JP2021038642A - 植生マットの施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アンカーピンの打設時におけるネット材等の破損の防止及び作業性の向上と、斜面の膨潤化に伴うアンカーピンの流亡等の防止とを図ることのできる植生マットの施工方法を提供すること。【解決手段】本発明の植生マットの施工方法は、可撓性のネット材2を備えた複数の植生マットDを並べて敷設するに際し、隣接する前記植生マットDの前記ネット材2同士を重ね合わせた状態で、その重ね合わせ部を樹脂製のアンカー部材11,20で打設する。【選択図】図5

Description

本発明は、例えば、斜面(道路や山腹の法面、河川敷、川岸や湖岸など)や平地(公園など)の緑化に用いられる植生マットの施工方法に関する。
特許文献1には、可撓性を有するネット材に芝生マットを一体化させた植生マットにつき、ネット材の少なくとも一側辺のネット部分を芝生マットの端部から張り出させておき、植生マットを並べて法面などに施工する際に、必要に応じてネット材どうしをステイプルなどの連結手段によって連結した上で、この重ね合わせ部分をアンカーピン(アンカー)などによって法面などに止着することで、植生マットの辺部の捲れ上がりを効果的に防止する技術が開示されている。
特開2001−008547号公報
ところで、従来の植生マットの施工方法では、アンカーピンに生じた錆やバリに起因して、打設したアンカーピンがネット材に引っ掛かり、ネット材ひいては植生マットが破損することが懸念される。また、アンカーピンの打ち込み作業に掛かる労力や手間が比較的大きいという問題もある。さらに、斜面が河川敷や川岸の場合(図10(A)参照)、図10(B)に示すように、豪雨等による河川の増水時などに、斜面が一時的に膨潤化することがあり、膨潤化した斜面の盛り上がりに伴って持ち上げられた植生マットD及びアンカーピン11のうち、植生マットDは斜面の膨潤化が解消すると元の状態に戻る一方、アンカーピン11は、その周面摩擦力が斜面全体の膨潤化によって低下するため、斜面の膨潤化が解消しても元の状態に戻らず、斜面及び植生マットDから突出した状態で取り残され(図10(C)参照)、その後の増水時や強風時に流亡等する恐れがある。
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、アンカーピンの打設時におけるネット材等の破損の防止及び作業性の向上と、斜面の膨潤化に伴うアンカーピンの流亡等の防止とを図ることのできる植生マットの施工方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る植生マットの施工方法は、可撓性のネット材を備えた複数の植生マットを並べて敷設するに際し、隣接する前記植生マットの前記ネット材同士を重ね合わせた状態で、その重ね合わせ部を樹脂製のアンカー部材で打設する(請求項1)。
上記植生マットの施工方法において、前記アンカー部材には、前記アンカー部材が前記ネット材の網目を貫通した後、前記ネット材に対して前記アンカー部材の引き抜き方向の移動を規制する移動規制部が設けられていてもよい(請求項2)。
ここで、前記移動規制部は、前記ネット材に対する前記アンカー部材の打設方向への移動を許容し、前記ネット材に対する前記アンカー部材の引き抜き方向への移動を規制するものであってもよく(請求項3)、より具体的には、前記アンカー部材の頭部側から先端側に向かって前記アンカー部材の太さが徐々に小さくなる括れによって構成され、括れと、括れに対して前記アンカー部材の先端側に連なる部分との境界には段差が生じるようにしてあってもよい(請求項4)。
上記植生マットの施工方法において、前記移動規制部は、前記アンカー部材頭部の首下から5cm以内に複数設けられていてもよい(請求項5)。
上記植生マットの施工方法において、前記アンカー部材において前記移動規制部よりも先端側の領域には、抜け止め手段が設けられていてもよい(請求項6)。
上記植生マットの施工方法において、前記抜け止め手段は、前記アンカー部材の長手方向に螺旋状に設けられていてもよい(請求項7)。
上記植生マットの施工方法において、前記植生マットの長手方向の長さを3m以上とし、前記植生マットの短手方向にのみ前記植生マットを複数並べるようにしてもよい(請求項8)。
本願発明では、アンカー部材の打設時におけるネット材等の破損の防止及び作業性の向上と、斜面の膨潤化に伴うアンカー部材の流亡等の防止とを図ることのできる植生マットの施工方法が得られる。
すなわち、本願の各請求項に係る発明の植生マットの施工方法では、アンカー部材を樹脂製とすることにより、錆やバリが生じないようにすることができ、アンカー部材の打設時にネット材への引っ掛かりはなく、網目を滑らかに貫通していくため、ネット材ひいては植生マットの破損といった懸念を払拭することができる。
また、アンカー部材が金属製の場合、斜面土中の石にアンカー部材の先端が衝突し、それ以上深く打設できないことがあり、その都度、途中まで打設したアンカー部材を抜き、ドリル削孔した上で、再度アンカー部材を打ち直すといった手間が掛かることがある。しかし、アンカー部材を金属製の場合よりも柔軟性の高い樹脂製とすることにより、アンカー部材の先端が石に衝突しても曲がりながらでも打設可能であり、アンカー部材上面と植生マットとが面一になるように打設するのが容易となる。特に河川護岸の場合、その土壌特性上、大小の石が埋もれていることが多く、アンカー部材を樹脂製とするのは極めて有効である。
