各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す仮想軸である中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向Z」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
本実施形態において軸方向Zは、所定方向に相当する。上側は、所定方向の一方側に相当し、下側は、所定方向の他方側に相当する。本実施形態において、平面視とは、軸方向Zに沿って上側または下側から観察することを意味する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ10は、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。図1に示すように、電動アクチュエータ10は、モータ部40と、減速機構50と、出力部60と、ハウジング11と、バスバーユニット90と、回路基板70と、モータ部センサ71と、出力部センサ72と、を備える。また、図2に示すように、電動アクチュエータ10は、電子部品73を備える。
図1に示すように、モータ部40は、モータシャフト41と、第1ベアリング44aと、第2ベアリング44bと、第3ベアリング44cと、第4ベアリング44dと、ロータ本体42と、ステータ43と、モータ部用センサマグネット45と、マグネットホルダ46と、を有する。モータシャフト41は、軸方向Zに延びる。
第1ベアリング44aと第2ベアリング44bと第3ベアリング44cと第4ベアリング44dとは、モータシャフト41を中心軸J1回りに回転可能に支持する。本実施形態において、第1ベアリング44a、第2ベアリング44b、第3ベアリング44c、および第4ベアリング44dは、例えば、ボールベアリングである。
モータシャフト41のうち第3ベアリング44cに支持される部分である偏心軸部41aは、中心軸J1と平行で中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心として延びる円柱状である。モータシャフト41のうち偏心軸部41a以外の部分は、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。
ロータ本体42は、モータシャフト41に固定される。ロータ本体42は、モータシャフト41に固定されるロータコアと、ロータコアの外周部に固定されるロータマグネットとを含む。
ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側に隙間を介して配置される。ステータ43は、ロータ本体42の径方向外側を囲む環状である。ステータ43は、例えば、ステータコアと、複数のインシュレータと、複数のコイルとを含む。各々のコイルは、インシュレータを介してステータコアのティースに装着される。
マグネットホルダ46は、中心軸J1を中心とする円環状である。マグネットホルダ46は、モータシャフト41の上側の端部における外周面に固定される。モータ部用センサマグネット45は、中心軸J1を中心とする円環板状である。モータ部用センサマグネット45の板面は、軸方向Zと直交する。モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46の上面のうち径方向外周縁部に固定される。これにより、モータ部用センサマグネット45は、マグネットホルダ46を介してモータシャフト41に取り付けられる。本実施形態において、モータ部用センサマグネット45は、回路基板70の下側の面と隙間を介して軸方向Zに対向する。
減速機構50は、モータ部40に連結される。本実施形態において減速機構50は、モータシャフト41の下側に連結される。減速機構50は、ロータ本体42およびステータ43の下側に配置される。減速機構50は、外歯ギア51と、内歯ギア52と、出力ギア53と、を有する。なお、減速機構50は、モータシャフト41の上側に連結されてもよい。
