JP2021031363A - 炭化ケイ素多結晶基板の製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素多結晶基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、従来の炭化ケイ素多結晶基板よりも、反りの小さい炭化ケイ素多結晶基板を製造することができる、炭化ケイ素多結晶基板の製造方法を提供する。【解決手段】化学的気相成長法によってカーボン支持基板上に炭化ケイ素多結晶膜およびカーボン膜を成膜する成膜工程を含み、当該成膜工程は、前記カーボン支持基板の上に第1炭化ケイ素多結晶膜を成膜する第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、前記第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、前記第1炭化ケイ素多結晶膜の上に、厚さが1μm〜10μmのカーボン膜を成膜するカーボン膜成膜段階と、前記カーボン膜成膜段階の後に、前記カーボン膜の上に、厚さが30μm〜80μmの第2炭化ケイ素多結晶膜を成膜する第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、炭化ケイ素多結晶基板の製造方法に関する。
炭化ケイ素は、ケイ素と炭素で構成される、化合物半導体材料である。炭化ケイ素は、絶縁破壊電界強度がケイ素の10倍で、バンドギャップがケイ素の3倍であり、半導体材料として優れている。さらに、デバイスの作製に必要なp型、n型の制御が広い範囲で可能であることなどから、ケイ素の限界を超えるパワーデバイス用材料として期待されている。
しかしながら、炭化ケイ素半導体は、従来広く普及しているケイ素半導体と比較して、大面積の炭化ケイ素単結晶基板を得ることが難しく、製造工程も複雑である。これらの理由から、炭化ケイ素半導体は、ケイ素半導体と比較して大量生産が難しく、高価であった。
これまでにも、炭化ケイ素半導体のコストを下げるために、様々な工夫が行われてきた。例えば、特許文献1には、炭化ケイ素基板の製造方法であって、少なくとも、マイクロパイプの密度が30個/cm以下の炭化ケイ素単結晶基板と炭化ケイ素多結晶基板を準備し、前記炭化ケイ素単結晶基板と前記炭化ケイ素多結晶基板とを貼り合わせる工程を行い、その後、単結晶基板を薄膜化する工程を行い、多結晶基板上に単結晶層を形成した基板を製造することが記載されている。
更に、特許文献1には、単結晶基板と多結晶基板とを貼り合わせる工程の前に、単結晶基板に水素イオン注入を行って水素イオン注入層を形成する工程を行い、単結晶基板と多結晶基板とを貼り合わせる工程の後、単結晶基板を薄膜化する工程の前に、350℃以下の温度で熱処理を行い、単結晶基板を薄膜化する工程を、水素イオン注入層にて機械的に剥離する工程とする炭化ケイ素基板の製造方法が記載されている。
このような方法により、1つの炭化ケイ素単結晶インゴットからより多くの炭化ケイ素貼り合わせ基板が得られるようになった。
特開2009−117533号公報 特開平10−251062号公報
特許文献1の方法で製造された炭化ケイ素貼り合わせ基板の大部分が、多結晶基板である。よって、多結晶基板と単結晶基板を貼り合わせた、炭化ケイ素貼り合わせ基板の反りの大きさは、多結晶基板の反りの大きさによる影響が支配的となる。炭化ケイ素貼り合わせ基板を用いたデバイス製造工程において、炭化ケイ素貼り合わせ基板の反り量が大きいと、フォトリソグラフィ工程におけるパターン形成不良や、イオン注入工程におけるイオン侵入深さが不均一となるなどの問題が生じるため、炭化ケイ素貼り合わせ基板に用いる多結晶基板の反りは小さいことが求められる。
このような炭化ケイ素多結晶基板の反りが大きい課題に対し、特許文献2においては、化学的気相成長法による炭化ケイ素多結晶膜の成膜に用いるカーボン支持基板の熱膨張係数を3.0×10−6/K〜5.0×10−6/Kの範囲とすることが記載されている。炭化ケイ素多結晶膜の熱膨張係数(およそ4.3×10−6/K〜4.5×10−6/K)と近い熱膨張係数のカーボン支持基板を用いることで、カーボン支持基板と炭化ケイ素多結晶膜との熱膨張係数の差異による、炭化ケイ素多結晶膜を成膜した後に冷却する時の体積収縮差を低減し、炭化ケイ素多結晶膜に生じる応力を低減することで、反りを低減させた炭化ケイ素多結晶膜を得る方法が示されている。
しかしながら、炭化ケイ素多結晶膜の反りを発生させる要因としては、上記の要因だけではなく、炭化ケイ素多結晶膜とは異なる材質のカーボン支持基板上へ炭化ケイ素多結晶膜を成膜することにより、炭化ケイ素多結晶膜の成長に伴って膜内において炭化ケイ素多結晶の粒径が変化して内部応力差が生じることも、炭化ケイ素多結晶膜の反りを大きくする一因となっている。よって、炭化ケイ素多結晶膜を炭化ケイ素多結晶基板へ加工する工程において、炭化ケイ素多結晶膜内の粒径が変化する箇所を削り取る必要が生じることがある。
また、炭化ケイ素多結晶膜を炭化ケイ素多結晶基板へ加工する工程においては、炭化ケイ素多結晶膜を所定の厚さおよび平坦度へ整えるために、面研削や面研磨の加工などを行うことがある。これらの加工において、炭化ケイ素多結晶膜の反りが大きいことに起因して、厚さや平坦度あるいは反りの不良が発生することがあり、炭化ケイ素多結晶基板への加工工程での歩留まりを悪化させる要因となっていた。加えて、これらの加工不良を改善することを目的として、例えば炭化ケイ素を成膜するときに炭化ケイ素多結晶膜の厚さを大きくすることがある。炭化ケイ素多結晶膜の厚さを大きくするために、ガス使用量が増加することや成膜時間が長くなることにより、製造コストや生産性が悪化するという問題があった。
