JP2021042176A - 粉体塗料用抗菌性添加剤 - Google Patents

粉体塗料用抗菌性添加剤 Download PDF

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Abstract

【課題】粉体塗料への分散性に優れ、少量の添加で粉体塗料から成る塗膜に効率よく抗菌性を発現可能な粉体塗料用抗菌性添加剤を提供する。【解決手段】粉体塗料用抗菌性添加剤であって、硬化性官能基を有するベース樹脂及び硬化剤を含有する樹脂成分と、平均粒径(D50)が1〜100nmの脂肪酸金属微粒子を生成する平均粒径(D50)が1〜20μm脂肪酸金属塩とを含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、粉体塗料用抗菌性添加剤に関するものであり、より詳細には、粉体塗料への分散性に優れ、少量の添加で粉体塗料から成る塗膜に効率よく抗菌性を発現可能な粉体塗料用抗菌性添加剤に関する。
近年、医療用品や、台所、浴室、洗面所等高温多湿の条件下で使用される容器等の細菌や黴等が繁殖しやすい場所で用いられる製品以外、例えば、吊り革等のように公共の場所で使用されるもの、或いは家具、壁紙、建具、家電等の住宅関連部材、エアコン等のフィルター、自動車部品、更には文具等、種々の製品に抗菌性能が求められていることから、種々の抗菌性組成物が提案されている。
このような抗菌性組成物としては、銀、銅、亜鉛等の金属又はこれらの化合物から成る無機系抗菌剤や、ピリジン系抗菌剤やベンゾイミダゾール系抗菌剤などの有機系抗菌剤等の抗菌剤を、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、或いは塗料組成物等に配合したものが既に提案されている。
塗料組成物として、溶剤型塗料、水性塗料及び粉体塗料が広く使用されているが、溶剤型塗料は環境上及び衛生上の理由から、用途によっては使用が制限される場合がある。また水性塗料は、作業環境性には優れるとしても、乾燥に時間がかかるため生産性の点で未だ充分満足するものではなかった。これに対して、粉体塗料は、有害な有機溶媒を含有せず、しかも加熱硬化により塗膜を形成できることから、乾燥に時間がかかることもなく、溶剤型塗料及び水性塗料の上記問題が解決された塗料として広く使用されている。
粉体塗料においても、塗膜に抗菌性を付与するために、塗料組成物に抗菌剤を配合することが行われている。例えば、下記特許文献1には、粉体塗料に、抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外の金属酸化物で構成される微粒子を含有するコロイド溶液から成る抗菌剤を乾式混合法により粉体塗料粒子表面に付着させることが提案されている。
特開平10−1683462号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたようにコロイド溶液から成る抗菌剤を粉体塗料に添加した場合には、粉体塗料と抗菌剤を効率よく混合することが困難であり、得られる塗膜が充分な抗菌性を発現するためには抗菌剤の配合量を多くする必要がある。このように、多量の抗菌剤を含有する塗膜では、塗膜の物性が損なわれたり、或いは光(紫外線)や熱等に晒される環境下では抗菌剤に起因した変色が生じ、塗膜の外観特性に劣るという問題があった。
従って本発明の目的は、粉体塗料への分散性に優れ、少量の添加で粉体塗料から成る塗膜に効率よく抗菌性を発現可能な粉体塗料用抗菌性添加剤を提供することである。
本発明によれば、硬化性官能基を有するベース樹脂及び硬化剤を含有する樹脂成分と、平均粒径(D50)が1〜100nmの脂肪酸金属微粒子を生成する平均粒径(D50)が1〜20μmの脂肪酸金属塩とを含有することを特徴とする粉体塗料用抗菌性添加剤が提供される。
本発明の粉体塗料用抗菌性添加剤(以下、「抗菌性添加剤」ということがある)においては、
1.前記脂肪酸が炭素数12〜18の脂肪酸であり、前記金属が、銀、銅、亜鉛の少なくとも1種であること、
2.前記脂肪酸金属塩が、樹脂成分100質量部(固形分)に対して0.05〜0.40質量部の量で含有されていること、
3.前記硬化性官能基を有するベース樹脂が、硬化性官能基を有するポリエステル樹脂、硬化性官能基を有するエポキシ樹脂、或いは硬化性官能基を有するアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、前記硬化剤が、イソシアネート硬化剤、アミン硬化剤、イミダゾリン硬化剤、酸硬化剤、エポキシ硬化剤、及びアミノ樹脂硬化剤から選ばれる少なくとも1種であること、
