各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す仮想軸である中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向である。Y軸方向は、Z軸方向およびX軸方向の両方と直交する方向である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向Z」と呼び、X軸方向と平行な方向を「左右方向X」と呼び、Y軸方向と平行な方向を「前後方向Y」と呼ぶ。左右方向Xにおいては、X軸方向の正の側(+X側)を「右側」と呼び、X軸方向の負の側(−X側)を「左側」と呼ぶ。前後方向Yにおいては、Y軸方向の正の側(+Y側)を「前側」と呼び、Y軸方向の負の側(−Y側)を「後側」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
本実施形態において、下側は、軸方向一方側に相当する。本実施形態において、平面視とは、軸方向Zに沿って上側または下側から観察することを意味する。なお、上下方向、左右方向、前後方向、上側、下側、右側、左側、前側、および後側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図1および図2に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置1に搭載される。アクチュエータ装置1は、運転者のシフト操作に基づいてロックギアGをロック状態LSとアンロック状態ULSとの間で切り換える。アクチュエータ装置1は、車両のギアがパーキングである場合に、ロックギアGをロック状態LSとし、車両のギアがパーキング以外の場合に、ロックギアGをアンロック状態ULSとする。
ロックギアGは、車軸に連結されたギアである。図1および図2に示すように、ロックギアGは、外周面に複数の歯部Gaを有し、前後方向Yに延びる回転軸Gj回りに回転する。なお、図1は、ロックギアGがロック状態LSである場合を示しており、図2は、ロックギアGがアンロック状態ULSである場合を示している。
図1および図2に示すように、アクチュエータ装置1は、電動アクチュエータ10と、可動部2と、ロックアーム3と、を備える。アクチュエータ装置1は、電動アクチュエータ10によって可動部2を介してロックアーム3を操作し、ロックギアGの状態を切り換え可能である。
図3に示すように、電動アクチュエータ10は、モータ部40と、減速機構50と、出力部60と、ハウジング11と、バスバーユニット90と、回路基板70と、モータ部センサ71と、出力部センサ72と、を備える。
モータ部40は、モータシャフト41と、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ロータ本体42と、ステータ43と、モータ部用センサマグネット45と、マグネットホルダ46と、を有する。モータシャフト41は、軸方向Zに延びる。
第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41を中心軸J1回りに回転可能に支持する。本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。
モータシャフト41は、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部41aを有する。偏心軸部41aは、モータシャフト41のうち第3ベアリング44cに支持される部分である。偏心軸J2は、中心軸J1と平行である。偏心軸部41aは、偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定される。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されるロータコアと、ロータコアの外周部に固定されるロータマグネットとを含む。
ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に隙間を介して配置される。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコアと、複数のインシュレータと、複数のコイルとを含む。各々のコイルは、インシュレータを介してステータコアのティースに装着される。
マグネットホルダ46は、中心軸J1を中心とする円環状である。マグネットホルダ46は、モータシャフト41の上側の端部における外周面に固定される。モータ部用センサマグネット45は、中心軸J1を中心とする円環板状である。モータ部用センサマグネット45の板面は、軸方向Zと直交する。モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46の上面のうち径方向外周縁部に固定される。これにより、モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46を介してモータシャフト41に取り付けられる。本実施形態において、モータ部用センサマグネット45は、回路基板70の下側の面と隙間を介して軸方向Zに対向する。
減速機構50は、モータ部40に連結される。本実施形態において減速機構50は、モータシャフト41の下側に連結される。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置される。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、複数の突出部54と、を有する。なお、減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結されてもよい。この場合、上側が軸方向一方側に相当する。
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部が設けられる。図示は省略するが、外歯ギア51の歯車部は、外歯ギア51の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。外歯ギア51は、モータシャフト41の偏心軸部41aに第3ベアリング44cを介して連結される。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結される。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング44cはモータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結する。
