JP4965197B2 - 空調ダクト - Google Patents
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Description
一般的な空調用ダクトは、ダクトの周壁に、所定の間隔で複数個所の吹出口を設け、ダクトの先端を塞いでいる。しかし、ダクト内の流速が速く、静圧が低い場合、ダクトに直に取り付けた吹出口からは吹き出しにくい。また、上流側の吹出口からの風量が少なく、閉じられているダクト末端側では風量が多くなる。そのため、吹出口からの送風量に偏りが生ずる。この問題を解消するため、例えば、それぞれの吹出口に送風量の調節をするためのシャッタを設けることがある。その場合は、下流側の吹出口ではシャッタの開度を小さくし、上流側の吹出口ではシャッタの開度を大きくすることにより、送風量の均一化を図ることができる。
特許文献2には、ダクトの上流部からそれぞれの吹出口に至る個別の流路を形成するための仕切体を設けた気体分配器が開示されている。このものは、仕切体で仕切られる断面積の比率に応じて各吹出口の風量を分配することができる。
また、特許文献1の場合は、流れを遮るように抵抗体を設けるので、風速が早い上流側で大きい抵抗を受け、圧力損失(エネルギの損失)が大きい。しかも、風速が変動すると、送風量の分配が大きく変動する。
また、特許文献3のダクトは、いわば全体が吹出口であり、ほぼ連続的な範囲で、ダクト方向から直角にクリーンルーム内に空調後の空気を流すことができる。しかし、細長いクリーンルームなどの場合、特定の個所、特に複数個所に空調後の空気を集中して流すことはできない。
本発明の別の目的は、発塵の要因となる可動ダンパを具備せず、吹出風量の揃った空調ダクトを提供することにある。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の空調ダクトにおいて、前記ダクト本体内の外周部と中央部との中間における所定位置片側端口が来るようにそれぞれ挿入固定される前記短管の挿入深さは、前記ダクト本体の径比で0.24〜0.25の長さとすることを特徴とする。
前記吹出口付きダクトの連結接続部の一部には、前記ダクト本体内の中央部を遮り、前記ダクト本体内の外周部に開口を形成する分配調整板が介装されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、前記短管は、金属製電線管であり、前記ダクト本体の複数の穴は、電気設備プルボックス開口用油圧パンチャにて開口され、前記ダクト本体の内面と同じ曲率の円弧断面のプレートに穿孔した穴に前記短管を挿入してスポット溶接により固定して成る吹出部部品を、前記ダクト本体内に挿入し、前記短管を前記ダクト本体の前記穴に挿入して成ることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし請求項5の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、前記ダクト本体の片端部側の壁面に上円部に所定ピッチで長手方向に設けられた複数の穴は、2列穿孔されるとともに、一方の列の穴と他方の穴との中心角を90°としていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし請求項6の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、前記傘状の吹出口は、前記ダクト本体に取り付けた短管の開口端を覆い下端部を水平方向の直径線(x軸)上より下円部側に設けた多角形状の覆い部材と、前記覆い部材の両端部とダクト本体の外面との間を閉鎖する壁面部材と、前記壁面部材のダクト本体側に位置し、前記ダクト本体の上円部の外面と同じ曲率を有し前記ダクト本体上に止め付けられる載置部材と、前記載置部材間に配され下端部を前記覆い部材の下端部と平行して配した仕切部材と、前記壁面部材の下端部間と前記覆い部材の下端部と仕切部材の下端部との間とで形成される開口とで構成されていることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項1ないし請求項8の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、前記傘状の吹出口内には、前記短管の開口端から吹き出す気流の方向を変えるガイドベーンが取り付けてあることを特徴とする。
本発明によれば、接続部に分配調整板を介装することによって分布を均一にすることができる。
