以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1〜7には、本発明の第1の実施形態としての留置針組立体10が示されている。この留置針組立体10は、内針ユニット12と外針ユニット14を含んで構成されている。内針ユニット12は、先端に針先16を有する内針18と、内針18の基端側に設けられた内針ハブ20を備えており、更に、内針18に対して針軸方向で移動可能に外挿された針先プロテクタ22が装着されている。一方、外針ユニット14は、外針24と、外針24の基端側に設けられた外針ハブ26とを備えており、かかる外針ユニット14に対して内針18が基端側から挿通されている。そして、留置針組立体10の穿刺後に外針ユニット14から内針18が引き抜かれることにより、外針ユニット14が患者の皮膚に留置される一方、針先プロテクタ22が内針18の先端に移動して内針18の針先16が保護されるようになっている。なお、以下の説明において、軸方向とは内針18および外針24が延びる図2中の左右方向を言い、先端側とは内針18の針先16側である図2中の右側を言う一方、基端側とは使用者が操作する側である図2中の左側を言う。
より詳細には、内針ユニット12において、内針18は中空針であり、例えばステンレス鋼、アルミニウム、チタン又はそれらの合金等の公知の材料から形成されている。内針18の針先16には、生体へ容易に穿刺できるように鋭利な形状となっており、軸方向に対して傾斜する方向に広がる刃面28が形成されている。また、内針18の先端部分には、僅かに外径寸法が大きくされた大径部29が形成されており、本実施形態では径方向1方向の両側(図4中の上下方向両側)に一対の大径部29,29が形成されている。なお、内針18は中実針であってもよい。
また、内針18の基端側に設けられた内針ハブ20は、ポリプロピレン等の硬質の合成樹脂材料で形成されており、全体として長手の略円筒形状とされている。内針ハブ20の長さ方向の中間部分は、外径が括れ状に絞られて内針18の基端部が貫通固着された内針固着部30とされている。
内針ハブ20における内針固着部30より基端側の開口部分は、外周面にねじ山が設けられた接続部32とされており、この接続部32に対して、外部管路を接続するためのポート部材34が固着されている。即ち、このポート部材34に対して、シリンジや外部管路を接続することにより、内針ハブ20内において、外部管路が内針18の内腔に連通されるようになっている。なお、ポート部材34の内部には、必要に応じて、通気フィルタが設けられる。
また、内針ハブ20における内針固着部30より先端側の開口部分は、大径の円筒形状をもって軸方向に延びるカバー筒部36とされている。これにより、カバー筒部36の内周側には先端側に開口する収容空所38が形成されている。
一方、外針ユニット14において、外針24はチューブ形状とされており、適度な可撓性を有する材料、例えばエチレン―テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリウレタン、ポリエーテルナイロン樹脂等の各種の軟質樹脂により形成されている。なお、外針24の先端部には、先細となるテーパ状外周面40が形成されて、生体への穿刺抵抗が軽減されている。また、外針24の先端部の周壁には、貫通孔42が設けられて、外針24に対する流体の流通効率の向上が図られている。
さらに、外針24の基端側に設けられた外針ハブ26は、ポリプロピレン等の硬質の合成樹脂材料で形成されており、全体として長手の略円筒形状とされている。外針ハブ26の先端側は、外針24の外周面に向かって次第に小径となるテーパ状外周面とされている。一方、外針ハブ26の基端側開口部43には、外周面にねじ山が設けられたロック部44が形成されており、外針ユニット14が患者の皮膚に留置された後に、外針ハブ26の基端側開口部43に対してルアーロックタイプのシリンジ等が接続されるようになっている。
更にまた、外針ハブ26の内径は、挿通される内針18の外径よりも大きくされており、外針ハブ26の内部には止血弁機構46が収容されている。この止血弁機構46の構造は何等限定されるものではないが、本実施形態では、止血弁本体48と押し子50と押し子ガイド52とから構成されている。
止血弁本体48は中央にスリット54(図10参照)が形成されたディスク弁とされており、ゴム弾性体やエラストマーにより形成されている。また、押し子50は全体として略筒状とされており、内径寸法が内針18の外径寸法より大きくされている。更に、押し子ガイド52は全体として略筒状とされており、押し子ガイド52が、押し子50と外針ハブ26との径方向間に配置されている。かかる止血弁本体48が、外針ハブ26の内部に装着されていると共に、止血弁本体48の基端側に押し子50と押し子ガイド52が位置しており、押し子50が押し子ガイド52に摺動して軸方向に移動可能とされている。なお、本実施形態では、止血弁本体48の基端側端面の外周部分に環状凹溝が設けられている一方、押し子ガイド52の先端側端面が筒状に突出しており、当該突出部分が止血弁本体48の環状凹溝に対して入り込んでいる。
そして、外針ユニット14が患者の皮膚に留置された後に、外針ハブ26の基端側開口部43からシリンジ等が挿入されることにより、シリンジの先端が押し子50を先端方向に押し込み、止血弁本体48のスリット54を開放させるようになっている。これにより、シリンジ内の薬液等が外針ユニット14を通じて患者の血管内に注入される。なお、注入後は、外針ユニット14からシリンジを抜き取ることにより、止血弁本体48の弾性復元作用によりスリット54は速やかに閉鎖される。
また、内針ユニット12において、内針18には針先プロテクタ22が外挿装着されている。
この針先プロテクタ22は、基端側の小径筒部55aと先端側の大径筒部55bとからなる段付円筒形状の周壁を備えたプロテクタ本体56を備えている。このプロテクタ本体56における小径筒部55a側の開口部分には、中央に基端側針挿通孔58を有する底壁60が設けられている。一方、大径筒部55b側の開口端部には、径方向1方向の両側(図6中の上下方向両側)において、外周側に突出する係止爪62,62が設けられている。更に、大径筒部55bの先端側端面において、係止爪62,62の対向方向と直交する方向の両側(図5中の上下方向両側)には、外周端縁部から先端側に所定の高さで周方向に湾曲して突出する外周カラー部63が形成されている。そして、かかるプロテクタ本体56の先端側開口部には、カバー部材64が組み付けられている。