よって、本発明は、従来の炭化ケイ素多結晶基板よりも、反りの小さい炭化ケイ素多結晶基板を製造することができる、炭化ケイ素多結晶基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法は、化学的気相成長法によってカーボン支持基板上に炭化ケイ素多結晶膜およびカーボン膜を成膜する成膜工程を含み、当該成膜工程は、前記カーボン支持基板の上に第1炭化ケイ素多結晶膜を成膜する第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、前記第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、前記第1炭化ケイ素多結晶膜の上に、厚さが1μm〜10μmのカーボン膜を成膜するカーボン膜成膜段階と、前記カーボン膜成膜段階の後に、前記カーボン膜の上に、厚さが30μm〜80μmの第2炭化ケイ素多結晶膜を成膜する第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、を備える。
本発明の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法において、前記カーボン支持基板の熱膨張係数が、4.3×10−6/K〜4.5×10−6/Kであってもよい。
本発明の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法において、前記第1炭化ケイ素多結晶膜の厚さが、400μm〜700μmであってもよい。
本発明の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法において、前記カーボン膜成膜段階で成膜する前記カーボン膜が第1カーボン膜であり、前記成膜工程が、前記第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、さらに、厚さが1μm〜10μmの第2カーボン膜と、当該第2カーボン膜の上に厚さが30μm〜80μmの第3炭化ケイ素多結晶膜と、をさらに積層する積層段階を、少なくとも1回備えていてもよい。
本発明の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法において、前記成膜工程により得られた、前記カーボン支持基板、前記第1炭化ケイ素多結晶膜、前記カーボン膜、および、前記第2炭化ケイ素多結晶膜が積層した積層体の外周端部を研削して、前記カーボン支持基板の少なくとも一部および前記カーボン膜の少なくとも一部を露出させる研削工程と、前記研削工程の後に、前記積層体を加熱して、前記カーボン支持基板および前記カーボン膜を燃焼除去する燃焼除去工程と、をさらに備えていてもよい。
本発明の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法であれば、従来の炭化ケイ素多結晶基板よりも、反りの小さい炭化ケイ素多結晶基板を製造することができる。
本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素多結晶基板の製造方法に用いる成膜装置の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素多結晶基板の製造方法の各工程における、カーボン支持基板、炭化ケイ素多結晶膜、カーボン膜、炭化ケイ素多結晶基板の側面を模式的に示す断面図である。 本発明の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法の変形例における積層体の側面を模式的に断面図である。 従来の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法における、カーボン支持基板、炭化ケイ素多結晶膜、炭化ケイ素多結晶基板を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素多結晶基板の製造方法により製造された炭化ケイ素多結晶基板における、炭化ケイ素多結晶の粒径分布を模式的に説明する、断面図である。 従来の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法により製造された炭化ケイ素多結晶基板における、炭化ケイ素多結晶の粒径分布を模式的に説明する、断面図である。
本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素多結晶基板の製造方法について、図1、図2を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素多結晶基板の製造方法において、化学的気相成長法により炭化ケイ素多結晶膜を成膜する成膜装置の一例である成膜装置1000を模式的に示す断面図である。図2は、本発明の一実施形態にかかる炭化ケイ素多結晶基板の製造方法において、各工程におけるカーボン支持基板、炭化ケイ素多結晶膜、カーボン膜、炭化ケイ素多結晶基板の側面を模式的に示す断面図である。図2(A)はカーボン支持基板100を示す図であり、図2(B)は第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階により得られた積層体500Aを示す図であり、図2(C)はカーボン膜成膜段階後の積層体500Bを示す図であり、図2(D)は第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階後の積層体500Cを示す図であり、図2(E)は積層体500Cをカーボン支持基板100およびカーボン膜300の除去工程に供して得られた炭化ケイ素多結晶基板600を示す図である。
