JP2021031781A - 銀付調皮革様シート、それを表皮材として備えるボール、及び立毛皮革様シート - Google Patents

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哲哉 芦田
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正督 藤
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千加 高井
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Kyoichi Fujimoto
恭一 藤本
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Abstract

【課題】グリップ性に優れた銀付調皮革様シート、それを表皮材として備えるボール、及び立毛皮革様シートを提供する。【手段】繊維基材と、繊維基材に積層された銀面樹脂層とを備える銀付調皮革様シートであって、銀面樹脂層はスケルトンナノシリカ粒子と高分子弾性体とを含み、スケルトンナノシリカ粒子は、一辺の長さが平均30〜300nmの立方体フレーム状であって、立方体フレームの各面における四辺形状のシリカフレーム間に孔を有する銀付調皮革様シート。【選択図】図2

Description

本発明はグリップ性に優れた、銀付調皮革様シート、それを表皮材として備えるボール、及び立毛皮革様シートに関する。
ボール,手袋,靴等にはグリップ性(耐スリップ性)が求められることがある。例えば、下記特許文献1は、ウェット時のグリップ性が改善された皮革様シートとして、繊維基材と繊維基材に積層された表面層とを備える銀付調皮革様シートであって、表面層が中空ナノシリカ粒子及び高分子弾性体を含む皮革様シートを開示する。
また、下記特許文献2は、30〜300nmの範囲内の外径を有し、シリカ殻からなるナノ粒子であって、シリカ殻は全体が六面で形成される立方体フレーム状をなしており、立方体フレームの内部は空洞で、立方体フレームの各面における四辺形状のシリカフレーム間に孔を有するスケルトンナノシリカ粒子を開示する。そして、下記特許文献2は、そのようなスケルトンナノシリカ粒子は、例えば、有効成分を内包した徐放性医薬品や徐放性化粧品、外環境との接触により分解あるいは劣化してしまう物質の保護、ドラッグデリバリーシステムのための担体、フィルタや電解液保持体、LED等の照明へ応用して発光効率の増大を図る部材、基板の超撥水性膜・超親水性膜等としての応用も可能となることを開示する。
国際公開WO2009/125758号パンフレット 国際公開WO2012/132757号パンフレット
特許文献1に開示された皮革様シートは、未だグリップ性が不充分であった。本発明は、グリップ性に優れた銀付調皮革様シート、それを表皮材として備えるボール、及び立毛皮革様シートを提供することを目的とする。
本発明の一局面は、繊維基材と、繊維基材に積層された銀面樹脂層とを備える銀付調皮革様シートであって、銀面樹脂層はスケルトンナノシリカ粒子と高分子弾性体とを含み、スケルトンナノシリカ粒子は、一辺の長さが平均30〜300nmの立方体フレーム状であって、立方体フレームの各面における四辺形状のシリカフレーム間に孔を有する銀付調皮革様シートである。このようなスケルトンナノシリカ粒子を含有する銀面樹脂層を備える銀付調皮革様シートは、従来の皮革様シートに比べて、グリップ性に優れる。
また、スケルトンナノシリカ粒子は、立方体フレームの内部空隙が高分子弾性体で埋められていないことが、銀付調皮革様シートのグリップ性が向上する点から好ましい。
また、スケルトンナノシリカ粒子は、好ましくは、疎水性有機基で表面修飾されていることが、スケルトンナノシリカが疎水化することにより、スケルトンナノシリカ粒子のシリカフレーム間の孔に液体の水は浸透しにくいが、水蒸気は吸着しやすくなる特性を保持しやすくなる。このような特性は得られる銀付調皮革様シートのグリップ性の継続性を向上させる点から好ましい。
また、銀面樹脂層は、スケルトンナノシリカ粒子を0.01〜1g/m2含むことが、充分に高いグリップ性を備える点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、上記何れかの銀付調皮革様シートを表皮材として備えるボールである。このようなボールは高いグリップ性を備える。
また、本発明の他の一局面は、繊維基材と、繊維基材の表層の繊維を立毛させた立毛繊維を有する立毛皮革様シートであって、立毛繊維の表面に付着するスケルトンナノシリカ粒子を含み、スケルトンナノシリカ粒子は、一辺の長さが平均30〜300nmの立方体フレーム状である立毛皮革様シートである。このような立毛繊維の表面に付着するスケルトンナノシリカ粒子を含む立毛皮革様シートは、従来の立毛皮革様シートに比べて、表面のグリップ性が高い。
本発明によれば、グリップ性に優れた銀付調皮革様シート、それを表皮材として備えるボール、及び立毛皮革様シートが得られる。
