JP6487236B2 - 半導体光素子、及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体光素子、及びその製造方法に関する。
近年、半導体光素子は、さらなる高速化が望まれている。半導体光素子の変調速度は、素子容量Cと素子抵抗Rの積であるCR(時定数)の制限を受ける。それゆえ、半導体光素子のさらなる高速化を実現するために、素子容量C又は素子抵抗Rの低減が必要となる。
素子抵抗Rの低減には、正孔(ホール)は電子と比較して移動度が低いので、正孔をキャリアとするp型半導体層の電気抵抗を軽減することが有効である。一般に、p型半導体層に添加する不純物(ドーパント)として、Zn(亜鉛)がよく用いられている。Znのドーピング濃度を高めることにより、p型半導体層の電気抵抗を軽減することが出来、素子抵抗Rの低減が実現する。ここで、ドーピング濃度とは、半導体層を形成する際に、ドーパントを意図的に半導体層に添加するドーパントの濃度を言う。
特開2000−77789号公報 特開2005−353654号公報
アプライドフィジックスレターズ 67巻(15),2226頁−2228頁,1995年10月9日。 IEEEジャーナル・オブ・カンタム・エレクトロニクス 40巻,12号,1634頁−1638頁,2004年12月。 ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス 93巻,7号,3823頁−3826頁,2003年4月1日。
しかしながら、Znは拡散性が非常に高い。それゆえ、p型半導体層にZnがドーパントとして添加されると、p型半導体層に含まれるZnが近接する半導体層へ拡散してしまう。それゆえ、当該p型半導体層から近傍に位置するする活性層へZnが拡散すると、活性層において損失成分が増大し、半導体光素子としての特性を劣化させてしまう。また、p型半導体層の近傍に絶縁性半導体層が配置される場合には、当該p型半導体層から当該絶縁性半導体層にZnが拡散すると、絶縁性が低下し、当該絶縁性半導体層の電気抵抗が低減し、当該絶縁性半導体層にリーク電流が流れることとなり、半導体光素子としての特性を劣化させてしまう。
それゆえ、p型半導体層に添加するドーパントとしてZnを用いるならば、電気抵抗を低減する観点では、ドーピング濃度を高めたいが、Znの拡散に伴う素子特性の劣化という観点では、ドーピング濃度を高めることが出来ない。すなわち、Znをドーパントとして用いて、半導体光素子の高速化を実現するには限界がある。それゆえ、Znと比べて拡散性が低く、高いドーピング濃度に添加することが可能なp型ドーパントが望まれる。Znよりも低拡散性が期待されるp型ドーパントとして、C(炭素)、Mg(マグネシウム)、及びBe(ベリリウム)がある。
Cは拡散性が非常に小さい。Cは適切な条件の下で、InGaAsに対してp型導電性を示し、1×1019cm−3以上のキャリア濃度が得られることが、非特許文献1に開示されている。それゆえ、p型InGaAs層のドーパントとしては適している。しかしながら、InPやInGaAsPに対しては、Cは主としてn型導電性を示すので、p型InP層やp型InGaAsP層のドーパントとしては適していない。このように、Cは、拡散性やドーピング濃度の観点では非常に優れたドーパントであるが、ドーパントとして添加することが出来る半導体層の材料の選択自由度は限定的である。
MgやBeは、Znよりも拡散性が低い。AlGaInPを材料とするp型クラッド層のドーパントにMgを用いた場合、MgはZnよりも拡散性が低いことが、非特許文献2に開示されている。また、Mgは、InPやInGaAsPに対してもp型導電性を示すことが知られている。同様に、BeはZnよりも拡散性が低く、InP材料のp型半導体層のドーパントとしてBeを用いることが可能であることが、非特許文献3に開示されている。MgやBeは、ドーピング濃度の観点ではCよりもドーパントとして劣るものの、ドーパントとして添加することが出来る半導体層の材料の選択自由度は高い。MgとBeはともに、II族のドーパントであり、それらの性質は共通するものが多い。それゆえ、以下、Mgを例に説明するが、Beについても同様であると考えてよい。
活性層からp側電極との間に配置される、接して積層される1対の半導体層について、発明者らは検討を行っている。ここで、1対の半導体層のうち、活性層側の半導体層が第1半導体層であり、Mgがドーパントとして添加される。p側電極側の半導体層が第2半導体層であり、Cがドーパントとして添加される。発明者らは、かかる1対の半導体層が活性層とp側電極との間に配置される半導体光素子を作製した。しかしながら、かかる半導体光素子の素子抵抗が想定される値よりも大きくなっていることを発明者らは発見した。
発明者らは素子抵抗増大の原因を調べるために、半導体光素子の積層方向に沿って、不純物濃度を観測し、不純物濃度のプロファイルを作成した。不純物濃度のプロファイルより、Mgのドーピング濃度より想定されるMg濃度と比較して、第1半導体層の第2半導体層側の界面近傍におけるMg濃度が低くなっていることを発見した。ここで、不純物濃度とは、半導体層に含まれる不純物の実際の濃度である。そして、Mg濃度とは、半導体層に不純物として含まれるMgの実際の濃度であり、半導体層を形成される際に、ドーパントとして添加するドーピング濃度とは異なっている。
本発明は、かかる課題を鑑みてなされたものであり、素子抵抗が低減されるとともに素子の特性が向上する、半導体光素子、及びその製造方法の提供を目的とする。
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る半導体光素子は、活性層と、p側電極と、{前記活性層と前記p側電極との間に配置され、InGaAsP、InGaAsAl、又はInGaAsAlPのいずれかを材料とし、Mg又はBeがドーパントとして添加され、組成波長が1.5μm以下となる、第1半導体層}と、{前記第1半導体層と前記p側電極との間に、前記第1半導体層に接して配置され、InGaAs又はInGaAsAlのいずれかを材料とし、Cがドーパントとして添加される、第2半導体層}と、が、基板上に形成される。
(2)上記(1)に記載の半導体光素子であって、前記第1半導体層の組成波長は1.15μm以上であってもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載の半導体光素子であって、{前記活性層と前記第1半導体層との間に配置される、p型クラッド層}が基板上にさらに形成され、前記第1半導体層がp型中間層であり、前記第2半導体層がp型コンタクト層であってもよい。
(4)上記(3)に記載の半導体光素子であって、前記第1半導体層の価電子帯のエネルギーは、前記第2半導体層の価電子帯エネルギーと、前記p型クラッド層の価電子帯のエネルギーとの間にあってもよい。
(5)上記(3)又は(4)に記載の半導体光素子であって、{前記p型クラッド層と前記第1半導体層との間に配置される、層数1以上の他のp型中間層}が、基板上にさらに形成されてもよい。
(6)上記(5)に記載の半導体光素子であって、前記第1半導体層の価電子帯エネルギー、及び、前記層数1以上の他のp型中間層それぞれの価電子帯エネルギーは、ともに、前記第2半導体層の価電子帯エネルギーと、前記p型クラッド層の価電子帯エネルギーと、の間にあり、前記第2半導体層側から前記p型クラッド層側にかけて、順に高くなっていてもよい。
