JP2021045986A - 車両用空調装置 - Google Patents

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賢吾 福永
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Kiyokazu Akiyama
清和 秋山
喜啓 木田
Yoshihiro Kida
喜啓 木田
正義 佐竹
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辰吾 清水
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Kazufumi Yomo
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Abstract

【課題】対象物である人の位置に関連して空気の流れを調整するための新規な手法を提供する。【解決手段】車両用空調装置が、車両においてイオンを供給する以外の用途で空気を対象空間に搬送する搬送部(1)と、前記対象空間において帯電している対象物の位置に関連して前記空気の流れを調整するよう、前記空気を帯電させる空気帯電化部(2と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用空調装置に関するものである。
特許文献1には、車両のシート下から送風された空気をシートクッションの吸込部からブロアの吸引力で吸引することで、乗員の体を包み込むような気流を形成する車両用空調装置が開示されている。
特開2017−178274号公報
A.P. Kuryachii, et. al., "Turbulent Skin Friction Reduction owing to Electrohydrodynamic Interaction in Unipolar Charged Fluid," 27TH INTERNATIONAL CONGRESS OF THE AERONAUTICAL SCIENCES, 2010
しかし、本発明者の検討によれば、特許文献1のように、対象物である人の位置に関連して空気の流れを調整する場合に、ブロアの吸引力を利用する以外の方法があれば好ましい。
本発明は上記点に鑑み、対象物である人の位置に関連して空気の流れを調整するための新規な手法を提供することを第1の目的とする。また、車両の車室内と車外との間で熱交換を行わせる構造物に、車室内における気流または車外における気流が近付きにくくすることで、車外と車室内の間の熱伝導を抑えることを、第2の目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両においてイオンを供給する以外の用途で空気を対象空間に搬送する搬送部(1)と、前記対象空間において帯電している対象物の位置に関連して前記空気の流れをクーロン力で調整するよう、前記空気を帯電させる空気帯電化部(2)と、を有する車両用空調装置である。
このように、対象空間において対象物が帯電している場合において、対象空間に搬送される空気を帯電させるという新規な手法により、クーロン力を利用して、対象物の位置に関連して空気の流れを調整することができる。
また、請求項29に記載の発明は、車両の車室内と車外との間で熱交換を行わせる構造物(45)を、前記車室内において気流として流れる空気の帯電の極性と同じ極性で、帯電させる構造物帯電化部(47)を備えた車両用空調装置である。
このようにすることで、クーロン力により、気流が構造物に近づきにくくなる。これにより、構造物と気流の接触量および接触頻度が低下し、車外と車室内の間の熱伝導を抑えることができる。
また、請求項34に記載の発明は、車両の車室内と車外との間で熱交換を行わせる構造物(45)を、前記車外における空気の帯電の極性と同じ極性で帯電させる帯電化部(47)を備えた車両用空調装置である。
/*このようにすることで、クーロン力により、車室外の空気が構造物に近づきにくくなる。これにより、構造物と車室外の空気の接触量および接触頻度が低下し、車外と車室内の間の熱伝導を抑えることができる。*/
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係る空調装置の構成図である。 空気、対象物、構造部の間の電位差の関係を示すグラフである。 第2実施形態に係る空調装置の構成図である。 第3実施形態に係る空調装置の構成図である。 第1制御部の処理の内容を示すフローチャートである。 第4実施形態に係る空気帯電化部の構成を示す図である。 第5実施形態に係る空調装置の構成図である。 第1制御部の処理の内容を示すフローチャートである。 第6実施形態に係る空調装置の構成図である。 第1制御部および第2制御部の処理の内容を示すフローチャートである。 第7実施形態に係る空調装置の構成図である。 電圧印加時における一方側電極と他方側電極の電圧を示すグラフである。 第8実施形態に係る空調装置の構成図である。 第9実施形態の電圧印加時における一方側電極と他方側電極の電圧を示すグラフである。 第10実施形態の電圧印加時における一方側電極と他方側電極の電圧を示すグラフである。 第11実施形態に係る空調装置の構成図である。 第12実施形態に係る座席およびその周辺の平面図である。 図17のXVIII矢視図である。 空気を帯電させた場合と帯電させない場合における測定点毎の温度を示すグラフである。 第13実施形態に係る空調装置の構成図である。 制御部の処理の内容を示すフローチャートである。 第14実施形態における制御部の処理の内容を示すフローチャートである。 第15実施形態に係る実験環境の構成図である。 図24のXXIV矢視図である。 空気を帯電させた場合と帯電させない場合における測定点毎の温度を示すグラフである。 第16実施形態に係る空調装置の構成図である。 第17実施形態に係る空調装置の構成図である。 第18実施形態に係る空調装置の構成図である。 第19実施形態に係る空調装置の構成図である。 第20実施形態に係る空調装置の構成図である。 第21実施形態に係る空調装置の構成図である。 実施例を示すグラフである。 第22実施形態に係る空調装置の構成図である。 第23実施形態に係る空調装置の構成図である。 第24実施形態に係る空調装置の構成図である。 第25実施形態に係る構造物帯電化部および構造物を示す図である。 第26実施形態に係る構造物帯電化部および構造物を示す図である。 第27実施形態に係る空調装置の構成図である。 制御部が実行する処理のフローチャートである。 車両旋回時の慣性力とクーロン力の関係を示す図である。 第28実施形態に係る空調装置の構成図である。 第29実施形態に係る空調装置の構成図である。 第30実施形態に係る空調装置の構成図である。 第31実施形態に係る空調装置の構成図である。 制御部が実行する処理のフローチャートである。 電極への電圧印加スケジュールを示すタイミング図である。 ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である 第32実施形態における電極への電圧印加スケジュールを示すタイミング図である。 ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である 第33実施形態における電極への電圧印加スケジュールを示すタイミング図である。 ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である ある時点における電極の帯電状態と帯電した空気の位置を示す図である
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の車両用空調装置は、車両に搭載され、搬送部1、空気帯電化部2、第1制御部3、対象帯電化部4、第2制御部5を有している。
搬送部1が対象空間に搬送する空気を空気帯電化部2が帯電させ、対象空間内の対象物11を対象帯電化部4が当該空気とは逆の極性に帯電させることで、クーロン力によって空気が対象物11に吸引される。
搬送部1は、空気を対象空間に気流として搬送する。本実施形態における対象空間は、車両の内部空間であり、より具体的には、車室内の空間である。搬送部1は、インストルメントパネル、座席、座席周辺、および天井のうちいずれか1つ以上に形成された吹出口から、対象空間に空気を吹き出す。空気を吹き出すための機構としては、例えば、不図示の送風ファンが用いられてもよいし、他の機構が用いられてもよい。
搬送部1の用途は、例えば、車室内の暖房、冷房等の温度調整であってもよい。この場合、搬送部1によって搬送される空気は、例えば冷凍サイクルの冷媒と熱交換して温度が低下した冷風であってもよいし、また例えばエンジン冷却水、電気ヒータ等の熱源によって加熱された温風であってもよい。
あるいは、搬送部1の用途は、車室内の加湿、除湿等の湿度調整であってもよい。この場合、搬送部1によって搬送される空気は、例えば不図示の加湿装置によって加湿された空気であってもよいし、また例えば不図示の除湿装置によって除湿された空気であってもよい。
あるいは、搬送部1の用途は、車室内の乗員に香りを届けることであってもよい。この場合、搬送部1によって搬送される空気は、例えば不図示の芳香成分を含む空気であってもよい。この芳香成分は、例えば、超音波振動を利用して芳香成分を含んだエアロゾルを噴出する装置によって空気に加えられてもよい。
搬送部1の用途は、対象空間にイオンを供給する用途以外の空調に関するものであれば、どのようなものであってもよい。なお、搬送部1の用途は複数であってもよい。例えば、車室内の温度調整用途と、対象空間にイオンを供給する用途の両方に、搬送部1が用いられてもよい。この場合でも、搬送部1は、イオンを供給する以外の用途(すなわち、温度調整用途)で空気を対象空間に搬送することになる。
このように、搬送部1に搬送される空気は、香り付き風、温風、冷風等、等、所定の機能を備えた成分を対象に届けるための空気である。そして、その機能は、イオンを供給する機能以外の機能である。
空気帯電化部2は、搬送部1によって対象空間に搬送される空気を正または負に帯電させる。空気帯電化部2は、搬送部1に対象空間に搬送される途中の空気を帯電させてもよい。その場合、空気帯電化部2は、吹出口に繋がるダクト内における搬送部1の空気流れ下流側に配置されていてもよい。あるいは、空気帯電化部2は、搬送部1に搬送される前の空気を帯電させてもよい。その場合、空気帯電化部2は、吹出口に繋がるダクト内における搬送部1の空気流れ上流側に配置されていてもよい。
空気帯電化部2が空気を帯電させる方法は、空気に正イオンまたは負イオンを混入させる方法でもよいし、空気を正または負にイオン化させる方法でもよい。空気帯電化部2が空気を帯電させるのは、帯電化によって発生するクーロン力を利用して対象空間内の対象物11に対して空気を近づけるためである。
対象物11は、例えば車両の乗員である。この乗員は、車室内で座席に座っていてもよいし、大型車(例えばバス)の車室内で立っていてもよい。また、対象物11は、人に限らず、対象空間にある物であれば、何でもよい。
第1制御部3は、空気帯電化部2の作動を制御する装置である。第1制御部3は、例えば処理装置であるCPU、書き込み可能な揮発性の記憶媒体であるRAM、書き込み不可能な不揮発性の記憶媒体であるROM、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体であるフラッシュメモリ等を備えている。CPUは、ROM、フラッシュメモリに記録されたプログラムを実行することで、後述する空気帯電化部2の制御を実現する。そしてCPUは、その処理において、RAM、フラッシュメモリを作業領域として使用する。以下、このCPUが行う制御を、第1制御部3が行う制御として説明する。なお、RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。
より具体的には、第1制御部3は、空気帯電化部2の作動、非作動を制御すると共に、空気帯電化部2が空気を帯電させときの電気的な極性、および、各極性における帯電化の程度を、制御することが可能である。
例えば、空気帯電化部2がコロナ放電等の空気放電によって空気を帯電させる場合、第1制御部3は、空気帯電化部2の放電電圧の正負で極性を制御してもよい。そして、放電電圧の絶対値によって帯電化の程度を制御してもよい。
対象帯電化部4は、対象空間内にある対象物11を正または負に帯電させる。帯電の極性は、空気帯電化部2によって帯電する空気の極性の逆である。対象帯電化部4は、対象物11にイオンを吹き付ける帯電ガンであってもよい。あるいは、対象帯電化部4は、対象物11に近接して配置された電極と、その電極に電圧を印加する電源とを有していてもよい。
また、対象帯電化部4は、対象物11に電気的に接触および接続してもよいし、電場などで間接的に対象物11の電荷を制御し帯電させてもよい。
第2制御部5は、対象帯電化部4の作動を制御する装置である。対象帯電化部4は、例えば処理装置であるCPU、書き込み可能な揮発性の記憶媒体であるRAM、書き込み不可能な不揮発性の記憶媒体であるROM、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体であるフラッシュメモリ等を備えている。CPUは、ROM、フラッシュメモリに記録されたプログラムを実行することで、後述する対象帯電化部4の制御を実現する。そしてCPUは、その処理において、RAM、フラッシュメモリを作業領域として使用する。以下、このCPUが行う制御を、第2制御部5が行う制御として説明する。なお、RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。
より具体的には、第2制御部5は、対象帯電化部4の作動、非作動を制御すると共に、対象帯電化部4が対象物11を帯電させるときの電気的な極性、および、各極性における帯電化の程度を、制御することが可能である。
以下、上記のような構成の車両用空調装置の作動について説明する。搬送部1は、上述の通りの用途で空気を対象空間に搬送する。第1制御部3は、空気帯電化部2を制御して、搬送部1によって搬送される空気を所定の極性で帯電させる。これにより、搬送部1と空気帯電化部2の作用により、所定の極性に帯電した空気が、上述の吹出口から対象空間内に吹き出される。所定の極性は、固定でもよいし、変動してもよい。図1の例では、空気は、負に帯電している。
また、それと同時に、第2制御部5は、対象帯電化部4を制御して、対象物11を帯電させる。この帯電の極性は、空気帯電化部2によって帯電した空気の極性とは逆の極性である。図1の例では、対象物11は、正に帯電している。
これにより、搬送部1によって吹出口から吹き出された空気が、対象物11との間のクーロン力により、対象物11に吸引される。このとき、空気と対象物11の間に電位差がある。なお、空気帯電化部2によって帯電するのは、搬送部1によって搬送される全分子ではなく、その一部の分子のみである。しかし、帯電しなかった分子も、帯電した分子がクーロン力で移動する際には、帯電した分子に付勢されることにより、帯電した分子と共に一団となって、対象物11に向かって移動する。
このようになっていることで、搬送部1から対象空間に吹き出された空気の拡散を抑制しながら、空気を対象物11に近づけることができる。また、対象物11が帯電すると、対象物11の周辺の構造物12と対象物11の間に電位差が発生する。したがって、対象物11と逆の極性で帯電した空気を対象物11が周辺の構造物12よりも優先的に引き付けることができる。つまり、空気は、対象物11およびその周辺の構造物12のうち、対象物11に対して選択的に近付くことができる。対象物11の周辺の構造物12としては、例えば、インストルメントパネル、床、ドア等がある。
そして、対象物11が移動してもその対象物11へ空気が引き付けられることで、効率よく成分を搬送することが可能となる。また、対象物11へ空気が到達した後の拡散も、空気の対象物11への吸着作用により抑制することが可能となる。つまり、対象物11が成分を効率よく吸収、回収することが可能となる。
以上説明した通り、車両用空調装置は、車両においてイオンを供給する以外の用途で空気を対象空間に搬送する搬送部1と、対象空間において帯電している対象物11の位置に関連して空気の流れを調整するよう、空気を帯電させる空気帯電化部2と、を有する。
このように、対象空間において対象物11が帯電している場合において、対象空間に搬送される空気を帯電させるという新規な手法により、クーロン力を利用して、対象物11の位置に関連して空気の流れを調整することができる。
より具体的には、空気帯電化部2は、車両内において帯電している対象物11に空気を近づけるよう、空気を対象物11とは逆の極性に帯電させる。このようにすることで、空気と対象物11が互いに逆の極性に帯電することで発生するクーロン力により、空気が対象物へより接近し易くなる。
そして、対象帯電化部4は、対象物を所定の極性に帯電させることができる。このように、対象帯電化部が対象物を所定の極性(すなわち、空気とは逆の極性)に帯電させることで、対象物の積極的な帯電化を実現できる。ひいては、空気が対象物へより接近し易くなる。
また、吹出口から対象空間に吹き出されて帯電している空気の電位をPaとし、対象物11の電位をPtとし、対象物11の周辺にある構造物12をPsとすると、
|Pa−Ps|≦|Pa−Pt|
の関係が成り立つとより好ましい。この式の左辺は、図2に示すように、構造物12に対する空気の電位差の絶対値13であり、右辺は、対象物11に対する空気の電位差の絶対値14である。つまり、絶対値13は絶対値14と同じかそれより小さいとより好ましい。
例えば、Pa、Pt、Psが図2のような関係になっている場合、上記の式が成立する。この式が成立する状況を実現するためには、あらかじめ構造物12の電位を実験等によって測定しておく。そして、その測定結果に基づいて、多くの場合で上記の式が成り立つPaとPtを実現するよう、第1制御部3、第2制御部5による空気帯電化部2、対象帯電化部4の制御形態が設定される。例えば、多くの場合で上記の式が成り立つために、|Pa−Pt|が十分大きくなるよう、Ptを制御する第2制御部5が設定される。これは、Paを調整しても、|Pa−Ps|と|Pa−Pt|の関係はあまり変化がないからである。
このような式が成立することにより、空気が対象物よりも構造物に吸引されてしまう可能性を低減することができる。ひいては、空気が対象物へより接近し易くなる。
なお、構造物12は図2のように対象物11とは逆の極性で帯電する場合も、対象物11と同じ極性で帯電する場合もある。これらのうち、対象物11とは逆の極性で帯電した方が、すなわち、構造物12が空気と同じ極性で帯電した方が、空気が対象物11よりも構造物12に吸引されてしまう可能性をより低減することができる。ひいては、空気が対象物11へより接近し易くなる。
ここで、特許文献1の技術について説明する。特許文献1では、シート下部から送風した気流を乗員胴体部に設置されたシートクッションから吸引することで、強制的に対象周囲で気流を形成する技術が開示されている。
しかし、この方法では温風を送風した際に上昇気流が発生する。しかも、温風が強制的に下肢部より上方から吸引される。したがって、下肢部が温まりにくい。また、吸引は冷風感を与えるため、温める際には適さない。したがって、特許文献1のような技術では、冷房に比べ乗員を包み込むような風流れを形成することは困難である。また、車両での乗員空調など、送風だけで空気を対象物11に送るのでは、成分が拡散したり、対象物11の移動などにより到達しなかったりすることがある。これに対し、本実施形態の車両用空調装置は、シートから吸引する手法とは別の手法で対象の乗員や車両空間の温度、湿度、香り等を効率よく調整することができる。
なお、図1の例では、空気帯電化部2は空気を負の極性に帯電させ、対象帯電化部4は対象物11を正の極性に帯電させる。しかし、逆に空気帯電化部2は空気を正の極性に帯電させ、対象帯電化部4は対象物11を負の極性に帯電させてもよい。
また、本実施形態においては、空気帯電化部2は、常に所定の極性にのみ空気を帯電させる機能を有し、対象帯電化部4は、常に当該所定の極性とは逆の極性にのみ対象物11を帯電させる機能を有するようになっていてもよい。その場合、第1制御部3、第2制御部5は、それぞれ、空気帯電化部2、対象帯電化部4をオン、オフする機能のみを有するだけでもよい。
あるいは、本実施形態においては、第1制御部3は、空気帯電化部2が空気を帯電させる極性を定期的に切り換えてもよい。その場合、第2制御部5は、第1制御部3が対象物11を帯電させる極性を、空気と逆の極性となるように、定期的に切り換えてもよい。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。本実施形態は、対象帯電化部4の具体的構成が第1実施形態と異なっている。その他は、第1実施形態と同じである。
本実施形態の対象帯電化部4は、図3に示すように、基準電極41、電極42、電圧印加部43を有する。基準電極41と電極42は、対象物11を挟むように互いに対向して配置されている。基準電極41と電極42の対向方向は、車両上下方向でもよいし、車両前後方向でもよいし、車両幅方向でもよいし、それ以外でもよい。基準電極41は、車両のボディに導通していてもよい。
図3の例では、基準電極41と電極42は、対象物11を挟んで車両上下方向に互いに対向している。基準電極41は、対象物11の上方において対象物11から離れて配置されている。電極42は対象物11の下方において対象物11の下端(例えば靴底)に接触していてもよいし、していなくてもよい。
電圧印加部43は、基準電極41と電極42の間に所定の電位差が生じるように基準電極41、電極42に電圧を印加する。例えば、所定の電位差としては、例えば、+5kVの電位差であってもよい。所定の電位差は、固定値でもよいし、変動してもよい。基準電極41に対して電極42が高電位の場合は、対象物11は正に帯電し、基準電極41に対して電極42が低電位の場合は、対象物11は負に帯電する。
このように2つの電極41、42の間に対象物11が入るように2つの電極41、42を配置することで、対象物11が2つの電極に接触しなくても、対象物が帯電する。なお、本実施形態において第1実施形態と同等の構成からは、第1実施形態と同等の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態に対して、第1制御部3、対象帯電化部4が廃され、図4に示すように、帯電計測部6が追加されている。その他の構成は、第1、第2実施形態と同じである。
帯電計測部6は、対象物11の近傍に配置されて対象物11の帯電状態を計測して第1制御部3に出力する装置である。検出される帯電状態は、対象物11の帯電の極性および電位である。帯電計測部6は、例えば、人体電位測定器、クーロンメータ等の静電気測定器であってもよい。帯電計測部6と空気帯電化部2は共通のグラウンド(例えば車体)に接地されている。したがって、帯電計測部6が計測した電位と空気帯電化部2の制御による空気の電位とは、比較可能である。
