JP2021034708A - 変調ドープ半導体レーザ及びその製造方法 - Google Patents

変調ドープ半導体レーザ及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】適切なキャリア濃度の確保を目的とする。【解決手段】変調ドープ半導体レーザは、交互に積層された複数の第1層16及び複数の第2層18を含む複数層からなり、アクセプタ及びドナーを含有する多重量子井戸14と、複数層の最上層に接触するp型半導体層20と、複数層の最下層に接触するn型半導体層12と、を有する。複数の第1層16は、p型キャリア濃度において、p型半導体層20の10%以上150%以下になるように、アクセプタを含有する。複数の第2層18は、p型キャリア濃度において、p型半導体層20の10%以上150%以下になるように、アクセプタを含有する。複数の第2層18は、ドナーをさらに含有する。複数の第2層18では、p型キャリア濃度及びn型キャリア濃度の差分に相当する実効キャリア濃度が、複数の第2層18のp型キャリア濃度の10%以下になっている。【選択図】図2

Description

本発明は、変調ドープ半導体レーザ及びその製造方法に関する。
多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)の障壁層にアクセプタを添加した変調ドープ半導体レーザが知られている(特許文献1)。
特開平10−284799号公報 特開2012−220530号公報
光半導体素子の結晶成長で多く用いられるMOCVD(Metal organic Chemical Vapor Deposition)法では、p型ドーパントとしてZn(亜鉛)が主に用いられる。Znは結晶成長中に拡散しやすい。そのため、p側SCHのキャリア濃度が低下し、MQWのキャリア濃度が上昇する。特許文献1では、Znに代わり拡散性の低いベリリウムなどを使うことが開示されているが、ベリリウムはMOCVDには使用することができない。またp型ドーパントがMQWに拡散し、MQW内のキャリア濃度が上昇することが知られている(特許文献2)。
本発明は、適切なキャリア濃度の確保を目的とする。
(1)本発明に係る変調ドープ半導体レーザは、交互に積層された複数の第1層及び複数の第2層を含む複数層からなり、アクセプタ及びドナーを含有する多重量子井戸と、前記複数層の最上層に接触するp型半導体層と、前記複数層の最下層に接触するn型半導体層と、を有し、前記複数の第1層は、p型キャリア濃度において、前記p型半導体層の10%以上150%以下になるように、前記アクセプタを含有し、前記複数の第2層は、前記p型キャリア濃度において、前記p型半導体層の10%以上150%以下になるように、前記アクセプタを含有し、前記複数の第2層は、前記ドナーをさらに含有し、前記複数の第2層では、前記p型キャリア濃度及びn型キャリア濃度の差分に相当する実効キャリア濃度が、前記複数の第2層の前記p型キャリア濃度の10%以下になっていることを特徴とする。
本発明によれば、多重量子井戸は、高いp型キャリア濃度を有するので、p型半導体層からのアクセプタの拡散を抑えることができ、適切なキャリア濃度が確保される。その一方で、多重量子井戸の第2層は、電界を均一にするために、実効キャリア濃度が低くなっている。
(2)(1)に記載された変調ドープ半導体レーザであって、前記p型半導体層及び前記n型半導体層は、分離閉じ込めヘテロ構造を構成するためにあることを特徴としてもよい。
(3)(1)又は(2)に記載された変調ドープ半導体レーザであって、前記複数の第1層のそれぞれ及び前記複数の第2層のそれぞれで、前記p型キャリア濃度は、1×1017cm−3以上であることを特徴としてもよい。
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、前記複数層の前記最上層及び前記最下層のそれぞれは、前記複数の第1層の対応する1つであることを特徴としてもよい。
(5)(1)から(3)のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、前記複数層の前記最上層及び前記最下層のそれぞれは、前記複数の第2層の対応する1つであることを特徴としてもよい。
