のエポキシ基を導入することができる。
エポキシ基含有モノビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、α−(メタ)アクリル−ω−グリシジルポリエチレングリコール等のヒドロキシ基非含有(メタ)アクリル酸エステル類;グリセリンモノ(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ビニルベンジルグリシジルエーテル、イソプロペニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルフェニルブチルグリシジルエーテル、ビニルベンジルオキシエチルグリシジルエーテル等の芳香族モノビニル化合物、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン等が挙げられる。これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、エポキシ基含有モノビニルモノマーとしては、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類、又はエポキシ基含有芳香族モノビニル化合物が好ましく、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましく、グリシジル(メタ)アクリレート、又は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルが更に好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートがより更に好ましい。また、エポキシ基含有芳香族モノビニル化合物の中では、ビニルベンジルグリシジルエーテルが好ましく、(4−ビニルベンジル)グリシジルエーテルがより好ましい。エポキシ基含有モノビニルモノマーは市販品を用いてもよく、公知の方法に従い合成して使用してもよい。
多孔質ポリマー粒子の重合途中に活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーを後添加するときの転化率は、多孔質ポリマー粒子表面の、活性水素基と反応し得る官能基量を向上させる観点から、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。モノマーの転化率は、固形分濃度より算出する。固形分濃度は、次の方法により式(1)を用いて算出する。アルミパンに粒子分散液を1g採取した後、ヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液(0.5wt%)を1g添加し、ホットプレートを用いて180℃で1時間加温し、モノマーと溶媒を蒸発させる。
[(乾燥後質量(g)/サンプル量(g))/{(モノマー(g)+開始剤(g))/(モノマー(g)+開始剤(g)+溶媒(g))}]×100 (1)
後添加による導入方法において、活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーの使用割合については特に限定はなく、使用するモノマーの種類等により適宜に決定され、例えば、スチレン系モノマー等の他のモノマーの添加量に対して、1〜50質量%であってよい。多孔質ポリマー粒子の表面の活性水素基と反応し得る官能基の量を向上させることと、過剰の活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーの添加による2次粒子の発生を抑制する観点から、3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
なお、スチレン系モノマーを順相懸濁重合により粒子状にする場合には、エポキシ基含有モノビニルモノマーとしては、開環エポキシ基量のコントロールが容易となることから、水不溶性のものが好ましい。ここで水不溶性とは水100mLに対して室温(25℃)で10g以上は溶解しないことをいう。
シード重合による導入方法としては、多孔質ポリマー粒子をシード粒子として用い、乳化した、活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーの水溶液を添加し、多孔質ポリマー粒子に活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーを吸収させた後、加熱重合することで合成できる。
上記導入方法において、活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーの使用割合については特に限定はなく、使用するモノマーの種類等により適宜に決定され、例えば、スチレン系モノマー等の他のモノマーの添加量に対して、1〜50質量%であってよい。多孔質ポリマー粒子の表面の活性水素基と反応し得る官能基の量を向上させることと、活性水素基と反応し得る官能基の過剰の添加による2次粒子の発生を抑制する観点から、3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