また、帯電計測部6は、対象物11の電荷量を計測する装置であってもよい。また、帯電計測部6は、対象物11の電位を計測する装置であってもよい。また、帯電計測部6は、対象物11の電流を検出する装置であってもよい。
本実施形態では、対象帯電化部4が存在しないので、対象物11の帯電状態は制御されることがなく、車内環境によって受動的に決まる。本実施形態の第1制御部3は、帯電計測部6から出力された対象物11の帯電状態に応じて、空気の帯電状態を調整するよう、空気帯電化部2の作動を制御する。
具体的には、第1制御部3は、車両用空調装置の作動中、所定のプログラムを実行することで、図5に示す処理を繰り返し実行する。第1制御部3は、この処理において、まずステップS110で、帯電計測部6から対象物11の最新の帯電状態を取得する。
そして続くステップS115で、搬送部1によって搬送される空気の帯電状態を調整する。具体的には、帯電計測部6から取得した対象物11の最新の帯電状態に基づいて、空気帯電化部2による空気の帯電化の作動を制御する。したがって、対象物11の帯電状態が時間経過と共に変化すれば、空気帯電化部2によって帯電する空気の帯電状態も変化する。
例えば、第1制御部3は、対象物11の最新の帯電状態が示す極性と空気の帯電の極性が逆になるよう、空気帯電化部2を制御する。これにより、対象物11が正に帯電していれば空気帯電化部2は空気を負に帯電させ、対象物11が負に帯電していれば空気帯電化部2は空気を正に帯電させる。
例えば、第1制御部3は、対象物11の電位が上昇した場合、空気の電位も上昇するよう、空気帯電化部2を制御する。そして、対象物11の電位が低下した場合、空気の電位も低下するよう、空気帯電化部2を制御する。ステップS115の後、図5の処理の1回分が終了する。
このようにすることで、対象物の帯電状態に応じて空気の帯電状態を調整することができるので、空気が対象物へより接近し易くなる。つまり、対象物11と空気の電位差を動的に拡大することで、効果を拡大することができる。また、対象物11への空気を吸引する力を安定化させることができる。
なお、本実施形態において第1、第2実施形態と同等の構成からは、当該実施形態と同等の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
次に第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1−第3実施形態に対して、空気帯電化部2の構成が変更されている。その他の構成は、第1−第3実施形態と同じである。
本実施形態の空気帯電化部2は、図6に示すように、第1電極21、第2電極22、電源部23を有している。
第1電極21は、針状の先端部を有する放電電極である。第1電極21は、導電金属製(例えば、銅)の部材により構成されている。第2電極22は、中空円筒形状、平板形状等の所定の形状をなす基準電極である。第1電極21の上述した針状の先端部は、第1電極21の第2電極22側の端部である。
電源部23は、第1電極21と第2電極22の電位差を制御する出力電圧を発生させる。電源部23の一端は第1電極21に接続され、他端が第2電極22に接続される。電源部23は、第1電極21と第2電極22の間にコロナ放電が発生する程度の出力電圧を第1電極21と第2電極22の間に印加する。
以下、本実施形態の空気帯電化部2の作動について説明する。空気帯電化部2が作動を開始すると、電源部23が、第1電極21と第2電極22の間に間欠的または連続的に繰り返し電圧を印加する。これにより、第1電極21と第2電極22の間に例えば3kVの電圧が印加される。例えば、第1電極21が負極、第2電極22が正極となるように3kVの電圧が印加される。すると、第1電極21の先端部の近傍に強電界が生じ、第1電極21の周囲にコロナ放電が誘起され、第1電極21と第2電極22の間にコロナ放電が発生する。
このコロナ放電の発生により第1電極21の周囲の空気が電離して空気イオンが発生する。第1電極21の周囲の空気が電離して正イオンと負イオンが生成される。そして、負のイオンが電極間の電界によって加速され第2電極22側に移動する。また、負のイオンが第2電極22側に移動する。この負のイオンが、搬送部1によって搬送されることで、吹出口から負に帯電した空気が吹き出される。
なお、電源部23が第1電極21を正極、第2電極22を負極として電圧を印加した場合は、電離した正のイオンが第2電極22側に移動する。この正のイオンが、搬送部1によって搬送されることで、吹出口から正に帯電した空気が吹き出される。このような装置により、容易に空気を帯電化することができる。なお、本実施形態において第1−第3実施形態と同等の構成からは、当該実施形態と同等の効果を得ることができる。
(第5実施形態)
次に第5実施形態について、図7、図8を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、図7に示すように、第1、第2、第4実施形態に対して、対象帯電化部4、第2制御部5が廃され、周辺計測部7が追加されている。
周辺計測部7は、対象物11の周辺の構造物12の近傍に配置されて構造物12の帯電状態を計測して第1制御部3に出力する装置である。検出される帯電状態は、構造物12の帯電の極性および電位である。周辺計測部7の構成は、帯電計測部6と同等であってもよい。周辺計測部7と空気帯電化部2はグラウンドが共通となっている。したがって、周辺計測部7が計測した電位と空気帯電化部2の制御による空気の電位とは、比較可能である。
以下、本実施形態における車両用空調装置の作動について説明する。本実施形態では、対象帯電化部4が存在しないので、対象物11の帯電状態は制御されることがなく、車内環境によって受動的に決まる。したがって、対象物11は正に帯電している場合も負に帯電している場合もある。また同様に、構造物12の状態も制御されることがなく、車内環境によって受動的に決まる。したがって、構造物12は正に帯電している場合も負に帯電している場合もある。
本実施形態の第1制御部3は、周辺計測部7から出力された構造物12の帯電状態に応じて、空気の帯電状態を調整するよう、空気帯電化部2の作動を制御する。
具体的には、第1制御部3は、車両用空調装置の作動中、所定のプログラムを実行することで、図8に示す処理を繰り返し実行する。第1制御部3は、この処理において、まずステップS120で、周辺計測部7から構造物12の最新の帯電状態を取得する。
そして続くステップS125で、搬送部1によって搬送される空気の帯電状態を調整する。具体的には、周辺計測部7から取得した構造物12の最新の帯電状態に基づいて、空気帯電化部2による空気の帯電化の作動を制御する。したがって、構造物12の帯電状態が時間経過と共に変化すれば、空気帯電化部2によって帯電する空気の帯電状態も変化する。
具体的には、第1制御部3は、構造物12の最新の帯電状態が示す極性と空気の帯電の極性が同じになるよう、空気帯電化部2を制御する。これにより、構造物12が正に帯電していれば空気帯電化部2は空気を正に帯電させ、構造物12が負に帯電していれば空気帯電化部2は空気を負に帯電させる。このようすれば、図7に示すように、対象物11が構造物12と逆の極性に帯電していれば、空気帯電化部2によって帯電化された空気が構造物12よりも対象物11に近付きやすくなる。
更に第1制御部3は、構造物12の最新の帯電状態が示す電位と空気の電位が同程度になるよう、空気帯電化部2を制御する。具体的には、空気帯電化部2が、第4実施形態のように2つの電極間に電圧を印加して放電を発生させることで空気をイオン化させる場合、2つの電極間に印加する電圧を、構造物12の最新の電位と同じにする。
したがって、第1制御部3は、構造物12の電位が上昇すると2つの電極間への印加電圧を増大させ、第1制御部3は、構造物12の電位が低下すると2つの電極間への印加電圧を減少させる。つまり、構造物12の電位が上昇すると空気の電位も上昇し、構造物12の電位が低下すると空気の電位も上昇する。ステップS125の後、図8の1回分の処理が終了する。
このように、構造物と空気とが同じ極性であり、かつ、搬送される空気と構造物12の電位が同程度となるよう制御されることで、空気はより対象物11へ吸着されやすくなる。なお、本実施形態において第1、第2、第4実施形態と同等の構成からは、当該実施形態と同等の効果を得ることができる。
(第6実施形態)
次に第6実施形態について、図9、図10を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第1実施形態に対して、周辺計測部7が追加されている。周辺計測部7の構成は、第5実施形態で説明した通りである。また、本実施形態では、第1制御部3と第2制御部5が通信可能になっている。
以下、本実施形態の作動について説明する。本実施形態の第1制御部3は、周辺計測部7から出力された構造物12の帯電状態に応じて、空気の帯電状態を調整するよう、空気帯電化部2の作動を制御する。また、本実施形態の第2制御部5は、周辺計測部7から出力された構造物12の帯電状態に応じて、対象物11の帯電状態を調整するよう、対象帯電化部4の作動を制御する。
具体的には、第1制御部3は、車両用空調装置の作動中、所定のプログラムを実行することで、図10のステップS120、S123、S125に示す処理を繰り返し実行する。第1制御部3は、この処理において、まずステップS120で、周辺計測部7から構造物12の最新の帯電状態を取得する。そして続くステップS125で、構造物12の最新の帯電状態の上方を、第2制御部5に送信する。
そして続くステップS125で、第5実施形態と同様に、搬送部1によって搬送される空気の帯電状態を調整する。具体的には、第1制御部3は、構造物12の最新の帯電状態が示す極性と空気の帯電の極性が同じになるよう、空気帯電化部2を制御する。
更に第1制御部3は、第5実施形態と同様、構造物12の最新の帯電状態が示す電位と空気の電位が同程度になるよう、空気帯電化部2を制御する。したがって、第1制御部3は、構造物12の電位が上昇すると2つの電極間への印加電圧を増大させ、第1制御部3は、構造物12の電位が低下すると2つの電極間への印加電圧を減少させる。つまり、構造物12の電位が上昇すると空気の電位も上昇し、構造物12の電位が低下すると空気の電位も上昇する。ステップS125の後、第1制御部3による図10の1回分の処理が終了する。
また、第2制御部5は、車両用空調装置の作動中、所定のプログラムを実行することで、図10のステップS130、S135に示す処理を繰り返し実行する。第2制御部5は、この処理において、まずステップS130で、第1制御部3から送信された構造物12の帯電状態の情報を受信する。
そして続くステップS135で、対象物11の帯電状態を調整する。具体的には、第2制御部5は、構造物12の最新の帯電状態が示す極性と対象物11の帯電の極性が逆になるよう、空気帯電化部2を制御する。ステップS135の後、第2制御部5による図10の1回分の処理が終了する。なお、図10における第1制御部3の処理と第2制御部5の処理は、同時並行で行われる。
このようになっていることで、空気と構造物12が同極性かつ同程度の電位となり、かつ、空気と対象物11が同極性となる。したがって、構造物と空気とが同じ極性であることで、空気が構造物に近付きにくくなる。ひいては、空気が対象物へより接近し易くなる。なお、本実施形態において第1実施形態と同等の構成からは、当該実施形態と同等の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、第1制御部3は、ステップS123で、構造物12の帯電の極性ではなく、自ら調整する空気の帯電の極性を第2制御部5に送信してもよい。その場合、第2制御部5は、受信した空気の極性と逆の極性を対象物11が示すよう、対象帯電化部4を制御する。このようになっていても、第1制御部3が第2制御部5に構造物12の極性を送る場合と同等の効果を得ることができる。
(第7実施形態)
次に第7実施形態について、図11、図12を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、車両に搭載され、図11に示すように、搬送部1、空気帯電化部2、送風ダクト15、一方側電極33、他方側電極34、電圧印加部35、制御部36、吹出部37を備えている。
一方側電極33は、座席31の近傍に、具体的には、座席31のシートバックの背面側に取り付けられている。他方側電極34は、ダッシュボード32の表面に配置されている。そして、他方側電極34と一方側電極33は、座席31の背もたれ面31aを挟んで、互いに対向している。したがって、一方側電極33と他方側電極34の対向方向は、座席の前後方向である。背もたれ面31aは、シートバックの座席前方側の表面である。座席31は、構造物に対応する。一方側電極33と他方側電極34は、車内帯電化部を構成する。
電圧印加部35は、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加する電源である。制御部36は、電圧印加部35から一方側電極33、他方側電極34への印加電圧を制御する。制御部36は、例えば処理装置であるCPU、書き込み可能な揮発性の記憶媒体であるRAM、書き込み不可能な不揮発性の記憶媒体であるROM、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体であるフラッシュメモリ等を備えている。CPUは、ROM、フラッシュメモリに記録されたプログラムを実行することで、電圧印加部35の制御を実現する。そしてCPUは、その処理において、RAM、フラッシュメモリを作業領域として使用する。以下、このCPUが行う制御を、制御部36が行う制御として説明する。なお、RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。
搬送部1は、車両の対象空間である車室内空間に空調風を送るための空調ユニットである。具体的には、搬送部1は、不図示の空調ケーシング、送風ファン、冷却用熱交換器、エアミックスドア、加熱用熱交換器を有する。空調ケーシング内に、送風ファン、冷却用熱交換器、エアミックスドア、加熱用熱交換器が、空気流れ上流側から下流側に、この順で配置されているが、配置は、このようなものに限らない。冷却用熱交換器は、空気と冷媒とを熱交換させることで空気を冷却する。加熱用熱交換器は、空気と熱媒体を熱交換させることで空気を加熱する。
空調ケーシング内において送風ファンによって付勢される空気は、必要に応じて冷却用熱交換器において冷却され、また、空気のうちエアミックスドアの開度に応じて決まる割合が必要に応じて加熱用熱交換器において加熱されることで、空気の温度が調整される。このように空調ケーシング内において温度が調整された空気は、送風ファンの付勢力によって空調ケーシングから送風ダクト15内に、温風または冷風として流入する。
送風ダクト15は、通風管であり、一端が空調ケーシングに接続され、車両の座席31のシートクッション内およびシートバック内に挿入されており、他端が吹出部37に接続される。
吹出部37は、座席31のシートバックに配置され、座席の前方側に開口する吹出口が形成されている。吹出部37は、シートバックの左右方向(すなわち幅方向)の両端に取り付けられていてもよいし、片側の端部に取り付けられていてもよい。
また、送風ダクト15における搬送部1と吹出部37の間には、空気帯電化部2が配置されている。空気帯電化部2の構成は、第4実施形態および図6で説明したものと同じである。すなわち、空気帯電化部2は、第1電極21と、第2電極22と、電源部23とを有している。第1電極21、第2電極22は送風ダクト15の内部に配置される。電源部23は送風ダクト15の外部に配置されて、第4実施形態と同様に、第1電極21、第2電極22の間に電圧を印加することで、コロナ放電を発生させる。
上述のように空調ケーシングから送風ダクト15に流入した空気が、送風ダクト15内で空気帯電化部2を通過するときに、上述のコロナ放電によって負のイオンが発生する。これにより、空気が負の極性に帯電する。負の極性に帯電した空気は、送風ダクト15を通って吹出部37から背もたれ面31aを通って座席31の前方側に吹き出される。座席31に乗員30が着座している場合、吹出部37から吹き出された空気の一部は、乗員30の背中に当たり、他の一部は乗員30を回り込んで乗員30の前方側(すなわちダッシュボード32側)に流れる。
搬送部1が空気を搬送し、空気帯電化部2が当該空気を負に帯電させ、吹出部37から当該空気が吹き出されているとき、制御部36は、電圧印加部35を制御して、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加する。
具体的には、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧が印加されたときの一方側電極33の極性は、図12に示すように、正である。つまり、一方側電極33の極性と空気が空気帯電化部2によって帯電する極性とが逆である。より具体的には、一方側電極33の電位V33は1kV以上、例えば数kVであり、20kV未満である。他方側電極34の電位V34はグラウンド電位(すなわちゼロ)である。他方側電極34の電位V34がゼロなのは、他方側電極34が接地されているからである。
このような電圧の印加により、座席31および乗員30は、正に帯電する。本実施形態においては、乗員30および座席31が対象物に対応する。したがって、負に帯電した空気と、正に帯電した一方側電極33、座席31、乗員30との間のクーロン力が発生する。このクーロン力により、吹出部37から吹き出された空気の気流が、乗員30の前方において、乗員30および座席31のシートバックの方向に向かう。すなわち、クーロン力を利用して座席側に空気を誘引することができる。これにより、吹出部37から吹き出された空気の拡散を防ぐことができる。ひいては、クーロン力を利用して座席31および乗員30の空調を効率よく行うことができる。
このように、対象空間に対応する車室内空間において、対象物が帯電している場合において、車室内空間に搬送される空気を帯電させるという新規な手法により、クーロン力を利用して、対象物の位置に関連して空気の流れを調整することができる。
なお、本実施形態においては、帯電する座席31が半導電性の材質程度以上の抵抗値(例えば1MΩより大きい抵抗値)を持つ材質で構成されている。この場合、20kVの電圧が一方側電極33と他方側電極34の間に印加されても、座席31を流れる電流および座席31から乗員30に流れる電流は、2mA未満となる。したがって、車室内に露出した座席31が帯電化されているときに乗員30が座席31に触れたとしても、乗員30が電流による不快感を覚える可能性が低減される。
また、本実施形態において、吹出部37は座席31に配置されているが、ダッシュボード32の表面に配置されていてもよいし、インストルメントパネルに配置されていてもよいし、天井に配置されていてもよいし、ピラーに配置されていてもよい。
(第8実施形態)
次に第8実施形態について、図13を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第7実施形態の車両用空調装置に対して、吹出部37、一方側電極33および他方側電極34の位置が異なる。以下、この違いを中心に説明する。
図13に示すように、一方側電極33は、座席31の近傍に、具体的には、座席31のシートクッションの下側に取り付けられている。他方側電極34は、車室内における天井のうち、座席31の上方の部分に配置されている。したがって、他方側電極34と一方側電極33は、座席31の座面31bを挟んで、互いに対向している。したがって、一方側電極33と他方側電極34の対向方向は、座席の上下方向である。座面31bは、シートクッションの座席上方側の表面である。
吹出部37は、座席31のシートクッションに配置され、座席の上方側に開口する吹出口が形成されている。吹出部37は、シートクッションの左右方向(すなわち幅方向)の両端に取り付けられていてもよいし、片側の端部に取り付けられていてもよい。
以下、本実施形態の車両用空調装置の作動について説明する。第7実施形態と同様に空調ケーシングから送風ダクト15に流入した空気が、送風ダクト15内で空気帯電化部2を通過するときに、コロナ放電によって負のイオンが発生する。これにより、空気が負の極性に帯電する。負の極性に帯電した空気は、送風ダクト15を通って吹出部37から座面31bを通って座席31の上方側に吹き出される。座席31に乗員30が着座している場合、吹出部37から吹き出された空気の一部は、乗員30の臀部または大腿部に当たり、他の一部は乗員30を回り込んで乗員30の上方側(すなわち天井側)に流れる。
搬送部1が空気を搬送し、空気帯電化部2が当該空気を負に帯電させ、吹出部37から当該空気が吹き出されているとき、制御部36は、電圧印加部35を制御して、一方側電極33と他方側電極34の間に、第7実施形態と同様に電圧を印加する。
このような電圧の印加により、座席31および乗員30は、正に帯電する。したがって、負に帯電した空気と、正に帯電した一方側電極33、座席31、乗員30との間のクーロン力が発生する。このクーロン力により、吹出部37から吹き出された空気の気流が、乗員30の上方において、乗員30および座席31のシートバックの方向に向かう。すなわち、クーロン力を利用して座席側に空気を誘引することができる。これにより、吹出部37から吹き出された空気の拡散を防ぐことができる。ひいては、クーロン力を利用して座席31および乗員30の空調を効率よく行うことができる。また、本実施形態において第7実施形態と同じ構成からは、第7実施形態で説明したのと同じ効果を得ることができる。
(第9実施形態)
次に第9実施形態について、図14を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第7、第8実施形態に対して、一方側電極33、他方側電極34への印加電圧が変更されている。車両用空調装置のハードウェア構成は、第7、第8実施形態と同じである。
以下、本実施形態の車両用空調装置の作動について説明する。第7、第8実施形態と同様に搬送部1が空気を搬送し、空気帯電化部2が当該空気を負に帯電させ、吹出部37から当該空気が吹き出されているとき、制御部36は、電圧印加部35を制御して、一方側電極33と他方側電極34の間に、電圧を印加する。
具体的には、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧が印加されたときの一方側電極33の極性は、図14に示すように、負である。つまり、一方側電極33の極性と空気が空気帯電化部2によって帯電する極性とが同じである。より具体的には、一方側電極33の電位V33は−1kV以下、例えば−数kVであり、−20kVより大きい。他方側電極34の電位V34はグラウンド電位(すなわちゼロ)である。他方側電極34の電位V34がゼロなのは、他方側電極34が接地されているからである。なお、他方側電極34の電位V34は正であってもよい。つまり、他方側電極34の極性は空気の帯電の極性と逆であってもよい。