外歯ギア51は、複数の穴部51aを有する。本実施形態において穴部51aは、外歯ギア51を軸方向Zに貫通する。図4に示すように、複数の穴部51aは、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数の穴部51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。穴部51aの軸方向Zに沿って見た形状は、円形状である。穴部51aは、内径が突出部54の外径よりも大きい。なお、穴部51aは、底部を有する穴であってもよい。
図3に示すように、内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側を囲む。内歯ギア52は、外歯ギア51と噛み合う。より詳細には、内歯ギア52の歯車部は、外歯ギア51の歯車部と噛み合う。内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52の歯車部は、内歯ギア52の径方向内側面に設けられ、内歯ギア52の内周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。内歯ギア52の外周部は、例えば正十二角形などの多角形状とされ、後述する第2蓋部材14に回転止めされた状態で固定される。
出力ギア53は、外歯ギア51および内歯ギア52の上側に配置される。すなわち、外歯ギア51は、軸方向Zに沿って見て出力ギア53と重なって配置される。出力ギア53は、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続される。図4に示すように、出力ギア53は、例えば、軸方向Zに沿って見て、中心軸J1を中心とする楕円形状である。本実施形態において出力ギア53は、外周の一部のみに歯車部を有するギアである。本実施形態において出力ギア53の歯車部は、後述する駆動ギア62と噛み合う第1噛合部53aである。すなわち、出力ギア53は、駆動ギア62と噛み合う第1噛合部53aを有する。
第1噛合部53aは、軸方向Zに沿って見た出力ギア53の外形の一部、すなわちモータシャフト41の中心軸J1を中心とする楕円の一部に沿った形状である。第1噛合部53aは、出力ギア53の楕円形状に沿った周方向に延びる。第1噛合部53aの周長は、例えば、楕円形状である出力ギア53の周長の4分の1以上である。第1噛合部53aは、出力ギア53の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
図3に示すように、複数の突出部54は、出力ギア53から外歯ギア51に向かって軸方向Zに突出する。複数の突出部54は、出力ギア53の下面から下側に突出する円筒状である。本実施形態において複数の突出部54は、出力ギア53と一体成形される。図4に示すように、複数の突出部54は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。突出部54の外径は、穴部51aの内径よりも小さい。複数の突出部54は、複数の穴部51aのそれぞれに上側から挿入される。突出部54の外周面は、穴部51aの内側面と内接する。複数の突出部54は、穴部51aの内側面を介して、外歯ギア51を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。図3に示すように、出力部60は、モータ部40の径方向外側に配置される。出力部60は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、マグネットホルダ64と、を有する。
出力シャフト61は、モータシャフト41の軸方向Zに延びる筒状である。このように、出力シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びるため、モータシャフト41の回転を出力シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。出力シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41に連結される。本実施形態において出力シャフト61は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。
出力中心軸J3は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1から径方向に離れて配置される。すなわち、出力シャフト61は、軸方向Zに沿って見て、モータシャフト41から径方向に離れて配置される。そのため、モータシャフト41と出力シャフト61とが軸方向Zに並んで配置される場合に比べて、電動アクチュエータ10を軸方向Zに小型化できる。本実施形態において中心軸J1と出力中心軸J3とは、左右方向Xに間隔を空けて並んで配置される。出力中心軸J3は、例えば、中心軸J1の右側(+X側)に位置する。
出力シャフト61は、下側に開口する。出力シャフト61は、内周面に、スプライン溝を有する。出力シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置される。出力シャフト61には、下側から後述する被駆動シャフト2aが挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフト2aの外周面に設けられたスプライン部が、出力シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト61と被駆動シャフト2aとが連結される。被駆動シャフト2aには、出力シャフト61を介して電動アクチュエータ10の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ10は、被駆動シャフト2aを出力中心軸J3回りに回転させる。
