JP2021038887A - 空調チャンバ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数系統から流入する空調空気の混合性能に優れ、且つ、複数の流出口から流出する空調空気の風量バランス並びに温度バランスも良好な空調チャンバ装置を提供する。【解決手段】空調チャンバ装置100は、正面壁11、左側面壁12、右側面壁13、上面壁、底面壁及び背面壁16を有する中空直方体形状のチャンバ本体10と、正面壁11に開設された複数の流入口1,2と、左側面壁12及び右側面壁13にそれぞれ奥行方向Eに沿って並列状に開設された複数の流出口3,4,5,6と、チャンバ本体10の内部を流入口側領域10aと、流出口側領域10bとに区画するように配置された通気孔付きのミキシング板7と、を備え、チャンバ本体10内のミキシング板7の背面壁16側の領域に、幅方向Wに対向し且つ奥行方向Eに沿って延伸するように配置された複数の仕切板8,8を設けている。【選択図】図2

Description

本発明は、複数系統の流入経路を経由して流入する空気を混合して複数の流出経路に向かって分配して流出させる機能を有する空調チャンバ装置に関する。
複数の流入口から流入する空気を混合して複数の流出口から流出させる機能を有する空調チャンバ装置については、従来、様々な構造、機能を有するものが開発されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「空調チャンバ装置」などがある。
特許文献1に記載された「空調チャンバ装置」は、中空箱体形状のチャンバ本体と、空気ダクトに接続された状態でチャンバ本体内に設けられた複数の空気の流入口と、チャンバ本体から空気を流出させるための複数の流出口と、を有し、チャンバ本体内には、流入口側と流出口側を区画するように仕切り壁手段が設けられ、この仕切り壁手段には流入口から流入する空気を混合するように流入口側から流出口側に案内させつつ通流させる複数のガイド孔が設けられている。
この「空調チャンバ装置」は、極めて簡単な構造でありながら、複数系統から流入する空気を均一に混合させて流出させ、負荷側に対して精度の良い空調空気を供給させることができる。
特開平10−68547号公報
前述したように、特許文献1に記載された「空調チャンバ装置」は、質の異なる複数系統の流入する空気を均一に混合させて流出させ、負荷側に対して精度の良い空調空気を供給する機能を備えているが、本発明に係る技術分野においては、複数系統から流入する空気を均一に混合して複数の流出口から均等な風量及び温度(気温)で流出させることは、いつの時代も、解決すべき重要な課題である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、複数系統から流入する空調空気の混合性能に優れ、且つ、複数の流出口から流出する空調空気の風量バランス並びに温度バランスも良好な空調チャンバ装置を提供することにある。
本発明に係る空調チャンバ装置は、
正面壁、左側面壁、右側面壁、上面壁、底面壁及び背面壁を有する中空直方体形状のチャンバ本体と、
前記チャンバ本体の前記正面壁に、その幅方向に沿って並列するように開設された複数の流入口と、
前記チャンバ本体の前記左側面壁及び前記右側面壁において前記正面壁から所定距離を隔てた位置から前記背面壁に至る領域にそれぞれ前記奥行方向に沿って並列するように開設された複数の流出口と、
前記チャンバ本体の内部を、前記流入口から前記正面壁の直近に位置する前記流出口に至る前までの流入口側領域と、前記流入口領域から前記背面壁に至るまでの流出口側領域とに区画するように配置された通気孔付きのミキシング板と、を備え、
前記チャンバ本体の内部における前記ミキシング板の前記背面壁側の領域に、前記幅方向に対向し且つ前記奥行方向に沿って延伸するように配置された複数の仕切板を設けたことを特徴とする。
このような構成とすれば、複数の流入口から流入する複数系統の空気が、ミキシング板並びに仕切り板の間を通過する過程において効率良くミキシングされて複数の流出口から流出されるため、混合性能の向上、各流出口における風量バランス性能並びに温度バランス性能の改善を実現することができる。
前記空調チャンバ装置においては、前記流入口からの空気流入方向における前記仕切板の下流側の端部(終端)を、前記側面壁における前記流出口の開設領域の前記空気流入方向の中間部分に配置することができる。
