JP2021032923A - 光学素子及び光学装置 - Google Patents

光学素子及び光学装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021032923A
JP2021032923A JP2019149299A JP2019149299A JP2021032923A JP 2021032923 A JP2021032923 A JP 2021032923A JP 2019149299 A JP2019149299 A JP 2019149299A JP 2019149299 A JP2019149299 A JP 2019149299A JP 2021032923 A JP2021032923 A JP 2021032923A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
colored layer
optical element
lens
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019149299A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7385334B2 (ja
Inventor
中村 俊樹
Toshiki Nakamura
俊樹 中村
江口 勝
Masaru Eguchi
勝 江口
高窪 豊
Yutaka Takakubo
豊 高窪
義剛 丹野
Yoshitake Tanno
義剛 丹野
奈緒美 松本
Naomi Matsumoto
奈緒美 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2019149299A priority Critical patent/JP7385334B2/ja
Priority to US16/991,411 priority patent/US11656456B2/en
Priority to TW109127713A priority patent/TW202109091A/zh
Priority to CN202010817223.2A priority patent/CN112462453A/zh
Publication of JP2021032923A publication Critical patent/JP2021032923A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7385334B2 publication Critical patent/JP7385334B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/22Absorbing filters
    • G02B5/226Glass filters
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B27/00Optical systems or apparatus not provided for by any of the groups G02B1/00 - G02B26/00, G02B30/00
    • G02B27/0018Optical systems or apparatus not provided for by any of the groups G02B1/00 - G02B26/00, G02B30/00 with means for preventing ghost images
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B3/00Simple or compound lenses
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/003Light absorbing elements
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/04Prisms

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Lens Barrels (AREA)

Abstract

【課題】迷光の発生を抑えて十分な遮光特性を得ることができる光学素子及び光学装置を提供する。【解決手段】ガラス本体を有する光学素子であって、ガラス本体の内部かつ光学素子の有効径外に位置する着色層を有する、ことを特徴とする光学素子。「ガラス本体の内部」とは、文言通りのガラス本体の内部の他、ガラス本体の表面を含む概念で使用する。すなわち、着色層は、ガラス本体の表面から内部に亘って位置する態様、ガラス本体の表面には位置せずにガラス本体の内部に位置する態様が可能である。【選択図】図11

