JP3645320B2 - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、通信、レーザプリンタ、レーザ医療、レーザ加工等で好適に用いられ、高効率で高出力の動作が可能な半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザ素子の高出力化を目的として、活性層の両側に禁制帯幅が大きく厚みの薄いキャリアブロック層を設けることによって、キャリアブロック層の外側に形成されるクラッド層の禁制帯幅の自由度を大きくした半導体レーザ素子が提案されている。このような構造において、キャリアブロック層は注入キャリアを活性層内へ効率的に閉じ込める機能を有するとともに、キャリアブロック層が薄く形成されているため、活性層で発生した光がキャリアブロック層を通過して外側のクラッド層へ容易に漏れ出すことができる。そのため半導体レーザ素子の出射端面においてレーザ光の局所集中によって起こる瞬時光学損傷を防止し、端面破壊レベルを高くすることが可能になり、高出力動作を実現できる。
【0003】
図7(a)はこうした半導体レーザ素子の一例を示す断面図であり、図7(b)は各層に対応した禁制帯幅の分布図、図7(c)は各層に対応した屈折率の分布図である。図7に示す構造は、周知の分離閉じ込めヘテロ構造(SCH、
Separate Confinement Heterostructure)に対して、完全分離閉じ込め構造(
Perfect SCH)と称する(国際公開WO93/16513)。
【0004】
図7(a)においてn−GaAsから成る半導体基板(不図示)の上に、順次、第2n型クラッド層(n−AlGaAs)1、第1n型クラッド層(n−AlGaAs)2、n型キャリアブロック層(n−AlGaAs)3、活性層(GaAs/AlGaAsの多重量子井戸層)4、p型キャリアブロック層(p−AlGaAs)5、第1p型クラッド層(p−AlGaAs)6、第2p型クラッド層(p−AlGaAs)7が形成される。
【0005】
図7(b)に示すように、各キャリアブロック層3、5の禁制帯幅は、活性層4および各クラッド層1、2、6、7の何れよりも大きくなるように形成されているため、注入されたキャリアが効率良く活性層4に閉じ込められる。そのためレーザ発振に寄与するキャリア数が増加して、発振効率が向上する。
【0006】
またキャリアブロック層および活性層が十分に薄く、導波モードへの影響が無視できるとき、実効的な屈折率分布は図7(c)に示すように、第1n型クラッド層2から第1p型クラッド層6までの各層が高屈折率部で、第2n型クラッド層1および第2p型クラッド層7が低屈折率部となるスラブ導波路構造が形成されているため、活性層4で発生した光は高屈折率部内に広がって伝搬する。そのため導波モードのピーク強度が減少して出射端面での光学損傷が発生し難くなり、高出力化が可能となる。
【0007】
この他に正孔バリア層を設けたMQW(多重量子井戸)−DCH(Decoupled Confinement Heterostructure)構造のInGaAsP/InP半導体レーザ素子が報告されている。(IEEE journal of quantum electronics,vol.29,No.6,
JUNE.1993、p1596~1600)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
半導体レーザ素子において高効率化および高出力化を図る場合、注入キャリアを活性層へ効率的に閉じ込めるとともに、フリーキャリア吸収による内部損失の低減が重要である。
【0009】
完全分離閉じ込め構造の半導体レーザ素子では、注入キャリアは活性層に近接し、禁制帯幅が各層の中で最も大きいキャリアブロック層によって活性層に閉じ込められる。このキャリアブロック層は、クラッド層への光の洩れ出しを容易にするため通常、0.01〜0.03μm程度に極めて薄く形成される。禁制帯幅が大きく極めて薄く形成されるキャリアブロック層のドーピング濃度が不十分な場合、キャリアブロック層全体の空乏化が起こり活性層へのキャリア閉じ込めが不十分となる。したがって高いドーピング効率と低い拡散性を有するドーピング元素(ドーパント)によって、キャリアブロック層のドーピング濃度を高く形成する必要がある。ところが従来p型ドーパントとして一般的に用いられる亜鉛は、バルク内で非常に拡散し易い元素であるため、製造プロセス中における亜鉛の拡散長がキャリアブロック層の厚みよりも桁違いに大きくなり、結果的に極薄のキャリアブロック層には高いドーピング濃度を形成することができなかった。