植生マットを施工する現場が河川敷や川岸の場合、上述したように、従来のアンカーピンでは、斜面の一時的な膨潤化が生じた後に、斜面及び植生マットから突出した状態で取り残されるという問題が生じ得る。この点、請求項2〜4に係る発明の植生マットの施工方法では、移動規制部を設けたアンカー部材を用いるので、膨潤化した斜面が植生マットとともに元の状態に戻ろうとする際、ネット材の網目がアンカー部材の移動規制部に係合し、アンカー部材だけが取り残されるといったことが生じ難い。
請求項5に係る発明の植生マットの施工方法では、隣り合う植生マットの重ね合わせ部にアンカー部材を打設した際、二つのネット材をアンカー部材の移動規制部によって規制(係止)しつつ、アンカー部材の頭部が最終的には上面側の芝を押圧している状態にするのが望ましいが、この状態を容易に実現することができる。
請求項6に係る発明の植生マットの施工方法では、抜け止め手段を設けたことにより、アンカー部材の周面摩擦力が大きくなり、膨潤化した斜面が植生マットとともに元の状態に戻ろうとする際、アンカー部材だけが取り残されないようにする、という効果を高めることができる。
請求項7に係る発明の植生マットの施工方法では、抜け止め手段を設けたことにより、アンカー部材の周面摩擦力が大きくなり、膨潤化した斜面が植生マットとともに元の状態に戻ろうとする際、アンカー部材だけが取り残されないようにする、という効果を高めることができる。
請求項8に係る発明の植生マットの施工方法では、植生マットの長手方向に植生マットを継ぐ必要がなくなるので、植生マットの剥がれや流亡防止効果の向上を図ることができる。
本発明の一実施の形態に係る植生マットの施工方法の施工途中の構成を概略的に示す説明図である。 前記植生マットの施工方法に用いる植生マットの構成を示す斜視図である。 前記植生マットとその製造方法の構成を概略的に示す斜視図である。 (A)〜(D)は前記植生マットの製造方法の構成を概略的に示す説明図、(E)及び(F)は前記植生マットの施工方法の構成を概略的に示す説明図である。 前記植生マットの施工方法の構成を概略的に示す縦断面図である。 前記植生マットの施工方法によって構築する護岸構造の要部の構成を示す縦断面図である。 (A)及び(B)は、前記植生マットの施工方法に用いるネットピンの正面図及び側面図、(C)及び(D)は、ネットピンと組み合わせて用いる抜け止め板の縦断面図及び平面図、(E)及び(F)は、前記植生マットの施工方法に用いる固定具の使用方法を示す説明図である。 前記ネットピンの使用状態を示す縦断面図である。 (A)〜(D)は、前記植生マットの施工方法に用いるアンカーピンの複数の例を示す正面図である。 (A)〜(C)は、斜面の一時的な膨潤化によって生じるアンカー部材の取り残され問題を説明する模式図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
本実施の形態に係る植生マットの施工方法は、図2に示す植生マットDを河川の植生護岸域に上下左右に複数敷き並べて護岸構造を構築する護岸工法の一環として行うものであり、その構築途中の護岸構造の状態を図1に示している。
ここで、植生マットDは、たとえば平面視が2000mm×3000mmの長方形状のものや、2000mm×2000mmの正方形状のものであって、下面に不織布1が配置された可撓性を有するネット材2に芝生マット3を一体化させて成るものである(図2参照)。
不織布1は、平面視がほぼ矩形状で、化学繊維目付量が40〜80g/m2 となるように形成された部材であり、耐久性、耐腐食性に富む素材であるポリエステル繊維、やしマットなどを用いて形成されている。
ネット材2は、平面視において不織布1とほぼ同じ形状であり、かつ幅1m当たりの引っ張り強度が0.5〜5トン程度で、目合いが5〜9×5〜9mm程度となるように形成されている。ネット材2は、耐久性に富む繊維、たとえばナイロンやポリエステル、アラミド、カーボン、ポリアセタールなどの繊維を用いて、格子状に成形したものであるが、上記の繊維による線条を用いて、上記と同様の目合いの網状体に編組したものにしてもよい。本例のネット材2は、基布をポリエステル系、被覆材をアクリル系熱硬化樹脂とするジオテキスタイルネットである。
芝生マット3は、複数の芝3aと、芝3aの根によって保持される土3bとからなる。
植生マットDは、芝生マット3が形成される主体部4と、この主体部4の周縁に形成され、芝生マット3が形成されない周縁部5とからなる。すなわち、主体部4は、不織布1とネット材2と芝生マット3とからなる部分であり、周縁部5は、不織布1とネット材2とからなる部分である。なお、隣接する植生マットDの主体部4と周縁部5とを重ね合わせる場合には、その周縁部5には不織布1を設けず、周縁部5はネット材2のみからなっていてもよい。
周縁部5は、植生マットDの幅方向片側に形成された、たとえば150mm幅の周縁部分5aと、植生マットDの長手方向の一方に形成された、たとえば100mm幅の周縁部分5bと、植生マットDの長手方向の他方に形成された、たとえば100mm幅の周縁部分5cとからなる。
植生マットDは、以下のようにして製造される。すなわち、まず、図4(A)に示すように、圃場6に不織布1を敷設した後、この不織布1の上に可撓性を有するネット材2を重ね(図4(B))、このネット材2の上から別途圃場6で生育させた芝生マット3を敷き詰める(図4(C))。そして、芝3aの根が不織布1およびネット材2に絡まった段階で(図4(D))、不織布1の下側に伸びた芝3aの根を切断しつつ、ネット材2を不織布1ごと圃場6から剥がし取ることで、植生マットDの製造が完了する(図3参照)。
なお、上記の植生マットDの製造方法において、植生マットDの製造開始時にネット材2の周辺部に角材K(図3参照)などを配置し、植生マットDの製造が完了した段階で、この角材Kなどを取り出すようにすれば、植生マットDに、芝生マット3が形成されない周縁部5を設けることができる。