図1は、スケルトンナノシリカ粒子の粒子形状を説明するための斜視模式図である。 図2は、第1実施形態の銀付調人工皮革10の断面模式図である。 図3は、第2実施形態の立毛人工皮革20の断面模式図である。 図4は、製造例1で製造したスケルトンナノシリカ粒子の電子顕微鏡写真である。 図5は、製造例1で製造したスケルトンナノシリカ粒子の水蒸気吸着等温線を示す。
[スケルトンナノシリカ粒子]
はじめに、図1を参照して、スケルトンナノシリカ粒子の詳細について説明する。
図1は、スケルトンナノシリカ粒子の粒子形状を説明するための斜視模式図である。図1中、1は立方体フレーム状のスケルトンナノシリカ粒子である。ここで、立方体フレーム状とは、図1を参照すれば、立方体状の中空シリカ殻を形成する四辺形状の六面の各面における四辺形状のシリカフレーム間に孔hを形成させて孔h同士が連通している形状を有する。なお、スケルトンナノシリカ粒子としては、図1に示すように、六面の全てに孔hが形成されていることが好ましいが、六面のうちのいくつかが閉じられているスケルトンナノシリカ粒子を含んでもよい。
スケルトンナノシリカ粒子1の立方体フレーム状は、一辺の長さが平均30〜300nmである粒径を有する。ここで、図1を参照すれば、一辺の長さRは、スケルトンナノシリカ粒子1の一辺の中点C1から対辺の中点C2までの長さであり、Rの平均は、走査型電子顕微鏡(SEM)で20万倍でスケルトンナノシリカ粒子を観察したときに観察される辺の長さの平均値を意味する。
図1を参照すれば、六面の各面における四辺形状のシリカフレーム間に形成された孔hの開口径Aは5〜290nmの範囲内であることが好ましい。また、四辺形状の六面の各面の表面積に対して各孔hの占める割合である開口率は3〜94%の範囲内であることが好ましい。また、四辺形状の六面の各面の表面積に対して各孔hの占める割合である開口率が3〜94%の範囲内であるとき、スケルトンナノシリカ粒子1の四辺形状の六面の各面の枠の幅Wは3〜115nmの範囲内であることが好ましい。また、とくには、スケルトンナノシリカ粒子1の開口径Aが10〜280nmの範囲内で、四辺形状の六面の各面の表面積に対して各孔1bの占める割合である開口率が10〜87%の範囲内で、四辺形状の六面の各面の枠の幅Wが5〜100nmの範囲内であることが好ましい。また、四辺形状の六面の各面の枠の厚さtは1〜10nmの範囲内であることが好ましい。
このようなスケルトンナノシリカ粒子は、例えば、次のようにして製造される。所定の大きさの外径を有し立方体状で乾燥粉末状態の炭酸カルシウム粒子の表面を有機酸で被覆して乾燥粉末状態の有機酸被覆炭酸カルシウム粒子を形成する。そして、有機酸被覆炭酸カルシウム粒子における有機酸の一部を溶解する有機溶媒に、有機酸被覆炭酸カルシウム粒子を分散させ、更に、シリコンアルコキシド及び塩基触媒を混合し、炭酸カルシウム粒子のエッジに沿ってゾルゲル法によりシリカ殻を形成してシリカ形成粒子を生成させる。そして、シリカ形成粒子の内部における炭酸カルシウムを酸処理によって溶解させることにより、スケルトンナノシリカ粒子を生成させる。
有機酸としては、乾燥粉末状態の炭酸カルシウム粒子を被覆できるものが好ましく用いられる。有機酸の具体例としては、例えば、ロジン酸,脂肪酸等のアルカリ性石鹸等が挙げられる。また、有機酸の一部を溶解する有機溶媒としては、有機酸被覆炭酸カルシウム粒子における有機酸の一部を溶解し、かつ、シリコンアルコキシドと水に対して溶解性があるものが用いられる。有機酸の一部を溶解する有機溶媒の具体例としては、有機酸に対する溶解性が小さく、炭酸カルシウム粒子やシリコンアルコキシドとの相互作用性(親和性・反応性)が小さい、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールや、メチルエチルケトン等のケトンや、ジオキサン等のエーテル等の溶媒が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上を組みわせて用いてもよい。
また、シリコンアルコキシドとしては、その加水分解によりシリカを析出させることができるものであれば特に限定されない。シリコンアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS),トリメトキシシラン,テトラメトキシシラン,トリエトキシシラン,トリプロポキシシラン,テトラプロポキシシラン,トリブトキシシラン等が挙げられる。また、塩基触媒としては、例えば、アンモニア,アミン類等が挙げられる。
また、スケルトンナノシリカ粒子は、シリコンアルコキシドとともに変性シリコーンオイルを併用して形成されることにより、表面の親水性や疎水性が調整される。具体的には、シリコンアルコキシドと共にモノアミン基,アミノ基,アルキル基,等の疎水性有機基を有する変性シリコーンオイルを用いた場合には、スケルトンナノシリカ粒子にそれらの疎水性有機基が導入される。また、ポリエーテル基,エトキシ基,カルボキシル基等の親水性有機基が導入された変性シリコーンオイルを用いた場合には、スケルトンナノシリカ粒子にそれらの親水性有機基が導入される。スケルトンナノシリカ粒子に疎水性有機基を導入した場合には、スケルトンナノシリカが部分的に疎水化する。スケルトンナノシリカが疎水化することにより、スケルトンナノシリカ粒子のシリカフレーム間の孔に液体の水は浸透しにくいが、水蒸気は吸着しやすくなる特性を保持しやすくなる。このような特性は得られる銀付調皮革様シートのグリップ性の継続性をより向上させる。