このような電圧の印加により、座席31および乗員30は、負に帯電する。したがって、負に帯電した空気と、負に帯電した一方側電極33、座席31、乗員30との間のクーロン力が発生する。このクーロン力により、吹出部37から吹き出された空気の気流が、乗員30の周囲において、乗員30および座席31から離れる方向に向かう。
すなわち、クーロン力を利用して座席側から空気を遠ざけることができる。これにより、吹出部37から吹き出された空気の気流が乗員に直接当たりにくくなる。このようにすることで、空調用の空気が直接当たることを嫌う乗員にも対応することができる。また、本実施形態において第7、第8実施形態と同じ構成からは、同実施形態で説明したのと同じ効果を得ることができる。
(第10実施形態)
次に第10実施形態について、図15を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第7、第8実施形態に対して、一方側電極33、他方側電極34への印加電圧が変更されている。車両用空調装置のハードウェア構成は、第7、第8実施形態と同じである。
以下、本実施形態の車両用空調装置の作動について説明する。第7、第8実施形態と同様に搬送部1が空気を搬送し、空気帯電化部2が当該空気を負に帯電させ、吹出部37から当該空気が吹き出されているとき、制御部36は、電圧印加部35を制御して、一方側電極33と他方側電極34の間に、電圧を印加する。
具体的には、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧が印加されたときの一方側電極33および他方側電極34の極性は、それぞれ、図15に示すように、正と負である。つまり、一方側電極33の極性と空気が空気帯電化部2によって帯電する極性とが逆である。より具体的には、一方側電極33の電位V33は1kV以上、例えば数kVであり、10kVより小さい。また、他方側電極34の電位V34は、−1kV以下、例えば−数kVであり、−10kVより大きい。
このような電圧の印加により、座席31および乗員30は、正に帯電する。したがって、負に帯電した空気と、正に帯電した一方側電極33、座席31、乗員30との間のクーロン力が発生する。このクーロン力により、吹出部37から吹き出された空気の気流が、乗員30の前方において、乗員30および座席31のシートバックの方向に向かう。この時、空気の極性と他方側電極34の極性は同じなので、他方側電極34と空気との間のクーロン力により、空気の気流が、他方側電極34から一方側電極33の方向に、更に付勢される。
このようにすることで、空気を付勢するクーロン力がより強くなる。すなわち、クーロン力を利用して座席側に空気を強く誘引することができる。また、本実施形態において第7、第8実施形態と同じ構成からは、同実施形態で説明したのと同じ効果を得ることができる。
(第11実施形態)
次に第11実施形態について、図16を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第8実施形態に対して、送風ダクト15、空気帯電化部2、吹出部37の位置が変更されている。送風ダクト15は、一端が搬送部1の空調ケーシングに接続され、車両の天井内に挿入されており、他端が吹出部37に接続される。送風ダクト15における搬送部1と吹出部37の間に、空気帯電化部2が配置されている。
吹出部37は、車室内における天井付近、より具体的には、一方側電極33と他方側電極34の間であり、かつ、座席31よりも乗員30よりも上方かつ他方側電極34の近傍に、配置されている。吹出部37は、他方側電極34から一方側電極33に向かう方向、すなわち、座席下方向を向いている。
電圧印加部35による一方側電極33、他方側電極34への電圧印加の形態は、第8実施形態と同じである。第8実施形態と同様に空調ケーシングから送風ダクト15に流入した空気が、送風ダクト15内で空気帯電化部2を通過するときに、コロナ放電によって負のイオンが発生する。これにより、空気が負の極性に帯電する。負の極性に帯電した空気は、送風ダクト15を通って吹出部37から下方(すなわち、座席31の方向)に吹き出される。
搬送部1が空気を搬送し、空気帯電化部2が当該空気を負に帯電させ、吹出部37から当該空気が吹き出されているとき、制御部36は、電圧印加部35を制御して、一方側電極33と他方側電極34の間に、第8実施形態と同様に電圧を印加する。
このような電圧の印加により、座席31および乗員30は、正に帯電する。したがって、負に帯電した空気と、正に帯電した一方側電極33、座席31、乗員30との間のクーロン力が発生する。このクーロン力により、吹出部37から吹き出された空気の気流が、乗員30の上方において、乗員30および座席31のシートクッションの方向に、すなわち下方に、向かう。
これにより、クーロン力を利用して、天井から吹き出された空気を下方に誘引することができる。これにより、吹出部37から吹き出された空気の拡散を防ぐことができる。ひいては、クーロン力を利用して座席31および乗員30の空調を効率よく行うことができる。また、本実施形態において第8実施形態と同じ構成からは、第8実施形態で説明したのと同じ効果を得ることができる。なお、第8実施形態に対して第9、第10実施形態のような変更を加えた形態に対しても、本実施形態のような変更を適用してもよい。
(第12実施形態)
次に第12実施形態について、図17、図18、図19を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第7実施形態の効果検証実験を示す例である。
本実施形態では、一方側電極33は、座席31の近傍に、具体的には、座席31のシートバックの背面側に取り付けられている。他方側電極34は、座席31の前側に、一方側電極33と対向するように配置されている。したがって、他方側電極34と一方側電極33は、座席31の背もたれ面31aを挟んで、互いに対向している。一方側電極33から他方側電極34までの座席31前後方向の距離は、1000mmとなっている。
2つの吹出部37は、座席31の幅方向の両端に配置されており、座席31の前側かつ、座席31の幅方向中央側に向けて、負に帯電された空気を吹き出すことができる。負に帯電された空気を吹き出すための構成は、第7実施形態と同様である。
実験では、室温は20℃とされ、各吹出部37からは40℃の空気が吹き出される。そして、図18に示すように、座席31の背もたれ面31aには、6個の温度測定点XP1−XP6が、上下にマトリクス状に配置されている。各測定点から上下に隣り合う測定点までの距離は、50mmに設定されている。各温度測定点には、温度センサが配置される。
実験では、2つの場合について、温度測定点XP1−XP6で温度が検出されている。1つめの場合では、吹出部37から吹き出される空気が強制的に負に帯電され、かつ、一方側電極33が正極性となり他方側電極34が負極性になるように一方側電極33と他方側電極34の間に電圧が印加された。
2つめの場合では、吹出部37から吹き出される空気を強制的には帯電されず、かつ、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧が印加されなかった。つまり、吹出部37から帯電しない温風が吹き出されるだけとなった。
図19に示すように、温度測定点XP1−XP5のすべてにおいて、前者の場合の方が後者の場合に比べて温度が高くなった。ただし、吹出口から送風された温風が直接当たる条件となった測定点XP6では、前者の場合と後者の場合で温度の違いはなかった。
(第13実施形態)
次に第13実施形態について、図20、図21を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、車両に搭載され、図17に示すように、搬送部1、空気帯電化部2、送風ダクト15、一方側電極33、他方側電極34、電圧印加部35、制御部36、吹出部37を備えている。
一方側電極33は、下肢部空間に面する床の内部または下部に置かれている。つまり、一方側電極33は、下肢部空間の下側に配置される。下肢部空間は、車室内における座席31の前方かつ下方にあり、かつダッシュボード32の下方にある空間である。この下肢部空間には、座席31に着座した乗員30の下肢部を収容するために設けられている。
他方側電極34は、ダッシュボード32のうち、下肢部空間を上方から囲む面に配置されている。したがって、他方側電極34は、下肢部空間の上方に配置される。そして、他方側電極34と一方側電極33は、下肢部空間を挟んで、互いに対向している。したがって、一方側電極33と他方側電極34の対向方向は、座席の上下方向である。座席31は、構造物に対応する。一方側電極33と他方側電極34は、車内帯電化部を構成する。
電圧印加部35は、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加する電源である。制御部36は、電圧印加部35から一方側電極33、他方側電極34への印加電圧を制御する。制御部36は、例えば処理装置であるCPU、書き込み可能な揮発性の記憶媒体であるRAM、書き込み不可能な不揮発性の記憶媒体であるROM、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体であるフラッシュメモリ等を備えている。CPUは、ROM、フラッシュメモリに記録されたプログラムを実行することで、電圧印加部35の制御を実現する。そしてCPUは、その処理において、RAM、フラッシュメモリを作業領域として使用する。以下、このCPUが行う制御を、制御部36が行う制御として説明する。なお、RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。
搬送部1は、車両の対象空間である下肢部空間に空調風を送るための空調ユニットである。空調ユニットの構成および作動は、第7実施形態と同じである。
送風ダクト15は、通風管であり、一端が搬送部1の空調ケーシングに接続され、ダッシュボード32内に挿入されており、他端が吹出部37に接続される。吹出部37は、下肢部空間を上方から囲む面に配置され、上から下肢部空間に開口する吹出口が形成されている。これにより、吹出部37は、下肢部空間に、上から下に向かう空気を吹き出す。また、送風ダクト15における搬送部1と吹出部37の間には、空気帯電化部2が配置されている。空気帯電化部2の構成は、第7実施形態と同じである。すなわち、空気帯電化部2は、第1電極21と、第2電極22と、電源部23とを有している。第1電極21、第2電極22は送風ダクト15の内部に配置される。電源部23は送風ダクト15の外部に配置されて、第4実施形態と同様に、第1電極21、第2電極22の間に電圧を印加することで、コロナ放電を発生させる。
なお、搬送部1によって搬送される空気は、吹出部37に形成された吹出口のみならず、他の吹出口からも車室内空間に吹き出し可能となっていてもよい。他の吹出口としては、例えば、ダッシュボード32において車両後方に向けて空気を吹き出すことで乗員30の上半身(すなわち、顔面および胴体)に向けて空気を供給するフェイス吹出口があってもよい。また、ダッシュボード32の上面から上方のフロントウインドウに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口があってもよい。フェイス吹出口、デフロスタ吹出口がある場合、吹出部37の吹出口は、フット吹出口に相当する。
その場合、搬送部1は、乗員30の操作等に基づいて、吹出口モードをフェイスモード、フットモード、バイレベルモード、デフロスタモードの間で切り換え可能となっていてもよい。フェイスモードは、フェイス吹出口が開口し他の吹出口が閉じるモードである。フットモードは、フット吹出口が開口し他の吹出口が閉じるモードである。バイレベルモードは、フェイス吹出口およびフット吹出口が開口し他の吹出口が閉じるモードである。デフロスタモードは、デフロスタ吹出口が開口し他の吹出口が閉じるモードである。吹出口モードの切り替えの起因となる乗員30の操作としては、例えば、車室内の設定温度の操作、および、吹出口モードを設定する操作がある。
フットモードまたはバイレベルモードにおいて、空調ケーシングから送風ダクト15に流入した空気が、送風ダクト15内で空気帯電化部2を通過するときに、上述のコロナ放電によって負のイオンが発生する。これにより、空気が負の極性に帯電する。負の極性に帯電した空気は、送風ダクト15を通って吹出部37から下肢部空間に吹き出される。
搬送部1が空気を搬送し、空気帯電化部2が当該空気を負に帯電させ、吹出部37から当該空気が吹き出されているとき、制御部36は、電圧印加部35を制御して、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加する。
具体的には、制御部36は、図21に示す処理を実行する。すなわち、制御部36は、まずステップS210で、現在の搬送部1の送風モードが暖房であるか否かを判定し、暖房であればステップS215に進み、暖房でなければステップS220に進む。制御部36は、搬送部1の送風モードの情報を、例えば、不図示の通信線を会して搬送部1と通信することで取得してもよい。
暖房であると判定された後のステップS215では、制御部36は、一方側電極33が正の極性で帯電するよう、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加する。このとき、他方側電極34はグラウンド電圧となってもよいし、負極性の電圧となってもよい。これにより、一方側電極33および下肢部空間に面する床は、正に帯電する。
したがって、暖房時において吹出部37から下肢部空間に吹き出される暖風の極性と、一方側電極33および床の極性とが、逆になっているので、吹出部37から下肢部空間に吹き出される暖風が、クーロン力により、床および一方側電極33に誘引される。このクーロン力により、暖風がその高温故に上昇気流となって下肢部空間から離れてしまう可能性が低減される。その結果、暖風は、効率よく乗員30の足先を暖めることができる。制御部36は、ステップS215の後、ステップS210に戻る。
ステップS210で暖房でないと判定された後のステップS220では、制御部36は、現在の搬送部1の送風モードが冷房であるか否かを判定する。冷房であればステップS225に進み、冷房でなければ、電圧印加部35の作動を変更することなく、ステップS210に戻る。
ステップS220で冷房であると判定された後のステップS225では、制御部36は、一方側電極33が負の極性で帯電するよう、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加する。このとき、他方側電極34はグラウンド電圧となってもよいし、正極性の電圧となってもよい。これにより、一方側電極33および下肢部空間に面する床は、負に帯電する。
したがって、冷房時において吹出部37から下肢部空間に吹き出される冷風の極性と、一方側電極33および床の極性とが、同じになっている。これにより、吹出部37から下肢部空間に吹き出される冷風が、クーロン力により、床および一方側電極33から離れる方向に付勢される。このクーロン力により、冷風がその低温故に下降気流となってしまう可能性が低減される。その結果、冷風は、乗員30の足先を過度に冷やすことがなくなる。制御部36は、ステップS225の後、ステップS210に戻る。
このような制御部36の作動により、送風モードが暖房から冷房に切り替わったとき、一方側電極33の帯電の極性が正から負に切り替わる。また、送風モードが冷房から暖房に切り替わったとき、一方側電極33の帯電の極性が負から正に切り替わる。
このように、一方側電極33は、空調ユニットである搬送部1の送風モードの変化に基づいて、床の帯電の極性を変化させることで、送風モードの変化に適した形態でクーロン力を変化させることができる。このようにすることで、クーロン力を利用して下肢部空間における空調効果を高めることができる。
(第14実施形態)
次に第14実施形態について、図22を用いて説明する。本実施形態は、第13実施形態に対して、電圧印加部35および制御部36の作動が異なる。
まず、電圧印加部35は、制御部36から制御を受けることなく常に一方側電極33が正の極性を有するように、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加する。このとき、他方側電極34はグラウンド電圧となってもよいし、負極性の電圧となってもよい。これにより、一方側電極33および下肢部空間に面する床は、正に帯電する。
制御部36は、電圧印加部35ではなく空気帯電化部2を制御することで、空気帯電化部2による空気の帯電化の極性を切り換える。空気帯電化部2による空気の帯電化の極性を切り換える方法としては、電源部23が第1電極21と第2電極22に印加する電圧の極性を切り換える方法がある。
以下、制御部36による空気帯電化部2の制御について説明する。搬送部1が空気を搬送し、空気帯電化部2が当該空気を負に帯電させ、吹出部37から当該空気が吹き出されているとき、電圧印加部35は、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加することで、一方側電極33を正に帯電させる。
このとき、制御部36は、空気帯電化部2を制御する。具体的には、制御部36は、図22に示す処理を実行する。すなわち、制御部36は、まずステップS260で、現在の搬送部1の送風モードが暖房であるか否かを判定し、暖房であればステップS265に進み、暖房でなければステップS270に進む。制御部36は、搬送部1の送風モードの情報を、例えば、不図示の通信線を会して搬送部1と通信することで取得してもよい。
暖房であると判定された後のステップS265では、制御部36は、吹出部37から吹き出される空気が負に帯電するよう、空気帯電化部2の電源部23を制御する。これにより、吹出部37から下肢部空間に吹き出される空気は、空気帯電化部2によって負に帯電する。
したがって、暖房時において吹出部37から下肢部空間に吹き出される暖風の極性と、一方側電極33および床の極性とが、逆になっているので、吹出部37から下肢部空間に吹き出される暖風が、クーロン力により、床および一方側電極33に誘引される。このクーロン力により、暖風がその高温故に上昇気流となって下肢部空間から離れてしまう可能性が低減される。その結果、暖風は、効率よく乗員30の足先を暖めることができる。制御部36は、ステップS265の後、ステップS260に戻る。
ステップS260で暖房でないと判定された後のステップS270では、制御部36は、現在の搬送部1の送風モードが冷房であるか否かを判定する。冷房であればステップS275に進み、冷房でなければ、空気帯電化部2の作動を変更することなく、ステップS260に戻る。
ステップS270で冷房であると判定された後のステップS275では、制御部36は、吹出部37から吹き出される空気が正に帯電するよう、空気帯電化部2の電源部23を制御する。これにより、吹出部37から下肢部空間に吹き出される空気は、空気帯電化部2によって負に帯電する。
したがって、冷房時において吹出部37から下肢部空間に吹き出される冷風の極性と、一方側電極33および床の極性とが、同じになっている。これにより、吹出部37から下肢部空間に吹き出される冷風が、クーロン力により、床および一方側電極33から離れる方向に付勢される。このクーロン力により、冷風がその低温故に下降気流となってしまう可能性が低減される。その結果、冷風は、乗員30の足先を過度に冷やすことがなくなる。制御部36は、ステップS275の後、ステップS26f0に戻る。
このような制御部36の作動により、送風モードが暖房から冷房に切り替わったとき、吹出部37から吹き出される空気の帯電の極性が正から負に切り替わる。また、送風モードが冷房から暖房に切り替わったとき、吹出部37から吹き出される空気の帯電の極性が負から正に切り替わる。
このように、一方側電極33は、空調ユニットである搬送部1の送風モードの変化に基づいて、吹出部37から吹き出される空気の極性を変化させることで、送風モードの変化に適した形態でクーロン力を変化させることができる。このようにすることで、クーロン力を利用して下肢部空間における空調効果を高めることができる。
(第15実施形態)
次に第15実施形態について、図23、図24、図25を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第13実施形態の効果検証実験を示す例である。
本実施形態では、車両の乗員下肢部空間を模擬する箱体38が用いられる。この箱体38の内部が、下肢部空間に対応する。この箱体38には、後方かつ上方側の開口部38aと、後方かつ下方側の開口部38bと、前方方かつ上方側の開口部38cとが形成されている。開口部38aから下肢部空間に、乗員30の下肢部が挿入されている。
開口部38cには、吹出部37が形成されている。吹出部37は、搬送部1から搬送されて送風ダクト15を通って空気帯電化部2で負に帯電化された空気を、開口部38cを介して下肢部空間内に吹き出す。搬送部1、送風ダクト15、空気帯電化部2の構成は、第13実施形態と同じである。一方側電極33は、箱体38の底面の下に配置されている。他方側電極34は、箱体38の天面の上に配置されている。
電圧印加部35は、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加することで、一方側電極33を正に帯電させる。
実験では、2つの場合について、温度測定点YP1−YP6で温度が検出されている。1つめの場合では、吹出部37から吹き出される空気が強制的に負に帯電され、かつ、一方側電極33が正極性となり他方側電極34がグラウンド電圧になるように一方側電極33と他方側電極34の間に電圧が印加された。
2つめの場合では、吹出部37から吹き出される空気を強制的には帯電されず、かつ、一方側電極33と他方側電極34の間に電圧が印加されなかった。つまり、吹出部37から帯電しない温風が吹き出されるだけとなった。
図24に示すように、温度測定点YP1−YP6のすべてにおいて、前者の場合の方が後者の場合に比べて温度が高くなった。すなわち、上昇気流の抑制効果が実証された。この実験では他方側電極34がグラウンドとなっているが、他方側電極34が空気と同極性になれば、上昇気流の抑制効果はより向上する。
(第16実施形態)
次に第16実施形態について、図26を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、車両に搭載され、図26に示すように、搬送部1、空気帯電化部2、送風ダクト15、一方側電極33、電圧印加部35、制御部36、吹出部37を備えている。
