JP7280063B2 - 吹出ボックス装置 - Google Patents
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Description
[吹出ボックス装置]
まず、図1および図2を参照して、本実施の形態にかかる吹出ボックス装置1について説明する。図1は、本発明にかかる吹出ボックス装置の構成を示す側面断面図である。図2は、整流部の構成を示す上面図、AA断面図、および底面図である。
この吹出ボックス装置1は、ビルなどのダクト式空気調和システムで用いられて、天井裏に分散設置され、空調機とつながるダクトから供給された空調空気を、底面に設けられた吹出口から、天井に設置されたディフューザやアネモスタットを介して室内空間へ吹き出す装置である。
ボックス底面10Bには、吹出口12と連通して管状の吹出口接続部12Aが設けられており、天井に設置されたディフューザやアネモスタット(ともに図示せず)が接続される。
図1および図2に示すように、整流部20は、主な構成として、吹出口12に対して垂直に連通して設けられ、吹出口12から吹き出される空気が流れる管部21と、管部21の管軸Oに沿った上下方向Yと略垂直な仮想平面Pと平行して設けられて、管部21の全流路領域30のうち流入口11から遠い側の一部領域である遮蔽領域32を遮蔽し、残りの開口領域31から吹出口12に対して空気を流す遮蔽板22と、管部21のうち、仮想平面Pと平行して遮蔽板22の下流側で遮蔽板22の最も近くに設けられた第1の整流メッシュ23Aと、管部21のうち、仮想平面Pと平行して第1の整流メッシュ23Aの下流側で、第1の整流メッシュ23Aの最も近くに設けられた第2の整流メッシュ23Bとを有している。
また、本実施の形態では、管部21が円管である場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、断面形状が楕円形状のほか多角形状である管からなる管部21を用いてもよい。
ここで、本発明の原理について説明する。吹出ボックス装置における、配管やダクト内の空気の流れを整流するための構造としては、複数枚の金網や多孔板を間隔を空けて配置したものやハニカム板(整流格子)などを、配管やダクトの長手方向、つまり、流れの方向と略直交するように流路内に配置したものが考えられる。この場合、全体的な空気の流れは配管やダクトの長手方向に沿って整流構造に流入するため、問題なく整流できる。
これにより、遮蔽板22と第1の整流メッシュ23Aの組み合わせにより、整流部20に対して水平寄りの角度から斜めであって、かつ、ボックス側面10Aの流入口11から遠い側(奥)に向かって入ってくる空気の流れを、垂直寄りの角度であって、かつ、整流部20の中央寄りに効率よく矯正することができる。
したがって、本発明によれば、効率よく十分な整流効果すなわち偏流矯正効果を得ることができ、平板や円筒部材を用いた簡素な構成であっても、吹出口12における良好な整流特性を得ることが可能となる。
次に、図2を参照して、本発明にかかる整流部20の離間距離について説明する。
図2に示すように、第1の整流メッシュ23Aと第2の整流メッシュ23Bとの離間距離H2は、遮蔽板22と第1の整流メッシュ23Aとの離間距離H1より大きい。
これにより、第1の整流メッシュ23Aの各網目で発生する多数の噴流において、離間距離H2を助走する間に十分な混合拡散が行われ、偏流の矯正と流れ方向の垂直寄りへの矯正、および、流れの乱れや変動の安定化が行われる。
図1では、整流部20の管部21を、ボックス本体10の内部空間10S内であって、吹出口12に対して垂直に連通して設け、吹出口接続部12Aを吹出口12と連通するようボックス本体10のボックス底面10Bから外部に突出して設けた場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。
これにより、整流部20の管部21自体を、天井に設置されたディフューザやアネモスタットを接続するための接続部として兼用でき、吹出ボックス装置1の構成および組立作業を簡素化でき、吹出ボックス装置1の製品コストを低減できる。