4.前記樹脂成分及び前記脂肪酸金属塩が、ドライブレンドにより混合されていること、
5.前記樹脂成分から成る塗膜の形成後に測定した付着帯電量がQ/M≦−1.2(μC/g)を満足すること、
6.前記脂肪酸金属微粒子が金属換算で10ppm以上含有するように添加された粉体塗料における金属の溶出量が2.0μg/kg以上であること、
7.前記脂肪酸金属微粒子が金属換算で10ppm以上含有するように添加された硬化塗膜における抗菌活性値が2.0以上であること、
が好適である。
本発明の粉体塗料用抗菌性添加剤においては、加熱により抗菌性成分である平均粒径(D50)が1〜100nmの脂肪酸金属微粒子を生成する平均粒径(D50)が1〜20μmの脂肪酸金属塩と共に、硬化性官能基を有するベース樹脂及び硬化剤を含有する樹脂成分が含有されていることにより、粉体塗料に配合する際に、脂肪酸金属微粒子が凝集することなく、均一に粉体塗料粒子中にブレンドすることが可能となり、加熱硬化後に生成する少量の脂肪酸金属微粒子でも塗膜に有効な抗菌性を付与することが可能になる。特に樹脂成分と脂肪酸金属塩をドライブレンドにより混合して成る抗菌性添加剤においては、脂肪酸微粒子を生成する脂肪酸金属塩が樹脂成分の表面に付着した状態となり、効率よく優れた抗菌性能を発現することが可能になる。
このことは後述する実施例の結果からも明らかであり、本発明の抗菌性成分である脂肪酸金属微粒子が金属換算で10ppmの量で粉体塗料から成る塗膜に含有されるように配合された場合には、抗菌活性値が2.0以上と優れた抗菌性が発現されていることがわかる。
また本発明の粉体塗料用抗菌性添加剤において、抗菌性添加剤を構成する樹脂成分から成る塗膜(脂肪酸金属微粒子を生成する脂肪酸金属塩を含有する)を形成した際の付着帯電量Q/Mが(μC/g)が−1.2以下であることにより、静電塗装による被塗装物への付着性に優れており、粉体塗料による塗膜に効率よく抗菌性能を付与することが可能になる。
実施例1で得られた粉体塗料組成物の株式会社日立ハイテクノロジーズ社製FlexSEM1000での観察画像であり、(A)は5000倍のSEM写真、(B)は(A)のエネルギー分散型 X 線(EDX)分析装置による粉体塗料組成物中の粉体塗料用抗菌性添加剤の銀の存在と優れた分散性を示すものである。
本発明の粉体塗料用抗菌性添加剤において、抗菌性成分である脂肪酸金属微粒子は、平均粒径(D50)が1〜100nm、特に50〜100nmの金属微粒子であるが、金属微粒子の周囲を脂肪酸が修飾していることにより、凝集することが有効に防止されている。すなわち、一般に100nm以下の金属微粒子は、優れた抗菌性能を有する一方、高い表面活性を有することから凝集しやすいという性質を有しているが、本発明においては、脂肪酸が金属微粒子の周囲に配位されていることにより、脂肪酸金属微粒子が凝集することなく、粉体塗料中に均一に分散することができる。
また硬化性官能基を有するベース樹脂及び硬化剤を含有する樹脂成分を有することにより、脂肪酸金属微粒子を生成する脂肪酸金属塩と粉体塗料の塗膜形成粒子との均一分散が容易になり、その結果、少量の配合量で効率よく抗菌性能を発現することが可能になる。
本発明の抗菌性添加剤においては、抗菌性添加剤を構成する樹脂成分から成る塗膜(脂肪酸金属微粒子を生成する脂肪酸金属塩を含有する)を静電塗装により形成した際の塗膜の帯電量Q/Mが−1.2(μC/g)以下、特に−2.0以上−1.2以下(μC/g)の範囲であることが好適である。すなわち、抗菌性添加剤の帯電量を、抗菌性添加剤を配合すべき粉体塗料の塗膜形成粒子の静電特性(帯電量)を同程度とすることにより、抗菌性添加剤を配合した粉体塗料の被塗装物への付着効率が向上されると共に、塗膜形成粒子の帯電量よりも若干小さくすると、塗膜形成粒子よりも遅れて被塗装物に付着し加熱硬化後の塗膜表面に脂肪酸金属微粒子を存在させることが可能となり、効率よく抗菌性能を付与することが可能になる。
[脂肪酸金属微粒子]
本発明の抗菌性添加剤に含有される脂肪酸金属微粒子を生成する脂肪酸金属塩における脂肪酸としては、炭素数3〜30の脂肪酸を使用することができ、具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等を例示できるが、特に炭素数が12〜18の範囲にある高級脂肪酸を使用することが好ましく、中でも、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸を好適に使用することができる。