外歯ギア51は、偏心軸部41aの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア51の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア51は、モータシャフト41に第3ベアリング44cを介して接続される。これにより、減速機構50は、モータシャフト41に連結される。外歯ギア51は、第3ベアリング44cの外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング44cはモータシャフト41と外歯ギア51とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結する。
外歯ギア51は、外歯ギア51を軸方向Zに貫通する複数の孔51aを有する。図示は省略するが、複数の孔51aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。孔51aの軸方向Zに沿って見た形状は、円形状である。
内歯ギア52は、外歯ギア51の径方向外側を囲む。内歯ギア52の歯車部は、外歯ギア51の歯車部と噛み合う。内歯ギア52は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア52の外周部は、例えば正十二角形などの多角形状とされ、後述する第2蓋部材14に回転止めされた状態で固定される。
出力ギア53は、出力ギア本体53aと、複数のピン53bと、を有する。出力ギア本体53aは、外歯ギア51および内歯ギア52の上側に配置される。出力ギア本体53aは、中心軸J1を中心として径方向に広がる円環板状である。出力ギア本体53aの径方向外側面には、歯車部が設けられる。出力ギア本体53aは、モータシャフト41に第4ベアリング44dを介して接続される。
複数のピン53bは、出力ギア本体53aの下面から下側に突出する円筒状である。図示は省略するが、複数のピン53bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。ピン53bの外径は、孔51aの内径よりも小さい。複数のピン53bは、複数の孔51aのそれぞれに上側から通される。ピン53bの外周面は、孔51aの内周面と内接する。孔51aの内周面は、ピン53bを介して、外歯ギア51を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
出力部60は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。出力部60は、モータ部40の径方向外側に配置される。出力部60は、出力シャフト61と、駆動ギア62と、出力部用センサマグネット63と、マグネットホルダ64と、を有する。
出力シャフト61は、軸方向Zに延びる筒状である。このように、出力シャフト61がモータシャフト41と同じ方向に延びるため、モータシャフト41の回転を出力シャフト61に伝達する減速機構50の構造を簡単化できる。出力シャフト61は、減速機構50を介してモータシャフト41に連結される。本実施形態において出力シャフト61は、出力中心軸J3を中心とする円筒状である。出力中心軸J3は、中心軸J1と平行であり、中心軸J1から径方向に離れて配置される。すなわち、モータシャフト41と出力シャフト61とは、モータシャフト41の径方向に離れて配置される。そのため、モータシャフト41と出力シャフト61とが軸方向Zに並んで配置される場合に比べて、電動アクチュエータ10を軸方向Zに小型化できる。なお、モータシャフト41と出力シャフト61とは、軸方向Zに並んで配置されてもよい。
出力シャフト61は、下側に開口する。出力シャフト61は、内周面に、スプライン溝を有する。出力シャフト61は、モータシャフト41の径方向においてロータ本体42と重なる位置に配置される。出力シャフト61には、下側から被駆動シャフトDSが挿入されて連結される。より詳細には、被駆動シャフトDSの外周面に設けられたスプライン部が、出力シャフト61の内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト61と被駆動シャフトDSとが連結される。被駆動シャフトDSには、出力シャフト61を介して電動アクチュエータ10の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ10は、被駆動シャフトDSを出力中心軸J3回りに回転させる。
駆動ギア62は、出力シャフト61に固定され出力ギア53と噛み合う。本実施形態において駆動ギア62は、出力シャフト61の外周面に固定される。駆動ギア62は、出力シャフト61から出力ギア53に向かって延びる。図示は省略するが、駆動ギア62は、平面視で扇形のギアである。駆動ギア62は、出力ギア53側の端部に歯車部を有する。駆動ギア62の歯車部は、出力ギア53の歯車部と噛み合う。