図5および図6を参照して、ボックス本体10内の空気の流れについて詳細に説明する。図5は、ボックス本体内の空気の流れ(整流部なし)を示す説明図である。図6は、ボックス本体内の空気の流れ(整流部あり)を示す説明図である。これら図5および図6では、空気の流れを代表する流線として上側の流れF1と下側の流れF2の2つに分けて記載してある。以下では、図5に示した従来の構成と比較するため、図6に示すように、吹出ボックス装置1が図4の構成に沿った構成を有する場合を例として説明する。なお、空気の流れについては、図1や図3の構成であっても、図6とほぼ同様であり、ここでの説明は省略する。
次に、図2を参照して、本発明にかかる遮蔽板22の詳細について説明する。
遮蔽板22は、横方向Xに沿った遮蔽幅Wとして、管部21の流路直径または流路開口幅を示す全幅Lの1/5~1/3程度を有し、遮蔽板22と第1の整流メッシュ23Aとの離間距離H1は0mm~15mm程度(さらに好ましくは、5mm~10mm程度)である。なお、遮蔽板22を、管部21の内部に配置、例えば、管部21の管部上端21Aから5mm程度の距離に配置することは、整流効果は向上するが、その距離の分だけ整流部の高さが高くなるので、実施するかどうかは必要に応じて決めればよい。
次に、図7~図10を参照して、本発明にかかる遮蔽板22の形状について説明する。図7は、遮蔽板の形状(凸部)を示す平面図である。図8は、遮蔽板の形状(凹部)を示す平面図である。図9は、遮蔽板の形状(傾斜)を示す平面図である。図10は、遮蔽板の形状(折曲)を示す平面図である。
遮蔽板22は、図2に示すように、管部21が円管である場合、平面視で弓型形状をなし、開口領域31に面した端部22Aが左右方向Zに沿った直線形状をなす場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。
これにより、流入口接続部11Aの流路(カラー)内に風量を調節する可変風量ダンパー装置などを設置した場合、通常よりも吹出口12における偏流が大きくなるが、必要に応じて、遮蔽板22の端部22Aに凸部22Bや凹部22Cを設けて、端部22Aの形状を変えることにより風速分布の均一性を改善できる。
これにより、流入口接続部11Aの流路(カラー)内に風量を調節する可変風量ダンパー装置などを設置した場合や、ボックス本体10の内部空間10Sが、仮想平面Pと平行して流入口11の流入口方向から見て左右非対称になっている場合など、内部空間10S内に流入する空気の流れが左右非対称の場合に風速分布の均一性をさらに改善できる。
また、整流部20の管部21に平板24を設けてもよい。図11は、整流部の構成例(平板)を示す上面図、およびBB断面図である。
図11に示す構成例では、管部21の管部上端21Aの周囲に、仮想平面Pと平行して管部21の上端開口部21Cと面一に平板24が設けられている。
これにより、空気の流れが整流部20に流入する際の乱れを低減して、整流効率を向上するとともに圧損を低減することができる。
次に、本発明にかかる第1の整流メッシュ23Aおよび第2の整流メッシュ23Bの詳細について説明する。
第1の整流メッシュ23Aおよび第2の整流メッシュ23Bは、管部21の全流路領域30を覆うように設けられる。このため、図2に示すように、管部21が円管である場合、第1の整流メッシュ23Aおよび第2の整流メッシュ23Bの外形は、平面視で円形状をなすことになる。
本発明が使用されるような条件においては、第1および第2の整流メッシュ23A,23Bの離間距離H2は、第1および第2の整流メッシュ23A,23Bの整流効果を十分に、かつ、効率的に引き出すために、網目の開口寸法の13~20倍程度が好ましい。例えば、第1および第2の整流メッシュ23A,23Bとして12メッシュでワイヤー線径0.6mmの金網を用いた場合、網目の開口寸法が1.52mmであるため、離間距離H2は20mm~30mmになる。
次に、図12を参照して、本発明にかかる整流部20を構成する部品の取付構造について説明する。図12は、整流部を構成する部品の取付構造を示す上面図、およびCC断面図である。
管部21と、第1の整流メッシュ23Aおよび第2の整流メッシュ23Bとが、円管と円形金網とからなる場合、平面視で弓型形状となる遮蔽板22は、L型金具25で管部21の内壁に固定される。また、第1の整流メッシュ23Aおよび第2の整流メッシュ23Bは、樹脂製のスペーサ27を挟んで、上下方向Yに沿って上下からL型金具26で押さえ込むようにして、L型金具26が管部21の内壁に固定される。なお、L型金具26は、上下方向Yから見てL字型に見えるよう、管部21の内壁面に取り付けられている。これにより、上下方向Yにおける占有面積が小さくなり、L型金具26で生じる空気の流れの抵抗を小さく抑制できる。また、スペーサ27としては、高密度発泡ポリエチレンなど、難燃性、柔軟性、耐久性のある樹脂が好ましい。
