JP2021046875A - ボール弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】弁体の回転角度に対する流量変化を小さくしたボール弁を提供する。【解決手段】流体の出入口6〜8が設けられた弁箱5と、弁箱5内に弁座9,10を介して回転可能に保持される球状の弁体2と、弁体2を回転させる弁棒とを備える。弁体2には、球状面へ開口して流体流路15,16が形成されている。流体流路15,16の球状面への開口部には、弁体2の回転方向一方へ延出して、切欠溝17,18が形成されている。切欠溝17,18は、球状面から凹んだ底面17a,18aが、前記開口部の軸線に対し略垂直に形成されている。たとえば、第一弁座9の弁座穴9aに弁体2の第一切欠溝17のみが開口された状態では、第一切欠溝17の底面17aと垂直な断面で見た場合、第一切欠溝17の底面17aと第一弁座9のシール面との間に隙間が形成され、この隙間を介して、弁体2の第一出口穴15と弁箱5の第一流出路7とが連通する。【選択図】図3

Description

本発明は、穴の開いた球状の弁体を弁箱内で回転させて、流路を開閉するボール弁に関するものである。
ボール弁は、流体の出入口が設けられた弁箱内に、球状の弁体が回転可能に保持されて構成される。典型的な二方弁の場合、球状の弁体は、径方向両端部に円環状の弁座がはめ込まれた状態で、弁座を介して弁箱内に保持される。弁体は、流体流路として貫通穴が形成されており、この貫通穴の開口部を弁座の穴に対して開閉される。
この種のボール弁では、締切時の漏れの抑制と、繰り返し精度の高い流量特性とを、高耐久で実現する必要がある。締切性を高めるために、弁座に合成樹脂を用いるが、それ故に、摩耗等により弁体に対するシール位置が変化して、繰り返し精度が経時的に悪化するおそれがある。しかも、弁体の開口部と弁座の開口部との重なり具合で流量調整されるが、各開口部が単なる円形であるため、弁体の回転角度に対する流量変化が大きく、弁座の経時劣化による流量変化を抑えることができない。
一方、下記特許文献1に開示されるように、開閉途中の流量変化を緩やかにするボール弁が提案されている。このボール弁では、二分割された弁箱(1,2)内に、流過孔(8)を有するボール(3)と、このボール(3)の両開口(9,10)側にそれぞれ接触するシール部材(4,4)とを装着し、ヨーク(12)により弁箱(1,2)に取り付けられ電動機と減速装置を有する電動アクチュエータ(15)の出力軸(14)と連結する弁棒(5)を介して前記ボール(3)を回動する。また、ボール(3)の流過孔(8)の流入側の開口(9)を円形となし、流出側の開口(10)を扇形となすとともに、前記円形の開口(9)の直径(D)を扇形の開口(10)の長さ(L)より大としている。この発明によれば、弁体(ボール3)の開口部の形状を扇形とすることで、弁の開放時の急激な流量増加を抑えることはできるが、安価に精度よく穴を加工することは難しい。
また、下記特許文献2に開示されるように、ボール弁の弁箱(1)の内部に設置する弁体(内弁3a)の貫通孔(2)の両端の上下いずれか一方に、弁体(3a)の回転角度に対して固有の開口面積となるような溝(5a,5b)を設けることが提案されている。この発明によれば、弁の開放時、まずは溝(5a,5b)が配管(4)の穴に開口することで、開放途中の流量変化を緩やかにすることができる。
しかしながら、特許文献2に記載の発明では、貫通孔(2)の軸線に対し小さな傾斜角(40度程度)で溝(5a,5b)が形成されている。そして、溝(5a,5b)の底面(貫通孔2の軸線に対し傾斜した辺)は、貫通孔(2)の軸方向中央部へ向けて配置される。言い換えれば、溝(5a,5b)の底面は、弁体(3a)の中心部を通るように、弁体3aの径方向へ沿って配置される。
この場合、当該文献の第1図に示されるように、配管(4)の穴に対し溝(5a,5b)が開き始めると、溝(5a,5b)が配管(4)の穴の軸方向に沿って配置されるので、配管(4)の穴と弁体(3a)の貫通孔(2)とが、何の障害もなく連通することになる。たとえば、左側の配管(4)からの流体は、溝(5a)の底面に邪魔されることなく、溝(5a)の底面に沿って流れ、直に貫通孔(2)に流入することになる。つまり、溝(5a,5b)は、実質的には「穴」として機能することになる。そのため、経時劣化での流量変化を小さくするには不十分である。
実公平3−29656号公報(実用新案登録請求の範囲、第1図−第3図) 実開昭61−119668号公報(実用新案登録請求の範囲、第1図−第4図)
本発明が解決しようとする課題は、弁体の回転角度に対する流量変化を小さくして、弁座の経時劣化による流量変化を抑え、ひいては高耐久で繰り返し精度の高い流量特性を持つボール弁を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、流体の出入口が設けられた弁箱と、この弁箱内に弁座を介して回転可能に保持される球状または半球状の弁体と、この弁体を回転させる弁棒とを備え、前記弁体には、球状面へ開口して流体流路が形成されており、前記流体流路の球状面への開口部の内、少なくとも一つの開口部には、前記弁体の回転方向一方および/または他方へ延出して、切欠溝が形成されており、この切欠溝は、前記球状面から凹んだ底面が、前記開口部の軸線に対し略垂直に形成されていることを特徴とするボール弁である。
