以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜4には、本発明の第1の実施形態としての針組立体10が示されている。針組立体10は、図2,3に示すように、留置針などの穿刺用針体12が、針先プロテクタ14に対して、後述する穿刺針16の針軸方向で移動可能に挿通された構造を有している。針先プロテクタ14は、少なくとも穿刺用針体12の針先20(後述)を覆うことができる。なお、以下の説明において、原則として、先端側とは穿刺用針体12の後述する針先20側である図2中の左方を、基端側とは穿刺用針体12の穿刺方向後方となる図2中の右方を、それぞれ言う。また、原則として、上下方向とは縦方向である図3中の上下方向を、左右方向とは横方向である図2中の上下方向を、それぞれ言う。
より詳細には、穿刺用針体12は、穿刺針16の基端側に針ハブ18が固定された構造を有している。穿刺針16は、例えばステンレス鋼などの金属で形成されており、一端が鋭利な先細形状を有する針先20とされている。
図5,6にも示す針ハブ18は、全体として略円筒形状とされており、先端に穿刺針16の基端部分が挿入状態で固定されている。これにより、針ハブ18の内腔と穿刺針16の内腔が針軸方向で連通されている。
針ハブ18は、先端部分24を備えている。先端部分24は、略円筒形状とされており、穿刺針16の基端部分が先端側から挿入されて固定される針固定部26を有している。針固定部26の先端側には、縦方向の両側へ突出する先端係止部28,28が設けられている。また、針固定部26における先端係止部28,28よりも基端側には、横方向の両側に突出する一対の係止突起30,30が設けられている。係止突起30は、先端側の面が軸直角方向に広がっていると共に、基端側の面が傾斜面とされて基端側に向かって突出高さが小さくなっている。先端部分24における針固定部26よりも基端側は、穿刺針16を基端側に外れて位置する先部32とされている。
先端部分24は、縦方向の両側へ向けて突出する一対のガイド突条34,34を備えている。ガイド突条34は、略矩形板状とされており、先端係止部28よりも基端側において先端部分24の基端まで直線的に延びている。ガイド突条34は、先端が先端係止部28につながっていると共に、基端が後述する基端部分36につながっている。
針ハブ18における先端部分24よりも基端側には、基端部分36が設けられている。基端部分36は、本実施形態において先端部分24と一体形成されている。尤も、基端部分36は、先端部分24とは別体として形成されて、接着等の手段で先端部分24に固定されていても良い。基端部分36は、軸直角方向の外寸が先端部分24よりも大きくされており、それによって針ハブ18は、軸直角方向の外寸が先端側よりも基端側において大きくされている。基端部分36の上下外面には、それぞれ凹所38が開口している。凹所38は、略矩形断面を有しており、後述する管路接続部40と中間部56に跨って設けられている。
針ハブ18の基端部分36は、略円筒形状とされた基部としての管路接続部40を有している。管路接続部40は、基端部分36の基端側を構成している。管路接続部40は、針ハブ18の先端部分24よりも軸直角方向の外寸が大きくされている。管路接続部40には、基端面に開口する接続穴42が形成されている。接続穴42は、略円形断面を有している。接続穴42は、開口と反対側である先端側に底部44を有している。管路接続部40の内孔は、底部44を軸方向に貫通しており、後述する接続ポート46の内孔に連通されている。接続穴42は、開口側である基端側が、底部44側である先端側よりも幅広とされている。接続穴42は、底部44側が基端側である開口端に向かって次第に幅広となっており、接続穴42の周壁内面が底部44側においてテーパ筒形状とされている。
接続穴42の底部44には、接続ポート46が設けられている。接続ポート46は、筒状とされており、底部44から接続穴42の開口に向かって基端側へ突出している。接続ポート46の内周面は、軸方向で略一定の径寸法を有する円筒面とされている。接続ポート46の外周面は、径寸法が軸方向で基端側へ向かって次第に小さくなっており、先細のテーパ状外周面とされている。接続ポート46は、管路接続部40と別体でも良いが、本実施形態では管路接続部40と一体形成されている。