次に、図13を参照して、本発明にかかる整流部20のユニット化について説明する。図13は、整流部のユニット化を示す上面図、およびDD断面図である。
図13には、遮蔽板22とユニットの外枠を兼ねる板金製の筐体41で整流部20全体をユニット化して整流ユニット40とし、第1の整流メッシュ23Aおよび第2の整流メッシュ23Bとして、外形が矩形状の第1の金網42Aおよび第2の金網42Bを使用する例が示されている。
次に、図14~図16を参照して、本発明の整流部20による偏流矯正効果について、実験により計測した実測データを用いて説明する。図14は、実験で用いた吹出ボックス装置の外観図である。図15は、実験で用いた吹出ボックス装置の構成を示す側面断面図である。図16は、風速の測定点(底面視)を示す説明図である。図17は、吹出空気の風速分布(整流部なし)を示すグラフである。図18は、吹出空気の風速分布(金網2枚のみ)を示すグラフである。図19は、吹出空気の風速分布(遮蔽板のみ)を示すグラフである。図20は、吹出空気の風速分布(遮蔽板+金網2枚)を示すグラフである。
また、図19に示すように、整流部20に遮蔽板22のみ備えた場合、奥側(測定点M5)の風速が抑えられて、風速のピークが中央寄り(測定点M3)に移動しているが、手前側(測定点M1)では風速0m/sのままであり、左側領域Caと右側領域Cbにおける風速の差は、やや大きくなっている。
整流部20の偏流矯正の目安としては、公知文献の記述などを参考にして考慮すると、吹出口12に取付けた吹出口接続部12A(カラー)内のうち、同じ高さすなわち同一測定面Q上における同心円C上の複数の測定点において、例えば、最大風速と最小風速の差が20%程度以下、具体的には10~20%程度になるようにするのが好ましいと思われる。
このように、本実施の形態は、吹出口12から吹き出される空気を整流する整流部20として、吹出口12に対して垂直に連通して設けられ、吹出口12から吹き出される空気が流れる管部21と、管部21の管軸Oと略垂直な仮想平面Pと平行して管部21の管路に設けられて、管部21の全流路領域30のうち流入口11から遠い側の一部領域すなわち遮蔽領域32を遮蔽し、残りの開口領域31から吹出口12に対して空気を流す遮蔽板22と、管部21のうち、遮蔽板22の下流側で仮想平面Pと平行して設けられた第1の整流メッシュ23Aと、管部21のうち、第1の整流メッシュ23Aの下流側で仮想平面Pと平行して設けられた第2の整流メッシュ23Bとを有するものである。
したがって、本発明によれば、効率よく十分な整流効果すなわち偏流矯正効果を得ることができ、平板や円筒部材を用いた比較的簡素な構成で、吹出口12における良好な整流特性を得ることが可能となる。
これにより、整流部20の上下方向Yに沿った高さを低く、かつ、遮蔽領域32すなわち遮蔽板22の面積を小さくできるため、ボックス本体10全体の高さを低くでき、圧損も低くできる。遮蔽板22と第1の整流メッシュ23Aとの離間距離H1と、遮蔽板22が整流部20の流路直径または流路開口幅を示す全幅Lを遮蔽する遮蔽幅Wには相関関係があり、H1を小さくすれば、遮蔽幅Wも小さくすることができる。
これにより、流入口接続部11Aの流路(カラー)内に風量を調節する可変風量ダンパー装置などを設置した場合、通常よりも吹出口12における偏流が大きくなるが、遮蔽板22の端部22Aに凸部22Bや凹部22Cを設けて、端部22Aの形状を変えることにより風速分布の均一性をさらに改善できる。
これにより、流入口接続部11Aの流路(カラー)内に風量を調節する可変風量ダンパー装置などを設置した場合や、ボックス本体10の内部空間10Sが、仮想平面Pと平行して流入口方向から見て左右非対称になっている場合など、内部空間10S内における空気の流れが左右非対称の場合に風速分布の均一性をさらに改善できる。
これにより、金網または樹脂網の網目を構成するワイヤーの断面外形が滑らかな略円形であることから、整流メッシュと同様の効果を持つ多孔板と比較して流体抵抗を大幅に低くでき、効率よく流速分布を均一化することができる。