本発明によれば、ダクト内静圧を利用し、動圧の影響を極力排除することができる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る複数の吹出口付きダクト10を連結して成る本発明の第1実施形態に係る空調ダクト50を示す。
本実施形態に係る吹出口付きダクト10は、片端部11a側の壁面に所定ピッチで長手方向に6個の穴12を2列設けたダクト本体11と、12個の穴12に気流に沿って挿入されて固定される短管13と、この短管13を取り付けたダクト本体11の周囲を覆うようにダクト本体11上にビス止めされる傘状の吹出口17とで構成されている。本実施形態において、吹出口付きダクト10は、4.5mmの定尺ダクトとされている。
図7に示すように、ダクト本体11内の気流は乱流状態で、ダクト本体11の外周部と、中央部では風速に大きな差が生じるため、中間部での短管13の流入口を設けるよう径Dの1/4前後とした。
短管13の径を小さくすると、短管13への流入速度が上がり、流入抵抗が流入速度の二乗で増大し、また出口抵抗も同様に二乗で増大する。
覆い部材18と短管13の開口端13aまでの距離hを小さくすると、各短管13の開口端13aから出た気流が覆い部材18に衝突した時に衝突抵抗が発生し、他の場所に数多く設けられている個々の短管13に対し、分岐、流入、通過、放出の他にさらに衝突の局所固有抵抗が加わり、抵抗が大きくなり、風量のバラツキが減少しやすい。なお、距離hは短管13の口径の1〜1.5倍程度をとるものとする。
工場において、下記の工程によって、図2および図3に示す吹出口付きダクト10を製作する。
先ず、図4に示すように、大径のスパイラルダクト(例えば、外径750mm)をダクト本体11とし、その片端部11a側の上円部11cに電気設備プルボックス開口用油圧パンチャにて所定ピッチで長手方向に6個の穴12を2列穿孔する。ここでは、一方の列の穴12と他方の穴12との中心角は90°としている。穴12の径は、短管13の外径に見合うように選定されている(例えば、75mm+αmm)。
斯くして製作された吹出口付きダクト10は、4.5mmの定尺ダクトとされる。
次に、図1に基づいて斯くして製作された吹出口付きダクト10を用いた空調ダクト50の組み立てについて説明する。
各吹出口付きダクト10の接続は、図9に示すように、例えば、空気調和・衛生工学便覧(第13版)の第9編施工 第6章ダクト工事の図6・26鋼板製円形ダクトの簡易接続法(K社カタログ)に基づいて行った。つまり、対向する吹出口付きダクト10の各フランジ16を接続を緩めた状態のリング24に挿入し、リング24のナットを締め付ける方法で行った。
一般的には、オリフィスが考えられるが、円形オリフィスはダクト径に等しい幅寸法の大きな鉄板が必要となり、円板中央に円形の開口を開けることとなり、多くのコストが生じる。また、中央部の気流速度の大きな処に開口を設ける時、その穴径の選定には多くの手間が掛かる。
ダクト本体11の径の1/2程度の幅でダクト本体11の径に等しい長さのダクト鉄板を半円形(三日月状)に切り込んだ分配調整板25ををフランジ16間に挟み込み局所抵抗を与える。
斯くして空調ダクト50をクリーンルームを構成する部屋60内に設置することができる。空調ダクト50は、同一直径で直線的に配されている。
また、吹出口付きダクト10を所定の間隔で分配調整板25を取り付けたので、分配調整板25が吹出口付きダクト10のy軸側の中央部を塞ぎ、吹出口付きダクト10内を流れる給気を吹出口付きダクト10の内面と両側部との間を流すこととなり、最も風速がある吹出口付きダクト10の中央部で風量調整を行うことができる。
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Aは、図13に示すように、ダクト本体11にフランジ16と吹出口17とが取り付けられていない点で、第1実施形態に係る吹出口付きダクト10とは相違する。従って、本実施形態に係る吹出口付きダクト10Aの構成は、第1実施形態に係る吹出口付きダクト10と同じであるから省略する。
次に、本実施形態に係る吹出口付きダクト10Aを用いる空調ダクト50について説明する。
吹出口付きダクト10Aとフランジ16と吹出口17とをクリーンルームを構成する部屋60内に搬入する。
吹出口付きダクト10Aの接続後に、図8に示すように、吹出口17を取り付ける。
斯くして、図1に示すように、空調ダクト50が製作される。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Bは、図15、図16に示すように、短管13の開口端13aに軟質樹脂製キャップ28を取り付ける点で、第1実施形態に係る吹出口付きダクト10とは相違する。従って、本実施形態に係る吹出口付きダクト10の構成は、第1実施形態に係る吹出口付きダクト10と同じであるから省略する。