一方側電極33は、車両のフロントウインドウに重ねて取り付けられている。一方側電極33がフロントウインドウに重ねられた状態でも、乗員30はフロントウインドウ越しに車両の外部を視認することができる。フロントウインドウは構造物に対応する。一方側電極33は、車内帯電化部を構成する。
電圧印加部35は、一方側電極33とグラウンドの間に電圧を印加する電源である。グラウンドは、例えば、ダッシュボード32であってもよいし、インストルメントパネルであってもよいし、車両の床面であってもよい。
制御部36は、電圧印加部35から一方側電極33への印加電圧を制御する。本実施形態では、制御部36は、一方側電極33に正の電圧が印加されるよう、電圧印加部35を制御する。これにより、電圧印加部35は、一方側電極33に正の電圧を印加し、一方側電極33が正に帯電する。それと共に、フロントウインドウも、正に帯電する。
搬送部1は、車両の対象空間である車室内空間に空調風を送るための空調ユニットである。搬送部1の具体的な構造は、第7実施形態と同じである。送風ダクト15は、通風管であり、一端が搬送部1の空調ケーシングに接続され、ダッシュボード32内に挿入されており、他端が吹出部37に接続される。
吹出部37は、ダッシュボード32に配置され、ダッシュボード32の上面の前端部において、車両の上方に開口する吹出口が形成されている。この吹出口は、フロントウインドウに対向している。
また、送風ダクト15における搬送部1と吹出部37の間には、空気帯電化部2が配置されている。空気帯電化部2の構成は、第7実施形態と同じである。すなわち、空気帯電化部2は、第1電極21と、第2電極22と、電源部23とを有している。第1電極21、第2電極22は送風ダクト15の内部に配置される。電源部23は送風ダクト15の外部に配置されて、第4実施形態と同様に、第1電極21、第2電極22の間に電圧を印加することで、コロナ放電を発生させる。
なお、搬送部1によって搬送される空気は、吹出部37に形成された吹出口のみならず、他の吹出口からも車室内空間に吹き出し可能となっていてもよい。他の吹出口としては、例えば、ダッシュボード32において車両後方に向けて空気を吹き出すことで乗員30の上半身に向けて空気を供給するフェイス吹出口があってもよい。また、ダッシュボード32において乗員30の足元の空間に向けて空気を吹き出すフット吹出口があってもよい。フェイス吹出口、フット吹出口がある場合、吹出部37の吹出口は、デフロスタ吹出口に相当する。
その場合、搬送部1は、乗員30の操作等に基づいて吹出口モードを切り換え可能となっていてもよい。すなわち、搬送部1は、フェイス吹出口が開口し他の吹出口が閉じるフェイスモード、フット吹出口が開口し他の吹出口が閉じるフットモード、デフロスタ吹出口が開口し他の吹出口が閉じるデフロスタモードの間で吹出口モードを切り換え可能となっていてもよい。吹出口モードの切り替えの起因となる乗員30の操作としては、例えば、車室内の設定温度の操作、および、吹出口モードを設定する操作がある。デフロスタモードは、フロントウインドウの曇り防止のために選択される場合が多い。
デフロスタモードにおいて、搬送部1の空調ケーシングから送風ダクト15に流入した空気が、送風ダクト15内で空気帯電化部2を通過するときに、上述のコロナ放電によって負のイオンが発生する。これにより、空気が負の極性に帯電する。負の極性に帯電した空気は、送風ダクト15を通り、吹出部37によってダッシュボード32の上面から上方向に、すなわち、フロントウインドウに向けて、吹き出される。
吹き出された空気は、フロントウインドウの車室側の面に沿って車両前方から後方へ、かつ、車両下方から上方へ、流れる。このとき、空気が負に帯電し、一方側電極33およびフロントウインドウが正に帯電している。すなわち、空気の帯電の極性とフロントウインドウの帯電の極性が、逆になっている。これにより、フロントウインドウにおいて空気の流れが層流化され、フロントウインドウの隅々まで届くようになる。これにより、空気がフロントウインドウの曇りを抑制する効果が高まる。
以下、その理由について説明する。非特許文献1には、イオンのような電気的な極性を含んだ帯電空気を空気とは逆の極性の帯電板表面近傍に流した際の空気流の振る舞いが、開示されている。具体的には、帯電板と逆の極性に帯電している空気が帯電板の表面近傍に流されると、帯電板に平行かつ空気の主流方向に直交する方向(非特許文献1のz方向)の力によって、帯電板の近傍における空気の渦の下方の上昇流が減速する。これは、左巻きの渦でも右巻きの渦でも同じである。このように、帯電板の近傍において、空気の流れの渦化が抑制され層流化される。
また、空気の帯電の極性とフロントウインドウの帯電の極性を逆にすることで、クーロン力により、空気がフロントウインドウに誘引される。したがって、フロントウインドウの車室側の面での気流剥離が抑制できる。これにより、フロントウインドウを介した車外への熱伝達を抑制することができる。ひいては、熱損失を低減することができる。
このように、フロントウインドウの曇り防止のために、空気をダッシュボード32の上面から吹き出す場合、空気およびフロントウインドウが帯電化されていれば、フロントウインドウを介した車内から車外への熱伝達を制御することができる。
なお、本実施形態においては、空気が負に帯電し、一方側電極33およびフロントウインドウが正に帯電している。しかし、逆に、空気が正に帯電し、一方側電極33およびフロントウインドウが負に帯電しても、同様の効果が得られる。
(第17実施形態)
次に第17実施形態について、図27を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第16実施形態の車両用空調装置に対して、極性切替部39、および他方側電極34が追加されている。極性切替部39は、電圧印加部35と共に、車内帯電化部に対応する。
他方側電極34は、車両の前席に該当する座席31の上方の天井に配置されている。極性切替部39は、他方側電極34へ電圧を印加する装置である。極性切替部39は、他方側電極34に印加する電圧の極性が切り替え可能に構成されている。本実施形態では、極性切替部39は、他方側電極34に負の電圧を印加する。これにより、他方側電極34および天井は、負の極性に帯電する。その他の構成およびそれらの作動は、第16実施形態と同じである。
したがって、本実施形態では、ダッシュボード32の上面のデフロスタ吹出口から上方に空気が吹き出されるとき、空気は負に帯電し、一方側電極33およびフロントウインドウは正に帯電し、他方側電極34および座席31の上方の天井は負に帯電する。
これにより、デフロスタ吹出口から吹き出された空気は、フロントウインドウの表面では層流となるため、拡散が抑えられながらフロントウインドウの車室側の面の近傍を、当該面に沿って境界を進行していく。このとき、クーロン力により、空気はフロントウインドウに誘引される。
そして、空気が座席31の上方の天井の近くまで到達すると、空気と天井は同極性のため反発し合う。したがって、空気は、クーロン力により、押し下げられて、下方かつ後方に進む。これにより、空気の流れF1は、乗員に風を届けることが容易になる。
(第18実施形態)
次に第18実施形態について、図28を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第17実施形態の車両用空調装置に対して、他方側電極34の位置が異なると共に、追加電極34aが追加されている。
他方側電極34は、車両の天井のうち、後席に該当する座席31xの上方部分に配置されている。追加電極34aは、車両の天井のうち、前席に該当する座席31の上方の部分に配置されている。つまり、車両の天井において、他方側電極34は、追加電極34aより、車両前後方向前側に配置されている。追加電極34aは、電圧印加部35により、一方側電極33と同じ極性の電圧が印加される。その他の構成およびそれらの作動は、第17実施形態と同じである。
このようになっていることで、本実施形態では、ダッシュボード32の上面のデフロスタ吹出口から上方に空気が吹き出されるとき、空気は負に帯電し、一方側電極33およびフロントウインドウは正に帯電する。またこのとき、追加電極34aおよび天井のうち座席31の上方の部分(すなわち前側部分)も、正に帯電する。またこのとき、他方側電極34および天井のうち座席31xの上方の部分(すなわち、後側部分)は、負に帯電する。
これにより、デフロスタ吹出口から吹き出された空気は、フロントウインドウの表面では層流となるため、拡散が抑えられながらフロントウインドウの車室側の面の近傍を、当該面に沿って境界を進行していく。このとき、クーロン力により、空気はフロントウインドウに誘引される。
そして、空気が座席31の上方の天井の近くまで到達すると、天井の前側部分において、空気がクーロン力によって当該前側部分に誘引される。これにより、空気の流れF2は、前側の座席31に着座する乗員30の頭上を通り過ぎることが容易になる。
その後、空気が天井の後側部分の近くに到達すると、当該後側部分において、クーロン力によって空気と当該後側部分は同極性のため反発し合う。したがって、空気は押し下げられて、下方かつ後方に進む。これにより、空気の流れF2は、後側の座席31xに着座する乗員30xに風を届けることが容易になる。
以上説明した通り、電圧印加部35および極性切替部39は、車両の天井の前側の一部を空気と異なる極性に帯電させ、天井のうち当該一部よりも車両の後方側の部分を空気と同じ極性に帯電させる。このようにすることで、フロントウインドウを通った空気を天井で反発させて後席の乗員に届けることが容易になる。
(第19実施形態)
次に第19実施形態について、図29を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第16実施形態の車両用空調装置に対して、一方側電極33に係る電圧の極性のみが異なっている。他の構成については、第16実施形態と同じである。
具体的には、制御部36は、一方側電極33に負の電圧が印加されるよう、電圧印加部35を制御する。これにより、電圧印加部35は、一方側電極33に負の電圧を印加し、一方側電極33が負に帯電する。それと共に、フロントウインドウも、負に帯電する。
そして、デフロスタモードにおいて、第1実施形態と同様に、吹出部37によってダッシュボード32の上面から上方向に、すなわち、フロントウインドウに向けて、負に帯電した空気が吹き出される。
吹き出された空気は、フロントウインドウの車室側の面に沿って車両前方から方向へ、かつ、車両下方から上方へ、流れる。このとき、空気が負に帯電し、一方側電極33およびフロントウインドウが負に帯電している。すなわち、空気の帯電の極性とフロントウインドウの帯電の極性が、同じになっている。これにより、フロントウインドウの表面では空気の乱流化が促進される。乱流が起こると、乱れによって運動量の交換が盛んに行われるため、層流と比較すると熱伝達が大きくなる。したがって、フロントウインドウの車外側の面にできた霜の除去等の、車外側に熱を供給することを、効率化できる。
なお、本実施形態においては、空気が負に帯電し、一方側電極33およびフロントウインドウが負に帯電している。しかし、逆に、空気が正に帯電し、一方側電極33およびフロントウインドウが正に帯電しても、同様の効果が得られる。
(第20実施形態)
次に第20実施形態について、図30を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、車両に搭載され、図30に示すように、搬送部1、空気帯電化部2、送風ダクト15、2つの一方側電極33、他方側電極34、電圧印加部35、制御部36、吹出部37を備えている。
1つの一方側電極33は、車両のフロントウインドウに重ねて取り付けられている。一方側電極33がフロントウインドウに重ねられた状態でも、乗員30はフロントウインドウ越しに車両の外部を視認することができる。もう1つの一方側電極33は、車両の天井のうち、前席に該当する座席31の上方の部分に配置されている。
2つの一方側電極33は導通されており、同電位に保たれる。これら一方側電極33は、車内帯電化部を構成する。また、これら一方側電極33は、車室内空間に面した壁である。
他方側電極34は、前席(すなわち、運転席または助手席)である座席31の下方にある床の内部または当該床の下部に配置されている。したがって他方側電極34は、車両上下方向において吹出部37を基準として一方側電極33側とは反対側に配置されている。
電圧印加部35は、一方側電極33と他方側電極34との間に電圧を印加する電源である。制御部36は、電圧印加部35から一方側電極33と他方側電極34への印加電圧を制御する。本実施形態では、制御部36は、一方側電極33に負の電圧が印加されるよう、電圧印加部35を制御する。
これにより、電圧印加部35は、一方側電極33に負の電圧を印加し、一方側電極33が負に帯電する。それと共に、フロントウインドウおよび天井のうち座席31の上方部分も、負に帯電する。この場合、フロントウインドウおよび天井の当該部分が帯電化される構造物に相当する。このとき、他方側電極34はグラウンド電圧となってもよいし、正の電圧が印加されてもよい。他方側電極34に正の電圧が印加される場合、他方側電極34が正に帯電すると共に、床も正に帯電する。この場合、床が、帯電化される構造物に相当する。
搬送部1は、車両の対象空間である車室内空間に空調風を送るための空調ユニットである。搬送部1の具体的な構造は、第7実施形態と同じである。送風ダクト15は、通風管であり、一端が搬送部1の空調ケーシングに接続され、ダッシュボード32内に挿入されており、他端が吹出部37に接続される。
吹出部37は、ダッシュボード32に配置され、吹出口を有している。吹出口は、ダッシュボード32のうち、車両後方側に向いた表面において開口する。この吹出口は、座席31に着座する乗員の上半身(すなわち、頭部および胴部のうち一方または両方)に空気を送るためのフェイス吹出口である。
また、送風ダクト15における搬送部1と吹出部37の間には、空気帯電化部2が配置されている。空気帯電化部2の構成は、第7実施形態と同じである。すなわち、空気帯電化部2は、第1電極21と、第2電極22と、電源部23とを有している。第1電極21、第2電極22は送風ダクト15の内部に配置される。電源部23は送風ダクト15の外部に配置されて、第4実施形態と同様に、第1電極21、第2電極22の間に電圧を印加することで、コロナ放電を発生させる。
なお、搬送部1によって搬送される空気は、吹出部37に形成された吹出口のみならず、他の吹出口からも車室内空間に吹き出し可能となっていてもよい。他の吹出口としては、例えば、ダッシュボード32において乗員30の足元の空間に向けて空気を吹き出すフット吹出口があってもよい。また、ダッシュボード32の上面から上方のフロントウインドウに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口があってもよい。
その場合、搬送部1は、乗員30の操作等に基づいて吹出口モードを切り換え可能となっていてもよい。すなわち、搬送部1は、フェイス吹出口が開口し他の吹出口が閉じるフェイスモード、フット吹出口が開口し他の吹出口が閉じるフットモード、デフロスタ吹出口が開口し他の吹出口が閉じるデフロスタモードの間で吹出口モードを切り換え可能となっていてもよい。吹出口モードの切り替えの起因となる乗員30の操作としては、例えば、車室内の設定温度の操作、および、吹出口モードを設定する操作がある。
フェイスモードにおいて、搬送部1の空調ケーシングから送風ダクト15に流入した空気が、送風ダクト15内で空気帯電化部2を通過するときに、上述のコロナ放電によって負のイオンが発生する。これにより、空気が負の極性に帯電する。負の極性に帯電した空気は、送風ダクト15を通り、吹出部37によってダッシュボード32の後方側の表面から車両後方に、すなわち、乗員30の上半身に向けて、吹き出される。
吹き出された空気は負に帯電し、2つの一方側電極33、フロントウインドウ、および天井のうち座席31の上方の部分が負に帯電している。すなわち、空気の帯電の極性とフロントウインドウおよび天井のうち座席31の上方の部分の帯電の極性とが、同じになっている。
これにより、図30の矢印のように、クーロン力により、空気が、フロントウインドウおよび天井の当該部分から離れる方向に付勢される。したがって、空気が車両の上側に向かって拡散することを抑制でき、その結果、吹出部37から吹き出された空気を効率よく乗員へ届けることができる。つまり、乗員30の上半身に向かって吹き出された空気の気流を制御することで、車室内の空調を効率化することができる。
なお、本実施形態においては、負に帯電する一方側電極33が座席31の近くのサイドウインドウにも取り付けられていてもよい。そのようにすることで、クーロン力により、空気が、サイドウインドウから離れる方向に付勢される。したがって、空気が車両のサイドウインドウに向かって拡散することを抑制でき、その結果、吹出部37から吹き出された空気を効率よく乗員へ届けることができる。
また、本実施形態においては、正に帯電する他方側電極34が、ダッシュボードに取り付けられていてもよい。あるいは、負に帯電する一方側電極33が、ダッシュボードに取り付けられていてもよい。
(第21実施形態)
次に第21実施形態について、図31、図32を用いて説明する。本実施形態に係る車両用空調装置は、車両の車室内空間R内の気流をクーロン力によって制御する。具体的には、車両用空調装置は、構造物45を帯電させる構造物帯電化部47を備える。
構造物45は、車両の車室内と車外との間で熱交換を行わせる部材である。また、構造物45は、車室内と車外の両方に露出している部材である。例えば、構造物45は、車両のフロントウインドウでもよいし、サイドウインドウでもよいし、リアウインドウでもよいし、窓以外のものであってもよい。
構造物45は、壁部材46と共に、車室内空間Rを囲むことで、車室内と車外とを区画している。なお、構造物45は壁部材46よりも熱伝達率が小さい。したがって、車室内と車外の熱交換には、構造物45を介した車室内と車外の熱交換が大きく寄与する。
車室内においては、空気が気流として流れている。この気流は、例えば、空調風である。車両用空調装置は、空気の気流を搬送するための構成として、不図示の搬送部を有していてもよい。
搬送部は、空気を気流として車室内空間に搬送する。搬送部は、インストルメントパネル、座席、座席周辺、および天井のうちいずれか1つ以上に形成された吹出口から、対象空間に空気を吹き出す。空気を吹き出すための機構としては、例えば、不図示の送風ファンが用いられてもよいし、他の機構が用いられてもよい。
搬送部の用途は、例えば、車室内の暖房、冷房等の温度調整であってもよい。この場合、搬送部によって搬送される空気は、例えば冷凍サイクルの冷媒と熱交換して温度が低下した冷風であってもよいし、また例えばエンジン冷却水、電気ヒータ等の熱源によって加熱された温風であってもよい。
このように、車室内空間Rに冷温などの空調された気流が充満する。このとき、車両の外部空間(すなわち車外)では車室内空間Rとは温度が異なる。その際、車室内空間Rを囲む部材の中に、上述のような熱交換をする構造物45がある場合、車室内空間Rで気流と構造部材が接触することで熱伝導による熱の授受が発生する。これにより車両空間内の空調などの効率が低下する可能性がある。
これの対策として、本実施形態の車両用空調装置は、構造物帯電化部47を備える。構造物帯電化部47は、構造物45を、車室内において気流として流れる空気の帯電の極性と同じ極性で、帯電させる。
ここで、車室内において気流として流れる空気の帯電の極性について説明する。一般に空間内に生じる気流は摩擦や内部に存在する電気機器などの様々な要因により、電気的極性に偏りを持つ。ある車両の車室内における気流が正に偏りを持つか負に偏りを持つかは、あらかじめ計測することである程度判明する。
例えば、ある車両では、図30に示すように、気流が負の極性を持つことがわかっている場合、当該車両に適用される構造物帯電化部47は、構造物45を負に帯電させる。その場合、例えば、構造物帯電化部47は構造物45に取り付けられた電極と、当該電極に負の電圧を印加する電源部を備えていてもよい。
このようにすることで、車室内空間R中の構造物45の近傍R1において、気流と構造物45の間に互いに反発するクーロン力が働く。このクーロン力により、気流は構造物45と接触しにくくなる。これにより、構造物45と気流の接触量および接触頻度が低下する。その結果、車室内と車外との間の熱伝導を抑えることができる。したがって、例えば、車室内を冷房している場合は、冷房効果が高まり、車室内が暖房されている場合は、暖房効果が高まる。
車両においては、容易かつ効果的な窓断熱技術である2重窓は、法規や積載要件で不可能である。したがって、本実施形態のように、窓の構造を変えずに窓の電気的帯電によって断熱効果を得ることは、非常に有効である。
なお、発明者は、図31に示したような構成において、温風が車室内空間Rに供給されている環境で、構造物45の温度変化を計測した。これは、簡易ベンチにて測定した例である。測定結果を図32に示す。図32では、破線が、構造物帯電化部47を作動させず構造物45が帯電しなかった比較例における構造物45の温度推移を示す。そして実線が、構造物帯電化部47を作動させて構造物45が帯電した実施例における構造物45の温度推移を示す。
図32に示されるように、空気の極性と構造物45の極性を同極性とし、暖かい空気が構造物45に近づくことを抑制することで、暖かい空気が構造物45と接触しにくくなることで、測定開始から5分で、1.5℃の温度差が得られる効果を確認した。
なお、本実施形態では、構造物帯電化部47は、車両の乗員の切り替え操作に応じて、構造物45を帯電させる極性を切り替え可能となっていてもよい。その場合、乗員は、車室内空間Rの気流の帯電の極性に構造物45の帯電の極性が一致するよう、構造物帯電化部47に対して切り替え操作を行ってもよい。このとき、乗員は、不図示の極性検知装置を用いて、気流の帯電の極性を知ってもよい。
あるいは、乗員は、気流の帯電の極性を知らなくても、構造物帯電化部47に対して切り替え操作を繰り返し行い、どちらの極性で構造物45を帯電させれば空調効果が高まるかを体感で判断してもよい。そして、判断した後は、空調効果がより高い方の極性で構造物45が帯電するよう、構造物帯電化部47に対して切り替え操作を行ってもよい。
(第22実施形態)
次に第22実施形態について、図33を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第21実施形態の車両用空調装置に対して、空気帯電化部2が追加されている。他の構成は、第21実施形態と同じである。
空気帯電化部2は、車室内空間Rに送られる前の気流または車室内空間Rに送られた後の気流を負に帯電させる。空気帯電化部2が空気を帯電させる方法は、空気に正イオンまたは負イオンを混入させる方法でもよいし、空気を正または負にイオン化させる方法でもよい。
また、本実施形態の構造物帯電化部47は、構造物45を、負に帯電させる。これにより、空気の帯電の極性と構造物45の帯電の極性が同じになる。したがって、第21実施形態と同様の効果を得ることができる。また、空気を特定の極性で強制的に帯電させることで、気流と構造物とを確実に反発させることができる。