請求項1に記載の発明によれば、弁体には、流体流路の球状面への開口部の内、少なくとも一つの開口部に、弁体の回転方向一方および/または他方へ延出して、切欠溝が形成されている。そして、この切欠溝は、球状面から凹んだ底面が、開口部の軸線に対し略垂直に形成されている。この場合、弁箱側の穴(弁座穴)に弁体側の切欠溝のみが開口された状態(たとえば図3において弁体の左下部の状態)では、切欠溝の底面と垂直な断面で見た場合、切欠溝の底面と弁箱側の内面(弁座のシール面等)との間に、(従来技術のように弁体側の主穴を挟むことなく)隙間が形成され、この隙間を介して、弁体側の流路と弁箱側の流路とを連通させることができる。これにより、切欠溝の深さを流量特性に反映させ、弁体の回転角度に対する流量変化を小さくすることができる。また、弁座の経時劣化による流量変化を抑え、高耐久で繰り返し精度の高い流量特性を確保することができる。
請求項2に記載の発明は、前記弁箱には、流入路と、一または複数の流出路とが設けられており、前記流出路には前記弁座が設けられると共に、その弁座には弁座穴が形成されており、この弁座穴に対し開閉される前記弁体の開口部に、前記切欠溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボール弁である。
請求項2に記載の発明によれば、弁体から弁箱への流出側において、弁体の開口部に切欠溝を形成することで、弁体の回転角度に対する流量変化を小さくすることができる。しかも、弁座を合成樹脂により形成する場合でも、剛性のある弁体側に切欠溝を形成することで、精度の高い流量特性を確保することができる。
請求項3に記載の発明は、前記弁体は、球状部を備え、この球状部には、径方向外側へ延出して前記弁棒が設けられており、前記弁体は、前記弁棒の軸線まわりに回転可能に、前記弁箱に保持され、前記球状部の外側から中心部へ向けて入口穴が形成される一方、前記球状部の中心部から球状面へ開口して少なくとも二つの出口穴が形成され、前記各出口穴の開口部に前記切欠溝が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のボール弁である。
請求項3に記載の発明によれば、球状部を備える弁体、この弁体の径方向外側へ延出する弁棒、弁棒の軸線まわりに回転可能に弁体を保持する弁箱を備え、弁体には、中心部へ向けて入口穴が形成される一方、中心部から球状面へ開口して少なくとも二つの出口穴が形成され、各出口穴の開口部に切欠溝が形成されている。このようにして、簡易な構成で多方弁を構成することができる。そして、一つの弁で、複数の供給先に流体を供給することができる。また、弁体には、入口穴ではなく、複数の各出口穴に切欠溝を形成することで、出口穴ごとに所望の流量特性を付与することができる。
請求項4に記載の発明は、前記弁箱には、流入路、第一流出路および第二流出路が設けられ、前記弁体には、前記流入路に連通する入口穴と、この入口穴から前記球状面へ開口する第一出口穴および第二出口穴が設けられ、前記第一流出路に第一弁座が設けられる一方、前記第二流出路に第二弁座が設けられ、前記弁体の各出口穴と前記各弁座の弁座穴とは、前記弁体を正転させた際、下記(a)〜(e)の順に流通状態が切り替わることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のボール弁である。
(a)前記弁体の各出口穴およびこれに連接した切欠溝が、前記各弁座の弁座穴のいずれとも連通しない第一位置。
(b)前記弁体の第一出口穴に連接した切欠溝が、前記第一弁座の弁座穴に開口する第二位置。
(c)前記弁体の第一出口穴が、前記第一弁座の弁座穴に開口する第三位置。
(d)前記弁体の第一出口穴と前記第一弁座の弁座穴との連通状態を維持したまま、前記弁体の第二出口穴に連接した切欠溝が、前記第二弁座の弁座穴に開口する第四位置。
(e)前記弁体の第一出口穴と前記第一弁座の弁座穴との連通状態を維持したまま、前記弁体の第二出口穴が前記第二弁座の弁座穴に開口する第五位置。
請求項4に記載の発明によれば、弁体の各出口穴と各弁座の弁座穴とは、弁体を正転させた際、所定の第一位置、第二位置、第三位置、第四位置および第五位置の順に、流通状態が切り替わる。弁体の出口穴だけでなくそれに連接した切欠溝でも流通状態を調整することで、弁体の回転角度に対する流量変化を小さくすることができる。
請求項5に記載の発明は、前記弁体に前記弁棒が一体成形されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のボール弁である。
請求項5に記載の発明によれば、弁体と弁棒とを一体的に形成することで、弁棒から弁体に、駆動力を正確且つ確実に伝えることができる。また、部品点数の削減を図ることができる。
さらに、請求項6に記載の発明は、前記弁箱には、流入路と、一または複数の流出路とが設けられており、前記流出路には前記弁座が設けられると共に、その弁座には弁座穴が形成されており、前記弁体の開口部は、前記弁座の弁座穴に対し開閉可能とされ、前記弁体の開口部に切欠溝が連接されることに代えて、前記弁座の弁座穴に切欠溝が連接され、前記弁座には、前記弁体への対向面に、前記弁座穴から前記弁体の回転方向一方および/または他方へ延出して、前記切欠溝が形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のボール弁である。
請求項6に記載の発明によれば、弁体ではなく弁座の側に切欠溝を形成して、前記各請求項に記載の発明と同様、弁体の回転角度に対する流量変化を小さくして、弁座の経時劣化による流量変化を抑え、ひいては高耐久で繰り返し精度の高い流量特性を確保することができる。
本発明のボール弁によれば、弁体の回転角度に対する流量変化を小さくして、弁座の経時劣化による流量変化を抑え、ひいては高耐久で繰り返し精度の高い流量特性を確保することができる。