乳化した活性水素基と反応し得る官能基を有するモノマーの水溶液の吸収は、例えば、多孔質ポリマー粒子の分散液に乳化液を加えて、撹拌することにより行うことができる。その際、吸収速度を上げるために加熱してもよく、水分散系の場合にはアセトン、エタノール等の水溶性溶剤を加えてもよい。
加熱重合は通例の処理条件で行うことができる。水媒系による場合、重合開始剤としては通常の油溶性のラジカル系開始剤が好ましく用いられる。油溶性のものであると新たな粒子の生成を防ぐことができる。重合を円滑に行う観点から、重合開始剤はモノマーに0.1〜3質量%溶解させて用いることが望ましい。重合に際しては、粒子の安定化のために乳化剤及び重合安定剤を用いることが一般に望ましい。その使用量は2次粒子が生成しない量とすることが適当である。
活性水素基と反応し得る官能基の量としては、多孔質ポリマー粒子をカラムに充填したゲル1mLに対して、0.01〜10mmolが好ましい。上記の範囲内であれば、多孔質ポリマー粒子表面に後述の水酸基を有する高分子を効率よく固定化でき、非特異吸着を抑制すると同時に、タンパク質の吸着量を向上することができる。また、活性水素基と反応し得る官能基の量は、より好ましくは0.05mmol以上、更に好ましくは0.5mmol以上、より更に好ましくは1.0mmol以上である。
エポキシ基の官能基量は以下の測定法により求めることができる。多孔質ポリマー粒子2gを蒸留水48gに投入し、これに1.0N塩酸140ミリリットルを加えて60℃で6時間撹拌して粒子中のエポキシ基を塩酸と反応させた後、残留する塩酸を1.0N水酸化ナトリウムで滴定し、エポキシ基との反応に消費された塩酸量から計算する。
エポキシ基含有モノビニルモノマーを導入した多孔質ポリマー粒子中の表面近傍における、エポキシ基含有モノビニルモノマーの存在比は、X線光電子分光法(XPS)の深さ方向分析による元素比から求めることができる。エポキシ基含有モノビニルモノマーには、エポキシ基に由来する酸素元素が含まれているため、エポキシ基が導入された部分の酸素元素の存在比が高くなる。一方、炭素元素の存在比は低くなる傾向にある。
通常、エポキシ基含有モノビニルモノマーをスチレン系モノマー等の他のモノマーと重合初期から共重合して多孔質ポリマー粒子を合成する場合、上記エポキシ基の官能基量を満たすためには、多量のエポキシ基含有モノビニルモノマーを使用するため、多孔質ポリマー粒子内部の酸素元素の存在比は10%以上となることが分かっている。一方、多孔質ポリマー粒子内部におけるエポキシ基含有モノビニルモノマー量が少ない方が、粒子の機械的強度を高め、分離材としての通液性を向上できる傾向があるため好ましい。
[被覆層]
本実施形態に係る被覆層は、水酸基を有する高分子を含む。多孔質ポリマー粒子が、このような高分子と連結されていることにより、カラム圧の向上を抑制することができるとともに、タンパク質の非特異吸着を抑制することが可能となる上、分離材のタンパク質吸着量を向上させることが可能となる。
本実施形態に係る被覆層の形成に用いられる水酸基を有する高分子は、活性水素基を更に含むことが好ましく、水酸基を有する高分子鎖の末端に、活性水素基を有することがより好ましい。高分子鎖の末端に、活性水素基を有することにより、多孔質ポリマー粒子と連結した後の水酸基を有する高分子の運動性が向上し、動的吸着量が大きくなる傾向にある。
活性水素基と水酸基とを有する高分子は、高分子1分子に対して活性水素基を1〜5有することが好ましい。活性水素基と水酸基とを有する高分子は、例えば、水酸基を有する高分子と、活性水素基を有する化合物とを反応させる方法により合成できる。
また、活性水素を有する官能基(活性水素基)は、多糖類の還元末端を還元してカルボキシ基に変換した後、活性エステル化又は縮合剤を用いて導入することもできる。活性水素基の具体例は、活性水素を有する官能基として公知の官能基であってよい。水酸基を有する高分子への導入が容易であることから、活性水素基は、アミノ基又はチオール基であることが好ましい。
活性水素基及び水酸基を有する高分子としては、例えば、活性水素基を有する、多糖類及びその変性体、ポリビニルアルコール及びその変性体、ポリグリセリンモノメタクリレート及びその変性体、並びに、ポリヒドロキシエチルメタクリレート及びその変性体等が挙げられる。
多糖類としては、例えばアガロース、デキストラン、セルロース、キトサン等が挙げられる。多糖類が還元末端を有するものである場合、活性水素基と水酸基とを有する高分子は、活性水素基を2個以上有する化合物を、多糖類の還元末端に反応させて得られる高分子であることが好ましい。分子運動性の観点から、活性水素基と水酸基とを有する高分子は、活性水素基を有するデキストランであることが好ましい。
活性水素基と水酸基とを有する高分子の重量平均分子量(Mw)は、5000〜5000000であることが好ましく、10000〜1000000であることがより好ましく、30000〜500000であることが更に好ましい。Mwが5000000以下であると、多孔質ポリマー粒子の細孔が閉塞されにくくなる。Mwが5000以上であると、タンパク質を吸着する能力がより向上する。本明細書において、Mwとは、標準物質として分子量の異なるプルランを使用し、水を溶媒として、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される数値を示す。