また、上記の角材Kなどの配置を省略して、植生マットD製造後に芝生マット3の周辺部を崩し取ることで、周縁部5を形成するようにしてもよい。
なお、上記の周縁部分5a〜5cの各端部に、ネット連結時の目ずれ防止のために、2〜5cm程度の幅で網目を密にした部分を形成しておくことが望ましい。
上記の構成からなる植生マットDの製造方法によれば、植生マットDの下面に不織布1が形成されていることから、植生マットDの下方へ進入する芝3aの根の量が、不織布1を設けない場合に比べて少なくなり、圃場6から植生マットDを剥がし取るという作業を、より小さな力で行うことが可能となる。
なお、植生マットDのネット材2に対する不織布1の装着は、芝生マット3の芝3aの根を不織布1およびネット材2に絡ませることによって行うことができるが、これに加えて、たとえば紐や接着剤などを用いて装着するようにしてもよい。
植生マットDの製造方法は上記の構成に限るものではなく、たとえば以下に示す構成としてもよい。すなわち、まず、圃場6に不織布1を敷設した後、この不織布1の上に可撓性を有するネット材2を重ね、ネット材2の上から芝3aのランナーを植えて覆土を施し、芝3aの根が不織布1およびネット材2に絡まり、前記ランナーが芝生マット3に育成した段階で、不織布1の下側に伸びた芝3aの根を切断しつつ、ネット材2を不織布1ごと圃場6から剥がし取るようにしてもよい。
また、さらに他の植生マットDの製造方法として、不織布1を適宜たとえば作業台上に展開させて、この上に可撓性を有するネット材2を重ね、さらにこの上に芝生マット3を配置し、この三者をステイプルなどによる結束や、その他、縫製などの連結手段(ともに図示せず)によって一体化させることによっても、植生マットDを得ることができる。
この製造方法によれば、不織布1およびネット材2には芝生マット3の芝3aの根が絡まっていないものの、この三者が連結手段によって一体化されていることから、植生護岸に際して、周縁部5の重ね合わせ部にアンカーピン(アンカー部材の一例)11を打設することで、実質的に芝生マット3を、不織布1およびネット材2を介して法面に強固に張り付けることができるのであり、やがては時を経て、芝生マット3の芝の根が不織布1およびネット材2に絡みつつ、法面に根張りするのであって、この製造方法によれば、予め生育させた芝生マット3を用いることに加えて、芝生マット3の不織布1およびネット材2への根絡みを待つ必要がないことから、その時間分、植生マットDの製造時間をさらに短縮することができる。
上記のように、周縁部5の重ね合わせ部にアンカーピン11を打設するのであり、周縁部5は、隣り合う植生マットDのいわば接合部となる部分であり、強化しておくことが望ましい。この強化例としては、周縁部5を構成する不織布1及びネット材2のうち、不織布1を、主体部4を構成する不織布1の化学繊維目付量(40〜80g/m2 )よりも大なるもので構成することや、周縁部5で不織布1を二重以上に設けることが考えられる。
次に、植生マットDの施工方法について、図1、図4(E)、(F)および図5を用いて説明する。なお、図1において、Rは、水の流れる方向である。植生護岸のために、河川の法面(斜面の一例)Nに植生マットDを施工するには、まず、図1に示すように、法尻の湛水域またはかなりの期間湛水する部分Aを適宜掘削して、この掘削部分Aに、たとえばカゴマット7の張り工法を実施(その他、捨て石やフトンカゴの敷設も好適である。)する。
この際、カゴマット7の下側に、上記のネット材2と同様のネット材8を適宜の幅にわたって敷き込んで、その上辺部8aを、カゴマット7の上部の法面N側(植生護岸域側)に突出させておく。一方、図5に示すように、想定される増水時の最高水位H付近、好ましくは、最高水位Hよりもやや上部側の植生護岸域に、上記のネット材2と同様のネット材9を、その川側の突出辺部9a(図1参照)を突出させて埋設しておく。
さらに、植生護岸域内において、上下のネット材9、8にわたり、上記のネット材2と同様のネット材10を埋設しておく。このネット材10は、増水時の流速を勘案して、たとえば川の流れる方向に10m〜30mの間隔で、かつ一部10aを下流側に向けて露出させるようにして埋設される。
なお、ネット材9、10は、必要に応じてアンカーピン11(図5参照)で河川法面Nに固定することが望ましい。
そして、図1に示すように、周縁部分5aを上流側に向けた植生マットDにおいて上側に位置する周縁部分5c(水の流れる方向Rが図1に示す方向と逆の場合や、植生マットDを図1に示す法面Nの対岸に設置する場合、周縁部分5cではなく周縁部分5bとなるが、以下では、周縁部分5bとなる場合の説明は省略する。)にフック部材12を引っかけて、クレーン13などを利用して、上記構成の植生マットDを、たとえば植生護岸域の下流側から上流側に向けてかつ植生護岸域の下側から上側に向けて法面Nに複数張設する(図4(E)参照)。
このとき、図5に示すように、植生護岸域の下端に配置される植生マットDについては、カゴマット7の下側に敷き込まれたネット材8から突出させた上辺部8aに、下端側植生マットD1の周縁部5の下側部分(周縁部分5b)を上方から重ね合わせて、この両者にアンカーピン11を打設する。
また、植生護岸域の上下方向に隣り合う植生マットDについては、下側の植生マットDの周縁部5の上側部分(周縁部分5c)に、上側の植生マットDの周縁部5の下側部分(周縁部分5b)を上方から重ね合わせて、この両者にアンカーピン11を打設する。
さらに、植生護岸域の最高水位H付近に配置される(ネット材9の突出辺部9aに連結される)植生マットDについては、それの周縁部5の上側部分(周縁部分5c)を、ネット材9の突出辺部9aに上方から重ね合わせて、この両者にアンカーピン11を打設するのであるが、この際、植生マットDの長さ寸法の関係で、植生マットDの上端が突出辺部9aを越えることがあり、この場合は、突出辺部9aの重なり部分にアンカーピン11を打設すればよく、あるいは、ネット材2を切断するなどして、植生マットDの長さ寸法を調整し、両者5c、9aを重ね合わせるようにしてもよい。