針ハブ18の基端部分36には、腕部としての一対の係合腕48,48が設けられている。係合腕48は、管路接続部40の基端部から横方向(図2中の上下方向)の両側へ延び出していると共に、湾曲して先端側へ向かって延びており、基端部分36に対して所定の隙間を隔てて横方向の両側に設けられている。係合腕48,48は、管路接続部40との接続部分が湾曲形状且つ幅狭とされており、外力の作用によって相互に接近する方向への弾性変形が許容されている。また、係合腕48,48の先端部分には、それぞれフック50が形成されている。
基端部分36は、管路接続部40の接続穴42に外部管路52の先端が挿入されて、外部管路52の先端が接続ポート46に外挿状態で取り付けられる。外部管路52は、例えば、合成樹脂などで形成されたチューブとされている。外部管路52は、接続穴42の内周面及び接続ポート46に対して、必要に応じて接着や溶着される。
外部管路52が管路接続部40に接続されることにより、基端部分36の両側に先端部分24と外部管路52が接続されて、穿刺針16の内腔と針ハブ18の内腔とが外部管路52に連通されている。これにより、穿刺針16の先端開口から外部管路52に至る流体流路54が穿刺用針体12に設けられている。
針ハブ18における先端部分24と管路接続部40の間には、基端部分36の先端側を構成する当接部としての中間部56が設けられている。中間部56は、フック50,50によって構成された係合腕48,48の先端よりも基端側に位置しており、係合腕48,48の対向間に設けられている。中間部56は、図2に示す係合腕48,48を通る係合腕48,48の対向方向と平行な軸方向縦断面において、軸直角方向の外寸が先部32よりも大きくされている。テーパ部58は、中間部56の左右両側に部分的に設けられた平坦面であっても良いが、本実施形態では略全周に亘って設けられている。中間部56は、図2に示す係合腕48,48の対向方向と平行な軸方向縦断面において、外面にテーパ部58が設けられており、基端側に向かって次第に外寸が大きくされている。中間部56は、当該軸方向縦断面において、内寸が針軸方向で略一定とされており、基端側に向かって次第に厚肉となっている。本実施形態のテーパ部58は、針軸方向において略一定の傾斜角度で傾斜しているが、例えば、基端側に向かって傾斜角度が次第に或いは段階的に大きく又は小さくなっていても良い。
接続穴42を備える管路接続部40よりも先端側に中間部56が設けられていることによって、管路接続部40における接続穴42の底部44側の外周角部は、図3に示す係合腕48,48の対向方向と平行な軸方向縦断面において、比較的に厚肉とされている。これにより、接続穴42の底部44側の外周角部は、針ハブ18において最も薄肉とされた部分にはなっていない。即ち、針ハブ18において最も薄肉とされた部分は、接続穴42の底部44側の外周角部を外れた位置に設けられており、本実施形態では管路接続部40において接続穴42の周壁部の軸方向中間部分に設けられている。なお、針ハブ18において最も薄肉とされた部分は、必ずしも針ハブ18の基端部分36に設けられていなくても良く、例えば、針ハブ18の先端部分24の先部32に設けられ得る。
図2に示す係合腕48,48の対向方向と平行な軸方向縦断面において、中間部56の最小厚さ寸法は、先端部分24における先部32の厚さ寸法以上とされている。
針先プロテクタ14は、図1〜4に示すように、全体として針軸方向に延びる略筒形状とされている。針先プロテクタ14は、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、MBS樹脂などの硬質の合成樹脂により一体成形されている。針先プロテクタ14は、好適には、可視光の透過を許容する透明乃至は半透明とされている。針先プロテクタ14は、筒状の周壁60を備えており、周壁60の内周には針軸方向に貫通する内孔62が形成されている。
周壁60は、先端側が略真円環形状の断面を有する円筒状部64とされていると共に、基端側が円筒状部64よりも幅広で外周に広がる拡大部66とされており、針軸方向で形状が異ならされている。
拡大部66は、略楕円筒形状とされており、幅狭方向である図4中の上下方向(縦方向)における外周面の幅寸法に比べて、幅広方向である図4中の左右方向(横方向)における外周面の幅寸法の方が大きくされている。拡大部66を構成する壁部のうち、縦方向の壁部を構成する部分が幅狭部68,68とされている一方、横方向の壁部を構成する部分が幅広部70,70とされている。そして、幅狭部68,68の対向方向と、幅広部70,70の対向方向とが、互いに略直交している。拡大部66の内周には、縦方向寸法より横方向寸法の方が大きい扁平形状の断面を有する内部空間72が、針先プロテクタ14を貫通する内孔62の基端部分に形成されている。内部空間72は、横方向の内法寸法が基端側に向かって次第に大きくなっている。なお、拡大部66は、本実施形態において幅狭部68と幅広部70を有しているが、例えば、全周に亘って略一定の幅寸法を有していても良い。