本発明の一実施例のボール弁を示す概略縦断面図である。 図1のX−X断面図であり、ボール弁の第一位置(全閉位置)を示している。 図1のX−X断面図であり、ボール弁の第二位置を示している。 図1のX−X断面図であり、ボール弁の第三位置を示している。 図1のX−X断面図であり、ボール弁の第四位置を示している。 図1のX−X断面図であり、ボール弁の第五位置(全開位置)を示している。 図1のボール弁の弁体を示す概略斜視図であり、弁棒および支軸と共に示している。 図1のボール弁の流量特性の一例を示すグラフであり、横軸は基準位置(全閉位置)からの回転角度、縦軸は流量を示している。
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例のボール弁1を示す概略縦断面図である。また、図2〜図6は、図1のX−X断面図であり、ボール弁1の開閉状況を順に示している。さらに、図7は、図1のボール弁1の弁体2を示す概略斜視図であり、弁棒3および支軸4と共に示している。
以下、説明の便宜上、図1の状態での上下および左右として方向をいうことがある。また、図1の紙面と直交方向を前後方向(手前側を前方)ということがある。但し、これら方向は、ボール弁1の使用時の姿勢を限定する趣旨ではない。
本実施例のボール弁1は、弁箱5に一つの流入路6と、二つの流出路(第一流出路7、第二流出路8)とが設けられた三方弁である。三方弁からなるボール弁1は、流入路6から弁箱5内に流入する流体を、二つの流出路7,8の内、いずれからも流出させないか、一方から流出させるか、双方から流出させるかを切り替える。流体は、特に問わず、各種の液体または気体である。
図1に示すように、本実施例のボール弁1は、流体の出入口(流入路6、第一流出路7、第二流出路8)が設けられた弁箱5と、この弁箱5内に弁座(第一弁座9、第二弁座10)を介して回転可能に保持される球状の弁体2と、この弁体2に設けられた弁棒3と、この弁棒3を回転させる駆動機構11とを備える。
弁箱5は、略矩形のブロック状に形成されており、平面視中央部には、上下方向へ沿って縦貫通穴(13,12,6)が形成されている。縦貫通穴は、上下方向中央部が弁体収容部12とされる。そして、弁体収容部12よりも上方が弁棒挿通穴13とされ、弁体収容部12よりも下方が流入路6とされる。弁棒挿通穴13は、弁箱5の上面に開口する一方、流入路6は、弁箱5の下面に開口する。
弁箱5には、縦貫通穴(13,12,6)と直交して、左右方向へ沿って横貫通穴(7,12,8)が形成されている。横貫通穴は、左右方向中央部が弁体収容部12とされる。そして、弁体収容部12よりも左側が第一流出路7とされ、弁体収容部12よりも右側が第二流出路8とされる。第一流出路7は、弁箱5の左面に開口する一方、第二流出路8は、弁箱5の右面に開口する。
第一流出路7は、概ね次のような構成とされる。すなわち、弁体収容部12の側(つまり右側)が小径穴7a、これとは逆側(つまり左側)が大径穴7bとされた段付き穴に形成されている。そして、大径穴7bの内、段付き部の側(つまり右側)の端部は、ネジ穴7cに形成されている。
第二流出路8は、概ね次のような構成とされる。すなわち、弁体収容部12の側(つまり左側)が小径穴8a、これとは逆側(つまり右側)が大径穴8bとされた段付き穴に形成されている。そして、大径穴8bの内、段付き部の側(つまり左側)の端部は、ネジ穴8cに形成されている。
次に、図1、図2および図7に基づき、弁体2について説明する。弁体2は、球状部を備える。弁体2には、上端部に弁棒3が連接される一方、下端部に支軸4が連接される。弁体2は、球状といっても、上下に弁棒3および支軸4が連接される関係上、厳密には完全な球ではなく略球状である。弁棒3および支軸4は、弁体2の直径方向両端部(上下両端部)に設けられ、同一軸線上に配置される。本実施例では、弁体2、弁棒3および支軸4が、好ましくは一体成形(つまり一つの部品として形成)されている。支軸4付きの弁体2には、流体流路として、入口穴14、第一出口穴15および第二出口穴16が設けられる。
入口穴14は、支軸4の下端面から弁体2の中心部へ向けて、上下方向へ沿って形成されている。第一出口穴15および第二出口穴16は、弁体2の中心部(入口穴14の上端部の周側面)から球状面(外周面)へ開口して形成されている。この際、図示例では、各出口穴15,16は、弁体2の径方向へ延出して形成されている。弁体2の中心部において、入口穴14、第一出口穴15および第二出口穴16は、互いに連通する。
第一出口穴15および第二出口穴16は、その軸線を、図2に示すように、弁体2の上下方向中央部の横断面に配置される。図2は、弁体2の各出口穴15,16が弁箱5の各流出路7,8と連通しない全閉位置を示しているが、この全閉位置において、第一出口穴15は、弁体2の中心部から左前方へ向けて形成される一方、第二出口穴16は、弁体2の中心部から左後方へ向けて形成されている。弁体2の中心部からみて、第一出口穴15の軸線と第二出口穴16の軸線との開き角は、図示例では140度とされている。また、図2において、弁体2の中心からみて、第二流出路8の軸線と第一出口穴15の軸線との開き角は、図示例では118度とされている。
第一出口穴15および第二出口穴16には、それぞれ球状面への開口部に、弁体2の回転方向一方(図2において時計方向)に延出して、切欠溝17,18が形成されている。具体的には、第一出口穴15の開口部には、回転方向一方へ延出して、第一切欠溝17が形成される一方、第二出口穴16の開口部にも、回転方向一方へ延出して、第二切欠溝18が形成される。なお、弁体2の回転方向一方を正転方向(開放方向)といい、これとは逆方向を逆転方向(閉鎖方向)ということがある。