(6)(1)から(5)のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、前記複数の第1層のそれぞれは、バリア層であり、前記複数の第2層のそれぞれは、量子井戸層であることを特徴としてもよい。
(7)(1)から(5)のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、前記複数の第1層のそれぞれは、量子井戸層であり、前記複数の第2層のそれぞれは、バリア層であることを特徴としてもよい。
(8)(1)から(6)のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、前記アクセプタは、Zn及びMgの少なくとも一方であり、前記ドナーは、Siであることを特徴としてもよい。
(9)(1)から(8)のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、前記複数の第2層は、前記p型キャリア濃度において、前記p型半導体層よりも低いことを特徴としてもよい。
(10)(1)から(9)のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、前記複数の第2層は、前記n型キャリア濃度において、前記n型半導体層よりも低いことを特徴としてもよい。
(11)本発明に係る変調ドープ半導体レーザの製造方法は、n型半導体層を形成する工程と、交互に積層された複数の第1層及び複数の第2層を含む複数層からなり、アクセプタ及びドナーを含有し、前記複数層の最下層が前記n型半導体に接触して載るように、多重量子井戸を形成する工程と、前記複数層の最上層に接触して載るように、有機金属気相成長法によって、p型半導体層を形成する工程と、を含み、前記複数の第1層は、p型キャリア濃度において、前記p型半導体層の10%以上150%以下になるように、前記アクセプタを含有し、前記複数の第2層は、前記p型キャリア濃度において、前記p型半導体層の10%以上150%以下になるように、前記アクセプタを含有し、前記複数の第2層は、前記ドナーをさらに含有し、前記複数の第2層では、前記p型キャリア濃度及びn型キャリア濃度の差分に相当する実効キャリア濃度が、前記複数の第2層の前記p型キャリア濃度の10%以下になっていることを特徴とする。
本発明によれば、多重量子井戸は、高いp型キャリア濃度を有するので、p型半導体層からのアクセプタの拡散を抑えることができ、適切なキャリア濃度が確保される。その一方で、多重量子井戸の第2層は、電界を均一にするために、実効キャリア濃度が低くなっている。
(12)(11)に記載された変調ドープ半導体レーザの製造方法であって、前記多重量子井戸は、前記有機金属気相成長法によって形成されることを特徴としてもよい。
第1の実施形態に係る変調ドープ半導体レーザの平面図である。 図1に示す変調ドープ半導体レーザのII−II線断面図である。 ドナー(n型ドーパント)のキャリア濃度を示す図である。 アクセプタ(p型ドーパント)のキャリア濃度を示す図である。 p型キャリア濃度とn型キャリア濃度の差分(実効キャリア濃度)を示す図である。 第2の実施形態において、ドナー(n型ドーパント)のキャリア濃度を示す図である。 第2の実施形態において、アクセプタ(p型ドーパント)のキャリア濃度を示す図である。 第2の実施形態において、p型キャリア濃度とn型キャリア濃度の差分(実効キャリア濃度)を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。全図において同一の符号を付した部材は同一又は同等の機能を有するものであり、その繰り返しの説明を省略する。なお、図形の大きさは倍率に必ずしも一致するものではない。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る変調ドープ半導体レーザの平面図である。図2は、図1に示す変調ドープ半導体レーザのII−II線断面図である。