本実施形態に係る分離材における、水酸基を有する高分子の固定化量は、多孔質ポリマー粒子1g当たり30〜400mgであることが好ましく、50〜400mgであることがより好ましく、100〜400mgであることが更に好ましい。水酸基を有する高分子の割合が多孔質ポリマー粒子1gに対して400mg以下であると、被覆層を薄膜とすることができ、カラムとして用いたときの通液性がより向上する傾向にある。また、被覆層の割合が多孔質ポリマー粒子1gに対して30mg以上であると、タンパク質吸着量がより高まる傾向にある。固定化量は、熱分解の重量減少、アンスロン法等で測定することができる。
(固定化(連結)工程)
本実施形態に係る分離材は、例えば、水酸基を有する高分子が活性水素基を有し、かつ多孔質ポリマー粒子が活性水素基と反応し得る官能基を有する場合には、該活性水素基と、該活性水素基と反応し得る官能基とを反応させることにより、多孔質ポリマー粒子と、水酸基を有する高分子とを連結することができる。すなわち、本実施形態に係る分離材の製造方法は、例えば、活性水素基と反応し得る官能基を有する多孔質ポリマー粒子を用意する工程、水酸基及び活性水素基を有する高分子を用意する工程、並びに、該活性水素基と、該活性水素基と反応し得る官能基とを反応させることにより、前記多孔質ポリマー粒子と該水酸基を有する高分子とを連結する工程を含む方法とすることができる。反応の際は、例えば、活性水素基と反応し得る官能基が導入された多孔質ポリマー粒子表面に、活性水素基及び水酸基を有する高分子を予め吸着させておいてもよい。このような方法によれば、活性水素基と反応し得る基と活性水素基とを選択的に反応させることができる。以下、当該方法の具体例について説明する。
活性水素基と反応し得る官能基を導入した多孔質ポリマー粒子を、活性水素基及び水酸基を有する高分子の水溶液に分散させた後、触媒等を添加し、活性水素基と反応し得る基を、高分子中の活性水素基と反応させる。触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液が挙げられる。
そして、得られた粒子をろ別し、洗浄し、未反応の高分子等を除去すれば、多孔質ポリマー粒子の表面の少なくとも一部が、水酸基を有する高分子を含む被覆層と化学結合で固定化された分離材が得られる。
本実施形態に係る分離材は、多孔質ポリマー粒子と、水酸基を有する高分子とが、活性水素基と、該活性水素基と反応し得る官能基とが反応してなる基を介して連結されている。そのため、従来の分離材の製造方法のように、水酸基を有する高分子を物理吸着によって多孔質ポリマー粒子に被覆する際に必要な、該高分子を疎水化する処理(疎水性官能基を導入する工程)を省くことができる。また、本実施形態に係る分離材は、水酸基を有する高分子が化学結合により多孔質ポリマー粒子に固定化されているため、水酸基を有する高分子をより密に多孔質ポリマー粒子に固定化することができ、それによって夾雑タンパク質の非特異吸着をより低減できる。さらに、水酸基を有する高分子がより密に固定化されていることにより、高分子の水酸基に導入するアフィニティ吸着部位又はイオン交換基の量を増加させることができ、吸着量を向上させることができる。
多孔質ポリマー粒子及び分離材の平均粒径は、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、更に好ましくは100μm以下である。また、多孔質ポリマー粒子及び分離材の平均粒径は、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上であり、更に好ましくは50μm以上である。平均粒径が10μm以上であると、カラム充填後のカラム圧の増加を抑制できる傾向がある。
多孔質ポリマー粒子又は分離材の変動係数(C.V.)は、通液性を向上させる観点から、5〜15%であることが好ましく、5〜10%であることがより好ましい。粒径の変動係数を低減する方法としてマイクロプロセスサーバー(株式会社日立製作所製)等の乳化装置により単分散化する方法がある。
多孔質ポリマー粒子又は分離材の平均粒径及び粒径の変動係数は、以下の測定法により求めることができる。
1)粒子を、水(界面活性剤等の分散剤を含む)に分散させ、1質量%の粒子を含む分散液を調製する。
2)粒度分布計(シスメックスフロー、シスメックス株式会社製)を用いて、分散液中の粒子1万個の画像により平均粒径と粒径の変動係数を測定する。
多孔質ポリマー粒子及び分離材の細孔容積(空隙率)は、粒子の全体積基準で30〜70体積%であってよく、40〜70体積%であることが好ましい。多孔質ポリマー粒子及び分離材は、細孔径が0.05μm以上0.6μm以下である細孔、すなわちマクロポアー(マクロ孔)を有していてもよい。多孔質ポリマー粒子及び分離材の細孔径分布におけるモード径(モード細孔径、細孔径分布における最頻値)は、0.05〜0.6μmであってもよく、0.05μm以上0.5μm未満であることが好ましい。細孔径が0.05μm以上であると、細孔内に物質が入りやすくなる傾向にあり、細孔径が0.5μm以下であると、比表面積が充分なものになる。これらは上述の多孔質化剤により調整可能である。