空調ダクト50では、他の領域より風量を少なくする領域が存在する。その場合に、各吹出口付きダクト10Bの風量調整ために、短管13の開口端13aに軟質樹脂製キャップ28を嵌合して段階的に5/6、4/6、3/6、2/6と調整する。例えば、4/6の風量にするためには、図15、図16に示すように、2つの軟質樹脂製キャップ28を短管13の開口端13aに嵌合する。軟質樹脂製キャップ28を短管13の開口端13aに嵌合すると、1/6の風量減となる。
(第4実施形態)
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Cは、吹出口17の開口23にエキスパンドメタルまたはパンチングメタル29を設けた点で、第1実施形態に係る吹出口付きダクト10、第2実施形態に係る吹出口付きダクト10Aおよび第3実施形態に係る吹出口付きダクト10Bとは相違する。
図18は、本実施形態に係る吹出口付きダクト10Cの吹出口17の開口23から吹き出される気流を示す。
吹出口付きダクト10Cは、覆い部材18の下方に開いた開口23にて左右に二分された2つの吹出面が形成される。ここに形成された2つの吹出面に気流通過抵抗を有するエキスパンドメタルまたはパンチングメタル29を取り付け、この面を塞ぎ、1つの圧力チャンバを吹出口17内に形成させる。この圧力チャンバ内で複数の短管13から高速放射状に吹き出された気流が吹出口17の覆い部材18に衝突し、分散、拡散、混合、均圧が行われ、下面に取り付けたエキスパンドメタルまたはパンチングメタル29からダクト下方に向けて吹き出される。
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Dは、図19に示すように、吹出口17の第二の板状部材18dに135°の角度で50mmのガイドベーン30を短管13の開口端13aと対向するように設けた点で、第4実施形態に係る吹出口付きダクト10Cとは相違する。
(第6実施形態)
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Eは、図20に示すように、ガイドベーン30を短管13の開口端13aより開口23側へ移動した点で、第5実施形態に係る吹出口付きダクト10Dとは相違する。
(第7実施形態)
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Fは、図21に示すように、ガイドベーン30を第三の板状部材18e側へ移動した点で、第6実施形態に係る吹出口付きダクト10Eとは相違する。
(第8実施形態)
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Gは、図22に示すように、ガイドベーン30を45°の角度で短管13の開口端13aより開口23側へ移動した点で、第5実施形態に係る吹出口付きダクト10Dとは相違する。
(第9実施形態)
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Hは、図23に示すように、ガイドベーン30を45°の角度で短管13の開口端13aより開口23側へ移動した点で、第6実施形態に係る吹出口付きダクト10Eとは相違する。
(第10実施形態)
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Iは、図24に示すように、ガイドベーン30を第三の板状部材18eの中間点に135°の角度で設けた点で、第5実施形態に係る吹出口付きダクト10Dとは相違する。
(第11実施形態)
本実施形態に係る吹出口付きダクト10Jは、図25に示すように、ガイドベーン30を第三の板状部材18eの中間点に45°の角度で設けた点で、第10実施形態に係る吹出口付きダクト10Dとは相違する。
(備考)
第4実施形態ないし第11実施形態に示すように、吹出口17からの吹出方向はダクト本体11または空調ダクト50の下方気流をダクトの真下均等流でなく、中央に集中させたい時、また逆に広い範囲に拡散させたい時には、吹出口17内にガイドベーン30を取り付けることによって可能となる。
曲率を持たせると、曲率に沿った気流が吹出口17内に発生しやすくなる。
折り加工を行うことで、薄板でも剛性が出やすい。
曲率加工は、コストが折り加工より掛かる。
11 ダクト本体11
11a,11b 端部
11c 上円部
11d 下円部
12,15 穴
13 短管
13a 開口端
13A 吹出部部品
14 プレート
16 フランジ
17 吹出口
18 覆い部材
18a,19a,22a 下端部
18b 交点
18c 第一の板状部材