このような構成とすれば、仕切板の間から下流側に放出された空気がチャンバ本体の下流側の後半部分に拡散した後、チャンバ本体の前半部分に流動するので、各流出口からの流出量がさらに均一化され、風量バランス性能並びに温度バランス性能の改善に有効である。
前記空調チャンバ装置においては、対向する複数の前記仕切板が、平面視状態においてベンチュリ形状をなすように設けることができる。
このような構成とすれば、仕切板の間における空気混合性能がさらに向上し、且つ、仕切板の間を通過した空気がチャンバ本体内の後半部分に広範囲に拡散するので、風量バランス性能並びに温度バランス性能の改善に有効である。
前記空調チャンバ装置においては、複数の前記流出口の何れか1以上にオリフィスを設けることができる。
このような構成とすれば、前記各流出口から流出する空調空気量がさらに均一化され、風量バランス性能並びに温度バランス性能がさらに向上する。
前記空調チャンバ装置においては、前記チャンバ本体の前記側面壁において、前記仕切板の下流側の端部より空気流入方向の下流側に位置する前記流出口に前記オリフィスを設けることができる。
このような構成とすれば、仕切板の間から放出された空気がチャンバ本体の背面壁に衝突した後、チャンバ本体の前半側(正面壁側)に向かって、戻り流として流動する際に、チャンバ本体の後半側の流出口から余計に空気が流出することを防止できるので、各流出口から流出する空調空気の風量バランス並びに温度バランスをさらに均一化することができる。
前記空調チャンバ装置においては、空気流入方向に沿って配列された前記流出口の前記オリフィスの内径を、空気流入方向に沿って段階的に縮小させることができる。
このような構成とすれば、各流出口から流出する空調空気の風量並びに温度の均一化に有効である。
本発明により、複数系統から流入する空調空気の混合性能に優れ、且つ、複数の流出口から流出する空調空気の風量バランス並びに温度バランスも良好な空調チャンバ装置を提供することができる。
本発明の実施形態である空調チャンバ装置を示す一部省略平面図である。 図1に示す空調チャンバ装置を、上面壁を外した状態で示す一部省略平面図である。 図1に示す空調チャンバ装置の一部省略左側面図である。 図1に示す空調チャンバ装置の一部省略正面図である。 図1中のA−A線における一部省略垂直断面図である。 図1中のB−B線における一部省略垂直断面図である。 図1中のC−C線における一部省略垂直断面図である。 図4中のD−D線における一部省略水平断面図である。 図1に示す空調チャンバ装置の風量バランス性能並びに温度バランス性能の試験方法を示す説明図である。 (a)は従来の空調チャンバ装置の風量バランス性能の試験結果を示す図表であり、(b)は図1に示す空調チャンバ装置の風量バランス性能の試験結果を示す図表であり、(c)は図1に示す空調チャンバ装置の温度バランス性能の試験結果を示す図表であり、(d)従来の空調チャンバ装置の温度バランス性能の試験結果を示す図表である。 本発明のその他の実施形態である空調チャンバ装置を、上面壁を外した状態で示す一部省略平面図である。 図11に示す空調チャンバ装置の一部省略水平断面図である。
以下、図1〜図12に基づいて、本発明の実施形態である空調チャンバ装置100,200について説明する。
初めに、図1〜図10に基づいて空調チャンバ装置100について説明する。図1〜図4に示すように、空調チャンバ装置100は、正面壁11、左側面壁12、右側面壁13、上面壁14、底面壁15及び背面壁16を有する中空直方体形状のチャンバ本体10と、チャンバ本体10の正面壁11に開設された複数の流入口1,2と、チャンバ本体10の左側面壁12及び右側面壁13にそれぞれ奥行方向Eに沿って並列するように開設された複数の流出口3,4,5,6と、チャンバ本体10の内部を流入口側領域10aと、流出口側領域10bとに区画するように配置された複数の通気孔7a付きのミキシング板7と、を備え、チャンバ本体10の内部におけるミキシング板7の背面壁16側の領域に、幅方向Wに対向し且つ奥行方向Eに沿って延伸するように配置された複数の仕切板8,8を設けている。なお、仕切板8はガイドベーンと称呼されることがある。
複数の流入口1,2は、チャンバ本体10の正面壁11に、幅方向Wに沿って並列するように開設されている。複数の流出口3,3,4,4,5,5,6,6は、それぞれチャンバ本体10の左側面壁12及び右側面壁13において正面壁11から所定距離を隔てた位置から背面壁16に至る領域に向かって奥行方向Eに沿って並列するように開設されている。