(第23実施形態)
次に第23実施形態について、図34を用いて説明する。本実施形態は、第22実施形態に対して、空気帯電化部2が変更されている。本実施形態の空気帯電化部2の構成は、第7実施形態と同じである。すなわち、空気帯電化部2は、第1電極21と、第2電極22と、電源部23とを有している。空気帯電化部2が空気を帯電させる作動は、第7実施形態と同じである。つまり、電源部23が第1電極21と第2電極22の間に電圧を印加することでコロナ放電を発生させることにより、空気が帯電化される。このような空気帯電化部2により、容易に空気を帯電化することができる。
(第24実施形態)
次に第24実施形態について、図35を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第21実施形態の車両用空調装置に対して、帯電計測部6が追加されている。
帯電計測部6は、車室内空間Rに配置されて空気の帯電状態を計測して構造物帯電化部47に出力する装置である。検出される帯電状態は、当該気流の帯電の極性である。帯電計測部6は、例えば、人体電位測定器、クーロンメータ等の静電気測定器であってもよい。帯電計測部6と構造物帯電化部47は共通のグラウンド(例えば車体)に接地されている。したがって、帯電計測部6が計測した電位と構造物帯電化部47の作用による構造物45の帯電の極性とは、比較可能である。
本実施形態では、車室内空間Rにおける空気の帯電状態は制御されることがなく、車内環境によって受動的に決まる。構造物帯電化部47は、帯電計測部6から出力された気流の帯電の極性と、構造物45の帯電の極性とが同じになるよう、構造物45を帯電させる。
例えば、帯電計測部6は、空気の帯電の極性が正のときはオン信号を、負のときはオフ信号を構造物帯電化部47に出力してもよい。その場合、構造物帯電化部47は、帯電計測部6からオン信号が入力されている場合は、構造物45を正の極性で帯電化し、帯電計測部6からオフ信号が入力されている場合は、構造物45を負の極性で帯電化する。
このようにすることで、空気の気流を強制的に帯電させなくても、より高い確実性で、構造物を空気と同じ極性に帯電化することができる。
(第25実施形態)
次に第25実施形態について、図36を用いて説明する。本実施形態は、第21〜第24実施形態における構造物帯電化部47および構造物45の一例を示す。本実施形態において、構造物帯電化部47は、構造物45の車室内空間R側の表面の一部または全部に設けられた電極47aと、車室内空間Rの基準電位に対して正または負の電位を印加する電圧源47bとを有する。車室内空間Rの基準電位は、例えば、車両のボディまたは地面である。車室内空間Rの基準電位に対して正の電位が印加されると、構造物45が正の極性で帯電する。車室内空間Rの基準電位に対して負の電位が印加されると、構造物45が負の極性で帯電する。このように、車室内空間Rの基準電位に対して正または負の電位を印加することで、より高い確実性で、構造物を空気と同じ極性に帯電化することができる。構造物45の帯電の極性は、第21〜第24実施形態と同じである。
また、本実施形態においては、電極47aが半導電性の材質程度以上の抵抗値(例えば1MΩより大きい抵抗値)を持つ材質で構成されている。この場合、20kVの電圧が電極47aに印加されても、電極47aを流れる電流は2mA未満となる。したがって、電極47aが帯電化されているときに乗員が電極47aに触れたとしても、乗員が電流による不快感を覚える可能性が低減される。
(第26実施形態)
次に第26実施形態について、図37を用いて説明する。本実施形態に係る車両用空調装置は、車両の車室内空間Rの外側の空間を流れる気流、すなわち、車外の気流をクーロン力によって制御する。具体的には、車両用空調装置は、構造物45を帯電させる構造物帯電化部47を備える。
構造物45は、車両の車室内と車外との間で熱交換を行わせる部材である。また、構造物45は、車室内と車外の両方に露出している部材である。例えば、構造物45は、車両のフロントウインドウでもよいし、サイドウインドウでもよいし、リアウインドウでもよいし、窓以外のものであってもよい。
構造物45は、壁部材46と共に、車室内空間Rを囲むことで、車室内と車外とを区画している。なお、構造物45は壁部材46よりも熱伝達率が小さい。したがって、車室内と車外の熱交換には、構造物45を介した車室内と車外の熱交換が大きく寄与する。
車室内においては、空気が気流として流れている。この気流は、例えば、空調風である。車両用空調装置は、空気の気流を搬送するための構成として、空調空気を気流として車室内空間に搬送する不図示の搬送部を有していてもよい。搬送部の構成は、第21実施形態と同じである。
搬送部により、車室内空間Rに冷温などの空調された気流が充満する。このとき、車両の外部空間(すなわち車外)では車室内空間Rとは温度が異なる。その際、車室内空間Rを囲む部材の中に、上述のような熱交換をする構造物45がある場合、車室内空間Rで気流と構造部材が接触することで熱伝導による熱の授受が発生する。これにより車両空間内の空調などの効率が低下する可能性がある。
これの対策として、本実施形態の車両用空調装置は、構造物帯電化部47を備える。構造物帯電化部47は、構造物45を、車外において構造物45の周囲の近傍を気流として流れる空気の帯電の極性と同じ極性で、帯電させる。
ここで、車外において構造物45の周囲を気流として流れる空気の帯電の極性について説明する。一般に空間内に生じる気流は摩擦や内部に存在する電気機器などの様々な要因により、電気的極性に偏りを持つ。車外における構造物45の周囲の気流が正に偏りを持つか負に偏りを持つかは、位置、季節、天候、時刻等の環境によってある程度判断できる。あるいは、車両には、上述の搬送部と同様の構成を有する不図示の吹出装置が、負に帯電した空気を構造物45の車外側の表面に吹き出すようになっていてもよい。
例えば、ある環境では、図37に示すように、車外における構造物45の周囲の気流が負の極性を持つことがわかっている場合、当該車両に適用される構造物帯電化部47は、構造物45を負に帯電させる。その場合、例えば、構造物帯電化部47は構造物45に取り付けられた電極と、当該電極に負の電圧を印加する電源部を備えていてもよい。上述の吹出装置が、負に帯電した空気を構造物45の車外側の表面に吹き出す場合も同様である。
このようにすることで、車外の構造物45の近傍において、気流と構造物45の間に互いに反発するクーロン力が働く。このクーロン力により、気流は構造物45と接触しにくくなる。これにより、構造物45と気流の接触量および接触頻度が低下する。その結果、車室内と車外との間の熱伝導を抑えることができる。したがって、例えば、車室内を冷房している場合は、冷房効果が高まり、車室内が暖房されている場合は、暖房効果が高まる。この効果は、車両が走行している場合よりも停止している場合の方が高い。
車両においては、容易かつ効果的な窓断熱技術である2重窓は、法規や積載要件で不可能である。したがって、本実施形態のように、窓の構造を変えずに窓の電気的帯電によって断熱効果を得ることは、非常に有効である。
なお、本実施形態では、構造物帯電化部47は、車両の乗員の切り替え操作に応じて、構造物45を帯電させる極性を切り替え可能となっていてもよい。その場合、乗員は、車外の構造物45の周囲における気流の帯電の極性に構造物45の帯電の極性が一致するよう、構造物帯電化部47に対して切り替え操作を行ってもよい。このとき、乗員は、不図示の極性検知装置を用いて、車外の気流の帯電の極性を知ってもよい。
あるいは、乗員は、車外の気流の帯電の極性を知らなくても、構造物帯電化部47に対して切り替え操作を繰り返し行い、どちらの極性で構造物45を帯電させれば空調効果が高まるかを体感で判断してもよい。そして、判断した後は、空調効果がより高い方の極性で構造物45が帯電するよう、構造物帯電化部47に対して切り替え操作を行ってもよい。
(第27実施形態)
次に第27実施形態について、図38、図39、図40を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、車両に搭載され、図38に示すように、搬送部1、空気帯電化部2、送風ダクト15、一方側電極33、他方側電極34、電圧印加部35、制御部36、吹出部37を備えている。一方側電極33および他方側電極34が対象物に対応する。
一方側電極33は、座席31の左右方向の一方側の端部に配置され、他方側電極34は、座席31の左右方向の他方側の端部に配置される。例えば、一方側電極33は、座席31の右側のアームレストに配置され、他方側電極34は、乗員30の左側のアームレストに配置される。そして、一方側電極33と他方側電極34は、座席31のシートクッションおよび乗員30を挟んで、座席31の幅方向に互いに対向する。座席31は、前席でもよいし後席でもよい。
電圧印加部35は、一方側電極33と他方側電極34との間に電圧を印加する電源である。制御部36は、電圧印加部35から一方側電極33と他方側電極34への印加電圧を制御する。すなわち、制御部36は、他方側電極34の電位と電圧印加部35の電位を制御する。
搬送部1は、車両の対象空間である車室内空間に空調風を送るための空調ユニットである。搬送部1の具体的な構造は、第7実施形態と同じである。送風ダクト15は、通風管であり、一端が搬送部1の空調ケーシングに接続され、他端が吹出部37に接続される。
吹出部37は、座席31の前側に配置され、座席31に対向する吹出口を有している。例えば、座席31が前席である場合、吹出部37は、図38に示すように、ダッシュボード32に配置されていてもよい。吹出口は、座席31に着座する乗員の上半身(すなわち、頭部および胴部のうち一方または両方)に空気を送るためのフェイス吹出口である。
また、送風ダクト15における搬送部1と吹出部37の間には、空気帯電化部2が配置されている。空気帯電化部2の構成は、第7実施形態と同じである。すなわち、空気帯電化部2は、第1電極21と、第2電極22と、電源部23とを有している。第1電極21、第2電極22は送風ダクト15の内部に配置される。電源部23は送風ダクト15の外部に配置されて、第4実施形態と同様に、第1電極21、第2電極22の間に電圧を印加することで、コロナ放電を発生させる。
なお、搬送部1によって搬送される空気は、吹出部37に形成された吹出口のみならず、他の吹出口からも車室内空間に吹き出し可能となっていてもよい。他の吹出口としては、例えば、ダッシュボード32において乗員30の足元の空間に向けて空気を吹き出すフット吹出口があってもよい。また、ダッシュボード32の上面から上方のフロントウインドウに向けて空気を吹き出すデフロスタ吹出口があってもよい。
その場合、搬送部1は、乗員30の操作等に基づいて吹出口モードを切り換え可能となっていてもよい。すなわち、搬送部1は、フェイス吹出口が開口し他の吹出口が閉じるフェイスモード、フット吹出口が開口し他の吹出口が閉じるフットモード、デフロスタ吹出口が開口し他の吹出口が閉じるデフロスタモードの間で吹出口モードを切り換え可能となっていてもよい。吹出口モードの切り替えの起因となる乗員30の操作としては、例えば、車室内の設定温度の操作、および、吹出口モードを設定する操作がある。
フェイスモードにおいて、搬送部1の空調ケーシングから送風ダクト15に流入した空気が、送風ダクト15内で空気帯電化部2を通過するときに、上述のコロナ放電によって負のイオンが発生する。これにより、空気が負の極性に帯電する。負の極性に帯電した空気は、送風ダクト15を通り、吹出部37によってダッシュボード32の後方側の表面から車両後方に、すなわち、乗員30の上半身に向けて、吹き出される。
また、制御部36は、フェイスモードにおいて吹出部37から負の極性に帯電した空気が吹き出されているときに、図39に示す処理を実行する。
図39の処理においては、制御部36は、まずステップS310で、車両の加速度がゼロであるか否かを判定する。なお、本実施形態において図39の処理で用いられる加速度は、車両の幅方向の加速度である。制御部36は、車両の幅方向の加速度を、車両に搭載された不図示の加速度センサからの検出信号に基づいて、特定する。あるいは、制御部36は、車両の幅方向の加速度を、車両の各種制御ECUから送信される車両の加速度の情報に基づいて、特定する。
制御部36は、ステップS310で車両の加速度がゼロであると判定した場合、ステップS320に進み、一方側電極33および他方側電極34の間に印加する電圧をゼロとし、ステップS310に戻る。
制御部36は、ステップS310で車両の加速度がゼロでないと判定した場合、ステップS330に進む。ステップS330では、直前のステップS310で判定対象となった加速度の値に基づいて、一方側電極33、他方側電極34の帯電の極性および一方側電極33と他方側電極34の間に印加する電圧を特定する。これらの量は、具体的には、制御部36中のメモリに記録されたマップに基づいて、算出する。このメモリは、非遷移的実体的記憶媒体である。
ステップS340では、制御部36は、直前のステップS330で特定した一方側電極33、他方側電極34の帯電の極性および一方側電極33と他方側電極34の間に印加する電圧を実現するよう、電圧印加部35を制御する。これにより、電圧印加部35は、制御部36から制御を受けた通りに、一方側電極33、他方側電極34に電圧を印加する。ステップS340の後、処理はステップS310に戻る。
車両の加速度がゼロでないときに一方側電極33と他方側電極34の間に電圧を印加することの意義は、以下の通りである。
例えば、車両が左旋回をして、車両全体が左方向に加速度を生じている場合、車両に固定された座標形においては、図40に示すように、逆向きの右方向に慣性力G1が生じ、乗員の体は右側に引っ張られる。搬送部1から搬送される気流も質量をもっているため、同様に慣性力によって右方向へ付勢される。この付勢力によって空気の流れが、送風したい方向、位置に対して、破線矢印Y1、Y2の様にずれてしまう可能性を、低減することが望ましい。
そこでこの場合、乗員の周囲に設けた一方側電極33、他方側電極34によって電界を形成し、負に帯電して吹出部37から吹き出された空気をクーロン力Q1で左方向に付勢することで、気流を所望の方向、位置である乗員の正面に補正する。
本実施形態では、この目的のため、マップでは、複数の異なる加速度の値の各々に対して、一方側電極33の極性、他方側電極34の極性、一方側電極33と他方側電極34の間の電圧(すなわち電位差)が、割り当てられている。より具体的には、マップは、複数のレコードを有し、各レコードは、加速度の値と、それに対応する一方側電極33の極性、他方側電極34の極性、一方側電極33と他方側電極34の間の電圧(すなわち電位差)を、含んでいる。
このマップにおいては、加速度の値が正であれば、車両に右方向の慣性力が働いていることを示す。そして、このマップにおいては、加速度の値が正であれば、一方側電極33の極性が負になると共に他方側電極34の極性が正になるよう、規定されている。このようになっていることで、慣性力を打ち消す方向にクーロン力が発生するよう、一方側電極33と他方側電極34の間に電界を形成することができる。このようにすることで、車両の加速度に応じて空気の流れを制御することができる。
また、このマップにおいては、加速度の絶対値が大きいほど、一方側電極33と他方側電極34の間の電圧の絶対値が大きくなるよう、規定されている。このようになっていることで、慣性力が大きいほど、クーロン力を大きくすることができる。
以上説明した通り、制御部36は、電圧印加部35を制御することで、一方側電極33、他方側電極34の極性と電位を調整する。このようにすることで、車室内においてクーロン力を利用して、電極の極性および電位に関連して空気の流れを調整することができる。すなわち、乗員30の周囲に設けた一方側電極33、他方側電極34で電界を形成し、搬送する気流を所望の位置、方向にコントロールすることができる。
なお、本実施形態では、車両旋回時における車両幅方向の気流の補正を示した。しかし、車両用空調装置は、車両旋回時に限らず、加減速時における車両前後方向の気流の補正を行うように構成されていてもよい。その場合、一方側電極33、他方側電極34は、車両前後方向に対向する。そして制御部36は、車両の前後方向の加速度に基づいて、一方側電極33、他方側電極34の極性および電位を調整する。
あるいは、車両用空調装置は、坂道走行時における車両上下方向の気流の補正を行うように構成されていてもよい。その場合、一方側電極33、他方側電極34は、車両上下方向に対向する。そして制御部36は、車両の上下方向の加速度に基づいて、一方側電極33、他方側電極34の極性および電位を調整する。
また、本実施形態では、車両の加速度に基づいて一方側電極33、他方側電極34の極性および電位が制御されているが、加速度以外の量に基づいて制御されてもよい。また、本実施形態では、一方側電極33と他方側電極34のうち一方が廃されてもよい。
(第28実施形態)
次に第28実施形態について、図41を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、第27実施形態の車両用空調装置に対して、空気帯電化部2および制御部36の構成および作動が異なっている。その他の構成は、第27実施形態と同じである。
本実施形態の空気帯電化部2は、搬送部1に搬送される空気を固定的に負に帯電させてもよいし、固定的に正に帯電させてもよい。また、搬送部1に搬送される空気をあるときには負に帯電させ、別のときには正に帯電させてもよい。更に、本実施形態においては、空気帯電化部2が作動しない場合があってもよい。その場合でも、車内環境等の影響により、搬送部1によって搬送される空気は正負いずれかの極性に帯電する場合がある。
本実施形態の制御部36は、車両の加速度のみならず、乗員30の帯電の極性および電位の情報を取得する。さらに制御部36は、吹出部37から吹き出される空気の帯電の極性および電位の情報を取得する。なお、乗員30が、対象物の近傍の物に対応する。
乗員30の帯電の極性および電位の情報は、例えば、不図示の人体電位測定器から取得してもよい。また、吹出部37から吹き出される空気の帯電の極性および電位の情報は、不図示のクーロンメータ等の静電気測定器から取得してもよい。あるいは、制御部36は、空気帯電化部2から第1電極21、第2電極22に印加された電位差を取得することで、当該電位差に基づいて、吹出部37から吹き出される空気の帯電の極性および電位を特定してもよい。
そして、制御部36は、第27実施形態と同様に、図39の処理を実行するが、その際、ステップS330では、第27実施形態と異なる方法で、一方側電極33、他方側電極34の極性および電位差を決定する。
具体的には、本実施形態におけるマップでは、車両の加速度に加え、吹出部37から吹き出される空気の極性および電位、ならびに、乗員30の極性および電位の組み合わせを入力値とする。そして、複数の異なる入力値の各々に対して、一方側電極33の極性、他方側電極34の極性、一方側電極33と他方側電極34の間の電圧(すなわち電位差)が、割り当てられている。より具体的には、マップは、複数のレコードを有し、各レコードは、入力値と、それに対応する一方側電極33の極性、他方側電極34の極性、一方側電極33と他方側電極34の間の電圧(すなわち電位差)を、含んでいる。
このようなマップは、車両用空調装置の車両への適用前に、入力値に応じた最適な一方側電極33、他方側電極34の極性および電位差をマップデータとして適合、調整し、制御部36のメモリに保存される。
このマップにおいては、加速度の値が正であれば、車両に右方向の慣性力が働いていることを示す。そして、このマップにおいては、空気の極性が負であり、加速度の値が正であれば、一方側電極33の極性が負になると共に他方側電極34の極性が正になるよう、規定されている。また、空気の極性が正であり、加速度の値が正であれば、一方側電極33の極性が正になると共に他方側電極34の極性が負になるよう、規定されている。このようになっていることで、慣性力を打ち消す方向にクーロン力が発生するよう、一方側電極33と他方側電極34の間に電界を形成することができる。このようにすることで、車両の加速度に応じて空気の流れを制御することができる。
また、このマップにおいては、加速度の絶対値が大きいほど、一方側電極33と他方側電極34の間の電圧の絶対値が大きくなるよう、規定されている。このようになっていることで、慣性力が大きいほど、クーロン力を大きくすることができる。
また、このマップにおいては、空気の極性と乗員30の極性が異なっている場合、空気の電位と乗員30の電位の差の絶対値が大きいほど、一方側電極33と他方側電極34の間の電圧の絶対値が小さくなるよう、規定されている。これは、空気の極性と乗員30の極性が異なっている場合、空気の電位と乗員30の電位の差の絶対値が大きいほど、空気が乗員30に引き付けられ易く、加速度の影響が相対的に低下するからである。
また、このマップにおいては、空気の極性と乗員30の極性が同じ場合、空気の極性と乗員30の極性が異なる場合に比べて、一方側電極33と他方側電極34の間の電圧の絶対値が大きくなるよう、規定されている。これは、空気の極性と乗員30の極性が同じ場合、空気の極性と乗員30の極性が異なる場合に比べて、空気が乗員30に到達し難く、加速度の影響が相対的に大きくなるからである。
そして、制御部36は、ステップS330では、直前のステップS310で判定対象となった加速度の値と、吹出部37から吹き出される空気の極性および電位、ならびに、乗員30の極性および電位の組み合わせを入力値とする。そして、この入力値に基づいて、上記マップを用いて、一方側電極33、他方側電極34の帯電の極性および一方側電極33と他方側電極34の間に印加する電圧を特定する。
このように、制御部36は、車両の加速度のみならず、吹出部37から吹き出される空気の極性および電位、ならびに、乗員30の極性および電位に基づいて、一方側電極33、他方側電極34の極性および電位を調整する。このようにするのは、吹出部37から吹き出される空気の極性および電位、ならびに、乗員30の極性および電位も、当該空気に及ぼされるクーロン力に影響するからである。制御部36がこのような作動をすることで、より正確に空気の流れをコントロールすることができる。
なお、本実施形態では、対象物である一方側電極33、他方側電極34の近傍にあってマップの入力値において極性と電位が記述される物として、乗員30が挙げられている。しかし、このような物は、一方側電極33、他方側電極34の近傍にある他の物(例えば座席31)であってもよい。
(第29実施形態)
次に第29実施形態について、図42を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、車両に搭載され、図42に示すように、搬送部1、空気帯電化部2、送風ダクト15、一方側電極33、他方側電極34、電圧印加部35、電圧制御部48、電源49、入力配線51、出力配線52を備えている。一方側電極33および他方側電極34が対象物に対応する。