一方、植生護岸域の下流側から上流側に向けて複数の植生マットDを張設するに際しては、下流側の植生マットDの上流側周縁部分5aに、上流側の植生マットDの下流部を上方から重ね合わせ、その重なり部分にアンカーピン11を打設するのであり、かつネット材10に対しては、下流側の植生マットDの上流側周縁部分5aを重ね合わせて、この両者10、5aをコイル線材やステイプルなどの連結手段(図示せず)によって連結して、この重ね合わせ部に、上流側の植生マットDの下流部を重ね合わせ、これら三者の重なり部分にアンカーピン11を打設する。
この際、植生マットDの幅寸法の関係で、植生マットDがネット材10をオーバーすることがあるが、この場合は、前記連結手段による連結を止めて、ネット材10への重なり部分にアンカーピン11を打設すればよく、あるいは植生マットDを切断してその幅寸法を調整し、植生マットDがネット材10をオーバーしないようにしてもよい。
そして、上下ならびに左右方向で隣り合う植生マットDのそれぞれの重ね合わせ部と、植生マットD及びネット材9の重ね合わせ部とについては、これらのネット材2、9を、予め植生護岸域に埋設した接続部材14に係止させるようにしてもよい。また、必要に応じて全ての又は任意の植生マットDを覆うように、芝生マット3に覆土15(図1参照)を施すようにしてもよい。
なお、上記の実施の形態では、図1および図5に示すように、ネット材9の埋設域よりも上方の植生護岸域に、不織布1およびネット材2を一体化させていない芝生マットSを張設しているが、この芝生マットSに代えて、上記構成の植生マットDを張設してもよいことは言うまでもない。
上記の植生マットDの施工方法によれば、その施工方法に用いる植生マットDが、芝生マット3の強い表層根が不織布1およびネット材2に強固に根絡みした保形性の高い植生マットDであって、隣り合う植生マットD同士を重ね合わせて、アンカー11などで法面Nに固定することから、実質的に四側辺が互いに連結された芝生マット3を、不織布1およびネット材2を介して法面Nに強固に張り付けることができるのであり、そして、芝生マット3は時を経て法面Nに強固に根張りすることになる(図4(F)参照)。
従って、法面N全体の均一な緑化植生を期することができる上に、たとえば植生マットDの施工直後に河川が増水したとしても、植生マットDは、流水によって簡単に崩れたり剥がれたりしないのであって、施工直後から高い親水護岸の機能を発揮するのであり、景観上で優れることはもちろん、流水による法面Nの浸食も効果的に防止されるのである。
特に、隣り合う植生マットDの上部側ならびに上流側のネット材2を、下部側ならびに下流側の植生マットDのネット材2に上方から重ね合わせているので、増水の際、ネット材2の端縁は流水に逆らわず、水がスムーズに流れるのであって、植生マットDの流れが一層効果的に防止されるのである。
また、植生マットDの下面には、不織布1が形成されており、この不織布1は、芝生マット3と同様に、増水時などの流水による植生マットDの裏側からの土の吸い出しを防止する吸出し防止効果を有している。このため、たとえば施工当初において芝3aの生育が不十分であることが原因で芝3aの欠損箇所が生じたり、施工後における雑草の侵入(芝生が株状の植物に置換されることを含む)や芝3aの衰退により芝3aの欠損域が拡大したりすることなどによって、植生マットDに芝生マット3が欠落した部分が生じたとしても、前記不織布1が、その部分から土が吸い出されることを防止し、欠落した芝3aの機能を補完することができる。さらに、芝生マット3が形成されない周縁部5や植生マットDのつなぎ目の部分の下側から土や砂が吸い出されることも、不織布1によって防止することが可能となる。
なお、上記の吸出し防止効果を得るために、不織布1は、法面Nを形成する土や砂などを通しにくく、かつ芝生マット3の芝3aの根をある程度通す複数の穴もしくは隙間を有するものが望ましい。
また、植生マットDには、その接合部分に不織布1が設けられていることから、流水による土や砂などの吸い出し防止のために、吸い出し防止部材(たとえば吸出し防止シート)などを現場で施工する手間が省け、施工面でコストを下げることが可能となる。
さらに、不織布1が土や砂を通さないことから、施工後の植生マットDに対して周囲から飛散侵入してきた雑草の成長を抑制、妨害し、ひいては雑草の侵入を防止することができる。
上記の構成からなる植生マットDの施工方法における植生マットDの法面Nへの張設は、植生マットDの重量に応じて、上述したようなクレーン13などを利用してもよいし、人力で行ってもよい。クレーン13を利用できる現場の場合、植生マットDを長尺化して重量が増しても対応可能であるので、その長手方向の長さが施工領域の縦方向(法面の場合は法長)の長さに応じた長さ(3m以上、例えば15m)となるように植生マットDを製造し、ロール状に丸めて現場へ搬送し、クレーン13で吊りながら施工領域の縦方向にその長手方向が沿うように植生マットDを施工すれば、植生マットDの短手方向(横方向)にのみ植生マットDを複数並べればよく、長手方向(縦方向)に植生マットDを継ぐ必要がなくなる。このとき、横方向(植生マットDの短手方向)に隣り合う植生マットDどうしの連結は依然として必要であるが、縦方向に植生マットDを継ぐ必要がなくなるので、植生マットDの剥がれや流亡防止には効果が大きい。