Description

本発明は、光学素子及び光学装置に関する。より具体的に、本発明は、着色ガラスにより機能性を付加した光学素子及び部分的に着色層を有する光学素子、並びに当該光学素子を用いた光学装置に関する。
光学系及び光学装置においては、光学素子の有効径外の部分に入射した光が透過や内面反射を起こして受光素子まで到達し、ゴーストやフレア等の迷光となることがある。このため、光学系及び光学装置に用いる光学素子(例えば、レンズ、プリズム、光学窓、カバーガラス等)には、様々な迷光対策が施されている。例えば、従来の迷光対策として、内面反射の原因となる部位や迷光の経路となる部位をスリ面とすること、墨塗りを施すこと、遮光シートを挿入すること等が知られている。
特許文献1には、酸化ビスマスを含むガラス材料で形成された光学素子が開示されている。この光学素子は、光学有効領域外のガラス表面に、ガラス材料中の酸化ビスマスが還元されてなる金属ビスマスを含む変質層が形成されている。光学素子は、具体的に、型準備工程と成形工程によって製造される。型準備工程では、光学素子の形状をガラス材料に転写する形状の成形面を有し、成形面のうち光学素子の光学有効領域外の表面形状を転写する部分の少なくとも表面に、ビスマスよりもイオン化傾向の大きい元素を含む還元層が設けられた光学素子成形用型を準備する。成形工程では、光学素子成形用型を非酸化雰囲気に配置し、加熱されたガラス材料を光学素子成形用型によってプレスして、ガラス材料に光学素子の形状を転写するとともに、還元層と密着するガラス材料の表面に金属ビスマスを含む変質層を形成する。
特許第5792026号公報
しかしながら、迷光対策としてスリ面を設ける場合、光の正反射成分は減少するが、散乱光が発生し、画面全体にモヤが掛かるようなフレアの発生源となってしまう。
迷光対策として墨塗りを施す場合、鏡面部分への固着が難しいため、墨塗りが可能な部位が限られてしまう。また、十分な遮光特性を得るためには、墨を厚塗りする必要があるが、墨厚さのムラが発生しやすく、外径やコパ厚等の寸法精度がばらついてしまう。さらに、墨塗りの境界部分(端面)が厚さを持つことになるので、墨塗りの端面を起因とする迷光が発生してしまう。一方、墨を薄く塗った場合は、迷光が墨を透過して十分な遮光特性が得られなくなってしまう。
迷光対策として遮光シートを挿入する場合、遮光シートが厚すぎると、開口端面を起因とする迷光が発生してしまう。このため、できるだけ薄い遮光シートを挿入する必要があるが、遮光シートが薄すぎると、鏡枠への挿入の際に、遮光シートがよれて目標位置への配置が難しくなったり、ピンセット等で把持したときに折目がついてしまったりして、ハンドリングが難しくなってしまう。また、鏡枠に対して遮光シートを挟んで光学素子を固定することになるので、鏡枠の内部で光学素子の倒れが発生しやすくなるなど、組立精度の悪化に繋がってしまう。
上述した特許文献1の金属ビスマスを含む変質層は、厳密には、光学素子のガラス表面に表出した凹凸を含んでおり、元々の光学素子(ガラス材料)とは別の構成要素と捉えることができる。また、特許文献1の金属ビスマスを含む変質層の形成は、ガラス表面を粗面化することで墨などの光吸収性塗料の密着性を向上させることを目的としており、金属ビスマス粒子が光を吸収する特性はあるものの、フレア・ゴーストを防止するには光吸収塗料を塗布する必要があり、金属ビスマスを含む変質層のみでは、十分な遮光特性を有しているとは言えない。また、特許文献1の技術は、ビスマスよりもイオン化傾向の大きい元素を含む還元層が設けられた光学素子成形用型により、ガラス材料をプレス成形する工程が必要であるため、ガラス母材を切削、研磨して製造する光学素子に対しては、金属ビスマスを含む変質層を形成できないという問題がある。
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、迷光の発生を抑えて十分な遮光特性を得ることができる光学素子及び光学装置を提供することを目的とする。
本実施形態の光学素子は、ガラス本体を有する光学素子であって、前記ガラス本体の内部かつ前記光学素子の有効径外に位置する着色層を有する、ことを特徴としている。
本実施形態において、「ガラス本体の内部」とは、文言通りのガラス本体の内部の他、ガラス本体の表面を含む概念で使用する。すなわち、着色層は、ガラス本体の表面から内部に亘って位置する態様、ガラス本体の表面には位置せずにガラス本体の内部に位置する態様が可能である。
前記着色層の前記ガラス本体の表面から内部に亘る厚みは、1〜300μmであることができる。
前記着色層は、波長750nmにおける光学濃度ODが2.0以上であることができる。
前記着色層は、前記ガラス本体と同一の組成からなることができる。ただし、ガラス本体と着色層とでは、ガラス成分(カチオン)の価数が異なる場合がある。
前記光学素子は、反射防止コート面と、非反射防止コート面とを有し、前記着色層は、前記非反射防止コート面に位置することができる。
前記光学素子は、プリズムを有し、前記着色層は、前記プリズムの入射面と、出射面と、反射面と、側面と、これら各面のいずれかの境界にある面取面との少なくとも1つに位置することができる。
前記光学素子は、レンズを有し、前記着色層は、前記レンズのコバ面と、ランド面との少なくとも1つに位置することができる。
前記光学素子は、2枚のレンズを有し、前記2枚のレンズは、各レンズの有効径外のランド面が互いに当て付けられ、前記着色層は、前記2枚のレンズの互いに当て付けられるランド面に位置することができる。
前記光学素子は、レンズを有し、前記着色層は、前記レンズの一方の面と他方の面の有効径を規定することができる。
前記光学素子は、レンズを有し、前記着色層は、前記レンズの一方の面と他方の面の有効径外の互いに異なる着色領域に位置することができる。
前記光学素子は、複数のレンズ面を有し、前記着色層は、前記複数のレンズ面の有効径外に位置して前記複数のレンズ面を区画することができる。
前記光学素子は、発光部からの光が出射する出射窓と、受光部への光が入射する入射窓とを有し、前記着色層は、前記出射窓と前記入射窓の有効径外に位置して前記出射窓と前記入射窓を区画することができる。
前記光学素子は、平行平板と、カバーガラスと、光学フィルタと、ビームスプリッタとの少なくとも1つを有し、前記着色層は、前記平行平板と、前記カバーガラスと、前記光学フィルタと、前記ビームスプリッタとの少なくとも1つの有効径外に位置することができる。
本実施形態の光学装置は、上述したいずれかの光学素子を有する。
本発明によれば、迷光の発生を抑えて十分な遮光特性を得ることができる光学素子及び光学装置を提供することができる。
本発明の実施態様の一例を示す模式図である。 本発明の実施態様の一例を示す模式図である。 本発明の実施態様の一例を示す模式図である。 図3−1の実施態様を説明するための模式図である。 本発明の実施態様の一例を示す模式図である。 実施例1−1におけるサンプルと、参考のための物差しを示す画像である。 実施例1−2におけるサンプルと、参考のための物差しを示す画像である。 実施例1−1におけるサンプルの、着色層を有する部分の透過率を示すグラフである。 実施例1−2におけるサンプルの、着色層を有する部分の透過率を示すグラフである。 実施例1−3におけるサンプルの、着色層を有する部分の透過率を示すグラフである。 実施例2−1におけるサンプルの、着色層を有する部分の透過率を、金属膜の膜厚別に示すグラフである。 実施例2−2におけるサンプルの、着色層を有する部分の透過率を、金属膜の膜厚別に示すグラフである。 実施例2−1および2−2におけるサンプルの、金属膜の膜厚とODとの関係を熱処理時間別に示すグラフである。 実施例5におけるサンプルと、参考のための物差しを示す画像である。 光学素子としてのプリズムの構成の一例を示す図である。 第1の迷光経路とそれに対応する着色層の配置例を示す図である。 第2の迷光経路とそれに対応する着色層の配置例を示す図である。 第3の迷光経路とそれに対応する着色層の配置例を示す図である。 光学素子としてのレンズの構成の一例を示す図である。 レンズの有効径外に着色層を設ける場合の一例を示す図である。 光軸方向に隣接する2枚のレンズの有効径外に着色層を設ける場合の一例を示す図である。 着色層が絞りとして機能する場合の一例を示す図である。 レンズの両面で着色層の着色領域を互いに異ならせる場合の一例を示す図である。 光学素子としてのレンズアレイやレンチキュラーレンズに着色層を設けた場合の一例を示す図である。 光学素子の非反射防止コート面に着色層を設けた場合の一例を示す図である。 光学素子を光学窓に適用した第1の例を示す図である。 光学素子を光学窓に適用した第2の例を示す図である。
≪原理説明≫
本実施形態の光学素子は、ガラス本体を有する光学素子であって、ガラス本体の内部かつ光学素子の有効径外に位置する着色層を有するものである。
本実施形態において、「ガラス本体の内部」とは、文言通りのガラス本体の内部の他、ガラス本体の表面を含む概念で使用する。すなわち、着色層は、ガラス本体の表面から内部に亘って位置する態様、ガラス本体の表面には位置せずにガラス本体の内部に位置する態様が可能である。いずれの態様であっても、着色層は、ガラス本体の内部に層状に存在して、ガラス本体を通過する光を吸収する結果、迷光の発生を抑えて十分な遮光特性を得ることが可能になる。
先ず、図1〜図9を参照して、ガラス本体の内部にどのように着色層を形成するのか、着色層の構造や作用効果等、その原理説明を行う。
本実施形態では、カチオン%表示での各成分の含有比率に基づいて本実施形態に係るガラスを説明する。したがって、以下、各含有量は特記しない限り、「%」は「カチオン%」を意味する。
カチオン%表示とは、全てのカチオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率をいう。また、合計含有量とは、複数種のカチオン成分の含有量(含有量が0%である場合も含む)の合計量をいう。また、カチオン比とは、カチオン%表示において、カチオン成分同士の含有量(複数種のカチオン成分の合計含有量も含む)の割合(比)をいう。
ガラス成分の含有量は、公知の方法、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)等の方法で定量できる。また、本明細書および本実施形態において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、該成分が不可避的不純物レベルで含まれることを許容する。
また、本明細書では、屈折率は、特記しない限り、d線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
本実施形態に係るガラス(ガラス本体)は、着色層を有する。着色層は、ガラスが着色された部分であり、好ましくはガラス表面から内に向かって層状に存在する。なお、着色層は、ガラス表面には存在せずに、ガラス内部だけに層状に存在してもよい。
着色層はガラスに入射する光に関し透過率の小さい部分である。したがって、本実施形態に係るガラスにおいて、ガラスに入射する光のうち、着色層に入射する光は一部または全部が吸収され、着色層に入射しない光に比べて透過光の強度が減衰する。すなわち、本実施形態に係るガラスは、透過率が小さい部分と大きい部分を有することができる。
本実施形態に係るガラスでは、着色層は、研削または研磨により除去できる。本実施形態に係るガラスでは、着色層を除去した後のガラスの透過率は、着色層を除去する前の透過率よりも大きくなる。
本実施形態では、例えば、向かい合う2つの面を有するガラスの場合、着色層2は、図1のようにガラス本体1の一方の面側のみに設けてもよく、図2のように両方の面側に設けてもよい。図1の例では、ガラス本体1の上側の面に左右方向に離間した2つの着色層2が設けられている。図2の例では、ガラス本体1の上側と下側の面に左右方向に離間した各2つ(合計4つ)の着色層2が設けられている。
また、図3−1に示すように、ガラス表面に選択的に着色層を形成することにより、着色層がある部分で光を遮り、着色層がない部分で光を透過することができる。そして、例えば、着色層を特定のパターン状に形成することにより、ガラスにスリットや絞り、ピンホールなどの機能を付与することができる。
図3−1において、光の経路Aでは途中に着色層2がないため、光は一方の面から他方の面に通過する。経路Bでは途中に着色層2があるため、光は着色層2で吸収され、また、着色層2は非着色部と同一の組成であるためガラス内部に屈折率差が存在せず、着色層2と非着色部の境で光が反射することもない。この場合、光の透過については、図3−2のように着色層2をガラスの厚み方向全体に設けた場合と同じ効果が得られる。なお、周知のように、ガラスの表面ではガラスの屈折率、およびガラスと接する媒質(例えば空気)の屈折率により入射角と屈折角との関係が定まる。この関係を考慮してガラス表面の着色層を形成する領域、スリットの幅、絞りの直径などを決めればよい。
後記するように本実施形態に係るガラスは光学素子に使用することができる。光学素子に使用する観点からは、本実施形態に係るガラスが光学ガラスであることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、着色層と非着色部とでは、ガラス成分組成は同じである。ただし、着色層と非着色部とでは、ガラス成分(カチオン)の価数が異なる場合がある。
本実施形態に係るガラス(光学素子)では、着色層の屈折率はガラス本体と同じ屈折率であるため、ガラス本体の外側から着色層に入射する光は、ガラス本体の外側から非着色部に入射する光と同様に、ガラスの表面でガラスの屈折率、及びガラスと接する媒質(例えば空気)の屈折率により、入射角に依存した反射特性(フレネル反射)を示す。このため、必要に応じて、ガラス表面での反射を低減するために、着色部を含めた光学素子の表面に、反射防止膜をコーティングしてもよい。
着色層の着色は、好ましくはガラス成分に起因する還元色であり、より好ましくは遷移金属に起因する還元色である。遷移金属としては、例えばTi、Nb、WおよびBiが挙げられる。したがって、本実施形態に係るガラスは、ガラス成分として、好ましくは、Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、およびBiイオンからなる群から選択される少なくとも1つのイオンを含み、より好ましくは、Biイオンを含む。
(着色層の厚み)
着色層の厚みは特に制限されないが、好ましくは1〜300μmであり、より好ましくは20〜200μmであり、更に好ましくは30〜150μmである。
(OD)
本実施形態に係るガラスにおいて、可視域(400nm〜760nmの波長域)から赤外域にかけての波長域における着色層の分光透過率は、波長が長くなるにつれて増加傾向を示す。一方、着色層のODは、波長が長くなるにつれて減少傾向を示す。ODとは、光学密度または光学濃度(Optical Density)であり、下記式で示すように、入射光強度Iと透過光強度Iの比の常用対数に負号(マイナス)を付けた数値として表される。
OD=−log10(I/I
本実施形態に係るガラスが、着色層と、可視域の透過率の大きい非着色部とからなる場合、着色層のODは大きい一方で、非着色部のODは小さくなる。ODの測定において、測定光が着色層と非着色部との両方を通過する場合、非着色部のODは十分小さいので、着色層のODが支配的となる。
なお、向かい合う2つの面を有するガラスにおいて、入射光がその両面に設けられた着色層を透過する場合のODは、同じ着色層を片面のみに設ける場合の約2倍となる。
(屈折率)
本実施形態に係るガラスにおいて、屈折率ndは、好ましくは1.70以上であり、さらには1.73以上、1.75以上、1.76以上、1.77以上、1.78以上、1.79以上、1.80以上の順により好ましい。屈折率ndの上限は、特に限定されないが、通常2.5であり、好ましくは2.3である。
図4は、向かい合う2つの面を有するガラスにおいて、着色層を形成していない部分がスリットとして機能するように、両面の相対する部分にそれぞれ所定の間隔で複数の着色層を設けたものである。このような場合に、ガラスの屈折率が低いと、スリット部分に入射する光線の入射角が大きい(光線が浅い角度で入射する)場合に、経路Cのように光線が隣のスリットを透過して、図3−2に示す素子と同様の効果が得られなくなるおそれがある。上記範囲のようにガラスの屈折率が高いと、経路Bのようにガラスの裏面に形成された着色層により光線が吸収され、光線が隣のスリットを透過することがないため、スリットの間隔を狭くすることができる。
本実施形態に係るガラスを後記するような光学素子に使用する場合、例えば、レンズに使用する場合には、ガラスの屈折率が高いほうが、同じパワー(焦点距離)のレンズを得るのに、曲率半径を大きく(緩く)することができるため、諸収差の発生を抑制したり、レンズ厚を薄型化したりすることができる。また、例えば、プリズムに使用する場合には、ガラスの屈折率が高いほうが、臨界角が小さくなるため、反射面上に入射する正規光(有効光線)が全反射する角度範囲が広がり、全反射膜のコーティングが不要となる。
(平均線膨張係数)
本実施形態に係るガラスにおいて、平均線膨張係数は、好ましくは50×10−7−1以上であり、さらには、60×10−7−1以上、70×10−7−1以上、75×10−7−1以上、80×10−7−1以上、85×10−7−1以上、90×10−7−1以上の順により好ましい。平均線膨張係数の上限は、特に限定されないが、通常200×10−7−1であり、好ましくは150×10−7−1である。平均線膨張係数を上記範囲とすることで、化学強化を施した場合にガラスの強度を高めることができる。
平均線膨張係数の測定方法は、日本光学硝子工業会規格JOGIS 08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定法」に従う。ただし、丸棒状の試料の直径は5mmとする。
(耐酸性重量減少率Da)
本実施形態に係るガラスにおいて、耐酸性重量減少率Daの等級は、好ましくは1〜2等級であり、より好ましくは1等級である。
耐酸性重量減少率Daは、日本光学硝子工業会規格JOGIS06−2009の規定に従って測定する。具体的には、比重に相当する重量の粉末ガラス(粒度425〜600μm)を白金かごに入れ、それを0.01mol/L硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その処理前後での重量減少率(%)を測定する。耐酸性重量減少率Daによる等級を表Aに示す。
(ガラス組成)