幅広部70,70には、板厚方向で貫通する係合部としての貫通窓74,74が形成されている。貫通窓74,74の周方向寸法は、フック50,50の周方向寸法よりも大きくされている。
針先プロテクタ14の周壁60には、円筒状部64から基端側へ向かって突出する突片としての一対の可撓片76,76が設けられている。可撓片76,76は、幅広部70,70に対応する位置に配置されており、横方向で対向して設けられて、周方向で相互に離隔している。可撓片76,76は、円筒状部64につながる先端部分が略針軸方向と平行に延びている。可撓片76,76は、基端部分が基端側に向かって対向方向である横方向の内側へ傾斜するテーパ形状とされており、外面77が傾斜面とされている。可撓片76,76は、それぞれ周方向に湾曲している。可撓片76,76の突出先端における径方向での対向面間距離は、先端部分24の外径寸法よりも僅かに大きくされている。
また、可撓片76,76の突出先端(針軸方向の基端)は、拡大部66の基端よりも針軸方向で先端側に位置している。従って、可撓片76,76の全体が、拡大部66の内部空間72に収容されており、換言すれば、可撓片76,76の外側に拡大部66が位置している。
拡大部66は側壁部78を含んで構成されており、拡大部66の内周には、一対の側壁部78,78が設けられている。側壁部78,78は、図3,4に示すように、それぞれ縦方向と略直交する方向に広がる平板状とされており、縦方向で所定の距離を隔てて対向配置されている。従って、側壁部78,78の対向方向は、可撓片76,76の対向方向と略直交している。
側壁部78,78は、周壁60の拡大部66に対して内周側に離れて設けられている。これにより、側壁部78,78と拡大部66の幅狭部68,68との間には、少なくとも幅狭部68,68の周方向中央部分において隙間80,80が形成されている。側壁部78,78は、可撓片76,76の基端よりも先端側に設けられている。本実施形態の側壁部78,78の距離は、針ハブ18の先端部分24の外径寸法と略等しくされている。
各側壁部78は、一対の板ばね82,82によって構成されており、厚さ方向に弾性変形可能とされている。板ばね82,82は、拡大部66の幅広部70,70に一体形成されており、幅広部70,70から横方向の内側に向かって突出している。板ばね82,82は、突出先端が横方向で相互に離隔しており、突出先端間を軸方向に延びるスリット84が形成されている。後述する穿刺用針体12が針先プロテクタ14に挿通された状態において、針ハブ18のガイド突条34がスリット84に差し入れられており、ガイド突条34がスリット84内を移動することで、穿刺用針体12が針先プロテクタ14に対して軸方向に案内される。
針先プロテクタ14の先端部分には、図1に示すように、翼状部86が設けられている。翼状部86は、例えば軟質の合成樹脂により形成されている。翼状部86は、筒状の嵌合筒部88に対して、板状の連結部90,90が嵌合筒部88の接線方向に突出して一体形成されていると共に、連結部90,90の嵌合筒部88からの突出先端側にそれぞれ翼本体92が一体形成されている。翼状部86は、嵌合筒部88が円筒状部64の先端部分に外嵌されることによって、針先プロテクタ14の周壁60に取り付けられている。
針先プロテクタ14の内孔62に対して穿刺用針体12が基端側の開口部から挿通されることにより、針先プロテクタ14が穿刺用針体12に外挿装着されて、針組立体10が構成されている。図1などに示す針組立体10の使用前の初期状態では、針先プロテクタ14は、穿刺用針体12に対して、穿刺針16の針先20が針先プロテクタ14よりも先端側に露出する穿刺位置に位置している。針先プロテクタ14が穿刺用針体12に対して穿刺位置に位置する初期状態では、針ハブ18の先部32が針先プロテクタ14に収容されて、先部32が針先プロテクタ14の可撓片76,76の間に挿通されている。従って、初期状態において、先部32の少なくとも一部が、可撓片76,76の基端側の端面よりも先端側に位置している。可撓片76,76は、基端側の端部が針ハブ18の先部32と係合腕48,48の間に差し入れられて位置している。管路接続部40は、針先プロテクタ14よりも基端側に突出した位置に設けられており、針先プロテクタ14から露出している。