このようなスケルトンナノシリカ粒子の製造方法は、例えば、国際公開WO2012/132757号パンフレットに詳細に記載されている。
[第1実施形態:銀付調皮革様シート]
第1実施形態の皮革様シートとして、繊維基材と、繊維基材に積層されたスケルトンナノシリカ粒子を含む銀面樹脂層とを備える銀付調皮革様シートの一例について説明する。
図2は、本実施形態の銀付調皮革様シートの一例である銀付調人工皮革10の層構成を説明する模式断面図である。銀付調人工皮革10においては、繊維基材2と、繊維基材2に積層された銀面樹脂層3とを備える。
そして、銀面樹脂層3は、繊維基材2に被着された第1の層3aと、第1の層3aに被着された着色層である第2の層3bと、第2の層3bの表面をコートして最表層になるコート層3cとを含む。なお、銀面樹脂層は、繊維基材の表面に積層された樹脂層を意味する。また、銀面樹脂層3においては、その表面にグリップ性を向上させるために、凹凸状のシボからなるディンプルDが形成されている。ディンプルDの形成は任意であるが、ディンプルDを形成することによりグリップ性が向上する。
そして、コート層3cにスケルトンナノシリカ粒子1が配合されている。コート層3cに含まれるスケルトンナノシリカ粒子1の一部分は、銀面樹脂層の表面であるコート層3cの表面に露出していることが好ましい。
繊維基材としては、不織布,織物,編物,またはそれらにポリウレタン等の高分子弾性体を含浸付与させた基材等、皮革様シートである人工皮革や合成皮革に従来用いられている繊維基材が特に限定なく用いられる。また、不織布,織物,編物に含浸付与される高分子弾性体の具体例としては、例えば、ポリウレタン,アクリル系弾性体,ポリエステル系弾性体,シリコーン系弾性体等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタンが皮革様シートの風合いや特性のバランスに優れる点から好ましい。
また、繊維基材の厚さは、特に限定されないが、例えば、300〜3000μm、さらには500〜1500μm程度であることが好ましい。また、繊維基材を形成する繊維の種類も特に限定されず、例えば、ナイロン6繊維等のナイロン系繊維,PET繊維等のポリエステル系繊維,ポリオレフィン系繊維,ポリウレタン系繊維等が挙げられる。
また、繊維の繊度や形態も特に限定されない。例えば、繊度は0.5dtex超のようなレギュラー繊維であっても、0.5dtex未満の極細繊維であってもよい。また、繊維の形態は、中実繊維であっても、中空繊維やレンコン状繊維のような空隙を有する繊維であってもよい。これらの中では、より天然皮革に近い柔軟な風合いを実現できる点から、海島型複合繊維等の極細繊維発生型繊維を用いて得られる、平均繊度が0.5dtex以下、さらには0.0001〜0.3dtex、とくには0.0001〜0.1dtexであるような極細繊維がとくに好ましい。
また、銀面樹脂層3の各層を形成する高分子弾性体は特に限定されず、従来、人工皮革や合成皮革の銀面樹脂層の形成に用いられている高分子弾性体が特に限定なく用いられる。具体的には、例えば、ポリウレタン,アクリル系弾性体,ポリエステル系弾性体,シリコーン系弾性体等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタンが皮革様シートの風合いや耐摩耗性などの機械的特性のバランスに優れる点から好ましい。
銀付調皮革様シートの層構成は、銀付調人工皮革10のような第1の層3aと第2の層3bとコート層3cからなる銀面樹脂層3のような層構成に限定されず、繊維基材と、繊維基材に積層された単層または複層の高分子弾性体層からなる銀面樹脂層とを備え、銀面樹脂層がスケルトンナノシリカ粒子を含む銀付調皮革様シートであれば特に限定されない。また、銀面樹脂層は、多孔質からなる層を含んでも非多孔質層のみからなる層を含んでもよいが、グリップ性やクッション性を付与するためには、多孔質層を含むことが好ましい。本実施形態の銀付調人工皮革10においては、代表例として、第1の層3aが多孔質層である場合について、詳しく説明する。
また、本実施形態では、銀付調人工皮革10として、表面に形成されたコート層3cのみがスケルトンナノシリカ粒子1を含む例を詳しく説明するが、コート層3cにスケルトンナノシリカ粒子1を含有させる代わりに、銀面樹脂層中のその他の層にスケルトンナノシリカ粒子1を含有させてもよい。表面に形成されたコート層3cにスケルトンナノシリカ粒子1を含有させた場合には、表面のグリップ性がとくに向上する点から好ましい。また、本実施形態の銀付調皮革様シートにおいては、とくにグリップ性を高めるためには、スケルトンナノシリカ粒子は少なくともその一部分が銀面樹脂層の表面に露出していることが好ましい。そのために、銀面樹脂層の最表層に薄いコート層を形成し、コート層にスケルトンナノシリカ粒子を含有させることが、スケルトンナノシリカ粒子の少なくとも一部が銀面樹脂層の表面に露出しやすい点から好ましい。なお、スケルトンナノシリカ粒子の少なくとも一部分が銀面樹脂層の表面に露出しており、立方体フレームの内部空隙が高分子弾性体で埋められていない場合には、立方体フレームの内部空隙による銀付調皮革様シートのグリップ性がより向上する。