多孔質ポリマー粒子及び分離材の比表面積は、30m/g以上であることが好ましい。実用性の観点から、比表面積が35m/g以上であることがより好ましく、40m/g以上であることが更に好ましい。比表面積が30m/g以上であると、分離する物質の吸着量が大きくなる傾向にある。
多孔質ポリマー粒子又は分離材のモード細孔径、比表面積及び空隙率は、水銀圧入測定装置(オートポア:株式会社島津製作所製)にて測定した値であり、以下のようにして測定することができる。約0.05gの試料を、標準5mL粉体用セル(ステム容積0.4mL)に採り、初期圧21kPa(約3psia、細孔直径約60μm相当)の条件で測定する。水銀パラメータは、装置デフォルトの水銀接触角130°、水銀表面張力485dynes/cm、に設定する。細孔径0.05〜5μmの範囲に限定してそれぞれの値を算出する。
(イオン交換基の導入)
被覆層を備える分離材は、イオン交換基、リガンド(プロテインA)等を表面上の水酸基等を介して導入することにより、イオン交換精製、アフィニティ精製等に使用することができる。イオン交換基を導入する方法として、例えば、ハロゲン化アルキル化合物を用いる方法が挙げられる。
ハロゲン化アルキル化合物としては、モノハロゲノカルボン酸及びそのナトリウム塩、ハロゲン化アルキル基を少なくとも1つ有する1級、2級又は3級アミン及びその塩酸塩、ハロゲン化アルキル基を少なくとも1つ有する4級アンモニウム塩等が挙げられる。モノハロゲノカルボン酸としては、例えば、モノハロゲノ酢酸、モノハロゲノプロピオン酸等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基を少なくとも1つ有する3級アミンとしては、例えば、ジエチルアミノエチルクロライド等が挙げられる。これらのハロゲン化アルキル化合物は、臭化物又は塩化物であることが好ましい。ハロゲン化アルキル化合物の使用量としては、イオン交換基を付与する分離材の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。
イオン交換基の導入には、反応を促進させるために、有機溶媒を用いるのが有効である。有機溶媒としては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール等のアルコール類が挙げられる。
通常、イオン交換基の導入は、分離材表面の水酸基に行われるので、湿潤状態の粒子を、ろ過等により水切りした後、所定濃度のアルカリ性水溶液に浸漬し、一定時間放置した後、水−有機溶媒混合系で、上記ハロゲン化アルキル化合物を添加して反応させる。アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液が挙げられる。この反応は温度40〜90℃で、還流下、0.5〜12時間行うことが好ましい。上記の反応で使用されるハロゲン化アルキル化合物の種類により、付与されたイオン交換基が決定される。
イオン交換基として、弱塩基性基であるアミノ基を導入する方法としては、上記ハロゲン化アルキル化合物のうち、アルキル基のうちの少なくとも1つがハロゲン化アルキル基で置換されている、モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミン、モノ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、ジ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、モノ−アルキル−ジ−アルカノールアミン等を反応させる方法、又はアルカノール基のうちの少なくとも1つがハロゲン化アルカノール基で置換されている、モノ−、ジ−又はトリ−アルカノールアミン、モノ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、ジ−アルキル−モノ−アルカノールアミン、モノ−アルキル−ジ−アルカノールアミンを反応させる方法等が挙げられる。これらのハロゲン化アルキル化合物の使用量としては、分離材の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。反応条件としては、40〜90℃で、0.5〜12時間であることが好ましい。
イオン交換基として、強塩基性基の4級アンモニウム基を導入する方法としては、まず3級アミノ基を導入し、該3級アミノ基にエピクロルヒドリン等のハロゲン化アルキル基含有化合物を反応させ、4級アンモニウム基に変換させる方法が挙げられる。また、4級アンモニウムクロライド等の4級アンモニウムハロゲナイドなどを分離材に反応させてもよい。
イオン交換基として、弱酸性基であるカルボキシ基を導入する方法としては、上記ハロゲン化アルキル化合物として、モノハロゲノ酢酸、モノハロゲノプロピオン酸等のモノハロゲノカルボン酸又はそのナトリウム塩を反応させる方法が挙げられる。これらハロゲン化アルキル化合物の使用量は、イオン交換基を導入する分離材の全質量に対して0.2質量%以上であることが好ましい。