上記の構成からなる植生マットDと、その製造方法および施工方法によれば、不織布1と芝生マット3とを組み合わせたことにより、植生マットDに接触する流水の速度が3(m/s)以上となっても、流水による土や砂の吸い出し防止を図ることができ、また、強靱なネット材2に芝生マット3の芝3aの根茎が絡むことにより、流水によって芝生が容易に剥がれることがなく、さらに、施工直後から河川法面の浸食防止および景観向上を図ることができる。
また、一般の吸い出し防止材を用いる従来の植生マットの施工では、一般の吸い出し防止材を植生マットの直下に施工すると、芝生などの根茎が法面に侵入できなくなるため、一般の吸い出し防止材を下層に施工した後、10〜30cm程度の覆土をし、その上に芝生などを張り付けていた(つまり少なくとも2工程にわたる施工が必要であった)が、上記の構成からなる植生マットDと、その施工方法によれば、1工程のみで施工を完了することができるのである。
そして、本実施形態では、図6に示すように、上記の構成からなる植生マットDの施工方法によって法面Nの上流端に敷設された植生マット(上流側植生マット)Dの少なくとも上流部又は法面Nの下流端に敷設された植生マット(下流側植生マット)Dの少なくとも下流部を覆う保持材16を設置することにより、護岸構造を構築するものである。
ここで、保持材16は、上流側植生マットDの少なくとも上流部又は下流側植生マットDの少なくとも下流部を押さえ込むように設置されるネットであり、上記のネット材2と同様のものを用いることができる。
また、保持材16の一部(植生マットDを覆わない部分)は地中に埋設される埋設部16aとなっており、この埋設部16aは地中に埋設されるアンカー部材17によって地中に固定される。具体的には、上流側植生マットD又は下流側植生マットDを敷設する前に、土を掘って埋設部16aを埋設するための穴を開け、例えばその穴の底に這わせた埋設部16aにアンカー部材17を打ち込んで固定し、その後、保持材16において埋設しない部分を地上に引っ張り出した状態で穴を埋め戻し、必要に応じて転圧を行った後、その埋め戻し部分の上に植生マット(上流側植生マット又は下流側植生マット)Dを配し、その上から保持材16を重ね、保持材16及び植生マットDを貫くアンカーピン11を適宜の箇所に打ち込んで保持材16が植生マットDを押さえ込む状態となるようにする。
このように保持材16はその一部が地中に埋設され、さらにはアンカー部材17で固定されるので、流水によって流され難くなっている。
さらに、図6に示すように、保持材16によって覆われる上流側植生マットDの上流側又は下流側植生マットDの下流側に埋設構造体18が連なるようにすれば、上流側植生マットDの上流側又は下流側植生マットDの下流側の土壌が流水による浸食作用によって浸食され、この浸食が上流側植生マットD又は下流側植生マットDの下側の土壌にまで及び、ひいては上流側植生マットD又は下流側植生マットDが法面Nから剥がれて流亡するといった事態を確実に回避することができる。この埋設構造体18が連なるようにする構成は、上述したように、保持材16の一部を地中に埋設する際に土の埋め戻しを行い、この埋め戻し部分に植生マット(上流側植生マット又は下流側植生マット)Dを配する場合に特に有効である。なぜなら、土の埋め戻し部分は、たとえ転圧を行ったとしても周囲に比べて圧が低く、流水による浸食作用を受け易いからである。
従って、埋設構造体18は、高い耐久性及び不透水性を有するものが好適であり、例えば現地でモルタルやコンクリートを打設して構築されたものであってもよいし、既成のコンクリート製ブロックやコンクリート板等の塊体の埋設によって構築されたものでもよい。その他、透水性を有することにはなるが、埋設構造体18が、土嚢、カゴマット、捨て石、フトンカゴ等の埋設によって構築されたものであってもよい。
上記のように構成した護岸構造では、保持材16によって上流側植生マットDの少なくとも上流部又は下流側植生マットDの少なくとも下流部を覆うことにより、流水による上流側植生マットD又は下流側植生マットDの剥がれや流亡等の防止を図ることができる。そして、上流側植生マットD又は下流側植生マットDの剥がれや流亡が生じると、その部分を起点にして、これらに連なる植生マットDの剥がれや流亡が連鎖的に引き起こされるおそれがあるが、本実施形態の護岸構造では、こうした連鎖的な植生マットの剥がれ等の起点となる上流側植生マットD又は下流側植生マットDの剥がれ等を未然に防ぐことができるので、植生護岸域の植生護岸の確実化を図ることもできる。
また、ネットである保持材16は通水性を有し、この保持材16によって押さえ込まれた植生マットDの芝3aに対する降雨等による水分供給が阻害されないので、芝3aの良好な生育を期待することができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
上記実施形態では、植生マットDの施工に際し、不織布1を予め一体化した植生マットDを用いているが、これに限らず、まず不織布1を法面Nに張設し、この不織布1の上から、予め一体化された可撓性を有するネット材2と芝生マット3を、たとえばステイプルなどによる結束や、縫製などの連結手段を用いて張設するようにしてもよい。
この場合、不織布1を法面Nに張設するには、たとえば不織布1の周縁部や適宜の部位をネット材8、9、10などにアンカー止めすればよく、このアンカー止めを、ネット材2および芝生マット3の張設に兼用させてもよい。
また、不織布1は、法面Nの全面にわたって張設するようにしてもよいが、施工される植生マットDのつなぎ目部分に相当する箇所のみに張設するようにすれば、不織布1の必要量を減らすことができ、コストを下げることが可能となる。
上記ネット材2の周縁部分5a、5b、5cの重ね合わせ部の連結構造として、周縁部分5a〜5cを下面側に折り畳んで、これを接続金具14に係止させるようにしてもよく、必要に応じてアンカー11を打設してもよい。