チャンバ本体10の正面壁11の流入口1に短管1aが取り付けられ、短管1aの上流側には、空調空気が供給されるダクトD1が接続されている。流入口2には、チャンバ本体10内に流入する空調空気の風量を調整するための可変風量ユニット(VAV)9が装着され、可変風量ユニット(VAV)9の上流側には、空調空気が供給されるダクトD2が接続されている。なお、流入口2からチャンバ本体10に向かって供給される空調空気の風量調整が不要な場合は、可変風量ユニット9を装着しないこともある。また、使用状況によっては、流入口1,2の両方に可変風量ユニット(VAV)9を装着することもある。
図2に示すように、ミキシング板7は、チャンバ本体10の内部を、流入口1,2から正面壁11の直近に位置する流出口3,3に至る前までの流入口側領域10aと、流入口側領域10aから背面壁16に至るまでの流出口側領域10bとに区画するように配置されている。複数の仕切板8,8は、チャンバ本体10の内部におけるミキシング板7の背面壁16側の領域に、幅方向Wに対向し且つ奥行方向Eに沿って延伸するように配置されている。
中空直方体形状をなすチャンバ本体10全体のサイズ(容積)や、奥行方向E、幅方向W並びに高さ方向Hのサイズ比率などは限定しないが、本実施形態においては、{正面壁11と背面壁16との間隔(奥行方向Eのサイズ)}>{左側面壁12と右側面壁13との間隔(幅方向Wのサイズ)}>{上面壁14と底面壁15との間隔(高さ方向Hのサイズ)}に設定している。
図2,図4,図5に示すように、ミキシング板7,7は平面視形状が「へ」字状をなす板材で形成され、正面壁11の中央からそれぞれ左側面壁12並びに右側面壁13に向かって斜めに立設された通気部7b,7bと、折曲部7c,7cからそれぞれ左側面壁12並びに右側面壁13に向かって正面壁11と平行をなすように立設された遮蔽部7d,7dと、を備えている。通気部7b,7bにそれぞれ複数の通気孔7a,7aが開設され、遮蔽部7d,7dは通気性のない平板形状をなしている。
図5に示すように、通気部7b,7bの通気孔7a,7aはそれぞれ横長の長方形状をしており、高さ方向H(図3参照)に一定間隔を置いて開設されている。左側の通気部7bの通気孔7aの配置位置と右側の通気部7bの通気孔7aの配置位置とは、正面視状態で千鳥状をなすように高さ方向Hに変位して配置されているが、これに限定するものではない。
図2に示すように、仕切板8,8は平面視形状が「L」字状をなす平板材で形成され、その始端部8a,8a(L字の水平部分の先端に相当する部分)が、それぞれミキシング板7の遮蔽部7dの折曲部7c,7c寄りの部分に固着されている。
図2に示すように、流入口1,2からの空気流入方向Xにおける仕切板8,8の下流側の終端部8b,8b(L字の垂直部分の先端に相当する部分)が、右側面壁13及び左側面壁12における流出口3,4,5,6の開設領域の空気流入方向Xの中間部分(流出口4,5の間の部分)に配置されている。
図3,図6〜図8に示すように、チャンバ本体10の左側面壁12並びに右側面壁13において、仕切板8の下流側の終端部8b,8bより空気流入方向Xの下流側(背面壁16側)に位置する流出口5,6にそれぞれオリフィス5a,6aが設けられている。
図3に示すように、空調チャンバ装置100においては、空気流入方向Xに沿って配列された流出口5,6のオリフィス5a,6aの内径5r,6rを、空気流入方向Xに沿って段階的に縮小させている。具体的には、流出口3,4の内径3r,4rを100%としたとき、流出口5のオリフィス5aの内径5rを80%とし、流出口6のオリフィス6aの内径6rを70%としている。従って、流出口3,4の開口面積を100%としたとき、流出口5のオリフィス5aの開口面積は約64%となり、流出口6のオリフィス6aの開口面積は約49%となる。なお、前述の比率は一例であり、これに限定するものではない。
図1,図8に示すように、空調チャンバ装置100において、複数の仕切板8,8を、チャンバ本体10の内部におけるミキシング板7の背面壁16側の領域に、幅方向Wに所定距離を隔てて対向し且つ奥行方向Eに沿って延伸するように配置したことにより、複数の流入口1,2から流入する複数系統の空気が、ミキシング板7,7並びに仕切板8,8の間を通過する過程において効率良くミキシングされて複数の流出口3,4,5,6から流出されるため、混合性能が向上し、風量バランス性能並びに温度バランス性能の改善を実現することができる。