変調ドープ半導体レーザは、分布帰還型半導体レーザ(Distributed Feedback Laser:DFBレーザ)であってもよい。変調ドープ半導体レーザは、図示しない変調部がモノリシックに集積された変調器集積型半導体光素子(例えば変調器集積レーザ)であってもよい。変調器集積レーザは、レーザ部に駆動電流を注入することにより出射される連続光を変調部で変調して、信号光が出力される。変調部は、電界吸収型変調器(EA(Electro-Absorption)変調器)であってもよい。電界吸収型変調器は、チャープ(波動変調)が小さく、光信号のONレベルとOFFレベルの差である消光比が大きく、広域帯である、といった有利な特性を有することに加え、小型で低コストであることにより、幅広く用いられる。
変調ドープ半導体レーザは、リッジ構造を有している。リッジ構造は後述する多重量子井戸が横に広がり、その上部に半導体のメサストライプ(導波路)が形成されている構造である。なお、埋め込みヘテロ構造(Buried Heterostructure:BH構造)であっても構わない。BH構造とは、多重量子井戸がメサストライプ内にあり、メサストライプ構造の両側に埋め込み層を有する構造をいう。BH構造は、横方向に光を閉じ込める効果が強く、FFP(Far Field Pattern)がより円形となるので、光ファイバとの結合効率が高いという利点があり、さらに、放熱性に優れているといった利点がある。
[n型半導体層]
変調ドープ半導体レーザは、下クラッド層10(n型InP層)の上に、n型半導体層12(InGaAlAs層)を有する。n型半導体層12のドナー(n型ドーパント)は、Siである。Siは結晶成長中の拡散がほとんどないことで知られている。n型半導体層12は、分離閉じ込めヘテロ構造(SCH)を構成するためにある。
[多重量子井戸]
変調ドープ半導体レーザは、多重量子井戸(Multiple-Quantum Well:MQW)14を有する。多重量子井戸14は、アクセプタ(p型ドーパント)及びドナー(n型ドーパント)を含有する。多重量子井戸14は、複数層からなり、最下層がn型半導体層12に接触している。
多重量子井戸14を構成する複数層は、複数の第1層16を含む。複数層の最上層は、第1層16である。複数層の最下層も、第1層16である。複数の第1層16のそれぞれは、バリア層(InGaAlAs層)である。多重量子井戸14を構成する複数層は、複数の第2層18を含む。複数の第2層18のそれぞれは、量子井戸層(InGaAlAs層)である。複数の第1層16及び複数の第2層18は、交互に積層されている。
第1層16(バリア層)は、アクセプタ(p型ドーパント)を含有している。アクセプタは、Zn及びMgの少なくとも一方である。第2層18(量子井戸層)も、アクセプタ(p型ドーパント)を含有している。第2層18(量子井戸層)は、ドナー(n型ドーパント)も含有している。ドナーは、Si(n型半導体層12のドナーと同じ材料)である。
[p型半導体層]
変調ドープ半導体レーザは、p型半導体層20(InGaAlAs層)を有する。p型半導体層20のアクセプタは、例えばZn及びMgの少なくとも一方(第1層16のアクセプタと同じ材料)であり、拡散の抑制が極めて困難である。p型半導体層20は、多重量子井戸14の最上層(第1層16)に接触している。p型半導体層20は、分離閉じ込めヘテロ構造(SCH)を構成するためにある。p型半導体層20に上クラッド層22(p型InP層)が積層されている。またp型半導体層20の上部には回折格子28が形成されている。
下クラッド層10の裏面には、電極24(例えばカソード)がある。上クラッド層22の上には、電極24(例えばカソード)と対向して電圧を印加するための電極26(例えばアノード)がある。
[キャリア濃度]
図3A〜図3Cは、第1の実施形態において、多重量子井戸(MQW)付近のキャリア濃度を示す図である。ここでキャリア濃度とは添加された不純物の密度を示す。厳密には、ドーピングされた不純物全てがキャリアとして機能するわけではないが、ここでは説明の簡略化のためにすべての不純物がキャリアとして機能するとしている。また意図的に不純物を添加していない状態であっても、半導体には非常に微量の様々な不純物が含まれており、意図的に添加していない状態および実効的にキャリアとして機能しない量を1×1015cm−3又はそれ以下とする。
図3A〜図3Cにおいて、横軸は、説明しやすいように多重量子井戸14(MQW)の幅を拡大して記載しており、他の層とは実際の比率が異なる。さらに、実際のプロファイルは多層成長によりドーパントの拡散などにより各層の界面はなだらかに変化するが、ここでは説明のためにキャリア濃度の変化は急峻に示している。