金属微粒子の金属成分は、Cu,Ag,Au,Id,Pd,Pt,Fe,Ni,Co,Zn,Nb,Ru及びRhから成る群から選択される少なくとも1種を用いることができるが、抗菌性能の点から銀、銅、亜鉛が好適であり、特に銀が好適である。
特に好適な脂肪酸金属塩としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等を挙げることができ、また前述したとおり、脂肪酸金属塩の平均粒径(D50)は1〜20μm、特に5〜15μm、脂肪酸金属微粒子の平均粒径(D50)は1〜100nm、特に50〜100nmの範囲にあることが好ましい。脂肪酸金属微粒子の平均粒径が上記範囲にあることにより、少量の配合で優れた抗菌性能を発現可能であると共に、塗膜の平滑性を損なうおそれもない。
なお、本明細書において脂肪酸金属塩の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により測定された体積平均粒径であり、D50は体積基準の粒度分布における50%の値である。
[樹脂成分]
本発明の抗菌性添加剤に含有される樹脂成分を構成する硬化性官能基を有するベース樹脂及び硬化剤は、従来公知の粉体塗料の塗膜形成粒子の形成に使用されていた硬化性官能基を有する樹脂及び硬化剤を制限なく用いることができる。これにより、粉体塗料に配合して塗装された際に、粉体塗料と一体となって被塗装物への付着性が向上される。
<硬化性官能基を有するベース樹脂>
本発明の抗菌性添加剤において、特に好適な硬化性官能基を有するベース樹脂としては、硬化性官能基を有するポリエステル樹脂、硬化性官能基を有するエポキシ樹脂、或いは硬化性官能基を有するアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
硬化性官能基を有するポリエステル樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基等の硬化性官能基を有するポリエステル樹脂が挙げられる。これらの硬化性官能基は、1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。硬化性官能基を有するポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸を主成分とした酸成分と、多価アルコールを主成分としたアルコール成分とを、通常の方法により縮重合することにより調製することができる。
上記酸成分としては、これに限定されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及びこれらの無水物、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類及びこれらの無水物、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類、p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸類、これらに対応するヒドロキシカルボン酸等を挙げることができる。中でも、テレフタル酸及びイソフタル酸を含むことが好適であり、この場合、イソフタル酸の量は、酸成分中、60質量%以上、特に80質量%以上であることが好ましい。これにより得られる塗膜の耐候性を向上させることができる。上記酸成分は、それぞれ単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
アルコール成分としては、これに限定されないが、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール,1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,8−オクタデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSのアルキレンオキシド付加物、ネオペンチルグリコール等の直鎖状又は分岐状のグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等を挙げられる。中でも、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好適である。上記アルコール成分は、それぞれ単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