本実施形態に係るガラスの組成について、以下に非制限的な例を示す。
本実施形態に係るガラスは、リン酸塩ガラスであることが好ましい。リン酸塩ガラスとは、ガラスのネットワーク形成成分として主にP5+を含有するガラスをいう。ガラスのネットワーク形成成分として、P5+、B3+、Si4+、Al3+等が知られている。ここで、ガラスのネットワーク形成成分として主にリン酸塩を含むとは、P5+の含有量が、B3+、Si4+、Al3+のいずれの含有量よりも多いことを意味する。リン酸塩ガラスであることで、着色層における着色の程度を高めることができる。
本実施形態に係るガラスにおいて、P5+の含有量の下限は、好ましくは10%であり、さらには13%、15%、17%、20%の順により好ましい。また、P5+の含有量の上限は、好ましくは50%であり、さらには45%、40%、38%、35%、33%、30%の順により好ましい。
5+は、ガラスのネットワーク形成成分である。一方、P5+を過剰に含むと熔融性が悪化する。そのため、P5+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、B3+の含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、20%、15%、13%、10%の順により好ましい。また、B3+の含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1%、3%、5%の順により好ましい。B3+の含有量は0%であってもよい。
3+は、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熔融性を改善する働きを有する。一方、B3+の含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下する傾向がある。そのため、B3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、P5+の含有量に対するB3+の含有量のカチオン比[B3+/P5+]の上限は、好ましくは0.70であり、さらには0.60、0.55、0.50の順により好ましい。カチオン比[B3+/P5+]は0であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Si4+の含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには7%、5%、3%、2%、1%の順により好ましい。また、Si4+の含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.2%、0.3%、0.4%、0.5%の順により好ましい。Si4+の含有量は0%であってもよい。
Si4+は、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの熱的安定性、化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有する。一方、Si4+の含有量が多すぎると、ガラスの熔融性が低下し、ガラス原料が熔け残る傾向がある。そのため、Si4+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Al3+の含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには7%、5%、3%、1%の順により好ましい。Al3+の含有量は0%であってもよい。
Al3+は、ガラスの化学的耐久性、耐候性を改善する働きを有する。一方、Al3+の含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下し、ガラス転移温度Tgが上昇して、熔融性が低下しやすい。そのため、Al3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、P5+、B3+、Si4+およびAl3+の合計含有量[P5++B3++Si4++Al3+]の下限は、好ましくは10%であり、さらには15%、18%、20%、23%、25%の順により好ましい。また、合計含有量[P5++B3++Si4++Al3+]の上限は、好ましくは60%であり、さらには50%、45%、40%、37%、35%の順により好ましい。
本実施形態に係るガラスは、ガラス成分として、好ましくは遷移金属を有し、より好ましくはTiイオン、Nbイオン、BiイオンおよびWイオンからなる群から選択される少なくとも1つのガラス成分を有し、さらに好ましくはBiイオンを含有する。
本実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオンの含有量の下限は、好ましくは1%であり、さらには2%、3%の順により好ましい。また、Tiイオンの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、35%、30%、25%、20%、15%、12%の順により好ましい。ここで、Tiイオンは、Ti4+、Ti3+の他、価数の異なる全てのTiイオンを含むものとする。
Tiイオンは、Nbイオン、WイオンおよびBiイオンと同様に、高屈折率化に大きく寄与し、また、ガラスの着色を増大する働きを有する。一方、Tiイオンの含有量が多すぎると、ガラスの熔融性が低下し、ガラス原料が熔け残る傾向がある。そのため、Tiイオンの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Nbイオンの含有量の下限は、好ましくは1%であり、さらには5%、10%、15%の順により好ましい。また、Nbイオンの含有量の上限は、好ましくは45%であり、さらには40%、35%、30%、25%、23%、20%の順により好ましい。Nbイオンは、Nb5+の他、価数の異なる全てのNbイオンを含むものとする。
Nbイオンは、高屈折率化に寄与し、ガラスの着色を増大する成分である。また、ガラスの熱的安定性および化学的耐久性を改善する働きを有する。一方、Nbイオンの含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下する傾向がある。そのため、Nbイオンの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Wイオンの含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、20%、15%、13%の順により好ましい。また、Wイオンの含有量の下限は、好ましくは0.5%であり、さらには1%、2%、3%の順により好ましい。Wイオンは、W6+の他、価数の異なる全てのWイオンを含むものとする。
Wイオンは、高屈折率化に寄与し、また、ガラスの着色を増大する働きを有する。そのため、Wイオンの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Biイオンの含有量の上限は、好ましくは40%であり、さらには35%、30%、28%、25%の順により好ましい。また、Biイオンの含有量の下限は、好ましくは0.5%であり、さらには1%、2%、2.5%の順により好ましい。Biイオンは、Bi3+の他、価数の異なる全てのBiイオンを含むものとする。
Biイオンは、高屈折率化に寄与し、また、ガラスの着色を増大する働きを有する。そのため、Biイオンの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオン、NbイオンおよびWイオンの合計含有量[Ti+Nb+W]の下限は、好ましくは1%であり、さらには5%、10%、15%、20%、23%の順により好ましい。また、合計含有量[Ti+Nb+W]の上限は、好ましくは60%であり、さらには55%、50%、45%、40%、38%、35%の順により好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Tiイオン、Nbイオン、WイオンおよびBiイオンの合計含有量[Ti+Nb+W+Bi]の上限は、好ましくは80%であり、さらには75%、70%、68%、65%の順により好ましい。また、合計含有量[Ti+Nb+W+Bi]の下限は、好ましくは1%であり、さらには5%、10%、15%、20%、23%、25%の順により好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、P5+、B3+およびSi4+の合計含有量に対するTiイオン、Nbイオン、WイオンおよびBiイオンの合計含有量のカチオン比[(Ti+Nb+W+Bi)/(P5++B3++Si4+)]の下限は、好ましくは0.1であり、さらには0.3、0.5、0.6、0.7の順により好ましい。また、カチオン比[(Ti+Nb+W+Bi)/(P5++B3++Si4+)]の上限は、好ましくは4.0であり、さらには3.5、3.0、2.7、2.5の順により好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Ta5+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、2%、1%の順により好ましい。Ta5+の含有量は0%であってもよい。
Ta5+は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Ta5+の含有量が多すぎると、ガラスが低屈折率化し、また熔融性が低下する傾向がある。そのため、Ta5+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Liの含有量の上限は、好ましくは35%であり、さらには30%、27%、25%、23%、20%の順により好ましい。また、Liの含有量の下限は、好ましくは1%であり、さらには2%、3%、5%、8%の順により好ましい。Liの含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Naの含有量の上限は、好ましくは40%であり、さらには35%、30%、25%、20%、18%の順により好ましい。また、Naの含有量の下限は、好ましくは0.5%であり、さらには1%、1.5%、3%、5%の順により好ましい。Naの含有量は0%であってもよい。
ガラスがLiまたはNaを含有することで、ガラスに化学強化を施すことが容易となる。一方、LiまたはNaの含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。そのため、LiおよびNaの各含有量はそれぞれ上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、LiおよびNaの合計含有量[Li+Na]の上限は、好ましくは45%であり、さらには43%、40%、38%の順により好ましい。また、合計含有量[Li+Na]の下限は、好ましくは1%であり、さらには5%、10%、15%、20%の順により好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Kの含有量の上限は、好ましくは20%であり、さらには15%、13%、10%、8%、5%、3%の順により好ましい。また、Kの含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.5%、1.0%、1.2%の順により好ましい。Kの含有量は0%であってもよい。
は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Kの含有量が多すぎると、熱的安定性が低下する傾向がある。したがって、Kの含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Rbの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、1%、0.5%の順により好ましい。Rbの含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Csの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、1%、0.5%の順により好ましい。Csの含有量は0%であってもよい。
RbおよびCsは、ガラスの熔融性を改善する働きを有する。一方、これらの含有量が多すぎると、屈折率ndが低下し、また熔解中にガラス成分の揮発が増加するおそれがある。そのため、RbおよびCsの各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Mg2+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには10%、5%、3%、1%の順により好ましい。Mg2+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Ca2+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには10%、5%、3%、1%の順により好ましい。Ca2+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Sr2+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには10%、5%、3%、1%の順により好ましい。Sr2+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Ba2+の含有量の上限は、好ましくは25%であり、さらには20%、18%、15%、10%、5%の順により好ましい。Ba2+の含有量は0%であってもよい。
Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+は、いずれもガラスの熱的安定性、熔融性を改善させる働きを有する。一方、これらの含有量が多すぎると、高屈折率性が損なわれ、また、ガラスの熱的安定性が低下するおそれがある。そのため、これらガラス成分の各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]の上限は、好ましくは30%であり、さらには25%、20%、18%、15%、10%、5%の順により好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Zn2+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには10%、8%、5%、3%、1%の順により好ましい。また、Zn2+の含有量の下限は、好ましくは0.1%であり、さらには0.3%、0.5%の順により好ましい。Zn2+の含有量は0%であってもよい。
Zn2+は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Zn2+の含有量が多すぎると、熔融性が悪化するおそれがある。そのため、Zn2+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Zr4+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには3%、2%、1%の順により好ましい。Zr4+の含有量は0%であってもよい。
Zr4+は、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Zr4+の含有量が多すぎると、ガラスの熱的安定性および熔融性が低下する傾向がある。そのため、Zr4+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Ga3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Ga3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Ga3+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、In3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、In3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。In3+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Sc3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Sc3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Sc3+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Hf4+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Hf4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Hf4+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Lu3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Lu3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Lu3+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Ge4+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Ge4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Ge4+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、La3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%の順により好ましい。また、La3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。La3+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Gd3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%の順により好ましい。また、Gd3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Gd3+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Y3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%の順により好ましい。また、Y3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Y3+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスにおいて、Yb3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Yb3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。Yb3+の含有量は0%であってもよい。