図3Aは、ドナー(n型ドーパント)のキャリア濃度を示す図である。上クラッド層22(p−clad)及びp型半導体層20(p−SCH)には、ドナーであるSiは添加されていない。多重量子井戸14(MQW)の第2層18である量子井戸層(W2)には、ドナーであるSi(2×1017cm−3)が添加されている。n型半導体層12(n−SCH)には、不純物として1×1018cm−3のSiがドーピングされている。量子井戸層(W2)は、n型キャリア濃度において、n型半導体層12よりも低い。なお、下クラッド層10(n−clad)には、最初からn型ドーパントが添加されている。ここではSiの例を示したが、他のドナーを使用しても構わない。
図3Bは、アクセプタ(p型ドーパント)のキャリア濃度を示す図である。n型半導体層12(n−SCH)には、p型ドーパントであるZnは添加されていない。上クラッド層22(p−clad)には、p型ドーパントであるZnが添加されている。なお、アクセプタは、Mgであっても構わない。
p型半導体層20(p−SCH)及び上クラッド層22(p−clad)には、それぞれ、不純物として1×1018cm−3のZnがドーピングされている。多重量子井戸14(MQW)では、第1層16であるバリア層(B1)及び量子井戸層(W2)のいずれにも、2×1017cm−3のZnがドーピングされている。
多重量子井戸14(MQW)では、バリア層(B1)及び量子井戸層(W2)のいずれでも、p型キャリア濃度は、1×1017cm−3以上である。多重量子井戸14(MQW)では、バリア層(B1)及び量子井戸層(W2)のいずれでも、p型キャリア濃度において、p型半導体層20(p−SCH)の10%以上150%以下である(例えばp型半導体層20よりも低い)。
図3Cは、p型キャリア濃度とn型キャリア濃度の差分(実効キャリア濃度)を示す図である。上述したように、p型キャリアはドーピングされたZnであり、n型キャリアはドーピングされたSiである。量子井戸層(W2)では、ZnとSiの両方がほぼ同濃度でドーピングされているため、二つのキャリアが打ち消し合い、実効キャリア濃度(p型キャリア濃度及びn型キャリア濃度の差分)は非常に低くなる。
量子井戸層(W2)では、実効キャリア濃度が、量子井戸層(W2)のp型キャリア濃度の10%以下になっている。これに対して、バリア層(B1)では、Znのみがドーピングされており、p型キャリアが残った状態となる。つまり変調ドープ半導体レーザが構成される。
従来の変調ドープ半導体レーザは、バリア層にp型キャリアのみがドーピングされる場合、量子井戸層には何もドーピングしていないことが一般的であった。前述したように、p型不純物であるZnやMgは拡散する性質を持っている。そのため、バリア層のみにp型ドーパントを添加した場合は、そのp型トーパントは量子井戸層に拡散する恐れがある。その結果、所望の(設計通りの)キャリア密度は、バリア層においては下がり、量子井戸層において上がることとなり、所望通りの特性を得ることができない。
本実施形態においては、量子井戸層(W2)にも、バリア層(B1)と同じ密度のp型ドーパントが添加されており拡散が起こりづらくなっている。このままでは量子井戸層(W2)もp型となるが、同時にn型ドーパントのSiをドーピングしているため、実効キャリア濃度は非常に小さくなり、実質的にバリア層(B1)のみがp型となる変調ドープ半導体レーザを実現することができる。なお、Siは拡散が非常に小さいことが分かっており、Siの拡散については考慮する必要が無い。そして拡散の影響を受けないため、設計通りの特性を得ることができる。
さらに、Znは多重量子井戸14(MQW)の上のp型半導体層20(p−SCH)や上クラッド層22(p−clad)からも拡散してくる。しかし、多重量子井戸14(MQW)とその上方層が、キャリア濃度において比較的近いために、拡散量を十分に低減することができる。そのため、拡散の影響を受けづらく所望の特性を得ることが可能となる。
なお、量子井戸層(W2)にドーピングするZnとSiの密度は同一であることが好ましいが、±10%以内であれば十分に変調ドープ半導体レーザとして機能する。本実施形態に係る変調ドープ半導体レーザは、1.3μm帯の直接変調型半導体レーザとして動作し、高速応答性に優れた素子である。なお、本構造は、連続発振する半導体レーザに適用しても構わないし、1.55μm帯の半導体レーザに適用しても構わない。