図8にも示されているように、このカバー部材64は略円板形状とされた蓋部66を備えており、蓋部66の中央には内針18が挿通される中央孔68が設けられている。この蓋部66の外径寸法は、プロテクタ本体56の大径筒部55bの外径寸法と略等しくされていると共に、外針ハブ26の基端側開口部43に設けられたロック部44の外径寸法より大きくされている。
さらに、蓋部66の中央孔68は、蓋部66の軸方向視で、周上の1箇所(図5中の上部)において外方に広がった略楕円形状とされている。また、蓋部66の基端側となる図6の左側の端面には、中央孔68を挟んだ幅方向両側(図6中の上下方向両側)から、中央孔68に沿って軸方向に突出する一対のガイド壁部70,70が設けられている。更にまた、これらガイド壁部70,70の突出端には、軸方向に延びる筒状の保持筒部72が形成されている。かかる保持筒部72の内径寸法は、内針18の外径寸法よりも僅かに大きくされており、保持筒部72の内孔が内針18が挿通される挿通孔としての先端側針挿通孔74とされている。なお、ガイド壁部70,70の突出高さ寸法は、後述する固定部材90およびシャッター部材92の軸方向寸法と略同じか僅かに大きくされていると共に、外周カラー部63の軸方向寸法より僅かに小さくされている。
また、蓋部66の外周縁部には、ガイド壁部70,70の外周側に位置して、軸方向の基端側に向かって突出する一対の外嵌部76,76が設けられている。これら外嵌部76,76の周方向中央部分には、外周側に開口する係止窓78,78が形成されており、これらの係止窓78,78が、プロテクタ本体56に設けられる係止爪62,62と対応する大きさとされている。
更にまた、蓋部66には、前述の中央孔68が広がる方向と反対側(図5中の下方)に位置して、中央孔68の開口端縁部から先端側(図5中の右側)に向かって突出する内側嵌合部80が形成されている。この内側嵌合部80は略半割の筒状体とされており、当該内側嵌合部80の外径寸法(完全な円筒形状を想定した場合の外径寸法)が外針ハブ26の基端側開口部43における内径寸法と略等しくされている一方、内側嵌合部80の内径寸法(完全な円筒形状を想定した場合の内径寸法)が内針18の外径寸法より大きくされている。なお、かかる内側嵌合部80は、内針ユニット12と外針ユニット14との組付け時において、押し子50の基端面に当接しない突出寸法で形成されている。
さらに、蓋部66の外周縁部において、周上の一部(図5中の上部)には、軸方向の先端側に延び出す係合片82が設けられている。この係合片82は、図5の上方からの平面視において略矩形状であり、図5の右方からの正面視において周方向に湾曲した略板状体とされている。また、この係合片82の先端には内周側に突出する爪部84が設けられている。
そして、プロテクタ本体56の係止爪62,62がカバー部材64の係止窓78,78内に入り込んで係止されることにより、プロテクタ本体56に設けられた外周カラー部63の先端側端面が蓋部66の基端側端面に当接する。これにより、プロテクタ本体56の先端側開口部がカバー部材64により覆蓋されて、カバー部材64がプロテクタ本体56に組み付けられる。その際、プロテクタ本体56の大径筒部55bと蓋部66とは軸方向で所定距離隔てて配置されており、これらの軸方向間、即ち外周カラー部63の内周側に内部スペース88が形成される。そして、かかる内部スペース88内に、一対のガイド壁部70,70が延び出している。
ここにおいて、当該内部スペース88内には、カバー部材64に固定的に取り付けられている固定部材90と、内部スペース88内を径方向に移動可能とされたシャッター部材92とが収容配置されている。これら固定部材90およびシャッター部材92はそれぞれ略同形のディスク状とされており、図4等に示される初期状態では、内針18を挟んで径方向1方向(図4中の上下方向)両側に位置している。そして、かかる固定部材90が、図4中の下方において、内側嵌合部80の基端側、すなわち、カバー部材64の基端側端面に固着されている一方、シャッター部材92が内針18を挟んだ径方向反対側(図4中の上方)に位置している。
本実施形態では、固定部材90が金属等の強磁性材で構成されている一方、シャッター部材92が永久磁石により構成されており、固定部材90に対してシャッター部材92が吸引されることで、シャッター部材92が内部スペース88内を径方向に移動可能とされている。換言すれば、シャッター部材92には、固定部材90に対して接近する方向の付勢力が常時及ぼされている。なお、固定部材が永久磁石とされる共にシャッター部材が強磁性材により形成されてもよいし、固定部材とシャッター部材が共に永久磁石により形成されて、固定部材とシャッター部材間に吸引力が及ぼされるようにしてもよい。
さらに、このシャッター部材92には、当該シャッター部材92と一体的に移動可能とされるスライド部材94が固着されており、かかるスライド部材94が、ガイド壁部70,70で案内されつつ、カバー部材64に対して径方向に移動可能に組み付けられている。このスライド部材94は、合成樹脂等の非磁性材により好適に形成されて、基端側のベース部96と、当該ベース部96の先端側端面から突出する先端突出部98とから構成されている。
このベース部96は、全体として略角丸四角形の横断面を有するブロック形状とされており、ベース部96の基端側端面の中央には、円形の収容凹部100が形成されている。そして、かかる収容凹部100に対してシャッター部材92が固着されて収容されている。なお、収容凹部100の外周壁において、固定部材90と対向する側には切欠き102が形成されており、切欠き102を通じてシャッター部材92が内周側に露呈している。
一方、ベース部96の先端側端面において、内周端縁部からは先端側に突出する先端突出部98が形成されている。この先端突出部98は、図5の上方からの平面視において略矩形状とされており、外針ハブ26の内周面形状に対応して、周方向に湾曲する湾曲板形状とされている。なお、先端突出部98は、内針ユニット12と外針ユニット14との組付け時において、内側嵌合部80と略同じ軸方向位置まで延び出しており、押し子50とは当接しないようにされている。