18d 第二の板状部材
18e 第三の板状部材
19 壁面部材
20 載置部材
21 ビス
22 仕切部材
23 開口
24 リング
25 分配調整板
26 板状体
27 切り欠き部
50 空調ダクト
60 部屋
61 天井スラブ
62 小梁
63 大梁
64 吊り金具
65 給気メイン角ダクト
66 角丸レジューサ
Claims (10)
- 片端部側の壁面に上円部に所定ピッチで長手方向に複数の穴を設けた、所定長さの大径のスパイラルダクトからなるダクト本体と、
前記ダクト本体の複数の穴に、前記ダクト本体内で風速に差がある外周部と中央部との中間における所定位置に片側端口が来るよう、前記ダクト本体内側への突出量を均一に揃えてそれぞれ挿入され固定される、50mm〜100mmの呼び径である短管と、
前記短管を取り付けたダクト本体の周囲を覆うように該ダクト本体上に固定される傘状の吹出口と
で構成された吹出口付きダクトを構成単位とし、
前記吹出口付きダクトを複数個連結するとともに、当該連結接続部を給気の元側から見て、複数の前記ダクト本体の片端部側を同じ側にして連結して成る
ことを特徴とする空調ダクト。 - 請求項1記載の空調ダクトにおいて、
前記ダクト本体内の外周部と中央部との中間における所定位置片側端口が来るようにそれぞれ挿入固定される前記短管の挿入深さは、前記ダクト本体の径比で0.24〜0.25の長さとする
ことを特徴とする空調ダクト。 - 請求項1または請求項2に記載の空調ダクトにおいて、
前記吹出口付きダクトの連結接続部の一部には、前記ダクト本体内の中央部を遮り、前記ダクト本体内の外周部に開口を形成する分配調整板が介装されている
ことを特徴とする空調ダクト。 - 請求項1ないし請求項3の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、
前記短管は、金属製電線管であり、
前記ダクト本体の複数の穴は、電気設備プルボックス開口用油圧パンチャにて開口され、
前記ダクト本体の内面と同じ曲率の円弧断面のプレートに穿孔した穴に前記短管を挿入してスポット溶接により固定して成る吹出部部品を、前記ダクト本体内に挿入し、前記短管を前記ダクト本体の前記穴に挿入して成る
ことを特徴とする空調ダクト。 - 請求項1ないし請求項4の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、
前記ダクト本体の片端部側の壁面に上円部に所定ピッチで長手方向に設けられた複数の穴は、複数列穿孔されている
ことを特徴とする空調ダクト。 - 請求項1ないし請求項5の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、
前記ダクト本体の片端部側の壁面に上円部に所定ピッチで長手方向に設けられた複数の穴は、2列穿孔されるとともに、一方の列の穴と他方の穴との中心角を90°としている ことを特徴とする空調ダクト。 - 請求項1ないし請求項6の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、
前記傘状の吹出口は、
前記ダクト本体に取り付けた短管の開口端を覆い下端部を水平方向の直径線(x軸)上より下円部側に設けた多角形状の覆い部材と、
前記覆い部材の両端部とダクト本体の外面との間を閉鎖する壁面部材と、
前記壁面部材のダクト本体側に位置し、前記ダクト本体の上円部の外面と同じ曲率を有し前記ダクト本体上に止め付けられる載置部材と、
前記載置部材間に配され下端部を前記覆い部材の下端部と平行して配した仕切部材と、
前記壁面部材の下端部間と前記覆い部材の下端部と仕切部材の下端部との間とで形成される開口とで構成されている
ことを特徴とする空調ダクト。 - 請求項1ないし請求項7の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、
前記傘状の吹出口の開口には、エキスパンドメタルまたはパンチングメタルが取り付けてある
ことを特徴とする空調ダクト。 - 請求項1ないし請求項8の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、
前記傘状の吹出口内には、前記短管の開口端から吹き出す気流の方向を変えるガイドベーンが取り付けてある
ことを特徴とする空調ダクト。 - 請求項1ないし請求項9の何れか1項記載の空調ダクトにおいて、
前記短管の一部には、前記吹出口付きダクト毎に風量を調節できるように、脱着可能な風量調整用のキャップが取り付けられている
ことを特徴とする空調ダクト。
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