【0010】
また、半導体レーザ素子の効率はフリーキャリア吸収による内部損失に大きく依存する。このフリーキャリア吸収は光が伝搬する各層のドーピング濃度で決定され、ドーピング濃度が高いほど内部損失が大きくなる。そのため光が伝搬する各層のドーピング濃度は必要最小限に低く形成する必要がある。
【0011】
しかし、各層のドーピング濃度をあまり低く抑えてしまうと、素子の電気抵抗が大きくなって自己発熱量が増加し、低い出力での出力飽和や素子の劣化を早める等の問題を生じていた。
【0012】
本発明の目的は活性層へのキャリア閉じ込めを確実にし、内部損失をより低く抑えるとともに、素子の電気抵抗の低減化を図って、高効率で高出力かつ高信頼性の半導体レーザ素子を提供することである。
【0013】
さらに高出力化の障害となる出射端面での光学損傷を抑えて、高出力化を一層容易にする半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活性層の両側にn型およびp型クラッド層を設け、前記活性層に近接して前記活性層および前記両クラッド層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するn型キャリアブロック層およびp型キャリアブロック層をそれぞれ設けた半導体レーザにおいて、
n型およびp型クラッド層はそれぞれ活性層に近い順に第1クラッド層と第2クラッド層を含み、
πを円周率とし、λを発振波長とし、活性層、キャリアブロック層および第1クラッド層の最大屈折率をN1、第2クラッド層の屈折率をN2とし、第2クラッド層間の実効厚みをd1とし、規格化周波数Vを
V=(π・d1/λ)・(N12−N220.5
と定義したとき
2π≧V>π/3が成立するとともに、
n型およびp型キャリアブロック層のドーピング量は、n型およびp型クラッド層の第1クラッド層より高濃度であって、
n型およびp型クラッド層の第2クラッド層のドーピング量は、第1クラッド層より高濃度となるように変調ドーピングが施されていることを特徴する半導体レーザ素子である。
ここで第1クラッド層の屈折率が一定の場合は最大屈折率N1はその一定値をとるが、第1クラッド層の中で屈折率が分布を持つ場合はその最大値を意味する。また実効厚みd1は、前記両第2クラッド層間の任意の位置(x)における屈折率をNw(x)とし、第2n型クラッド層の活性層に近い界面の位置をx1および第2p型クラッド層の活性層に近い界面の位置をx2とすると、下記の式で表わされる。
【0015】
【数1】
Figure 0003645320
【0016】
また本発明は、n型およびp型キャリアブロック層のドーピング量は1×1018cm-3以上に、n型およびp型クラッド層の第1クラッド層のドーピング量は3×1017cm-3以下に、n型およびp型クラッド層の第2クラッド層のドーピング量は1×1018cm-3以上になるように変調ドーピングが施されていることを特徴とする。
また本発明は、p型キャリアブロック層のドーパントが、炭素またはマグネシウムであることを特徴とする。
また本発明は、キャリアブロック層ならびに第1および第2クラッド層は、III−V族化合物半導体で形成されていることを特徴とする。
また本発明は、キャリアブロック層ならびに第1および第2クラッド層は、AlGaAs系化合物半導体で形成されていることを特徴とする。
【0017】
【作用】
本発明に従えば、n型およびp型クラッド層を第1および第2クラッド層という複数層のクラッド層で構成し、さらに活性層、キャリアブロック層および第1クラッド層から成る光導波層の規格化周波数Vをπ/3より大きく形成することによって、ほぼガウス型での導波モードのレーザ発振を実現できる。そして導波モードのピーク強度が減少し、半導体レーザ素子の出射端面での光学損傷レベルをより高くすることが可能となる。なお、導波モードがマルチ化しないためには、規格化周波数Vは2π以下であることが好ましい。
【0018】