一方側電極33は、車両の前後方向における座席31と座席31xの間の床に配置される。つまり、一方側電極33は、車両の前後方向における座席31の後側かつ座席31xの前側に配置される。座席31は前席であり、座席31xは後席である。一方側電極33は、車両の天井側に対向する姿勢で配置される。他方側電極34は、座席31の背もたれ部において、車両の後方に対向する姿勢で配置される。
電圧制御部48は、電源49から入力配線51を介して電力の供給を受ける。電源49は、交流電源であっても直流電源であってもよい。電源49は、車両に搭載されたバッテリであってもよい。そして電圧制御部48は、入力配線51から供給される電力を所定の直流電圧に変換して出力配線52を介して一方側電極33、他方側電極34に出力する。所定の直流電圧は、吹出部37から吹き出される空気の帯電の極性と逆の極性で一方側電極33、他方側電極34が帯電するように、あらかじめ定められている。
搬送部1は、車両の対象空間である車室内空間に空調風を送るための空調ユニットである。搬送部1の具体的な構造は、第7実施形態と同じである。送風ダクト15は、通風管であり、一端が搬送部1の空調ケーシングに接続され、他端が吹出部37に接続される。
吹出部37は、車室内の天井における、車両前後方向の座席31と座席31xの間に配置される。つまり、吹出部37は、車両の前後方向における座席31の後側かつ座席31xの前側に配置される。また、吹出部37の吹出口は、一方側電極33に対向している。
また、送風ダクト15における搬送部1と吹出部37の間には、空気帯電化部2が配置されている。空気帯電化部2の構成は、第7実施形態と同じである。すなわち、空気帯電化部2は、第1電極21と、第2電極22と、電源部23とを有している。第1電極21、第2電極22は送風ダクト15の内部に配置される。電源部23は送風ダクト15の外部に配置されて、第4実施形態と同様に、第1電極21、第2電極22の間に電圧を印加することで、コロナ放電を発生させる。
搬送部1によって送風ダクト15に送られた空気は、送風ダクト15を通って吹出部37の吹出口から吹き出される場合、吹出部37から電極34側に流れる。このように、電極34は、吹出部37から吹き出された空気の流れの、吹出部37よりも下流側に配置されている。本実施形態では、吹出部37から吹き出される空気は帯電しているが、仮に吹出部37から吹き出される空気が帯電していなかったとしても、その空気は、吹出部37から電極34側に流れる。
以下、このような構成の車両用空調装置の作動について説明する。搬送部1によって送風ダクト15に送られた空気が、送風ダクト15内で空気帯電化部2を通過するときに、上述のコロナ放電によって負のイオンを発生する。これにより、空気が負の極性に帯電する。負の極性に帯電した空気は、送風ダクト15を通り、吹出部37の吹出口から、車室内に吹き出される。
負に帯電した状態で吹き出された空気は、吹出口の対向方向である一方側電極33に向けて、車両の前後方向の座席31と座席31xの間を流れる。そして、吹出部37から負に帯電した空気が吹き出されている間、電圧制御部48は、一方側電極33、他方側電極34に、所定の直流電圧を印加することで、一方側電極33、他方側電極34を正に帯電させる。
したがって、吹出部37から吹き出されて負に帯電している空気は、クーロン力によって、一方側電極33、他方側電極34の方向に引き付けられる。その結果、一方側電極33、他方側電極34が帯電していない場合に比べ、空気は、より高い流速で一方側電極33に向かって流れる共に、座席31の背もたれ部に沿って流れる。これにより、車両の前後方向の座席31と座席31xの間に、帯電した空気のエアカーテンが形成される。このエアカーテンにより、例えば、車両の座席31側と座席31x側の間の熱伝達を抑制することができる。これにより、例えば、車両の座席31側と座席31x側で個別の目標温度で空調を行う場合、その個別空調を効率良く行うことができる。
このように、本実施形態では、帯電した状態で吹出部37から吹き出された空気を一方側電極33、他方側電極34で吸引することにより、搬送部1が空気を搬送するために必要な電力を抑制しつつ、遠方への送風が可能となる。すなわち、吹出部37から吹き出された空気を車両の床まで到達させることができる。また、一方側電極33、他方側電極34は電流を流さないため、電力を消費しない。
なお、本実施形態において、一方側電極33、他方側電極34のうち一方を廃してもよい。また、エアカーテンを形成するのは、前席と後席の間ではなく、右側座席と左側座席の間でもよい。その場合、吹出部37と一方側電極33、他方側電極34の位置が、車両幅方向における右側座席と左側座席の間に配置される。
(第30実施形態)
次に第30実施形態について、図43を用いて説明する。本実施形の車両用空調装置は、第29実施形態の車両用空調装置に対して、一方側電極33が廃され、かつ、吸込部53、吸引装置54、吸引ダクト55が追加されている。その他の構成は、第29実施形態と同じである。なお、本実施形態では、第29実施形態で他方側電極34と称していたものを、単に電極34という。
車室内から空気を吸い込む管形状の吸込部53は、車両の前後方向における座席31と座席31xの間の床に配置される。つまり、一方側電極33は、車両の前後方向における座席31の後側かつ座席31xの前側に配置される。座席31は前席であり、座席31xは後席である。吸込部53の吸込口は、車両の天井側に対向する姿勢で配置される。本実施形態の吹出部37の吹出口は、吸込部53に対向している。
吸引装置54は、ファン等の空気を吸引して吹き出す装置であり、その吸い込み側に吸込部53が接続され、吹出側に吸引ダクト55の一端が配置されている。吸引装置54は、吸込部53を介して車室内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を吸引ダクト55に吹き出す。
吸引ダクト55は、その一端が吸引装置54に接続され、他端が搬送部1に接続される。吸引装置54によって吸引ダクト55内に吹き出された空気は、吸引ダクト55内を通って搬送部1に送られる。搬送部1は、吸引ダクト55を通って搬送部1に送られた空気を、吸い込み、送風ダクト15に搬送する。
なお、搬送部1によって送風ダクト15に送られた空気は、送風ダクト15を通って吹出部37の吹出口から吹き出される場合、吹出部37から電極34側に流れる。このように、電極34は、吹出部37から吹き出された空気の流れの、吹出部37よりも下流側に配置されている。本実施形態では、吹出部37から吹き出される空気は帯電しているが、仮に吹出部37から吹き出される空気が帯電していなかったとしても、その空気は、吹出部37から電極34側に流れる。
以下、このような構成の車両用空調装置の作動について説明する。搬送部1によって吸引ダクト55から吸い込まれて送風ダクト15に送られた空気は、送風ダクト15内で空気帯電化部2を通過するときに、上述のコロナ放電によって負のイオンを発生する。これにより、空気が負の極性に帯電する。負の極性に帯電した空気は、送風ダクト15を通り、吹出部37の吹出口から、車室内に吹き出される。
負に帯電した状態で吹き出された空気は、吹出口の対向方向にある吸込部53に向けて、車両の前後方向の座席31と座席31xの間を流れる。そして、吹出部37から負に帯電した空気が吹き出されている間、電圧制御部48は、電極34に所定の直流電圧を印加することで、電極34を正に帯電させる。
したがって、吹出部37から吹き出されて負に帯電している空気は、クーロン力によって、電極34の方向に引き付けられる。その結果、電極34が帯電していない場合に比べ、空気は、より高い流速で吹出部37に向かって流れると共に、電極34に引き寄せられることで、座席31の背もたれ部に沿って流れる。そして、吸引装置54の吸引力により、吹出部37から吹き出て吸込部53に吸い込まれる空気の流量が増大する。これにより、車両の前後方向の座席31と座席31xの間に、帯電した空気のエアカーテンが形成される。このエアカーテンにより、例えば、車両の座席31側と座席31x側の間の熱伝達を抑制することができる。これにより、例えば、車両の座席31側と座席31x側で個別の目標温度で空調を行う場合、その個別空調を効率良く行うことができる。
このように、吸引装置54は、吹出部37から吹き出された空気の流れの、吹出部37よりも下流側に配置された吸込部53を介して、当該空気を吸い込む。そして吸引装置54は、吸い込んだ空気を、搬送部1に接続される吸引ダクト55に送出することで、吸込部53から吸い込まれた空気を吹出部37から吹き出させる。これにより、空気は、吹出部37、車室内、吸込部53、吸引装置54、吸引ダクト55、搬送部1、送風ダクト15をこの順に循環する。このような作動の吸引装置54が設けられた場合、電極34の吸引作用によって、吸引装置の省電力化が可能となる。また、第29実施形態と同等の構成からは、同等の効果を得ることができる。
なお、本実施形態において、一方側電極33が、吸込部53の近傍に配置されていてもよい。また、エアカーテンを形成するのは、前席と後席の間ではなく、右側座席と左側座席の間でもよい。その場合、吹出部37、吸込部53、電極34、の位置が、車両幅方向における右側座席と左側座席の間に配置される。
(第31実施形態)
次に第31実施形態について、図44−図50を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、車両に搭載され、図44に示すように、搬送部1、空気帯電化部2、第1電極61、第2電極62、第3電極63、第4電極64、制御部65を備えている。車室内にいる乗員30が対象物に対応し、車室内の空間が対象空間に対応する。
搬送部1が車室内に搬送する空気を空気帯電化部2が帯電させ、制御部65が電極61−64を適切なタイミングで帯電させることで、クーロン力によって空気が乗員30に到達し易くなる。
搬送部1は、空気を車室内に気流として搬送する。空気帯電化部2は、搬送部1によって対象空間に搬送される空気を帯電させる。搬送部1、空気帯電化部2の構成は、第1実施形態と同様である。
電極61−64は、経路67の近傍において、経路67に沿った複数箇所に並んで配置されている。経路67は、搬送部1によって車室内に搬送されて空気帯電化部2によって帯電された空気が乗員30に近付いて到達する搬送経路である。この経路67に沿って、乗員30から遠い側から順に、第1電極61、第2電極62、第3電極63、第4電極64がこの順に並んでいる。本実施形態では、経路67に沿って並んで配置される電極の数は4つであるが、電極の数は2つでも3つでもよいし、5つ以上でもよい。
第1電極61、第2電極62、第3電極63は、経路67の近傍に存在する構造物60に取り付けられている。構造物60は、例えば、天井であってもよいし、窓であってもよいし、床であってもよい。第4電極64は、乗員30の皮膚に直接取り付けられてもよいし、乗員30に接触する物(例えば、座席、シートベルト、服、サングラス)に取り付けられていてもよい。
制御部65は、空気帯電化部2の作動およびを制御する装置である。第1制御部3は、例えば処理装置であるCPU、書き込み可能な揮発性の記憶媒体であるRAM、書き込み不可能な不揮発性の記憶媒体であるROM、書き込み可能な不揮発性の記憶媒体であるフラッシュメモリ等を備えている。CPUは、ROM、フラッシュメモリに記録されたプログラムを実行することで、後述する空気帯電化部2および電極61−65への電圧印加制御を実現する。そしてCPUは、その処理において、RAM、フラッシュメモリを作業領域として使用する。以下、このCPUが行う制御を、制御部65が行う制御として説明する。RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。
なお、制御部65による電極61−65への電圧印加制御によって、電極61−65の各々の基準電位(例えば、車両のボデーの電位)に対する電位が制御される。つまり、電極61−65の各々に或る電圧が印加される場合、当該電極の電位が当該基準電位よりも当該電圧分だけ高くなる。
以下、上記のような構成の車両用空調装置の作動について説明する。まず、搬送部1は、乗員30等のユーザの起動操作によって起動し、車室内に継続的に空気を搬送する。そして、搬送部1によって搬送される空気の風速は、ユーザの操作に応じて変化する。
例えば、風量を設定するための不図示の風量調整スイッチに対するユーザの操作に応じて、風量が多く設定された場合は風速が増大し、風量が少なく設定された場合は風速が減少する。また例えば、車室内の目標温度を設定する不図示の温度設定スイッチに対するユーザの操作に応じて、冷房時に目標温度が低く設定された場合は風速が増大し、目標温度が高く設定された場合は風速が減少する。そして、温度設定スイッチに対するユーザの操作に応じて、暖房時に目標温度が高く設定された場合は風速が増大し、目標温度が低く設定された場合は風速が減少する。
そして、制御部65は、図45に示す処理を実行する。図45に示す処理において、制御部65は、まずステップS405で、風速レベルを特定する。風速レベルは、搬送部1によって搬送される空気の風速が高ければ高いほど高くなる量である。制御部65は、この風速レベルを、搬送部1から不図示の通信線を介して取得する。例えば、上述の風量調整スイッチで設定された風量の情報を風速レベルとして取得してもよいし、搬送部1において空気を付勢する装置(例えばファン)に対して供給する電圧レベルの情報を風速レベルとして取得してもよい。
続いて制御部65は、続くステップS410で、直前のステップS405で特定した風速レベルに基づいて、搬送部1によって搬送される空気の風速がゼロであるか否かを判定する。そして、風速がゼロより大きければステップS420に進み、ゼロであればステップS450に進む。
ステップS420では、空気帯電化部2を制御して、搬送部1によって搬送される空気を負の極性に帯電させる。これにより、搬送部1によって搬送されて空気帯電化部2の位置にある空気が、負の極性に帯電化される。
なお、ステップS405、S410、S420、S430、S440の処理が繰り返されることで、空気が帯電化される期間と、空気が帯電化されない期間とが繰り返し交互に発生する。空気が帯電化されない期間は、ある回のステップS420で空気が帯電された直後から、次の回のステップS420で空気が帯電化される直前までの期間である。これにより、空気帯電化部2による空気の帯電化が、断続的に行われる。この結果、帯電化した空気と帯電化していない空気とが経路67に沿って交互に搬送されることになる。つまり、帯電化した空気が、経路67に沿って断続的に搬送されることになる。
続いてステップS430では、電極61−64への電圧印加のスケジュールを、直前のステップS405で決定した風速レベルに基づいて決定する。具体的には、図46に示すようなスケジュールを決定する。図46では、縦軸が電圧を示し、横軸が時間を示す。そして、電圧V1、電圧V2、電圧V3、電圧V4が、それぞれ、第1電極61、第2電極62、第3電極63、第4電極64への印加電圧である。また、時刻ゼロは、最後に空気帯電化部2が空気を帯電化した時刻を示す。
図46のスケジュールでは、時刻ゼロよりも後の期間t1に第1電極61のみに正極性の電圧が印加される。そして、その後の期間t2に第2電極62のみに正極性の電圧が印加される。そして、その後の期間t3に第3電極63のみに正極性の電圧が印加される。そして、その後の期間t4に第4電極64のみに正極性の電圧が印加される。期間t1、t2、t3、t4は、時間的に連続していてもよいし、時間的に離散的であってもよい。電極61−64の各々について、正極性の電圧が印加されていない期間は、電圧が印加されず、無極性となる。このように、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極を経路67における空気の進行方向に順次切り換えていくスケジュールを作成する。
また、制御部65は、電極61−64のうち、空気の帯電と逆極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ手前の電極を無極性とするスケジュールを作成する。例えば、第2電極62に正極性の電圧が印加される際に、第1電極61を無極性とする。
また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ以上先の電極を無極性とするスケジュールを作成する。例えば、第2電極62に正極性の電圧が印加される際に、第3電極63および第4電極64を無極性とする。
また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極よりも空気の進行方向の2つ以上手前の電極を無極性とするスケジュールを作成する。例えば、第4電極64に正極性の電圧が印加される際に、第2電極62および第1電極61を無極性とする。このようにすることで、無駄なエネルギー消費を減らすことができる。
制御部65は、期間t1、t2、t3、t4の長さを、風速レベルが高い程、正極性の電圧を印加する電極の切り替えを速くして空気の流れに追従するため、短くする。期間t1、t2、t3、t4は、互いに同じ長さであっても、互いに異なっていてもよい。期間t1、t2、t3、t4の風速レベルに応じた長さの情報は、あらかじめ、実験等により、電極61−64の位置等に応じて決められて、制御部65のメモリに記録されている。
続いて制御部65はステップS440で、直前のステップS430で決定したスケジュールに従って、電極61−64に印加する電圧を制御する。これにより、スケジュールの通りに、電極61−64に電圧が印加される。
すると、期間t1には、図47に示すように、帯電化した空気が経路67における第1電極61の手前にあると共に、第1電極61のみが正極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に引き寄せられる。
その後、図48に示すように、帯電化した空気が第1電極61の近傍を通り過ぎて経路67における第2電極62の手前にある期間t2には、第2電極62のみが正極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に引き寄せられる。
その後、図49に示すように、帯電化した空気が第2電極62の近傍を通り過ぎて経路67における第3電極63の手前にある期間t3には、第3電極63のみが正極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に引き寄せられる。
その後、図50に示すように、帯電化した空気が第3電極63の近傍を通り過ぎて経路67における第4電極64の手前にある期間t4には、第4電極64のみが正極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に引き寄せられ、乗員30に到達する。
制御部65は、スケジュールに従った電圧の印加が終了すると、ステップS440を終えて、ステップS405に戻る。
以上説明した通り、制御部65は、経路67に沿って空気が流れることを促進するよう、電極61−64の電位を制御する。制御部65のこのような制御により、空気がより容易に対象物に送られる。具体的には、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極を経路67における空気の進行方向に順次切り換えていくことで、空気を経路67の進行方向に引き寄せていき、最終的に乗員30に到達させる。制御部65のこのような制御により、空気を進行方向に引き寄せることができ、ひいては、空気の搬送効率が向上する。
また、制御部65は、電極61−64のうち、空気の帯電と逆極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ手前および2つ以上手前のすべての電極を無極性とすることで、空気を経路の進行方向の逆側に引き寄せることを抑制する。制御部65のこのような制御により、空気を進行方向とは逆側に無駄に引き寄せてしまう可能性を低減することができる。
また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ以上先のすべての電極を無極性とする。このようにすることで、無駄なエネルギー消費を減らすことができる。
また、搬送部1および空気帯電化部2は、帯電化した空気を断続的に搬送する。そして、制御部65は、ステップS405、S410、S420、S430、S440の処理の繰り返しにより、帯電化した空気が搬送される度に、当該空気の風速に応じたスケジュールで、電極61−64に電圧を印加する。このように、帯電した空気が断続的に搬送されることで、制御部65において、電極61−64の制御のタイミングに合った形態で、帯電した空気を供給することができる。
なお、本実施形態においては、経路67に沿って配置される電極の数は複数であるが、そのような電極の数は1つでもよい。電極が1つであっても、例えば、制御部65は、帯電化した空気が当該電極の手前にあるときには当該電極に空気とは逆の極性で電圧を印加し、帯電化した空気が当該電極の先にあるときには当該電極を無極性としてもよい。このようにすることで、制御部65は、経路67に沿って空気が流れることを促進するよう、当該電極の電位を制御することができる。
また、本実施形態では、空気帯電化部2による空気の帯電化が断続的に行われることにより、搬送部1が継続的に空気を搬送しても、帯電化した空気が経路67に沿って断続的に搬送される。しかし、帯電化した空気を経路67に沿って断続的に搬送する方法は、このようなものに限られない。例えば、搬送部1が断続的に空気を搬送することにより、空気帯電化部2が継続的に空気を帯電させても、帯電した空気が経路67に沿って断続的に搬送される。
(第32実施形態)
次に第32実施形態について、図51−図55を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置の構成は、第31実施形態の車両用空調装置の構成と同じである。また、本実施形態の制御部65は、第31実施形態と同様、図45に示した処理を行う。本実施形態が第31実施形態と異なるのは、制御部65が図45のステップS430で作成してステップS440で実行する電圧印加のスケジュールである。
具体的には、制御部65は、ステップS420に続くステップS430で、電極61−64への電圧印加のスケジュールを、直前のステップS405で決定した風速レベルに基づいて決定する。具体的には、図51に示すようなスケジュールを決定する。図51のグラフの記載形式は、図46と同じである。