イオン交換基として、強酸性基であるスルホン酸基の導入方法としては、分離材に対してエピクロロヒドリン等のグリシジル化合物を反応させ、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩の飽和水溶液に分離材を添加する方法が挙げられる。反応条件は、30〜90℃で1〜10時間であることが好ましい。
一方、イオン交換基の導入方法として、アルカリ性雰囲気下で、分離材に1,3−プロパンスルトンを反応させる方法も挙げられる。1,3−プロパンスルトンは、分離材の全質量に対して0.4質量%以上使用することが好ましい。反応条件は、0〜90℃で0.5〜12時間であることが好ましい。
本実施形態の分離材は、タンパク質の静電的相互作用による分離、アフィニティ精製に用いるのに好適である。例えば、タンパク質を含む混合溶液の中に本実施形態の分離材を添加し、静電的相互作用によりタンパク質だけを分離材に吸着させた後、該分離材を溶液からろ別し、塩濃度の高い水溶液中に添加すれば、分離材に吸着しているタンパク質を容易に脱離、回収できる。また、本実施形態の分離材は、カラムクロマトグラフィーにおいて使用することも可能である。
本実施形態に係る分離材は、イオン交換基を導入しなくても分離材として用いることができる。このような分離材は、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーに利用することができる。
本実施形態の分離材を用いて分離できる生体高分子としては、水溶性物質が好ましい。具体的には、血清アルブミン、免疫グロブリン等の血液タンパク質などのタンパク質、生体中に存在する酵素、バイオテクノロジーにより生産されるタンパク質生理活性物質、DNA、生理活性をするペプチド等の生体高分子などであり、好ましくは分子量が200万以下、より好ましくは50万以下である。また、公知の方法に従い、タンパク質の等電点、イオン化状態等によって、分離材の性質、条件等を選ぶ必要がある。公知の方法として、例えば、特開昭60−169427号公報等に記載の方法が挙げられる。
本実施形態の分離材は、親水性である水酸基を有する高分子を含む被覆層を備えることにより、タンパク質等の生体高分子の分離において、天然高分子からなる粒子又は合成ポリマーからなる粒子のそれぞれの利点を有する。また、本実施形態の分離材は、粒子表面に固定化された親水性高分子を含む被覆層を備えることにより、非特異吸着が低減されており、タンパク質の吸脱着が起こりやすい傾向にある。さらに、本実施形態の分離材は、同一流速下でのタンパク質等の吸着量(動的吸着量)が大きい傾向にある。
本明細書における通液速度とは、φ7.8×300mmのステンレスカラムに本実施形態の分離材を充填し、液を通した際の通液速度を表す。本実施形態の分離材は、カラムに充填した場合、カラム圧0.3MPaのときに通液速度が800cm/h以上であることが好ましい。カラムクロマトグラフィーでタンパク質等の分離を行う場合、カラムに通液されるタンパク質溶液等の通液速度としては、一般に400cm/h以下の範囲である。
一方、本実施形態の分離材を使用した場合は、従来のタンパク質分離用の分離材よりも速い800cm/h以上の通液速度で使用しても高吸着量を維持することができる。
本実施形態の分離材の平均粒径は、10〜300μmであることが好ましく、分取用又は工業用のクロマトグラフィーでの使用には、カラム内圧の極端な増加を避けるために、10〜100μmであることが好ましく、50〜100μmであることが更に好ましい。
本実施形態の分離材は、カラムクロマトグラフィーでカラム充填材として使用した場合、使用する溶出液の性質に依らず、カラム内での体積変化がほとんどないため、操作性に優れる。
分離材の空隙率は、分離材の全体積基準で30体積%以上70体積%以下であることが好ましく、40体積%以上70体積%以下であることがより好ましい。分離材はマクロポアー(マクロ孔)を有することが好ましく、分離材の細孔径(モード径)は、0.1〜0.5μmであることが好ましい。分離材の上記細孔径として、より好ましくは、0.2〜0.5μmである。上記細孔径が0.1μm以上であると、細孔内に物質が入り易くなる傾向にあり、上記細孔径が0.5μm以下であると、比表面積が充分なものになる。
分離材の比表面積は、30m/g以上であることが好ましい。より高い実用性の観点から、比表面積は35m/g以上であることがより好ましく、40m/g以上であることが更に好ましい。比表面積が30m/g以上であると、分離する物質の吸着量が大きくなる傾向にある。
分離材の動的吸着量は50mg/mL以上であることが好ましく、80mg/mL以上であることがより好ましい。例えば、高分子鎖の末端に活性水素基を有する親水性高分子を用いることにより、高分子鎖の側鎖に活性水素基を有する親水性高分子を用いた場合と比べて、得られる分離材の動的吸着量を向上させることができる。