なお、例えば、湿気を帯びた手で人がスケルトンナノシリカ粒子を含む銀面樹脂層に触れた場合、スケルトンナノシリカ粒子の孔がふさがれ、スケルトンナノシリカ粒子の内部の湿度が上がる。そして、スケルトンナノシリカに閉じ込められた水蒸気がスケルトンナノシリカ粒子に吸着されて、スケルトンナノシリカ粒子の内部の気圧が低下する。その結果、スケルトンナノシリカ粒子が手を吸着するようになるために、スケルトンナノシリカ粒子を含む銀面樹脂層のグリップ性が向上すると考えている。なお、手が離れたときには、スケルトンナノシリカ粒子の内部の湿度は一気に下がることにより、吸着されていた水蒸気は脱離する。その結果、銀面樹脂層中の中空のナノシリカ粒子によるグリップ性の向上効果は可逆的になる。また、スケルトンナノシリカ粒子の内部に液体の水が取り込まれた場合には、水が乾燥しにくくなるために、中空のナノシリカ粒子の内部は液体を取り込みにくいように、疎水化されていることが好ましい。図5に示す水蒸気の吸着性を示す水蒸気吸着等温線を参照すれば、疎水性基で部分改質されたスケルトンナノシリカ粒子は、疎水性基で改質されていないスケルトンナノシリカ粒子に比べて水の吸着性が低い。そのために、汗のような液体の水は浸透しにくくなる。汗のような液体の水が中空のナノシリカ粒子に浸透した場合には、グリップ性の向上効果の可逆性が低下する傾向がある。
銀付調人工皮革10のような層構成を有する銀付調皮革様シートを製造するための、繊維基材の表面にスケルトンナノシリカ粒子を含む銀面樹脂層を積層する方法について説明する。
銀付調人工皮革10の製造においては、はじめに、繊維基材2の表面に第1の層3aを形成する。第1の層3aを形成する方法としては、例えば、湿式凝固するポリウレタン等の高分子弾性体の溶液を繊維基材の表面に塗布した後、水系の凝固浴に浸漬して多孔質の高分子弾性体を凝固させる方法が挙げられる。第1の層が積層される繊維基材が極細繊維である場合、海島型複合繊維等の極細繊維発生型繊維の表面に湿式凝固する高分子弾性体の溶液を塗布して多孔質層である第1の層を形成した後、極細繊維発生型繊維を極細繊維化してもよい。
第1の層の厚さは、ナイフコーター,バーコーター,ロールコーター,グラビアロールコーター,等のコーターにより繊維基材との間のクリアランスを調整して高分子弾性体の溶液の塗布量を調整することによって制御できる。また、第1の層は、繊維基材の形態安定性を付与すること等の目的で繊維基材の内部に浸透させてもよい。この場合には、繊維基材に予め高分子弾性体の溶液を含浸させておき、さらに、その上に、高分子弾性体の溶液をコーティングした後、凝固浴に浸漬して凝固させることにより、繊維基材の内部に第1の層を浸透させることができる。
第1の層の厚さは、特に限定されないが、例えば、100〜600μm、さらには200〜400μm程度であることが好ましい。
次に、第1の層3aの表面に着色層である第2の層3bを形成する。第2の層3bは、銀面樹脂層3を着色する層であり、着色材を含有する層である。第2の層は、例えば、第1の層の表面に、グラビアコーターやリバースコーターを用いたダイレクトコート法により顔料を混合した高分子弾性体を含む樹脂液を塗布し、乾燥させる方法等により形成される。
第2の層に配合される着色材の種類は特に限定されず、銀面樹脂層を目的とする色に調色するための着色材や量が適宜選択される。このような着色材の具体例としては、例えば、ジスアゾ系顔料、ポリアゾ系顔料、アンスラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。
第2の層の厚さも、特に限定されないが、例えば、1〜50μm、さらには2〜10μm程度であることが好ましい。
また、本実施形態の銀付調皮革様シートには、銀面樹脂層の表面にシボ状の凹凸が形成されていることが好ましい。図2を参照すれば、銀付調人工皮革10には銀面樹脂層3の表面に多数のドット状の凹部からなるディンプルDが形成されている。本実施形態の銀付調皮革様シートをボールの表皮材として用いる場合、ディンプルDは、ボールにグリップ性を付与する。
銀面樹脂層の表面にディンプルのようなシボ状の凹凸を形成する方法としては、例えば、周面に凹凸が形成された加熱されたエンボスロールで銀面樹脂層の表面を型押しする方法が挙げられる。
ディンプルの形状や数は特に限定されないが、例えば、個々の凹部の垂直投影面積としては1〜5mm2であり、隣接する凹部同士の平均間隔としては0.5〜3mmであり、凹部の深さとしては50〜500μmであることが好ましい。
第1の層の表面に、グラビアコーターやリバースコーターを用いたダイレクトコート法により顔料を混合した高分子弾性体を含む樹脂液を塗布し、乾燥させる方法により第2の層を形成する方法を説明した。第2の層を形成する方法としてはダイレクトコート法により形成する代わりに、剥離紙上で予め造膜された第2の層を形成するためのフィルムを第1の層の表面に接着層を介して接着した後、剥離紙を剥離することにより、第1の層の表面に第2の層を形成するような乾式造面法を用いた方法であってもよい。
本実施形態の銀付調皮革様シートは、図2の銀付調人工皮革10の層構成を参照すれば、第2の層3bをコートする層であって、スケルトンナノシリカ粒子1を含むコート層3cを含む。コート層3cは、銀面樹脂層3の最表層に配される層であり、スケルトンナノシリカ粒子1を含む。