この初期状態では、図2に示すように、針先プロテクタ14の拡大部66に設けられた貫通窓74,74に対して、針ハブ18の係合腕48,48に設けられたフック50,50が入り込んで係合されている。これにより、針先プロテクタ14と針ハブ18が連結状態とされて、針先20の突出状態が維持されると共に、例えば翼状部86を持って穿刺を行う際に、穿刺時の抵抗等による穿刺針16の針軸方向基端側への移動が規制される。
針組立体10の初期状態では、針先プロテクタ14の可撓片76,76の突出先端部が、先端部分24の外周面に対して僅かに離隔している。なお、可撓片76,76は、先端部分24の外周面に当接していても良く、それによって僅かに外周側に押されていても良い。
針組立体10の初期状態において、穿刺用針体12の針ハブ18における中間部56は、穿刺位置に位置した針先プロテクタ14の可撓片76,76よりも基端側に位置している。従って、針ハブ18において針先プロテクタ14によって保護されない部分に中間部56が設けられている。
針組立体10は、穿刺針16を患者の血管に穿刺して穿刺用針体12を留置することにより、流体流路54を通じての輸液や採血、血液透析に供される。なお、本実施形態の針組立体10では翼状部86が設けられていることから、例えば翼状部86を摘まみつつ、穿刺用針体12の穿刺針16を穿刺することが可能となる。穿刺用針体12を穿刺状態で留置する際には、翼状部86の位置でテープ固定することにより、皮膚に対して広い接触面積をもって固定することができる。
穿刺用針体12を抜去する場合には、翼状部86において針先プロテクタ14がテープ固定された状態のまま、針ハブ18における係合腕48,48が手指で内側へ押圧される。これにより、図7,8に示すように、フック50,50と貫通窓74,74との係合が解除されて、穿刺用針体12を針先プロテクタ14に対して基端側へ移動させることが可能となる。穿刺用針体12を針先プロテクタ14に対して基端側へ移動させて穿刺針16を皮膚から抜去することで、針先プロテクタ14が穿刺用針体12に対して針先20側に移動する。このように、穿刺位置における穿刺用針体12と針先プロテクタ14の係合腕48,48による連結は、係合腕48,48の操作によって解除可能とされており、連結の解除によって穿刺用針体12と針先プロテクタ14が軸方向で相対的に移動可能とされる。
係合腕48,48が内方向へ押し込まれると、図7に示すように、係合腕48,48は、先ず、先端部分を構成するフック50,50において、針先プロテクタ14の可撓片76,76の外面77に当接する。可撓片76,76の外面77は、先端側に向けて左右方向の外側へ傾斜する傾斜面とされていることから、係合腕48,48が可撓片76,76に押し当てられると、当接による分力が針先プロテクタ14に対して先端側へ向かって作用する。係合腕48,48と貫通窓74,74が係合された状態では、可撓片76,76は、係合腕48,48が押し当てられることで中心軸に向かう内方へ弾性変形せしめられる。このように、針先プロテクタ14の可撓片76,76は、係合腕48,48が内方向の移動によって当接する当接部とされている。
そして、係合腕48,48と貫通窓74,74の係合が解除されると、弾性変形した可撓片76,76が元の形状に復元する。これに伴い、針先プロテクタ14には、可撓片76,76の弾性に基づいて、或いは係合腕48,48が当接する可撓片76,76の外面が傾斜していることにより、針ハブ18に対する先端側への力が作用する。換言すれば、係合腕48,48の可撓片76,76への当接によって、基端側へ向けた当接反力が、針ハブ18に対して力学的な作用として及ぼされる。
このような係合腕48,48の可撓片76,76への当接による力学的な作用により、針先プロテクタ14は、針ハブ18に対して先端側へ僅かに移動する。その結果、仮に係合腕48,48に及ぼされた操作力が解除されて、係合腕48,48が弾性によって外方向へ移動しても、フック50,50が貫通窓74,74に再び係合されることがなく、針先プロテクタ14が針ハブ18に対して針軸方向に移動可能な状態とされる。即ち、本実施形態では、係合腕48,48の貫通窓74,74への係合が解除されるのに合わせて、係合腕48,48の可撓片76,76への当接作用に基づいて、針先プロテクタ14が、係合腕48,48の貫通窓74,74への再係合が不可能となる程度に、軸方向前方となる先端側へ移動されるようになっている。