駆動ギア62は、出力シャフト61に固定され出力ギア53と噛み合う。本実施形態において駆動ギア62は、出力シャフト61の外周面に固定される。図4に示すように、駆動ギア62は、出力シャフト61から出力ギア53に向かって延びる。駆動ギア62は、先端部に第1噛合部53aと噛み合う第2噛合部62aを有する。第2噛合部62aは、駆動ギア62に外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する歯車部である。本実施形態において第2噛合部62aは、出力シャフト61の中心軸である出力中心軸J3を中心とする楕円IEの一部に沿った形状である。
楕円IEは、仮想的に示す楕円である。楕円IEは、楕円形状の出力ギア53と同じ形状および大きさの楕円である。図4に示すように、出力ギア53の短軸が中心軸J1と出力中心軸J3とが並ぶ左右方向Xに沿って配置される場合に、楕円IEの長軸は、左右方向Xに沿って配置される。第2噛合部62aは、楕円IEに沿った周方向に延びる。第2噛合部62aの周長は、例えば、楕円IEの周長の4分の1以上である。
駆動ギア62の外縁のうち第2噛合部62aとの間で出力中心軸J3を挟む部分は、出力中心軸J3を中心とする円弧状の円弧部62bである。駆動ギア62の外縁は、出力中心軸J3を中心とする周方向において円弧部62bの両端部と第2噛合部62aの両端部とをそれぞれ繋ぐ一対の直線部62c,62dをさらに有する。直線部62cは、円弧部62bの両端部のうち後側(−Y側)に位置する端部と第2噛合部62aの両端部のうち後側に位置する端部とを繋ぐ。直線部62dは、円弧部62bの両端部のうち前側(+Y側)に位置する端部と第2噛合部62aの両端部のうち前側に位置する端部とを繋ぐ。直線部62cと直線部62dとは、円弧部62bから第2噛合部62aに向かうに従って互いに離れる向きに傾いて直線状に延びる。
図3に示すように、マグネットホルダ64は、出力中心軸J3を中心として軸方向Zに延びる略円筒状の部材である。マグネットホルダ64は、軸方向両側に開口する。マグネットホルダ64は、出力シャフト61の上部に固定される。本実施形態の場合、マグネットホルダ64は、モータ部40の第2ベアリング44bの径方向外側に配置される。マグネットホルダ64は、軸方向Zに見て、回路基板70と部分的に重なる。マグネットホルダ64は、回路基板70よりも下側に配置される。出力シャフト61は、マグネットホルダ64を軸方向Zに貫通する。出力シャフト61は、マグネットホルダ64の内側に圧入される。
出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3を中心とする円環状である。出力部用センサマグネット63は、マグネットホルダ64の上面の外周部に固定される。出力シャフト61にマグネットホルダ64が固定されることで、出力部用センサマグネット63は、マグネットホルダ64を介して出力シャフト61に固定される。出力部用センサマグネット63は、回路基板70の下側の面と隙間を介して対向する。
出力シャフト61の上端部は、マグネットホルダ64の上側に突出する。出力シャフト61の上端部は、回路基板70の側端面を通過して回路基板70よりも上側に突出する。出力シャフト61の上端部には、工具を嵌合可能な操作部OPが設けられる。操作部OPは、例えば、出力中心軸J3に沿って延びる四角柱状または六角柱状である。
モータシャフト41が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、穴部51aの内周面と突出部54の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
ここで、本実施形態では、内歯ギア52は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2回りの回転は、穴部51aと突出部54とを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1回りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う駆動ギア62が出力中心軸J3回りに回転する。これにより、駆動ギア62に固定された出力シャフト61が出力中心軸J3回りに回転する。このようにして、出力シャフト61には、減速機構50を介してモータシャフト41の回転が伝達される。
電動アクチュエータ10において出力シャフト61は、1周しない範囲内で双方向に回転させられる。本実施形態の出力シャフト61は、図4に示す状態から図6に示す状態までの間で回転させられる。以下の説明においては、図4に示す状態を出力シャフト61の回転角度θが0°である状態とし、図5に示す状態を出力シャフト61の回転角度θが0°よりも大きい角度θmである状態とし、図6に示す状態を回転角度θが角度θmよりも大きい角度θeである状態とする。本実施形態では、回転角度θが0°である場合に、図1に示すようにロックギアGがロック状態LSとなり、回転角度θが角度θeである場合に、図2に示すようにロックギアGがアンロック状態ULSとなる。
図5に示す状態は、図4に示す状態から、出力ギア53が中心軸J1を中心として下側から見て時計回りに回転し、駆動ギア62および出力シャフト61が出力中心軸J3を中心として下側から見て反時計回りに角度θmだけ回転させられた状態である。図5に示す状態は、図4に示す状態と図6に示す状態との間の状態である。角度θmは、例えば、15°以上、30°以下程度である。
図6に示す状態は、図5に示す状態から、出力ギア53が中心軸J1を中心として下側から見て時計回りにさらに回転し、駆動ギア62および出力シャフト61が出力中心軸J3を中心として下側から見て反時計回りにさらに回転させられた状態である。図6において駆動ギア62および出力シャフト61は、図4に示す状態に対して、出力中心軸J3を中心として下側から見て反時計回りに角度θeだけ回転させられた状態である。角度θeは、例えば、45°以上、60°以下程度である。