そして、かかるベース部96が蓋部66の基端側端面に設けられたガイド壁部70,70の対向面間に位置していると共に、先端突出部98が蓋部66の中央孔68を通じて蓋部66よりも先端側に延び出している。即ち、スライド部材94のベース部96が内部スペース88に収容されていると共に、スライド部材94の先端突出部98が中央孔68を通じて内部スペース88よりも先端側に延び出している。これにより、ベース部96が両ガイド壁部70,70に案内されて移動可能とされており、かかるベース部96の移動に伴って、先端突出部98が中央孔68内を移動させられることで、スライド部材94が全体としてカバー部材64に対して径方向に移動可能に組み付けられている。
上記のように、プロテクタ本体56とカバー部材64との内部スペース88に、固定部材90とシャッター部材92とスライド部材94とが収容されることにより、本実施形態の針先プロテクタ22が構成されている。なお、本実施形態では、図4中の上方の外周カラー部63における周方向中央部分に確認窓としての開口窓104が形成されており、スライド部材94におけるベース部96の外周面が開口窓104を通じて外部空間に露出している。特に、本実施形態では、ベース部96の外周面と係合片82の外周面が同一の湾曲面上に位置するようにされている。
上記の如き針先プロテクタ22に対して内針18が基端側から挿通されることにより、本実施形態の内針ユニット12が構成されている。即ち、図1等に示された初期状態では、カバー筒部36の収容空所38内にプロテクタ本体56が収容されている。それと共に、内針18が、基端側から、基端側針挿通孔58、先端側針挿通孔74、中央孔68の順に挿通されて、先端側に延び出している。そして、その際、内部スペース88において、内針18よりも一方の側(図4中の上方)にシャッター部材92が位置していると共に、他方の側(図4中の下方)に固定部材90が位置している。
なお、本実施形態では、内針18に対して保護スリーブ106が外挿装着されている。この保護スリーブ106は、全体として軸方向に延びる筒状の部材とされており、内針18に対して軸方向で移動可能とされている。かかる保護スリーブ106の軸方向寸法は、プロテクタ本体56の底壁60の先端面からシャッター部材92の基端側端面までの軸方向寸法よりも小さくされている。
また、この保護スリーブ106の軸方向中間部分における内径寸法は、内針18の大径部29,29における外径寸法より大きくされている一方、軸方向基端部分における内径寸法は縮径されて、大径部29,29における外径寸法より小さくされている。更に、保護スリーブ106の軸方向基端部分の外径寸法は、基端側針挿通孔58の内径寸法より大きくされていると共に、軸方向中間部分の外径寸法は、先端側針挿通孔74および中央孔68の内径寸法より小さくされている。即ち、内針18に対する保護スリーブ106の先端側への移動が、大径部29,29と保護スリーブ106の基端部分との係止により規制されると共に、プロテクタ本体56に対する保護スリーブ106の基端側への移動が大径部29,29とプロテクタ本体56の底壁60との係止により規制されるようになっている。
なお、かかる保護スリーブ106が設けられて、当該保護スリーブ106の外周面とスライド部材94とが当接することで、初期状態におけるシャッター部材92およびスライド部材94の内周側への移動が規制されている。
さらに、本実施形態の保護スリーブ106における先端部分の外形寸法は僅かに拡径されたフレア部107とされており、押し子50の内径寸法よりも大きくされていると共に、先端側針挿通孔74の内径寸法よりも僅かに大きくされている。これにより、初期状態において、保護スリーブ106の先端部分が保持筒部72と押し子50との軸方向間に位置するようにされている。換言すれば、内針18が挿通される保護スリーブ106が、針先プロテクタ22の所定位置において、軸方向で移動可能に組み付けられている。
そして、外針ユニット14に対して内針ユニット12の内針18が挿通されることにより、本実施形態の留置針組立体10が構成されている。即ち、内針18が押し子50、止血弁本体48および外針24に挿通されて、内針18の針先16が外針24よりも先端に位置している。その際、カバー部材64の内側嵌合部80が外針ハブ26の内周面に当接する。これと共に、係合片82が外針ハブ26の外側に延び出して、係合片82の爪部84が、外針ハブ26の基端側開口部43における外周面に設けられたロック部44に係止される。また、スライド部材94における先端突出部98が針先プロテクタ22から外針ハブ26の内側に延び出して外針ハブ26の内周面に当接しており、当該先端突出部98と針先プロテクタ22に設けられた係合片82の爪部84とにより、外針ハブ26の周壁が径方向で挟まれて保持されている。これにより、針先プロテクタ22と外針ハブ26との相対移動が規制されるようになっている。
すなわち、本実施形態では、係合片82の爪部84とスライド部材94の先端突出部98により外針ハブ26の周壁を挟み込んで針先プロテクタ22の先端側と外針ハブ26の基端側とを連結する連結機構が構成されている。また、スライド部材94が、かかる連結機構における連結状態を維持する連結部材とされている。更に、係合片82および爪部84により、外針ハブ26の周壁をスライド部材94との間で挟むようにして外針ハブ26の外面に当接する外周係合部が構成されている。なお、本実施形態では、保護スリーブ106が設けられて、保護スリーブ106によりスライド部材94の内周側への移動が規制されることにより、針先プロテクタ22と外針ハブ26との連結状態が維持されるようになっている。
上記の如き構造とされた本実施形態の留置針組立体10は、一般的に、内針18の刃面28を上方に向けた状態で、患者の皮膚に穿刺される。そして、留置針組立体10が患者の皮膚に穿刺された状態のまま、外針ユニット14から内針ユニット12が引き抜かれることにより、外針ユニット14が患者の皮膚に留置される。
なお、本実施形態では、内針18の刃面28と周上で対応する位置(図4中の上方)に外針ハブ26の外周面と係合する係合片82が形成されており、刃面28を上方に向けた状態では、係合片82も留置針組立体10の上方に位置している。それ故、係合片82が患者の皮膚に引っ掛かる等のおそれが回避されて、操作性の向上が図られている。
以下に、外針ユニット14から内針ユニット12を引き抜く際の操作を、図9〜12を示して説明する。