マグネットホルダ64は、出力中心軸J3を中心として軸方向Zに延びる略円筒状の部材である。マグネットホルダ64は、軸方向両側に開口する。マグネットホルダ64は、出力シャフト61の上部に固定される。本実施形態の場合、マグネットホルダ64は、モータ部40の第2ベアリング44bの径方向外側に配置される。マグネットホルダ64は、軸方向Zに見て、回路基板70と部分的に重なる。マグネットホルダ64は、回路基板70よりも下側に配置される。出力シャフト61は、マグネットホルダ64を軸方向Zに貫通する。出力シャフト61は、マグネットホルダ64の内側に圧入される。
出力部用センサマグネット63は、出力中心軸J3を中心とする円環状である。出力部用センサマグネット63は、マグネットホルダ64の上面の外周部に固定される。出力シャフト61にマグネットホルダ64が固定されることで、出力部用センサマグネット63は、マグネットホルダ64を介して出力シャフト61に固定される。出力部用センサマグネット63は、回路基板70の下側の面と隙間を介して対向する。
出力シャフト61の上端部は、マグネットホルダ64の上側に突出する。出力シャフト61の上端部は、回路基板70の側端面を通過して回路基板70よりも上側に突出する。出力シャフト61の上端部には、工具を嵌合可能な操作部OPが設けられる。操作部OPは、例えば、出力中心軸J3に沿って延びる四角柱状または六角柱状である。
モータシャフト41が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部41aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部41aの公転は第3ベアリング44cを介して外歯ギア51に伝達され、外歯ギア51は、孔51aの内周面とピン53bの外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア51の歯車部と内歯ギア52の歯車部との噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア52に、外歯ギア51を介してモータシャフト41の回転力が伝達される。
ここで、本実施形態では、内歯ギア52は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア52に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア51が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア51の回転する向きは、モータシャフト41の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア51の偏心軸J2回りの回転は、孔51aとピン53bとを介して、出力ギア53に伝達される。これにより、出力ギア53が中心軸J1回りに回転する。出力ギア53には、モータシャフト41の回転が減速されて伝達される。
出力ギア53が回転すると、出力ギア53に噛み合う駆動ギア62が出力中心軸J3回りに回転する。これにより、駆動ギア62に固定された出力シャフト61が出力中心軸J3回りに回転する。このようにして、出力部60には、減速機構50を介してモータ部40の回転が伝達される。
バスバーユニット90は、ステータ43の上側に位置する。バスバーユニット90は、ハウジング11における後述する区画壁32aの上面に配置される。バスバーユニット90は、円環板状のバスバーホルダ91と、バスバーホルダ91に保持される複数のバスバー92と、を有する。バスバー92は、例えば、6本設けられる。本実施形態の場合、バスバーホルダ91は、バスバー92をインサート部材とするインサート成形によって作られる。
バスバー92の一方側の端部92aは、バスバーホルダ91の上面から上側へ突出する。本実施形態では、バスバー92の一方側の端部92aは軸方向Zに延びる真っ直ぐな帯状であり、回路基板70を下側から上側に貫通する。端部92aは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続される。図示は省略するが、バスバー92の他方側の端部は、ステータ43のコイルから引き出されるコイル引出線を把持し、半田付けまたは溶接によりコイルと接続される。これにより、ステータ43と回路基板70とが、バスバー92を介して電気的に接続される。