さらに、n型およびp型キャリアブロック層のドーピング量は、n型およびp型クラッド層の第1クラッド層より高濃度となるように変調ドーピングが施されているため、キャリアブロック機能を維持しつつ、低濃度である第1クラッド層でのフリーキャリア吸収を低減化できる。したがって、導波モードを乱さずかつ低損失のスラブ導波路を形成できる。
【0019】
また、n型およびp型クラッド層の第2クラッド層のドーピング量は、第1クラッド層より高濃度となるように変調ドーピングが施されているため、素子全体の電気抵抗を低減化でき、自己発熱を減少させることができる。
【0020】
以下詳細に説明する。図1(a)は完全分離閉じ込め構造における各層の禁制帯幅を示すグラフであり、図1(b)は規格化周波数V=πの場合の導波モードを示すグラフである。グラフに示すように、導波モードの大部分は、活性層14、キャリアブロック層13、15および第1クラッド層12、16から成る光導波層を伝搬しており、裾の僅かな部分が第2クラッド層11、17に洩れ出ていることが判る。こうして導波モードが拡がり、そのピーク強度が減少するため、素子の出射端面での光学損傷レベルをより高くすることが可能になる。
フリーキャリア吸収による光学的な内部損失を減らすためには、光導波層の部分、特に第1クラッド層12、16のキャリア濃度を低くすることが好ましいことになる。また、光の伝搬が少ない第2クラッド層11、17は、キャリア濃度を高くして、素子の電気抵抗を低減化する方が好ましいことになる。
【0021】
図2は、スラブ導波路構造において規格化周波数Vに対する光導波層の光伝搬率の変化を示すグラフである。規格化周波数Vは、πを円周率、λを発振波長、活性層14、キャリアブロック層13、15および第1クラッド層12、16の最大屈折率をN1、第2クラッド層11、17の屈折率をN2とし、第2クラッド層11、17間の実効厚みをd1として、V=(π・d1/λ)・(N12−N220.5で定義される。
【0022】
規格化周波数Vが小さいと、光導波層の厚みに比べて導波モードの幅が大きくなり、光導波層での光伝搬率が低下する。逆に、規格化周波数Vが大きいと、光導波層の厚みに比べて導波モードの幅が小さくなり、光伝搬率は増大する。そこで、完全分離閉じ込め構造の半導体レーザにおいて、規格化周波数Vはπ/3より大きいことが好ましく、これによって光伝搬率を70%以上確保できる。このようにVがπ/3より大きくなって光伝搬率が大きくなると、第2クラッド層への光の伝搬が小さくなるので、第2クラッド層のドーピングを、電気抵抗の低減化のために高濃度にしても、これに起因するフリーキャリア吸収による内部損失は小さくなる。また、基本モード以外のマルチモードの発生を抑制するため規格化周波数Vは2πより小さいことが好ましく、活性層での利得導波作用と相俟って単一横モードを安定に維持できる。
【0023】
また本発明に従えば、n型およびp型キャリアブロック層のドーピング量は1×1018cm-3以上に、n型およびp型クラッド層の第1クラッド層のドーピング量は3×1017cm-3以下に、n型およびp型クラッド層の第2クラッド層のドーピング量は1×1018cm-3以上になるように変調ドーピングを施すことによって、キャリアブロック層を第1クラッド層よりもドーピング濃度が高くなるように構成して、キャリア閉じ込め機能を十分に発揮しつつ、第1クラッド層の低濃度化によって光の内部損失を充分低く抑えることができる。
【0024】
なお、各キャリアブロック層および各第2クラッド層への過度のドーピングはフリーキャリア吸収の増大や結晶性の劣化を招くため、ドーピング量の上限は、1×1019cm-3が好ましい。また、各第1クラッド層のドーピング量の下限は、電気抵抗をあまり大きくしないために、1×1016cm-3が好ましい。
【0025】
また本発明に従えば、p型キャリアブロック層に対し、高いドーピング効率と低い拡散性を有する炭素またはマグネシウムをドーパントとして用いることによって、製造プロセスにおいてドーパントを高濃度に添加することが可能となり、キャリアブロック層が極めて薄い場合であっても、製造プロセス中に発生するドーパントの拡散を事実上無視できる程に抑えることができる。すなわち炭素やマグネシウムはバルク内で拡散しにくい元素であるため、製造プロセス中における各元素の拡散長はキャリアブロック層の厚みよりも事実上無視できるほど小さくなる。その結果、極薄のキャリアブロック層であっても高いドーピング濃度を形成することができる。