本実施形態に係るガラスのカチオン成分は、主として上述の成分、すなわち、P5+、B3+、Si4+、Al3+、Tiイオン、Nbイオン、Wイオン、Biイオン、Ta5+、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Zn2+、Zr4+、Ga3+、In3+、Sc3+、Hf4+、Lu3+、Ge4+、La3+、Gd3+、Y3+およびYb3+で構成されていることが好ましく、上述の成分の合計含有量は、95%よりも多くすることが好ましく、98%よりも多くすることがより好ましく、99%よりも多くすることがさらに好ましく、99.5%よりも多くすることが一層好ましい。
本実施形態に係るガラスは、アニオン成分として、FおよびO2−以外の成分を含んでいてもよい。FおよびO2−以外のアニオン成分として、Cl、Br、Iを例示できる。しかし、Cl、Br、Iは、いずれもガラスの熔融中に揮発しやすい。これらの成分の揮発によって、ガラスの特性が変動する、ガラスの均質性が低下する、熔融設備の消耗が著しくなる等の問題が生じる。したがって、Clの含有量は、5アニオン%未満であることが好ましく、より好ましくは3アニオン%未満、さらに好ましくは1アニオン%未満、特に好ましくは0.5アニオン%未満、一層好ましくは0.25アニオン%未満である。また、BrおよびIの合計含有量は、5アニオン%未満であることが好ましく、より好ましくは3アニオン%未満、さらに好ましくは1アニオン%未満、特に好ましくは0.5アニオン%未満、一層好ましくは0.1アニオン%未満、より一層好ましくは0アニオン%である。
なお、アニオン%とは、全てのアニオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率である。
本実施形態に係るガラスは、基本的に上記成分により構成されることが好ましいが、本実施形態の作用効果を妨げない範囲において、その他の成分を含有させることも可能である。
例えば、本実施形態に係るガラスは、さらに、ガラスに近赤外光吸収特性を付与するために、ガラス成分として適量の銅(Cu)を含有してもよい。その他にも、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ce等を含有してもよい。これらは、ガラスの着色を増大させ、蛍光の発生源となり得る。
また、本実施形態において、不可避的不純物の含有を排除するものではない。
<その他の成分組成>
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、いずれも毒性を有する。そのため、本実施形態のガラスはこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
U、Th、Raはいずれも放射性元素である。そのため、本実施形態のガラスはこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
Sb3+、Sn4+、およびCe4+は清澄剤として機能する、任意に添加可能なガラス成分である。このうち、Sb3+は、清澄効果の大きな清澄剤である。
Sb3+の含有量は、Sbに換算し、外割りの質量%表示とする。ここで外割り表示とはSb3+、Sn4+、およびCe4+以外のカチオン成分の含有比率をSbと同様、酸化物に換算し、Sb3+、Sn4+、およびCe4+以外の全てのカチオン成分の含有比率の合計が100質量%になるようにしたときのSbの含有量を質量%で表示することである。Sbの含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.2質量%未満、0.1質量%未満、0.05質量%未満である。Sbの含有量を上記範囲とすることによりガラスの清澄性を改善できる。
Sn4+およびCe4+の各含有量も、酸化物換算し外割り表示とする。すなわち、Sb3+、Sn4+、およびCe4+以外のカチオン成分の含有比率を酸化物に換算し、Sb3+、Sn4+、およびCe4+以外の全てのカチオン成分の含有比率の合計が100質量%になるようにしたときのSnOの含有量、CeOの含有量を質量%で表示する。SnOおよびCeOの各含有量は、それぞれ好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満である。SnOおよびCeOの各含有量は0質量%であってもよい。SnOおよびCeOの各含有量をそれぞれ上記範囲とすることによりガラスの清澄性を改善できる。
(ガラスの製造)
本実施形態に係るガラスは、着色の無いガラスを調製し、そこに着色層を形成することで得られる。着色の無いガラスは、公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を熔融容器中に入れて熔融、清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷してガラスを得る。あるいは、バッチ原料を熔融容器中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを熔融容器中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷してガラスを得ることもできる。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
さらに、本実施形態に係るガラスの製造工程には、熔融ガラス中の水分量を高める工程が含まれてもよい。熔融ガラス中の水分量を高める工程としては、熔融雰囲気に水蒸気を付加する工程、熔融物内に水蒸気を含むガスをバブリングする工程が挙げられる。その中でも、熔融雰囲気に水蒸気を付加する工程を含むことが好ましい。熔融ガラス中の水分量を高める工程を含むことで、ガラスのβOH値を高めることができる。βOH値を高めることで、より透明性の高いガラスが得られる。
(着色層の形成)
着色層は、ガラス表面に金属膜を貼付し、還元雰囲気において熱処理をすることで形成できる。
金属膜を構成する金属としては、雰囲気中の水素イオンを吸蔵し、さらに水素イオンおよび電子の授受によりガラスに含まれるガラス成分を還元する働きを有する金属が好ましい。ガラス成分の中でも遷移金属を還元する働きを有する金属がより好ましい。具体的には、Au、Ag、Pt、NiおよびPt−Pd合金等が挙げられる。
ガラス表面に金属膜を貼付する方法としては、ガラス表面に金属膜が密着するように貼付できれば特に制限されないが、例えば、蒸着、スパッタリング、または金属ペーストの塗布等が挙げられる。
還元雰囲気は、還元力を有するガスを含んでいればよい。還元力を有するガスとしては、例えば水素が挙げられる。よって、還元雰囲気として水素含有ガスを用いることが好ましく、水素を含有するフォーミングガスを用いてもよい。フォーミングガスとは、水素と窒素とからなる混合ガスであり、通常、水素を3〜5体積%程度含む。
熱処理では、ガラス転移温度Tgより200℃低い温度(Tg−200)以上、軟化点温度以下で加熱する。熱処理時間は、目的とする着色の程度、着色層の範囲、着色層の厚み等によって適宜調整できる。
熱処理後、金属膜をガラス表面から剥離する。剥離する方法としては、特に制限されないが、研磨や溶解して除去する方法等が挙げられる。
還元雰囲気における熱処理によって、金属膜と接触しているガラス表面から内部にわたって、着色層が形成される。
上記方法により着色層が形成されるメカニズムは、特に限定されないが、以下のように考えられる。
本実施形態において形成される着色層の着色は、ガラス成分に起因する還元色と考えられ、特に遷移金属に起因する還元色であると考えられる。通常、ガラス成形体を、水素を3〜5体積%程度の低濃度で含む雰囲気中で熱処理しても、ガラスはほとんど還元色を呈しない。しかし、上記金属膜は、雰囲気中の水素イオンを吸蔵するため、ガラスの金属膜と接触する部分は、金属膜と接触していない部分と比べて、水素イオンが多く供給され、その結果、還元反応が速く進行する。そのため、ガラスの金属膜と接触する部分は濃く着色する。金属膜による水素イオンの吸蔵量は大きく、金属膜の吸蔵により雰囲気中の水素濃度が低下するほどである。このこともあって、金属膜と接触していない部分は還元反応が進行しにくい。
ここで、着色の要因となるガラス成分の還元反応は、金属膜と接触する部分からあらゆる方向に進行する。すなわち、着色層は、ガラスの断面から観察すると、金属膜と接触するガラス表面から厚さ方向に形成され、ガラスの表面から観察すると、金属膜と接触する部分から放射状に形成される。
上記方法によれば、より濃く着色された着色層を形成できる。したがって、着色層の厚みが小さくても、透過率は十分に低減できる。着色層の厚みが小さい場合、ガラスの表面から観察される、金属膜と接触していた部分から放射状に形成される着色層の範囲も小さくなる。つまり、本実施形態によれば、着色層の形成条件を調整することで、ガラス表面から観察した場合に、金属膜と略同形状の着色層を形成できる。
(光学素子等の製造)
本実施形態に係るガラスからなる光学素子は、着色の無い光学素子を調製し、そこに着色層を形成することで得られる。着色の無い光学素子は、公知の製造方法に従って作製すればよい。例えば、熔融ガラスを鋳型に流し込んで板状に成形し、ガラス素材を作製する。得られたガラス素材を適宜、切断、研削、研磨し、プレス成形に適した大きさ、形状のカットピースを作製する。カットピースを加熱、軟化して、公知の方法でプレス成形(リヒートプレス)し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作製する。光学素子ブランクをアニールし、公知の方法で研削、研磨して光学素子を作製する。あるいは、公知の製造方法に従って、精密プレス成形用のガラスゴブやプリフォームを作製し、加熱、軟化させたガラスゴブやプリフォームを、光学素子成形型により精密プレス成形して、光学素子を作製してもよい。
作製した光学素子に、上記方法により着色層を形成できる。また、光学素子を作製する途中の段階で着色層を形成してもよい。
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしてもよい。
本実施形態によれば、上記ガラスからなる光学素子を提供することができる。光学素子の種類としては、球面レンズ、非球面レンズ等のレンズ、プリズム、回折格子等を例示することができる。レンズの形状としては、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ等の諸形状を例示することができる。光学素子は、上記ガラスからなるガラス成形体を加工する工程を含む方法により製造することができる。加工としては、切断、切削、粗研削、精研削、研磨、精密プレス等を例示することができる。
光学素子の一例として、CCDやC−MOSセンサのようなイメージセンサの受光面に斜入射する光を遮光するための光学素子を示すことができる。従来、イメージセンサの受光面に斜入射光を遮断するために、イメージセンサのカバーガラス表面の斜入射光を遮断したい部分に黒色インクを塗布し、遮光性を持たせる方法が用いられている。この方法では、黒色インクが塗布されている部分と黒色インクが塗布されていない部分の境界において、黒色インクの表面で光の反射が生じ、迷光となってイメージセンサの画質が低下するという問題がある。また、インクは温度が上昇すると脱ガスを生じ、カバーガラス表面の曇りの原因となる。これに対し、本実施形態のガラスを用い、斜入射光を遮りたい箇所に着色層を設け、カバーガラスとすることにより、迷光の問題や脱ガスによる曇りの問題を解消することができる。
(実施例)
以下、実施例により本実施形態をより詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
[ガラスの製造]
ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、メタリン酸塩、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られるガラスの組成が、表1に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1100〜1450℃で2〜3時間加熱して熔融ガラスとした。熔融ガラスを攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で1時間程度熱処理し、炉内で室温まで放冷した。長さ40mm、幅10mm、厚さ1.0mmの大きさに加工し、40mm×10mmとなる2つ面を精密研磨(光学研磨)して、ガラスサンプルを得た。
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表1に示す各組成のとおりであることを確認した。
[光学特性の測定]
得られたガラスサンプルについて、屈折率nd、比重およびガラス転移温度Tgを測定した。結果を表1に示す。
(i)屈折率nd
JIS規格 JIS B 7071−1の屈折率測定法により、屈折率ndを測定した。
(ii)比重
比重は、アルキメデス法により測定した。
(iii)ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度Tgは、MACサイエンス社製の熱機械分析装置(TMA4000S)を使用し、昇温速度4℃/分にて測定した。
[平均線膨張係数]
平均線膨張係数の測定方法は、日本光学硝子工業会規格JOGIS 08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定法」に従い測定した。丸棒状の試料の直径を5mmとした。結果を表1に示す。
[耐酸性重量減少率Da]
日本光学硝子工業会規格JOGIS06−2009の規定に従い、得られたガラスサンプルを比重に相当する重量の粉末ガラス(粒度425〜600μm)にし、白金かごに入れ、それを0.01mol/L硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その処理前後での重量減少率(%)を測定した。その重量減少率を等級で評価した。結果を表1に示す。
実施例1:ガラス組成の異なるサンプルにおける着色層の形成
(実施例1−1)
得られたガラスサンプルのうち、No.1のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面の一方の面に、スパッタリングによりパターン状にPt−Pd膜を成膜した(スパッタリング時の電流15mA、成膜時間900sec)。
Pt−Pd膜を形成したガラスサンプルを、還元雰囲気としてフォーミングガス(水素3体積%、窒素97体積%)を0.2L/minの流量で供給しながら400℃で5時間熱処理した。
Pt−Pd膜を研磨により剥離した。着色層を有するガラスサンプルを得た。得られたガラスサンプルを図5−1に示す。
[透過率の測定]
波長300〜2500nmにおける外部透過率を測定した。外部透過率は、ガラスサンプルの厚み方向に光を入射したときの、入射光強度に対する透過光強度の百分率[透過光強度/入射光強度×100]で定義される。なお、外部透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。結果を図6−1に示す。図中、破線は着色層を有する部分の透過率であり、実線は同じ部分の着色層形成前の透過率である。
[ODの測定]
着色層を有する部分について、波長1100nmにおける入射光強度Iおよび透過光強度Iを測定し、下記式によりOD(光学密度)を算出した。同じ部分について、着色層形成前のODも同様に算出した。結果を表2に示す。
OD=−log10(I/I0
(実施例1−2)
No.2のガラス組成を有するガラスサンプルを用いた他は、実施例1−1と同様にして、着色層を有するガラスサンプルを得た。得られたガラスサンプルを図5−2に示す。実施例1−1と同様に透過率を測定した。結果を図6−2に示す。実施例1−1と同様にODを測定した。結果を表2に示す。
(実施例1−3)
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルを用いて430℃で9時間熱処理した他は、実施例1−1と同様にして、着色層を有するガラスサンプルを得た。実施例1−1と同様に透過率を測定した。結果を図6−3に示す。実施例1−1と同様にODを測定した。結果を表2に示す。
実施例2:膜厚の異なる金属膜による着色層の形成
(実施例2−1)
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面の一方の面に、成膜条件を調整して、膜厚がそれぞれ28nm、256nm、288nm、420nmであるPt−Pd膜を形成した。
Pt−Pd膜を形成したガラスサンプルを、還元雰囲気としてフォーミングガス(水素3体積%、窒素97体積%)を0.2L/minの流量で供給しながら400℃で4時間熱処理した。Pt−Pd膜を研磨により除去し、着色層を有するガラスサンプルを得た。
着色層を有する部分について、実施例1−1と同様に透過率を測定した。Pt−Pd膜の膜厚と透過率との関係を図7−1に示す。着色層を有する部分について、実施例1−1と同様にODを測定した。Pt−Pd膜の膜厚とODとの関係を図8に示す。
(実施例2−2)
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面の一方の面に、成膜条件を調整して、膜厚がそれぞれ437nm、695nm、778nm、892nmであるPt−Pd膜を形成した。