第一切欠溝17が形成された第一出口穴15と、第二切欠溝18が形成された第二出口穴16とは、弁体2に対する形成位置が異なるだけで、同一の構成(形状および大きさ)とされている。各出口穴15,16の軸線と垂直な断面で、各出口穴15,16の開口部(弁体2の球状面への開口部)を見た場合、各切欠溝17,18は球状面から凹んで略矩形状に形成されている。また、図2から分かるように、各切欠溝17,18は、球状面から凹んだ底面17a,18aが、各出口穴15,16の軸線(開口部の軸線)に対し略垂直に形成されている。これにより、各切欠溝17,18を弁体2に、容易かつ正確に形成することができる。
なお、典型的には、各切欠溝17,18の幅寸法(上下方向寸法)は、各出口穴15,16の半径よりも小さく、たとえば各出口穴15,16の直径の20〜40%程度の寸法とされる。本実施例では、たとえば、弁体2の直径が9mm、入口穴14の直径が3.5mm、各出口穴15,16の直径が2mm、各切欠溝17,18の幅が0.6mmとされる。また、弁体2の中心から各切欠溝17,18の底面17a,18aまでの長さ(各出口穴15,16の軸線と平行な寸法)は、たとえば3.8mmとされる。
弁棒3は、球状の弁体2の上部に連接され、弁体2から上方へ延出して設けられる。弁棒3は、丸棒状に形成されている。一方、支軸4は、球状の弁体2の下部に連接され、弁体2から下方へ延出して設けられる。支軸4は、丸棒状に形成されており、本実施例では弁棒3と同一直径(たとえば6mm)に形成されている。弁棒3と支軸4とは、同一軸線上に配置される。支軸4の長さ(弁体2としての球状部からの延出寸法)は、弁棒3の長さ(弁体2としての球状部からの延出寸法)よりも短い。
弁棒3および支軸4が設けられた弁体2は、弁箱5内に収容される。具体的には、弁箱5には、弁体収容部12に弁体2が収容され、その状態では、弁棒挿通穴13に弁棒3が配置される一方、流入路6の上端部に支軸4が配置される。弁箱5への弁体2の取付けは、次のようにして行うことができる。すなわち、弁棒挿通穴13の内径は、弁体2や支軸4等の外径よりも大きく形成されている。そのため、弁棒挿通穴13の上部開口から、支軸4付きの弁体2を下方へ差し込んで、弁体収容部12に弁体2を配置することができる。そして、弁棒挿通穴13に設けられる軸封部19により、弁箱5と弁棒3との隙間が封止される。この状態では、弁棒3は、弁棒挿通穴13を介して、弁箱5の上面よりも上方へ突出する。一方、支軸4は、流入路6の上端部に配置され、弁箱5の下面よりも下方へ突出しない。
本実施例の軸封部19は、アタッチメント20、一対のXリング21、一対のワッシャ22、およびOリング23を備えて構成される。アタッチメント20は、軸線を上下方向へ沿って配置された略円筒状で、上下方向中央部の内周面には径方向内側へ突出して略円環状の仕切りが設けられている。アタッチメント20の内穴には、前記仕切りの上下に、それぞれXリング21がはめ込まれて設けられる。さらに、アタッチメント20の上下には、フッ素樹脂製のワッシャ22が設けられる。アタッチメント20の外周面と弁棒挿通穴13の内周面(より詳細にはこれに設けられたパッキン溝)との間にOリング23を介して、弁棒挿通穴13の所定位置にアタッチメント20がはめ込まれる。そして、弁箱5の上部に設けられる蓋材24により、弁箱5に対し軸封部19が固定される。一方、アタッチメント20、Xリング21およびワッシャ22の内穴には、予め弁棒3が通されている。Xリング21により、弁棒3とアタッチメント20との隙間が封止され、Oリング23により、アタッチメント20と弁箱5との隙間が封止される。
弁棒3は、弁箱5の上部(より詳細には前記蓋材24)に配置されたベアリング25を介して、さらに上方へ延出する。弁箱5の上部には、適宜のフレーム材26を介して、駆動機構11が保持される。駆動機構11は、本実施例では、ステッピングモータを備えて構成される。駆動機構11の回転出力は、減速機構27を介して出力軸28に伝達される。出力軸28と弁棒3とは、同一軸線上に配置され、カップリング29を介して接続される。これにより、駆動機構11の出力を弁棒3に伝えて、弁体2を正転または逆転することができる。
前述したように、弁体2から上方へ延出する弁棒3は、軸封部19およびベアリング25を介して、弁箱5に回転可能に保持される。これに加えて、弁体2から下方へ延出する支軸4も、所望により、弁箱5に回転可能に保持することもできる。その場合、弁体2の上下を、弁箱5に両持ち状態で保持することが可能となる。
弁箱5の第一流出路7の小径穴7aには、第一弁座9が設けられる。第一弁座9は、略円筒状で、軸線を左右方向へ沿って配置される。第一弁座9の弁座穴(中空穴)9aは、図示例では段付き穴に形成されており、大径穴を弁体2側へ向けて配置される。第一弁座9は、右側の先端面が弁体2の球状面に押し当てられて、シール面として機能する。第一弁座9の外周面には、円環状にパッキン溝が形成されており、このパッキン溝にはOリング30がはめ込まれる。このOリング30により、第一弁座9の外周面と弁箱5の第一流出路7(小径穴7a)の内周面との隙間が封止される。
第一弁座9は、第一付勢手段としての第一コイルバネ31により、弁体2へ付勢される。第一コイルバネ31は、圧縮された状態で、第一弁座9と第一バネ押え32との間に保持される。第一バネ押え32は、略短円柱状に形成され、軸線を左右方向へ沿って配置される。第一バネ押え32には、軸線に沿って貫通穴(符号省略)が形成されており、その貫通穴は、右側が大径穴とされており、この大径穴に第一コイルバネ31の基端部がはめ込まれる。弁箱5の第一流出路7の小径穴7aに第一弁座9および第一コイルバネ31の先端部を配置した状態で、ネジ穴7cに第一バネ押え32をねじ込んで固定すればよい。これにより、第一コイルバネ31により第一弁座9が弁体2側へ付勢される。