本実施形態において回路基板70は、モータ部40およびバスバーユニット90の上側に配置される。回路基板70は、モータシャフト41の上側に位置する。回路基板70は、板面が軸方向Zを向く板状である。回路基板70の板面は、例えば、軸方向Zと直交する。図示は省略するが、回路基板70の軸方向Zに沿って見た形状は、概ね正方形状である。回路基板70は、バスバーユニット90を介して、ステータ43のコイルと電気的に接続される。すなわち、回路基板70は、モータ部40と電気的に接続される。
図2に示すように、電子部品73は、回路基板70における上側の面に取り付けられる。本実施形態において電子部品73は、複数設けられる。本実施形態において電子部品73は、コンデンサ74と、トランジスタ75と、を含む。図示は省略するが、トランジスタ75は、複数設けられる。複数のトランジスタ75は、例えば、モータ部40に供給される電力を制御するインバータ回路を構成する。
本実施形態においてコンデンサ74は、複数設けられる。図3に示すように、コンデンサ74は、例えば、4つ設けられる。図4に示すように、本実施形態においてコンデンサ74は、上側の面に防爆弁74aを有する電解コンデンサである。防爆弁74aは、コンデンサ74の内部の圧力が所定の値よりも高くなった場合に開き、コンデンサ74の内部の圧力を開放可能な弁である。コンデンサ74は、軸方向Zに延びる円柱状である。図2に示すように、コンデンサ74の上側の端部は、トランジスタ75よりも上側に位置する。なお、図1においては、電子部品73の図示を省略している。
図1に示すように、モータ部センサ71は、回路基板70の下面に固定される。より詳細には、モータ部センサ71は、回路基板70の下側の面のうちモータ部用センサマグネット45と隙間を介して軸方向Zに対向する部分に固定される。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出する磁気センサである。モータ部センサ71は、例えば、ホールIC等のホール素子である。モータ部センサ71は、本実施形態では、周方向に沿って3つ設けられる。モータ部センサ71は、モータ部用センサマグネット45の磁界を検出することでモータ部用センサマグネット45の回転位置を検出してモータシャフト41の回転を検出する。
出力部センサ72は、回路基板70の下面に固定される。より詳細には、出力部センサ72は、回路基板70の下側の面のうち出力部用センサマグネット63と隙間を介して軸方向Zに対向する部分に固定される。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出する磁気センサである。出力部センサ72は、例えば、ホールIC等のホール素子である。出力部センサ72は、出力部用センサマグネット63の磁界を検出することで出力部用センサマグネット63の回転位置を検出して出力シャフト61の回転を検出する。
ハウジング11は、モータ部40、減速機構50、出力部60、回路基板70、電子部品73、およびバスバーユニット90を収容する。ハウジング11は、上側に開口する平面視多角形状のハウジング本体12と、ハウジング本体12の上側の開口部12aに固定される第1蓋部材13と、ハウジング本体12の下側の開口部12bに固定される第2蓋部材14と、を有する。
ハウジング本体12は、電動アクチュエータ10の筐体を構成する角筒状の外壁部30と、外壁部30の下側の端部から径方向内側に広がる底壁部31と、底壁部31に設けられるモータケース部32および出力シャフト保持部33と、を有する。すなわち、ハウジング11は、外壁部30と、底壁部31と、モータケース部32と、出力シャフト保持部33と、を有する。
外壁部30は、本実施形態では、軸方向Zに見て五角形の角筒状である。外壁部30は、モータケース部32を径方向外側から囲む。外壁部30の上側の開口部が、ハウジング本体12の上側の開口部12aである。開口部12aの内側には、回路基板70が収容される。
底壁部31は、下側に開口する開口部を有する。底壁部31の開口部の周縁に、底壁部31から下側に突出する筒状の筒状壁31aが設けられる。筒状壁31aに囲まれる開口部が、ハウジング本体12の下側の開口部12bである。モータケース部32および出力シャフト保持部33は、底壁部31の上面に設けられる。
