JP2022067842A - 炭化珪素多結晶膜の成膜方法および炭化珪素多結晶基板の製造方法 - Google Patents

炭化珪素多結晶膜の成膜方法および炭化珪素多結晶基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】CVD法によってカーボン支持基板上に窒素ドーピングガスとともにSiC多結晶膜を成膜し、カーボン支持基板より分離したSiC多結晶膜の反りを緩和することで、SiC多結晶基板を加工製造する際の歩留まりやコスト、生産性が悪化するという課題を解決し、基板の反りを低減した高導電率のSiC多結晶基板を得ることのできる、炭化珪素多結晶膜の成膜方法および炭化珪素多結晶基板の製造方法を提供する。【解決手段】化学的気相成長法により、窒素ガス、珪素系ガス、および炭素系ガスを用いて、厚さが300μm~10mmのカーボン製支持基板に厚さが300μm~1200μmの炭化珪素多結晶膜を成膜する成膜工程を含み、前記カーボン製支持基板は、厚さ方向に対して平行な方向の熱膨張係数をαpとし、厚さ方向に対して直交する方向の熱膨張係数をαvとした場合に、αv/αp=2.5~4.0である、炭化珪素多結晶膜の成膜方法。【選択図】図1

Description

本発明は、炭化珪素多結晶膜の成膜方法および炭化珪素多結晶基板の製造方法に関し、特に、化学的気相成長法(以下、「CVD法」とする場合がある)によりカーボン製支持基板上に炭化珪素(以下、「SiC」とする場合がある)多結晶膜を成膜する成膜方法と、その後、カーボン製支持基板を燃焼除去してSiC多結晶基板を得る、SiC多結晶基板の製造方法に関する。
SiCは珪素(以下、「Si」とする場合がある)と炭素で構成される化合物半導体材料である。SiCは、絶縁破壊電界強度がSiの10倍、バンドギャップがSiの3倍と優れているだけでなく、デバイスの作製に必要なp型、n型の制御が広い範囲で可能であることなどから、Siの限界を超えるパワーデバイス用材料として期待されている。
しかしながら、SiC半導体は、広く普及するSi半導体と比較し、大面積のSiC単結晶基板が得られず、工程も複雑であることから、Si半導体と比較して大量生産ができず、高価であった。
SiC半導体のコストを下げるため、様々な工夫が行われてきた。例えば、特許文献1には、SiC基板の製造方法であって、少なくとも、マイクロパイプの密度が30個/cm2以下のSiC単結晶基板とSiC多結晶基板を準備し、前記SiC単結晶基板と前記SiC多結晶基板とを貼り合わせる工程を行い、その後、SiC単結晶基板を薄膜化する工程を行うことで、SiC多結晶基板上にSiC単結晶層を形成した基板を製造することが記載されている。
更に、特許文献1には、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程の前に、SiC単結晶基板に水素イオン注入を行って水素イオン注入層を形成する工程を行い、SiC単結晶基板とSiC多結晶基板とを貼り合わせる工程の後、SiC単結晶基板を薄膜化する工程の前に、350℃以下の温度で熱処理を行い、SiC単結晶基板を薄膜化する工程を、水素イオン注入層にて機械的に剥離する工程とするSiC基板の製造方法が記載されている。
このような方法により、1つのSiC単結晶のインゴットからより多くのSiC基板が得られるようになった。
特開2009-117533号公報 特開平10-251062号公報
しかしながら、前記記載の方法で製造されたSiC基板は大部分が多結晶基板である。そのため、SiC単結晶基板とSiC単結晶基板とを貼り合わせたSiC基板の反りの大きさは、SiC多結晶基板の反りの大きさが支配的となる。そのため、SiC多結晶基板とSiC単結晶基板とを貼り合わせた後のデバイス製造工程において、SiC基板の反りが大きいと、フォトリソグラフィ工程におけるパターン形成不良や、イオン注入工程におけるイオン侵入深さが不均一となるなどの問題が生じる。そのため、SiC多結晶基板の反りは小さいことが求められる。
このようなSiC多結晶基板の反りが大きい課題に対し、例えば特許文献2においては、CVD法によるSiC多結晶膜の成膜に用いるカーボン支持基板の熱膨張係数を(3.0~5.0)×10-6(/K)の範囲とし、SiC多結晶膜の熱膨張係数(4.3~4.5)×10-6(/K)と近い熱膨張係数のカーボン支持基板を適用することで、熱膨張係数の差異によって生じ得る、SiC多結晶膜を成膜後のカーボン支持基板を冷却する過程におけるカーボン支持基板とSiC多結晶膜との体積収縮差を低減し、体積収縮差によって生じるSiC多結晶膜に生じる応力を低減することで、反りを低減させたSiC多結晶膜を得る方法が示されている。