(7)上記(5)又は(6)に記載の半導体光素子であって、前記第2半導体層側から前記p型クラッド層側にかけて、順に、各中間層の飽和ホール濃度が低くなっていてもよい。
(8)上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の半導体光素子であって、前記第2半導体層に含まれるC濃度が1×1019cm−3以上であってもよい。
(9)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の半導体光素子であって、前記第2半導体層に、Mg又はBeがドーパントとしてさらに添加され、前記第2半導体層に含まれるMgの濃度とBeの濃度の合計が2×1017cm−3以上6×1018cm−3以下であってもよい。
(10)本発明に係る半導体光素子の製造方法は、活性層を形成する工程と、p側電極を形成する工程と、前記活性層と前記p側電極との間に、InGaAsP、InGaAsAl、又はInGaAsAlPのいずれかを材料とし、Mg又はBeがドーパントとして添加され、組成波長1.5μm以下となる、第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層と前記p側電極との間に、前記第1半導体層に接して配置されるよう、InGaAs又はInGaAsAlのいずれかを材料とし、Cがドーパントとして添加される、第2半導体層を形成する工程と、を備えていてもよい。
本発明により、素子抵抗が低減されるとともに素子の特性が向上する、半導体光素子、及びその製造方法が提供される。
本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子主要部の斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子の多層構造の一部を示す模式断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子の半導体層の価電子帯エネルギーを示す概略図である。 本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子のMg濃度プロファイルを示す模式図である。 第1半導体層の組成波長と、Mg濃度の濃度差と、の関係を示す図である。 第1半導体層の組成波長と、界面における価電子帯エネルギーの差と、の関係を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る半導体光素子主要部の斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係る半導体光素子主要部の斜視図である。 比較例に係る半導体光素子のMg濃度プロファイルを示す模式図である。
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体光素子主要部の斜視図である。当該実施形態に係る半導体光素子は、分布帰還型(DFB:Distributed Feedback)直接変調半導体レーザ素子であり、以下、単にDFBレーザ素子1と記す。DFBレーザ素子1は、素子の端面(側面)から光を出射する端面発光型レーザであり、主に用いられる波長帯は、1.3μm帯又は1.55μm帯である。DFBレーザ素子1は、p型ドーパントとしてZnを使用しない(Znフリー)半導体光素子であり、後述する通り、p型ドーパントとしてMgとCを用いている。主に、DFBレーザ素子1の構造を示すために、図1には、DFBレーザ素子1の主要部が示されており、光導波路を進行する光の光軸と積層方向を含む断面と、当該光軸に垂直な断面とが、さらに示されている。図1に示す通り、DFBレーザ素子1の基本構造は、埋め込み(BH:Buried-Hetero)構造を有しているが、これに限定されることはなく、例えば、リッジ導波路(RWG:Ridge Wave-Guide)構造を有していてもよい。
DFBレーザ素子1は、n型基板11上に、n型バッファー層12、活性層となるMQW層13(MQW:Multiple-Quantum-Well,多重量子井戸)、p型クラッド層14、p型中間層20、p型コンタクト層21とが、順に積層されている。n型基板11の母体を構成する半導体はIII−V族化合物半導体であり、ここでは、母体を構成する材料は、InPである。InPに対してn型導電性を有するS(硫黄)が添加されている。n型バッファー層12の母体を構成する材料は、同じくInPであり、Si(シリコン)が添加されている。MQW層13の母体を構成する材料はInGaAsPであり、意図的に不純物が添加されていない真性半導体層(i層)である。p型クラッド層14の母体を構成する材料はInPである。添加されるドーパントはMgであり、ドーピング濃度は1×1018cm−3である。p型中間層20の構成については後述する。p型コンタクト層21の母体を構成する材料はInGaAsである。添加されるドーパントはCであり、ドーピング濃度は1×1019cm−3である。p型コンタクト層21は、p型半導体層の一つであるが、他のp型半導体層(p型クラッド層14やp型中間層20)と比べて、p型ドーパントのドーピング濃度が高いので、それを明確にするためにp型として記載している。ここで、p型コンタクト層21に添加されるCのドーピング濃度は1×1019cm−3としているが、p型コンタクト層は、p側電極と活性層とを、p型クラッド層(やp型中間層)を介して電気的に接続しており、p型コンタクト層の電気伝導度は高い方が望ましく、それゆえ、p型コンタクト層に含まれるC濃度は1×1019cm−3以上であるのが望ましい。かかるC濃度を実現するために適切なドーピング濃度によってCを添加すればよい。Cは拡散性が低く、また、当該実施形態では、p型コンタクト層21に接する層に、Cが拡散する半導体層はないので、Cのドーピング濃度を1×1019cm−3以上とすることで、p型コンタクト層に含まれるC濃度を1×1019cm−3以上とすることが可能である。なお、Cの場合、意図的にCを半導体層に添加していない場合であっても、バックウンドとして1×1016cm−3程度の濃度を含むことが多い。それゆえ、本明細書において、半導体層にドーパントとしてCを添加するとは、バックグラウンドとしてCを含む場合を含まず、意図的にCを添加する場合、具体的には、当該半導体層に含まれるCの濃度(C濃度)が、1×1017cm−3以上である場合をいうこととする。他のドーパントについても、意図的に添加したものである。
また、発振スペクトルの単一モード化のために、p型クラッド層14の内部に回折格子15が形成されている。n型バッファー層12の途中からp型コンタクト層21の上表面までの半導体多層は、光導波路となる部分の両側が除去されており、メサ構造となっている。メサ構造の両側が、埋め込み層25によって埋めこまれている。埋め込み層25の母体を構成する材料はInPであり、添加されるドーパントはRu(ルテニウム)である。埋め込み層25にRuが添加されることにより、埋め込み層25は半絶縁性を有している。メサ構造の上表面(p型コンタクト層21の上表面)とその両側の所定の領域を除いて、埋め込み層25の上表面にパッシベーション膜30が形成される。メサ構造の上表面に接するよう、そして、メサ構造及び埋め込み層25を覆って、p側電極31が所定の形状に形成される。また、n型基板11の下表面(裏面)にはn側電極32が全面に亘って形成される。