弁箱5の第二流出路8の小径穴8aには、第二弁座10が設けられる。第二弁座10は、略円筒状で、軸線を左右方向へ沿って配置される。第二弁座10の弁座穴(中空穴)10aは、図示例では段付き穴に形成されており、大径穴を弁体2側へ向けて配置される。第二弁座10は、左側の先端面が弁体2の球状面に押し当てられて、シール面として機能する。第二弁座10の外周面には、円環状にパッキン溝が形成されており、このパッキン溝にはOリング33がはめ込まれる。このOリング33により、第二弁座10の外周面と弁箱5の第二流出路8(小径穴8a)の内周面との隙間が封止される。
第二弁座10は、第二付勢手段としての第二コイルバネ34により、弁体2へ付勢される。第二コイルバネ34は、圧縮された状態で、第二弁座10と第二バネ押え35との間に保持される。第二バネ押え35は、略短円柱状に形成され、軸線を左右方向へ沿って配置される。第二バネ押え35には、軸線に沿って貫通穴(符号省略)が形成されており、その貫通穴は、左側が大径穴とされており、この大径穴に第二コイルバネ34の基端部がはめ込まれる。弁箱5の第二流出路8の小径穴8aに第二弁座10および第二コイルバネ34の先端部を配置した状態で、ネジ穴8cに第二バネ押え35をねじ込んで固定すればよい。これにより、第二コイルバネ34により第二弁座10が弁体2側へ付勢される。
なお、本実施例では、弁棒3および支軸4付きの弁体2は、金属製(たとえば銅合金製)である。また、弁箱5、各コイルバネ31,34および各バネ押え32,35も金属製である。一方、各弁座9,10は、合成樹脂製(たとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製)である。
ボール弁1は、さらに、位置検出部36を備える。位置検出部36は、切欠きが形成された略扇形(または円形)の回転板37と、この回転板37を挟むように発光素子と受光素子とが設けられる光透過検出部38と、この光透過検出部38からの検出信号に基づき基準位置(原点)を判定する制御器(符号省略)とを備える。
回転板37は、弁棒3に対しツバ状に径方向外側へ延出して設けられ、弁棒3と一体回転する。回転板37には、周方向中途部に、径方向へ沿って切欠き(図示省略)が形成されている。光透過検出部38は、たとえばフォトインタラプタから構成される。制御器は、光透過検出部38による回転板37の切欠き(より詳細にはその縁部)の検出により、弁体2の基準位置を判定する。基準位置とは、典型的には全閉位置(弁体2の各出口穴15,16および各切欠溝17,18が弁箱5の各流出路7,8のいずれとも連通しない状態)とされる。制御器は、全閉位置を基準として、駆動回路を介して駆動機構11(ステッピングモータ)にパルスを与えることで、弁棒3ひいては弁体2を、所望方向に所望量だけ回転させることができる。
次に、本実施例のボール弁1の動作について説明する。
いま、ボール弁1が全閉位置(第一位置)にあるとして、弁体2を正転させると、下記の第一位置から第五位置まで、順に流通状態が切り替わる。逆に、ボール弁1が全開位置(第五位置)にあるとして、弁体2を逆転させると、第五位置から第一位置まで、順に流通状態が切り替わる。もちろん、ボール弁1を全閉位置から中途(たとえば第三位置)まで開放した後、再び全閉位置まで戻すなど、適宜に開閉制御可能である。以下、第一位置から第五位置までの各位置について、説明する。
≪第一位置≫
第一位置では、図2に示すように、弁体2の各出口穴15,16およびこれに連接した切欠溝17,18は、各弁座9,10の弁座穴9a,10aのいずれとも連通しない。つまり、第一出口穴15は、球状面への開口部(言い換えれば弁体2の中心からの第一出口穴15の軸線)を左前方へ向けて配置され、第一弁座9の弁座穴9a(および第二弁座10の弁座穴10a)とは連通しない。この際、第一出口穴15に連接された第一切欠溝17も、第一弁座9の弁座穴9a(および第二弁座10の弁座穴10a)には開口しない。
一方、第二出口穴16は、球状面への開口部(言い換えれば弁体2の中心からの第二出口穴16の軸線)を左後方へ向けて配置され、第二弁座10の弁座穴10a(および第一弁座9の弁座穴9a)とは連通しない。この際、第二出口穴16に連接された第二切欠溝18も、第二弁座10の弁座穴10a(および第一弁座9の弁座穴9a)には開口しない。第一位置から弁体2を時計方向へ正転させると、第二位置、第三位置、第四位置および第五位置へと順に移行する。
≪第二位置≫
第二位置では、図3に示すように、弁体2の第一出口穴15に連接した第一切欠溝17の少なくとも一部が、第一弁座9の弁座穴9aに開口する。つまり、第一弁座9の弁座穴9aに対して、第一切欠溝17のみが開口する。弁体2を正転させるに従って、第一切欠溝17は、第一弁座9の弁座穴9aへの開口面積を拡大させる。但し、第二位置では、第一出口穴15の開口部(第一出口穴15の軸線に沿った球状面への開口部)は、第一弁座9の弁座穴9aには開口しない。また、第二出口穴16および第二切欠溝18は、第二弁座10の弁座穴10aには開口しない。
≪第三位置≫
第三位置では、図4に示すように、弁体2の第一出口穴15の開口部(第一出口穴15の軸線に沿った球状面への開口部)の少なくとも一部が、第一弁座9の弁座穴9aに開口する。弁体2を正転させるに従って、第一出口穴15は、第一弁座9の弁座穴9aへの開口面積を拡大させる。但し、第三位置では、第二出口穴16および第二切欠溝18は、第二弁座10の弁座穴10aには開口しない。本実施例では、第一出口穴15の全部が第一弁座9の弁座穴9aに開口すると、第四位置へ移行する。