先ず、留置針組立体10を患者の皮膚に穿刺した状態で、図9,10に示されているように、内針ユニット12を外針ユニット14に対して基端側に移動させる。これにより、内針ユニット12の内針18が外針24から引き抜かれる。その際、係合片82の爪部84がロック部44に係止されていると共に、当該爪部84とスライド部材94に設けられた先端突出部98との径方向間で外針ハブ26の周壁が挟持されていることから、内針18に外挿装着されている針先プロテクタ22は基端側に移動することなく、外針ハブ26との連結状態が維持されている。
また、内針18が止血弁本体48から引き抜かれることにより、止血弁本体48の弾性に従って止血弁本体48のスリット54が閉止される。これにより、血液の逆流が防止され得る。
そして、内針18が保護スリーブ106に対して相対的に基端側に移動することにより、内針18の大径部29,29が保護スリーブ106の基端部分に引っ掛かって係止される。なお、かかる状態では、内針18の針先16が保護スリーブ106内に収容されていることが好ましい。また、保護スリーブ106の先端にフレア部107が設けられていることにより、内針18の大径部29,29が保護スリーブ106内に入り込みやすくされている。
保護スリーブ106が内針18に係止された状態で、更に内針18を基端側に引き抜くことにより、図11,12に示されるように、内針18と共に保護スリーブ106が針先プロテクタ22に対して基端側に移動する。即ち、本実施形態では、内針18の大径部29,29と保護スリーブ106の基端部分との係止により、内針18と保護スリーブ106とが連動して移動する連動機構が構成されている。かかる内針18および保護スリーブ106の基端側への移動は、プロテクタ本体56の底壁60と保護スリーブ106の基端部分とが当接することにより規制されて、かかる状態では、保護スリーブ106がプロテクタ本体56の内部に収容される。換言すれば、針先プロテクタ22が、内針18の針先16よりも先端側に移動する。
上記の如き保護スリーブ106の針先プロテクタ22に対する基端側への移動により、保護スリーブ106とスライド部材94との当接が解除されて、スライド部材94は、シャッター部材92と固定部材90との吸引力に従い、シャッター部材92と一体的に外針ハブ26の内周側へ移動する。即ち、本実施形態では、スライド部材94を外針ハブ26の内周側へ移動させる方向の付勢力を及ぼす付勢手段が、シャッター部材92を含んで構成されている。そして、シャッター部材92と固定部材90とが当接することで、シャッター部材92およびスライド部材94の内周側への移動が規制される。その際、シャッター部材92は、保持筒部72の先端側に位置しており、これにより先端側針挿通孔74の先端側開口部が覆蓋される。従って、かかるシャッター部材92により内針18の針先16が軸方向で覆われて保護される。
そして、スライド部材94が外針ハブ26の内周側に移動することで、外針ハブ26の内周面に当接していた先端突出部98が、外針ハブ26の内周面から内周側に離隔した位置に移動する。これにより、係合片82の爪部84と先端突出部98との外針ハブ26の周壁の挟持が解除される。かかる先端突出部98の外針ハブ26の内周側への移動により、爪部84と先端突出部98との径方向間には隙間が形成されて、内針ユニット12を外針ユニット14に対して径方向1方向の一方(図11中の上方)に相対変位させることが可能となる。そして、内針ユニット12を当該方向に相対変位させることにより、係合片82の爪部84と外針ハブ26のロック部44との係止が解除されて、外針ユニット14から内針ユニット12が取り外される。
すなわち、内針18の外針24からの引抜きに伴ってスライド部材94(連結部材)が外針ハブ26の内周側へ移動させられて、かかるスライド部材94の内周側への移動により、針先プロテクタ22と外針ハブ26との連結状態を解除する連結解除機構が構成されている。特に、本実施形態では、内針18に対して保護スリーブ106が外挿されており、内針18と保護スリーブ106とが連動して移動する連動機構が設けられていることから、かかる連結解除機構が連動機構を含んで構成されている。
なお、本実施形態では、外周カラー部63の一部に開口窓104が形成されており、当該開口窓104を通じてスライド部材94のベース部96が外部空間に露出していることから、かかる開口窓104を通じて、スライド部材94の位置、即ちスライド部材94の外周端が外周カラー部63の外周面と略同じ位置とされた初期位置からスライド部材94が内周側へ移動した位置となった場合の相違を目視で確認可能とされている。
上記の如き形状とされた本実施形態の留置針組立体10では、外針ユニット14からの内針ユニット12の取外しに際してスライド部材94が外針ハブ26の内周側に移動することで針先プロテクタ22と外針ハブ26との連結が解除されることから、留置針組立体10のサイズの大型化が回避されて、良好な操作性をもって外針ユニット14から内針ユニット12が取り外され得る。
特に、針先プロテクタ22と外針ハブ26との連結が係合片82の爪部84とスライド部材94の先端突出部98とによる外針ハブ26の周壁の挟み込みによって実現されると共に、先端突出部98の内周側への移動によりかかる連結が解除される。即ち、連結状態を維持するための部材が移動することで連結状態の解除が実現されることから、連結機構および連結解除機構の作動が安定してなされ得る。
また、本実施形態では、シャッター部材92が内周側に移動することで、内針18の針先16が軸方向でも覆われ得ることから、内針ユニット12を取り外した後において、内針18の針先16に付着した血液等の飛散や内針18の突出による誤穿刺がより確実に防止され得る。特に、シャッター部材92とスライド部材94とが一体的に移動可能とされていることから、外針ハブ26と針先プロテクタ22との連結解除作動と内針18の針先16の保護作動とが同時に実現され得る。これにより、内針ユニット12が外針ユニット14からより安全に取り外され得る。
さらに、本実施形態では、シャッター部材92が永久磁石により形成されていると共に、固定部材90が強磁性材により形成されていることから、シャッター部材92およびスライド部材94には常時外針ハブ26の内周側への付勢力が及ぼされている。これにより、内針18が基端側に引き抜かれることで、シャッター部材92およびスライド部材94が内周側に自動的に、且つ速やかに移動することができる。
更にまた、本実施形態では、内針18に対して保護スリーブ106が外挿装着されており、初期状態では、当該保護スリーブ106に対してスライド部材94が当接することで、シャッター部材92およびスライド部材94の内周側への移動が規制されている。即ち、内針18の引抜きに際して、内針18とシャッター部材92およびスライド部材94とが直接擦れることがないことから、内針18を引き抜く際の摺動抵抗が軽減されて、良好な操作性をもって引抜操作が可能とされている。