銀付調人工皮革10の層構成を参照すれば、コート層3cは、第2の層3bの表面にグラビアコート法、リバースコート法、ダイレクトコート法等によりスケルトンナノシリカ粒子1を分散させたポリウレタン等の高分子弾性体を含む樹脂液を塗布し、樹脂液を乾燥させる方法により形成される。
コート層の厚さは、スケルトンナノシリカ粒子の少なくとも一部分が表面に露出するような厚さであることが好ましい。具体的には、スケルトンナノシリカ粒子が、一辺の長さが30〜300nmの立方体フレーム状であることを考慮すれば、1〜100μm、さらには2〜80μmであることがスケルトンナノシリカ粒子の少なくとも一部分が表面に露出しやすくなる点から好ましい。
コート層を形成するための、スケルトンナノシリカ粒子を分散させたポリウレタン等の高分子弾性体を含む樹脂液の塗布量としては、例えば、樹脂液中の固形分として、0.02〜0.8g/m2になるように塗工することが挙げられる。
コート層中の高分子弾性体に対するスケルトンナノシリカ粒子の割合としては、例えば、高分子弾性体100質量部に対して、スケルトンナノシリカ粒子が5〜15質量部になるような割合であることが好ましい。
本実施形態の繊維基材と繊維基材に積層された銀面樹脂層とを備える銀付調皮革様シートにおいて、コート層を含む銀面樹脂層の厚さは特に限定されないが、0.05〜0.5mm、さらには0.1〜0.3mmであることが、銀付調皮革様シートとしてのクッション性に優れる点から好ましい。
以上、第1実施形態として、スケルトンナノシリカ粒子を含む銀面樹脂層を備える銀付調皮革様シートについて詳しく説明した。このような銀付調皮革様シートは、グリップ性に優れるために、バレーボール,バスケットボール,ハンドボール,ラグビーボール,アメリカンフットボール等のグリップ性が要求されるボールの表皮材やスポーツ用手袋の表皮材として好ましく用いられる。
[第2実施形態:立毛皮革様シート]
第2実施形態の皮革様シートとして、繊維基材と、繊維基材の表層の繊維を立毛させた立毛繊維を有し、立毛繊維の表面に付着するスケルトンナノシリカ粒子を含む立毛皮革様シートの一例について説明する。
図3は、本実施形態の立毛皮革様シートの一例である立毛人工皮革20の層構成を説明する模式断面図である。立毛人工皮革20は、繊維基材12と、繊維基材12の表層の繊維を立毛させた立毛繊維12aを有する。そして、立毛繊維12aにスケルトンナノシリカ粒子1が被着されている。
繊維基材としては、第1実施形態で説明したものと同様の、不織布,織物,編物,またはそれらにポリウレタン等の高分子弾性体を含浸付与させた基材等、従来、人工皮革や合成皮革に用いられている繊維基材が特に限定なく用いられる。また、不織布,織物,編物に含浸付与される高分子弾性体の具体例としても、例えば、ポリウレタン,アクリル系弾性体,ポリエステル系弾性体,シリコーン系弾性体等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタンが皮革様シートの風合いや特性のバランスに優れる点から好ましい。
また、繊維基材の厚さは、特に限定されないが、例えば、300〜3000μm、さらには500〜1500μm程度であることが好ましい。また、繊維基材を形成する繊維の種類も特に限定されず、例えば、ナイロン6繊維等のナイロン系繊維,PET繊維等のポリエステル系繊維,ポリオレフィン系繊維,ポリウレタン系繊維等が挙げられる。
また、繊維の繊度や形態も特に限定されない。例えば、繊度は0.5dtex超のようなレギュラー繊維であっても、0.5dtex未満の極細繊維であってもよい。また、繊維の形態は、中実繊維であっても、中空繊維やレンコン状繊維のような空隙を有する繊維であってもよい。これらの中では、より緻密で天然皮革に近い立毛感を実現できる点から、海島型複合繊維等の極細繊維発生型繊維を用いて得られる、平均繊度が0.5dtex以下、さらには0.0001〜0.3dtex、とくには0.0001〜0.1dtexであるような極細繊維がとくに好ましい。
立毛人工皮革20の製造においては、必要に応じて予め染色された繊維基材12の表面を起毛処理することにより、繊維基材12の表層の繊維を立毛させた立毛繊維12aを形成する。起毛処理としては、例えば、120〜600番手程度のサンドペーパーやエメリーペーパーを用いて繊維基材の表面をバフィング処理する方法が挙げられる。
立毛人工皮革20の製造においては、繊維基材の表層の繊維を立毛させた立毛繊維を含む表面に、スケルトンナノシリカ粒子を分散させた分散液、または、スケルトンナノシリカ粒子とそのバインダを含む液を塗布し、乾燥することにより、立毛繊維の表面にスケルトンナノシリカ粒子を付着させる。
スケルトンナノシリカ粒子を分散させた分散液、または、スケルトンナノシリカ粒子とそのバインダを含む液の分散媒としては、メタノール,エタノール等の脂肪族アルコール類,n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類,トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン,メチルエチルケトン(MEK),メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン等の有機溶媒や、水などの分散媒に分散させた分散液として用いる。また、バインダも特に限定されないが、例えば、ポリウレタン,アクリル系弾性体,ポリエステル系弾性体,シリコーン系弾性体等が挙げられる。