【0026】
このように各キャリアブロック層13、15のドーピング濃度を高濃度に形成することによって、キャリアブロック層13、15全体の空乏化が抑制され、充分なポテンシャル障壁の高さを維持できるため、注入キャリアを活性層14内に効率良く閉じ込めることができる。
【0027】
ところで従来はp型ドーパントとして亜鉛を用いるのが一般的であったが、亜鉛はバルク内で非常に拡散し易い元素であるため、製造プロセス中における亜鉛の拡散長がキャリアブロック層の厚みよりも桁違いに大きくなり、結果的に極薄のキャリアブロック層には高いドーピング濃度を形成することができなかった。
【0028】
また、p型キャリアブロック層のドーパントとして炭素またはマグネシウムを用いることによってキャリアブロック層のポテンシャル障壁をより高くすることができる。
【0029】
図3は、AlGaAs中における各種p型ドーパントのアクセプター準位を示すグラフである。このグラフは横軸をAl組成xの変化で示している。亜鉛はAl組成が多くなるほどアクセプター準位が深くなる傾向があるのに対して、炭素やマグネシウムは、Al組成xが変化しても全体として亜鉛より浅いアクセプター準位を形成する元素であるため、p型キャリアブロック層15のポテンシャル障壁を高くすることができ、キャリア閉じ込め作用が大きくなる。したがって、活性領域へのドーパントの拡散を防ぎつつキャリアブロック層全体の空乏化を防ぐために必要な高いドーピング濃度を形成するとともに浅いアクセプター準位によってポテンシャル障壁を高く形成することができる。
【0030】
特に、キャリアブロック層を例えば0.01〜0.03μm程度に極めて薄く形成した場合であっても、ドーパントとして拡散性の低い炭素またはマグネシウムを用いることによって、前述のような変調ドーピングを容易に実現できる。したがって、キャリアブロックの効果が十分発揮されるため、発光再結合に寄与しない無効電流が格段に減少し、発振閾値の温度依存性(特性温度)が向上してレーザ発振効率が向上する。
【0031】
ちなみに、GaAs内での各元素の拡散定数は、ある条件下で炭素Cが1×10-15cm2/sec(900℃)(文献1)、マグネシウムMgが1.4×10-13cm2/sec(900℃)(文献2)という報告例がある。(文献1:
Journal Vacuum Science Technology A. Vol8,No3,May/Jun 1990 p2980、文献2:Journal Appl. Phys.59(4),15(1986)1156)。したがって炭素がより好ましい。なお拡散長は、拡散定数の平方根に比例する。
【0032】
また、キャリアブロック層ならびに第1および第2クラッド層はIII−V族化合物半導体で形成されていることによって、炭素またはマグネシウムの拡散性がより低く保たれるため、キャリアブロック層のドーピング濃度を高く形成できる。
【0033】
また、キャリアブロック層ならびに第1および第2クラッド層がAlGaAs系化合物半導体で形成することが好ましく、その場合、図3に示すように、炭素およびマグネシウムが形成するアクセプタ準位が浅くなるため、キャリアブロック層のポテンシャル障壁を高くできる。しかも高いドーピング効率と低い拡散性によってキャリアブロック層のドーピング濃度を高く形成できる。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
図4(a)は本発明の実施例1の構成を示す断面図であり、図4(b)は各層に対応するドーピング濃度の分布図である。