また、かかる保護スリーブ106を採用することにより、外径寸法の異なる複数種類の内針18を採用する場合にも、同一の大きさの針先プロテクタ22が使用可能とされ得る。
また、本実施形態では、開口窓104を通じてスライド部材94の内周側への移動が目視で確認できることから、スライド部材94が内周側へ移動したことを確認した後に、係合片82の爪部84と外針ハブ26のロック部44との係止を解除して、外針ユニット14から内針ユニット12を取り外すことができる。これにより、針先プロテクタ22と外針ハブ26との連結が十分に解除される前に、外針ユニット14から内針ユニット12を取り外す操作を行うおそれが低減され得る。
次に、図13には、本発明の第2の実施形態としての留置針組立体110の要部が示されている。本実施形態では、針先プロテクタ111におけるカバー部材ならびに連結部材および当該連結部材を外針ハブ26の内周側に付勢する付勢手段が前記第1の実施形態とは異ならされている。なお、図13は、内針18を引き抜いて、前記第1の実施形態における図10の状態と同様の状態になった図を示している。また、図13(a)は、針先プロテクタ111と外針ハブ26との連結部分を拡大して示す斜視図であって、プロテクタ本体56を透過して示す図である。一方、図13(b)は、図13(a)の状態において、プロテクタ本体56を併せて示す縦断面図である。
なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材および部位には、図中に、前記実施形態と同一の符号を付すことにより、詳細な説明を省略する。また、図示されていない部分は、前記実施形態と同様の構造が採用され得ることから、詳細な説明を省略する。さらに、以下の図13,15〜18に示す実施形態では、前記実施形態と異なり、先端側が図中の左側、基端側が図中の右側として示されている。
すなわち、本実施形態のカバー部材112では、蓋部66の基端側において、周上の一部に開口を有する略U字状のガイド壁部114が設けられている。すなわち、U字状の底壁となる湾曲壁部116と、当該湾曲壁部116の周方向両端から略直線状に延び出すガイド側壁部118,118が設けられている。そして、これらガイド側壁部118,118のそれぞれからは、基端側に保持アーム120,120が延び出している。これら保持アーム120,120の対向面間距離は、本実施形態の保護スリーブ121の外径寸法より僅かに大きくされている。また、保持アーム120,120の軸方向寸法は、保護スリーブ121の軸方向寸法より小さくされている。
かかる保持アーム120,120の突出先端(針軸方向基端)には、内周側に突出する係止爪122,122が設けられている。この係止爪122,122の対向面間距離は、内針18の外径寸法より大きくされている一方、保護スリーブ121の外径寸法より小さくされている。
そして、かかる係止爪122における保持アーム120の基端側(針軸方向の先端側)が、傾斜面124からなる係止面とされている。なお、傾斜面124は、内周側に行くにつれて保持アーム120の先端側に向かう方向に傾斜している。また、係止爪122,122において互いに対向する内周面には、保護スリーブ121の外周面形状に対応した湾曲底面を有する凹溝126,126が形成されている。
一方、蓋部66の外周縁部において、周上の一部、即ち周上における略U字状とされたガイド壁部114の開口側(内針18を挟んで湾曲壁部116と反対側)には、先端側に突出する位置決め突部128が設けられている。この位置決め突部128は、先端が狭幅となる先細形状とされている。さらに、かかる位置決め突起128の周方向両側には、蓋部66の外周縁部から位置決め突起128と同じ方向へ延び出す一対の係合片130,130が設けられている。なお、位置決め突起128と各係合片130は、周方向で相互に離隔して設けられている。
各係合片130の軸方向中間部分には、内周側に向かって略く字状に屈曲して突出する爪部132が設けられている。そして、各係合片130において、蓋部66側の基端部から爪部132に至る突出方向向寸法が、外針ハブ26におけるロック部44の軸方向寸法と略同じとされている。これにより、係合片130が、蓋部66との間でロック部44を軸方向で挟むようにして、ロック部44へ係止可能とされている。
また、カバー部材112がプロテクタ本体56の先端側開口部に重ね合わされて、相互に固定されることにより、カバー部材112とプロテクタ本体56との間には内部スペース138が形成されている。すなわち、内部スペース138は、略U字状とされたガイド壁部114の内側の空間により形成されており、中央孔68を通じて先端側に開放されているとともに、プロテクタ本体56に設けられた開口窓104により外部空間に連通されている。
そして、この内部スペース138には、連結部材としてのシャッター部材140が収容配置されている。このシャッター部材140は、略板状のベース部142と、当該ベース部142から突出する略円柱状の支持突部144から構成されている。かかるベース部140が、内部スペース138において両ガイド側壁部118,118間に位置しており、ベース部142の先端側が中央孔68を通じてカバー部材112よりも先端側に突出している。一方、ベース部142から突出する支持突部144が、内部スペース138において開口窓104側に延びており、外部から開口窓104を通じて視認可能とされている。
また、支持突部144には、コイルスプリング146が外挿装着されている。コイルスプリング146は、内部スペース138内に収容配置されており、伸縮方向である長さ方向一方の端部が開口窓104の開口周縁部に内側から当接しているとともに、長さ方向他方の端部がベース部142に当接している。
上記のように、プロテクタ本体56とカバー部材112との内部スペース138に、シャッター部材140とコイルスプリング146が収容配置されて、プロテクタ本体56とカバー部材112を相互に固定されることにより、本実施形態の針先プロテクタ111が構成されている。なお、プロテクタ本体56とカバー部材112の固定は、前記実施形態の如き凹凸による係止でもよいし、接着や溶着、圧入など従来公知の各種の固定手段が採用され得る。そして、かかる針先プロテクタ111に内針18が挿通されることで本実施形態の内針ユニット148が構成されている。