また、図8に示すように、空調チャンバ装置100においては、流入口1,2からの空気流入方向Xにおける仕切板8,8の下流側の終端部8b,8bを、右側面壁12及び左側面壁13における流出口4,5の間の部分に配置したことにより、仕切板8,8の間から下流側(流出口側領域10b)に放出された空気がチャンバ本体10の下流側の後半部分(背面壁16寄りの部分)に拡散した後、チャンバ本体10の前半部分(正面壁11寄りの部分)に流動するので、各流出口3,4,5,6からの流出量がさらに均一化され、風量バランス性能並びに温度バランス性能の改善に有効である。
同じく、図8に示すように、空調チャンバ装置100においては、仕切板8の下流側の終端部8b,8bより空気流入方向Xの下流側(背面壁16側)に位置する流出口5,6にそれぞれオリフィス5a,6aを設けたことにより、仕切板8,8の間から放出された空気がチャンバ本体10の背面壁16に衝突した後、チャンバ本体10の前半側(正面壁11側)に戻り流として流動する際に、チャンバ本体10の後半側の流出口5,6から余計に空気が流出することを防止できるので、各流出口3,4,5,6からの風量バランス並びに温度バランスをさらに均一化することができる。
さらに、図8に示すように、空調チャンバ装置100においては、空気流入方向Xに沿って配列された流出口5,6のオリフィス5a,6aの内径5r,6rを、空気流入方向Xに沿って段階的に縮小させているため、各流出口3,4,5,6から流出する空調空気の風量並びに温度の均一化に有効である。
ここで、図9,図10に基づいて、空調チャンバ装置100の風量バランス性能と、仕切板(ガイドベーン)のない従来の空調チャンバ装置(特許文献1記載の空調チャンバ装置)の風量バランス性能とを比較する試験、並びに、空調チャンバ装置100の温度バランス性能と、仕切板(ガイドベーン)のない従来の空調チャンバ装置(特許文献1記載の空調チャンバ装置)の温度バランス性能とを比較する試験とを行ったので、これらの試験結果について説明する。
まず、図9に基づいて、図1に示す空調チャンバ装置100の風量バランス性能並びに温度バランス性能の試験方法について説明する。図9に示すように、空調チャンバ装置100に設けられた8個の流出口3,3,4,4,5,5,6,6のそれぞれにダクトQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6,Q7,Q8の基端部を接続し、これらのダクトQ1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6,Q7,Q8の先端部にそれぞれ吹出口P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8を接続する。
この後、ダクトD1,D2から流入口1,2を経由してそれぞれチャンバ本体10内に向かって、温度(℃)並びに送風量(m3/h)が異なる2系統の空調空気を供給し、8個の吹出口P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8から流出する空調空気の風量(m3/h)及び温度(℃)を測定した。
ここで、流入口1側においては、ダクトD1から流入口1を経由してチャンバ本体10に向かって、温度27.1℃の空調空気を送風量1300m3/hにて供給した。
一方、流入口2側においては、可変風量ユニット(VAV)9の開度を80%に設定し、ダクトD2から流入口2を経由してチャンバ本体10に向かって、温度15.1℃の空調空気を送風量730m3/hにて供給した。
前述した条件に基づいて、ダクトD1,D2から流入口1,2を経由してチャンバ本体10内に2系統の空調空気を供給しながら、吹出口P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8から流出する空調空気の風量(m3/h)並びに温度(℃)を測定すると、空調空気の風量(m3/h)については図10(b)の上から第2欄目に示すような測定結果が得られ、空調空気の温度(℃)については図10(c)の上から第2欄目に示すような測定結果が得られた。
ここで、図10(b)の上から第3欄目に示す「風量バランス(%)」とは、吹出口P1〜P8にて実測された風量の合計値(測定風量)を8等分した値(平均値)に対する、吹出口P1〜P8にて実測された風量の割合を算出して、百分率(%)で示したものである。また、図10(b)の最下欄に示す「○」、「△」は、風量バランス(%)の最大値、最小値を示している。