図2は、当該実施形態に係る半導体光素子の多層構造の一部を示す模式断面図である。図2に示す通り、当該実施形態に係るp型中間層20は、2層構造を有しており、p型クラッド層14の上面に接するp型下側中間層20Aと、p型コンタクト層21の下面に接するp型上側中間層20Bとで構成されている。p型下側中間層20A及びp型上側中間層20Bそれぞれの母体を構成する材料は、ともにInGaAsPである。それぞれに添加される不純物(ドーパント)はともにMgであり、ドーピング濃度はともに1×1018cm−3である。そして、p型下側中間層20Aの組成波長は1.05μmであり、p型上側中間層20Bの組成波長は1.30μmである。ここで、組成波長とは、バンドギャップのエネルギーに相当する波長である。
本発明に係る半導体光素子の主な特徴は、活性層とp側電極との間に配置される1対の半導体層を備えることにある。ここで、1対の半導体層は互いに接して形成される2層の半導体層であり、下側に形成される第1半導体層と、上側に形成される第2半導体層と、からなる。第1半導体層は、InGaAsP、InGaAsAl、又はInGaAsAlPのいずれかを材料とし、Mg又はBeがドーパントとして添加され、組成波長1.5μm以下となる。なお、必要に応じて、MgとBeの両方がドーパントとして添加されていてもよいし、Mg又はBeに加えて、他のドーパントがさらに添加されていてもよい。第2半導体層は、InGaAs又はInGaAsAlのいずれかを材料とし、Cがドーパントとして添加される。同様に、Cに加えて、他のドーパントがさらに添加されていてもよい。当該実施形態に係る半導体光素子において、p型上側中間層20Bが第1半導体層であり、p型コンタクト層21が第2半導体層である。
本明細書において、例えば、「半導体層はInGaAsPを材料とする」とは、当該半導体層の母体を構成する材料がInGaAsPであることを言い、半導体層(の母体)に添加する不純物(ドーパント)は係る材料に含めない。言い換えれば、半導体層に含まれる物質として、母体となる化合物半導体と、不純物(ドーパント)とは、明確に区別する。本発明において、半導体層の母体を構成する材料は、III−V族化合物である。例えば、InGaAsPの場合、III族元素としてIn(インジウム)及びGa(ガリウム)が用いられ、V族元素としてAs(ヒ素)及びP(リン)が用いられる。すなわち、InGaAsPは、InGa1−xAs1−y(0<x<1,0<y<1)で表される化合物である。なお、InGaAsPと表記する場合、4元元素からなる化合物半導体を指すので、III族元素である2つの元素(In及びGa)のいずれか一方のみ(x=0又はx=1)、V族元素である2つの元素(As及びP)のいずれか一方のみ(y=0又はy=1)は含まないものとする。
[p型中間層]
以下、当該実施形態に係る半導体光素子が奏する効果について説明する。DFBレーザ素子1は、2層構造を有するp型中間層20を備えている。まず、p型中間層20の役割について説明する。図3は、当該実施形態に係る半導体光素子の半導体層の価電子帯エネルギーを示す概略図である。図3の右側の図の縦軸(z)は、積層方向における複数の半導体層の位置を示している。ここで、複数の半導体層とは、左側の図に示す、p型クラッド層14、p型下側中間層20A、p型上側中間層20B、及びp型コンタクト層21の4つの半導体層である。p型コンタクト層21の上表面を位置の基準(z=0)としており、図の下向きは積層方向負の向きであり、zはp型コンタクト層21の上表面からの深さを表している。図3の右側の図の横軸は、各位置における価電子帯エネルギーEvを模式的に示している。本明細書において、価電子帯エネルギーEvとは、価電子帯のバンド端のエネルギーであり、価電子帯のうちもっとも高いエネルギーである。p型コンタクト層21の価電子帯エネルギーを基準として、エネルギーが高くなる向きに価電子帯エネルギーEvを定義している。当該実施形態のように、p型コンタクト層をInGaAsで、p型クラッド層をInPで、それぞれ形成する場合、p型コンタクト層とp型クラッド層との間では、価電子帯エネルギーEvの差(ΔEv)が大きくなる。それゆえ、p型クラッド層に接するように(p型中間層なしに)p型コンタクト層を形成する場合、かかるエネルギー差により、正孔(ホール)がp側電極31側からMQW層13側への移動することが抑制され、素子抵抗が上昇したり、素子電圧が上昇したりする等の問題が生じる。
特許文献1の図4に、p型InPクラッド層19とp型InGaAsコンタクト層21との間にp型InGaAsP中間層20を配置する構成が開示されている。これに対して、当該実施形態に係る半導体光素子において、p型中間層20は2層構造を有し、図3に示す通り、p型上側中間層20Bの価電子帯エネルギーと、p型下側中間層20Aの価電子帯エネルギーとが、ともに、p型コンタクト層21の価電子帯エネルギーと、p型クラッド層14の価電子帯エネルギーと、の間にあり、積層方向の上側から下側へかけて(深さが大きくなるにつれて)、これらエネルギーが順に高くなるように、p型中間層20が形成されている。ここで、隣り合う半導体層の界面における価電子帯エネルギーの差(ΔEv)を「ステップ」とする。図3に示す通り、当該実施形態において、かかる界面におけるステップを、p型中間層を配置しない場合の(p型クラッド層とp型コンタクト層との界面における)ステップよりも小さくすることが出来る。また、当該実施形態のように、2層構造のp型中間層を配置する場合の各界面におけるステップは、1層構造のp型中間層を配置する場合のいずれの界面におけるステップよりも小さくなるように、p型中間層20を形成するのが望ましい。
また、p型中間層をp型クラッド層とp型コンタクト層との間に配置する場合であっても、界面におけるステップは小さくなるもの有限の値で存在しており、ステップ(価電子帯エネルギーの差ΔEv)の影響がノッチとして残存する。それゆえ、p型中間層に適当な濃度で不純物(ドーパント)を添加するのが望ましい。例えば、中間層に添加されるp型不純物濃度として望ましい典型値は1×1018cm−3であり、5×1017cm−3以上であるのが望ましい。また、中間層として望ましい層厚は数十nmであり、10nm以上100nm以下であるのが望ましい。
[第1半導体層の組成波長]
次に、当該実施形態に係るp型上側中間層20B(第1半導体層)の組成波長について説明する。当該実施形態に係るp型上側中間層20Bの組成波長は1.30μmとしている。発明者らは、本発明に想到する前に、比較例に係る半導体光素子を作製し、それについて検討を行っており、当該実施形態について説明する前に、当該比較例に係る半導体光素子について説明する。