≪第四位置≫
第四位置では、図5に示すように、弁体2の第一出口穴15と第一弁座9の弁座穴9aとの連通状態を維持したまま、弁体2の第二出口穴16に連接した第二切欠溝18の少なくとも一部が、第二弁座10の弁座穴10aに開口する。つまり、第二弁座10の弁座穴10aに対して、第二切欠溝18のみが開口する。弁体2を正転させるに従って、弁体2の第一出口穴15と第一弁座9の弁座穴9aとの連通状態を維持したまま、第二切欠溝18は、第二弁座10の弁座穴10aへの開口面積を拡大させる。但し、第四位置では、第二出口穴16の開口部(第二出口穴16の軸線に沿った球状面への開口部)は、第二弁座10の弁座穴10aには開口しない。
≪第五位置≫
第五位置では、図6に示すように、弁体2の第一出口穴15と第一弁座9の弁座穴9aとの連通状態を維持したまま、弁体2の第二出口穴16の開口部(第二出口穴16の軸線に沿った球状面への開口部)の少なくとも一部が、第二弁座10の弁座穴10aに開口する。弁体2を正転させるに従って、弁体2の第一出口穴15と第一弁座9の弁座穴9aとの連通状態を維持したまま、第二出口穴16は、第二弁座10の弁座穴10aへの開口面積を拡大させる。そして、最終的には、第一弁座9の弁座穴9aに第一出口穴15を全開すると共に、第二弁座10の弁座穴10aに第二出口穴16を全開した状態とされる。この状態がボール弁1としての全開位置となる。一方、弁体2を逆転させれば、第五位置から第一位置まで順に移行して、ボール弁1を全閉位置まで閉めることができる。
なお、第四位置および第五位置では、弁体2の第一出口穴15と第一弁座9の弁座穴9aとの連通状態を維持したまま、第二切欠溝18や第二出口穴16が第二弁座10の弁座穴10aに対して開度を変更する。この間、弁体2が回転しても、弁体2の第一出口穴15と第一弁座9の弁座穴9aとの連通状態を維持するために、各弁座9,10の弁座穴9a,10aは、弁体2側を大径穴に形成されている。
図8は、本実施例のボール弁1の流量特性の一例を示すグラフであり、横軸は基準位置(全閉位置)からの回転角度D、縦軸は流量Qを示している。同図において、左側の実線Aは、第一流出路7からの流量(第一出口穴15から第一弁座9の弁座穴9aへの流出流量)を示し、右側の実線Bは、第二流出路8からの流量(第二出口穴16から第二弁座10の弁座穴10aへの流出流量)を示している。また、各二点鎖線Y,Zは、各出口穴15,16の開口部に切欠溝17,18がない場合を比較例として示している。
この図からも分かるように、全閉位置(第一位置)から弁体2を回転させると、まずは、第一流出路7からの流出流量に関し、左側の実線Aの略下半分に示すように流量が変化し(第二位置)、その後、同実線Aの略上半分に示すように流量が変化する(第三位置)。つまり、第一弁座9の弁座穴9aに第一切欠溝17さらには第一出口穴15が順次に開口して、徐々に流量が増すことになる。そして、第一流出路7からの流出流量が所定まで高まった後、第二流出路8からの流出流量に関し、右側の実線Bの略下半分に示すように流量が変化し(第四位置)、その後、同実線Bの略上半分に示すように流量が変化する(第五位置)。つまり、第二弁座10の弁座穴10aに第二切欠溝18さらには第二出口穴16が順次に開口して、徐々に流量が増すことになる。そして、第二流出路8からの流出流量も所定まで高まることになる。
このようにして、流入路6からの流体をまずは第一流出路7から流出させ、その後、第二流出路8からも流出させることができる。この際、二点鎖線Y,Zで示す比較例のように、仮に切欠溝17,18がなければ、弁体2の回転角度に対する流量変化が大きく(グラフの傾きが急に)なり、流量調整が困難であるが、実線A,Bで示す本願発明によれば、切欠溝17,18を形成することで、弁体2の回転角度に対する流量変化が小さく(グラフの傾きが穏やかに)なり、流量調整が容易になる。
切欠溝17,18の作用効果について、さらに具体的に説明すると、次のとおりである。まず、前提として、前述したとおり、本実施例の弁体2には、流体流路の球状面への開口部に、弁体2の回転方向一方へ延出して、切欠溝17,18が形成されている。そして、この切欠溝17,18は、球状面から凹んだ底面17a,18aが、開口部の軸線に対し略垂直に形成されている。この場合、たとえば図3に示すように、第一弁座9の弁座穴9aに第一切欠溝17のみが開口された状態では、第一切欠溝17の底面17aと垂直な断面で見た場合、第一切欠溝17の底面17aと弁箱5側の内面(図示例では第一弁座9のシール面)との間に、第一出口穴15の軸線とは略垂直な隙間(通路)が形成され、この隙間を介して、弁体2の第一出口穴15と第一弁座9の弁座穴9a(弁箱5の第一流出路7)とを連通させることができる。これにより、第一切欠溝17の深さを流量特性に反映させ、弁体2の回転角度に対する流量変化を小さくすることができる。
第二弁座10の弁座穴10aと弁体2の第二切欠溝18との関係も、第一弁座9の弁座穴9aと弁体2の第一切欠溝17との関係と同様である。すなわち、図5に示すように、第二弁座10の弁座穴10aに第二切欠溝18のみが開口された状態では、第二切欠溝18の底面18aと垂直な断面で見た場合、第二切欠溝18の底面18aと弁箱5側の内面(図示例では第二弁座10のシール面)との間に、第二出口穴16の軸線とは略垂直な隙間(通路)が形成され、この隙間を介して、弁体2の第二出口穴16と第二弁座10の弁座穴10a(弁箱5の第二流出路8)とを連通させることができる。これにより、第二切欠溝18の深さを流量特性に反映させ、弁体2の回転角度に対する流量変化を小さくすることができる。