本実施形態に係る充填カラムは、カラム管と、該カラム管に充填された、本実施形態に係る分離材とを備えるものである。充填カラムは、カラム管内に分離材を充填することで製造することができる。カラム内に分離材を充填させる方法は特に制限させるものではなく、例えば、公知の方法を採用することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(多孔質ポリマー粒子の合成)
500mLの三口フラスコに、純度96質量%のジビニルベンゼンを16g、Span80を6g、及び過酸化ベンゾイルを0.64g入れて混合し、モノマー溶液を調製した。0.5質量%のポリビニルアルコール水溶液を溶媒として用いた。上記モノマー溶液及び上記溶媒に対して、マイクロプロセスサーバーを使用して乳化後、得られた乳化液(モノマ濃度25体積%)をフラスコに移し、80℃のウォーターバスで加熱しながら、撹拌機を用いて約8時間撹拌した。得られた粒子をろ過後、アセトンで洗浄し、多孔質ポリマー粒子を得た。多孔質ポリマー粒子の粒径と粒径C.V.をフロー型粒径測定装置により測定したところ、平均粒径93μm、及び粒径C.V.8.6%であった。
(活性水素基と反応し得る官能基の導入)
50mLの三口フラスコに、グリシジルメタクリレート2g、ドデシル硫酸ナトリウム0.5g、過酸化ベンゾイル、0.01g、及び純水40mLを投入して混合し、超音波ホモジナイザを用いて乳化した。得られた乳化液を多孔質ポリマー粒子10gの水分散液400mLに添加した後、ミックスロータを用いて24時間室温で撹拌することにより、モノマーを吸収させた。次に、セパラブルフラスコに粒子分散液を移し、Nバブリングを100mL/minで1時間行い、80℃まで1時間かけて昇温し、その後8時間加温した。得られた粒子を水及びアセトンを用いてろ過洗浄し、回収した。XPSにより、得られた活性水素基と反応し得る官能基を導入した多孔質ポリマー粒子の、深さ方向10nmにおける酸素元素の存在比を測定した。
滴定測定により、得られた粒子における、活性水素基と反応し得る官能基の量を算出した。結果を表1に示す。
(活性水素基を有する親水性高分子の合成)
デキストラン(Mw:550000)5gを、ジメチルスルホキシド(DMSO)50mLに溶解させてデキストラン溶液を得た。得られたデキストラン溶液に、エチレンジアミン0.1g及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム20mgを添加して、60℃で7日間撹拌した。この間、1日置き(すなわち3日目、5日目及び7日目)に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム20mgを添加した。次いで、メタノールを用いて再沈殿させることにより、アミノ基末端を有するデキストラン(以下、「Dex−NH」ともいう)を得た。Dex−NHの重量平均分子量(Mw)をゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。結果を表1に示す。
(親水性高分子の固定化)
5gのDex−NHを50gの水に溶解させたDex−NH水溶液に、活性水素基と反応し得る官能基を導入した多孔質ポリマー粒子10gを分散させた。得られた分散液を、80℃で12時間撹拌して、多孔質ポリマー粒子にDex−NHを固定化させた。固定化後の粒子をろ別し、熱水で洗浄した。
(タンパク質の非特異吸着性評価)
親水性高分子を固定化した多孔質ポリマー粒子0.5gをBSA(Bovine Serum Alubumin)濃度20mg/mLのリン酸緩衝液(pH7.4)50mLに投入し、24時間室温で撹拌した。その後、遠心分離を行って上澄み液をとった。分光光度計で上澄み液の280nmの吸光度を測定することによって求めた上澄み液中のBSA濃度から、分離材に吸着したBSA量を算出した。結果を表1に示す。
(イオン交換基の導入)
得られた粒子を含む分散液から、遠心分離により水を除去した。得られた粒子10gを、ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩の水溶液(ジエチルアミノエチルクロライド塩酸塩60gを水に溶解し100gとした水溶液)に分散させ、70℃で10分撹拌した。その後、70℃に加温した5Mの水酸化ナトリウム水溶液を100mL添加し、1時間反応させた。反応終了後、生成物をろ取して、水/エタノール(体積比8/2)で2回洗浄し、ジエチルアミノエチル(DEAE)基をイオン交換基として有する(DEAE変性)分離材を得た。
(カラム特性評価:通液評価及び動的吸着量評価)
得られたDEAE変性分離材を濃度30質量%で含むスラリー(溶媒:メタノール)を調製し、該スラリーをφ7.8×300mmのステンレスカラムに15分充填した。その後、カラムに流速を変えながら水を通し、流速とカラム圧との関係を測定し、0.3MPa時の通液速度(線流速)を測定した。結果を表1に示す。
動的吸着量を以下のようにして測定した。20mmol/LのTris−塩酸緩衝液(pH8.0)をカラムに10カラム容量通した。その後、BSA濃度2mg/mLの20mmol/LのTris−塩酸緩衝液を通し、UV測定によってカラム出口でのBSA濃度を測定した。カラム入口と出口のBSA濃度が一致するまで緩衝液を通し、5カラム容量分の1M NaCl Tris−塩酸緩衝液で希釈した。10%breakthroughにおける動的吸着量を以下の式を用いて算出した。結果を表1に示す。