また、図10(c)の上から第3欄目に示す「理論値との偏差(℃)」とは、温度15.1℃の空調空気と温度27.1℃の空調空気とを混合して形成される空調空気の温度に関して理論的に算出した値(理論値22.8℃)と、吹出口P1〜P8にて実測された空調空気の温度との差を示している。
一方、仕切板(ガイドベーン)のない従来の空調チャンバ装置(特許文献1記載の空調チャンバ装置)についても、図9に示す試験方法と同じ方法で風量バランス性能の試験並びに温度バランス性能の試験を行った。なお、空調チャンバ装置100と従来の空調チャンバ装置との相違点は仕切板(ガイドベーン)の有無のみである。
具体的には、従来の空調チャンバ装置における流入口1側では、ダクトD1から流入口1を経由してチャンバ本体10に向かって、温度27.0℃の空調空気を送風量1300m3/hにて供給し、流入口2側では、可変風量ユニット(VAV)9の開度を80%に設定し、ダクトD2から流入口2を経由してチャンバ本体10に向かって、温度14.5℃の空調空気を送風量730m3/hにて供給した。
前述した条件に基づいて、ダクトD1,D2から流入口1,2を経由してチャンバ本体10内に2系統の空調空気を供給しながら、吹出口P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8から流出する空調空気の風量(m3/h)並びに温度(℃)を測定すると、空調空気の風量(m3/h)については図10(a)の上から第2欄目に示すような測定値が得られ、空調空気の温度(℃)については図10(d)の上から第2欄目に示すような測定結果が得られた。
ここで、図10(a)の上から第3欄目に示す「風量バランス(%)」は、図10(b)の上から第3欄目に示す「風量バランス(%)」と同じ手順で算出したものであり、図10(a)の最下欄に示す「○」、「△」も前述と同様、風量バランス(%)の最大値、最小値を示している。
また、図10(d)の上から第3欄目に示す「理論値との偏差(℃)」とは、温度14.5℃の空調空気と温度27.0℃の空調空気とを混合して形成される空調空気の温度に関して理論的に算出した値(理論値22.5℃)と、吹出口P1〜P8にて実測された空調空気の温度との差を示している。
図10(a),(b)を見ると、同図(a)に示す従来の空調チャンバ装置の「風量バランス(%)」は、その最大値「○」が平均値に対し「105.6%」であり、最小値「△」が平均値に対し「91.1%」であり、その開きは「14.5%」であるのに対し、同図(b)に示す空調チャンバ装置100の「風量バランス(%)」は、その最大値「○」が「105.6%」であり、最小値「△」が「93.7%」であり、その開きは「11.9%」であるのが分かる。
このことは、空調チャンバ装置100の各吹出口P1〜P8から流出する空調空気の風量バランスの最大値と最小値の開き「11.9%」が、従来の空調チャンバ装置の各吹出口から流出する空調空気の風量バランスの最大値と最小値の開き「14.5%」よりも小さくなったことを示しており、従来の空調用チャンバの風量バランス性能に比べ、空調チャンバ装置100の風量バランス性能が向上していることが分かる。
次に、図10(c),(d)見ると、同図(c)に示す空調チャンバ装置100における「理論値との偏差気温(℃)」は、その最大値「○」が「0.7℃」であり、最小値「△」が「−0.8℃」であり、その開きは「1.5℃」であるのに対し、同図(d)に示す従来の空調チャンバ装置における「理論値との偏差気温(℃)」は、その最大値「○」が「3.2℃」であり、最小値「△」が「−6.6℃」であり、その開きは「9.8℃」であるのが分かる。
このことは、空調チャンバ装置100の各吹出口P1〜P8から流出する空調空気の温度についての「理論値との偏差気温(℃)」の最大値と最小値の開き「1.5℃」が、従来の空調チャンバ装置の各吹出口から流出する空調空気の温度の「理論値との偏差気温(℃)」の最大値と最小値との開き「9.8℃」よりも小さくなったことを示しており、従来の空調用チャンバの温度バランス性能に比べ、空調チャンバ装置100の温度バランス性能が向上していることが分かる。