本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法は、化学的気相成長法によってカーボン支持基板100上に炭化ケイ素多結晶膜200およびカーボン膜300を成膜する成膜工程を含み、当該成膜工程は、カーボン支持基板100の上に第1炭化ケイ素多結晶膜200を成膜する第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、前記第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、第1炭化ケイ素多結晶膜200の上に、厚さが1μm〜10μmのカーボン膜100を成膜するカーボン膜成膜段階と、前記カーボン膜成膜段階の後に、カーボン膜300の上に、厚さが30μm〜80μmの第2炭化ケイ素多結晶膜400を成膜する第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、を備える。また、成膜工程により得られた、カーボン支持基板100、第1炭化ケイ素多結晶膜200、カーボン膜300、および、第2炭化ケイ素多結晶膜400が積層した積層体500Cの外周端部を研削して、カーボン支持基板100の少なくとも一部およびカーボン膜300の少なくとも一部を露出させる研削工程と、研削工程の後に、外周端部を積層した積層体500Cを加熱して、カーボン支持基板100およびカーボン膜300を燃焼除去する燃焼除去工程と、をさらに備えていてもよい。なお、炭化ケイ素多結晶基板を製造した後の、炭化ケイ素単結晶基板との貼り合わせ基板等の製品を製造する段階においては、本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板における第1炭化ケイ素多結晶膜の部分を炭化ケイ素多結晶基板として用いる。本発明者は、このような本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法により、製造された炭化ケイ素多結晶基板の反りを低減することができることを見出すに至った。
次に、各工程について、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階、カーボン膜成膜段階、および、第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階を含む成膜工程、研削工程、カーボン支持基板100およびカーボン膜300の燃焼除去工程の順に説明する。また、以下においては、カーボン支持基板100の片面を蒸着対象として炭化ケイ素多結晶膜を成膜して炭化ケイ素多結晶基板を製造する場合について説明する。なお、カーボン支持基板の両面を成膜対象として炭化ケイ素多結晶膜を成膜して炭化ケイ素多結晶基板を製造してもよい。成膜対象をカーボン支持基板の片面とするか、両面とするかは、炭化ケイ素多結晶基板の製造計画や蒸着炉の構造等の条件により適宜決定すればよい。
(成膜工程)
本実施形態の成膜工程は、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階、カーボン膜成膜段階、第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階から構成されている。第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階は、化学的気相成長法によってカーボン支持基板100の上に第1炭化ケイ素多結晶膜200を成膜して、カーボン支持基板100と第1炭化ケイ素多結晶膜200との積層体500Aを得る工程である。第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階、カーボン膜成膜段階、第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階は、例えば、図1に示した成膜装置1000を用いて行うことができる。
成膜装置1000は、成膜装置1000の外装となる筐体1100と、カーボン支持基板100に炭化ケイ素多結晶膜、カーボン膜を成膜させる成膜室1010と、成膜室1010より排出された原料ガスやキャリアガスを後述のガス排出口1030へ導入する排出ガス導入室1040と、排出ガス導入室1040を覆うボックス1050と、ボックス1050の外部より成膜室1010内を加温する、カーボン製のヒーター1060と、成膜室1010の下部に設けられ、成膜室1010に原料ガスやキャリアガスを導入するガス導入口1020と、ガス排出口1030と、カーボン支持基板100を保持する基板ホルダー1070を有する。また、基板ホルダー1070は、2つの柱1071と、カーボン支持基板100を水平に載置する、柱1071に設けられた載置部1072を有する。
成膜時において、原料ガスやキャリアガス等は、成膜室1010に設けられたガス導入口1020から導入され、成膜室1010の下部から排出ガス導入室1040に排出され、さらに、ガス排出口1030から成膜装置1000の外部に排出される。
また、カーボン支持基板100の厚さや成膜対象面の大きさ等の形状は特に限定されず、所望の炭化ケイ素多結晶基板に合わせたものを用いることができる。また、カーボン支持基板の熱膨張係数は、例えば、4.3×10−6/K〜4.5×10−6/Kであってもよい。炭化ケイ素の熱膨張係数はおよそ4.3×10−6/K〜4.5×10−6/Kであることから、カーボン支持基板の熱膨張係数を、4.0×10−6/K〜5.0×10−6/Kとすることにより、カーボン支持基板と炭化ケイ素の熱膨張係数が同程度となる。後述の第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階における第2炭化ケイ素多結晶膜400の成膜後に積層体500Cを室温まで冷却する過程において、カーボン支持基板100と炭化ケイ素多結晶膜の熱膨張係数の差が大きいほど、通常は、体積収縮差により炭化ケイ素多結晶膜はカーボン支持基板100に対して、凸形状(熱膨張係数がカーボン支持基板100より炭化ケイ素多結晶膜の方が大きい場合)あるいは凹形状(熱膨張係数がカーボン支持基板100より炭化ケイ素多結晶膜の方が小さい場合)となる方向への界面応力が働く。よって、カーボン支持基板の熱膨張係数を炭化ケイ素と同程度にすることにより、反りの発生を抑制することができる。
次に、成膜装置1000を用いて、化学的気相成長法により、カーボン支持基板100上に第1炭化ケイ素多結晶膜200を成膜させる手順を説明する。