q10=cfF(t10−t0)/VB
q10:10%breakthroughにおける動的吸着量(mg/mL wet resin)
cf:注入しているBSA濃度
F:流速(mL/min)
VB:ベッド体積(mL)
t10:10%breakthroughにおける時間(min)
t0:BSA注入開始時間(min)
(実施例2)
活性水素基と反応し得る官能基を導入する工程において、グリシジル(メタ)アクリレートの添加量を4.6gに変更したこと以外は実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた活性水素基と反応し得る官能基を導入した多孔質ポリマー粒子の官能基量は、0.7mmol/gであった。
(実施例3)
活性水素基と反応し得る官能基を導入する工程において、グリシジル(メタ)アクリレートの添加量を8gに変更したこと以外は実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた活性水素基と反応し得る官能基を導入した多孔質ポリマー粒子の官能基量は、7.6mmol/gであった。
(実施例4)
活性水素基を有する親水性高分子を合成する工程において、エチレンジアミンを1,2−エタンジチオールに変更することで、チオール基末端を有するデキストラン(以下、場合により「Dex−SH」という)を得た。Dex−SHの重量平均分子量(Mw)は550000であった。以降の操作は実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。
(実施例5)
活性水素基を有する親水性高分子の合成工程において、用いるデキストランのMwを6200に変更したこと以外は、実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。活性水素基の導入前後でポリマー分子量に変化はなく、得られたDex−NHのMwは、6200であった。
(実施例6)
活性水素基を有する親水性高分子の合成工程において、用いるデキストランのMwを3100000に変更したこと以外は、実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。活性水素基の導入前後でポリマー分子量に変化はなく、得られたDex−NHのMwは、3100000であった。
(実施例7)
活性水素基を有する親水性高分子の合成工程において、デキストランをアガロース(Mw:48000)に変更することで、アミノ基末端を有するアガロース(以下、「Aga−NH」ともいう)を得た。Aga−NHの重量平均分子量は48000であった。以降の操作は実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。
(比較例1)
多孔質ポリマー粒子の合成において、ジビニルベンゼン16gに代えて2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート11.2g及びエチレングリコールジメタクリレート4.8gを用いたこと並びにSpan80の量を6gから5gに変更したこと以外は、多孔質ポリマー粒子1と同様の方法で多孔質ポリマー粒子を得た。XPSにより深さ方向10nmにおける酸素元素の存在比を測定したところ、23%であった。また、滴定測定により活性水素基と反応し得る官能基量は、0.9mol/gであった。結果を表1に示す。以降の操作は実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。
(比較例2)
Dex−NHをデキストラン(Mw:550000)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして分離材を作製し、実施例1と同様に評価した。
(比較例3)
実施例1と同様の方法により、活性水素基と反応し得る官能基を導入した多孔質ポリマー粒子を作製した。次いで、得られた多孔質ポリマー粒子10gを、10質量%のポリビニルアルコール(PVA、Mw:12000)水溶液100mLに投入し、1時間撹拌して分散液を得た。得られた分散液に、更に1Mの水酸化ナトリウム水溶液100mL、及び、水素化ホウ素ナトリウム0.36gを加え18時間撹拌して、多孔質ポリマー粒子にポリビニルアルコールを固定化させた。固定化後の粒子をろ別し、熱水で洗浄した。得られた粒子を分離材として用い、実施例1と同様により評価した。
(比較例4)
市販のアガロース粒子(Capto DEAE:GEヘルスケア)をそのまま分離材として用い、実施例1と同様に評価した。
Figure 2021049485
表1の結果から、実施例で得られた分離材は、非特異吸着が低減され、タンパク質の吸着量が高く、カラムとして用いたときの通液性に優れていることが分かる。

Claims (8)