モータケース部32は、モータ部40を径方向外側から囲む筒状である。本実施形態においてモータケース部32は、中心軸J1を中心とし、下側に開口する円筒状である。モータケース部32は、モータ部40を内側に保持する。より詳細には、モータケース部32の内周面に、モータ部40のステータ43が固定される。モータケース部32は、底壁部31から上側に延びる筒状部32bと、筒状部32bの上側の端部から径方向内側に広がる円環板状の区画壁32aと、を有する。
区画壁32aは、ステータ43とバスバーユニット90との軸方向Zの間に位置する。区画壁32aは、軸方向Zに見た中央に、ベアリング保持部32cを有する。ベアリング保持部32cは、軸方向Zに沿って延びる円筒状である。ベアリング保持部32cの内周面に、第2ベアリング44bが保持される。区画壁32aがベアリングホルダを兼ねることにより、電動アクチュエータ10が軸方向Zに大型化することを抑制できる。
区画壁32aには、複数のボルト96により回路基板70が固定される。ボルト96は、回路基板70の上側から、回路基板70とバスバーホルダ91とを軸方向Zに貫通し、区画壁32aのネジ穴に締結される。この構成によれば、回路基板70とバスバーホルダ91とが共通のボルト96で共締めされ、一体化される。これにより、動作時の振動によって回路基板70とバスバーホルダ91との軸方向Zの間隔が変動することを抑制できる。その結果、バスバー92と回路基板70との接続部分に負荷が掛かることを抑制できる。ボルト96は、例えば、3つ設けられる。
また、本実施形態では、バスバーホルダ91と回路基板70とを別々のボルトを用いて区画壁32aに固定する場合と比較して、バスバーホルダ91と回路基板70との軸方向Zにおける間隔を狭くできる。したがって、バスバーホルダ91を設けることによる電動アクチュエータ10の大型化を抑制できる。
出力シャフト保持部33は、底壁部31から上側に延びる円筒状である。出力シャフト保持部33の側面の一部は、モータケース部32の側面に繋がっている。出力シャフト保持部33は、出力シャフト保持部33を軸方向Zに貫通する孔部33aを有する。孔部33aの内側には、円筒状のブッシュ65が嵌め合わされる。
ブッシュ65は、下側の端部に出力中心軸J3を中心とする径方向の外側に突出するフランジ部を有する。ブッシュ65のフランジ部は、駆動ギア62の上面によって下側から支持される。ブッシュ65の内側には、出力シャフト61が嵌め合わされる。ブッシュ65は、出力シャフト61を出力中心軸J3回りに回転可能に支持する。
第1蓋部材13は、下側に開口する容器状の金属部材である。第1蓋部材13は、例えば、ダイカストによって作られる。第1蓋部材13は、回路基板70および電子部品73を上側から覆う。第1蓋部材13とハウジング本体12とは、第1蓋部材13を軸方向Zに貫通する複数のボルトにより締結される。図1および図2に示すように、第1蓋部材13の内部には、回路基板70の上面に実装される電子部品73および操作部OPが収容される。
第1蓋部材13は、カバー部16と、周壁部17と、を有する。すなわち、ハウジング11は、径方向に広がるカバー部16と、カバー部16の径方向外周縁部から下側に突出する周壁部17と、を有する。周壁部17の下側の端部は、ハウジング本体12の外壁部30における上側の端部と固定される。
図2に示すように、カバー部16は、回路基板70および電子部品73を上側から覆う。カバー部16は、板面が軸方向Zを向く板状である。カバー部16は、下側の面から上側に窪む凹部16aを有する。本実施形態において凹部16aは、複数設けられる。図3に示すように、凹部16aは、例えば、4つ設けられる。凹部16aは、例えば、軸方向Zに見て円形状である。4つの凹部16aのうち2つの凹部16aは、互いに一部が繋がる。他の2つの凹部16aは、互いに一部が繋がる2つの凹部16aに対して、それぞれ間隔を空けて配置される。
図2に示すように、凹部16aは、電子部品73と軸方向Zに対向する。本実施形態において複数の凹部16aのそれぞれは、互いに別の電子部品73と軸方向Zに対向する。本実施形態において凹部16aと軸方向Zに対向する電子部品73は、コンデンサ74である。4つの凹部16aのそれぞれは、4つのコンデンサ74のそれぞれと軸方向Zに対向する。