カーボン支持基板100(図2(A))を載置部1072に載置し、減圧状態で、Ar等の不活性ガス雰囲気下で、成膜の反応温度まで、ヒーター1060によりカーボン支持基板100を加熱する。成膜の反応温度(例えば、1200℃程度)まで達したら、不活性ガスの供給を止めて、成膜室1010内に炭化ケイ素多結晶膜の成分を含む原料ガスやキャリアガスを供給する。カーボン支持基板100の成膜対象面や気相での化学反応により、加熱したカーボン支持基板100の上面に第1炭化ケイ素多結晶膜200を成膜させることができる。その後、室温まで冷却することで、図2(B)に示すように、カーボン支持基板100に第1炭化ケイ素多結晶膜200が成膜された、積層体500Aが得られる。なお、カーボン支持基板100には、上面のみならず、側面にも炭化ケイ素多結晶膜が形成されるが、図2においては上面以外に形成された炭化ケイ素多結晶膜は省略して示されている。
原料ガスとしては、第1炭化ケイ素多結晶膜200を成膜させることができれば、特に限定されず、一般的に炭化ケイ素多結晶膜の成膜に使用されるSi系原料ガス、C系原料ガスを用いることができる。例えば、Si系原料ガスとしては、シラン(SiH)を用いることができるほか、モノクロロシラン(SiHCl)、ジクロロシラン(SiHCl)、トリクロロシラン(SiHCl)、テトラクロロシラン(SiCl)などのエッチング作用があるClを含む塩素系Si原料含有ガス(クロライド系原料)を用いることができる。C系原料ガスとしては、例えば、メタン(CH)、プロパン(C)、アセチレン(C)等の炭化水素を用いることができる。上記のほか、トリクロロメチルシラン(CHClSi)、トリクロロフェニルシラン(CClSi)、ジクロロメチルシラン(CHClSi)、ジクロロジメチルシラン((CHSiCl)、クロロトリメチルシラン((CHSiCl)等のSiとCとを両方含むガスも、原料ガスとして用いることができる。
また、キャリアガスとしては、炭化ケイ素多結晶膜の成膜を阻害することなく、原料ガスをカーボン支持基板100へ展開することができれば、一般的に使用されるキャリアガスを用いることができる。例えば、熱伝導率に優れ、炭化ケイ素に対してエッチング作用があるHガスをキャリアガスとして用いることができる。また、これら原料ガスおよびキャリアガスと同時に、第3のガスとして、目標とする導電率に見合う量の、不純物ドーピングガスを同時に供給することもできる。例えば、炭化ケイ素多結晶基板600の導電型をn型とする場合には窒素(N)、p型とする場合にはトリメチルアルミニウム(TMA)を用いることができる。
炭化ケイ素多結晶膜を成膜させる際には、上記のガスを適宜混合して成膜室1010内に供給する。また、上記のガスを混合せずに、個別に成膜室1010内に供給してもよい。また、所望の炭化ケイ素多結晶膜の性状に応じて、成膜工程の途中でガスの混合割合を変更してもよい。
第1炭化ケイ素多結晶膜200の厚さは、カーボン膜300、第2炭化ケイ素多結晶膜400、および、所望の炭化ケイ素多結晶基板600の厚さに応じて設定することができ、例えば、400μm〜700μmとすることができる。第1炭化ケイ素多結晶膜200を炭化ケイ素多結晶基板として用いて炭化ケイ素単結晶貼り合わせ基板等の製品を製造することから、第1炭化ケイ素多結晶膜200はある程度の厚さ(例えば、400μm以上)を有することが好ましい。また、第1炭化ケイ素多結晶膜200の厚さが厚すぎる(例えば、700μmよりも大きい)場合、カーボン膜300、第2炭化ケイ素多結晶膜400を形成することにより反りの発生を抑制する効果が十分に発揮されない可能性がある。また、第1炭化ケイ素達結晶膜は、例えば、同一面内における膜厚のばらつきが3%以下である、平滑な膜であることが好ましい。
以上の第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階により、カーボン支持基板100と第1炭化ケイ素多結晶膜200の積層体500Aが得られる。
カーボン膜成膜段階は、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、第1炭化ケイ素多結晶膜200の上に、厚さが1μm〜10μmのカーボン膜300を成膜して、積層体500Aの上にカーボン膜300が積層した積層体500Bを得る工程である。
カーボン膜成膜段階は、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の成膜条件のうち、温度、圧力、キャリアガス等の条件は維持して、原料ガスの供給条件を変更することにより行うことができる。すなわち、カーボン膜成膜段階においては、例えば、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階において供給されていた原料ガスのうち、Si系ガスの供給のみを停止させ、C系ガスのみを供給することで、第1炭化ケイ素多結晶膜200の上に所定の厚さのカーボン膜300を形成することができる。これにより、図2(C)に示す、積層体500Bが得られる。
カーボン膜300の厚さは、1μm〜10μmとする。カーボン膜の厚さを1μm〜10μmとすることにより、カーボン膜の上に成膜する第2炭化ケイ素多結晶の粒径が十分に小さくなる。また、カーボン膜の厚さが1μmよりも薄いと、カーボン膜を均一に成膜することが難しくなり、部分的に成膜されない領域が生じるおそれがある。また、カーボン膜の厚さが10μmよりも厚いと、原料ガスの無駄となるうえ、第1炭化ケイ素多結晶膜の内部応力差に影響が出る可能性があり、カーボン膜による応力が大きくなることで、炭化ケイ素多結晶基板の反りが大きくなる原因となるおそれがある。またカーボン膜は、例えば、同一面内における膜厚のばらつきが3%以下である、平滑な膜であることが好ましい。
第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階は、カーボン膜成膜段階の後に、カーボン膜300の上に、厚さが30μm〜80μmの第2炭化ケイ素多結晶膜400を成膜して、積層体500Bの上に第2炭化ケイ素多結晶膜400が積層した積層体500Cを得る工程である。