Pt−Pd膜を形成したガラスサンプルを、還元雰囲気としてフォーミングガス(水素3体積%、窒素97体積%)を0.2L/minの流量で供給しながら400℃で9時間熱処理した。Pt−Pd膜を研磨により除去し、着色層を有するガラスサンプルを得た。
実施例2−1と同様に透過率を測定した。Pt−Pd膜の膜厚と透過率との関係を図7−2に示す。実施例2−1と同様にODを測定した。Pt−Pd膜の膜厚とODとの関係を図8に示す。
図7−1、図7−2、図8より、着色層を有する部分の透過率およびODは、金属膜の膜厚ではなく、熱処理時間に依存することがわかった。
実施例3:種類の異なる金属膜による着色層の形成
(実施例3−1)
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面に、Pt−Pd膜の代わりに膜厚が15nm、300nmのAu膜を形成し、450℃で7時間熱処理した他は、実施例1−1と同様にして、着色層を有するガラスサンプルを得た。着色層を有する部分について、実施例1−1と同様にODを測定した。
(実施例3−2)
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面に、Pt−Pd膜を形成する代わりにAgペーストを塗布し、430℃で10時間熱処理した他は、実施例1−1と同様にして、着色層を有するガラスサンプルを得た。実施例3−1と同様にODを測定した。結果を表3に示す。
実施例4:着色層を形成したガラスの断面観察
(実施例4−1)
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面の一方の面に、Pt−Pd膜を形成した。また、同じサンプルの光学研磨面の一部を1000番(#1000)の研磨剤を使用して研磨し、その部分にもPt−Pd膜を形成した。
フォーミングガス(水素3体積%、窒素97体積%)を0.2L/minの流量で供給しながら400℃で5時間熱処理した。Pt−Pd膜を研磨により除去し、着色層を有するガラスサンプルを得た。
着色層の厚みを測定した。結果を表4に示す。また、着色層を有する部分の断面の顕微鏡写真を表4に示す。表4の顕微鏡写真において、右側がガラスであり、中央の黒い部分が着色層である。
(実施例4−2)
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面の一方の面に、Au膜を形成した。450℃で7時間熱処理した他は実施例4−1と同様にして、着色層を有するガラスサンプルを得た。
着色層の厚みおよび着色層を有する部分の断面の顕微鏡写真を表4に示す。着色層を有する部分について実施例1−1と同様にODを測定した。結果を表4に示す。
(実施例4−3)
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面の一方の面に、Au膜を形成した。Au膜の成膜時間を実施例4−2よりも長くした他は、実施例4−2と同様にして、着色層を有するガラスサンプルを得た。
着色層の厚みおよび着色層を有する部分の断面の顕微鏡写真を表4に示す。実施例4−2と同様にODを測定した。結果を表4に示す。
(実施例4−4)
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面の両面にPt−Pd膜を形成した他は、実施例4−2と同様にして、着色層を有するガラスサンプルを得た。
着色層の厚みおよび着色層を有する部分の断面の顕微鏡写真を表4に示す。実施例4−2と同様にODを測定した。結果を表4に示す。
1000番(#1000)の研磨剤を使用して研磨した面は、光学研磨面よりも表面粗さが大きい。表4からは、ガラスの表面粗さにより形成される着色層の厚みが変化することがわかった。
実施例5:ドットパターンを有する着色層の形成
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルの光学研磨面に、Pt−Pd膜をドットパターン状に形成した。詳細は以下のとおりである。
ガラス表面を覆うことができる程度に平坦性が高く、ドットパターン状の開口部を有する金属板を用意した。ガラスサンプルの光学研磨面にその金属板を密着させ、そのドットパターン状の開口部に合わせてPt−Pd膜を形成した。
金属板を剥離し、ドットパターン状に形成したPt−Pd膜を有するガラスサンプルを、実施例1−3と同様に熱処理して、着色層を有するガラスサンプルを得た。得られたガラスサンプルを図9に示す。
実施例6:着色層の除去による透過率の変化
No.3のガラス組成を有するガラスサンプルについて、厚さが750μmとなるように加工した他は、実施例1−3と同様にして、着色層を有するガラスサンプルを得た。
着色層を有する部分の断面を顕微鏡で観察し、着色層の厚さが110μmであることを確認した。また、着色層を有する部分について実施例1−1と同様にODを測定した。結果を表5に示す。
得られたガラスサンプルについて、ガラスサンプルの厚さが660μmとなるように、着色層を有する面から研磨し、同じ部分についてODを測定した。結果を表5に示す。
同様に、ガラスサンプルの厚さが610μm、500μm、380μmとなるように研磨し、同じ部分についてODを測定した。また、研磨前(研磨取り代無し)のODからの変化量を算出した。OD結果を表5に示す。
表5によれば、ガラスサンプルの研磨取り代が140μmを超えると、ODの変化量は小さくなる。ガラスサンプルは、研磨により着色層を取り除かれると、非着色部(着色の無い透明な領域)のみとなる。そのため、それ以上研磨により厚みを小さくしてもODはほとんど変化しない結果となった。すなわち、研磨によるOD変化量の結果から、ガラスサンプルの着色層の厚さは90μm超140μm未満であると推定される。これは、断面の顕微鏡観察に基づく着色層の厚さ(110μm)と一致する。なお、研磨取り代が140〜370μmの範囲のODの増減はわずかであり、測定誤差であると考えられる。
≪ガラス本体に着色層を設けた光学素子の具体例≫
図1、図2に示すように、本実施形態の光学素子は、ガラス本体1を有するとともに、ガラス本体1の内部かつ光学素子の有効径外に位置する着色層2を有する。着色層2は、ガラス本体1の表面から内部に亘って位置する。あるいは、着色層2は、ガラス本体1の表面には位置せずにガラス本体1の内部に位置していてもよい。
ガラス本体1の内部かつ光学素子の有効径外(光学有効領域外)に選択的に着色層2を形成することで、図3(図3−1、図3−2)、図4に示すように、着色層2がある部分で光を遮り、着色層2がない部分で光を透過させて、所望の光学性能を発揮することができる。特に、着色層2により、迷光の発生を抑えて十分な遮光特性を得ることで、優れた画像品質を実現することが可能になる。
着色層2のガラス本体1の表面から内部に亘る厚みは、1〜300μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。この条件を満足することにより、遮光性能を含めた光学素子としての機能を良好に発揮することができる。この条件の最下限を下回ると(着色層2の厚みが1μmより小さいと)、着色層2による遮光性能が不十分になるおそれがある。この条件の最上限を上回ると(着色層2の厚みが300μmより大きいと)、着色層を形成する光学素子の部位によっては、ガラスの内部側にせり出した着色層が、正規光(有効光線)を遮光してしまうなど、光学素子としての機能が不十分になるおそれがある。
着色層2は、波長750nmにおける光学濃度ODが2.0以上であることが好ましく、波長750nmにおける光学濃度ODが3.0以上であることが好ましい。可視光域から赤外域にかけての波長域において、着色層2の分光透過率は、波長が長くなるに連れて増加傾向を示す。光学濃度ODで示すと、波長が長くなるに連れて光学濃度ODが減少傾向を示すことと同義である。上記の条件を満足することにより、可視光域の遮光性能を含めた光学素子としての機能を良好に発揮することができる。この条件の最下限を下回ると(着色層2の波長750nmにおける光学濃度ODが2.0より小さいと)、遮光性能を含めた光学素子としての機能が不十分になるおそれがある。
<光学素子をプリズムに適用した例>
図10〜図13を参照して、本実施形態の光学素子をプリズム10に適用した場合を説明する。なお、本実施形態の光学素子を適用する対象は、直角プリズムに限定されず、各種の角度の偏角プリズム、ペンタプリズム、キュービック等とすることも可能である。
図10に示すように、プリズム10は、光(被写体光)の入射面11と、出射面12と、反射面13と、側面14とを有している。入射面11と反射面13の境界には面取面15が設けられており、出射面12と反射面13の境界には面取面16が設けられている。なお、面取面15、16を設ける位置は一例であり、上記各面11〜14のいずれかの境界に設けられていればよい。あるいは、面取面15、16を含む一切の面取面を省略してもよい。
プリズム10には、様々な迷光経路で光(被写体光)が進入する。本実施形態では、迷光の発生を抑えて十分な遮光特性を得るべく、プリズム10の入射面11と、出射面12と、反射面13と、側面14と、これら各面11〜14のいずれかの境界にある面取面(ここでは面取面15、16)との少なくとも1つに位置させて、着色層を設けている。
図11A、図11Bは、第1の迷光経路とそれに対応する着色層の配置例を示す図である。
図11Aに示すように、第1の迷光経路は、入射面11から入射し、反射面13で反射し、入射面11で反射し、出射面12から出射するものである。
図11Bに示すように、第1の迷光経路に位置するように、プリズム10の出射面12の表面から内部に着色層20Aを設けることにより、当該着色層20Aにおいて、第1の迷光経路を進む光(被写体光)を吸収している。
図12A〜図12Cは、第2の迷光経路とそれに対応する着色層の配置例を示す図である。
図12Aに示すように、第2の迷光経路は、入射面11から入射し、面取面15で反射し、反射面13で反射し、出射面12から出射するものである。ここで、面取面15がスリ面で構成される場合、面取面15に入射した光は拡散光となるが、迷光の主成分を考察する観点から、図12Aでは、光の正反射成分を描いている。
図12Bに示すように、第2の迷光経路に位置するように、プリズム10の面取面15の表面から内部に着色層20Bを設けることにより、当該着色層20Bにおいて、第2の迷光経路を進む光(被写体光)を吸収している。
図12Cに示すように、第2の迷光経路に位置するように、プリズム10の反射面13の有効径外において表面から内部に着色層20Cを設けることにより、当該着色層20Cにおいて、第2の迷光経路を進む光(被写体光)を吸収している。
図13A〜図13Eは、第3の迷光経路とそれに対応する着色層の配置例を示す図である。
図13Aに示すように、第3の迷光経路は、入射面11から入射し、側面14で反射し、反射面13で反射し、出射面12から出射するものである。
図13Bに示すように、第3の迷光経路に位置するように、プリズム10の側面14の表面から内部に着色層20Dを設けることにより、当該着色層20Dにおいて、第3の迷光経路を進む光(被写体光)を吸収している。
図13Cに示すように、第3の迷光経路に位置するように、プリズム10の出射面12の表面から内部に着色層20Eを設けることにより、当該着色層20Eにおいて、第3の迷光経路を進む光(被写体光)を吸収している。図13Cでは、第3の迷光経路と着色層20Eは、2つの側面14の一方側に設けられているが、2つの側面14の他方側に設けられていてもよい。あるいは、第3の迷光経路と着色層20Eは、2つの側面14の両方側に設けられていてもよい。
図13Dに示すように、第3の迷光経路に位置するように、プリズム10の反射面13の有効径外において表面から内部に着色層20Gを設けることにより、当該着色層20Gにおいて、第3の迷光経路を進む光(被写体光)を吸収している。反射面13が鏡面部であっても、着色層20Gによって反射防止(迷光防止)が可能である。着色層20Gの上に接着剤の塗布、アルミ蒸着、銀蒸着等を行っても、着色層20Gはガラス本体の内部に存在するため吸光特性は不変である。反射面13は、有効光線だけでなく、迷光も全反射することが多いため、反射面13の有効径外から内部に着色層20Gを設けて遮光することは、迷光対策として有効である。
プリズム10には第1から第3で示す迷光経路の他にも様々な迷光経路で光(被写体光)が進入するため、図13Eに示すように、プリズム10の各面11〜16の少なくとも一面の有効径以外の部分の表面から内部に着色層20Hを設けることにより、当該着色層20Hにおいて、多くの迷光経路を進む光(被写体光)を吸収することも迷光対策として有効である。このように、着色層を設ける部位は、プリズム10の各面11〜16の組み合わせでもよいし、その一部分だけでもよい。
携帯電話、スマートフォン等に搭載するカメラでは、撮像レンズの所定の部位(先頭、末尾、中間)に光路を略90°折り曲げる反射部材を用いることで、ユニット厚さ方向の小型化を図ることが提案されている。また、この反射部材を駆動することで、撮影時の手振れをキャンセルすることが提案されている。反射部材としてプリズムを用いた光学系では、プリズムの側面等からの迷光(内面反射、散乱した光)が撮像面に到達しないように、迷光の原因となる面をスリ面としたり、後続のレンズ群や撮像素子等に有害光線が入射しなくなるまでプリズムサイズを大型化したり、墨を塗ったり、遮光シートを挿入したりしていた。
しかしながら、迷光対策としてスリ面を設ける場合、光の正反射成分は減少するが、散乱光が発生し、画面全体にモヤが掛かるようなフレアの発生源となってしまう。
プリズムのサイズを大型化すると、ユニットのサイズも大型化してしまう。また、プリズムの重量が増加して、接着剤等で固定していたプリズムが、ユニットが落下した際の衝撃に耐えられずに脱落するおそれがある。さらに、重量化したプリズムを駆動するための駆動電力を大きくする必要があり、電池の消耗が激しくなる。
迷光対策として墨塗りを施す場合、十分な厚さに墨塗りを施さないと、光が透過して十分な遮光効果が得られなくなってしまう。また、墨塗りを施した面を鏡枠等と接着剤で固着した場合は、当該部品をリペア(再組立)するために、鏡枠から外して接着剤を剥がす際に、墨も一緒に剥がれてしまって再利用できなかったり、再度の墨塗りを施さなければならなかったりする。
さらに、プリズムの入射面、出射面、反射面等の鏡面(光学研磨面)に対して墨を固着させることは難しいため、別途、遮光シート等を挿入して、有害光線を遮ることが考えられる。この場合、遮光シートの開口端面における反射が発生するため、出来る限り薄いシート材を用いることが有効であるが、薄型化には限界がある。一方、シート全体を薄型化した場合には、ユニットへの組込時にハンドリングが困難となる。例えば、ピンセット等で把持したときにシートがよれてしまい、目標位置への配置が困難になったり、ピンセット等で挟み込んだ際に折り曲げ跡が付いてしまったりする。その結果、遮光シートを挟んでプリズムを固定することになり、プリズムの倒れが発生しやすくなるなど、組立精度の悪化にも繋がってしまう。
本実施形態は、プリズム10に着色層20A〜20E、20G、20Hを設けることにより、吸光度が大きく、反射や散乱が少なく、遮光特性に優れた迷光対策が可能となっている。また、鏡面やスリ面等のガラス本体の表面状態によらずに着色可能であるという利点がある。また、接着剤等の屈折率が空気と異なるものが着色層に接触した場合でも、吸収特性に悪影響を与えることはない。また、接着剤等によって着色層が剥離するおそれもない。また、着色部と非着色部は屈折率が同じであるため、着色部と非着色部の境において屈折率差に起因する反射が発生しないため、着色層の端面における光の反射が極めて小さくなる。また、ガラス表面に墨塗り等の層を設けることがないので、ガラス(光学素子)と他部材(例えば他のガラス(光学素子))の位置決め精度に悪影響を及ぼすことがない。
<光学素子をレンズに適用した例>
図14〜図18を参照して、本実施形態の光学素子をレンズ30に適用した場合を説明する。
図14は、光学素子としてのレンズ30の構成の一例を示す図である。図14では、左側を物体側(一方の面側)、右側を像側(他方の面側)としている。レンズ30は、物体側に凸面からなる物体側レンズ面31を有しており、像側に凹面からなる像側レンズ面32を有している。物体側レンズ面31と像側レンズ面32は、それぞれ、有効径内の領域と有効径外の領域とを含む光学面を構成する。レンズ30は、物体側レンズ面31の外側に平面状の物体側ランド面(物体側フランジ部)33を有しており、像側レンズ面32の外側に平面状の像側ランド面(像側フランジ部)34を有している。レンズ30は、物体側ランド面33と像側ランド面34の外径端部を繋ぐ外周面として平面状のコバ面35を有している。
なお、図14で例示したレンズの形状は一例にすぎず、種々の設計変更が可能である。例えば、レンズは、両凸形状、両凹形状、凸メニスカス形状、凹メニスカス形状、平凸形状、平凹形状であってもよい。また、レンズは、シリンドリカルレンズ、アレイレンズ、フレネルレンズ等、種類は問わない。また、レンズは、丸形状のほか、略四角形状、略長方形状、多角形状等、形状は問わない。
図15A〜図15Cは、レンズ30の有効径外に着色層を設ける場合の一例を示す図である。図15A〜図15Cに示すように、着色層は、レンズ30のコバ面35と、ランド面(物体側ランド面33、像側ランド面34)との少なくとも1つに設ける(位置する)ことができる。
図15Aでは、レンズ30のコバ面35に着色層40Aを設けている(位置させている)。
図15Bでは、レンズ30の物体側ランド面33に着色層40Bを設けている(位置させている)。
図15Cでは、レンズ30の物体側ランド面33に着色層40Bを設けており(位置させており)、且つ、レンズ30の像側ランド面34に着色層40Cを設けている(位置させている)。
図16は、光軸方向に隣接する2枚のレンズ50、60の有効径外に着色層を設ける場合の一例を示す図である。図16では、左側を物体側(一方の面側)、右側を像側(他方の面側)としている。物体側のレンズ50は、像側のレンズ面の外側に像側ランド面51を有しており、像側のレンズ60は、物体側のレンズ面の外側に物体側ランド面61を有している。2枚のレンズ50、60は、各レンズの像側ランド面51と物体側ランド面61が互いに当て付けられることにより、光軸方向に位置規制される。
そして、レンズ50の像側ランド面51に着色層70が設けられており(位置しており)、レンズ60の物体側ランド面61に着色層80が設けられている(位置している)。すなわち、着色層70、80は、2枚のレンズ50、60の互いに当て付けられるランド面(像側ランド面51、物体側ランド面61)に設けられている(位置している)。