本実施形態において凹部16aとコンデンサ74との間には、隙間が設けられる。すなわち、本実施形態において凹部16aは、電子部品73と隙間を介して軸方向Zに対向する。より詳細には、凹部16aの底面は、コンデンサ74の上側の面と隙間を介して軸方向Zに対向する。すなわち、凹部16aの底面は、コンデンサ74の上側の面に設けられた防爆弁74aと隙間を介して軸方向Zに対向する。凹部16aの底面とコンデンサ74の上面との間の軸方向Zの距離Lは、例えば、2mm以上である。本実施形態においてコンデンサ74の上側の面は、カバー部16の下側の面のうち凹部16aが設けられていない部分と軸方向Zにおいてほぼ同じ位置に配置される。なお、コンデンサ74の上側の端部は、凹部16aの内部に挿入されてもよい。
図3に示すように、凹部16aの内径D1は、コンデンサ74の外径D2よりも大きい。凹部16aの内径D1とコンデンサ74の外径D2との差は、例えば、4mm以上である。凹部16aの外縁は、軸方向Zに見てコンデンサ74の周囲を囲む。コンデンサ74の外周面は、コンデンサ74の径方向において、例えば、凹部16aの外縁から2mm以上内側に離れて配置される。これにより、コンデンサ74の上側の端部が凹部16aに挿入される場合であっても、コンデンサ74の外周面が凹部16aの内周面と接触することを好適に抑制できる。
図2に示すように、カバー部16は、厚肉部16bと、薄肉部16cと、を有する。厚肉部16bは、カバー部16のうち凹部16aが設けられていない部分である。言い換えると、厚肉部16bは、カバー部16のうち軸方向Zに見て凹部16aと重ならない部分である。薄肉部16cは、カバー部16のうち凹部16aが設けられた部分である。言い換えると、薄肉部16cは、カバー部16のうち軸方向Zに見て凹部16aと重なる部分である。図3に示すように、薄肉部16cは、凹部16aごとに設けられる。
図2に示すように、薄肉部16cの軸方向Zの寸法T2は、厚肉部16bの軸方向Zの寸法T1よりも小さい。すなわち、カバー部16のうち凹部16aが設けられた部分の軸方向Zの寸法T2は、カバー部16のうち凹部16aが設けられていない部分の軸方向Zの寸法T1よりも小さい。薄肉部16cの軸方向Zの寸法T2は、例えば、厚肉部16bの軸方向Zの寸法T1の半分以下である。
薄肉部16cにおける上側の面と厚肉部16bにおける上側の面とは、平坦に繋がっている。すなわち、カバー部16のうち凹部16aが設けられた部分における上側の面と、カバー部16のうち凹部16aが設けられていない部分における上側の面とは、平坦に繋がっている。
なお、本明細書において「ある面同士が平坦に繋がっている」とは、ある面同士が段差なく繋がっていればよく、ある面同士のそれぞれが全体に亘って平坦な面でなくてもよい。すなわち、本明細書において「ある面同士が平坦に繋がっている」とは、ある面同士のそれぞれが平坦でない部分を有している場合であっても、ある面同士が繋がる部分において平坦で、かつ、ある面同士が段差なく繋がっていればよい。
本実施形態において薄肉部16cにおける上側の面と厚肉部16bにおける上側の面とは、段差なく繋がっている。薄肉部16cにおける上側の面は、例えば、全体に亘って軸方向Zと直交する平坦な面である。厚肉部16bにおける上側の面は、例えば、ほぼ全体に亘って軸方向Zと直交する平坦な面である。カバー部16の上側の面は、例えば、ほぼ全体に亘って軸方向Zと直交する平坦な面である。
図1に示すように、第1蓋部材13は、出力シャフト61の上側に位置する開口部13cを有する。本実施形態において開口部13cは、カバー部16に設けられる。開口部13cには、取り外し可能なキャップ15が取り付けられる。キャップ15は、例えば外周面に設けられた雄ネジ部が開口部13cの内周面に設けられた雌ネジ部に締め込まれることで、開口部13cに取り付けられる。キャップ15を取り外すことにより、開口部13cを介して、電動アクチュエータ10の外部から操作部OPに工具を接続可能である。
第2蓋部材14は、減速機構50を下側から覆う。第2蓋部材14は、本実施形態では金属製である。第2蓋部材14は、中心軸J1を中心とする円筒状の内側筒部14aと、中心軸J1を中心とする角筒状の外側筒部14bと、ハウジング本体12に固定される固定筒部14cと、内側筒部14aの下側の端部に位置する底壁部14dと、出力部60と軸方向Zに重なる開口部14eと、を有する。