第2炭化ケイ素多結晶膜400の厚さは、30μm〜80μmとする。第2炭化ケイ素多結晶膜の厚さを30μm〜80μmとすることにより、第2炭化ケイ素多結晶膜内の炭化ケイ素多結晶の粒径を十分に小さくすることができる。また、第2炭化ケイ素多結晶膜の厚さが30μmよりも薄いと、第1炭化ケイ素多結晶膜の内部応力差を相殺するのに不十分となり、第2炭化ケイ素多結晶膜の厚さが80μmよりも厚いと、炭化ケイ素多結晶の粒径が大きくなりすぎて、第2炭化ケイ素多結晶膜内にも内部応力差が生じて、炭化ケイ素多結晶基板全体として内部応力差がかえって大きくなりうる。また、第2炭化ケイ素達結晶膜は、例えば、同一面内における膜厚のばらつきが3%以下である、平滑な膜であることが好ましい。
第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階は、カーボン膜成膜段階の成膜条件のうち、温度、圧力等の条件は維持して、原料ガスの供給条件を変更することにより行うことができる。すなわち、第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階においては、例えば、カーボン膜成膜段階において供給を停止していたSi系ガスの供給を再開させて、C系ガスとともにSi系ガスを成膜装置1000の成膜室1010内に供給することで、カーボン膜300上に所定の厚さの第2炭化ケイ素多結晶膜400を形成する。なお、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜工程と第2炭化ケイ素多結晶膜成膜工程の成膜条件は、同じでもよいし、異なっていてもよい。これにより、図2(D)に示す、積層体500Cが得られる。その後、成膜のために供給していたSi系ガスとC系ガスの原料ガス、ドーピングガスおよびキャリアガスを停止し、成膜工程が終了する。そして、積層体500Cを、例えば室温まで冷却させる。積層体500Cは、室温まで冷却されたのちに、研削工程、燃焼除去工程に供される。以上のように、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階、カーボン膜成膜段階、第2多結晶膜成膜段階は、例えば原料ガスの供給条件を変更することにより、連続して行うことができる。
(研削工程)
研削工程は、積層体500Cの外周端部を研削して、カーボン支持基板100の少なくとも一部およびカーボン膜300の少なくとも一部を露出させる工程である。第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階で得られた積層体500Cにおいて、カーボン支持基板100、カーボン膜300の全体が炭化ケイ素多結晶膜で覆われており、カーボン支持基板100、カーボン膜300が十分に露出していない場合は、そのままではカーボン支持基板100、カーボン膜300を燃焼させることができないため、あらかじめ、積層体500Cにおけるカーボン支持基板100、カーボン膜300の外周端部に積層した部分を研削する必要がある。研削工程により、第1炭化ケイ素多結晶膜200、カーボン膜300、第2炭化ケイ素多結晶膜400の、カーボン支持基板100およびカーボン膜300の外周に積層した部分が除去されて、カーボン支持基板100およびカーボン膜が露出する。よって、次に行う燃焼除去工程において、カーボン支持基板100およびカーボン膜300を燃焼除去することができる。
(燃焼除去工程)
燃焼除去工程は、カーボン支持基板100およびカーボン膜300が露出した積層体500Cを加熱して、カーボン支持基板100およびカーボン膜300を燃焼除去して、炭化ケイ素多結晶基板600を得る工程である。
カーボン支持基板100、カーボン膜300は、例えば、積層体500Cを数百度に加熱して、カーボン支持基板100、カーボン膜300を燃焼させることにより除去することができる。燃焼除去工程は、例えば、二珪化モリブデン製のヒーターを備える燃焼炉等を用いることができる。積層体500Cを燃焼炉内に保持して、燃焼炉内にOや空気等の酸化性ガスを供給しながら、常圧または減圧状態で、ヒーターにより燃焼炉内を数百度(例えば、800℃程度)に加熱する。加熱により、カーボン支持基板100、カーボン膜300が燃焼して、図2(E)に示すように、炭化ケイ素多結晶基板600が得られる。なお、炭化ケイ素多結晶基板600の、反りをなくしたり、所望の厚さにしたりするために、必要に応じて、さらに研削加工や研磨加工を行ってもよい。なお、第2炭化ケイ素多結晶膜400は炭化ケイ素多結晶基板として用いることなく、廃棄してもよい。
以上の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法により得られた本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板600は、例えば、反り量が100μm以下である。よって、本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法により、反りの小さい炭化ケイ素多結晶基板を得ることができる。
なお、本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法において、第1炭化ケイ素多結晶膜、カーボン膜、第2炭化ケイ素多結晶膜の膜厚は、例えば、以下のような方法で測定することができる。例えば、膜内の複数箇所において膜厚を測定して、その平均値を膜厚とする。具体的には、膜内の5点を中心、円周端部、および中心と円周端部との間にあり、中心からの距離と円周端部からの距離が同じ地点として、これらの5点について、斜入射型光学測定器等により膜厚の測定を行う。ここで測定した値は積層体全体の膜厚であることから、目的の膜以外の膜厚を差し引いた値を目的の膜の膜厚とする。すなわち、図2(B)の積層体500Aにおける第1炭化ケイ素多結晶膜200の膜厚の測定を目的とする場合、積層体500Aの膜厚を測定しておき、積層体500Aの膜厚からカーボン支持基板100の膜厚を差し引いた値を算出して、この算出値を第1炭化ケイ素多結晶膜200の膜厚とする。