隣接するレンズ同士の間隔・偏芯の精度を向上させるために、ランド面同士を当て付けて組み立てる構造(方法)では、当て付け箇所(ランド面)に墨塗りや遮光シートを挿入すると、レンズ同士の組付精度が低下してしまう。そのため、当該箇所は遮光することができず、当該箇所を通過する光線が迷光の原因となることがある。
これに対し、本実施形態では、図16に示すように、2枚のレンズ50、60の像側ランド面51、物体側ランド面61の間に異物が存在するわけではなく、着色層70、80が2枚のレンズ50、60の一部として存在しているので、2枚のレンズ50、60(像側ランド面51、物体側ランド面61)の当付精度(組付精度)を高いレベルで維持しつつ、良好な迷光対策を実現することができる。
図17は、着色層が絞りとして機能する場合の一例を示す図である。図17に示すように、着色層90Aは、レンズ30の物体側ランド面33と物体側レンズ面31に跨って設けられており(位置しており)、着色層90Bは、レンズ30の像側ランド面34と像側レンズ面32に跨って設けられており(位置しており)、着色層90Cは、レンズ30のコバ面35に設けられている(位置している)。
着色層90Aと着色層90Bは、レンズ30の物体側レンズ面31と像側レンズ面32(一方の面と他方の面)の有効径の位置から各ランド面に跨って形成されていて、レンズ30の有効径を規定している(着色層90Aと着色層90Bが絞りとして機能している)。これにより、物理的な絞りを挿入することなく、被写体光束の有効径を規定できるので、構造を簡単にするとともに、部品点数を減らして、組み立てを簡単にすることができる。なお、絞りの機能は、例えば、軸上光束の光線高さを決定する開口絞り、軸外光束の光線高さを決定する固定絞りとすることができる。
図18A〜図18Cは、レンズの両面で着色層の着色領域を互いに異ならせる場合の一例を示す図である。図18A〜図18Cにおいて、中央に描いた矩形の領域は、撮像素子による撮像領域IMを意味している。図18Aにおいて、撮像領域IMを取り囲む環状線より外側のパターン部は、レンズ30の物体側の面(一方の面)の着色領域90Aを意味している。図18Aにおいて、撮像領域IMを取り囲む環状線の内外のパターン部は、レンズ30の像側の面(他方の面)の着色領域90Bを意味している。図18Bは、レンズ30の物体側の面(一方の面)の着色領域90Aを示しており、図18Cは、レンズ30の像側の面(他方の面)の着色領域90Bを示している。レンズ30が正のパワーを持って光(被写体光)を収束させる場合、図18A〜図18Cに示すように、レンズ30の物体側の面(一方の面)の着色領域90Aを相対的に小さくして、レンズ30の像側の面(他方の面)の着色領域90Bを相対的に大きくする。
逆に、レンズ30が負のパワーを持って光(被写体光)を発散させる場合、レンズ30の物体側の面(一方の面)の着色領域を相対的に大きくして、レンズ30の像側の面(他方の面)の着色領域を相対的に小さくしてもよい。
このように、遮光したい光線の角度に合わせて(応じて)、着色層を、レンズ30の物体側の面と像側の面(一方の面と他方の面)の有効径外の互いに異なる着色領域に設ける(位置させる)。このとき、例えば、凹面に潜り込んだ位置でも着色によれば遮光が可能になる(変曲点を乗り越えて遮光シートを挿入することは困難であるので本実施形態に特有の作用効果である)。ここで、着色領域の形状は、円形に限られず、有効光線領域の形状に合わせて(応じて)、自由度のある形状とすることができる。
デジタルカメラ、監視カメラ、車載カメラ、アクションカメラ等の光学系においても、レンズの迷光対策が講じられている。例えば、光学部品(レンズ)の有効径外の遮光・反射防止は、墨塗りを施したり、遮光シートを挿入したりして、対策している。
墨塗りを施す場合、墨の厚さを考慮したレンズ径に仕上げる必要があるため、管理が難しい。また、墨塗り厚さのばらつきがあるため、外径寸法精度が悪くなる傾向がある。また、墨の厚さが不十分だと、有害光線が墨を通過して、イメージセンサに有害光線が到達してしまう。一方、墨を厚塗りしすぎると、墨のエッジが光ることで、ゴーストの原因になってしまう。また、精密プレス成形によりレンズ面とランド面とを形成したレンズにおいて、ランド面に墨塗りを施す場合、通常、鏡面に墨を固着させることは難しく、墨を固着させるためには、スリ面とするための芯取等の工程が追加となる。このため、精密プレス成形により高い精度の球欠(凸面の場合はランド部に対するレンズ中心高さ、凹面の場合はランド部に対するレンズ中心深さ)寸法を有するレンズを得ていたとしても、ランド部をスリ面とするための工程により球欠寸法の精度が悪くなる傾向がある。
例えば、略矩形形状の遮光シートを挿入する場合、シートの組付偏芯精度が悪いと、ある特定の方位では遮光が不十分となってしまう。また、遮光シートをレンズの凹面に潜り込ませることは難しい。
本実施形態では、レンズ30、50、60に着色層40A〜40C、70、80、90A〜90Cを設けることにより、吸光度が大きく、反射や散乱が少なく、遮光特性に優れた迷光対策が可能となっている。また、鏡面やスリ面等のガラス本体の表面状態によらずに着色可能であるという利点がある。また、レンズ形状に依存することなく、有効光線領域に合わせた自由度のあるレンズ形状にて着色層を設けられるので、遮光特性に優れた迷光対策が可能となる。また、着色部と非着色部は屈折率が同じであるため、着色部と非着色部の境において屈折率差に起因する反射が発生しないため、着色層の端面における光の反射が極めて小さくなる。また、ガラス表面に墨塗り等の層を設けることがないので、ガラス(光学素子)と他部材(例えば他のガラス(光学素子))の位置決め精度に悪影響を及ぼすことがない
<光学素子をレンズアレイやレンチキュラーレンズに適用した例>
図19A〜図19Cを参照して、本実施形態の光学素子をマイクロレンズアレイ100及びレンチキュラーレンズ120に適用した場合を説明する。図19Aは、マイクロレンズアレイ100を示す平面図であり、図19Bは、レンチキュラーレンズ120を示す平面図であり、図19Cは、図19AのA−A線と図19BのB−B線に沿う断面図である(符号は併記している)。
図19Aに示すように、マイクロレンズアレイ100は、複数(多数)のマイクロレンズ(レンズ面)101を集結したものであり、ここでは、縦横3×3の合計9個のマイクロレンズ101を例示的に描いている。そして、図19A、図19Cに示すように、着色層110が、複数のマイクロレンズ101の有効径外に位置して、複数のマイクロレンズ101を区画している。
図19Bに示すように、レンチキュラーレンズ120は、上下方向に延びる蒲鉾形状の3個のレンズ面121を集結したものである(レンズ面の数は3個に限定されずに種々の設計変更が可能である)。そして、図19B、図19Cに示すように、着色層130が、複数(ここでは3個)のレンズ面121の有効径外に位置して、複数(ここでは3個)のマイクロレンズ101を区画している。
このように、光学素子(マイクロレンズアレイ100又はレンチキュラーレンズ120)は、複数のレンズ面(101又は121)を有し、着色層(110又は130)は、複数のレンズ面(101又は121)の有効径外に位置して、複数のレンズ面(101又は121)を区画する。これにより、例えば、複数のレンズ面(101又は121)に入射しきれなかった光が有効径外を透過して迷光になることを効果的に防止することが可能になる。
<光学素子を反射防止コートを施したプリズムやレンズに適用した例>
図20Aを参照して、本実施形態の光学素子を反射防止コートを施したプリズム10に適用した場合を説明する。
図20Aに示すように、プリズム10の入射面11の中央に反射防止コート140Aが施されており、プリズム10の出射面12の中央に反射防止コート140Bが施されている。これに対して、プリズム10の入射面11と出射面12のうち、両者の接続部(境界部)に位置する略L字状の部分には、反射防止コートが施されていない。また、プリズム10の入射面11のうち、面取面15との接続部(境界部)に位置する部分にも、反射防止コートが施されていない。また、プリズム10の出射面12のうち、面取面16との接続部(境界部)に位置する部分にも、反射防止コートが施されていない。
そして、プリズム10の入射面11と出射面12のうち、反射防止コートが施されていない箇所のガラス表面からガラス内部に亘って、着色層150A、150B、150Cが設けられている。より具体的に、着色層150Aは、プリズム10の入射面11と出射面12のうち、両者の接続部(境界部)に位置する略L字状の部分に設けられている。着色層150Bは、プリズム10の入射面11のうち、面取面15との接続部(境界部)に位置する部分に設けられている。着色層150Cは、プリズム10の出射面12のうち、面取面16との接続部(境界部)に位置する部分に設けられている。
図20Bを参照して、本実施形態の光学素子を反射防止コートを施したレンズ160に適用した場合を説明する。
図20Bに示すように、レンズ160は、物体側レンズ面161と、像側レンズ面162と、物体側レンズ面161と像側レンズ面162の外周端部を接続するコバ面163とを有している。物体側レンズ面161は物体側に凸面を向けており、像側レンズ面162は像側に凸面を向けており、レンズ160は全体として両凸形状を有している。
レンズ160の物体側レンズ面161の略全域に反射防止コート170Aが施されており、レンズ160の像側レンズ面162の略全域に反射防止コート170Bが施されている。一方、レンズ160の物体側レンズ面161と像側レンズ面162のうち、コバ面163との接続部(境界部)に位置する部分には、反射防止コートが施されていない。また、レンズ160のコバ面163にも、反射防止コートが施されていない。
そして、レンズ160の物体側レンズ面161と像側レンズ面162のうち、反射防止コートが施されていない箇所のガラス表面からガラス内部に亘って、着色層180A、180Bが設けられている。より具体的に、着色層180Aは、レンズ160の物体側レンズ面161のうち、コバ面163との接続部(境界部)に位置する部分に設けられている。着色層180Bは、レンズ160の像側レンズ面162のうち、コバ面163との接続部(境界部)に位置する部分に設けられている。
図20A、図20Bに示すように、光学素子としてのプリズム10とレンズ160は、反射防止コート面(反射防止コート140A、140B、170A、170Bが施された面)と、反射防止コートが施されていない非反射防止コート面とを有しており、この非反射防止コート面に、着色層150A〜150C、180A、180Bが設けられている(位置している)。
レンズやプリズム等の光学部品では、光学面に反射防止コートを施すことが一般的に行われている。光学部品に反射防止コートを施す際、治具内で光学部品が動かないよう、光学部品の一部分を治具で押さえ付けることがある。この場合、光学部品のうち治具で押さえ付けた部分には反射防止コートが成膜されず、ガラス面が露出するため、反射率が高い箇所が形成されてしまう。また、反射防止コート面と非反射防止コート面の境界のコート特性は、コート治具による遮蔽等の影響によって、反射防止コートが設計通りの膜厚に成膜されず、反射率が意図しない高い状態になってしまうおそれがある。
そこで、非反射防止コート面(反射防止コート面との境界部を含む)への光の入射を遮るために、光学部品の外側から鏡枠や遮光シートで非反射防止コート面を覆うことが考えられる。しかし、この場合、光学部品の外側から非反射防止コート面へ進入する光を遮ることは可能だが、光学部品の内部から非反射防止コート面へ進入する光を遮ることはできないため、非反射防止コート面を起因とする迷光が発生するおそれがある。
光学部品(レンズやプリズム)の加工においては、このような非反射防止コート面が生じないように、芯取前にレンズ全面に反射防止コートを施して、その後に芯取を行う加工プロセスとすることで、光学面の全面に反射防止機能を持たせることが考えられる。しかし、この加工プロセスでは、反射防止コートを施した面に芯取機のベルクランプを接触させて芯取加工を行うことになるため、反射防止コートに傷や跡が発生しやすいという問題がある。
これに対し、本実施形態の光学素子(レンズやプリズム)では、非反射防止コート面に着色層を設けることにより、光学部品の内部から非反射防止コート面に進入する光を吸収により減衰・遮光することができる。また、鏡面やスリ面等のガラスの表面状態によらずに着色層を設けることで、減衰・遮光を効果的に実現することができる。また、着色層を形成して芯取加工を行った後、又は、芯取加工を行って着色層を形成した後のタイミングで、反射防止コートの成膜工程とすることができるので、例えば、ベルクランプによる反射防止コートへの傷や跡の発生も確実に回避される。
<光学素子を光学窓に適用した例>
図21A、図21B及び図22A、図22Bを参照して、本実施形態の光学素子を、出射窓や入射窓を含む光学窓に適用した場合を説明する。ここでは、発光部からの光を検出対象物で反射させて受光部で受光することで検出対象物の情報を取得するセンサ装置を例示して説明する。
図21B、図22Bに示すように、センサ装置は、光学部品(光学素子)を収納する筐体190を有している。筐体190は、発光側の光学部品(光学素子)を収納する発光側収納室191と、受光側の光学部品(光学素子)を収納する受光側収納室192とを有している。
発光側収納室191には、発光部200が収納されており、その上面に、出射窓201が設けられている。出射窓201は、発光部200による光を検出対象物に向けて出射する(発光部200からの光が出射する)。なお、発光側収納室191内の光学部品(光学素子)としては発光部200を明示したが、この他に投影レンズやフィルタ、拡散板、回折素子など各種の光学部品(光学素子)を含んでいてもよい。
受光側収納室192には、受光部210が収納されており、その上面に、入射窓211が設けられている。入射窓211は、発光部200が発光して検出対象物で反射した光を受光部210に向けて入射させる(受光部210への光が入射する)。なお、受光側収納室192内の光学部品(光学素子)としては受光部210を明示したが、この他に受光レンズやフィルタなど各種の光学部品(光学素子)を含んでいてもよい。
図21A、図21Bでは、出射窓201と入射窓211の有効径外に位置して出射窓201と入射窓211を区画する着色層220が設けられている。この着色層220は、出射窓201と入射窓211の有効径外の部分の全域(略全域)に設けられている。
図22A、図22Bでは、出射窓201と入射窓211の有効径外に位置して出射窓201と入射窓211を区画する着色層230が設けられている。この着色層230は、出射窓201の有効径外に位置する環状の着色層と、入射窓211の有効径外に位置する環状の着色層とを含んでいる。
例えば、本実施形態のように、発光部200と受光部210が隣接しており、発光部200からの光を検出対象物で反射させて受光部210で受光することで検出対象物の情報を取得するセンサ装置にあっては、出射窓201と入射窓211の窓材を通じて、発光部200からの光の一部が反射・散乱して、筐体190の内部を伝搬してしまう。つまり、発光部200からの光が検出対象物に向けて出射されることなく、筐体190の内部で複数回の反射を繰り返した後に、受光部210に入射する結果、センシングにおけるノイズや誤検出の原因となるおそれがある。
発光部と受光部の距離を十分に確保する、且つ/又は、発光部と受光部に個別の窓材を使用することによって、上記の影響を低減することが可能であるが、個別の窓材を固定するための枠部品を窓材同士の間に配置する必要があるなど、製品のサイズが大きくなったり、部品点数の増加や高コスト化が避けられなかったりというデメリットがある。
これに対し、本実施形態の光学素子(光学窓、出射窓、入射窓)では、光学窓(出射窓、入射窓)のガラス内部に着色層(吸光度の高い吸収層)が形成されるため、着色層に入射した際に迷光が減衰し、窓枠内部の反射・散乱を防止することができる。また、発光部と受光部の距離をつめることで製品のサイズを小さく維持するとともに、光学窓(出射窓、入射窓)に着色層を設ける以外の構造上の特別な工夫を不要にできるので、部品点数の減少や低コスト化を図ることができる。また、鏡面やスリ面等のガラスの表面状態によらずに着色層を設けることで、減衰・遮光を効果的に実現することができる。また、光学窓(出射窓、入射窓)への着色の形状に自由度を持たせられるため、意匠性を向上させることも可能である。
<光学素子をその他の用途に適用した例>
上述した例の他にも、本実施形態の光学素子は、平行平板と、カバーガラス(撮像素子のカバーガラス)と、光学フィルタ(IRカットフィルタ、偏光フィルタ、NDフィルタ等)と、ビームスプリッタとの少なくとも1つとすることができる。この場合、着色層は、平行平板と、カバーガラス(撮像素子のカバーガラス)と、光学フィルタ(IRカットフィルタ、偏光フィルタ、NDフィルタ等)と、ビームスプリッタとの少なくとも1つの有効径外に位置することができる。
本実施形態の光学素子及び光学装置は、例えば、各種の携帯電話、スマートフォン等に搭載するカメラ、デジタルカメラ、監視カメラ、車載カメラ、アクションカメラ等に適用することができる。
1 ガラス本体
2 着色層
10 プリズム(光学素子)
11 入射面
12 出射面
13 反射面
14 側面
15 16 面取面
20A 20B 20C 20D 20E 20G 20H 着色層
30 レンズ(光学素子)
31 物体側レンズ面
32 像側レンズ面
33 物体側ランド面(ランド面、物体側フランジ部)
34 像側ランド面(ランド面、像側フランジ部)
35 コバ面
40A 40B 40C 着色層
50 60 レンズ(光学素子)
51 像側ランド面(ランド面)
61 物体側ランド面(ランド面)
70 80 着色層
90A 90B 90C 着色層
100 マイクロレンズアレイ(光学素子)
101 マイクロレンズ(レンズ面)
110 着色層
120 レンチキュラーレンズ(光学素子)
121 レンズ面
130 着色層
140A 140B 反射防止コート
150A 150B 150C 着色層
160 レンズ(光学素子)
161 物体側レンズ面
162 像側レンズ面
163 コバ面
170A 170B 反射防止コート
180A 180B 着色層
190 筐体
191 発光側収納室
192 受光側収納室
200 発光部
201 出射窓(光学窓)
210 受光部
211 入射窓(光学窓)
220 230 着色層