[製造方法]
次に、本実施形態に係る変調ドープ半導体レーザの製造方法について説明する。図2に示す下クラッド層10の上に、n型半導体層12をInGaAlAsから形成する。その上に、第1層16(バリア層)及び第2層18(量子井戸層)をそれぞれInGaAlAsで構成した例えば5層の多重量子井戸14を形成する。その上に、InGaAlAsで構成されたp型半導体層20及び回折格子28を形成する。
これらの形成は、それぞれ、有機金属気相成長法(MOCVD)を用いて行う。n型半導体層12の形成では、不純物として1×1018cm−3のSiをドーピングしながら多層成長させる。同様に、多重量子井戸14の第1層16(バリア層)の形成では2×1017cm−3のZnを、第2層18(量子井戸層)の形成では、2×1017cm−3のZn及び2×1017cm−3のSiの両方をドーピングしながら成長させる。また、多重量子井戸14は、波長が1.3μm帯に対応した組成で構成する。p型半導体層20及び回折格子28の形成では、1×1018cm−3のZnをドーピングする。
次に、回折格子28を回折格子としての形状に加工し、1×1018cm−3のZnがドーピングされた上クラッド層22及びコンタクト層(図示せず)を多層成長させる。さらに、上クラッド層22をリッジ形状に加工し、パッシベーション膜(図示せず)を形成し、上面に電極26を形成し、裏面に電極24を形成する。最後に、複数のチップに分割し、端面をコーティングすることで、変調ドープ半導体レーザが完成する。その他の内容は、上述した変調ドープ半導体レーザの詳細から自明の内容を含む。
[第2の実施形態]
図4A〜図4Cは、第2の実施形態において、多重量子井戸(MQW)付近のキャリア濃度を示す図である。本実施形態は、第1の実施形態とは逆に、量子井戸層(W1)が第1層であり、バリア層(B2)が第2層である。多重量子井戸(MQW)の最上層のバリア層(B2)は第2層であり、最下層のバリア層(B2)も第2層である。
図4Aは、ドナー(n型ドーパント)のキャリア濃度を示す図である。n型半導体層(n−SCH)には、不純物として1×1018cm−3のSiがドーピングされている。多重量子井戸(MQW)のバリア層(B2)には、ドナーであるSi(2×1017cm−3)が添加されている。バリア層(B2)は、n型キャリア濃度において、n型半導体層よりも低い。これに対して、上クラッド層22(p−clad)及びp型半導体層(p−SCH)には、ドナーであるSiは添加されていない。量子井戸層(W1)にもSiは添加されていない。
図4Bは、アクセプタ(p型ドーパント)のキャリア濃度を示す図である。多重量子井戸(MQW)では、バリア層(B2)及び量子井戸層(W1)のいずれにも、2×1017cm−3のZnがドーピングされている。その他の詳細は、図3Bに示す内容と同じであるため、説明を省略する。
図4Cは、p型キャリア濃度とn型キャリア濃度の差分(実効キャリア濃度)を示す図である。多重量子井戸(MQW)のバリア層(B2)では、ZnとSiの両方がほぼ同濃度でドーピングされているため、二つのキャリアが打ち消し合い、実効キャリア濃度(p型キャリア濃度及びn型キャリア濃度の差分)は非常に低くなる。バリア層(B2)では、実効キャリア濃度が、バリア層(B2)のp型キャリア濃度の10%以下になっている。これに対して、量子井戸層(W1)では、Znのみがドーピングされており、p型キャリアが残った状態となる。つまり変調ドープ半導体レーザが構成される。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
10 下クラッド層、12 n型半導体層、14 多重量子井戸、16 第1層、18 第2層、20 p型半導体層、22 上クラッド層、24 電極、26 電極、28 回折格子。

Claims (12)

  1. 交互に積層された複数の第1層及び複数の第2層を含む複数層からなり、アクセプタ及びドナーを含有する多重量子井戸と、
    前記複数層の最上層に接触するp型半導体層と、
    前記複数層の最下層に接触するn型半導体層と、
    を有し、
    前記複数の第1層は、p型キャリア濃度において、前記p型半導体層の10%以上150%以下になるように、前記アクセプタを含有し、