  1. 疎水性である多孔質ポリマー粒子、及び、該多孔質ポリマー粒子の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層を備え、
    前記被覆層が、水酸基を有する高分子を含み、
    前記多孔質ポリマー粒子と前記水酸基を有する高分子とが、活性水素基と、該活性水素基と反応し得る官能基とが反応してなる基を介して連結されている、分離材。
  2. 前記活性水素基が、アミノ基及びチオール基の少なくとも一方である、請求項1に記載の分離材。
  3. 前記水酸基を有する高分子が、多糖類又はその変性体である、請求項1又は2に記載の分離材。
  4. 前記活性水素基と反応し得る官能基がエポキシ基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の分離材。
  5. 前記水酸基を有する高分子の重量平均分子量が5000〜5000000である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分離材。
  6. カラム管と、該カラム管に充填された請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離材とを備える、充填カラム。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離材の製造方法であって、前記活性水素基と反応し得る官能基を有する多孔質ポリマー粒子を用意する工程、水酸基及び活性水素基を有する高分子を用意する工程、並びに、該活性水素基と、該活性水素基と反応し得る官能基とを反応させることにより、前記多孔質ポリマー粒子と該水酸基を有する高分子とを連結する工程を含む、方法。
  8. 前記多孔質ポリマー粒子を用意する工程が、前記多孔質ポリマー粒子の重合途中又は重合後に活性水素基と反応し得る官能基を多孔質ポリマー粒子に導入する工程を含む、請求項7に記載の方法。
JP2019172780A 2019-09-24 2019-09-24 分離材、充填カラム、及び分離材の製造方法 Pending JP2021049485A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019172780A JP2021049485A (ja) 2019-09-24 2019-09-24 分離材、充填カラム、及び分離材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019172780A JP2021049485A (ja) 2019-09-24 2019-09-24 分離材、充填カラム、及び分離材の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021049485A true JP2021049485A (ja) 2021-04-01

Family

ID=75155143

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019172780A Pending JP2021049485A (ja) 2019-09-24 2019-09-24 分離材、充填カラム、及び分離材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021049485A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6778382B2 (ja) 分離材
JP6848203B2 (ja) 分離材及びカラム
JP6790834B2 (ja) 分離材
JP6834129B2 (ja) 分離材及びカラム
JP6648565B2 (ja) 分離材
JP6476887B2 (ja) 分離材
JP6972606B2 (ja) 分離材、カラム、及び分離材の製造方法
JP6922892B2 (ja) 分離材、該分離材を備えるカラム、及び分離材の製造方法
JP6627514B2 (ja) 分離材、カラム、及び分離材の製造方法
JP6778381B2 (ja) 分離材
JP2021049485A (ja) 分離材、充填カラム、及び分離材の製造方法
JP2017125815A (ja) 分離材及びカラム
JP2021181037A (ja) 分離材、分離材の製造方法及びカラム
JP6733166B2 (ja) 分離材用の多孔質ポリマ粒子の製造方法、分離材用の多孔質ポリマ粒子、及びカラム
JP6926573B2 (ja) 分離材及びカラム
JP6939021B2 (ja) 分離材及びカラム
JP6848177B2 (ja) 分離材及びカラム
JP6977437B2 (ja) 分離材の製造方法
JP6874276B2 (ja) 分離材及びカラム
JP6852259B2 (ja) 分離材及びカラム
JP6897007B2 (ja) 分離材及びカラム
JP2020203266A (ja) 分離材及びカラム
JP6778378B2 (ja) 分離材及びカラム
JP6746915B2 (ja) 分離材及びカラム
JP2017125799A (ja) 分離材及びカラム