図51のスケジュールでは、時刻ゼロおよびそれ以降の期間t1よりも後の期間t2に第1電極61のみに負極性の電圧が印加される。そして、その後の期間t3に第2電極62のみに負極性の電圧が印加される。そして、その後の期間t4に第3電極63のみに負極性の電圧が印加される。期間t1、t2、t3、t4は、時間的に連続していてもよいし、時間的に離散的であってもよい。電極61−64の各々について、負極性の電圧が印加されていない期間は、電圧が印加されず、無極性となる。このように、制御部65は、電極61−63のうち空気の帯電と同極性となる電極を経路67における空気の進行方向に順次切り換えていくスケジュールを作成する。なお、このスケジュールにおいて、第4電極64は常に無極性となる。
また、制御部65は、電極61−64のうち、空気の帯電と同極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ先の電極を無極性とするスケジュールを作成する。例えば、第2電極62に負極性の電圧が印加される際に、第3電極63を無極性とする。
また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と同極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ以上手前の電極を無極性とするスケジュールを作成する。例えば、第3電極63に負極性の電圧が印加される際に、第2電極62および第1電極61を無極性とする。
また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と同極性となる電極よりも空気の進行方向の2つ以上先の電極を無極性とするスケジュールを作成する。例えば、第1電極61に負極性の電圧が印加される際に、第3電極63および第4電極64を無極性とする。このようにすることで、無駄なエネルギー消費を減らすことができる。
制御部65は、期間t1、t2、t3、t4の長さを、風速レベルが高い程、負極性の電圧を印加する電極の切り替えを速くして空気の流れに追従するため、短くする。その他の期間t1、t2、t3、t4の長さに関する形態は、第31実施形態と同じである。
続いて制御部65はステップS440で、直前のステップS430で決定したスケジュールに従って、電極61−64に印加する電圧を制御する。これにより、スケジュールの通りに、電極61−64に電圧が印加される。
すると、期間t1には、図52に示すように、帯電化した空気が経路67における第1電極61の手前にあると共に、電極61−64のいずれも無極性となっている。その結果、帯電した空気は、搬送部1によって付勢されて、経路67に沿って、移動する。
その後、図53に示すように、帯電化した空気が第1電極61の近傍を通り過ぎて経路67における第2電極62の手前にある期間t2には、第1電極61のみが負極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に押し進められる。
その後、図54に示すように、帯電化した空気が第2電極62の近傍を通り過ぎて経路67における第3電極63の手前にある期間t3には、第2電極62のみが負極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に押し進められる。
その後、図55に示すように、帯電化した空気が第3電極63の近傍を通り過ぎて経路67における第4電極64の手前にある期間t4には、第3電極63のみが負極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に押し進められ、乗員30に到達する。
制御部65は、スケジュールに従った電圧の印加が終了すると、ステップS440を終えて、ステップS405に戻る。
以上説明した通り、制御部65は、経路67に沿って空気が流れることを促進するよう、電極61−64の電位を制御する。制御部65のこのような制御により、空気がより容易に対象物に送られる。具体的には、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と同極性となる電極を経路67における空気の進行方向に順次切り換えていくことで、空気を経路67の進行方向に押し進めていき、最終的に乗員30に到達させる。制御部65のこのような制御により、空気を進行方向に押し進めることができ、ひいては、空気の搬送効率が向上する。
また、制御部65は、電極61−64のうち、空気の帯電と同極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ先および2つ以上先のすべての電極を無極性とすることで、空気を経路の進行方向の逆側に押し戻すことを抑制する。制御部65のこのような制御により、空気を進行方向とは逆側に無駄に押し戻してしまう可能性を低減することができる。
また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と同極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ以上手前のすべての電極を無極性とする。このようにすることで、無駄なエネルギー消費を減らすことができる。
搬送部1および空気帯電化部2は、帯電化した空気を断続的に搬送する。そして、制御部65は、ステップS405、S410、S420、S430、S440の処理の繰り返しにより、帯電化した空気が搬送される度に、当該空気の風速に応じたスケジュールで、電極61−64に電圧を印加する。このように、帯電した空気が断続的に搬送されることで、制御部65において、電極61−64の制御のタイミングに合った形態で、帯電した空気を供給することができる。
なお、本実施形態においては、経路67に沿って配置される電極の数は複数であるが、第31実施形態で説明したのと同じ理由により、そのような電極の数は1つでもよい。また、本実施形態における帯電化した空気を経路67に沿って断続的に搬送する方法のバリエーションは、第31実施形態と同様である。
(第33実施形態)
次に第33実施形態について、図56−図60を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置の構成は、第31実施形態の車両用空調装置の構成と同じである。また、本実施形態の制御部65は、第31実施形態と同様、図45に示した処理を行う。本実施形態が第31実施形態と異なるのは、制御部65が図45のステップS430で作成してステップS440で実行する電圧印加のスケジュールである。
具体的には、制御部65は、ステップS420に続くステップS430で、電極61−64への電圧印加のスケジュールを、直前のステップS405で決定した風速レベルに基づいて決定する。具体的には、図56に示すようなスケジュールを決定する。図56のグラフの記載形式は、図46と同じである。
図56のスケジュールでは、時刻ゼロよりも後の期間t1に第1電極61のみに正極性の電圧が印加される。そして、その後の期間t2に第1電極61に負極性の電圧が印加され、第2電極62に正極性の電圧が印加される。そして、その後の期間t3に第2電極62に負極性の電圧が印加され、第3電極63に正極性の電圧が印加される。そして、その後の期間t4に第3電極63に負極性の電圧が印加され、第4電極64に正極性の電圧が印加される。電極61−64の各々について、正極性の電圧も負極性の電圧も印加されていない期間は、電圧が印加されず、無極性となる。このように、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極を経路67における空気の進行方向に順次切り換えていくスケジュールを作成する。それに加え、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極よりも経路67の進行方向の1つ手前の電極を空気の帯電と同極性とするスケジュールを作成する。
また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ以上先の電極を無極性とするスケジュールを作成する。例えば、第2電極62に正極性の電圧が印加される際に、第3電極63および第4電極64を無極性とする。また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と同極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ以上手前の電極を無極性とするスケジュールを作成する。例えば、第3電極63に負極性の電圧が印加される際に、第2電極62および第1電極61を無極性とする。これらのようにすることで、無駄なエネルギー消費を減らすことができる。
制御部65は、期間t1、t2、t3、t4の長さを、風速レベルが高い程、正電圧を印加する電極の切り替えおよび正電圧を印加する電極の切り替えを速くして空気の流れに追従するため、短くする。その他の期間t1、t2、t3、t4の長さに関する形態は、第31実施形態と同じである。
続いて制御部65はステップS440で、直前のステップS430で決定したスケジュールに従って、電極61−64に印加する電圧を制御する。これにより、スケジュールの通りに、電極61−64に電圧が印加される。
すると、期間t1には、図57に示すように、帯電化した空気が経路67における第1電極61の手前にあると共に、第1電極61のみが正極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に引き寄せられる。
その後、図58に示すように、帯電化した空気が第1電極61の近傍を通り過ぎて経路67における第2電極62の手前にある期間t2には、第1電極61が負極性で帯電化され、第2電極62が正極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に引き寄せられると共に経路67の進行方向に押し進められる。
その後、図59に示すように、帯電化した空気が第2電極62の近傍を通り過ぎて経路67における第3電極63の手前にある期間t3には、第2電極62が負極性で帯電化され、第3電極63が正極性で帯電化される。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に引き寄せられると共に経路67の進行方向に押し進められる。
その後、図60に示すように、帯電化した空気が第3電極63の近傍を通り過ぎて経路67における第4電極64の手前にある期間t4には、第3電極63が負極性で帯電化され、第4電極64が正極性で帯電化されている。その結果、クーロン力により、帯電化した空気が経路67の進行方向に引き寄せられると共に経路67の進行方向に押し進められ、乗員30に到達する。
制御部65は、スケジュールに従った電圧の印加が終了すると、ステップS440を終えて、ステップS405に戻る。
以上説明した通り、制御部65は、経路67に沿って空気が流れることを促進するよう、電極61−64の電位を制御する。制御部65のこのような制御により、空気がより容易に対象物に送られる。具体的には、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極を経路67における空気の進行方向に順次切り換えていくことで、空気を経路67の進行方向に引き寄せていく。それと共に制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と同極性となる電極を経路67における空気の進行方向に順次切り換えていくことで、空気を経路67の進行方向に押し進めていく。その結果、帯電した空気が最終的に乗員30に到達する。制御部65のこのような制御により、空気を進行方向に引き寄せると同時に進行方向に押し進めることができ、ひいては、空気の搬送効率が向上する。
また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と逆極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ以上先のすべての電極を無極性とする。また、制御部65は、電極61−64のうち空気の帯電と同極性となる電極よりも空気の進行方向の1つ以上手前のすべての電極を無極性とする。このようにすることで、無駄なエネルギー消費を減らすことができる。
なお、本実施形態における帯電化した空気を経路67に沿って断続的に搬送する方法のバリエーションは、第31実施形態と同様である。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、センサから車両の外部環境情報(例えば車外の湿度)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例および均等範囲の変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、車両用空調装置は、車両においてイオンを供給する以外の用途で空気を対象空間に搬送する搬送部(1)と、前記対象空間において帯電している対象物の位置に関連して前記空気の流れをクーロン力で調整するよう、前記空気を帯電させる空気帯電化部(2)と、を有する。
また、第2の観点によれば、前記空気帯電化部は、前記車両内において帯電している前記対象物に空気を近づけるよう、前記空気を前記対象物とは逆の極性に帯電させる。このようにすることで、空気と対象物が互いに逆の極性に帯電することによって発生するクーロン力を利用して、空気が対象物へより接近し易くなる。
また、第3の観点によれば、車両用空調装置は、前記対象物を所定の極性に帯電させる対象帯電化部(4)を備える。このように、対象帯電化部が対象物を所定の極性に帯電させることで、対象物の積極的な帯電化を実現できる。ひいては、空気が対象物へより接近し易くなる。
また、第4の観点によれば、前記対象物の周辺にある構造物(12)に対する前記空気の電位差の絶対値(13)が、前記対象物に対する空気の電位差の絶対値(14)以下となる。これにより、空気が対象物よりも構造物に吸引されてしまう可能性を低減することができる。ひいては、空気が対象物へより接近し易くなる。
また、第5の観点によれば、前記対象物が前記構造物と逆の極性で帯電する。このように、構造物と対象物とが逆の極性で帯電することで、すなわち、構造物が空気と同じ極性で帯電することで、空気が対象物よりも構造物に吸引されてしまう可能性をより低減することができる。ひいては、空気が対象物へより接近し易くなる。
また、第6の観点によれば、前記空気が前記対象物の周辺にある構造物(12)と同じ極性で帯電し、前記対象物が前記空気と逆の極性で帯電するよう、前記空気帯電化部および前記対象帯電化部を制御する制御部(3、5)を、車両用空調装置が備える。
このように、空気が構造物と同じ極性で帯電し、かつ対象物と逆の極性で帯電するよう、空気帯電化部および対象帯電化部が制御されるので、空気が対象物へより接近し易くなる。
また、第7の観点によれば、前記対象帯電化部は、互いに対向する2つの電極(41、42)と、前記2つの電極間に電位差が生じるように前記2つの電極に電圧を印加することで前記対象物を帯電させる電圧印加部(43)と、を有する。このようにすることで、2つの電極の間に対象物が入るように2つの電極を配置すれば、対象物が2つの電極に接触しなくても、対象物が帯電する。
また、第8の観点によれば、車両用空調装置は、前記対象物の周辺にある構造物(12)の帯電状態を計測する周辺計測部(7)と、前記空気が前記構造物と同じ極性で帯電するよう、前記空気帯電化部を制御する制御部(3、5)と、を備える。前記制御部は更に、前記構造物の電位が上昇すれば前記空気の電位を上げるよう前記空気帯電化部を制御し、前記構造物の電位が低下すれば前記空気の電位を下げるよう前記空気帯電化部を制御する。このようになっていることで、空気はより対象物へ吸着されやすくなる。
また、第9の観点によれば、車両用空調装置は、前記対象物の帯電状態を計測する帯電計測部(6)と、前記帯電計測部が計測した前記帯電状態に基づいて前記空気の帯電状態を調整するよう、前記空気帯電化部を制御する制御部(3)と、を備える。このようにすることで、対象物の帯電状態に応じて空気の帯電状態を調整することができるので、空気が対象物へより接近し易くなる。
また、第10の観点によれば、前記空気帯電化部は、第1電極(21)と、第2電極(22)と、前記第1電極と前記第2電極の間に電圧を印加することでコロナ放電を発生させる電源部(23)とを有する。このような装置により、容易に空気を帯電化することができる。
また、第11の観点によれば、前記搬送部は、前記車両の前記対象空間である車室内空間に空調風を送るための空調ユニットであり、前記対象物は、前記車室内の構造物(31)であり、当該車両用空調装置は、前記構造物を帯電させる車内帯電化部(33、34)を備え。このようにすることで、車室内において、クーロン力を利用して、構造物の位置に関連して空気の流れを調整することができる。
また、第12の観点によれば、前記構造物は、前記車室内空間に露出しており、前記車内帯電化部によって前記構造物が帯電化されているときに前記構造物に物が触れたとき、前記構造物の材質により、前記構造物を流れる電流が2mA未満となる。このようになっていることで、仮に構造物が帯電化されているときに人が構造物に触れたとしても、人が電流による不快感を覚える可能性が低減される。
また、第13の観点によれば、前記空気帯電化部は、第1電極(21)と、第2電極(22)と、前記第1電極と前記第2電極の間に電圧を印加することでコロナ放電を発生させる電源部(23)とを有する。このような装置により、容易に空気を帯電化することができる。
また、第14の観点によれば、前記車内帯電化部は、前記車室内における座席の近傍に置かれた一方側電極(33)と、前記座席の座面または背もたれ面を挟んで前記一方側電極と対向する他方側電極(34)と、前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧を印加する電圧印加部(35)と、を有する。このようにすることで、クーロン力を利用して座席の空調を効率よく行うことができる。
また、第15の観点によれば、前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧が印加されたときの前記一方側電極の極性と、前記空気が前記空気帯電化部によって帯電する極性とが逆である。このようにすることで、クーロン力を利用して座席側に空気を誘引することができる。
また、第16の観点によれば、前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧が印加されたときの前記一方側電極の極性と、前記空気が前記空気帯電化部によって帯電する極性とが同じである。このようにすることで、クーロン力を利用して座席側から空気を遠ざけることができる。
また、第17の観点によれば、前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧が印加されたときの前記一方側電極の極性と前記他方側電極の極性とが逆である。このようにすることで、空気を付勢するクーロン力がより強くなる。
また、第18の観点によれば、前記車内帯電化部は、前記空調ユニットの送風モードの変化に基づいて前記構造物の帯電の極性を変化させる。このようにすることで、送風モードの変化に応じた形態でクーロン力を変化させることができる。
また、第19の観点によれば、前記空気帯電化部は、前記空調ユニットの送風モードの変化に基づいて前記空気の極性を変化させる。このようにすることで、送風モードの変化に応じた形態でクーロン力を変化させることができる。
また、第20の観点によれば、前記搬送部は、前記車室内における座席の前方かつ下方にある下肢部空間に前記空気の少なくとも一部を吹き出し、前記車内帯電化部は、前記下肢部空間の下側に置かれた一方側電極(33)と、前記下肢部空間の上側に置かれた他方側電極(34)と、前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧を印加する電圧印加部(35)とを有する。このようにすることで、クーロン力を利用して下肢部空間における空調効果を高めることができる。
また、第21の観点によれば、前記一方側電極は前記空気の帯電とは逆の極性で電圧が印加される。このようにすることで、クーロン力を利用して下肢部空間において上昇気流を抑制することができる。
また、第22の観点によれば、前記搬送部によって搬送された空気をダッシュボード(32)の上面から吹き出す吹出部(37)を備え、前記車内帯電化部は、前記構造物としてフロントウインドウを帯電させる。
車両においては、フロントウインドウの曇り防止のために、空気をダッシュボードの上面から吹き出す場合がある。そのような場合において、上述のように、空気およびフロントウインドウが帯電化されていれば、フロントウインドウを介した車内から車外への熱伝達を制御することができる。
また、第23の観点によれば、前記車内帯電化部は、前記フロントウインドウを前記空気と逆の極性で帯電させる。このようにすることで、フロントウインドウにおいて空気の流れが層流化され、フロントウインドウの隅々まで届くようになる。その結果、フロントウインドウの曇り防止効果が高まる。また、クーロン力によって、フロントウインドウ表面での気流剥離が抑制できるため、フロントウインドウを介した車内から車外への熱伝達を抑制することができる。
また、第24の観点によれば、前記車内帯電化部は、前記車両の天井を前記空気と同じ極性で帯電させる。このようにすることで、フロントウインドウを通った空気を天井で反発させて乗員に届けることが容易になる。
また、第25の観点によれば、前記車内帯電化部は、前記車両の天井の一部を前記空気と異なる極性に帯電させ、前記天井のうち前記一部よりも前記車両の後方側の部分を前記空気と同じ極性に帯電させる。このようにすることで、フロントウインドウを通った空気を天井で反発させて後席の乗員に届けることが容易になる。
また、第26の観点によれば、前記車内帯電化部は、前記フロントウインドウを前記空気と同じ極性で帯電させる。このようにすることで、フロントウインドウの近傍を通る空気を乱流化して、フロントウインドウの外側に熱を伝え、フロントウインドウの外側の霜の除去を効率化することが可能となる。
また、第27の観点によれば、車両用空調装置は、前記搬送部によって搬送された空気を乗員の上半身に向けて吹き出す吹出部(37)と、前記車両の車室内空間に面した壁に配置された一方側電極(33)と、前記車両の上下方向において前記吹出部を基準として前記一方側電極側とは反対側に配置された、または前記車両のダッシュボードに配置された、他方側電極(34)と、を備える。前記車内帯電化部は、前記一方側電極および前記他方側電極の少なくとも一方の電極に電圧を印加することで前記構造物を帯電させる。このように、乗員の上半身に向かって吹き出された空気の気流を制御することで、車室内の空調を効率化することができる。
また、第28の観点によれば、前記車内帯電化部は、前記空気の帯電の極性と同じ極性の電圧を、前記一方側電極に印加する。このようにすることで、車室内空間に面した壁と空気とを反発させることができるので、空気が乗員から離れて拡散することを抑制できる。