この半導体レーザにおいて、半導体基板(n−GaAs)20の上に順次、第2n型クラッド層(n−Al0.48Ga0.52As、ドナー濃度:1×1018cm-3、厚み:0.7μm)11、第1n型クラッド層(n−Al0.31Ga0.69As、ドナー濃度:3×1017cm-3、厚み:0.4μm)12、n型キャリアブロック層(n−Al0.60Ga0.40As、ドナー濃度:1×1018cm-3、厚み:0.014μm)13、活性層(DQW:二重量子井戸、GaAs/Al0.31Ga0.69As、ドーピング無し)14、p型キャリアブロック層(p−Al0.50Ga0.50As、アクセプター濃度:1×1018cm-3、厚み:0.021μm)15、第1p型クラッド層(p−Al0.31Ga0.69As、アクセプター濃度:3×1017cm-3、厚み:0.4μm)16、第2p型クラッド層(p−Al0.48Ga0.52As、アクセプター濃度:1×1018cm-3、厚み:0.7μm)17、電流狭窄層(n−GaAs、ドナー濃度:1×1018cm-3、厚み:0.3μm)18、p型コンタクト層(p−GaAs、アクセプター濃度:3×1017cm-3〜1×1019cm-3、厚み:2μm)19が、MOCVD(有機金属気相成長法)で形成されている。ここで、ドナーとしてSe(セレン)をドープし、アクセプターとしてp型コンタクト層以外はC(炭素)をドープし、p型コンタクト層はZn(亜鉛)をドープしている。
【0035】
p型コンタクト層19の上面および半導体基板20の下面には、オーミック電極21、22がそれぞれ形成される。光共振器は紙面垂直方向に形成され、素子の両端面で反射することによってレーザ発振が起きる。
【0036】
注目すべき点は、図4(b)に示すように、n型キャリアブロック層13のドナー濃度およびp型キャリアブロック層15のアクセプター濃度を1×1018cm-3またはそれ以上の高濃度に形成し、第1n型クラッド層12のドナー濃度および第1p型クラッド層16のアクセプター濃度を3×1017cm-3またはそれ以下の低濃度に形成し、さらに第2n型クラッド層11のドナー濃度および第2p型クラッド層17のアクセプター濃度を1×1018cm-3またはそれ以上の高濃度に形成して、いわゆる変調ドーピングを施している点である。
【0037】
このようにn型キャリアブロック層13およびp型キャリアブロック層15のドーピング量は、第1n型クラッド層12および第1p型クラッド層16より高濃度となるように変調ドーピングが施されているため、キャリアブロック機能を維持しつつ第2n型クラッド層11および第2p型クラッド層17でのフリーキャリア吸収を低減化できる。したがって、導波モードを乱さずかつ低損失のスラブ導波路を形成できる。
【0038】
また、第2n型クラッド層11および第2p型クラッド層17のドーピング量は、第1n型クラッド層12および第1p型クラッド層16より高濃度となるように変調ドーピングが施されているため、素子全体の電気抵抗を低減化でき、自己発熱を減少できる。
【0039】
なお、実施例1の規格化周波数Vはπである。したがって光導波層内での光伝搬率が高くなり、さらには出射端面での光学損傷が抑制されて高出力化が一層容易になる。
【0040】
(比較例1)
図5(a)は比較例1の構成を示す断面図であり、図5(b)は各層に対応するドーピング濃度の分布図である。
この半導体レーザ素子において、半導体基板(n−GaAs)20の上に順次、第2n型クラッド層(n−Al0.48Ga0.52As、ドナー濃度:1×1018cm-3、厚み:0.7μm)11、第1n型クラッド層(n−Al0.31Ga0.69As、ドナー濃度:1×1018cm-3、厚み:0.4μm)12、n型キャリアブロック層(n−Al0.60Ga0.40As、ドナー濃度:1×1018cm-3、厚み:0.014μm)13、活性層(DQW:二重量子井戸、GaAs/Al0.31Ga0.69As、ドーピング無し)14、p型キャリアブロック層(p−Al0.50Ga0.50As、アクセプター濃度:1×1018cm-3、厚み:0.021μm)15、第1p型クラッド層(p−Al0.31Ga0.69As、アクセプター濃度:1×1018cm-3、厚み:0.4μm)16、第2p型クラッド層(p−Al0.48Ga0.52As、アクセプター濃度:1×1018cm-3、厚み:0.7μm)17、電流狭窄層(n−GaAs、ドナー濃度:1×1018cm-3、厚み:0.3μm)18、p型コンタクト層(p−GaAs、アクセプター濃度:3×1017cm-3〜1×1019cm-3、厚み:2μm)19が、MOCVDでそれぞれ形成されている。
【0041】
ここで、実施例1と比較して相違する点は、図5(b)に示すように、キャリアブロック層13、15、第1クラッド層12、16および第2クラッド層11、17を全て1×1018cm-3という高濃度でドーピングしている点である。