上記実施形態の植生マットDは、その三側辺に張り出す周縁部分5a〜5cを有するので、水の流れる方向Rが図1の逆になる場合や、図1に示す法面Nの対岸に施工する場合でも、植生マットDの向きを図1の逆にすることでその敷設が可能であり、しかも、四側辺に張り出す周縁部分を有する植生マットDに比べ、構成の簡素化、コンパクト化を図ることができるものとなっている。しかし、これに限らず、植生マットDが、隣り合う二側辺のみに張り出す周縁部分5a及び5b(あるいは5a及び5c)を有していてもよい。この場合、例えば河川の両岸にそれぞれ植生マットDを施工するには、二種類の植生マットD(周縁部分5a及び5bを有する植生マットDと、周縁部分5a及び5cを有する植生マットD)を用いればよい。
あるいは、周縁部分5a〜5cを設けずに、植生マットDそのものにアンカーピン11を打設してもよい。
埋設構造体18は、護岸構造を構築する際に新設するものに限らず、既設のものでもよい。この場合、既存の埋設構造体18に連なるように上流側植生マットD又は下流側植生マットDや保持材16を設ければよい。
そして、埋設構造体18を新設する場合、保持材16を、埋設構造体18に埋め込む、埋設構造体18の下敷きにする、埋設構造体18に係止する、結びつける、といった手段により、保持材16を埋設構造体18に接続してもよい。この場合、保持材16がより剥がれる等し難くなり、植生マットDを覆う保持材16の安定性、ひいては植生マットの安定性を向上させることができる。
保持材16において、少なくとも植生マットDを覆う部分の下面に、不織布等の吸出し防止材を設けるようにしてもよい。
また、保持材16の一部を、埋設せず、例えば重量物(図示していない)に接続するようにしてもよい。この場合、重量物としては、土嚢、カゴマット、捨て石、フトンカゴ等を用いることができ、接続方法としては、保持材16の上に重量物を載せる、保持材16を重量物に直接または間接的に係止、締結する、といったことが考えられる。
保持材16及び埋設構造体18は、上流側植生マットDの上流部(上流側)及び下流側植生マットDの下流部(下流側)のいずれか一方のみに設けてもよいが、両方に設けるのが好ましい。
その他、保持材16を用いず、上流側植生マットDの上流部又は下流側植生マットDの下流部を地中に埋め込むようにしてもよく、さらにはその埋め込んだ部分の上側に前記重量物を載置するようにしてもよい。この場合、上流側植生マットDの上流部又は下流側植生マットDの下流部の上側にのる土や重量物が保持材として機能することになる。
上記実施形態では、植生マットDの固定にアンカーピン11や接続部材14を用いているが、これらの一方又は両方の代わりに、図7(A)及び(B)に示すネットピン(アンカー部材の一例)19を用いるようにしてもよい。ネットピン19は、略矩形板状の基部19aと、この基部19aの長手方向に一列に設けられた少なくとも二つ(図示例では計四つ)の差し込み部19bとを有し、各差し込み部19bは先端部を尖頭加工してなる断面視十字型棒状を呈し、その根元付近には返し構造19cを有する。
そして、このネットピン19は、ネット材2等の網目を通過するようにして地面へ突き刺すことで、ネット材2等を強固に地面へ固定することのできるものであり、図8に示すように、基部19aの長手方向が法面Nの上下方向となる向きで使用することにより、植生マットDの位置ずれを最も効果的に防止することができる。
上記実施形態で植生マットDの固定に用いているアンカーピン11(図9(A)参照)の代わりに、図9(B)に示すアンカーピン20を用いるようにしてもよい。アンカーピン20には、アンカーピン20がネット材2の網目を貫通した後、ネット材2に対してアンカーピン20の引き抜き方向の移動を規制する移動規制部(切り欠き部)21を設けてある。移動規制部20は、アンカーピン20の頭部側から先端側に向かってアンカーピン11の太さが徐々に小さくなる括れによって構成され、括れと、括れに対してアンカーピンの先端側に連なる部分との境界には段差が生じるようにしてある。
すなわち、アンカーピン20の径(太さ)はネット材2の目合いより大きく、打設の際にアンカーピン20が貫通したネット材2の網目はアンカーピン20によって押し広げられるが、ネット材2の可撓性により破損は生じない。そして、アンカーピン20が打設によりネット材2の網目を貫通する際、移動規制部21によってその貫通が規制されることはないが、ネット材2に対してアンカーピン20が引き抜き方向に移動しようとすることは、ネット材2が係合する移動規制部21によって規制される。なお、アンカーピン11,20は、その横断面形状が円形をしていてもよいし、正方形等の正多角形その他の多角形をしていてもよく、これら以外の形状をしていてもよい。
上述のように、植生マットDを施工する現場が河川敷や川岸の場合、従来のアンカーピンでは、斜面の一時的な膨潤化が生じた後に、斜面及び植生マットDから突出した状態で取り残されるという問題が生じ得る。この点、移動規制部21を設けたアンカーピン20では、膨潤化した斜面が植生マットDとともに元の状態に戻ろうとする際、ネット材2の網目がアンカーピン20の移動規制部21に係合するので、アンカーピン20だけが取り残されるといったことが生じ難い。
ここで、移動規制部21は、図9(B)に示すように、アンカーピン20の頭部の首下から5cm以内に複数(図示例では三つ)設けるのが好ましい。すなわち、本実施形態の植生マットの施工方法では、隣り合う植生マットDの重ね合わせ部にアンカーピン20を打設するのであり、アンカーピン20は、一方の植生マットD側の土、芝生マット3、ネット材2、芝のランナーと、他方の植生マットD側の土、ネット材2、芝のランナーとが少なくとも積層した重ね合わせ部を貫通しながら斜面土壌に貫入する。この際、要は二つのネット材2がアンカーピン20の移動規制部21によって規制(係止)されればよく、その際、アンカーピン20の頭部が最終的には上面側の芝を押圧していることが望ましい。そして、このとき、二つのネット材2をアンカーピン20の移動規制部21に係止させるには、上記のように移動規制部21を設けておくのが好ましい。