係合腕48,48と貫通窓74,74の係合が解除された状態で、係合腕48,48が更に内方向へ押し込まれると、図8に示すように、係合腕48,48は針ハブ18に設けられた当接部としての中間部56のテーパ部58に当接する。そして、係合腕48,48とテーパ部58の当接による力学的な作用によって、係合腕48,48の内方向への移動が針ハブ18によって制限される。その結果、係合腕48,48の過度な変形による損傷が防止される。図8では、係合腕48,48がテーパ部58の基端に当接しているが、例えばテーパ部58の傾斜角度を調節するなどして、係合腕48,48がテーパ部58に対して針軸方向の所定の範囲に亘って当接するようしても良いし、係合腕48,48がテーパ部58の先端に当接するようにしても良い。
針ハブ18の中間部56が比較的に厚肉とされていることによって、係合腕48,48に及ぼされた操作力が、係合腕48,48の中間部56への当接によって中間部56に伝達されたとしても、中間部56の耐久性が十分に確保される。中間部56は、基端側に向けて大径となるテーパ部58を有しており、基端側に向けて厚肉となっていることから、係合腕48,48が当接する中間部56の基端において耐荷重強度を大きく得ることができる。中間部56における係合腕48,48の当接部分が厚肉とされていることから、中間部56の先端側への応力の分散化も期待でき、それによって中間部56の耐荷重性能の更なる向上が図られ得る。なお、係合腕48,48の中間部56への当接による応力は、必要に応じて先端部分24や管路接続部40に分散するようにしても良い。
図9に示すように、穿刺用針体12を針先プロテクタ14に対して所定の保護位置まで後退移動させる(穿刺用針体12の針先20側へ針先プロテクタ14を前進移動させる)ことにより、穿刺針16の針先20が針先プロテクタ14の内周へ収容されて覆われる。
針先プロテクタ14が穿刺用針体12に対して保護位置まで移動する際に、可撓片76,76の自由端が係止突起30,30を乗り越えて先端側に移動することで、弾性的に形状復元した可撓片76,76が係止突起30,30に対して先端側に位置する。そして、穿刺用針体12が針先プロテクタ14に対して先端側へ相対移動しようとすると、可撓片76,76の基端面が係止突起30,30の先端面に当接して係止される。これにより、穿刺用針体12の針先プロテクタ14に対する先端側への移動が、可撓片76,76と係止突起30,30の係止によって制限されて、穿刺用針体12の針先20の再露出が阻止される。
穿刺用針体12が保護位置にある針先プロテクタ14に対して更に基端側へ移動しようとすると、穿刺用針体12の針ハブ18に設けられた先端係止部28が、針先プロテクタ14の側壁部78,78に対して軸方向で当接して係止される。これにより、穿刺用針体12の基端側への移動が制限されて、穿刺用針体12の針先プロテクタ14に対する基端側への抜出しが阻止される。このように、穿刺針16の針先20が針先プロテクタ14によって保護された状態において、穿刺用針体12の針先プロテクタ14に対する移動が、先端側と基端側の両側において制限されており、針先プロテクタ14による針先20の保護状態が維持される。
本実施形態では一対の可撓片76,76が設けられており、可撓片76,76が針先プロテクタ14の周壁60に一体成形されていることとも相俟って、可撓片76,76と係止突起30,30が係止される際に、針先プロテクタ14の穿刺用針体12に対するがたつき等が防止される。このように、可撓片76を2つ、又は3つ以上設けることで、針先プロテクタ14における穿刺用針体12に対する基端側への後退がより確実に阻止されて、針先20の再露出防止効果が一層安定して発揮され得る。この場合、複数の可撓片76は、針先プロテクタ14の中心軸に対して略対称に配置されることが好ましい。
穿刺用針体12の針先20が針先プロテクタ14で保護された状態において、翼状部86のテープ固定を解除して、針組立体10を患者から取り外す。尤も、針先20の保護の手順は上記の手順に限定されるものではない。具体的には、例えば、翼状部86におけるテープ固定を解除し、針組立体10の全体を後退移動させて穿刺針16を血管から抜去した後、穿刺用針体12を針先プロテクタ14に対して後退移動させることで、穿刺針16の針先20が保護されるようにしても良い。