図9は、当該比較例に係る半導体光素子のMg濃度プロファイルを示す模式図である。図9の横軸は、図3に示すz軸(p型コンタクト層21の上表面からの深さ)に対応しており、図9の縦軸は、積層方向の各位置におけるMg濃度(Mg concentration)cm−3である。ここで、前述の通り、Mg濃度とは、半導体層に不純物として含まれるMgの実際の濃度である。当該比較例に係る半導体光素子の構造は、p型上側中間層20Bの組成波長が異なっていることを除いて、当該実施形態に係る半導体光素子と同じ構造をしている。当該比較例では、p型上側中間層20Bの組成波長を1.55μmとしている。p型クラッド層14、p型下側中間層20A、及びp型上側中間層20Bそれぞれに添加されるドーパントはともにMgであり、ドーピング濃度はともに1×1018cm−3である。また、p型コンタクト層21に添加されるドーパントはCであり、p型コンタクト層21にMgは意図的に添加されていない。当該比較例に係る半導体光素子では、素子抵抗の上昇が観測されており、ドーパントとしてZnを用いる従来の半導体光素子の素子抵抗よりもさらに高くなってしまう。発明者らは、素子抵抗増大の主たる要因について、以下の通り検討を行っている。
図9に示す通り、p型クラッド層14におけるMg濃度は、ドーピング濃度と同程度の1×1018cm−3であるが、p型中間層20におけるMg濃度は、ドーピング濃度よりも低くなっている。特に、p型上側中間層20Aにおいて、p型コンタクト層21側の界面近傍で、Mg濃度は1016cm−3のオーダーまで落ち込んでおり、図9に破線円で示す通り、界面近傍にMg濃度の窪みが生じている。
Mgが添加されていないp型コンタクト層21のMg濃度が1×1017cm−3程度存在しており、p型中間層20におけるMg濃度の低下は、p型中間層20に添加したMgがp型コンタクト層21へ拡散しているものと考えられる。しかしながら、p型上側中間層20Bの界面近傍に生じるMg濃度の窪みの形成は、Mgの拡散だけで単純に説明することは出来ない。界面ではステップ(価電子帯エネルギーの差ΔEv)の影響がノッチとして残存し、かかる界面近傍では、適当なMg濃度が所望されるところ、かかる界面近傍にMg濃度の窪みが形成され、十分なMg濃度が得られていないことが、素子抵抗上昇の主たる要因であると考えられる。
型コンタクト層21に添加されるCは、V族元素のサイトと置換されてp型導電性を有する。これに対して、Mgは、III族元素のサイトと置換されてp型導電性を有する。すなわち、CとMgは、ともにp型ドーパントであるが、置換されるサイトが異なる。p型コンタクト層21にCが添加されていることは、Mgのp型コンタクト層21への拡散を抑制する効果は小さく、それゆえ、Mgがp型コンタクト層21に拡散すると考えられる。また、Cが添加されるp型コンタクト層21の成長条件も、Mgの拡散に関与している可能性が考えられる。図9に示す通り、p型コンタクト層21におけるMg濃度は、1×1017cm−3程度でほぼ一様に分布していることから、p型コンタクト層21に含まれるMgが準安定的な状態に達しており、Mgのp型コンタクト層21への拡散が停止している可能性が考えられる。
p型クラッド層、p型中間層、及びp型コンタクト層それぞれにZnが不純物として添加される従来の半導体光素子では、Znは、高濃度に添加されるp型コンタクト層から、p型中間層、p型クラッド層へ(基板へ向く向き:下向き)拡散するのが支配的であり、かかる拡散は押し出し拡散と呼ばれている。これに対して、p型クラッド層14及びp型中間層20それぞれにMgが不純物として添加され、p型コンタクト層21にCが不純物として添加される場合、Mgはp型中間層20からp型コンタクト層21へ(基板から積層方向の正の向き:上向き)拡散するのが支配的であり、従来の半導体光素子とは異なるメカニズムの拡散が生じていることを、発明者らは発見した。
n型GaAs基板上に、p型クラッド層3(AlGaInP:Mg添加)と、p型バンド不連続緩和層2(GaInP:Mg添加)と、p型キャップ層1(GaAs:C添加)とが、順に積層される半導体レーザ素子が、特許文献2に開示されている。なお、特許文献2のp型バンド不連続緩和層2(BDR層)は、当該実施形態のp型中間層20に相当する。しかしながら、特許文献2の図3に示す通り、Mg濃度はp型バンド不連続緩和層2(BDR層)において低下は観測されておらず、p型バンド不連続緩和層2(BDR層)に添加されるMgがp型キャップ層1へほとんど拡散していないと考えられる。特許文献2のp型キャップ層1の母体を構成する材料はGaAsであり、当該実施形態のp型コンタクト層21の母体を構成する材料はInGaAsである。すなわち、Mgが添加されるp型半導体層(第1半導体層)と、Cが添加されるp型半導体層(第2半導体層)との界面を考える場合に、p型半導体層それぞれの母体を構成する材料が異なると、Mgの拡散特性が異なることを意味している。当該比較例に係る半導体光素子におけるMg濃度の窪みは、特許文献2に開示される半導体レーザ素子では見出されておらず、今回、発明者らによって発見された新たな課題である。
図4は、当該実施形態に係る半導体光素子のMg濃度プロファイルを示す模式図である。図4に示す横軸及び縦軸は、図9と同様である。前述の通り、当該実施形態に係る半導体光素子において、p型上側中間層20Bの組成波長を1.30μmとしている。当該実施形態に係る半導体光素子のMg濃度が図4に実線で示されている。図4に示す破線については後述する。
図4に破線円で示す通り、当該実施形態に係る半導体光素子では、p型上側中間層20Bにおいて、界面付近のMg濃度の窪みが形成されていない。さらに、p型中間層20において、比較例と比べて、Mg濃度が上昇している。よって、当該実施形態に係る半導体光素子の素子抵抗は、比較例と比べて低減しており、当該実施形態に係るp型中間層20を配置することによる効果が確認される。これにより、当該実施形態に係る半導体光素子は、素子抵抗の低減と素子の特性向上の両方を実現している。
図5は、第1半導体層の組成波長λgと、Mg濃度の濃度差と、の関係を示す図である。図5の横軸は、p型上側中間層20B(第1半導体層)の組成波長λg(μm)を表しており、図5の縦軸は、p型コンタクト層21(第2半導体層)におけるMg濃度と、p型上側中間層20BにおけるMg濃度の最も低い値と、の濃度差(a.u.)を表している。ここで、Mg濃度の濃度差は、p型コンタクト層21(第2半導体層)におけるMg濃度に対する、p型上側中間層20BにおけるMg濃度の最も低い値、の相対値(a.u.)を表している。具体的には、組成波長1.3μmにおけるp型コンタクト層21におけるMg濃度とp型上側中間層の20BのMg濃度の最も低い値との差を基準(分母)とし、各組成波長における前記濃度差を分子として規格化した値である。p型上側中間層20Bの組成波長が異なる複数の半導体光素子を作製し、それぞれについて、p型上側中間層20B(第1半導体層)やp型コンタクト層21(第2半導体層)におけるMg濃度を観測している。なお、前述の通り、p型コンタクト層21におけるMg濃度は、(p型上側中間層20Bとの界面付近を除いて)ほぼ一様に分布しており、p型コンタクト層21におけるMg濃度とは、ほぼ一様に分布するz範囲内のMg濃度の平均値である。Mg濃度の濃度差(相対値)が負であるとは、p型上側中間層20BにおけるMg濃度の最低値が、p型コンタクト層21におけるMg濃度よりも低く、界面付近にMg濃度の窪みが観測されていることを表している。すなわち、p型上側中間層20BにおけるMg濃度の最低値と、p型コンタクト層21におけるMg濃度との差が、界面の窪みである。Mg濃度の濃度差(相対値)が0であるとは、p型上側中間層20BにおけるMg濃度の最低値が、p型コンタクト層21におけるMg濃度と等しく、窪みが観測されていないことを表している。Mg濃度の濃度差(相対値)が正であるとは、p型上側中間層20BにおけるMg濃度の最低値が、p型コンタクト層21におけるMg濃度よりも高く、図4に示す通り、p型コンタクト層21におけるMg濃度が、p型上側中間層20Bとの界面から積層方向上向きに沿って、ほぼ一様に分布する値まで降下することを表している。図5には、複数の半導体光素子のうち、代表的な3つの半導体光素子の観測値がシンボル(○)で示されている。図5に示す実線は、観測値から得られるMg濃度の相対値と組成波長λgとの関係である。図5に示す通り、第1半導体層において、第2半導体層との界面付近にMg濃度の窪みを生じないようにするためには、第1半導体層の組成波長λgを1.5μm以下とすればよい。なお、p型上側中間層20Bの組成波長λgは、p型クラッド層14の母体を構成するInPの組成波長より長く(バンドギャップが小さく)、p型コンタクト層21の母体を構成するInGaAsの組成波長より短い(バンドギャップが大きい)。それゆえ、図5に示す実線の左側の端が組成波長の下限としてInPと、右側の端が組成波長の上限としてInGaAsと、それぞれ示されている。