繊維基材の表層の繊維を立毛させた立毛繊維を含む表面に、スケルトンナノシリカ粒子を分散させた分散液、または、スケルトンナノシリカ粒子とそのバインダを含む液を塗布する方法はとくに限定されないが、グラビアコート法やスプレーコート法、ディップ・ニップ法等が挙げられる。
以上のようにして得られたスエード調皮革様シートはグリップ性があり高級感のある立毛皮革様シートである。このような立毛皮革様シートは、ゴルフ用手袋や野球打者用手袋として好ましく用いられる。
[製造例1:一辺の長さが平均約100nmの立方体フレーム状であるスケルトンナノシリカ粒子の製造]
国際公開WO2012/132757に記載の方法に従って、一辺の長さが平均約100nmの立方体フレーム状であるスケルトンナノシリカ粒子を製造した。具体的には、乾燥粉末状態の炭酸カルシウム粒子の表面を有機酸で被覆してなる有機酸被覆炭酸カルシウム粒子として、ロジン酸被覆炭酸カルシウム粒子(白石カルシウム(株)の製品名「ホモカルD(立方体状形態,平均一次粒子径:80nm)」)を準備した。このロジン酸被覆炭酸カルシウム粒子2.50gを、39.96ml(31.53g)の有機溶媒としてのエタノールに超音波ホモジナイザーを用いて5分間分散させ、更に、シリコンアルコキシドとしてのテトラエトキシシラン(TEOS)(信越化学工業(株)製の「KBE−04」)1.61ml(1.50g)を添加して振とう器(150rpm、25℃)で10分間分散させ、これに、塩基触媒としての28%試薬アンモニア(NH4OH)水を0.86gと蒸留水を8.43ml(8.43g)加え、振とう器(150rpm、25℃)においてゾル‐ゲル反応を進行させ、シリカを形成させた。
続いて、反応懸濁液を遠心分離(3000rpm、10分間)して上澄みを除去した後、エタノール洗浄を行い、再び遠心分離(3000rpm、10分間)し、蒸留水で洗浄、更に遠心分離(3000rpm、10分間)を行った後、3N塩酸水溶液4.71mlと蒸留水188.40mlを加えて、炭酸カルシウムを溶解させた。その後は、遠心分離(3000rpm、10分間)を行い、蒸留水で洗浄後、エタノール置換して80℃で一晩乾燥させた。このようにして得られた生成物の顕微鏡観察を行った。顕微鏡観察は、走査型電子顕微鏡(SEM:JSM-7600F/日本電子(株))により測定した。得られた生成物の顕微鏡写真を図4に示す。得られた生成物は、一辺の長さが平均約100nmの立方体フレーム状であるスケルトンナノシリカ粒子であった。
[製造例2:疎水化されたスケルトンナノシリカ粒子の製造]
表面をロジン酸で被覆した炭酸カルシウム粒子(白石カルシウム(株)の製品名「ホモカルD(立方体状形態,平均一次粒子径:80nm)」)を準備した。このロジン酸被覆炭酸カルシウム粒子55gを、1410gの1−プロパノールに超音波ホモジナイザーを用いて60分間分散させ、これに、28%試薬アンモニア(NH4OH)水を25g加え、超音波ホモジナイザーを用いて5分間分散させ、さらに、テトラエトキシシラン(TEOS)(信越化学工業(株)製の「KBE−04」)44gを添加して超音波ホモジナイザーで40分間分散させ、さらに、疎水性有機基を有する反応性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製の「KF−865」)を5.5g添加して超音波ホモジナイザーで40分間分散させ、反応させたスラリーを超音波ホモジナイザーからスターラーに移して24時間攪拌しゾル‐ゲル反応を進行させ、シリカを形成させた。
続いて、反応懸濁液を遠心分離(8000rpm、10分間)して上澄みを除去した後、エタノール洗浄を行い、再び遠心分離(8000rpm、10分間)し、蒸留水で洗浄、更に遠心分離(8000rpm、10分間)を行った後、35%濃度塩酸水溶液811.4gと蒸留水162.8gを加えて、炭酸カルシウムを溶解させた。そして、遠心分離(8000rpm、10分間)を行い、蒸留水で洗浄した後、エタノール置換して100℃で一晩乾燥させた。このようにして得られた生成物の顕微鏡観察を行った。得られた生成物は、一辺の長さが平均約100nmの立方体フレーム状であるスケルトンナノシリカ粒子であった。
[実施例1]
ポリエチレン(海成分)50質量部および6−ナイロン(島成分)50質量部を溶融混合紡糸することにより、繊度15dtexの海島型複合繊維を製造した。そして、海島型複合繊維を2.5倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断してステープルを得た。そして、ステープルをカードで開繊し、クロスラッパーウェバーで複数層重ねて繊維ウェブとした。そして、重ねた繊維ウェブをニードルパンチングすることにより、目付650g/m2の繊維絡合体を得た。