図10には、本発明の第2の実施形態としての針組立体100の要部が示されている。針組立体100は、針ハブ102を備えている。以下の説明において、第1の実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
針ハブ102は、先部32と基部としての管路接続部40との間に当接部としての中間部104を備えている。中間部104は、外周面の先端側にテーパ部58が設けられていると共に、外周面の基端側に凸部106が設けられている。
凸部106は、中間部104の外周面から左右方向の外側へ向かって突出している。凸部106は、略一定の半円形断面で上下方向に直線的に延びている。凸部106は、係合腕48,48の対向間に位置している。なお、凸部106の具体的な形状は、あくまでも例示であって、特に限定されない。具体的には、例えば、凸部106は、多角形の断面形状を有していても良いし、所定の長さで連続する突条ではなくスポット状の突起であっても良い。
このような針ハブ102では、係合腕48,48に内方向(係合腕48,48の対向方向内側)の操作力が作用して、係合腕48,48が内方向に移動すると、係合腕48,48が中間部104の凸部106に当接する。これにより、係合腕48,48の内方向への移動量が、係合腕48,48と中間部104の当接による力学的な作用によって制限される。その結果、係合腕48,48の過度な変形による損傷が防止されて、係合腕48,48の耐久性の向上が図られる。
中間部104に凸部106が設けられて、係合腕48,48が凸部106において中間部104に当接することから、係合腕48,48が許容される内方向への移動量を、凸部106の大きさ、形状、位置などによって調節することができる。
中間部104において係合腕48,48の当接によって荷重が入力される部分が、凸部106によって厚肉とされていることから、係合腕48,48の当接による中間部104の損傷が防止される。
図11には、本発明の第3の実施形態としての針組立体110の基端部が示されている。針組立体110は、針ハブ112を備えている。針ハブ112は、先部32と基部としての管路接続部40の間に当接部としての中間部114を備えている。中間部114は、外周面の先端側にテーパ部58が設けられていると共に、外周面の基端側に凹部116が設けられている。
凹部116は、中間部114の左右方向の外面に開口して設けられており、略一定の半円形断面で上下方向に直線的に延びる溝状とされている。凹部116は、係合腕48,48の対向間に位置している。なお、凹部116の具体的な形状は、あくまでも例示であって、特に限定されない。具体的には、例えば、凹部116は、多角形の断面形状を有していても良いし、溝状ではなくスポット状の凹所であっても良い。
このような針ハブ112では、係合腕48,48に内方向(係合腕48,48の対向方向内側)の操作力が作用して、係合腕48,48が内方向に移動すると、係合腕48,48が凹部116の先端と基端の少なくとも一方に当接する。これにより、係合腕48,48の内方向への移動量が、係合腕48,48と中間部114の当接による力学的な作用によって制限される。その結果、係合腕48,48の過度な変形による損傷が防止されて、係合腕48,48の耐久性の向上が図られる。
中間部114に凹部116が設けられて、係合腕48,48が凹部116において中間部114に当接することから、係合腕48,48に許容される内方向の移動量が、凹部116の位置、形状、大きさなどによって調節可能とされる。例えば、針ハブ112や係合腕48,48が強度の確保等を目的として厚肉とされて、針ハブ112と係合腕48,48の対向間の隙間が小さい場合にも、針ハブ112の中間部114に凹部116が設けられることによって、係合腕48,48の内方向への移動量を十分に確保することが可能となる。
図12には、本発明の第4の実施形態としての針組立体120の基端部が示されている。針組立体120は、針ハブ122を備えている。針ハブ122は、先端部分24と基端部分124が別部材とされており、2部品によって構成されている。なお、先端部分24は、基端側が基端部分124と一体形成されていない以外は前記実施形態の先端部分24と略同じ構造でとされている。
基端部分124は、先端側の連結筒部126と、基端側の管路接続部40とを備えている。管路接続部40の外表面は基端側に向かって幅が小さくなるテーパ形状であるが、管路接続部40の外表面は、例えばストレート形状であってもよい。当接部としての連結筒部126は、略円筒形状とされており、図12に示す縦断面において、内周面及び外周面が針軸方向に直線的に延びるストレート形状とされている。これにより、連結筒部126は、針軸方向で直線的に延びるストレート部128を外周面に備えている。連結筒部126は、内径寸法が先端部分24の基端側と略同じとされている。なお、連結筒部126は、例えば基端側に向かって幅が大きくなるテーパ形状であってもよい。