このように本実施形態において出力ギア53と駆動ギア62とは、出力シャフト61の回転角度θが0°から角度θeまでの範囲内で互いに噛み合う。すなわち、第1噛合部53aと第2噛合部62aとは、出力シャフト61の回転角度θが0°から角度θeまでの範囲内で互いに噛み合う。なお、本実施形態において0°は、第1回転角度に相当し、角度θeは、第2回転角度に相当する。
第1噛合部53aと第2噛合部62aとが噛み合う噛合位置EPは、軸方向Zに沿って見て、中心軸J1と出力中心軸J3とを結ぶ直線状に配置される。図4から図6に示すように、軸方向Zに沿って見て、噛合位置EPからモータシャフト41の中心軸J1までの第1距離L1と噛合位置EPから出力シャフト61の出力中心軸J3までの第2距離L2との比は、第1回転角度である0°から第2回転角度である角度θeまでの範囲内の少なくとも一部において変化する。
本実施形態において第1距離L1と第2距離L2との比は、第1回転角度である0°から第2回転角度である角度θeに向かうに従って、連続的に変化する。より詳細には、第1距離L1に対する第2距離L2の比は、第1回転角度である0°から第2回転角度である角度θeに向かうに従って、小さくなる。第1距離L1に対する第2距離L2の比は、L2/L1で表される。
第1距離L1に対する第2距離L2の比が大きいほど、駆動ギア62の回転数に対する出力ギア53の回転数の比である減速比が大きくなり、駆動ギア62を介して出力シャフト61から出力される回転トルクが大きくなる。一方、第1距離L1に対する第2距離L2の比が小さいほど、駆動ギア62の回転数に対する出力ギア53の回転数の比である減速比が小さくなり、駆動ギア62を介して出力シャフト61から出力される回転トルクが小さくなる。なお、第2距離L2が第1距離L1よりも小さくなると、減速比は1よりも小さくなり、駆動ギア62の回転速度は、出力ギア53の回転速度よりも大きくなる。
本実施形態では、回転角度θが0°である場合に、第1距離L1に対する第2距離L2の比が最も大きくなる。そのため、回転角度θが0°である場合に、出力シャフト61から出力される回転トルクが最も大きくなり、電動アクチュエータ10の出力が最も大きくなる。一方、本実施形態では、回転角度θが角度θeである場合に、第1距離L1に対する第2距離L2の比が最も小さくなる。そのため、回転角度θが角度θeである場合に、出力シャフト61から出力される回転トルクが最も小さくなり、電動アクチュエータ10の出力が最も小さくなる。本実施形態において電動アクチュエータ10の出力は、回転角度θが0°から角度θeに変化するのに従って、小さくなる。
第1距離L1と第2距離L2とを足し合わせた和は、中心軸J1と出力中心軸J3との軸間距離であり、回転角度θによらず一定である。図4に示すように、回転角度θが0°である場合において、第2距離L2は、第1距離L1よりも大きい。図5に示すように、回転角度θが角度θmである場合において、第2距離L2は、第1距離L1よりも大きいが、図4に示す回転角度θが0°である場合の第2距離L2よりも小さい。図6に示すように、回転角度θが角度θeである場合において、第2距離L2は、第1距離L1よりも小さい。本実施形態において第1距離L1は、回転角度θが0°から角度θeに向かうに従って連続的に大きくなる。本実施形態において第2距離L2は、回転角度θが0°から角度θeに向かうに従って連続的に小さくなる。
図3に示すように、ハウジング11は、モータ部40、減速機構50、出力部60、回路基板70、およびバスバーユニット90を収容する。ハウジング11は、上側に開口する平面視多角形状のハウジング本体12と、ハウジング本体12の上側の開口部12aに固定される第1蓋部材13と、ハウジング本体12の下側の開口部12bに固定される第2蓋部材14と、を有する。
ハウジング本体12は、電動アクチュエータ10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に設けられるモータケース部32および出力シャフト保持部33と、を有する。すなわち、ハウジング11は、外壁部30と、底壁部31と、モータケース部32と、出力シャフト保持部33と、を有する。
外壁部30は、本実施形態では、軸方向Zに見て五角形の角筒状である。外壁部30は、モータケース部32を径方向外側から囲む。外壁部30の上側の開口部が、ハウジング本体12の上側の開口部12aである。底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁38が設けられる。筒状壁38に囲まれる開口部が、ハウジング本体12の下側の開口部12bである。
図4に示すように、筒状壁38は、出力ギア53および駆動ギア62を囲む。筒状壁38は、第1壁部38aと、第2壁部38bと、第1接続壁部38cと、第2接続壁部38dと、を有する。すなわち、ハウジング11は、第1壁部38aと、第2壁部38bと、第1接続壁部38cと、第2接続壁部38dと、を有する。
第1壁部38aは、出力中心軸J3を中心とする周方向において駆動ギア62の一方側に位置する部分である。第2壁部38bは、出力中心軸J3を中心とする周方向において駆動ギア62の他方側に位置する部分である。第1壁部38aと第2壁部38bとは、出力シャフト61を前後方向Yに挟んで配置される。第1壁部38aは、出力シャフト61の後側(−Y側)に位置する。第2壁部38bは、出力シャフト61の前側(+Y側)に位置する。
第1壁部38aは、左側(−X側)に向かうに従って後側(−Y側)に位置する向きに直線状に延びる。第2壁部38bは、左側に向かうに従って前側(+Y側)に位置する向きに直線状に延びる。第1壁部38aと第2壁部38bとは、左側に向かうに従って前後方向Yに互いに離れる。軸方向Zに沿って見て、第1壁部38aと第2壁部38bとが成す角度φは、90°以下である。本実施形態において角度φは、90°よりも僅かに小さい鋭角である。
図4に示すように、回転角度θが0°である場合に、第1壁部38aには第2噛合部62aが最も接近し、第1壁部38aは、直線部62cと僅かな隙間を介して対向する。図6に示すように、回転角度θが角度θeである場合に、第2壁部38bには第2噛合部62aが最も接近し、第2壁部38bは、直線部62dと僅かな隙間を介して対向する。