これにより、比較的低圧損で高い整流効果を得ることができる。
これにより、空気の流れが整流部20に流入する際の乱れを低減して、整流効率を向上するとともに圧損を低減することができる。
これにより、整流部20の管部21自体が、天井に設置されたディフューザやアネモスタットを接続するための接続部として兼用でき、吹出ボックス装置1の構成および組立作業を簡素化でき、吹出ボックス装置1の製品コストを低減できる。
これにより、整流部20と、天井に設置されたディフューザやアネモスタットを接続するための吹出口接続部12Aと分離できるため、吹出口接続部12Aの形状に制約を受けることなく、整流部20を設計でき、効率よく十分な整流効果すなわち偏流矯正効果を得ることができる。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
Claims (9)
- 中空箱状のボックス本体と、
前記ボックス本体の一側面に形成されて、空気が前記ボックス本体の内部空間に流入する流入口と、
前記ボックス本体の前記一側面につながった底面に形成されて、前記内部空間の空気が外部に吹き出される吹出口と、
前記底面に設けられ、前記吹出口から吹き出される空気を整流する整流部とを備え、
前記整流部は、
前記吹出口から吹き出される空気が流れる中空の管部であって、当該管部の管軸が前記吹出口に対して略垂直の方向に延びた状態で前記吹出口を貫通するか当該管部の内部が前記吹出口に連通する管部と、
前記管部の前記管軸と略垂直な仮想平面と平行して前記管部に設けられ、管軸方向から見て、前記管部内の前記空気が流れる全流路領域のうち、中央を含まない前記流入口から遠い側の一部領域を遮蔽し、前記中央を含む他領域を開口領域とする遮蔽板と、
前記管部内の前記遮蔽板の下流側で前記仮想平面と平行して設けられた第1の整流メッシュと、
前記管部内の前記第1の整流メッシュの下流側で前記仮想平面と平行して設けられた第2の整流メッシュとを有し、
前記遮蔽板は、当該遮蔽板より下流の前記全流路領域における空気の風速が最も速くなるピーク位置を、前記遮蔽板を設けないときに比べて前記全流路領域の中央に寄せる形状に形成されている、
ことを特徴とする吹出ボックス装置。 - 請求項1に記載の吹出ボックス装置において、
前記管軸方向から見て、前記流入口の開口面に垂直な方向を幅方向としたときの前記遮蔽板の幅は、前記全流路領域の幅の1/5~1/3であることを特徴とする吹出ボックス装置。 - 請求項1又は2に記載の吹出ボックス装置において、
前記第1の整流メッシュと前記第2の整流メッシュとの前記管軸方向に沿った距離は、前記遮蔽板と前記第1の整流メッシュとの前記管軸方向に沿った距離より大きいことを特徴とする吹出ボックス装置。 - 請求項1~請求項3のいずれかに記載の吹出ボックス装置において、
前記遮蔽板は、前記開口領域に面した端部の中間位置に、前記開口領域に向かって突出した凸部または前記開口領域から凹んだ凹部を有することを特徴とする吹出ボックス装置。 - 請求項1~請求項4のいずれかに記載の吹出ボックス装置において、
前記全流路領域のうち前記遮蔽板が遮蔽する遮蔽領域は、前記流入口の方向から見て左右非対称であることを特徴とする吹出ボックス装置。 - 請求項1~請求項5のいずれかに記載の吹出ボックス装置において、
前記第1および第2の整流メッシュは、金網または樹脂網からなることを特徴とする吹出ボックス装置。 - 請求項1~請求項6のいずれかに記載の吹出ボックス装置において、
前記管部の上端開口部の周囲に、前記仮想平面と平行して前記上端開口部と面一に設けられた平板をさらに備えることを特徴とする吹出ボックス装置。 - 請求項1~請求項7のいずれかに記載の吹出ボックス装置において、
前記管部は、前記ボックス本体の底面から外部に突出して設けられていることを特徴とする吹出ボックス装置。 - 請求項1~請求項7のいずれかに記載の吹出ボックス装置において、
前記吹出口と連通するよう前記ボックス本体の底面から外部に突出して設けられた吹出口接続部をさらに備え、
前記管部は、下端が前記吹出口接続部の上端開口部と連通するよう前記内部空間に設けられている
ことを特徴とする吹出ボックス装置。
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