    前記複数の第2層は、前記p型キャリア濃度において、前記p型半導体層10%以上150%以下になるように、前記アクセプタを含有し、
    前記複数の第2層は、前記ドナーをさらに含有し、
    前記複数の第2層では、前記p型キャリア濃度及びn型キャリア濃度の差分に相当する実効キャリア濃度が、前記複数の第2層の前記p型キャリア濃度の10%以下になっていることを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  2. 請求項1に記載された変調ドープ半導体レーザであって、
    前記p型半導体層及び前記n型半導体層は、分離閉じ込めヘテロ構造を構成するためにあることを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  3. 請求項1又は2に記載された変調ドープ半導体レーザであって、
    前記複数の第1層のそれぞれ及び前記複数の第2層のそれぞれで、前記p型キャリア濃度は、1×1017cm−3以上であることを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、
    前記複数層の前記最上層及び前記最下層のそれぞれは、前記複数の第1層の対応する1つであることを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、
    前記複数層の前記最上層及び前記最下層のそれぞれは、前記複数の第2層の対応する1つであることを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、
    前記複数の第1層のそれぞれは、バリア層であり、
    前記複数の第2層のそれぞれは、量子井戸層であることを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、
    前記複数の第1層のそれぞれは、量子井戸層であり、
    前記複数の第2層のそれぞれは、バリア層であることを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、
    前記アクセプタは、Zn及びMgの少なくとも一方であり、
    前記ドナーは、Siであることを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、
    前記複数の第2層は、前記p型キャリア濃度において、前記p型半導体層よりも低いことを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載された変調ドープ半導体レーザであって、
    前記複数の第2層は、前記n型キャリア濃度において、前記n型半導体層よりも低いことを特徴とする変調ドープ半導体レーザ。
  11. n型半導体層を形成する工程と、
    交互に積層された複数の第1層及び複数の第2層を含む複数層からなり、アクセプタ及びドナーを含有し、前記複数層の最下層が前記n型半導体に接触して載るように、多重量子井戸を形成する工程と、
    前記複数層の最上層に接触して載るように、有機金属気相成長法によって、p型半導体層を形成する工程と、
    を含み、
    前記複数の第1層は、p型キャリア濃度において、前記p型半導体層の10%以上150%以下になるように、前記アクセプタを含有し、
    前記複数の第2層は、前記p型キャリア濃度において、前記p型半導体層の10%以上150%以下になるように、前記アクセプタを含有し、
    前記複数の第2層は、前記ドナーをさらに含有し、
    前記複数の第2層では、前記p型キャリア濃度及びn型キャリア濃度の差分に相当する実効キャリア濃度が、前記複数の第2層の前記p型キャリア濃度の10%以下になっていることを特徴とする変調ドープ半導体レーザの製造方法。
  12. 請求項11に記載された変調ドープ半導体レーザの製造方法であって、
    前記多重量子井戸は、前記有機金属気相成長法によって形成されることを特徴とする変調ドープ半導体レーザの製造方法。

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