Claims (14)

  1. ガラス本体を有する光学素子であって、
    前記ガラス本体の内部かつ前記光学素子の有効径外に位置する着色層を有する、
    ことを特徴とする光学素子。
  2. 前記着色層は、前記ガラス本体の表面から内部に亘って位置する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記着色層の前記ガラス本体の表面から内部に亘る厚みは、1〜300μmである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の光学素子。
  4. 前記着色層は、波長750nmにおける光学濃度ODが2.0以上である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学素子。
  5. 前記光学素子は、反射防止コート面と、非反射防止コート面とを有し、
    前記着色層は、前記非反射防止コート面に位置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学素子。
  6. 前記光学素子は、プリズムを有し、
    前記着色層は、前記プリズムの入射面と、出射面と、反射面と、側面と、これら各面のいずれかの境界にある面取面との少なくとも1つに位置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子。
  7. 前記光学素子は、レンズを有し、
    前記着色層は、前記レンズのコバ面と、ランド面との少なくとも1つに位置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子。
  8. 前記光学素子は、2枚のレンズを有し、
    前記2枚のレンズは、各レンズの有効径外のランド面が互いに当て付けられ、
    前記着色層は、前記2枚のレンズの互いに当て付けられるランド面に位置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子。
  9. 前記光学素子は、レンズを有し、
    前記着色層は、前記レンズの一方の面と他方の面の有効径を規定する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子。
  10. 前記光学素子は、レンズを有し、
    前記着色層は、前記レンズの一方の面と他方の面の有効径外の互いに異なる着色領域に位置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子。
  11. 前記光学素子は、複数のレンズ面を有し、
    前記着色層は、前記複数のレンズ面の有効径外に位置して前記複数のレンズ面を区画する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子。
  12. 前記光学素子は、発光部からの光が出射する出射窓と、受光部への光が入射する入射窓とを有し、
    前記着色層は、前記出射窓と前記入射窓の有効径外に位置して前記出射窓と前記入射窓を区画する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子。
  13. 前記光学素子は、平行平板と、カバーガラスと、光学フィルタと、ビームスプリッタとの少なくとも1つを有し、
    前記着色層は、前記平行平板と、前記カバーガラスと、前記光学フィルタと、前記ビームスプリッタとの少なくとも1つの有効径外に位置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子。
  14. 請求項1から請求項13のいずれかに記載の光学素子を有する光学装置。
JP2019149299A 2019-08-16 2019-08-16 光学素子及び光学装置 Active JP7385334B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019149299A JP7385334B2 (ja) 2019-08-16 2019-08-16 光学素子及び光学装置
US16/991,411 US11656456B2 (en) 2019-08-16 2020-08-12 Optical element and optical apparatus
TW109127713A TW202109091A (zh) 2019-08-16 2020-08-14 光學元件及光學裝置
CN202010817223.2A CN112462453A (zh) 2019-08-16 2020-08-14 光学元件以及光学装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019149299A JP7385334B2 (ja) 2019-08-16 2019-08-16 光学素子及び光学装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021032923A true JP2021032923A (ja) 2021-03-01
JP7385334B2 JP7385334B2 (ja) 2023-11-22