硬化性官能基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が挙げられる。具体的には、グリシジルエステル樹脂;ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの縮合反応物、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンとの縮合反応物等の、グリシジルエーテル型樹脂;及び、脂環式エポキシ樹脂、直鎖状脂肪族エポキシ樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;等が挙げられる。
硬化性官能基を有するアクリル樹脂としては、例えば、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等の硬化性官能基を有するアクリル樹脂が挙げられる。これらの硬化性官能基は、1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。硬化性官能基を有するアクリル樹脂は、硬化剤と反応し得る官能基を有する単量体を共重合可能な他のビニル系単量体と共重合させることによって得られる。例えば、エチレン性不飽和基含有単量体を通常の方法により共重合することによって調製できる。
エチレン性不飽和基含有単量体としては、これに限定されないが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、プラクセルFMシリーズ(商品名、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとポリカプロラクトンとの付加物、ダイセル化学工業社製)、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類等の水酸基含有単量体;上記水酸基含有アクリレート類及び水酸基含有メタクリレート類とε−カプロラクトンとの付加反応物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−メチルグリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;等を挙げることができる。
上記の他に、単量体として、アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチル(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、n−、iso−、及びtert−ブチル(メタ)クリレート、シクロヘキシル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)クリレート、ラウリル(メタ)クリレート等の(メタ)クリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体、p−クロロスチレン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<硬化剤>
前記硬化性官能基を有するベース樹脂の硬化剤としては、硬化性官能基の種類によって適宜決定され、従来公知の粉体塗料に用いられていた硬化剤を制限なく使用することができる。
本発明の抗菌性添加剤において、特に好適な硬化剤としては、イソシアネート硬化剤、アミン硬化剤、イミダゾリン硬化剤、酸硬化剤、エポキシ硬化剤、及びアミノ樹脂硬化剤から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これにより添加剤粒子を低温硬化させることが可能であると共に、保存安定性も確保される。
ベース樹脂が有する硬化性官能基が水酸基の場合は、これに限定されないが、脂肪族多価カルボン酸、脂肪族酸無水物等の酸硬化剤;メラミン樹脂等のアミノ樹脂硬化剤;エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル樹脂等のエポキシ硬化剤;ブロックイソシアネート等のイソシアネート硬化剤;等を用いることができる。
またベース樹脂が有する硬化性官能基がカルボキシル基の場合は、これに限定されないが、エポキシ樹脂、エポキシ基を有するアクリル樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ硬化剤;ヒドロキシアルキルアミド、ヒドロキシアルキルアミン等のアミン硬化剤;ポリヒドロキシ化合物;等を用いることができる。