また、本実施形態の内針18には、保護スリーブ121が外挿装着されている。本実施形態の保護スリーブ121には、軸方向基端側の周縁部が内周側に向かって突出されて、円環形状の内方突部150が形成されている。この内方突部150の内孔が、内針18の挿通される貫通孔152とされており、当該貫通孔152の径寸法が、内針18の大径部29,29における外径寸法より小さくされていると共に、内針18の大径部29,29以外の部分における外径寸法より僅かに大きくされている。
ここにおいて、図13に示す連結解除機構が作動する前の状態における内針ユニット148では、保持アーム120,120の係止爪122,122の対向面間距離が保護スリーブ121の外径寸法よりも小さくされていることから、保護スリーブ121の基端側への変位が係止爪122,122で制限されるようになっている。また、シャッター部材140は、保護スリーブ121に側方から当接している。この際、コイルスプリング146は圧縮状態とされており、かかる内針ユニット148では、コイルスプリング146により、シャッター部材140に対して内周側へ変位する付勢力が及ぼされている。すなわち、本実施形態では、連結部材であるシャッター部材140を内針18側に付勢する付勢手段がコイルスプリング146により構成されている。
そして、外針ユニット14に対して内針ユニット148の内針18を挿通して外針ユニット14と内針ユニット148とを相互に組み付けることにより、本実施形態の留置針組立体110が構成されている。その際、カバー部材112に設けられた位置決め突部128が、図14に示されるように、外針ハブ26のロック部44に設けられた切欠き129に、外針ハブ26の外周面に当接しながら挿入されることで、針先プロテクタ111(内針ユニット148)と外針ユニット14との相対回転が制限される。
さらに、位置決め突部128の周方向両側に設けられた係合片130,130が外針ハブ26の外側に延び出して、係合片130,130の爪部132,132が、外針ハブ26の基端側開口部43の外周面に設けられたロック部44に係止される。更にまた、シャッター部材140のベース部142における先端部分が、針先プロテクタ111から外針ハブ26の内側に延び出して外針ハブ26の内周面に当接している。これにより、外針ハブ26の周壁が、針先プロテクタ111における位置決め突部128とシャッター部材140のベース部142に挟まされて保持されており、かかる位置決め突部128や係止片130,130を含んで本実施形態の外周係合部が構成されている。
また、カバー部材112の内側嵌合部80が外針ハブ26の基端側開口部43の内周面に当接させられる。すなわち、本実施形態では、これら位置決め突部128とベース部142による外針ハブ26の周壁の挟み込みや、爪部132,132によるロック部44への係止、および内側嵌合部80による外針ハブ26内周面への当接により、針先プロテクタ111の先端側に外針ハブ26の基端側を連結する連結機構が構成されている。そして、初期状態では、かかる連結機構をもって、針先プロテクタ111と外針ハブ26の相対移動が規制されるようになっている。
以上の如き構造とされた留置針組立体110の外針ユニット14から内針18を引き抜くことにより、図13(b)に示されているように、内針18の大径部29,29が保護スリーブ121の内方突部150における貫通孔152の開口周縁部に係止される。そして、かかる係合状態をもって、内針18と共に保護スリーブ121が基端側へ移動する。その後、図13(a)に示されているように、保護スリーブ121の内方突部150が保持アーム120,120における係止爪122,122の先端側端面である傾斜面124,124に当接する。
その後、更に内針18を引き抜くことで、図15に示されているように、傾斜面124,124の案内作用により、保持アーム120,120が、突出基端(ガイド側壁部118,118との接続部分)を支点として、その突出先端が拡開するように弾性変形させられる。これにより、保護スリーブ121が係止爪122,122間を通過可能となる。なお、図15は、連結解除機構が作動した後の状態、即ち前記第1の実施形態における図11と同様の状態を示しており、図15(a)がプロテクタ本体56を透過して示す斜視図であり、図15(b)がプロテクタ本体56を含めた図15(a)の縦断面図である。
そして、更に内針18が基端側に引き抜かれることで、保護スリーブ121の内方突部150がプロテクタ本体56の底壁60と当接するとともに、保護スリーブ121とシャッター部材140との当接が解除されて、シャッター部材140は、コイルスプリング146の付勢力に従い、内周側へ移動させられる。これにより、内針18の先端側がシャッター部材140で閉塞されて、内針18の針先16が保護される。
かかる針先16の保護とともに、シャッター部材140が内周側に移動することから、位置決め突部128や係合片130,130との外針ハブ26の周壁の挟み込みが解除される。すなわち、シャッター部材140と外針ハブ26との間に隙間が形成されて、かかる隙間を利用して、外針ユニット14に対して内針ユニット148を径方向に変位させることが可能となる。それ故、爪部132,132によるロック部44への係止が解除され得て、針先プロテクタ111と外針ハブ26との連結が解除され得る。特に、係合片130,130は、軸方向の略全長に亘って略一定の厚さ寸法とされており、外側に撓み易く、また、係合片130,130の内面に傾斜面が形成されていることから、内針ユニット148を外針ユニット14に対して基端側に水平に引き抜いたとしても、抵抗感なく爪部132,132とロック部44との係止が容易に解除され得る。
かかる構造とされた本実施形態の留置針組立体110においても、内針18の保護と同時に針先プロテクタ111と外針ハブ26との連結機構が解除されて、作業性や操作性の向上が図られる。特に、シャッター部材140が内周側に変位することで連結機構が解除されることから、留置針組立体110の大型化が回避される。
また、本実施形態の針先プロテクタ111では、内針18の引抜き前において、保護スリーブ121が係止爪122,122よりも基端側に変位することが阻止されている。すなわち、内針の引抜き前に保護スリーブが基端側へ移動して連結部材と保護スリーブとの当接が解除されることにより、連結部材が付勢手段により内周側へ移動し、連結部材と内針が当接するおそれがあり、かかる場合では、内針の引抜時に連結部材と内針とが擦れて、内針の引抜抵抗が大きくなるなどのおそれがある。しかしながら、本実施形態のように、内針18の引抜き前に保護スリーブ121の基端側への変位が阻止されることで、かかるおそれが回避され得る。