また、上記の方法で測定した複数箇所の膜厚のばらつきを用いて、膜の均一性を評価することができる。例えば、膜厚のばらつきが3%以内であれば、膜厚のばらつきが小さい、均一な膜であると評価することができる。
次に、従来の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法と、本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法を比較して説明する。従来の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法は、図4(A)に示すカーボン支持基板100に所望の厚さの炭化ケイ素多結晶膜700を成膜して、積層体800(図4(B))を得たのち、カーボン支持基板100を燃焼等により除去して、炭化ケイ素多結晶基板700A(図4(C))を得るというものである。
前述したように、化学的気相成長法によってカーボン支持基板上に炭化ケイ素多結晶膜を成膜する場合、炭化ケイ素多結晶膜の熱膨張係数(4.3〜4.5)×10−6(/K)と同程度の熱膨張係数を持つカーボン支持基板を用いることにより、冷却過程における、カーボン支持基板と炭化ケイ素多結晶膜との体積収縮率の差による、炭化ケイ素多結晶膜における反りの発生を抑制することができる。
しかしながら、炭化ケイ素多結晶膜の熱膨張係数(4.3〜4.5)×10−6(/K)と同程度の熱膨張係数を持つカーボン支持基板を用いても、炭化ケイ素とは異なる材質のカーボン支持基板上に、炭化ケイ素多結晶膜を成膜することにより、図6に示すように、炭化ケイ素多結晶膜700の成長初期では小さい粒径の炭化ケイ素多結晶が成長し、成長中期から後期にかけては大きな粒径の炭化ケイ素多結晶が成長する。これにより、成長に伴う膜内の多結晶粒径の変化により内部応力差が発生して、カーボン支持基板100を除去すると、内部応力差に起因した炭化ケイ素多結晶基板700A(図4(C))の反りが大きくなってしまう。よって、基板として用いる際に、炭化ケイ素多結晶基板700Aに発生した反りの部分を研削、研磨して所定の平坦度、所定の厚さとする必要が生じ、歩留まり、コスト、生産性が悪化するという課題があった。
一方、本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板600の製造方法は、化学的気相成長法によってカーボン支持基板100上に炭化ケイ素多結晶膜およびカーボン膜を成膜する成膜工程を含み、成膜工程は、カーボン支持基板100の上に第1炭化ケイ素多結晶膜200を成膜する第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、第1炭化ケイ素多結晶膜200の上に、厚さが1μm〜10μmのカーボン膜300を成膜するカーボン膜成膜段階と、カーボン膜成膜段階の後に、カーボン膜300の上に、厚さが30μm〜80μmの第2炭化ケイ素多結晶膜400を成膜する第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、を備える。
図5に示すように、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階で成膜した第1炭化ケイ素多結晶膜200は、カーボン支持基板100側に形成された炭化ケイ素多結晶ほど粒径が小さく、カーボン支持基板100から離れるほど炭化ケイ素多結晶の粒径が大きくなっている。よって、第1炭化ケイ素多結晶膜200には、炭化ケイ素多結晶粒径の大きさの変化に伴う内部応力差が存在する。ここで、炭化ケイ素多結晶の粒径が小さい第2炭化ケイ素多結晶膜400(図5)を成膜することにより、極端に大きい粒径の炭化ケイ素多結晶が成長することを抑制できることで、この内部応力差を相殺することができる。第1炭化ケイ素多結晶膜200に続けて炭化ケイ素多結晶膜を成膜しても小さい粒径の炭化ケイ素多結晶は形成されないが、第1炭化ケイ素多結晶膜200と第2炭化ケイ素多結晶膜400との間にカーボン膜300を成膜しておくことで、第2炭化ケイ素多結晶膜400を成膜するときに、小さい粒径の炭化ケイ素多結晶を形成させることができる。以上により、第1炭化ケイ素多結晶膜200内の炭化ケイ素多結晶粒径の変化による内部応力差を低減することにより、炭化ケイ素多結晶基板600の反りを低減させることが可能となる。
以上のように、本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法により、従来の炭化ケイ素多結晶基板と同様の用途に用いることができ、かつ、従来の炭化ケイ素多結晶基板よりも、反りの小さい炭化ケイ素多結晶基板を製造することができる。また、反りの発生が抑制されることで、炭化ケイ素多結晶基板としての反りをなくして所定の平坦度、所定の厚さとするための研削加工、研磨加工の負担や、材料の無駄を減らすことができ、炭化ケイ素多結晶基板の製造における歩留まりやコスト、生産性を改善することができる。
特に、本実施形態の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法であれば、高導電率(例えば、0.1Ω・cm程度以上の)の炭化ケイ素多結晶基板を製造する場合であっても、炭化ケイ素中の窒素原子が表面より脱離し難い温度域(例えば2200℃より高い温度等の高温域)で加熱処理等せずに、高い導電率を損なうことなく炭化ケイ素多結晶基板の反りを低減できる。よって、本実施形態の製造方法で製造された炭化ケイ素多結晶基板を、横型に加えて、縦型のダイオード用炭化ケイ素基板として、デバイス製造工程に供することが可能となり、炭化ケイ素多結晶基板の反り量が小さいことで、フォトリソグラフィ工程におけるパターン形成不良や、イオン注入工程におけるイオン侵入深さの不均一などが少なくなり、歩留まりの向上が期待できる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