更にベース樹脂が有する硬化性官能基がエポキシ基の場合は、これに限定されないが、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸(DDA)、セバシン酸等の脂肪族多価カルボン酸、多価カルボン酸の酸無水物、酸基含有アクリル樹脂等の酸硬化剤;ブロックイソシアネート等のイソシアネート硬化剤;脂肪族ポリアミン、ポリアミノアミド、ケチミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン、イミダゾール、ジシアンジアミド、ポリアミド、ヒドロキシアルキルアミド等のアミン硬化剤;フェノール樹脂硬化剤;等を挙げることができる。
硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
硬化性官能基を有するベース樹脂及び硬化剤の好適な組み合わせとしては、これに限定されないが、硬化性官能基として水酸基及び/又はカルボキシル基を有するポリエステル樹脂ではイソシアネート硬化剤、カルボキシル基を有するポリエステル樹脂ではアミン硬化剤(ヒドロキシアルキルアミド硬化剤)及び/又はアミノ樹脂硬化剤、エポキシ基を有するエポキシ樹脂及び/又はエポキシ基を有するアクリル樹脂では、酸硬化剤、イソシアネート硬化剤及びアミン硬化剤のうち少なくとも1種、カルボキシル基を有するアクリル樹脂及び/又はカルボキシル基を有するポリエステル樹脂ではエポキシ硬化剤(エポキシ硬化剤としての、エポキシ基を有するアクリル樹脂)等を例示できる。
また樹脂成分には、必要により、従来公知の硬化触媒、硬化促進剤を含有させることができる。
[他の成分]
本発明の抗菌性添加剤は、上述した樹脂成分及び脂肪酸金属塩の他に、分散剤等の他の成分を含有することもできる。
本発明の抗菌性添加剤においては、生成される脂肪酸金属微粒子の分散性を向上するために、分散剤を配合することが望ましい。分散剤としては、酸解離定数(pKa)が4.0以下を示す酸を好適に使用することができる。
このような分散剤の中でも、イミノ基を有するアミド化合物、或いは芳香族カルボン酸を好適に使用することができ、これに限定されないが、サッカリン、サッカリンナトリウム、サッカリンカリウム等のイミノ基を有するアミド化合物、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、及びその誘導体を例示することができる。これらは単独或いは組合せで用いることができる。
また粉体塗料用抗菌性添加剤としての作用効果を損なわない範囲で、それ自体公知の各種添加剤、例えば、充填剤、レベリング剤、増粘剤、減粘剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を公知の処方に従って配合してもよい。
(抗菌性添加剤の調製)
本発明の抗菌性添加剤は、硬化性官能基を有するベース樹脂と硬化剤を含有する樹脂成分と、平均粒径(D50)が1〜100nmの脂肪酸金属微粒子を生成可能な脂肪酸金属塩を含有することが重要であり、特に、脂肪酸金属塩が、樹脂成分(固形分)100質量部に対して0.05〜0.40質量部、特に0.05〜0.10質量部の量で含有されていることが好ましい。
また抗菌性添加剤の調製は、後述するように、硬化性官能基を有するベース樹脂と硬化剤を含有する樹脂成分から予め樹脂成分粒子を調製し、これを脂肪酸金属塩とドライブレンドする方法と、硬化性官能基を有するベース樹脂と硬化剤を含有する樹脂成分と、脂肪酸金属塩とを混練して、抗菌性添加剤を調製する方法のいずれで行うこともできるが、脂肪酸金属塩を樹脂成分粒子表面に付着させ、抗菌性成分を効率よく粉体塗料の塗料形成粒子に均一分散させることができることから、ドライブレンドにより調製することが望ましい。
抗菌性添加剤のドライブレンドによる調製方法は、上述した硬化性官能基を有するベース樹脂と硬化剤、及び必要により分散剤等の添加剤を、公知の混合機、例えばヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、コニカルスクリューミキサー、ボールミル、バンバリーミキサー等を用いて均一に混合する。次いで、得られた混合物を、エクストルーダー、熱ロール等の混練機で、80〜150℃の温度条件で0.5〜5分間で溶融混練する。得られた混練物を冷却固化した後、所望の大きさなるように、粉砕・分級して樹脂成分粒子を調製する。樹脂成分粒子の大きさは、対象とする粉体塗料の塗膜形成粒子の大きさによって適宜変更可能であるが、一般に平均粒径(D50)で10〜100μm、特に15〜45μmの範囲にあることが好適である。