次に、図16,17には、本発明の第3の実施形態としての留置針組立体160の要部が示されている。本実施形態における針先プロテクタ162では、前記第2の実施形態と同様のカバー部材112が採用されているが、プロテクタ本体56とカバー部材112との間の内部スペース138に収容配置される部材が異なっており、前記第1の実施形態における固定部材90およびシャッター部材92が収容配置されているとともに、内針18を引き抜くことで内周側へ傾動可能な連結部材としての傾動部材164が設けられている。
すなわち、傾動部材164は、略L字状のベース部166に対して軸直角方向両側(図16中における紙面奥手前方向両側)に突出する一対の支軸168,168が設けられた形状とされており、カバー部材112とプロテクタ本体56との間に支持されて、支軸168,168を中心に先端側が図16中の下方へ傾動可能とされている。そして、図16,17に示す連結解除機構が作動する前の状態では、ベース部166が中央孔68から先端側に延び出しているとともに、外針ハブ26の周壁と保護スリーブ121との間に挟まれて位置している。なお、図16,17は前記第1の実施形態における図10と同様の状態における図を示すものである。
要するに、連結解除機構が作動する前の状態では、ベース部166が、プロテクタ本体56とベース部166の基端側部分との間に設けられる空間にシャッター部材92が嵌め入れられることで、図16中の下方(内針18に接近する方向)への傾動が阻止されている。これにより、ベース部166と位置決め突部128や係合片130,130とで外針ハブ26の周壁を挟み込んで、針先プロテクタ162と外針ハブ26とを連結するようになっており、本実施形態においても位置決め突部128や係合片130,130とにより外周係合部が構成されている。
そして、図18に示されるように、内針18を基端側へ引き抜くことにより、シャッター部材92と保護スリーブ121との当接が解除されることから、シャッター部材92が固定部材90に吸引されて、内針18の針軸上に移動させられる。それに伴ってシャッター部材92の嵌め入れによる傾動部材164(ベース部166)の固定が解除されることから、傾動部材164が支軸168,168を中心に内針18側に変位する。特に、傾動部材164において、支軸168からの距離が大きい外針ハブ26への挿入部分は、外針ハブ26内で内周側(図18中の下方)へ有効に移動する。これにより、ベース部166と位置決め突部128や係合片130,130との外針ハブ26の挟み込みが解除されて、針先プロテクタ162と外針ハブ26との連結が解除され得る。
なお、本実施形態では、傾動部材164が、内針18における刃面28と周上で対応する方向に設けられており、本実施形態の留置針組立体160は、通常、図16中の上方を実際の上方向として使用される。それ故、傾動部材164の支軸168,168を中心とした傾動は、重力作用でなされるようにすることも可能である。または、シャッター部材92とベース部166を連結して、シャッター部材92の移動に連動して傾動部材164が傾動するようにしてもよい。或いは、傾動部材164が重力では傾動しない程度の保持力をもってカバー部材112に組み付けられていてもよく、例えば外針ハブ26から針先プロテクタ162を取り外す場合において、外針ハブ26に対して針先プロテクタ162を図18中の上方へ移動させる際に、外針ハブ26の周壁で傾動部材164を内周側へ押し込みつつ、外針ハブ26と針先プロテクタ162との連結を解除させるようにしてもよい。
上記の如き構造とされた本実施形態の留置針組立体160においても、前記実施形態と同様の効果が発揮され得る。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されることなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良などを加えた態様で実施され得るものであり、また、そのような実施態様も、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも本発明の範囲内に含まれる。
例えば、前記第1の実施形態では、針先プロテクタ22から係合片82が外針ハブ26の外側に延び出して、爪部84がロック部44に係止されると共に、爪部84とスライド部材94の先端突出部98とで外針ハブ26の周壁を挟むようにして、針先プロテクタ22と外針ハブ26とが連結されていた。また、前記第2、第3の実施形態においても、位置決め突部128や係合片130,130と連結部材により外針ハブ26の周壁を外内で挟んで針先プロテクタ111,162と外針ハブ26を連結していたが、かかる態様に限定されない。即ち、針先プロテクタと外針ハブ26とが、外針ハブ26の外側で連結される態様に限定されず、外針ハブ26の内側で連結されるようにしてもよい。
具体的には、図19(a)に示すように、スライド部材94の先端突出部98から外針ハブ26の内方に突出する嵌合凸部170を設ける一方、外針ハブ26の内周面において当該嵌合凸部170に対応する嵌合凹部172を設けて、これらの凹凸嵌合により針先プロテクタ22と外針ハブ26とが連結されるようにしてもよい。その際、先端突出部98の径方向反対側に位置する内側嵌合部80が外針ハブ26の内周面に押し付けられるように位置することで、外針ハブ26の内周面に相対移動の規制力が及ぼされて、針先プロテクタ22と外針ハブ26とが連結され得る。即ち、かかる態様においては、嵌合凸部170と嵌合凹部172との凹凸嵌合により、針先プロテクタ22と外針ハブ26とを連結する連結機構が構成されている。
或いは、内側嵌合部80に対して外周側に突出する嵌合凸部を設ける一方、外針ハブ26の内周面において当該嵌合凸部に対応する嵌合凹部を設けてもよい。その際は、内側嵌合部80の径方向反対側に位置するスライド部材94の先端突出部98を外針ハブ26の内周面に押し付けることにより、針先プロテクタ22と外針ハブ26とが、外針ハブ26の内側から相対移動が規制されるようにして連結され得る。また、内側嵌合部80とスライド部材94の先端突出部98の両方に対して外周側に突出する嵌合凸部を設ける一方、外針ハブ26の内周面において当該嵌合凸部に対応する嵌合凹部を設けてもよい。