第1半導体層の組成波長λgを1.5μm以下とすることにより、Mg濃度の窪みを生じないように出来ることは、以下のメカニズムで説明可能であると考えられる。p型上側中間層20Bの母体を構成するInGaAsPは、組成波長λgが短いほど、Mgがp型キャリアとして活性化する最大濃度(飽和ホール濃度)が低く、Mgはより拡散しやすい傾向がある。よって、組成波長λgが短い(バンドギャップが大きい)と、p型上側中間層20Bからp型コンタクト層21へ、Mgの拡散性が高くなり、界面付近のMg濃度の窪みが生じなくなる。一方、組成波長λgが長い(バンドギャップが小さい)と、p型上側中間層20Bの層内での拡散性が低くなり、p型上側中間層20Bの下方から当該界面へ拡散してくるMgが、当該界面付近からp型コンタクト層21へ拡散していくMgより少なくなり、界面付近にMg濃度の窪みが生じる。その臨界値が1.5μmであることを発明者らが見出した。
図6は、第1半導体層の組成波長λgと、界面における価電子帯エネルギーの差ΔEvと、の関係を示す図である。図6の横軸は、図5と同様に、p型上側中間層20B(第1半導体層)の組成波長λg(μm)を表している。また、図6の縦軸は、p型上側中間層20B(第1半導体層)と、p型コンタクト層21(第2半導体層)と、の界面におけるステップ(eV)を表している。なお、ステップとは、前述の通り、界面における価電子帯エネルギーの差ΔEvである。前述の通り、界面におけるステップが大きくなると、正孔(ホール)の移動が抑制され、素子抵抗や素子電圧が上昇する等の問題が生じる。かかる問題を低減させる観点から、ステップ(ΔEv)は0.2eV以下が望ましく、第2半導体層とのステップを0.2eV以下とする第1半導体層の組成波長は1.15μm以上である。よって、第1半導体層の組成波長は1.15μm以上であるのが望ましい。以上、当該実施形態に係るp型上側中間層20B(第1半導体層)の組成波長について説明した。
[製造方法]
本発明に係る半導体光素子の製造方法の主な特徴は、活性層を形成する工程と、p側電極を形成する工程と、前記活性層と前記p側電極との間に、InGaAsP、InGaAsAl、又はInGaAsAlPのいずれかを材料とし、Mg又はBeがドーパントとして添加され、組成波長1.5μm以下となる、第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層と前記p側電極との間に、前記第1半導体層に接して配置されるよう、InGaAs又はInGaAsAlのいずれかを材料とし、Cがドーパントとして添加される、第2半導体層を形成する工程と、を備えることにある。以下、当該実施形態に係る半導体光素子の製造方法について説明する。
当該実施形態に係る半導体光素子は、DFBレーザ素子1であり、半導体層の成長方法は、有機金属気相成長(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法を用いている。キャリアガスに、水素を用いる。III族元素の原料に、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルガリウム(TEG)、及びトリメチルインジウム(TMI)を用いる。V族元素の原料に、アルシン(AsH)とフォスフィン(PH)を用いる。また、n型バッファー層12に添加するSiの原料に、ジシラン(Si)を用いる。p型クラッド層14及びp型中間層20に添加するMgの原料に、シクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を、p型コンタクト層21の不純物(ドーパント)の原料に、四臭化炭素(CBr)を、それぞれ用いる。添加するハロゲン原子含有ガスに、塩化メチル(CHCl)を用いる。埋め込み層25に添加するRuの有機金属原料に、ビスエチルシクロペンタジエニルルテニウムを用いる。なお、ここで、結晶成長法はMOVPE法としたが、これに限定されるものではなく、例えば、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、化学ビーム成長(CBE:Chemical Beam Epitaxy)法、又は有機金属分子線エピタキシー(MOMBE:Metal-Organic Molecular Beam Epitaxy)法のいずれを用いて半導体層を成長させてもよい。
InPからなるn型基板11上に、InPからなるn型バッファー層12を形成し、その後、InGaAsPからなるMQW層13、及び回折格子15の供給層を成長させる。通常の場合、保護のためにかかる回折格子15の供給層の上側に、InPからなるp型キャップ層を形成することが多い。公知の工程によって回折格子15を形成した後に、InPからなりMgが添加されるp型クラッド層14により、回折格子15を埋め込むよう、p型クラッド層14を成長させる。InGaAsPからなるp型下側中間層20A、InGaAsPからなるp型上側中間層20B、及びInGaAsからなるp型コンタクト層21を、順に形成する。前述の通り、p型下側中間層20Aの組成波長が1.05μmに、p型上側中間層20Bの組成波長が1.30μmに、それぞれなるよう、InGaAsPの組成を調整する。適切な組成波長のp型中間層20を配置することにより、p型上側中間層20Bとp型コンタクト層21の界面近傍に、Mg濃度の窪みは生じることなく、p型中間層20におけるMg濃度の低下も抑制されている。かかる半導体多層の上表面(p型コンタクト層21の上表面)のうち、光導波路の上方となる領域にメサストライプマスクを形成し、光導波路の両側となる領域をエッチングにより除去して、メサ構造を形成する。さらに、適切な前処理を行い、InPからなりRuが添加される埋め込み層25にて、メサ構造の埋め込み成長を施す。その際、CHClを同時に添加している。これから後の工程は、公知の素子作製方法を用いて、パッシベーション膜30を形成し、p側電極31及びn側電極32の形成を施し、DFBレーザ素子1が完成する。
DFBレーザ素子1のしきい値電流は85℃において15mAであり、DFBレーザ素子1は、20mWを超える高い光出力特性を示す。また、素子抵抗が低く、変調特性も良好である。さらに長時間動作でも素子特性は劣化せず高い素子信頼性を示している。また、素子の作製歩留まりも高い。