Family

ID=74567855

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019149299A Active JP7385334B2 (ja) 2019-08-16 2019-08-16 光学素子及び光学装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US11656456B2 (ja)
JP (1) JP7385334B2 (ja)
CN (1) CN112462453A (ja)
TW (1) TW202109091A (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021173874A (ja) * 2020-04-24 2021-11-01 Hoya株式会社 光学素子及び光学装置
TWI808479B (zh) * 2021-07-16 2023-07-11 大立光電股份有限公司 透鏡組、光學裝置與電子裝置
WO2023183142A1 (en) 2022-03-25 2023-09-28 Corning Incorporated High-index high-dispersion phosphate glasses containing bismuth oxide

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01115842A (ja) * 1987-10-29 1989-05-09 Olympus Optical Co Ltd 成形ガラスレンズ
JPH0659195A (ja) * 1992-08-07 1994-03-04 Fuji Photo Optical Co Ltd 内視鏡用光学系装置
JPH07124100A (ja) * 1993-11-01 1995-05-16 Olympus Optical Co Ltd 内視鏡用保護装置
JPH0850251A (ja) * 1994-08-05 1996-02-20 Toshiba Corp ファイバースコープ用光学部品
JPH09221337A (ja) * 1996-02-15 1997-08-26 Cerdec Ag Keramische Farben 黒色ガラスフリット、その製造及びその使用
JP2011100056A (ja) * 2009-11-09 2011-05-19 Fujifilm Corp レンズモジュール及び撮像ユニット
KR20120069356A (ko) * 2010-12-20 2012-06-28 엘지이노텍 주식회사 불투명층이 형성된 렌즈 어레이 및 그 제조방법
WO2014108566A1 (en) * 2013-01-14 2014-07-17 Kaleido Technology Aps A lens array and a method of making a lens array
US20150103407A1 (en) * 2013-10-16 2015-04-16 Shen-Chieh Chen Lens, optical imaging lens set and method for forming a lens
JP5792026B2 (ja) * 2011-10-28 2015-10-07 オリンパス株式会社 光学素子、および光学素子の製造方法
CN206671646U (zh) * 2017-04-15 2017-11-24 瑞声科技(新加坡)有限公司 镜片组件以及镜头模组
JP2019090849A (ja) * 2017-11-10 2019-06-13 カンタツ株式会社 光学素子及び撮像レンズ

Family Cites Families (29)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4882262A (en) * 1987-09-28 1989-11-21 Honeywell Inc. Self-aligning aperture
JP2002201041A (ja) 2000-10-23 2002-07-16 Hoya Corp ガラス成形品の製造方法、その方法で得られた光学素子およびガラスの処理方法
JP2005010442A (ja) * 2003-06-19 2005-01-13 Nippon Sheet Glass Co Ltd 樹脂性光学部品およびその製造方法
JP2005097036A (ja) 2003-09-25 2005-04-14 Kawazoe Frontier Technology Kk 水素処理用多成分ガラス材料及び水素処理複合体
JP5313587B2 (ja) 2008-07-31 2013-10-09 学校法人慶應義塾 反射防止膜及びこれを有する光学部品、交換レンズ及び撮像装置
US8422138B2 (en) * 2009-07-02 2013-04-16 Digitaloptics Corporation East Wafer level optical elements and applications thereof
JP2011170334A (ja) * 2010-01-20 2011-09-01 Fujifilm Corp ウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物、及びウエハレベルレンズ
JP2012068510A (ja) 2010-09-24 2012-04-05 Hoya Corp 撮影光学系、及び撮影装置
US20120075727A1 (en) 2010-09-24 2012-03-29 Hoya Corporation Imaging optical system and imaging apparatus
JP5579555B2 (ja) * 2010-09-24 2014-08-27 Hoya株式会社 撮影光学系、及び撮影装置
US20120075518A1 (en) 2010-09-29 2012-03-29 Hoya Corporation Imaging unit
JP2012093730A (ja) 2010-09-30 2012-05-17 Hoya Corp 撮像装置
JP5551055B2 (ja) 2010-12-08 2014-07-16 Hoya株式会社 ズームレンズ系
KR20120081856A (ko) * 2011-01-12 2012-07-20 삼성전기주식회사 렌즈 제조 방법 및 렌즈
JP5802405B2 (ja) * 2011-03-03 2015-10-28 日本板硝子株式会社 正立等倍レンズアレイプレート、光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置
JP2013029643A (ja) 2011-07-28 2013-02-07 Hoya Corp 撮像ユニット
JP5985353B2 (ja) 2011-11-08 2016-09-06 Hoya株式会社 撮像ユニット
JP2013238848A (ja) 2012-04-20 2013-11-28 Hoya Corp 撮像装置
JP5797627B2 (ja) 2012-09-25 2015-10-21 Hoya株式会社 撮像装置
JP5671515B2 (ja) 2012-12-03 2015-02-18 武藤工業株式会社 インクジェットプリンタのインク乾燥装置
WO2014109711A1 (en) * 2013-01-10 2014-07-17 Heptagon Micro Optics Pte. Ltd. Opto-electronic modules including features to help reduce stray light and/or optical cross-talk
JP6114049B2 (ja) 2013-02-04 2017-04-12 Hoya株式会社 撮像装置
US20140226060A1 (en) * 2013-02-08 2014-08-14 Htc Corporation Electronic device and method for manufacturing the same
TW201704175A (zh) * 2015-06-02 2017-02-01 康寧公司 具有著色層的積層玻璃製品
DE112016006841T5 (de) * 2016-05-11 2019-01-24 Olympus Corporation Verfahren zur herstellung einer linseneinheit und verfahren zur herstellung einer abbildungsvorrichtung
CN111556855B (zh) 2018-02-01 2023-01-31 Hoya株式会社 着色玻璃及其制造方法
CN108461045B (zh) * 2018-03-13 2020-06-19 京东方科技集团股份有限公司 显示装置及其制造方法
US11686884B2 (en) * 2018-12-07 2023-06-27 Apple Inc. Light-absorbing flange lenses
JPWO2020230649A1 (ja) * 2019-05-10 2020-11-19

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01115842A (ja) * 1987-10-29 1989-05-09 Olympus Optical Co Ltd 成形ガラスレンズ
JPH0659195A (ja) * 1992-08-07 1994-03-04 Fuji Photo Optical Co Ltd 内視鏡用光学系装置
JPH07124100A (ja) * 1993-11-01 1995-05-16 Olympus Optical Co Ltd 内視鏡用保護装置
JPH0850251A (ja) * 1994-08-05 1996-02-20 Toshiba Corp ファイバースコープ用光学部品
JPH09221337A (ja) * 1996-02-15 1997-08-26 Cerdec Ag Keramische Farben 黒色ガラスフリット、その製造及びその使用
JP2011100056A (ja) * 2009-11-09 2011-05-19 Fujifilm Corp レンズモジュール及び撮像ユニット
KR20120069356A (ko) * 2010-12-20 2012-06-28 엘지이노텍 주식회사 불투명층이 형성된 렌즈 어레이 및 그 제조방법
JP5792026B2 (ja) * 2011-10-28 2015-10-07 オリンパス株式会社 光学素子、および光学素子の製造方法
WO2014108566A1 (en) * 2013-01-14 2014-07-17 Kaleido Technology Aps A lens array and a method of making a lens array
US20150103407A1 (en) * 2013-10-16 2015-04-16 Shen-Chieh Chen Lens, optical imaging lens set and method for forming a lens
CN206671646U (zh) * 2017-04-15 2017-11-24 瑞声科技(新加坡)有限公司 镜片组件以及镜头模组
JP2019090849A (ja) * 2017-11-10 2019-06-13 カンタツ株式会社 光学素子及び撮像レンズ

Also Published As

Publication number Publication date
US11656456B2 (en) 2023-05-23
US20210048665A1 (en) 2021-02-18
TW202109091A (zh) 2021-03-01
CN112462453A (zh) 2021-03-09
JP7385334B2 (ja) 2023-11-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106145668B (zh) 光学玻璃、光学预制件和光学元件
US11656456B2 (en) Optical element and optical apparatus
KR101343708B1 (ko) 비구면 렌즈 및 그 제조 방법
JP7295766B2 (ja) 光学ガラスおよび光学素子
JP3965352B2 (ja) 銅含有ガラス、近赤外光吸収素子および近赤外光吸収フィルター
JP2011132077A (ja) 近赤外光吸収ガラス、近赤外光吸収フィルターおよび撮像装置
JP2007099604A (ja) 近赤外線吸収ガラス、それを備えた近赤外線吸収素子および撮像装置
CN107540214B (zh) 光学玻璃、光学预制件和光学元件
US7170154B2 (en) Glass for window of semiconductor package, glass window for semiconductor package, process for production of glass window, and semiconductor package
US20230250016A1 (en) Glass
JP4433391B2 (ja) 半導体パッケージの窓用ガラス、半導体パッケージ用ガラス窓および半導体パッケージ
JP2005353718A (ja) 半導体パッケージの窓用ガラス、半導体パッケージ用ガラス窓および半導体パッケージ
CN109626815B (zh) 光学玻璃、玻璃预制件、光学元件及光学仪器
JP6961547B2 (ja) 光学ガラスおよび光学素子
US11774649B2 (en) Optical element and optical apparatus
TWI842990B (zh) 光學元件及光學裝置
WO2022044416A1 (ja) 着色層を有するガラスおよびその製造方法
US20240092683A1 (en) Optical glass, near-infrared cut filter, glass element for press molding, optical element blank, and optical elements
US20220250968A1 (en) Glass and optical element
TW202335991A (zh) 玻璃、玻璃物品、光學玻璃、玻璃元件
JP2023098675A (ja) ガラス
CN114901606A (zh) 近红外线吸收玻璃及近红外线截止滤光片

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220418

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230810

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20231018

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7385334

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150