内側筒部14aは、外側筒部14bよりも内径が小さく、外側筒部14bよりも下側に位置する。内側筒部14aの径方向内側には、第1ベアリング44aが保持される。第1ベアリング44aと底壁部14dとの軸方向Zの間には、予圧部材47が配置される。すなわち、電動アクチュエータ10は、予圧部材47を備える。予圧部材47は、周方向に沿って延びる円環状のウェーブワッシャである。予圧部材47は、底壁部14dの上側の面と第1ベアリング44aの外輪の下側の端部とに接触する。予圧部材47は、第1ベアリング44aの外輪に対して上向きの予圧を加える。
外側筒部14bの径方向内側には、内歯ギア52が保持される。固定筒部14cは、ハウジング本体12の筒状壁31aの外周面に固定される。これにより、第2蓋部材14がハウジング本体12に固定される。第2蓋部材14は、出力シャフト61の外周面から径方向外側に広がるシャフトフランジ部61bを下側から支持する。出力シャフト61の下側の端部は、第2蓋部材14の開口部14eを通じて下側に露出する。
本実施形態によれば、カバー部16に設けられた凹部16aが電子部品73と軸方向Zに対向し、凹部16aの外縁は、軸方向Zに見て電子部品73の周囲を囲む。そのため、電子部品73の上側の端部を凹部16aによって逃がすことができる。これにより、カバー部16全体の軸方向Zの位置を上側に移動することなく、電子部品73をハウジング11の内部に好適に収容できる。したがって、ハウジング11が軸方向Zに大型化することを抑制でき、電動アクチュエータ10が大型化することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、カバー部16のうち凹部16aが設けられた部分の軸方向Zの寸法T2は、カバー部16のうち凹部16aが設けられていない部分の軸方向Zの寸法T1よりも小さい。そのため、カバー部16のうち凹部16aが設けられた部分の軸方向Zの寸法T2が、カバー部16のうち凹部16aが設けられていない部分の軸方向Zの寸法T1と同じである場合に比べて、カバー部16のうち凹部16aが設けられた部分が上側に突出することを抑制できる。すなわち、本実施形態では、薄肉部16cが厚肉部16bに対して上側に突出することを抑制できる。これにより、凹部16aを設けても、カバー部16の軸方向Zの寸法が大型化することを抑制できる。したがって、ハウジング11が軸方向Zに大型化することをより抑制でき、電動アクチュエータ10が大型化することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、凹部16aは、電子部品73と隙間を介して軸方向Zに対向する。そのため、電子部品73がカバー部16と接触することを抑制できる。これにより、電子部品73が損傷することを抑制できる。また、第1蓋部材13をハウジング本体12に固定する際、第1蓋部材13がハウジング本体12と接触する前に電子部品73がカバー部16に接触することを抑制できる。したがって、第1蓋部材13をハウジング本体12に好適に固定することができる。
また、本実施形態によれば、カバー部16のうち凹部16aが設けられた部分における上側の面と、カバー部16のうち凹部16aが設けられていない部分における上側の面とは、平坦に繋がっている。そのため、カバー部16のうち凹部16aが設けられた部分が上側に突出しない。すなわち、本実施形態では、薄肉部16cが厚肉部16bに対して上側に突出しない。これにより、凹部16aを設けてもカバー部16が軸方向Zに大型化しない。したがって、電動アクチュエータ10が大型化することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、電子部品73は、コンデンサ74を含む。コンデンサ74は、電子部品73のうちでも比較的大きい部品である場合が多い。そのため、コンデンサ74を凹部16aによって逃がすことで、電動アクチュエータ10の大型化を抑制できる効果をより有用に得られる。