第1接続壁部38cは、第1壁部38aの右側(+X側)の端部と第2壁部38bの右側の端部とを繋ぐ部分である。第1接続壁部38cは、出力シャフト61の右側に位置する。第1接続壁部38cは、出力中心軸J3を中心とする円弧状に延びる。第1接続壁部38cは、駆動ギア62の円弧部62bと隙間を介して対向する。第2接続壁部38dは、第1壁部38aの左側(−X側)の端部と第2壁部38bの左側の端部とを繋ぐ部分である。第2接続壁部38dは、出力ギア53の左側および前後方向Yの両側に位置する。
図3に示すように、モータケース部32および出力シャフト保持部33は、底壁部31の上面に設けられる。モータケース部32は、モータ部40を径方向外側から囲む筒状である。本実施形態においてモータケース部32は、中心軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。モータケース部32は、モータ部40を内側に保持する。より詳細には、モータケース部32の内周面に、モータ部40のステータ43が固定される。モータケース部32は、底壁部31から上側に延びる筒状部32bと、筒状部32bの上側の端部から径方向内側に広がる円環板状の区画壁32aと、を有する。
区画壁32aは、軸方向Zに見た中央に、ベアリング保持部32cを有する。ベアリング保持部32cは、軸方向Zに沿って延びる円筒状である。ベアリング保持部32cの内周面に、第2ベアリング44bが保持される。区画壁32aがベアリングホルダを兼ねることにより、電動アクチュエータ10が軸方向Zに大型化することを抑制できる。
出力シャフト保持部33は、底壁部31から上側に延びる円筒状である。出力シャフト保持部33の側面の一部は、モータケース部32の側面に繋がっている。出力シャフト保持部33は、出力シャフト保持部33を軸方向Zに貫通する孔部33aを有する。孔部33aの内側には、円筒状のブッシュ65が嵌め合わされる。
ブッシュ65は、下側の端部に出力中心軸J3を中心とする径方向の外側に突出するフランジ部を有する。ブッシュ65のフランジ部は、駆動ギア62の上面によって下側から支持される。ブッシュ65の内側には、出力シャフト61が嵌め合わされる。ブッシュ65は、出力シャフト61を出力中心軸J3回りに回転可能に支持する。
第1蓋部材13は、下側に開口する収容凹部13bを有する容器状の金属部材である。第1蓋部材13とハウジング本体12とは、第1蓋部材13を軸方向Zに貫通する複数のボルトにより締結される。収容凹部13bには、回路基板70の上面に実装される電子部品および操作部OPが収容される。収容凹部13bには、例えば、回路基板70に実装されるキャパシタ、トランジスタなどが収容される。
第1蓋部材13は、出力シャフト61の上側に位置する開口部13cを有する。開口部13cには、取り外し可能なキャップ15が取り付けられる。キャップ15は、例えば外周面に設けられた雄ネジ部が開口部13cの内周面に設けられた雌ネジ部に締め込まれることで、開口部13cに取り付けられる。キャップ15を取り外すことにより、開口部13cを介して、電動アクチュエータ10の外部から操作部OPに工具を接続可能である。
第2蓋部材14は、減速機構50を下側から覆う。第2蓋部材14は、本実施形態では金属製である。第2蓋部材14は、中心軸J1を中心とする円筒状の内側筒部14aと、中心軸J1を中心とする角筒状の外側筒部14bと、ハウジング本体12に固定される固定筒部14cと、内側筒部14aの下側の端部に位置する底壁部14dと、出力部60と軸方向Zに重なる開口部14eと、を有する。
内側筒部14aは、外側筒部14bよりも内径が小さく、外側筒部14bよりも下側に位置する。内側筒部14aの径方向内側には、第1ベアリング44aが保持される。第1ベアリング44aと底壁部14dとの軸方向Zの間には、予圧部材47が配置される。すなわち、電動アクチュエータ10は、予圧部材47を備える。予圧部材47は、周方向に沿って延びる円環状のウェーブワッシャである。予圧部材47は、底壁部14dの上側の面と第1ベアリング44aの外輪の下側の端部とに接触する。予圧部材47は、第1ベアリング44aの外輪に対して上向きの予圧を加える。
外側筒部14bの径方向内側には、内歯ギア52が保持される。固定筒部14cは、ハウジング本体12の筒状壁38の外周面に固定される。これにより、第2蓋部材14がハウジング本体12に固定される。第2蓋部材14は、出力シャフト61の外周面から径方向外側に広がるシャフトフランジ部61bを下側から支持する。出力シャフト61の下側の端部は、第2蓋部材14の開口部14eを通じて下側に露出する。
バスバーユニット90は、区画壁32aの上面に配置される。バスバーユニット90は、円環板状のバスバーホルダ91と、バスバーホルダ91に保持される複数のバスバー92と、を有する。バスバー92は、例えば、6本設けられる。本実施形態の場合、バスバーホルダ91は、バスバー92をインサート部材とするインサート成形によって作られる。
バスバー92の一方側の端部92aは、バスバーホルダ91の上面から上側へ突出する。本実施形態では、バスバー92の一方側の端部92aは軸方向Zに延びる真っ直ぐな帯状であり、回路基板70を下側から上側に貫通する。端部92aは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続される。図示は省略するが、バスバー92の他方側の端部は、ステータ43のコイルから引き出されるコイル引出線を把持し、半田付けまたは溶接によりコイルと接続される。これにより、ステータ43と回路基板70とが、バスバー92を介して電気的に接続される。
本実施形態において回路基板70は、モータ部40およびバスバーユニット90の上側に配置される。回路基板70は、板面が軸方向Zと直交する板状である。図示は省略するが、回路基板70の軸方向Zに沿って見た形状は、概ね正方形状である。回路基板70は、バスバーユニット90を介して、ステータ43のコイルと電気的に接続される。すなわち、回路基板70は、モータ部40と電気的に接続される。本実施形態において回路基板70は、ハウジング本体12における開口部12aの内側に収容される。回路基板70は、第1蓋部材13によって上側から覆われる。