前述した実施形態においては、第1炭化ケイ素多結晶膜200の上に、1枚のカーボン膜300と1枚の第2炭化ケイ素多結晶膜400を成膜して炭化ケイ素多結晶基板600を製造する方法について説明したが、厚さが1μm〜10μmカーボン膜と厚さが30μm〜80μmの炭化ケイ素多結晶膜が、それぞれ複数枚成膜されてもよい。
すなわち、炭化ケイ素多結晶膜の製造方法が、カーボン膜成膜段階で成膜するカーボン膜が第1カーボン膜300aであり、第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、さらに、厚さが1μm〜10μmの第2カーボン膜300bと、当該第2カーボン膜300bの上に厚さが30μm〜80μmの第3炭化ケイ素多結晶膜400aと、をさらに積層する積層工程を、少なくとも1回行うものであってもよい。図3は、第2カーボン膜300bと第3炭化ケイ素多結晶膜400aを積層する積層工程を1回行って製造された積層体500Dを示す図である。積層体500Dは、図3に示すように、第1炭化ケイ素多結晶膜200と、第1カーボン膜300aと、第2炭化ケイ素多結晶膜400と、第2カーボン膜300bと、第3炭化ケイ素多結晶膜400aと、がカーボン支持基板100に積層したものである。また、第2炭化ケイ素多結晶膜400と第3炭化ケイ素多結晶膜400aとは、それぞれ1μm〜10μmの第1カーボン膜300a、第2カーボン膜300bの上に積層されており、炭化ケイ素多結晶の粒径分布は同様となる。第2炭化ケイ素多結晶膜400の上にさらに厚さが1μm〜10μmの第2カーボン膜300bと、当該第2カーボン膜300bの上に厚さが30μm〜80μmの第3炭化ケイ素多結晶膜400aとを積層することにより、積層体500Dからカーボン支持基板100、第1カーボン膜300a、第2カーボン膜300bを除去して製造された炭化ケイ素多結晶基板の反りの発生をより抑制することができる。
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
以下、本発明の実施例及び比較例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されることはない。
[炭化ケイ素多結晶基板の製造、および炭化ケイ素多結晶基板の評価]
(実施例1)
前述した実施形態の成膜装置1000を用いて、炭化ケイ素多結晶基板を製造した。成膜装置1000の基板ホルダー1070に、直径6インチ、厚さ500μm、熱膨張係数4.5×10−6(/K)のカーボン支持基板を保持した。成膜室1010内へArガスを流入させながら排気ポンプにより炉内を減圧化した後、1350℃まで加熱し、1350℃に達した後Arガスの供給を停止した。原料ガスとして、SiCl、CHを用い、ドーピングガスとしてN、キャリアガスとしてHを用いた。第1炭化ケイ素多結晶膜、第2炭化ケイ素多結晶膜の成膜工程においては、これらのガスの混合比をSiCl:CH:H:N=1:1:10:10として、総流入量を20slm(standard L/min)として、所定時間(20時間)、成膜を実施した。本実施例、比較例においては、事前に予備試験を行って所望の膜厚となる成膜条件を設定しておき、同様の成膜条件を用いて炭化ケイ素多結晶基板の製造を行った。この条件設定においては、前述の実施形態において説明した方法により膜厚の測定をして成膜条件の評価を行った。すなわち、膜内の5点を中心、円周端部、および中心と円周端部との間にあり、中心からの距離と円周端部からの距離が同じ地点として、これらの5点について、斜入射型光学測定器等により膜厚の測定を行って目的の膜の膜厚を算出して、それらの平均値を膜厚とした。また、予備試験において測定したそれぞれの膜の5点の膜厚により、膜厚のばらつきが3%以内で膜厚のばらつきが小さい、均一な膜が成膜されたことを確認した。
第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階においては、膜厚500μmの第1炭化ケイ素多結晶膜を成膜した。次に、SiClの供給を停止して、CH、H、Nのみを成膜室1010に供給して、第1炭化ケイ素多結晶膜の上に膜厚1μmのカーボン膜を成膜した。さらに、再度SiCl、CH、H、Nを供給して、カーボン膜の上に膜厚30μmの第2炭化ケイ素多結晶膜を成膜して、その後、すべてのガスの流入を停止し室温まで冷却した。カーボン支持基板、第1炭化ケイ素多結晶膜、カーボン膜、および、第2炭化ケイ素多結晶膜がこの順に積層した積層体を得た。
次に、積層体における外周端部に積層した炭化ケイ素多結晶膜、カーボン膜の部分を研削して、カーボン支持基板を露出させたのち、大気雰囲気下、約1,000℃で焼成することでカーボン支持基板およびカーボン膜を燃焼除去して、炭化ケイ素多結晶基板を得た。
次に、得られた炭化ケイ素多結晶基板の反り量を測定した。炭化ケイ素多結晶基板の成膜された面の中心線上を斜入射型光学測定器により測定し、得られた測定値の最大値と最小値との差を反り量とした。測定は5点とし、中心、円周端部、および中心と円周端部との間にあり、中心からの距離と円周端部からの距離が同じ地点について、測定した。反り量が、100μmより大きいとき、製造した炭化ケイ素多結晶基板について、表面を平滑とするために研削の負担が増える等のデバイス等の製造過程で問題の生じ得る反りが有ると判定した。また、反り量の測定結果を、表1に示した。
(実施例2、実施例3)
第2炭化ケイ素多結晶膜の厚さを、実施例2においては50μm、実施例3においては80μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、炭化ケイ素多結晶基板を製造して、炭化ケイ素多結晶基板の反り量を測定した。反り量の測定結果を表1に示した。