また、本実施形態によれば、コンデンサ74は、上側の面に防爆弁74aを有する電解コンデンサである。そのため、コンデンサ74の上側の端部を凹部16aによって逃がすことで、カバー部16全体の位置を上側に移動させることなく、コンデンサ74とカバー部16との軸方向Zの間に防爆弁74aが機能するために必要な隙間を好適に設けることができる。これにより、電動アクチュエータ10が大型化することを抑制しつつ、コンデンサ74に設けられた防爆弁74aの動作が阻害されることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、複数の凹部16aのそれぞれは、互いに別の電子部品73と軸方向Zに対向する。そのため、例えば、凹部16aが1つのみ設けられ、その1つの凹部16aに対して複数の電子部品73が対向する場合に比べて、カバー部16の下側の面のうち凹部16aが設けられる領域の総面積を小さくできる。これにより、カバー部16において凹部16aが設けられていない部分を多くすることができ、カバー部16の強度を好適に維持しやすい。具体的に本実施形態では、軸方向Zに見て4つのコンデンサ74をまとめて囲む外縁を有する凹部16aを1つ設ける場合に比べて、コンデンサ74ごとに凹部16aを設けることで、凹部16a同士の間を厚肉部16bにできる。したがって、カバー部16における厚肉部16bの割合を大きくすることができ、カバー部16の強度を好適に維持できる。
また、本実施形態によれば、凹部16aは、軸方向Zに見て円形状である。そのため、例えば、凹部16aによって逃がされる電子部品73が本実施形態のように電解コンデンサである場合等に、電子部品73を好適に逃がしやすい。
また、本実施形態によれば、凹部16aが窪む方向は、モータシャフト41が延びる軸方向Zであり、回路基板70は、モータシャフト41の上側に位置する。このような構成の場合、回路基板70および電子部品73を覆うカバー部16の軸方向Zの位置が、電子部品73の軸方向Zの寸法に応じて決められやすい。すなわち、電子部品73が大きいほどカバー部16の位置が上側となりやすく、電動アクチュエータ10が軸方向Zに大型化しやすい。これに対して、本実施形態によれば、凹部16aが設けられていることによって、比較的大きい電子部品73をハウジング11の内部に収容しつつ、電動アクチュエータ10が大型化することを抑制できる。すなわち、電動アクチュエータ10の大型化を抑制できる効果は、回路基板70がモータシャフト41の上側に位置する構成において、より有用に得られる。
上述した電動アクチュエータ10が軸方向Zに大型化することを抑制できる効果は、本実施形態のようにモータシャフト41と出力シャフト61とがモータシャフト41の径方向に離れて配置されることで小型化された電動アクチュエータ10において、特に有用に得られる。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。凹部は電子部品と対向していればよく、凹部の内部に電子部品が挿入されてもよいし、凹部の内部に電子部品が挿入されなくてもよいし、凹部の内面に電子部品が接触してもよい。凹部の形状は、特に限定されない。凹部は、所定方向(軸方向Z)に見て、楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。凹部の形状は、対向する電子部品の形状に応じて決められてもよい。
凹部の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。1つの凹部が、複数の電子部品と対向してもよい。凹部が複数設けられる場合において、各凹部と対向する電子部品は、互いに種類が異なってもよい。凹部と対向する電子部品は、特に限定されず、コンデンサ以外の電子部品であってもよい。凹部と対向する電子部品は、トランジスタであってもよいし、マイクロコンピュータ等の制御部品であってもよい。コンデンサは、電解コンデンサ以外のコンデンサであってもよい。
カバー部のうち凹部が設けられた部分における所定方向の一方側(上側)の面と、カバー部のうち凹部が設けられていない部分における所定方向の一方側の面とは、平坦に繋がっていなくてもよい。カバー部のうち凹部が設けられた部分は、カバー部のうち凹部が設けられていない部分よりも所定方向(軸方向Z)の寸法が小さければ、所定方向の一方側に突出してもよい。
所定方向は、特に限定されず、モータシャフトの軸方向Z以外の方向であってもよい。所定方向は、例えば、モータシャフトの軸方向Zと直交する方向であってもよい。この場合、回路基板は、例えば、板面が径方向を向く姿勢で、モータ部の径方向外側に配置されてもよい。モータシャフトと出力シャフトとは、モータシャフトの軸方向Zに並んで配置されてもよい。
本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されず、車両以外に搭載されてもよい。また、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。