第29の観点によれば、車両用空調装置は、車両の車室内と車外との間で熱交換を行わせる構造物(45)を、前記車室内において気流として流れる空気の帯電の極性と同じ極性で、帯電させる構造物帯電化部(47)を備える。
このようにすることで、クーロン力により、気流が構造物に近づきにくくなる。これにより、構造物と気流の接触量および接触頻度が低下し、車外と車室内の間の熱伝導を抑えることができる。
第30の観点によれば、車両用空調装置は、前記車室内の前記空気を、前記構造物の帯電の極性と同じ極性で帯電させる空気帯電化部(2)を備える。このように、空気を特定の極性で強制的に帯電させることで、気流と構造物とを確実に反発させることができる。
第31の観点によれば、前記空気帯電化部は、第1電極(21)と、第2電極(22)と、前記第1電極と前記第2電極の間に電圧を印加することでコロナ放電を発生させる電源部(23)とを有する。このような構成の空気帯電化部により、容易に空気を帯電化することができる。
第32の観点によれば、前記構造物の帯電状態を計測する帯電計測部(6)と、前記帯電計測部が計測した前記構造物の帯電状態に基づいて、前記構造物の帯電の極性と同じ極性で前記空気を帯電させる空気帯電化部(2)とを備える。このようにすることで、より高い確実性で、構造物を空気と同じ極性に帯電化することができる。
第33の観点によれば、前記構造物帯電化部は、前記構造物の表面に設けられた電極(47a)と、前記車室内の基準電位に対して正または負の電位を印加する電圧源(47b)とを有す。このようにすることで、より高い確実性で、構造物を空気と同じ極性に帯電化することができる。
第34の観点によれば、車両用空調装置は、車両の車室内と車外との間で熱交換を行わせる構造物(45)を、前記車外における空気の帯電の極性と同じ極性で帯電させる帯電化部(47)を備える。
このようにすることで、クーロン力により、車室外の空気が構造物に近づきにくくなる。これにより、構造物と車室外の空気の接触量および接触頻度が低下し、車外と車室内の間の熱伝導を抑えることができる。
第35の観点によれば、車両用空調装置は、前記対象空間である車室内に配置された対象物である電極(33)と、前記電極に電圧を印加する電圧印加部(35)と、前記電圧印加部を制御することで、前記電極の極性と電位を調整する制御部(36)と、を備える。このように、車室内においてクーロン力を利用して、電極の極性および電位に関連して空気の流れを調整することができる。
第36の観点によれば、前記制御部は、前記車両の加速度に基づいて、前記電極の極性と電位を調整する。このようにすることで、車両の加速度に応じて空気の流れを制御することができる。
第37の観点によれば、前記制御部は、前記空気の極性および電位、ならびに、前記対象物の近傍の物(30)の極性および電位の組み合わせに基づいて、前記電極の極性と電位を調整する。このようにすることで、より正確に空気の流れをコントロールすることができる。
第38の観点によれば、車両用空調装置は、前記搬送部によって搬送されて前記空気帯電化部によって帯電した前記空気を吹き出す吹出部(37)と、1つ以上の電極(33、34)と、電源(49)から入力配線(51)を介して電力の供給を受け、受けた電力により所定の直流電圧を出力配線(52)を介して前記1つ以上の電極に出力することで、前記1つ以上の電極を前記空気とは逆の極性に帯電させる電圧制御部(48)と、を備える。前記電極は、前記吹出部から吹き出された前記空気の流れの、前記吹出部よりも下流側に配置される。
このようになっていることで、帯電した空気を電極で吸引することができる。ひいては、搬送部が空気を搬送するのに必要な電力を抑制しつつ、空気をより遠くまで送ることができる。
第39の観点によれば、前記吹出部は、前記車両の内部の天井に配置され、前記1つ以上の電極は、前記車両の前後方向における前席と後席の間に配置された電極と、前記前席に配置された電極とを含む。
このようにすることで、車室内の天井から帯電した空気を搬送し、前席と構成の間の電極および前席の電極で吸引することで、搬送部が空気を搬送するのに必要な電力を抑制しつつ、空気をより遠くまで送ることができる。これにより、前席と後席の間にエアカーテンが形成される。
第40の観点によれば、車両用空調装置は、前記吹出部から吹き出された前記空気の流れの、前記吹出部よりも下流側に配置された吸込部(53)を介して前記空気を吸い込むと共に前記搬送部に接続される吸引ダクト(55)に前記空気を送出することで、前記吸込部から吸い込まれた前記空気を前記吹出部から吹き出させる吸引装置(54)を備える。このような作動の吸引装置が設けられた場合、電極の吸引作用によって、吸引装置の省電力化が可能となる。
第41の観点によれば、車両用空調装置は、前記搬送部によって前記対象空間に搬送された空気が前記対象物に近付く経路の近傍に配置される1つ以上の電極(61、62、63、64)と、前記経路に沿って前記空気が流れることを促進するよう、前記1つ以上の電極への電圧の印加を制御する制御部(65)と、を備える。制御部のこのような制御により、空気がより容易に対象物に送られる。
第42の観点によれば、前記1つ以上の電極は、前記経路に沿って複数の箇所に配置された複数の電極であり、前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と逆極性となる電極を前記経路における前記空気の進行方向に順次切り換えていくことで、前記空気を前記経路の進行方向に引き寄せる。制御部のこのような制御により、空気を進行方向に引き寄せることができ、ひいては、空気の搬送効率が向上する。
第43の観点によれば、前記制御部は、前記複数の電極のうち、前記空気の帯電と逆極性となる電極よりも前記空気の進行方向の手前の電極を無極性とすることで、前記空気を前記経路の進行方向の逆側に引き寄せることを抑制する。制御部のこのような制御により、空気を進行方向とは逆側に無駄に引き寄せてしまう可能性を低減することができる。
第44の観点によれば、前記1つ以上の電極は、前記経路に沿って複数の箇所に配置された複数の電極であり、前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と同極性となる電極を前記経路における前記空気の進行方向に順次切り換えていくことで、前記空気を前記経路の進行方向に押し進める。制御部のこのような制御により、空気を電極に対して反発させることで、空気を進行方向に押し進めることができ、ひいては、空気の搬送効率が向上する。
第45の観点によれば、前記制御部は、前記複数の電極のうち、前記空気の帯電と同極性となる電極よりも前記空気の進行方向における先の電極を無極性とすることで、前記空気を前記経路の進行方向の逆側に押し戻すことを抑制する。制御部のこのような制御により、空気を進行方向とは逆側に無駄に押し戻してしまう可能性を低減することができる。
第46の観点によれば、前記1つ以上の電極は、前記経路に沿って複数の箇所に配置された複数の電極であり、前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と逆極性となる電極を前記経路における前記空気の進行方向に順次切り換えていくことで、前記空気を前記経路の進行方向に引き寄せ、前記複数の電極のうち、前記空気の帯電と逆極性となる電極よりも前記空気の進行方向の手前の電極を前記空気の帯電と同極性とすることで、前記空気を前記経路の進行方向に押し進める。
制御部のこのような制御により、逆極性の電極により空気を進行方向に引き寄せると共に同極性の電極により空気を進行方向に押し進めることができる。ひいては、空気の搬送効率が向上する。
第47の観点によれば、前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と逆極性となる電極よりも前記空気の進行方向にある電極を無極性とする。このようにすることで、無駄なエネルギー消費を減らすことができる。
第48の観点によれば、前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と同極性となる電極よりも前記空気の進行方向の手前の電極を無極性とする。このようにすることで、無駄なエネルギー消費を減らすことができる。
第49の観点によれば、前記搬送部および前記空気帯電化部は、帯電化した前記空気を断続的に搬送する。このように、帯電した空気が断続的に搬送されることで、電極の制御のタイミングに合った形態で、帯電した空気を供給することができる。
1 搬送部
2 空気帯電化部
4 対象帯電化部
15 送風ダクト
30 乗員
31 座席
33 一方側電極
34 他方側電極

Claims (49)

  1. 車両においてイオンを供給する以外の用途で空気を対象空間に搬送する搬送部(1)と、
    前記対象空間において帯電している対象物の位置に関連して前記空気の流れをクーロン力で調整するよう、前記空気を帯電させる空気帯電化部(2)と、を有する車両用空調装置。
  2. 前記空気帯電化部は、前記車両内において帯電している前記対象物に空気を近づけるよう、前記空気を前記対象物とは逆の極性に帯電させる、請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記対象物を所定の極性に帯電させる対象帯電化部(4)を備えた、請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記対象物の周辺にある構造物(12)に対する前記空気の電位差の絶対値(13)が、前記対象物に対する空気の電位差の絶対値(14)以下となる、請求項3に記載の車両用空調装置。
  5. 前記対象物が前記構造物と逆の極性で帯電する、請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 前記空気が前記対象物の周辺にある構造物(12)と同じ極性で帯電し、前記対象物が前記空気と逆の極性で帯電するよう、前記空気帯電化部および前記対象帯電化部を制御する制御部(3、5)を備えた、請求項3に記載の車両用空調装置。
  7. 前記対象帯電化部は、互いに対向する2つの電極(41、42)と、前記2つの電極間に電位差が生じるように前記2つの電極に電圧を印加することで前記対象物を帯電させる電圧印加部(43)と、を有する請求項3ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  8. 前記対象物の周辺にある構造物(12)の帯電状態を計測する周辺計測部(7)と、
    前記空気が前記構造物と同じ極性で帯電するよう、前記空気帯電化部を制御する制御部(3、5)と、を備え、
    前記制御部は更に、前記構造物の電位が上昇すれば前記空気の電位を上げるよう前記空気帯電化部を制御し、前記構造物の電位が低下すれば前記空気の電位を下げるよう前記空気帯電化部を制御する、請求項2に記載の車両用空調装置。
  9. 前記対象物の帯電状態を計測する帯電計測部(6)と、
    前記帯電計測部が計測した前記帯電状態に基づいて前記空気の帯電状態を調整するよう、前記空気帯電化部を制御する制御部(3)と、を備えた請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  10. 前記空気帯電化部は、第1電極(21)と、第2電極(22)と、前記第1電極と前記第2電極の間に電圧を印加することでコロナ放電を発生させる電源部(23)とを有する、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  11. 前記搬送部は、前記車両の前記対象空間である車室内空間に空調風を送るための空調ユニットであり、
    前記対象物は、前記車室内の構造物(31)であり、
    当該車両用空調装置は、前記構造物を帯電させる車内帯電化部(33、34)を備えた、請求項1に記載の車両用空調装置。
  12. 前記構造物は、前記車室内空間に露出しており、
    前記車内帯電化部によって前記構造物が帯電化されているときに前記構造物に物が触れたとき、前記構造物の材質により、前記構造物を流れる電流が2mA未満となる、請求項11に記載の車両用空調装置。
  13. 前記空気帯電化部は、第1電極(21)と、第2電極(22)と、前記第1電極と前記第2電極の間に電圧を印加することでコロナ放電を発生させる電源部(23)とを有する、請求項11または12に記載の車両用空調装置。
  14. 前記車内帯電化部は、前記車室内における座席の近傍に置かれた一方側電極(33)と、前記座席の座面または背もたれ面を挟んで前記一方側電極と対向する他方側電極(34)と、前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧を印加する電圧印加部(35)と、を有する、請求項11ないし13のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  15. 前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧が印加されたときの前記一方側電極の極性と、前記空気が前記空気帯電化部によって帯電する極性とが逆である、請求項14に記載の車両用空調装置。
  16. 前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧が印加されたときの前記一方側電極の極性と、前記空気が前記空気帯電化部によって帯電する極性とが同じである、請求項14に記載の車両用空調装置。
  17. 前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧が印加されたときの前記一方側電極の極性と前記他方側電極の極性とが逆である、請求項15または16に記載の車両用空調装置。
  18. 前記車内帯電化部は、前記空調ユニットの送風モードの変化に基づいて前記構造物の帯電の極性を変化させる、請求項11に記載の車両用空調装置。
  19. 前記空気帯電化部は、前記空調ユニットの送風モードの変化に基づいて前記空気の極性を変化させる、請求項11に記載の車両用空調装置。
  20. 前記搬送部は、前記車室内における座席の前方かつ下方にある下肢部空間に前記空気の少なくとも一部を吹き出し、
    前記車内帯電化部は、前記下肢部空間の下側に置かれた一方側電極(33)と、前記下肢部空間の上側に置かれた他方側電極(34)と、前記一方側電極と前記他方側電極の間に電圧を印加する電圧印加部(35)とを有する、請求項11、18、19のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  21. 前記一方側電極は前記空気の帯電とは逆の極性で電圧が印加される、請求項20に記載の車両用空調装置。
  22. 前記搬送部によって搬送された空気をダッシュボード(32)の上面から吹き出す吹出部(37)を備え、
    前記車内帯電化部は、前記構造物としてフロントウインドウを帯電させる、請求項11に記載の車両用空調装置。
  23. 前記車内帯電化部は、前記フロントウインドウを前記空気と逆の極性で帯電させる、請求項22に記載の車両用空調装置。
  24. 前記車内帯電化部は、前記車両の天井を前記空気と同じ極性で帯電させる、請求項23に記載の車両用空調装置。
  25. 前記車内帯電化部は、前記車両の天井の一部を前記空気と異なる極性に帯電させ、前記天井のうち前記一部よりも前記車両の後方側の部分を前記空気と同じ極性に帯電させる、請求項23に記載の車両用空調装置。
  26. 前記車内帯電化部は、前記フロントウインドウを前記空気と同じ極性で帯電させる、請求項22に記載の車両用空調装置。
  27. 前記搬送部によって搬送された空気を乗員の上半身に向けて吹き出す吹出部(37)と、
    前記車両の車室内空間に面した壁に配置された一方側電極(33)と、
    前記車両の上下方向において前記吹出部を基準として前記一方側電極側とは反対側に配置された、または前記車両のダッシュボードに配置された、他方側電極(34)と、を備え、
    前記車内帯電化部は、前記一方側電極および前記他方側電極の少なくとも一方の電極に電圧を印加することで前記構造物を帯電させる、請求項11に記載の車両用空調装置。
  28. 前記車内帯電化部は、前記空気の帯電の極性と同じ極性の電圧を、前記一方側電極に印加する、請求項27に記載の車両用空調装置。
  29. 車両の車室内と車外との間で熱交換を行わせる構造物(45)を、前記車室内において気流として流れる空気の帯電の極性と同じ極性で、帯電させる構造物帯電化部(47)を備えた車両用空調装置。
  30. 前記車室内の前記空気を、前記構造物の帯電の極性と同じ極性で帯電させる空気帯電化部(2)を備えた、請求項29に記載の車両用空調装置。
  31. 前記空気帯電化部は、第1電極(21)と、第2電極(22)と、前記第1電極と前記第2電極の間に電圧を印加することでコロナ放電を発生させる電源部(23)とを有する、請求項30に記載の車両用空調装置。
  32. 前記構造物の帯電状態を計測する帯電計測部(6)と、
    前記帯電計測部が計測した前記構造物の帯電状態に基づいて、前記構造物の帯電の極性と同じ極性で前記空気を帯電させる空気帯電化部(2)とを備えた請求項29に記載の車両用空調装置。
  33. 前記構造物帯電化部は、前記構造物の表面に設けられた電極(47a)と、前記車室内の基準電位に対して正または負の電位を印加する電圧源(47b)とを有する、請求項29ないし32のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  34. 車両の車室内と車外との間で熱交換を行わせる構造物(45)を、前記車外における空気の帯電の極性と同じ極性で帯電させる帯電化部(47)を備えた車両用空調装置。
  35. 前記対象空間である車室内に配置された対象物である電極(33)と、
    前記電極に電圧を印加する電圧印加部(35)と、
    前記電圧印加部を制御することで、前記電極の極性と電位を調整する制御部(36)と、を備えた、請求項1に記載の車両用空調装置。
  36. 前記制御部は、前記車両の加速度に基づいて、前記電極の極性と電位を調整する、請求項35に記載の車両用空調装置。
  37. 前記制御部は、前記空気の極性および電位、ならびに、前記対象物の近傍の物(30)の極性および電位の組み合わせに基づいて、前記電極の極性と電位を調整する、請求項35または36に記載の車両用空調装置。
  38. 前記搬送部によって搬送されて前記空気帯電化部によって帯電した前記空気を吹き出す吹出部(37)と、
    1つ以上の電極(33、34)と、
    電源(49)から入力配線(51)を介して電力の供給を受け、受けた電力により所定の直流電圧を出力配線(52)を介して前記1つ以上の電極に出力することで、前記1つ以上の電極を前記空気とは逆の極性に帯電させる電圧制御部(48)と、を備え、
    前記電極は、前記吹出部から吹き出された前記空気の流れの、前記吹出部よりも下流側に配置される、請求項1に記載の車両用空調装置。
  39. 前記吹出部は、前記車両の内部の天井に配置され、前記1つ以上の電極は、前記車両の前後方向における前席と後席の間に配置された電極と、前記前席に配置された電極とを含む、請求項38に記載の車両用空調装置。
  40. 前記吹出部から吹き出された前記空気の流れの、前記吹出部よりも下流側に配置された吸込部(53)を介して前記空気を吸い込むと共に、前記搬送部に接続される吸引ダクト(55)に前記空気を送出することで、前記吸込部から吸い込まれた前記空気を前記吹出部から吹き出させる吸引装置(54)を備えた、請求項38または39に記載の車両用空調装置。
  41. 前記搬送部によって前記対象空間に搬送された空気が前記対象物に近付く経路の近傍に配置される1つ以上の電極(61、62、63、64)と、
    前記経路に沿って前記空気が流れることを促進するよう、前記1つ以上の電極への電圧の印加を制御する制御部(65)と、を備えた、請求項1に記載の車両用空調装置。
  42. 前記1つ以上の電極は、前記経路に沿って複数の箇所に配置された複数の電極であり、
    前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と逆極性となる電極を前記経路における前記空気の進行方向に順次切り換えていくことで、前記空気を前記経路の進行方向に引き寄せる、請求項41に記載の車両用空調装置。
  43. 前記制御部は、前記複数の電極のうち、前記空気の帯電と逆極性となる電極よりも前記空気の進行方向の手前の電極を無極性とすることで、前記空気を前記経路の進行方向の逆側に引き寄せることを抑制する、請求項42に記載の車両用空調装置。
  44. 前記1つ以上の電極は、前記経路に沿って複数の箇所に配置された複数の電極であり、
    前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と同極性となる電極を前記経路における前記空気の進行方向に順次切り換えていくことで、前記空気を前記経路の進行方向に押し進める、請求項41に記載の車両用空調装置。
  45. 前記制御部は、前記複数の電極のうち、前記空気の帯電と同極性となる電極よりも前記空気の進行方向における先の電極を無極性とすることで、前記空気を前記経路の進行方向の逆側に押し戻すことを抑制する、請求項44に記載の車両用空調装置。
  46. 前記1つ以上の電極は、前記経路に沿って複数の箇所に配置された複数の電極であり、
    前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と逆極性となる電極を前記経路における前記空気の進行方向に順次切り換えていくことで、前記空気を前記経路の進行方向に引き寄せ、前記複数の電極のうち、前記空気の帯電と逆極性となる電極よりも前記空気の進行方向の手前において、前記空気の帯電と同極性となる電極を前記経路における前記空気の進行方向に順次切り換えることで、前記空気を前記経路の進行方向に押し進める、請求項41に記載の車両用空調装置。
  47. 前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と逆極性となる電極よりも前記空気の進行方向にある電極を無極性とする、請求項42、43および46のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  48. 前記制御部は、前記複数の電極のうち前記空気の帯電と同極性となる電極よりも前記空気の進行方向の手前の電極を無極性とする、請求項44ないし46のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  49. 前記搬送部および前記空気帯電化部は、帯電化した前記空気を断続的に搬送する、請求項41ないし48のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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