近年のインターネット人口の爆発的増大により、情報伝送の急速な高速化および大容量化が求められており、今後も光通信が重要な役割を果たすと考えられている。光通信に用いられる光源には、主として半導体レーザ素子が用いられている。伝送距離10km程度までの短距離用途向けには、半導体レーザを直接電気信号で駆動する直接変調方式が用いられている。本方式は、単純な構成でモジュールを実現できるため消費電力が少なく、部品点数も少なくできるため低コスト化が可能である。一方、伝送距離10kmを超えるような長距離の光通信向けには、半導体レーザを直接変調することのみでは対応できないため、光変調器を集積した電界吸収型(EA:Electro-absorption)変調器集積型半導体レーザが用いられている。
光通信の大容量化のためには、半導体レーザ素子の通信速度を現在よりもさらに高速化する必要がある。そのためには、光通信用素子として、Znを用いない(Znフリー)半導体光素子が望まれる。特に、p型ドーパントとしてZnを用いるDFBレーザ素子がBH構造を有する場合に、p型半導体層に添加されたZnがメサ構造の両側に埋めこまれる埋め込み層へ拡散すると、絶縁性を低下させ、埋め込み層に電流のリークパスが出来てしまう。それゆえ、MQW層に流れる電流成分が低下し、反対に、リーク電流成分が増大してしまう。これに対して、当該実施形態に係るDFBレーザ素子1は、Znと比べて拡散性が抑制されるCやMgをp型ドーパントとして用いているので、素子抵抗の低下と、素子特性の向上とを、両立することが出来ている。それゆえ、当該実施形態に係る半導体光素子は、光通信用素子として最適である。
なお、当該実施形態に係る半導体光素子の製造方法において、p型コンタクト層21に添加されるドーパントは、Cのみである。言い換えれば、Mgのドーピング濃度は0である。p型中間層20を形成後、p型コンタクト層21(第2半導体層)を形成する工程において、p型上側中間層20B(第1半導体層)に含まれるMgがp型コンタクト層21へ拡散するので、図4に実線で示す通り、p型コンタクト層21には、1×1017cm−3程度のMgが含まれている。当該実施形態では、p型コンタクト層21を形成する工程において、Mgをドーパントとして添加していない。かかる場合であっても、当該実施形態に係る半導体光素子の製造方法によって、Mgの第1半導体層と第2半導体層との界面付近のMg濃度の窪みが抑制されている。
なお、当該実施形態において、p型クラッド層14やp型中間層20に添加するp型ドーパントは、Mgであるとしたが、Beであってもよく、MgとBeの両方であってもよい。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る半導体光素子は、p型コンタクト層21に添加されるドーパントがCのみならず、さらに、Mgがドーパントとして添加される点を除いて、第1の実施形態に係る半導体光素子と同じ構造をしている。p型コンタクト層21を形成する工程において、添加するCのドーピング濃度を1×1019cm−3以上とし、形成後にp型コンタクト層21に含まれるC濃度を1×1019cm−3以上としている。当該実施形態では、かかる工程において、添加するMgのドーピング濃度を1.5×1017cm−3としている。このように、添加するMgを適当なドーピング濃度に設定して、形成後にp型コンタクト層21に含まれるMg濃度を2×1017cm−3としている。
当該実施形態に係る半導体光素子のMg濃度プロファイルが、図4に破線で示されている。図4に示す通り、当該実施形態に係る半導体光素子のMg濃度プロファイルは、p型コンタクト層21において、p型上側中間層20Bとの界面付近を除き、2×1017cm−3のMg濃度でほぼ一様に分布している。また、p型中間層20のほぼ全域に亘り、Mg濃度が1×1018cm−3となっている。p型中間層20のMg濃度をほぼ全域に亘り1×1018cm−3とすることにより、さらなる抵抗低減効果が得られ、本発明は顕著な効果を奏している。このように、p型コンタクト層21にMgをドーパントとして添加することにより、p型中間層20からp型コンタクト層21へMgの拡散を抑制することが出来、p型中間層20のMg濃度を高めることが出来ている。
型コンタクト層21に添加するMgのドーピング濃度の上限は、6×1018cm−3とするのが望ましい。かかるドーピング濃度は、p型中間層20へ添加するMg濃度の損失設計や、p型コンタクト層21からp型中間層20へのMgの逆拡散を抑制する観点から決定される。すなわち、p型コンタクト層21におけるMg濃度は、2×1017cm−3以上6×1018cm−3以下が望ましい。なお、p型コンタクト層21にMgを添加する方法は、直接Mgを添加する方法や拡散を用いて間接的に施す方法等が考えられるが、いずれの方法を用いても良い。これにより、p型コンタクト層21に所望のMg濃度を実現することが出来れば、p型中間層20により高いMg濃度を保ちつつ、p型中間層20からp型コンタクト層21へのMgの拡散が停止した準安定状態を実現することができる。
なお、当該実施形態において、p型コンタクト層21に添加するp型ドーパントは、Cに加えてMgであるとしたが、CとBeであってもよく、CとMgとBeであってもよい。p型コンタクト層21に添加するp型ドーパントがCとBeである場合は、 Be濃度は、2×1017cm−3以上6×1018cm−3以下が望ましく、p型ドーパントがCとMgとBeである場合は、Mg濃度とBe濃度の合計が、2×1017cm−3以上6×1018cm−3以下が望ましい。なお、Mg濃度とBe濃度の合計とは、p型ドーパントがCとMgである場合は、Mg濃度のみ(Be濃度は実質的に0)であり、p型ドーパントがCとBeである場合は、Be濃度のみ(Mg濃度は実質的に0)である。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る半導体光素子は、p型中間層20が3層以上の多層構造を有していること以外は、第1又は第2の実施形態に係る半導体光素子と同じ構造をしている。すなわち、第1又は第2の実施形態に係る半導体光素子では、p型中間層20は2層構造を有しているが、当該実施形態に係る半導体光素子では、p型中間層20はN層(層数N)の多層構造を有している(N≧3の自然数)。第1(第2)の実施形態と第3の実施形態とを合わせると、p型上側中間層20Bが第1半導体層であるので、p型クラッド層14とp型上側中間層20Bとの間に配置される、層数1以上の他のp型中間層が、基板上にさらに形成される。
N層の中間層の価電子帯エネルギーは、ともに、p型コンタクト層21(第2半導体層)の価電子帯エネルギーと、p型クラッド層14の価電子帯エネルギーの間にある。さらに、N層の中間層の価電子帯エネルギーは、p型コンタクト層21側(上側)からp型クラッド層14(下側)にかけて、順に高くなっているのが望ましい。界面におけるステップ(価電子帯エネルギーの差ΔEv)を小さくすることが出来、ノッチを抑制することが出来る。