次いで、得られた樹脂成分粒子100質量部に対して、前述したとおり、脂肪酸金属微粒子を0.05〜0.40質量部の量で配合して、公知のリボン型混合機、ナウターミキサー等を用いてドライブレンドする。ドライブレンドの温度は、10〜40℃の範囲で行うことが望ましい。またドライブレンドに際して、必要により、ハンマーミル等の粉砕機を用いて粉砕・分級して、所望の大きさの抗菌性添加剤とすることもできる。
ドライブレンドにより得られた抗菌性添加剤は、樹脂成分粒子の表面が脂肪酸金属微粒子によって被覆されていることから、前述したように、金属イオンの溶出性に優れ、粉体塗料による塗膜に効率よく抗菌性能を発現することが可能になる。
尚、本発明の抗菌性添加剤は、用いる粉体塗料の塗膜形成粒子の大きさによって、その粒子径を適宜変更することができるが、15〜45μmの範囲の平均粒径(D50)を有することが望ましい。
抗菌性添加剤の樹脂成分と脂肪酸金属塩を混練する調製方法は、上記ドライブレンドによる方法において、硬化性官能基を有するベース樹脂と硬化剤との混合を行う際に、脂肪酸金属塩を添加する以外は、同様にして樹脂成分粒子(脂肪酸金属塩含有樹脂成分粒子)を調製することにより、本発明の抗菌性添加剤を調製することができる。
この方法により得られた抗菌性添加剤は、樹脂成分粒子中に脂肪酸金属塩が存在することから、配合した脂肪酸金属塩を確実に含有し、脂肪酸金属塩を効率よく抗菌性添加剤に含有させることができる。
(抗菌性添加剤の使用)
本発明の抗菌性添加剤は、従来公知のすべての粉体塗料に使用することができるが、特に抗菌性添加剤の樹脂成分と同様の樹脂を用いた粉体塗料、特に静電塗装により塗装される粉体塗料に好適に使用できる。
本発明の抗菌性添加剤と粉体塗料の混合方法は、特に限定されないが、エクストルーダー、熱ロール等の混練機を使用し、溶融混練することもできるが、ドライブレンドによることが望ましい。抗菌性添加剤を粉体塗料と溶融混練すると、抗菌性添加剤が粉体塗料にムラなく均一に混合されるため、良好な外観の塗膜を形成することができると共に、塗装に際して回収された粉体塗料を再使用することができるという利点もある。その一方、抗菌性添加剤をドライブレンドにより粉体塗料に混合した場合には、溶融混練した場合のような利点はないが、前述したように、抗菌性添加剤を粉体塗料の塗膜形成粒子表面に均一に被覆させることが可能になると共に、樹脂成分から成る塗膜(脂肪酸金属微粒子を含有する)を静電塗装により形成した際の塗膜の帯電量Q/Mを−1.2(μC/g)以下とすることにより、塗膜形成粒子より後に被塗装物に付着させて、被塗装物表面に抗菌性添加剤を存在させることが可能になるため、少量の抗菌性添加剤で効率よく抗菌性能を発現することが可能になる。
(樹脂成分の調製)
ベース樹脂としてポリエステル樹脂(DIC株式会社製、ファインディックM8020)60質量部、硬化剤としてε−カプロラクタムブロック化イソシアネート硬化剤(エボニックインダストリー株式会社製VESTAGON B−1530)10質量部、ワキ防止剤としてベンゾインB0.8質量部、アクリルシリコン系表面調整剤(新設化学株式会社製KF−54)0.3質量部、硬化触媒としてジブチル錫ラウレート(堺化学工業株式会社製KS−1260)0.3質量部、二酸化チタン(石原産業株式会社製TIPAQUE CR90)4.6質量部、カーボンブラック(三菱化学株式会社製MA−100)0.7質量部、沈降性硫酸バリウム100(堺化学株式会社製)21.2質量部を、スーパーミキサー(日本スピンドル株式会社製)を用いて約3分間混合し、さらにコニーダー(ブス社製)を用いて約100℃で溶融混練した。得られた混練物を冷却して粗粉砕し、さらにクリプトロン(川崎重工業株式会社製)を用いて微粉砕した。
得られた粉砕物を、ターボクラシフィア(日清エンジニアリング株式会社製)を用いて分級して、微小粒子及び粗大粒子を除去し、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製AEROSIL R972)0.3質量部を添加した後、上記スーパーミキサーで約1分間混合することにより樹脂成分を調製した。
(抗菌性添加剤の調製)
上記樹脂成分100質量部に対して、ステアリン酸銀を表1に示す量で添加した後、混合した抗菌性添加剤(配合例1〜6)の粒子径(D50)15〜45μmに調整した。