本実施形態において回路基板70は、複数のボルト96により、モータケース部32の区画壁32aに締結される。ボルト96は、回路基板70と、バスバーホルダ91とを軸方向Zに貫通し、区画壁32aのネジ穴に締結される。この構成によれば、回路基板70とバスバーホルダ91とが共通のボルト96で共締めされ、一体化される。これにより、動作時の振動によって回路基板70とバスバーホルダ91との軸方向Zの間隔が変動することを抑制できる。その結果、バスバー92と回路基板70との接続部分に負荷が掛かることを抑制できる。ボルト96は、例えば、3つ設けられる。
また、本実施形態では、バスバーホルダ91と回路基板70とを別々のボルトを用いて区画壁32aに固定する場合と比較して、バスバーホルダ91と回路基板70との軸方向Zにおける間隔を狭くできる。したがって、バスバーホルダ91を設けることによる電動アクチュエータ10の大型化を抑制できる。
モータ部センサ71は、回路基板70の下面に固定される。より詳細には、モータ部センサ71は、回路基板70の下側の面のうちモータ部用センサマグネット45と隙間を介して軸方向Zに対向する部分に固定される。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出する磁気センサである。モータ部センサ71は、例えば、ホールIC等のホール素子である。モータ部センサ71は、本実施形態では、周方向に沿って3つ設けられる。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出することでモータ部用センサマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
出力部センサ72は、回路基板70の下面に固定される。より詳細には、出力部センサ72は、回路基板70の下側の面のうち出力部用センサマグネット63と隙間を介して軸方向Zに対向する部分に固定される。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出する磁気センサである。出力部センサ72は、例えば、ホールIC等のホール素子である。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して出力シャフト61の回転を検出する。
図1に示すように、可動部2は、被駆動シャフト2aと、連結部2bと、ロッド2cと、支持部2dと、フランジ部2fと、コイルバネ2gと、を有する。被駆動シャフト2aは、軸方向Zに延びる円柱状である。被駆動シャフト2aは、出力中心軸J3に沿って配置される。被駆動シャフト2aは、電動アクチュエータ10によって出力中心軸J3回りに回転させられる。すなわち、被駆動シャフト2aは、出力シャフト61に連結される。これにより、可動部2は、出力シャフト61に連結される。
連結部2bは、被駆動シャフト2aに固定される。連結部2bは、一方向に延びる長方形板状である。図示は省略するが、連結部2bは、一端部に連結部2bを軸方向Zに貫通する固定孔を有する。固定孔には、被駆動シャフト2aが通されて固定される。これにより、連結部2bの一端部は、被駆動シャフト2aに固定される。連結部2bは、被駆動シャフト2aから出力中心軸J3の径方向外側に延びる。
ロッド2cは、左右方向Xに沿って移動可能に配置される。ロッド2cは、右側(+X側)の端部が連結部2bに連結される。支持部2dは、左右方向Xに延びる軸を中心とする円錐台状である。支持部2dの外径は、左側(−X側)から右側に向かうに従って大きくなる。支持部2dは、支持部2dを左右方向Xに貫通する貫通孔2eを有する。貫通孔2eには、ロッド2cの左側の端部が通される。支持部2dは、ロッド2cに対して左右方向Xに移動可能である。支持部2dとロッド2cとは、例えば、同心に配置される。
フランジ部2fは、支持部2dよりも右側(+X側)において、ロッド2cに固定される。コイルバネ2gは、左右方向Xに延びる。コイルバネ2gは、支持部2dとフランジ部2fとの左右方向Xの間に配置される。コイルバネ2gの内側にはロッド2cが通される。コイルバネ2gの右側の端部は、フランジ部2fに固定される。コイルバネ2gの左側(−X側)の端部は、支持部2dに固定される。コイルバネ2gは、支持部2dがロッド2cに対して左右方向Xに相対移動することで伸縮し、支持部2dに対して左右方向Xの弾性力を加える。
可動部2は、電動アクチュエータ10によって駆動される。具体的には、被駆動シャフト2aは、電動アクチュエータ10によって出力中心軸J3回りに回転させられる。被駆動シャフト2aの回転に伴って、連結部2bも出力中心軸J3回りに回転する。ロッド2cは、連結部2bが出力中心軸J3回りに回転することで、左右方向Xに移動する。ロッド2cは、連結部2bが下側から見て反時計回りに回転することで、右側(+X側)に移動する。ロッド2cは、連結部2bが下側から見て時計回りに回転することで、左側(−X側)に移動する。ロッド2cの左右方向Xの移動に伴って、支持部2d、フランジ部2fおよびコイルバネ2gも左右方向Xに移動する。可動部2は、電動アクチュエータ10の出力シャフト61が回転する範囲内で駆動される。
ロックアーム3は、可動部2の左側(−X側)に配置される。ロックアーム3は、回転軸3dを中心として回転可能に配置される。回転軸3dは、前後方向Yに延びる軸である。ロックアーム3は、第1部分3aと、第2部分3bと、を有する。第1部分3aは、回転軸3dから右側(+X側)に延びる。第1部分3aの右側の端部は、支持部2dの外周面に接触する。第2部分3bは、回転軸3dから上側に向かって左側に僅かに傾いて延びる。第2部分3bは、上端部に左側に突出する噛合部3cを有する。
ロックアーム3は、可動部2の移動に伴って移動する。より詳細には、ロックアーム3は、ロッド2cおよび支持部2dの左右方向Xへの移動に伴って、回転軸3d回りに回転する。被駆動シャフト2aおよび連結部2bが図2に示す状態から、下側から見て時計回りに回転すると、ロッド2cおよび支持部2dが左側(−X側)に移動する。支持部2dの外径は、左側から右側(+X側)に向かうに従って大きくなるため、支持部2dが左側に移動すると、支持部2dに接触する第1部分3aが上側に持ち上げられ、ロックアーム3が回転軸3dを中心として後側(−Y側)から見て反時計回りに回転する。これにより、噛合部3cがロックギアGに近づき、図1に示すように、歯部Ga同士の間に噛み合う。これにより、ロックギアGがロック状態LSとなる。