また、N層の中間層の飽和ホール濃度は、p型コンタクト層21側(上側)からp型クラッド層14(下側)にかけて、順に低くなっているのが望ましい。Mgがp型キャリアとして活性化する最大濃度(飽和ホール濃度)が低いほど、Mgはより拡散しやすいので、N層の中間層のうち最上層(第1半導体層)において、p型コンタクト層21(第2半導体層)との界面付近にMg濃度の窪みが発生するのを抑制することが出来る。N層の中間層の価電子帯エネルギーが上側から下側にかけて順に高くなり、N層の中間層の飽和ホール濃度は上側から下側にかけて順に低くなっているのが、さらに望ましい。p型中間層の母体を構成する材料がInGaAsPである場合、第1半導体層の組成波長を上記要件とした上で、N層の中間層の組成波長を順に短くしていくことにより、かかる要件を実現することが出来る。
ここでは、p型中間層20は多層構造としているが、1層構造であってもよい。また、p型コンタクト層21が多層構造を有する場合であっても、第1半導体層と接する層(多層構造を有するp型コンタクト層21の最下層)にCがp型ドーパントとして添加されていればよい。
なお、本明細書における“第2半導体層が第1半導体層に接して配置されている”とは10nm未満の膜厚で、組成波長が1.5μmより長い半導体層が間に配置される場合も含む。例えば、上記実施形態では、p型コンタクト層21とp型中間層20の間に、組成波長が1.5μmより長い半導体層(膜厚10nm未満)が配置される場合も含む。このような薄膜条件であれば、かかる半導体層において、実質的に中間層としての機能が得られず、その結果、本発明と同様の効果により、第1半導体層と第2半導体層に渡って濃度の窪みのないプロファイルが得られるからである。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る半導体光素子は、EA変調器集積型半導体レーザ素子2である。EA変調器集積型半導体レーザ素子2は、変調器部3、レーザ部4、及び導波路部5を備えるが、変調器部3及びレーザ部4のp型半導体層の構造は、第1乃至第3いずれかの実施形態に係る半導体光素子のp型半導体層の構造と同じである。
図7は、当該実施形態に係る半導体光素子主要部の斜視図である。図7に示す半導体光素子は、図1と同様に、EA変調器集積型半導体レーザ素子2の構造を示すために、EA変調器集積型半導体レーザ素子2の主要部が示されており、光導波路を進行する光の光軸と積層方向を含む断面と、当該光軸に垂直な断面とが、さらに示されている。EA変調器集積型半導体レーザ素子2は、BH構造を有しているが、これに限定されることはない。
当該実施形態に係る半導体光素子において、半導体層の成長方法は、第1の実施形態と同様に、MOVPE法を用いているが、これに限定されるものではない。当該実施形態では、第2の実施形態と同様に、p型コンタクト層21に添加するp型ドーパントは、CとMgであるので、p型コンタクト層21に添加するMgの原料に、CpMgを用いている。
InPからなるn型基板11上に、InPからなるn型バッファー層12を形成し、その後、InGaAlAsからなる変調器部MQW層13Aを成長させる。通常の場合、保護のためにかかる変調器部MQW層13Aの上側に、InPからなるp型キャップ層を形成する。次に、ウエハの所望の領域(変調器部3となる領域)にマスクパターンを形成し、これをエッチングマスクとして、p型キャップ層及び変調器部MQW層13Aを除去する。さらに、ウエハを成長炉内に導入し、InGaAlAsからなるレーザ部MQW層13B、及びInPからなるp型キャップ層をバットジョイント(BJ:Butt-joint)再成長させる。
次に、前述のマスクパターン(マスク)を除去した後、変調器部MQW層13A及びレーザ部MQW層13Bに対して、所望の領域(変調器部3となる領域及びレーザ部4となる領域)にBJマスクを形成し、これをエッチングマスクとして、エッチングにより、変調器部MQW層13A及びレーザ部MQW13Bとp型キャップ層とを除去する。さらに、InGaAsPからなる導波路層35、及びInPからなるp型キャップ層をBJ再成長させる。ここでは、変調器部3及びレーザ部4それぞれとの界面(2箇所)を同時にBJ接続している。ウエハを成長炉から取り出した後、BJマスクを除去し、レーザ部4となる領域に、公知の工程によって回折格子15を形成している。
その後、ウエハを炉体内に導入し、ウエハの上表面全域に、InPからなるp型クラッド層14、InGaAsPからなるp型中間層20(第1半導体層)、及びInGaAsからなるp型コンタクト層21(第2半導体層)を、順に形成する。ここで、p型クラッド層14及びp型中間層20には、Mgがドーパントとして添加される。p型中間層20は1層構造を有しており、組成波長を1.2μmとしている。p型コンタクト層21は、C及びMgがドーパントとして添加される。p型中間層20を適切な組成波長としており、p型中間層20及びp型コンタクト層21にそれぞれ適切なドーピング濃度でMgを添加することにより、p型中間層20とp型コンタクト層21の界面近傍にMg濃度の窪みは生じることなく、p型中間層20の全域に亘って1×1018cm−3以上の濃度を得ることが出来ている。
かかる半導体多層の上表面(p型コンタクト層21の上表面)に、光導波路の上方となる領域にメサストライプマスクを形成し、光導波路の両側となる領域をエッチングにより除去して、メサ構造を形成する。さらに、適切な前処理を行い、InPからなりRuが添加される埋め込み層25にて、メサ構造を埋め込み成長を施す。その際、CHClを同時に添加している。また、出射光の反射による戻り光を防ぐため、変調器部3側の光の出射端は、埋め込み層25により埋めこまれており、いわゆる窓構造としている。導波路部5となる領域に形成されるp型中間層20及びp型コンタクト層21を除去し、変調器部3とレーザ部4とを素子分離する。これから後の工程は、公知の素子作製方法を用いて、パッシベーション膜30を形成し、変調器部3のp側電極31A及びレーザ部4のp側電極31Bを形成し、さらに、n側電極32を形成し、素子として完成する。
EA変調器集積型半導体レーザ素子2の素子抵抗は低く、しきい値電流は85℃において15mAであり、EA変調器集積型半導体レーザ素子2は、−5℃から85℃の範囲で冷却器無しで10GHzの良好な変調特性を示し、また、長時間動作でも素子特性は劣化せず高い素子信頼性を示した。また、素子の作製歩留まりも高い。なお、変調器部3やレーザ部4のMQW層の母体を構成する材料として、InGaAlAsのみでなく、InGaAsPや、それにSbやNを添加した材料を用いてもよい。
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る半導体光素子は、レンズ集積型半導体レーザ素子6であり、裏面出射型レーザである。レンズ集積型半導体レーザ素子6は、プレーナBH構造を有するが、p型半導体層の構造は、第1乃至第3いずれかの実施形態に係る半導体光素子のp型半導体層の構造と同じである。
図8は、当該実施形態に係る半導体光素子主要部の斜視図である。図8に示す半導体光素子は、図1と同様に、レンズ集積型半導体レーザ素子6の構造を示すために、レンズ集積型半導体レーザ素子6の主要部が示されており、光導波路を進行する光の光軸と積層方向を含む断面と、当該光軸に垂直な断面とが、さらに示されている。当該実施形態に係る半導体光素子において、半導体層の成長方法は、第1の実施形態と同様に、MOVPE法を用いているが、これに限定されるものではない。