(粉体塗料組成物の調製)
配合例1〜6の抗菌性添加剤を、塗料成分としての上記樹脂成分に表2に示す添加量及び混合方法で添加混合して、粉体塗料組成物(実施例1〜6、比較例1〜6)を調製した。
尚、実施例1の粉体塗料組成物についてSEM写真を図1に示す。
(サンプルの作成)
実施例1〜6及び比較例1〜6の粉体塗料組成物を、静電塗装法(印加電圧−80kV)により、乾燥塗膜60μmとなるように、溶融亜鉛めっき鋼板(幅75mm、長さ150mm、厚さ0.8mm)に塗装した後、180℃で20分間焼き付けて、塗膜(サンプル)を作成した。
(評価方法)
[抗菌活性値]
JIS Z 2801:2000の抗菌加工製品−抗菌性試験方法に準じて、抗菌活性値を求めた。菌種は大腸菌(escherichia coli)及び黄色ブドウ球菌(S.aureus)を用いた。
ステアリン酸銀を含有しない比較例1の粉体塗料組成物から成る塗膜の培養後菌数から、各実施例及び比較例の粉体塗料組成物から成る塗膜の培養後菌数を除した値の対数値を抗菌活性値とした。結果を表3に示す。
抗菌活性値は数値が高いほど、抗菌性が高く、2.0以上の場合を抗菌性がありとする。
[外観評価]
得られたサンプル(塗膜)の外観を目視観察して、下記基準で評価を行った。結果を表3に示す。
○:ブツ、凹み等の外観異常がない。
△:ブツ、凹み等が少なく塗膜として成立する。
×:ブツ、凹み等が多く塗膜として成立しない。
[耐候性]
各実施例及び比較例で得られたサンプル(塗膜)にキセノンランプ(放射照度162W/m)で260時間照射した。照射前後での色差を求めた。結果を表3に示す。
○:色差(ΔE)が1.0未満
△:色差(ΔE)が1.0以上3.0未満
×:色差(ΔE)が3.0以上
[帯電性]
電荷量測定装置(ユーテック株式会社製 EA02)を用いて、実施例1〜7及び比較例1で得られたサンプル(塗膜)の帯電量(μC/g)を測定した。測定時の温度は23℃、湿度は50%RHである。結果を表4に示す。
[溶出量]
実施例1〜7及び比較例1で得られた粉体塗料組成物5gを、100mlガラス容器に入れ、蒸留水95gを添加し、60℃で5時間静置した後、ろ紙フィルターでろ過して試験液を取り出した。試験液をICP質量分析装置(株式会社パーキンエルマージャパンELAN−DRCII)を用いて銀の溶出量(μg/kg)を測定した。結果を表4に示す。

Claims (8)

  1. 硬化性官能基を有するベース樹脂及び硬化剤を含有する樹脂成分と、平均粒径(D50)が1〜100nmの脂肪酸金属微粒子を生成する平均粒径(D50)が1〜20μm脂肪酸金属塩とを含有することを特徴とする粉体塗料用抗菌性添加剤。
  2. 前記脂肪酸が炭素数12〜18の脂肪酸であり、前記金属が、銀、銅、亜鉛の少なくとも1種である請求項1記載の粉体塗料用抗菌性添加剤。
  3. 前記脂肪酸金属塩が、樹脂成分100質量部(固形分)に対して0.05〜0.40質量部の量で含有されている請求項1又は2記載の粉体塗料用抗菌性添加剤。
  4. 前記硬化性官能基を有するベース樹脂が、硬化性官能基を有するポリエステル樹脂、硬化性官能基を有するエポキシ樹脂、或いは硬化性官能基を有するアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、前記硬化剤が、イソシアネート硬化剤、アミン硬化剤、イミダゾリン硬化剤、酸硬化剤、エポキシ硬化剤、及びアミノ樹脂硬化剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3の何れかに記載の粉体塗料用抗菌性添加剤。
  5. 前記樹脂成分及び前記脂肪酸金属塩が、ドライフレンドにより混合されている請求項1〜4の何れかに記載の粉体塗料用抗菌性添加剤。
  6. 前記樹脂成分から成る塗膜の形成後に測定した付着帯電量がQ/M≦−1.2(μC/g)を満足する請求項1〜5の何れかに記載の粉体塗料用抗菌性添加剤。
  7. 前記脂肪酸金属微粒子が金属換算で10ppm以上含有するように添加された粉体塗料における金属の溶出量が2.0μg/kg以上である請求項1〜6の何れかに記載の粉体塗料用抗菌性添加剤。
  8. 前記脂肪酸金属微粒子が金属換算で10ppm以上含有するように添加された硬化塗膜における抗菌活性値が2.0以上である請求項1〜7の何れかに記載の粉体塗料用抗菌性添加剤。
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