そして、繊維絡合体にポリエステル系ポリウレタンの13%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を含浸させ、その後、同じポリエステル系ポリウレタンの26%DMF溶液を繊維絡合体表面に40g/m2塗布して浸透させた。さらに、ポリエステル系ポリウレタンの塗膜の上面に、ポリカーボネート系ポリウレタン(100%モジュラス:40kg/cm2)の20%DMF溶液を75g/m2塗布した。
なお、ポリエステル系ポリウレタンは、100%モジュラスが100kg/cm2である、ポリエチレンプロピレンアジぺート、4,4’’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びエチレングリコール(EG)が配合されたポリウレタン原料の反応生成物であった。また、ポリカーボネート系ポリウレタンは、100%モジュラスが40kg/cm2である、主成分がポリヘキサカーボネートグリコール、ポリメチレンプロピレンアジペートおよびメチレンジアミンであり、さらに、n−ヘキサンジイソシアネート、MDI及びEGが配合されたポリウレタン原料の反応生成物であった。
このようにしてポリウレタンの溶液を含浸塗布された繊維絡合体を凝固浴に30分間浸漬することによりポリウレタンを多孔質状に凝固させて多孔質の第1の層を形成させた。なお、凝固浴は、40℃に設定したDMF/水=30/70(質量比)の凝固液であった。
そして、水洗した後、繊維絡合体を形成する海島型複合繊維中のポリエチレンをトルエンで抽出除去することにより、平均繊度0.01dtexの6−ナイロンの極細繊維の不織布に変換した。このようにして、6−ナイロンの極細繊維の不織布である繊維基材に中間層を被着させた厚さ1.6mmの第1の中間体基材を得た。
そして、第1の中間体基材の表面に青色顔料を含むポリエステル系ポリウレタンの10%溶液をグラビアロールで塗布し、乾燥することにより、第1の層の表面に第2の層として、非多孔質の着色層を形成した。第1の層と第2の層との合計厚さは約200μmであった。このようにして、第2の中間体基材を得た。
そして、第2の中間体基材の着色層の表面にディンプルを形成するために型押しを行った。具体的には、高さ0.5mm、垂直投影面積が4mm2の台形状の凸部を有するエンボスロールを用いて、ロール温度170℃、プレス圧力8kg/cm、処理速度1m/分の条件で第2の中間体基材の第2の層の表面に型押しを行った。第2の層の表面に形成されたディンプルの深さは200μmであった。また、ディンプルの凹部の垂直投影面積は2mm2であった。また、凹部間の平均間隔は2.5mmであった。このようにして第3の中間体基材を製造した。
そして、ディンプルが形成された第3の中間体基材の第2の層の表面に、スケルトンナノシリカ粒子を含むコート層を形成した。コート層の形成は、次のように行った。
製造例1で得られたスケルトンナノシリカ粒子を、ポリカーボネート系ポリウレタン(バインダ)固形分に対して10質量%含有する均一な分散液(分散媒:シクロヘキサノン/アセトン/DMF混合溶剤(50/40/10))を調製した。さらに、この分散液を同じ分散媒で2倍に希釈した。希釈した分散液を着色層の表面に150メッシュのグラビアロールを用いて、塗布後の目付けが1.5g/m2になるように塗布し、乾燥した。このようにして、厚さ約1μmのスケルトンナノシリカ粒子を含むコート層を形成した。
このようにして、繊維基材と、繊維基材に積層されたスケルトンナノシリカ粒子を含む銀面樹脂層とを備える銀付調皮革様シートを得た。
[実施例2]
実施例1において、製造例1で得られたスケルトンナノシリカ粒子を製造例2で得られたスケルトンナノシリカ粒子に変更した以外は同様にして、銀付調皮革様シート及びバレーボールを製造した。
[比較例1]
実施例1において、コート層の形成を以下のように変更した以外は同様にして、銀付調皮革様シート及びバレーボールを製造した。
スケルトンナノシリカ粒子を配合していない、ポリカーボネート系ポリウレタン(バインダ)を含有する均一な分散液(分散媒:シクロヘキサノン/アセトン/DMF混合溶剤(50/40/10))を調製した。さらに、この分散液を同じ分散媒で2倍に希釈した。希釈した分散液を着色層の表面に150メッシュのグラビアロールを用いて、塗布後の目付けが1.5g/m2になるように塗布し、乾燥した。このようにして、スケルトンナノシリカ粒子を含まないコート層を形成した。
[比較例2]
実施例1において、コート層の形成を以下のように変更した以外は同様にして、銀付調皮革様シート及びバレーボールを製造した。
一次粒径が50〜150nm、シリカ殻の厚さは5〜15nm、殻壁細孔2nm以下(BET法)の中空ナノシリカ粒子を、ポリカーボネート系ポリウレタン(バインダ)固形分に対して10質量%含有する均一な分散液(分散媒:シクロヘキサノン/アセトン/DMF混合溶剤(50/40/10))を調製した。さらに、この分散液を同じ分散媒で2倍に希釈した。希釈した分散液を着色層の表面に150メッシュのグラビアロールを用いて、塗布後の目付けが1.5g/m2になるように塗布し、乾燥した。このようにして、厚さ約1μmの中空ナノシリカ粒子を含むコート層を形成した。
得られた各銀付調皮革様シートを表面素材として用いて、バレーボールを作製した。そして、次のようにバレーボールのグリップ性を評価した。
[バレーボールのグリップ性]
10人のプレーヤーがバレーボールの練習を長時間行い、ボールを手で扱ったときのグリップ性を下記の基準A〜Cにより評価した。10人の評価のうち最も多かった基準をグリップ性の評価として採用した。