そして、例えば上記図19(a)に示される態様では、外針24から内針18を基端側に引き抜くことにより、図19(b)に示すように、スライド部材94が内周側に移動可能となる。このように、本態様においてもスライド部材94が内周側に移動することで、内針ユニット12と外針ユニット14とが径方向に相対移動し得る隙間が生じて、外針ハブ26の内側における嵌合凸部170と嵌合凹部172との凹凸嵌合、即ち針先プロテクタ22と外針ハブ26との連結を解除することができる。この結果、外針ユニット14から内針ユニット12が取り外され得る。なお、嵌合凸部が内側嵌合部80や、先端突出部98と内側嵌合部80との両方に設けられる場合も同様である。
また、前記実施形態のように、外針ハブ26の外側に向かって突出する係合片82,130を設ける場合であっても、外針ハブ26の外側における針先プロテクタ22,111,162と外針ハブ26との連結は、爪部84,132とロック部44との係止に限定されない。即ち、外針ハブの外周面にロック部は必須ではなく、外針ハブの外周面に爪部84,132と対応する凹部を設けて、当該凹部に係合片82,130の爪部84,132が入り込んで係止されてもよい。或いは、爪部を設けずに、係合片と外針ハブの外周面や、第1の実施形態におけるスライド部材94の先端突出部98または第2,第3の実施形態におけるベース部材142,166と外針ハブの内周面との間の摩擦力に基づいて、外針ハブの針先プロテクタに対する相対移動を規制して連結状態に維持する連結機構を採用することも可能である。
さらに、前記第1,第3の実施形態においては、針先プロテクタ22,162において、シャッター部材92は必須なものではない。即ち、針先プロテクタが内針の針先を保護する状態において、内針の針先が軸方向で完全に覆われる必要はなく、例えば内針の針先がプロテクタ本体内に位置する状態で、内針が先端側に移動することを阻止する移動規制機構を別途設けることにより、針先プロテクタからの内針の突出が回避されて、誤穿刺が防止され得る。また、前記第1の実施形態では、シャッター部材92とスライド部材94が別部材により形成されていたが、これらは一体として形成されてもよく、全体として略L字形断面を有するシャッター兼スライド部材が内周側に移動することにより、内針の針先を軸方向で覆うようにしてもよい。なお、かかる場合には、前記第3の実施形態のように、シャッター兼スライド部材が永久磁石、または磁石により吸引される強磁性材により形成され得る。尤も、スライド部材は内針の針先を軸方向で完全に覆う位置まで移動する必要はなく、針先プロテクタと外針ハブとの連結を解除して、外針ユニットから内針ユニットを取り外し得る隙間が形成されればよい。
更にまた、本発明においては、内針18に外挿される保護スリーブ106は必須なものではない。即ち、前記実施形態では、初期状態において、スライド部材94の内周側への移動が保護スリーブ106に当接することで規制されていたが、スライド部材の内周側への移動が内針に当接することで規制されてもよい。また、プロテクタ本体56の基端部と内針18の大径部29,29とが当接することで規制されてもよい。さらに、図20(a)に示されるように、プロテクタ本体56の基端部にワッシャー174を固定して、ワッシャー174と内針18の大径部29,29とが当接するようにしてもよいし、図20(b)に示されるように、ワッシャー174はプロテクタ本体56の基端部にインサート成形することで固定されてもよい。かかるワッシャー174を用いることで、プロテクタ本体56を樹脂部材にした場合の寸法安定性の問題を解消できる。
また、前記第1の実施形態では、スライド部材94を外針ハブ26の内周側に付勢する付勢手段が、永久磁石により形成されるシャッター部材92を含んで構成されていたが、かかる態様に限定されるものではない。即ち、付勢手段を構成する部材として、前記第1の実施形態のように磁力を付勢力として及ぼす磁石の他、前記第2の実施形態のように弾性力を付勢力として及ぼす金属ばねや樹脂ばね、ゴム弾性体を採用して、スライド部材94に付勢力を及ぼす状態で針先プロテクタ22に組み込むことも可能である。また、シャッター部材92の形状は特に限定されないが、ボール形状は針先の露出が生じ易いため好適ではなく、例えば矩形状断面を有することが好ましい。
さらに、前記第1の実施形態では、スライド部材94を外針ハブ26の内周側に付勢する付勢手段が設けられて、スライド部材94の内周側への移動の規制が解除されることによりスライド部材94が自動的に外針ハブ26の内周側へ移動するようにされていたが、かかる付勢手段を採用することなく、スライド部材を手動で内周側へ移動させるようにしてもよい。即ち、例えば、スライド部材(連結部材)がプロテクタ本体とカバー部材との軸方向間に、ある程度の挟持力をもって、要するに自由には外針ハブの内周側に移動しない状態で組み付けられていると共に、針先プロテクタの外周面に設けられた開口窓を通じて、使用者がスライド部材を内方に押し込むことにより、スライド部材が内周側に移動するようにしてもよい。これにより、外針ユニットから内針を引き抜いた後、使用者が任意のタイミングで針先プロテクタと外針ハブとの連結を解除することが可能となる。
更にまた、止血弁機構は前記実施形態に記載のものに限定されず、例えば押し子50や押し子ガイド52は必須なものではない。
また、前記実施形態に記載の留置針組立体10,110,160では、内針ハブ20と針先プロテクタ22,111,162とが相対回転不能とされていることが好ましい。これにより、例えば留置針組立体の使用時に、連結部材および確認窓を患者の皮膚と反対側(図4中の上方)等の周上の所定位置へ位置決めすることができて、連結部材の移動が目視で容易に確認され得る。更に、連結部材および確認窓を患者の皮膚と略反対側へ位置決めして連結部材を略患者の皮膚側に移動可能とすることにより、使用者が内針を基端側に移動させた後に針先プロテクタを外針ハブに対して患者の皮膚から離れる方向にずらせばこれらの連結が解除されることから、使用者がこれらの連結を解除する操作が一層容易とされ得る。なお、内針ハブと針先プロテクタとは、例えば内針ハブにおけるカバー筒部の内周面と針先プロテクタにおける小径筒部の外周面との一方に凸部が設けられると共に他方に凹部が設けられて、これら凹凸部の凹凸嵌合により相対回転不能とされてもよいし、カバー筒部と小径筒部とが対応する矩形断面を有することで相対回転不能とされてもよい。