また、管路接続部40の先端側の左右方向外端には、先端側へ突出する腕部としての一対の係合腕130,130が一体形成されている。係合腕130,130は、連結筒部126に対して左右方向外側に離れて設けられており、フック50,50によって構成された先端部が連結筒部126よりも先端側に位置している。換言すれば、連結筒部126は、係合腕130,130対向間に位置している。なお、係合腕130,130は、基端部が左右方向で薄肉とされており、先端部が基端部の弾性変形によって左右内方向への移動を許容されている。
そして、先端部分24が基端部分124の連結筒部126に先端側から挿入されて、必要に応じて接着や溶着によって固定されることにより、針ハブ122が構成されている。なお、先端部分24と基端部分124は、嵌合によって固定されていても良く、必ずしも接着等される必要はない。
針ハブ122は、針先プロテクタ14に挿入されており、針ハブ122の係合腕130,130が針先プロテクタ14の貫通窓74,74に係合されることで、針ハブ122と針先プロテクタ14が針軸方向に位置決めされている。なお、針ハブ122と針先プロテクタ14が係合腕130,130によって連結されて位置決めされた状態において、針先プロテクタ14の可撓片76,76は、係合腕130,130よりも先端側に位置しており、係合腕130,130の対向間に挿入されていない。
係合腕130,130に対向方向内側への操作力が及ぼされると、係合腕130,130が内方向へ移動し、係合腕130,130が針ハブ122の連結筒部126のストレート部128に当接する。これにより、係合腕130,130の内方向への移動が、連結筒部126への当接による力学的な作用によって規制されて、係合腕130,130の過大な変形が阻止される。その結果、係合腕130,130を連結筒部126に当接するまで内方向へ移動させることで、フック50,50と貫通窓74,74の係合を解除しつつ、係合腕130,130の過度な変形を防ぐことが可能であり、係合腕130,130を適切に操作することができる。
このように、係合腕130,130が当接する当接部は、必ずしも軸方向で形状の変化を伴う部分に限定されず、軸方向に略一定の形状で延びるストレート部128を含んで構成されていても良い。
本実施形態では、針ハブ122の先端部分24と基端部分124が別部材とされた構造について説明したが、例えば、図13に示す針組立体140のように、先端部分24と基端部分36が一体とされた針ハブ142において、ストレート部128を含む当接部としての中間部144を採用することもできる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、当接部は、針先プロテクタ14と針ハブ18の両方に設けられていなくても良く、何れか一方だけに設けられていても良い。
針先プロテクタ14の可撓片76,76が当接部とされる場合に、可撓片76,76の外面に凸部、凹部、ストレート部、平面部などを設けることもできる。
前記第1の実施形態のテーパ部58は、係合腕48,48の当接面が周方向に湾曲しているが、腕部が当接する当接部は、腕部との当接面が平坦面形状の平面部によって構成されていても良い。これによれば、腕部における当接部と当接する面が平坦面形状の場合に、腕部と平面部を面当たりや周方向に湾曲しないで直線的に延びる線当たり等をさせることも可能となる。なお、針ハブ18のテーパ部58や針先プロテクタ14の外面77が周方向に湾曲している場合において、係合腕48の当接する内面が周方向に対応して湾曲することで周方向に湾曲して延びる線当たりするようになっていても良い。
前記実施形態では、針ハブ18の当接部が先端部分24と管路接続部40の間に設けられた中間部56によって構成されていたが、例えば、係合腕48,48が管路接続部40に当接するようにされて、当接部が管路接続部40によって構成されるようにしても良い。同様に、針先プロテクタ14の当接部は、可撓片76,76とは異なる部分に設けられ得る。
係合腕48,48は、フック50,50において当接部に当接しても良いし、フック50,50よりも基端側において当接部に当接しても良い。