次に、図11,図12に基づいて、本発明のその他の実施形態である空調チャンバ装置200について説明する。なお、図11,図12に示す空調チャンバ装置200の構成部分において、図1〜図8に基づいて説明した空調チャンバ装置100の構成部分と共通する部分については図1〜図8中に示す符号と同符号を付して説明を省略する。
図11,図12に示す空調チャンバ装置200においては、複数の仕切板18,18を、チャンバ本体10の内部におけるミキシング板7の背面壁16側の領域に、幅方向Wに所定距離を隔てて対向し且つ奥行方向Eに沿って延伸するように配置しているが、対向する複数の仕切板18,18が、平面視状態においてベンチュリ形状をなすように配置されている。ここで、ベンチュリとは、流体の流れを絞ることによって、流速を増加させて、低速部にくらべて低い圧力を発生させる機構である。具体的には、平面視状態において、複数の仕切板18,18の奥行方向Eの中間付近に互いに接近した括れ部18a,18aを設けている。
複数の仕切板18,18が平面視状態においてベンチュリ形状をなすことにより、仕切板18,18の間における空気混合性能がさらに向上し、且つ、仕切板18,18の間を通過した空気がチャンバ本体10内の後半部分(背面壁16側の部分)に広範囲に拡散するので、風量バランス性能並びに温度バランス性能の改善に有効である。
なお、図1〜図12に基づいて説明した空調チャンバ装置100,200は、本発明に係る空調チャンバ装置を例示するものであり、本発明に係る空調チャンバ装置は前述した空調チャンバ装置100,200に限定されるものではない。
本発明に係る空調チャンバ装置は、各種建物の空調設備を構成する資材として建設業、建築業などの分野において広く利用することができる。
1,2 流入口
1a 短管
3,4,5,6 流出口
5a,6a オリフィス
7 ミキシング板
7a 通気孔
7b 通気部
7c 折曲部
7d 遮蔽部
8,18 仕切板(ガイドベーン)
8a 始端部
8b 終端部
9 可変風量ユニット(VAV)
10 チャンバ本体
10a 流入口側領域
10b 流出口側領域
11 正面壁
12 左側面壁
13 右側面壁
14 上面壁
15 底面壁
18a 括れ部
100,200 空調チャンバ装置
D1,D2,Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6,Q7,Q8 ダクト
E 奥行
H 高さ方向
P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8 吹出口
W 幅方向

Claims (6)

  1. 正面壁、左側面壁、右側面壁、上面壁、底面壁及び背面壁を有する中空直方体形状のチャンバ本体と、
    前記チャンバ本体の前記正面壁に、その幅方向に沿って並列するように開設された複数の流入口と、
    前記チャンバ本体の前記左側面壁及び前記右側面壁において前記正面壁から所定距離を隔てた位置から前記背面壁に至る領域にそれぞれ奥行方向に沿って並列するように開設された複数の流出口と、
    前記チャンバ本体の内部を、前記流入口から前記正面壁の直近に位置する前記流出口に至る前までの流入口側領域と、前記流入口領域から前記背面壁に至るまでの流出口側領域とに区画するように配置された通気孔付きのミキシング板と、を備え、
    前記チャンバ本体の内部における前記ミキシング板の前記背面壁側の領域に、前記幅方向に対向し且つ前記奥行方向に沿って延伸するように配置された複数の仕切板を設けた空調チャンバ装置。
  2. 前記流入口からの空気流入方向における前記仕切板の下流側の端部(終端)を、前記左側面壁及び前記右側面壁における前記流出口の開設領域の空気流入方向の中間部分に配置した請求項1記載の空調チャンバ装置。
  3. 対向する複数の前記仕切板が、平面視状態においてベンチュリ形状をなす請求項1または2記載の空調チャンバ装置。
  4. 複数の前記流出口の何れか1以上にオリフィスを設けた請求項1〜3の何れかの項に記載の空調チャンバ装置。
  5. 前記チャンバ本体の前記左側面壁及び前記右側面壁において、前記仕切板の下流側の端部より空気流入方向の下流側に位置する前記流出口に前記オリフィスを設けた請求項4記載の空調チャンバ装置。
  6. 空気流入方向に沿って配列された前記流出口の前記オリフィスの内径を、前記空気流入方向に沿って段階的に縮小させた請求項4または5記載の空調チャンバ装置。
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