一方、被駆動シャフト2aおよび連結部2bが図1に示す状態から、下側から見て反時計回りに回転すると、ロッド2cおよび支持部2dが右側(+X側)に移動する。支持部2dが右側に移動すると、支持部2dによって持ち上げられていた第1部分3aが自重で、あるいはロックギアGから力を受けて下側に移動し、ロックアーム3が回転軸3dを中心として後側(−Y側)から見て時計回りに回転する。これにより、噛合部3cがロックギアGから離れ、図2に示すように、歯部Ga同士の間から外れる。これにより、ロックギアGがアンロック状態ULSとなる。
本実施形態においては、図1に示すように、電動アクチュエータ10の出力シャフト61の回転角度θが0°である場合にロックギアGがロック状態LSとなる。一方、図2に示すように、電動アクチュエータ10の出力シャフト61の回転角度θが角度θeである場合にロックギアGがアンロック状態ULSとなる。そのため、出力シャフト61の回転角度θが0°から角度θeに変化することで、ロックギアGがロック状態LSからアンロック状態ULSに切り換わり、出力シャフト61の回転角度θが角度θeから0°に変化することで、ロックギアGがアンロック状態ULSからロック状態LSに切り換わる。
ロックギアGをロック状態LSからアンロック状態ULSに切り換える際には、ロックギアGをアンロック状態ULSからロック状態LSに切り換える際に比べて、必要となる電動アクチュエータ10の出力が大きい。これは、以下の理由による。ロック状態LSでは、ロックアーム3がロックギアGと噛み合い、車軸と連結されたロックギアGの回転を止める。そのため、ロックアーム3には、大きな負荷が加えられ、第1部分3aが支持部2dに強く押し付けられる。したがって、ロックギアGをロック状態LSからアンロック状態ULSに切り換える際には、支持部2dを右側(+X側)に移動させるために、比較的大きな力が必要となる。したがって、ロックギアGをロック状態LSからアンロック状態ULSに切り換える際には、必要となる電動アクチュエータ10の出力が比較的大きくなる。
一方、アンロック状態ULSでは、ロックアーム3がロックギアGと噛み合っていないため、ロックギアGからロックアーム3に負荷が加えられていない。これにより、第1部分3aが支持部2dに強く押し付けられず、支持部2dを左右方向Xに移動させやすい。したがって、ロックギアGをアンロック状態ULSからロック状態LSに切り換える際には、必要となる電動アクチュエータ10の出力が比較的小さくなる。
本実施形態によれば、軸方向Zに沿って見て、噛合位置EPからモータシャフト41の中心軸J1までの第1距離L1と噛合位置EPから出力シャフト61の出力中心軸J3までの第2距離L2との比は、第1回転角度である0°から第2回転角度である角度θeまでの範囲内の少なくとも一部において変化する。そのため、0°から角度θeまでの回転角度θの範囲内には、第1距離L1に対する第2距離L2の比が比較的大きくなり電動アクチュエータ10の出力が比較的大きくなる回転角度θと、第1距離L1に対する第2距離L2の比が比較的小さくなり電動アクチュエータ10の出力が比較的小さくなる回転角度θと、が少なくとも含まれる。これにより、電動アクチュエータ10の駆動対象を回転させるために必要な出力の大小に合わせて、駆動対象を回転させる際の電動アクチュエータ10の回転角度θを決めることで、駆動対象に対して好適に出力を加えることができる。
具体的には、駆動対象を回転させるために必要な出力が比較的大きくなる際の出力シャフト61の回転角度θを、電動アクチュエータ10の出力が比較的大きくなる回転角度θとする。また、駆動対象を回転させるために必要な出力が比較的小さくなる際の出力シャフト61の回転角度θを、電動アクチュエータ10の出力が比較的小さくなる回転角度θとする。これにより、電動アクチュエータ10の出力を全体的に大きくすることなく、駆動対象を好適に駆動することができる。したがって、電動アクチュエータ10を小型化できる。
また、例えば、回転角度θによらず電動アクチュエータ10の出力が一定である場合、駆動対象を回転させるために必要な出力が比較的小さい回転角度θにおいて、駆動対象に必要以上に大きい出力が加えられることとなる。そのため、駆動対象を駆動させる際の総仕事量に対して、電動アクチュエータ10の総出力が大きくなりやすく、電動アクチュエータ10のエネルギ効率が低くなりやすい。これに対して、本実施形態によれば、必要となる出力に合わせて回転角度θを決めることで、駆動対象を回転させるために必要な出力が比較的小さくなる際の出力シャフト61の回転角度θを、電動アクチュエータ10の出力が比較的小さくなる回転角度θにすることができる。そのため、駆動対象を必要以上に大きい出力で駆動することを抑制できる。したがって、電動アクチュエータ10のエネルギ効率を向上できる。
また、電動アクチュエータ10の出力が比較的小さくなる場合には、駆動ギア62の回転数に対する出力ギア53の回転数の比である減速比は比較的小さくなる。そのため、必要となる電動アクチュエータ10の出力が比較的小さい回転角度θにおいては、駆動ギア62および出力シャフト61の回転速度を大きくできる。これにより、電動アクチュエータ10の応答性を向上できる。
本実施形態においては電動アクチュエータ10の駆動対象は、アクチュエータ装置1の可動部2である。上述したように、可動部2を駆動するために必要な出力は、ロックギアGをロック状態LSからアンロック状態ULSに切り換える際において比較的大きくなる。これに対して本実施形態では、電動アクチュエータ10の出力が最も大きくなる回転角度θ(θ=0°)において、ロックギアGがロック状態LSとなる。そのため、ロックギアGをロック状態LSからアンロック状態ULSに切り換える際の初期において、電動アクチュエータ10の出力を比較的大きくできる。これにより、ロックアーム3から比較的大きな負荷を加えられた状態の支持部2dを容易に右側に移動させることができる。