InPからなるn型基板11上に、InPからなるn型バッファー層12、InGaAlAsからなるMQW層13、及び回折格子15の供給層を成長させる。通常の場合、最後に、InPからなるp型キャップ層を形成する。公知の工程によってp型クラッド層14(の下部)の上表面に回折格子15を形成した後に、回折格子15を埋め込むよう、InPからなる薄いp型クラッド層14(の下部)、及びInGaAsPからなるp型キャップ層を成長させる。かかる半導体多層の上表面のうち、光導波路の上方となる領域にメサストライプマスクを形成し、光導波路の両側となる領域をエッチングにより除去して、メサ構造を形成する。さらに、適切な前処理を行い、InPからなりRuが添加される埋め込み層25にて、メサ構造の埋め込み成長を施す。その際、CHClを同時に添加している。
次に、メサストライプマスクを除去した後、適切な前処理を行い、p型キャップ層を除去して、InPからなりMgが添加されるp型クラッド層14(の上部)を形成する。その際、埋め込み層25の埋め込み成長にて形成される結晶面の凹凸を平坦化する条件にて、p型クラッド層14の再成長を行っている。さらに、連続的に、p型中間層20、及びInGaAsからなりCとMgが添加されるp+型コンタクト層21を、順に形成する。ここで、p型中間層20は2層構造を有しており、2層構造とは、InGaAsPからなりMgが添加されるp型下側中間層20A(図示せず)と、InGaAsPからなりMgが添加されるp型上側中間層20B(図示せず)である。p型下側中間層20Aの組成波長は1.1μmであり、p型上側中間層20Bの組成波長は1.4μmである。p型コンタクト層21を形成する際には、Cに加えてMgを添加し、p型コンタクト層21に含まれるMg濃度が5×1017cm−3となるようにしている。p型中間層20を適切な組成波長とし、p型中間層20及びp型コンタクト層21それぞれに適切なドーピング濃度でMgを添加することにより、p型中間層20の全域に亘って1×1018cm−3以上の濃度を得ることが出来ている。これから後の工程は、公知の素子作製方法を用いて、
所定の場所に135°の角度を有する反射鏡41、n型基板11の裏面に出射光を収束させるための裏面レンズ42を形成し、さらに、p側電極31を上面に、n側電極32を裏面に、それぞれ形成し、素子として完成する。
レンズ集積型半導体レーザ素子6の素子抵抗は2Ωと低く、しきい値電流は85℃において10mAと低い値となっている。また、冷却器無しで10GHzの良好な変調特性を示し、長時間動作でも素子特性は劣化せず高い素子信頼性を示した。また、素子の作製歩留まりも高い。
以上、本発明の実施形態に係る半導体光素子、及びその製造方法について説明した。本発明に係る半導体光素子は、上記実施形態に係る半導体光素子に限定されることはなく、1対のp型半導体層を活性層とp側電極との間に配置される半導体光素子に広く適用することが出来る。上記実施形態では、第1半導体層の母体を構成する材料にInGaAsPを用いているが、これに限定されることはなく、InGaAsAl又はInGaAsAlPであってもよい。第1半導体層に添加されるドーパントとして、Mgを用いているが、これに限定されることはなく、Beであってもよいし、MgとBeの両方であってもよい。また、Mg又は(及び)Beと、他のドーパントと、の組み合わせであってもよい。第2半導体層の母体を構成する材料にInGaAsを用いているが、所望のC濃度が得られるのであればこれに限定されることはなく、InGaAsAlであってもよいし、InGaAsP又はInGaAlAsPであってもよい。本発明は、半導体レーザ素子における発光部(レーザ部)のみならず、本発明に係る1対の半導体層を含む半導体多層構造を有するのであれば、変調器や導波路、受光素子等の他の半導体光素子にも本発明を広く適用することが出来る。また、同様の半導体多層構造を有する電子デバイス等においても、本発明を適用することが出来る。
1 DFBレーザ素子、2 EA変調器集積型半導体レーザ素子、3 変調器部、4 レーザ部、5 導波路部、6 レンズ集積型半導体レーザ素子、11 n型基板、12 n型バッファー層、13 MQW層、13A 変調器部MQW層、13B レーザ部MQW層、14 p型クラッド層、15 回折格子、20 p型中間層、20A p型下側中間層、20B p型上側中間層、21 p型コンタクト層、25 埋め込み層、30 パッシベーション膜、31,31A,31B p型電極、32 n側電極、35 導波路層、41 反射鏡、42 裏面レンズ。

Claims (9)

  1. 活性層と、
    p側電極と、
    前記活性層と前記p側電極との間に配置され、InGaAsPを材料とし、Mg又はBeがドーパントとして添加され、組成波長が1.5μm以下となる、第1半導体層と、
    前記第1半導体層と前記p側電極との間に、前記第1半導体層に接して配置され、InGaAsを材料とし、Cのみがドーパントとして添加される、第2半導体層と、
    が、基板上に形成される半導体光素子。
  2. 請求項1に記載の半導体光素子であって、
    前記第1半導体層の組成波長は1.15μm以上である、
    ことを特徴とする、半導体光素子。
  3. 請求項1又は2に記載の半導体光素子であって、
    前記活性層と前記第1半導体層との間に配置される、p型クラッド層が、基板上にさらに形成され、
    前記第1半導体層がp型中間層であり、
    前記第2半導体層がp型コンタクト層である、
    ことを特徴とする、半導体光素子。
  4. 請求項3に記載の半導体光素子であって、
    前記第1半導体層の価電子帯のエネルギーは、前記第2半導体層の価電子帯エネルギーと、前記p型クラッド層の価電子帯のエネルギーとの間にある、
    ことを特徴とする、半導体光素子。
  5. 請求項3又は4に記載の半導体光素子であって、
    前記p型クラッド層と前記第1半導体層との間に配置される、層数1以上の他のp型中間層が、基板上にさらに形成される、半導体光素子。
  6. 請求項5に記載の半導体光素子であって、
    前記第1半導体層の価電子帯エネルギー、及び、前記層数1以上の他のp型中間層それぞれの価電子帯エネルギーは、ともに、前記第2半導体層の価電子帯エネルギーと、前記p型クラッド層の価電子帯エネルギーと、の間にあり、前記第2半導体層側から前記p型クラッド層側にかけて、順に高くなっている、
    ことを特徴とする、半導体光素子。
  7. 請求項5又は6に記載の半導体光素子であって、
    前記第2半導体層側から前記p型クラッド層側にかけて、順に、各中間層の飽和ホール濃度が低くなっている、
    ことを特徴とする、半導体光素子。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体光素子であって、
    前記第2半導体層に含まれるC濃度が1×1019cm−3以上である、
    ことを特徴とする、半導体光素子。
  9. 活性層を形成する工程と、
    p側電極を形成する工程と、
    前記活性層と前記p側電極との間に、InGaAsPを材料とし、Mg又はBeがドーパントとして添加され、組成波長1.5μm以下となる、第1半導体層を形成する工程と、
    前記第1半導体層と前記p側電極との間に、前記第1半導体層に接して配置されるよう、InGaAsを材料とし、Cのみがドーパントとして添加される、第2半導体層を形成する工程と、
    を備える、半導体光素子の製造方法。
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