しかも、各切欠溝17,18は、各出口穴15,16の軸線に対し略垂直に形成されているので、切欠溝17,18の先端部(時計方向端部)から基端側(出口穴15,16側)へ行くに従って比例的に溝の深さが深くなることになる。従って、たとえば第二位置では、弁体2を回転させるに従って、前記隙間(第一切欠溝17の底面17aと第一弁座9のシール面との隙間)が徐々に大きくなると共に、第一弁座9の弁座穴9aへの第一切欠溝17の開口面積が増すことになる。これにより、弁体2の回転角度に対して、流量を比例的に増減することができる。しかも、弁体2の回転角度に対して切欠溝17の溝深さの変化は小さいため、弁体2の回転角度に対する流量変化を小さくすることができる。このことは、第四位置における第二切欠溝18と第二弁座10との関係についても同様である。
このように、本実施例では、弁体2には、流体流路の球状面への開口部に、弁体2の回転方向へ延出して切欠溝17,18が形成されている。しかも、その切欠溝17,18は、球状面から凹んだ底面17a,18aが、開口部の軸線に対し略垂直に形成される。切欠溝17,18の深さを流量特性に反映させ、弁体2の回転角度に対する流量変化を小さくすることができる。そのため、弁座9,10の経時劣化による流量変化を抑え、高耐久で繰り返し精度の高い流量特性を確保することができる。各出口穴15,16の他、各切欠溝17,18の幅や深さを変更したり、駆動機構11(ステッピングモータ)の回転速度を変えたりして、所望の流量特性を得ることができる。
本実施例のボール弁1によれば、前述したとおり、全閉位置から弁体2を正転させるに伴い、流入路6からの流体を、まずは第一流出路7から流出させた状態とでき、さらに、第二流出路8からも流出させた状態とできる。これを利用して、たとえば、油焚きボイラの燃焼状態の切替えに用いることができる。この場合、バーナには、本実施例のボール弁1を介して燃料が供給されると共に、別途、電磁弁を介しても燃料が供給可能とされる。ボール弁1および電磁弁を閉じた状態では、バーナの停止状態、電磁弁を開けた状態では低燃焼状態、電磁弁を開けたままボール弁1の第一流出路7を開けた状態では中燃焼状態、さらに第二流出路8も開けた状態では高燃焼状態とできる。低燃焼状態から中燃焼状態への移行時、および中燃焼状態から高燃焼状態への移行時、各出口穴15,16に連接した切欠溝17,18の作用により、燃焼状態の悪化を防止することができる。特に比例的に流量を変更すれば、燃焼状態の移行を円滑に図ることができる。
なお、前記実施例では、文字通り、流入路6から流体を流入させ、一方または双方の流出路7,8から流体を流出させる例を示したが、場合により、これとは逆方向に流体を流して使用することもできる。つまり、用途によっては、流出路7,8を流入口として用い、流入路6を流出口として用いてもよい。
本発明のボール弁1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、(a)流体の出入口6〜8が設けられた弁箱5と、この弁箱5内に弁座9,10を介して回転可能に保持される球状または半球状の弁体2と、この弁体2を回転させる弁棒3とを備え、(b)弁体2には、球状面へ開口して流体流路14〜16が形成されており、(c)流体流路14〜16の球状面への開口部15,16の内、少なくとも一つの開口部には、弁体2の回転方向一方および/または他方へ延出して、切欠溝17,18が形成されており、(d)この切欠溝17,18は、球状面から凹んだ底面17a,18aが、開口部の軸線に対し略垂直に形成されているのであれば、その他の構成は、適宜に変更可能である。
たとえば、弁体2に切欠溝17(18)付きの出口穴15(16)を複数設ける場合でも、それぞれ同一の構成(形状および大きさ)としたが、互いに異なる構成としてもよい。出口穴ごとに穴や溝の形状を変えることで、流量特性を変えることができる。また、場合により、一部の出口穴への切欠溝の形成を省略してもよい。
また、前記実施例では、弁体2の各出口穴15,16には、弁体2の回転方向一方に切欠溝17,18を連接したが、これに代えてまたはこれに加えて、弁体2の回転方向他方に切欠溝17,18を連接してもよい。切欠溝17,18の形成方向を変えることで、弁体2の閉鎖時にも緩やかな流量変化を実現したり、あるいは、弁体2を反時計方向へ回転させることでボール弁1を開放する構成にも適用したりすることができる。
また、前記実施例において、弁体2に形成する入口穴14、第一出口穴15および第二出口穴16の他、弁箱5に形成する流入路6、第一流出路7および第二流出路8は、形成する位置や個数を適宜に変更可能である。たとえば、前記実施例では、ボール弁1を三方弁としたが、二方弁、または四つ以上の開口部を有する多方弁としてもよい。二方弁とする場合、第二出口穴16や第二流出路8の設置を省略すればよい。あるいは、弁体2に径方向(左右方向)への貫通穴を設けて、一方の開口部を入口穴14、他方の開口部を出口穴15とすればよい。そして、出口穴15および/または入口穴14に、弁体2の回転方向一方および/または他方へ延出して、切欠溝17,18を形成すればよい。一方、たとえば四以上の多方弁とするには、それに応じて、出口穴の数を増加させればよい。そして、各出口穴の開口部には、切欠溝17,18を形成するのが好ましい。
また、前記実施例では、弁体2は、略球状とされたが、場合により、略半球状とされてもよい。その場合も、球状面への開口部に、切欠溝17,18を形成することができる。