回転角度θが0°から角度θeに近づく程、電動アクチュエータ10の出力は小さくなっていく。しかし、ロック状態LSにおける支持部2dを移動させ始めることができれば、ロックアーム3がロックギアGから外れる向きに移動し始め、支持部2dに加えられる負荷は大きく低減される。そのため、支持部2dを移動させるために必要となる電動アクチュエータ10の出力も大幅に小さくなる。すなわち、ロックギアGをロック状態LSからアンロック状態ULSに切り換える際には、可動部2を移動させ始める初期において大きな出力が必要となる一方で、可動部2がある程度移動した後には必要となる出力が小さくなる。これにより、回転角度θが角度θeに近づくに従って電動アクチュエータ10の出力が小さくなっても、可動部2を好適に移動させることができる。一方、電動アクチュエータ10の出力が小さくなる程、出力シャフト61の回転速度が大きくなるため、可動部2の移動速度も大きくなる。したがって、可動部2を移動させるために必要な出力が比較的小さくなった後には、可動部2の移動速度を大きくできる。そのため、電動アクチュエータ10によるロックギアGの状態を切り換える際の応答性を向上できる。
また、本実施形態によれば、駆動ギア62は、出力ギア53に向かって延び、先端部に第2噛合部62aを有する。そのため、例えば駆動ギア62が出力ギア53のように楕円形状のギアである場合に比べて、駆動ギア62を小さくできる。これにより、駆動ギア62を収容するハウジング11を小さくできる。したがって、電動アクチュエータ10をより小型化しやすい。
また、本実施形態によれば、第1距離L1と第2距離L2との比は、第1回転角度である0°から第2回転角度である角度θeに向かうに従って、連続的に変化する。そのため、例えば、第1距離L1と第2距離L2との比が変化しない部分が設けられる場合に比べて、本実施形態のような楕円に沿った形状等、第1噛合部53aおよび第2噛合部62aを比較的単純な形状にしやすい。
また、本実施形態によれば、第1距離L1に対する第2距離L2の比は、第1回転角度である0°から第2回転角度である角度θeに向かうに従って、小さくなる。そのため、回転角度θを0°から角度θeに変化させる際にロックギアGをロック状態LSからアンロック状態ULSに切り換えることで、切り換えを行う初期において比較的大きな出力で可動部2を移動させやすくでき、かつ、徐々に可動部2の移動速度を大きくして応答性を向上できる。このように、第1距離L1に対する第2距離L2の比が0°から角度θeに向かうに従って小さくなる構成は、ロックギアGを切り換えるアクチュエータ装置1の電動アクチュエータ10に適用した場合に、特に有用である。
また、本実施形態によれば、第1噛合部53aは、中心軸J1を中心とする楕円の一部に沿った形状であり、第2噛合部62aは、出力中心軸J3を中心とする楕円IEの一部に沿った形状である。そのため、第1噛合部53aおよび第2噛合部62aを比較的単純な形状としつつ、第1距離L1と第2距離L2との比を変化させることができる。
また、本実施形態によれば、駆動ギア62の外縁のうち第2噛合部62aとの間で出力中心軸J3を挟む円弧部62bは、出力中心軸J3を中心とする円弧状である。そのため、出力シャフト61の回転角度θが変化しても駆動ギア62の右側の部分が、出力中心軸J3の径方向外側に突出しない。これにより、駆動ギア62を収容するハウジング11を小さくでき、電動アクチュエータ10をより小型化しやすい。本実施形態では、筒状壁38の第1接続壁部38cを円弧部62bに沿わせることで、筒状壁38を小さくすることができ、ハウジング11全体を小型化しやすい。
また、本実施形態によれば、ハウジング11は、出力中心軸J3を中心とする周方向において駆動ギア62の一方側に位置する第1壁部38aと、出力中心軸J3を中心とする周方向において駆動ギア62の他方側に位置する第2壁部38bと、を有する。そのため、第1壁部38aと第2壁部38bとによって、駆動ギア62が回転する範囲を制限することができ、出力シャフト61が必要な角度以上に回転することを阻止できる。また、出力中心軸J3の周方向において駆動ギア62と対向する壁部が設けられない場合に比べて、駆動ギア62を囲む筒状壁38を小さくできる。したがって、ハウジング11をより小型化しやすく、電動アクチュエータ10をより小型化しやすい。
また、本実施形態によれば、軸方向Zに沿って見て、第1壁部38aと第2壁部38bとが成す角度φは、90°以下である。そのため、角度φが鈍角である場合に比べて、筒状壁38を小さくできる。したがって、ハウジング11をより小型化しやすく、電動アクチュエータ10をより小型化しやすい。
また、上述した本実施形態の減速機構50の構成によれば、モータシャフト41の回転に対して、出力シャフト61の回転を比較的大きく減速できる。そのため、出力シャフト61の回転トルクを比較的大きくできる。したがって、電動アクチュエータ10を小型化しつつ、電動アクチュエータ10の出力を確保しやすい。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。第1距離L1と第2距離L2との比は、第1回転角度から第2回転角度までの範囲内の少なくとも一部において変化するならば、どのように変化してもよい。第1回転角度から第2回転角度までの範囲内の一部において、第1距離L1と第2距離L2との比が一定であってもよい。第1距離L1に対する第2距離L2の比が、第1回転角度から第2回転角度までの間において増減を繰り返してもよい。
第1噛合部の形状および第2噛合部の形状は、特に限定されない。第1噛合部の形状および第2噛合部の形状は、第1距離L1と第2距離L2との比の変化の仕方に合わせて、適宜決めることができる。第1噛合部の形状および第2噛合部の形状は、多角形状に沿った形状であってもよい。上述した実施形態において出力ギア53は、外周に一部のみ歯車部が設けられる構成としたが、これに限られない。出力ギアは、全周に歯車部が設けられる構成であってもよい。上述した実施形態において出力ギア53は、駆動ギア62と同様に、歯車部である第1噛合部53aが設けられた部分以外が切り欠かれた形状であってもよい。
減速機構の構造は、特に限定されない。減速機構の突出部は外歯ギアに設けられ、減速機構の穴部は出力ギアに設けられてもよい。この場合、突出部は、外歯ギアから出力ギアに向かって突出し、穴部に挿入される。
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。