(実施例4〜実施例6)
カーボン膜の厚さを、実施例4〜実施例6においては10μmとして、第2炭化ケイ素多結晶膜の厚さを、実施例4においては30μm、実施例5においては50μm、実施例6においては80μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素多結晶基板を製造して、炭化ケイ素多結晶基板の反り量を測定した。反り量の測定結果を表1に示した。
(比較例1、比較例2)
第2炭化ケイ素多結晶膜の厚さを、比較例1においては10μm、比較例2においては100μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、炭化ケイ素多結晶基板を製造して、炭化ケイ素多結晶基板の反り量を測定した。反り量の測定結果を表1に示した。
(比較例3〜比較例9)
カーボン膜の厚さを、比較例3、比較例4においては10μmとして、比較例5〜比較例9においては50μmとして、第2炭化ケイ素多結晶膜の厚さを、比較例3においては10μm、比較例4においては100μm、比較例5においては10μm、比較例6においては30μm、比較例7においては50μm、比較例8においては80μm、比較例9においては100μm、としたこと以外は、実施例1と同様にして、炭化ケイ素多結晶基板を製造して、炭化ケイ素多結晶基板の反り量を測定した。反り量の測定結果を表1に示した。
(従来例)
従来例として、第1炭化ケイ素多結晶膜を500μmとして、カーボン膜、第2炭化ケイ素多結晶膜を成膜せずに炭化ケイ素多結晶基板を製造して、炭化ケイ素多結晶基板の反り量を測定した。反り量の測定結果を表1に示した。
Figure 2021031363
[評価結果の考察]
以上の評価結果により、本発明の例示的態様である実施例1〜実施例6において、比較例1〜比較例9と比べて、製造された炭化ケイ素多結晶基板の反り量が小さく、反り量は50μmから90μmであった。また、カーボン膜、第2炭化ケイ素多結晶膜を成膜しない従来例の炭化ケイ素多結晶基板においては、反り量が200μmとなり、大きな反りが発生することが示された。また、カーボン膜が1μm〜10μmかつ第2炭化ケイ素多結晶膜が30μm〜80μmを満たさない、比較例5〜比較例9においては、反り量が120μmから240μmとなり、大きな反りが発生することが示された。カーボン支持基板の上に第1炭化ケイ素多結晶膜を成膜する第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、第1炭化ケイ素多結晶膜の上に、厚さが1μm〜10μmのカーボン膜を成膜するカーボン膜成膜段階と、カーボン膜成膜段階の後に、カーボン膜の上に、厚さが30μm〜80μmの第2炭化ケイ素多結晶膜を成膜する第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、を行うことにより、炭化ケイ素多結晶基板に大きな反りが発生することを抑制して、反りの小さい炭化ケイ素多結晶基板を製造することができることが示された。
100 カーボン支持基板
200 第1炭化ケイ素多結晶膜
300 カーボン膜
400 第2炭化ケイ素多結晶膜
500A、500B、500C、500D 積層体
600、600A 炭化ケイ素多結晶基板

Claims (5)

  1. 化学的気相成長法によってカーボン支持基板上に炭化ケイ素多結晶膜およびカーボン膜を成膜する成膜工程を含み、
    当該成膜工程は、
    前記カーボン支持基板の上に第1炭化ケイ素多結晶膜を成膜する第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、
    前記第1炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、前記第1炭化ケイ素多結晶膜の上に、厚さが1μm〜10μmのカーボン膜を成膜するカーボン膜成膜段階と、
    前記カーボン膜成膜段階の後に、前記カーボン膜の上に、厚さが30μm〜80μmの第2炭化ケイ素多結晶膜を成膜する第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階と、を備える、炭化ケイ素多結晶基板の製造方法。
  2. 前記カーボン支持基板の熱膨張係数が、4.3×10−6/K〜4.5×10−6/Kである、請求項1に記載の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法。
  3. 前記第1炭化ケイ素多結晶膜の厚さが、400μm〜700μmである、請求項1または2に記載の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法。
  4. 前記カーボン膜成膜段階で成膜する前記カーボン膜が第1カーボン膜であり、
    前記成膜工程が、前記第2炭化ケイ素多結晶膜成膜段階の後に、さらに、
    厚さが1μm〜10μmの第2カーボン膜と、当該第2カーボン膜の上に厚さが30μm〜80μmの第3炭化ケイ素多結晶膜と、をさらに積層する積層段階を、少なくとも1回備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法。
  5. 前記成膜工程により得られた、前記カーボン支持基板、前記第1炭化ケイ素多結晶膜、前記カーボン膜、および、前記第2炭化ケイ素多結晶膜が積層した積層体の外周端部を研削して、前記カーボン支持基板の少なくとも一部および前記カーボン膜の少なくとも一部を露出させる研削工程と、
    前記研削工程の後に、前記積層体を加熱して、前記カーボン支持基板および前記カーボン膜を燃焼除去する燃焼除去工程と、をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化ケイ素多結晶基板の製造方法。
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