【0042】
(比較例2)
図6(a)は比較例2の構成を示す断面図であり、図6(b)は各層に対応するドーピング濃度の分布図である。
この半導体レーザ素子において、半導体基板(n−GaAs)20の上に順次、第2n型クラッド層(n−Al0.48Ga0.52As、ドナー濃度:3×1017cm-3、厚み:0.7μm)11、第1n型クラッド層(n−Al0.31Ga0.69As、ドナー濃度:3×1017cm-3、厚み:0.4μm)12、n型キャリアブロック層(n−Al0.60Ga0.40As、ドナー濃度:1×1018cm-3、厚み:0.014μm)13、活性層(DQW:二重量子井戸、GaAs/Al0.31Ga0.69As、ドーピング無し)14、p型キャリアブロック層(p−Al0.50Ga0.50As、アクセプター濃度:1×1018cm-3、厚み:0.021μm)15、第1p型クラッド層(p−Al0.31Ga0.69As、アクセプター濃度:3×1017cm-3、厚み:0.4μm)16、第2p型クラッド層(p−Al0.43Ga0.57As、アクセプター濃度:3×1017cm-3、厚み:0.7μm)17、電流狭窄層(n−GaAs、ドナー濃度:1×1018cm-3、厚み:0.3μm)18、p型コンタクト層(p−GaAs、アクセプター濃度:3×1017cm-3、厚み:2μm)19が、MOCVDで形成されている。
【0043】
ここで、実施例1と比較して相違する点は、図6(b)に示すように、キャリアブロック層13、15を1×1018cm-3という高濃度でドーピングし、第1クラッド層12、16および第2クラッド層11、17を3×1017cm-3という低濃度でドーピングしている点である。
【0044】
(比較例3)
比較例3の構成は、図5の比較例1と同じであるが、p型ドーパントとして全てZn(亜鉛)を使用している点が相違する。
【0045】
(比較例4)
比較例4の構成は、図6の比較例2と同様であるが、p型ドーパントとして全てZn(亜鉛)使用している点が相違する。
ここで、実施例1と比較例1〜4とを比較するため、素子の特性温度、内部損失を測定した結果および活性層を除くn型第2クラッド層からp型クラッド層までの電気抵抗をシミュレーションした値を下記(表1)に示す。なお、半導体レーザ素子のキャビティ長700μm、電流注入ストライプ幅50μm、光学コーティング無しという条件はいずれも共通である。
【0046】
【表1】
Figure 0003645320
【0047】
その結果、実施例1は比較例3、4と比べて、発振閾値の温度依存性を示す特性温度は140Kに改善されることが確認された。これはドーパントとして、亜鉛より拡散性が格段に小さい炭素を使用することによって、キャリアブロック層を所望の濃度に維持することができ、そのために亜鉛の場合に比べてキャリアを活性層に確実に閉じ込めることができたためと考えられる。
【0048】
また、実施例1は比較例1と比べて、特性温度は同程度であるが、内部損失が5分の1と大幅に改善されていることが判る。これは、第1クラッド層のドーピング濃度が低くなって、フリーキャリア吸収が減ってためと考えられる。
【0049】
また、実施例1は比較例2と比べて、第2クラッド層のドーピング濃度が高いためにその部分の電気伝導率が向上して、電気抵抗の低減化が可能になった。
【0050】
このようにキャリアブロック層を高ドーピングにすることによって特性温度を改善でき、第1クラッド層を低ドーピングにすることによって、光学的な内部損失を改善でき、さらに第2クラッド層を高ドーピングにすることによって素子の電気抵抗を改善することができる。
【0051】
なお以上の説明において、半導体レーザ素子の材料としてAlGaAs系半導体を用いる例を示したが、炭素やマグネシウムがp型ドーパントとして機能する材料であれば本発明が適用できる。
【0052】
【発明の効果】
以上詳説したように本発明によれば、n型およびp型キャリアブロック層のドーピング量は、n型およびp型クラッド層の第1クラッド層より高濃度となるように変調ドーピングが施されているため、キャリアブロック機能を維持しつつ内部損失を低減化できる。
【0053】