A:ボールが滑る頻度が比較例1で得られたバレーボールよりも顕著に少なかった。
B:ボールが滑る頻度が比較例1で得られたバレーボールよりもやや少なかった。
C:ボールが滑る頻度が比較例1で得られたバレーボールと同等であった。
評価の結果、実施例1で得られた銀付調皮革様シートを表面素材として用いたバレーボールのグリップ性はA,実施例2で得られた銀付調皮革様シートを表面素材として用いたバレーボールのグリップ性はA,比較例2で得られた銀付調皮革様シートを表面素材として用いたバレーボールのグリップ性はBであった。
[実施例3]
ポリエチレン(海成分)50質量部および6−ナイロン(島成分)50質量部を溶融混合紡糸することにより、海島型複合繊維を製造した。そして、海島型複合繊維を2.5倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断して繊度4dtexのステープルを得た。そして、ステープルをカードで開繊し、クロスラッパーウェバーで複数層重ねて繊維ウェブとした。そして、重ねた繊維ウェブをニードルパンチングすることにより、目付630g/m2の繊維絡合体を得た。
そして、繊維絡合体にポリ−3−メチルペンタンアジペート/ポリエチレングリコール共重合系ポリウレタン樹脂のジメチルホルムアミド(DMF)溶液を含浸させ、繊維絡合体をDMF/水の凝固浴に浸漬することによりポリウレタンを多孔質状に凝固させた。
そして、水洗した後、繊維絡合体を形成する海島型複合繊維中のポリエチレンをトルエンで抽出除去することにより、平均繊度0.007dtexの6−ナイロンの極細繊維の不織布に変換した。そして柔軟剤を含浸させた後、130〜150℃程度のスチーム乾燥機内で乾燥させることで、目付500g/m2、厚さ1.40mm、ナイロン極細繊維とポリウレタンとの比率が65/35である繊維基材を得た。
得られた繊維基材をスライスして厚み方向で2分割し、スライス面をサンドペーパーにて研削して厚み0.50mmに調整し、表面側を400番手のサンドペーパーでバフィングし、さらにウィンス染色機を用いて金属錯塩酸性染料にて濃グレーに染色することで、繊維基材の表層の繊維を立毛させた立毛繊維を有する立毛人工皮革を得た。
そして、製造例1で得られたスケルトンナノシリカ粒子を2質量%含有するMEK分散液を調製した。そして、スケルトンナノシリカ粒子の分散液を立毛人工皮革の立毛繊維が形成された面に塗布した後、110〜130℃の乾燥機で乾燥させることにより、立毛繊維の表面にスケルトンナノシリカ粒子を付着させた。なお、スケルトンナノシリカ粒子の分散液の塗布は、150メッシュのグラビアロールを用いて、中空ナノシリカ粒子が0.2g/m2になるように塗布した。
このようにして、繊維基材と、繊維基材の表層の繊維を立毛させた立毛繊維を有する立毛皮革様シートであって、立毛繊維の表面にスケルトンナノシリカ粒子が付着した立毛人工皮革を得た。
1 スケルトンナノシリカ粒子
2,12 繊維基材
3 銀面樹脂層
4 ポリウレタン表皮膜
10 銀付調人工皮革
12a 立毛繊維
20 立毛人工皮革

Claims (6)

  1. 繊維基材と、前記繊維基材に積層された銀面樹脂層とを備える銀付調皮革様シートであって、
    前記銀面樹脂層はスケルトンナノシリカ粒子と高分子弾性体とを含み、
    前記スケルトンナノシリカ粒子は、一辺の長さが平均30〜300nmの立方体フレーム状であって、前記立方体フレームの各面における四辺形状のシリカフレーム間に孔を有することを特徴とする銀付調皮革様シート。
  2. 前記スケルトンナノシリカ粒子は、前記立方体フレームの内部空隙が前記高分子弾性体で埋められていない請求項1に記載の銀付調皮革様シート。
  3. 前記スケルトンナノシリカ粒子は、疎水性有機基で表面修飾されている請求項1または2に記載の銀付調皮革様シート。
  4. 前記銀面樹脂層は、前記スケルトンナノシリカ粒子を0.01〜1g/m2含む請求項1〜3の何れか1項に記載の銀付調皮革様シート。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の銀付調皮革様シートを表皮材として備えるボール。
  6. 繊維基材と、前記繊維基材の表層の繊維を立毛させた立毛繊維を有する立毛皮革様シートであって、
    前記立毛繊維の表面に付着するスケルトンナノシリカ粒子を含み、
    前記スケルトンナノシリカ粒子は、一辺の長さが平均30〜300nmの立方体フレーム状であることを特徴とする立毛皮革様シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009125758A1 (ja) * 2008-04-10 2009-10-15 株式会社クラレ グリップ性に優れた皮革様シートおよびそれを用いた人工皮革製品
JP2019131800A (ja) * 2018-01-29 2019-08-08 国立大学法人 名古屋工業大学 シリカ殻スケルトン粒子分散薄膜、シリカ殻スケルトン粒子分散薄膜被覆体及びそれらの製造方法

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