この際、アンカーピン20の軸方向(長手方向)一箇所に二つのネット材2を係止することが面方向の引っ張り力の観点からは望ましい(アンカーピン20が横方向にぶれにくい)が、二つのネット材2の間には、不織布1(吸出し防止材)、芝のランナーが挟持されている。不織布1は薄いうえ、アンカーピン20の打設時に圧縮されやすく嵩が小さくなるが、芝のランナーは芝の生育状態によって嵩がまちまちで、さらに圃場での生育時に土を抱いているため、それなりの嵩を持つ。そのため、一つの移動規制部21によって二つのネット材2が係止できないこともあり、そのときのために、移動規制部21はアンカーピン20の軸方向に二か所以上設けておくことが望ましい。
移動規制部21は、いわゆる「返し」の機能を兼ねており、移動規制部21を多く設けるほど、アンカーピン20の引抜抵抗力は増す。
移動規制部21は、アンカーピン20の頭部の首下から先端テーパー部分まで略全域にわたって連続的に形成されていてもよいが、ネット材2との相対関係の観点からは首下5センチ程度内にあればよい。引抜抵抗力の観点からは略全域に連続的に形成されているほうが望ましい。ただし、アンカーピン20の軸径が小さい部分(移動規制部)が増えれば増えるほど、軸の強度は低下し、打設時にアンカーピン20が折れる可能性はあるが、材質が樹脂(特にPPのような粘りのある柔らかい樹脂)であれば、屈曲するまで折れることは考えにくく、アンカーピン20の先端部が土中の石に当たっても、アンカーピン20は柔軟に曲がり石を避けながら最後まで打設することが可能である。ただし、材質がABSのような硬質樹脂で形成された場合は、打設途中に折れてしまうことは考えられる。
図9(B)に示すように、アンカーピン20において移動規制部21よりも頭部側の領域には、全体にわたって径が一定であり、その頭部側及び先端側の部分よりも径が小となる小径部22を設けてもよい。
上述のように、膨潤化した斜面が植生マットDとともに元の状態に戻ろうとする際、アンカーピン20だけが取り残されないように移動規制部21を設けてあるが、図9(C)に示すように、アンカーピン20において移動規制部21よりも先端側の領域に、抜け止め手段(返し部)23を設ければ、アンカーピン20の周面摩擦力が大きくなり、さらにその効果を高めることができる。抜け止め手段23は、一端(根元)側がアンカーピン20の軸部に一体化ないし固定され、他端はその一端からアンカーピン20の頭部側に向かって、かつ、アンカーピン20の軸部から外側に離間するように延びる棒状または板状の弾性を有する部分ないし部材である。抜け止め手段23はその他端が自由端となるように撓む上、複数の抜け止め手段23をアンカーピン20の軸方向にも周方向にもずらして設けてあるので、アンカーピン20の打設時の貫入抵抗低減を図ることができ、しかも、抜け止め手段23は弾性変形するので、抜け止め手段23が水や風の圧力を受けてアンカーピン20が抜けるということも生じ難くなっている。
抜け止め手段23は、一般的な抜け止め効果を生むほど強固なものでなくてもよく、斜面が一時的な膨潤化後に元に戻ろうとするときに、アンカーピン20のみが取り残されないよう、膨潤な地盤、土壌に抱かれながら元に戻れる程度の強度があればよい。抜け止め手段23は、全体が柔らかくても根元部は上からの力(抜け止め手段23が広がる方向の力)に対しては強く、膨潤な地盤、土壌に抱かれながら地盤、土壌と一緒に元に戻るために根元部に作用する力には、十分耐え得る。
図9(C)に示す抜け止め手段23の代わりに、あるいは、抜け止め手段23に加えて、アンカーピン20の外面に沿って略螺旋状に延びる抜け止め手段24(図9(D)参照)を設けてもよい。この抜け止め手段24によっても、アンカーピン20の周面摩擦力を大きくし、上述したアンカーピン20の取り残され防止効果を高めることができる。
ところで、アンカーピン20に設けた移動規制部21(に相当する部位)を、図7(A)及び(B)に示すネットピン19の差し込み部19bにも設けてある。ただし、差し込み部19bの移動規制部21は、ネットピン19の頭部側から先端側に向かってネットピン19の幅が徐々に小さくなる部分と、幅が一定となる部分とを連ねて設けた括れによって構成してあり、このように、移動規制部21の形状ないし構成は、種々に変形可能である。
そして、図7(A)及び(B)に示すネットピン19に、図7(C)及び(D)に示す抜け止め板25を組み合わせて用いるようにしてもよい。抜け止め板25は、各差し込み部19bを差し込み可能なテーパー穴25aを有し、テーパー穴25aの内面には、差し込み部19bの移動規制部21に係合する複数の歯25bが設けられている。これにより、差し込み部19bをテーパー穴25aに対してその大径開口側から差し込むと差し込み部19bがテーパー穴25aから抜けなくなるのであり、例えばネット材2の一(上)面側にネットピン19を、他(下)面側に抜け止め板25を配し、差し込み部19bをネット材2の網目、さらにはテーパー穴25aに差し込めば、ネットピン19と抜け止め板25とでネット材2を強力に挟み込んだ状態で保持することができるようになり、この動作を斜面に差し込み部19bを打設しながら行えば、隣り合う植生マットDの周縁部5の重なり合った部分をネットピン19と抜け止め板25とで挟持しつつ、斜面にしっかりと固定することも容易となる。