また、前記実施例では、弁体2、弁棒3および支軸4を、一体形成したが、場合により、別部品として構成して、ねじ込みなどにより一体化してもよい。あるいは、前記実施例において、支軸4は、必須ではない。支軸4を省略する場合、球状の弁体2の下方へ開口して、入口穴14を形成すればよい。
さらに、前記実施例では、弁体2の流体流路の開口部に切欠溝17,18を形成したが、場合により、弁箱5側(より詳細には弁座9,10側)に切欠溝17,18を形成してもよい。つまり、弁体2の開口部に切欠溝17,18が連接されることに代えて、弁座9,10の弁座穴9a,10aに切欠溝17,18が連接されてもよい。その際、弁座9,10には、弁体2への対向面(弁体2の球状部を受ける略球状のシール面)に、弁座穴9a,10aから弁体2の回転方向一方および/または他方へ延出して、前記実施例と同様に切欠溝17,18を形成すればよい。
1 ボール弁
2 弁体
3 弁棒
4 支軸
5 弁箱
6 流入路
7 第一流出路(7a:小径穴、7b:大径穴、7c:ネジ穴)
8 第二流出路(8a:小径穴、8b:大径穴、8c:ネジ穴)
9 第一弁座(9a:弁座穴)
10 第二弁座(10a:弁座穴)
11 駆動機構
12 弁体収容部
13 弁棒挿通穴
14 入口穴
15 第一出口穴
16 第二出口穴
17 第一切欠溝(17a:底面)
18 第二切欠溝(18a:底面)
19 軸封部
20 アタッチメント
21 Xリング
22 ワッシャ
23 Oリング
24 蓋材
25 ベアリング
26 フレーム材
27 減速機構
28 出力軸
29 カップリング
30 Oリング
31 第一コイルバネ
32 第一バネ押え
33 Oリング
34 第二コイルバネ
35 第二バネ押え
36 位置検出部
37 回転板
38 光透過検出部

Claims (6)

  1. 流体の出入口が設けられた弁箱と、この弁箱内に弁座を介して回転可能に保持される球状または半球状の弁体と、この弁体を回転させる弁棒とを備え、
    前記弁体には、球状面へ開口して流体流路が形成されており、
    前記流体流路の球状面への開口部の内、少なくとも一つの開口部には、前記弁体の回転方向一方および/または他方へ延出して、切欠溝が形成されており、
    この切欠溝は、前記球状面から凹んだ底面が、前記開口部の軸線に対し略垂直に形成されている
    ことを特徴とするボール弁。
  2. 前記弁箱には、流入路と、一または複数の流出路とが設けられており、
    前記流出路には前記弁座が設けられると共に、その弁座には弁座穴が形成されており、
    この弁座穴に対し開閉される前記弁体の開口部に、前記切欠溝が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のボール弁。
  3. 前記弁体は、球状部を備え、この球状部には、径方向外側へ延出して前記弁棒が設けられており、
    前記弁体は、前記弁棒の軸線まわりに回転可能に、前記弁箱に保持され、
    前記球状部の外側から中心部へ向けて入口穴が形成される一方、前記球状部の中心部から球状面へ開口して少なくとも二つの出口穴が形成され、
    前記各出口穴の開口部に前記切欠溝が形成されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のボール弁。
  4. 前記弁箱には、流入路、第一流出路および第二流出路が設けられ、
    前記弁体には、前記流入路に連通する入口穴と、この入口穴から前記球状面へ開口する第一出口穴および第二出口穴が設けられ、
    前記第一流出路に第一弁座が設けられる一方、前記第二流出路に第二弁座が設けられ、
    前記弁体の各出口穴と前記各弁座の弁座穴とは、前記弁体を正転させた際、下記(a)〜(e)の順に流通状態が切り替わる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のボール弁。
    (a)前記弁体の各出口穴およびこれに連接した切欠溝が、前記各弁座の弁座穴のいずれとも連通しない第一位置。
    (b)前記弁体の第一出口穴に連接した切欠溝が、前記第一弁座の弁座穴に開口する第二位置。
    (c)前記弁体の第一出口穴が、前記第一弁座の弁座穴に開口する第三位置。
    (d)前記弁体の第一出口穴と前記第一弁座の弁座穴との連通状態を維持したまま、前記弁体の第二出口穴に連接した切欠溝が、前記第二弁座の弁座穴に開口する第四位置。
    (e)前記弁体の第一出口穴と前記第一弁座の弁座穴との連通状態を維持したまま、前記弁体の第二出口穴が前記第二弁座の弁座穴に開口する第五位置。
  5. 前記弁体に前記弁棒が一体成形された
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のボール弁。
  6. 前記弁箱には、流入路と、一または複数の流出路とが設けられており、
    前記流出路には前記弁座が設けられると共に、その弁座には弁座穴が形成されており、
    前記弁体の開口部は、前記弁座の弁座穴に対し開閉可能とされ、
    前記弁体の開口部に切欠溝が連接されることに代えて、前記弁座の弁座穴に切欠溝が連接され、
    前記弁座には、前記弁体への対向面に、前記弁座穴から前記弁体の回転方向一方および/または他方へ延出して、前記切欠溝が形成される
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のボール弁。
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