また、n型およびp型クラッド層の第2クラッド層のドーピング量は、第1クラッド層より高濃度となるように変調ドーピングが施されているため、素子全体の電気抵抗を低減化でき、自己発熱を減少させることができる。
【0054】
そして出射端面での光学損傷を抑制できるので、上記の効果と相俟ってより高出力化できる。
【0055】
さらに、p型ドーパントとして炭素またはマグネシウムを用いることによって、薄い層であっても充分なドーピング濃度を実現できる。そのためキャリアブロック層による活性層へのキャリア閉じ込めが確実に行われ、特性温度の向上に寄与する。
【0056】
こうして完全分離閉じ込め構造の半導体レーザ素子において、高効率化および高出力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は完全分離閉じ込め構造における各層の禁制帯幅を示すグラフであり、図1(b)は規格化周波数V=πの場合の導波モードを示すグラフである。
【図2】スラブ導波路構造において規格化周波数Vに対する光導波層の光伝搬率の変化を示すグラフである。
【図3】AlGaAs中における各種p型ドーパントのアクセプター準位を示すグラフである。
【図4】図4(a)は本発明の実施例1の構成を示す断面図であり、図4(b)は各層に対応するドーピング濃度の分布図である。
【図5】図5(a)は比較例1の構成を示す断面図であり、図5(b)は各層に対応するドーピング濃度の分布図である。
【図6】図6(a)は比較例2の構成を示す断面図であり、図6(b)は各層に対応するドーピング濃度の分布図である。
【図7】図7(a)は従来の半導体レーザ素子の一例を示す断面図であり、図7(b)は各層に対応した禁制帯幅の分布図、図7(c)は各層に対応した屈折率の分布図である。
【符号の説明】
11 第2n型クラッド層
12 第1n型クラッド層
13 n型キャリアブロック層
14 活性層
15 p型キャリアブロック層
16 第1p型クラッド層
17 第2p型クラッド層
18 電流狭窄層
19 p型コンタクト層
20 半導体基板
21、22 オーミック電極

Claims (5)

  1. 活性層の両側にn型およびp型クラッド層を設け、前記活性層に近接して前記活性層および前記両クラッド層の禁制帯幅以上の禁制帯幅を有するn型キャリアブロック層およびp型キャリアブロック層をそれぞれ設けた半導体レーザにおいて、
    n型およびp型クラッド層はそれぞれ活性層に近い順に第1クラッド層と第2クラッド層を含み、
    πを円周率とし、λを発振波長とし、活性層、キャリアブロック層および第1クラッド層の最大屈折率をN1、第2クラッド層の屈折率をN2とし、第2クラッド層間の実効厚みをd1とし、規格化周波数Vを
    V=(π・d1/λ)・(N12−N220.5
    と定義したとき
    2π≧V>π/3が成立するとともに、
    n型およびp型キャリアブロック層のドーピング量は、n型およびp型クラッド層の第1クラッド層より高濃度であって、
    n型およびp型クラッド層の第2クラッド層のドーピング量は、第1クラッド層より高濃度となるように変調ドーピングが施されていることを特徴する半導体レーザ素子。
  2. n型およびp型キャリアブロック層のドーピング量は1×1018cm-3以上に、n型およびp型クラッド層の第1クラッド層のドーピング量は3×1017cm-3以下に、n型およびp型クラッド層の第2クラッド層のドーピング量は1×1018cm-3以上になるように変調ドーピングが施されていることを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ素子。
  3. p型キャリアブロック層のドーパントが、炭素またはマグネシウムであることを特徴とする請求項1または2記載の半導体レーザ素子。
  4. キャリアブロック層ならびに第1および第2クラッド層は、III−V族化合物半導体で形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の半導体レーザ素子。
  5. キャリアブロック層ならびに第1および第2クラッド層は、AlGaAs系化合物半導体で形成されていることを特徴とする請求項4記載の半導体レーザ素子。
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