図7(E)及び(F)に示す固定具では、可撓性を有する略Z状の屈曲部材26により、一つのネットピン19と二つの抜け止め板25とを間隔をあけて一体化してある。すなわち、屈曲部材26は、ネットピン19が一体化された第1部分26aと、抜け止め板25が一体化された第2部分26bとの間にヒンジ部26cを有し、もう一つの抜け止め板25が一体化された第3部分26dと第2部分26bとの間にもヒンジ部26cを有する。そして、例えば、図7(E)の状態(各ヒンジ部26cが広がった状態)の固定具において、隣り合う植生マットDの周縁部5の一方を第1部分26aと第2部分26bの間に差し込み、他方を第2部分26bと第3部分26dの間に差し込んだ状態にして、図7(F)に示すように各ヒンジ部26cを折り畳めば、ネットピン19と二つの抜け止め板25とで隣り合う植生マットDの周縁部5どうしを強力に挟み込んだ状態で保持することができる。もちろん、この動作を、斜面に差し込み部19bを打設しながら行えば、隣り合う植生マットDの周縁部5の重なり合った部分をネットピン19と二つの抜け止め板25とで挟持しつつ、斜面にしっかりと固定することも容易となる。
上述したアンカーピン11や接続部材14、ネットピン19、アンカーピン20は、樹脂製(再生プラスチック製又は新生プラスチック製)とするのが好ましい。その理由につき、以下に説明する。なお、以下では、アンカーピン11の場合を例に挙げているが、他の部材も同様である。
アンカーピン11が例えば鉄製であると、アンカーピン11に生じた錆やバリに起因して、打設したアンカーピン11がネット材2に引っ掛かり、ネット材2ひいては植生マットDが破損することが懸念される。アンカーピン11が、土木一般に使われる異形鉄筋を加工した異形L字アンカーであればなおさらである。しかし、アンカーピン11を樹脂製とすることにより、錆やバリが生じないようにすることができ、アンカーピン11の打設時にネット材2への引っ掛かりはなく、網目を滑らかに貫通していくため、上記懸念を払拭することができる。
また、アンカーピン11が金属製の場合、斜面土中の石にアンカーピン11の先端が衝突し、それ以上深く打設できないことがあり、その都度、途中まで打設したアンカーピン11を抜き、ドリル削孔した上で、再度アンカーピン11を打ち直すといった手間が掛かることがある。しかし、アンカーピン11を金属製の場合よりも柔軟性の高い樹脂製とすることにより、アンカーピン11の先端が石に衝突しても曲がりながらでも打設可能であり、アンカーピン11上面と植生マットDとが面一になるように打設するのが容易となる。特に河川護岸の場合、その土壌特性上、大小の石が埋もれていることが多く、アンカーピン11を樹脂製とするのは極めて有効である。
さらに、アンカーピン11が鉄製の場合、植生マットDの表面に露出したアンカーピン11の頭部が経時的に錆び、見栄えが悪くなるが、樹脂製であればこれが改善される。
アンカーピン11に用いる樹脂がABS樹脂の場合はアンカーピン11が固く折れやすい傾向があり、PPの場合は柔らかく折れにくいため、曲がりながらも石の隙間をかき分けて打設できる傾向がある。そして、アンカーピン11の少なくとも先端部(先鋭部)付近のテーパー加工された部分については、PPくらいの柔らかさを持つことが望ましい。
なお、本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
1 不織布
2 ネット材
3 芝生マット
3a 芝
3b 土
4 主体部
5 周縁部
5a〜5c 周縁部分
6 圃場
7 カゴマット
8 ネット材
8a 上辺部
9 ネット材
9a 突出辺部
10 ネット材
10a 一部
11 アンカーピン
12 フック部材
13 クレーン
14 接続部材
15 覆土
16 保持材
17 アンカー部材
18 埋設構造体
19 ネットピン
19a 基部
19b 差し込み部
19c 返し構造
20 アンカーピン
21 移動規制部
22 小径部
23 抜け止め手段
24 抜け止め手段
25 抜け止め板
26 屈曲部材
26a 第1部分
26b 第2部分
26c ヒンジ部
26d 第3部分
D 植生マット
S 芝生マット

Claims (8)

  1. 可撓性のネット材を備えた複数の植生マットを並べて敷設するに際し、隣接する前記植生マットの前記ネット材同士を重ね合わせた状態で、その重ね合わせ部を樹脂製のアンカー部材で打設することを特徴とする植生マットの施工方法。
  2. 前記アンカー部材には、前記アンカー部材が前記ネット材の網目を貫通した後、前記ネット材に対して前記アンカー部材の引き抜き方向の移動を規制する移動規制部が設けられている請求項1に記載の植生マットの施工方法。
  3. 前記移動規制部は、前記ネット材に対する前記アンカー部材の打設方向への移動を許容し、前記ネット材に対する前記アンカー部材の引き抜き方向への移動を規制するものである請求項2に記載の植生マットの施工方法。
  4. 前記移動規制部は、前記アンカー部材の頭部側から先端側に向かって前記アンカー部材の太さが徐々に小さくなる括れによって構成され、括れと、括れに対して前記アンカー部材の先端側に連なる部分との境界には段差が生じるようにしてある請求項2又は3に記載の植生マットの施工方法。
  5. 前記移動規制部は、前記アンカー部材頭部の首下から5cm以内に複数設けられる請求項2〜4の何れか一項に記載の植生マットの施工方法。
  6. 前記アンカー部材において前記移動規制部よりも先端側の領域には、抜け止め手段が設けられる請求項2〜5の何れか一項に記載の植生マットの施工方法。
  7. 前記抜け止め手段は、前記アンカー部材の長手方向に螺旋状に設けられる請求項6に記載の植生マットの施工方法。
  8. 前記植生マットの長手方向の長さを3m以上とし、前記植生マットの短手方向にのみ前記植生マットを複数並べる請求項1〜7の何れか一項に記載の植生マットの施工方法。
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