しかしながら、SiC多結晶膜の反りを発生させる要因としては、カーボン支持基板とSiC多結晶膜の熱膨張係数の差異による、上記冷却する過程における体積収縮差だけでなく、SiC多結晶膜を構成している各結晶粒の結晶配向(例えば(0001)面の向きなど)の状態にも大きく依存することが判った。すなわち、各結晶粒の結晶配向が不均一な状態であると、カーボン支持基板側に成長したSiC多結晶膜は、上記冷却する過程において体積収縮差により受けるSiC多結晶膜の成長方向に垂直な応力を、各結晶粒内の塑性的な構造変態により低減する程度が弱くなり、結果としてSiC多結晶膜の表面よりもカーボン支持基板側に成長したSiC多結晶膜の残留応力の方が大きくなる。
一方でカーボン支持基板の体積変化に拘束され難いSiC多結晶膜の表面となる成長終端側(以下、「成長面側」とする場合がある)のSiC多結晶膜は、上記冷却する過程において体積収縮する場合に、カーボン支持基板の体積収縮による応力をカーボン支持基板側よりも受け難く、カーボン支持基板側と比較して成長面側の残留応力が小さくなる。このSiC多結晶膜におけるカーボン支持基板側と成長面側に内在する残留応力の差の大きさが、カーボン支持基板を除去後に得られるSiC多結晶膜の反りの大きさを決める主要因である。そのため、各結晶粒の結晶配向が不均一であるとカーボン支持基板を除去後のSiC多結晶膜の反りが大きくなり、その後、SiC多結晶膜をSiC多結晶基板へ加工する工程において、SiC多結晶膜に生じた粒径が変化する箇所を削り取っても、反りの程度が必要十分に小さくならないという課題があった。
また、SiC多結晶膜をSiC多結晶基板へ加工する工程において、SiC多結晶膜を所定の厚みおよび平坦度となるように整えるための面研削や面研磨の加工などにおいて、SiC多結晶膜の反りが大きいことに起因した厚み、平坦度あるいは反りの不良等の加工不良が多発するなど、SiC多結晶基板への加工工程での歩留まりを悪化させる要因ともなっていた。加えて、これらの加工不良を改善させることを目的に、例えばCVD法による成膜によってSiC多結晶膜の厚みを大きくすると、原料ガスやキャリアガス等の使用量の増加や成膜時間が長くなることにより、SiC多結晶膜の製造コストや生産性が悪化していた。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、CVD法によってカーボン支持基板上に窒素ドーピングガスとともにSiC多結晶膜を成膜し、カーボン支持基板より分離したSiC多結晶膜の反りを緩和することで、SiC多結晶基板を加工製造する際の歩留まりやコスト、生産性が悪化するという課題を解決し、基板の反りを低減した高導電率のSiC多結晶基板を得ることのできる、炭化珪素多結晶膜の成膜方法および炭化珪素多結晶基板の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、CVD法によってカーボン支持基板上に窒素ドーピングガスとともに原料ガスを導入してSiC多結晶膜を成膜する工程において、SiC成膜方向に対するカーボン製支持基板の平行方向の熱膨張係数αpと垂直方向の熱膨張係数αvの比αv/αpが所定範囲内である構造異方性が大きいカーボン材質を支持基板に用いることで、SiC多結晶膜の反りを低減させることを見出すに至った。
上記課題を解決するために、本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法は、化学的気相成長法により、窒素ガス、ケイ素系ガス、および炭素系ガスを用いて、厚さが300μm~10mmのカーボン製支持基板に厚さが300μm~1200μmの炭化珪素多結晶膜を成膜する成膜工程を含み、前記カーボン製支持基板は、厚さ方向に対して平行な方向の熱膨張係数をαpとし、厚さ方向に対して直交する方向の熱膨張係数をαvとした場合に、αv/αp=2.5~4.0である。
前記αPは1.0×10-6(/K)~6.0×10-6(/K)であり、前記αvは1.0×10-6(/K)~6.0×10-6(/K)であってもよい。
前記成膜工程において前記炭化珪素多結晶膜を成膜する成膜温度は1200~1500℃であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の炭化珪素多結晶基板の製造方法は、上記本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法により得た前記カーボン製支持基板と前記炭化珪素多結晶膜を備える積層体から、前記カーボン製支持基板を燃焼させて除去する燃焼除去工程を含む。
前記燃焼除去工程後、前記炭化珪素多結晶膜の表面を研磨する研磨工程を含んでもよい。
本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法および炭化珪素多結晶基板の製造方法によれば、CVD法によってカーボン支持基板上に窒素ドーピングガスとともにSiC多結晶膜を成膜し、カーボン支持基板より分離したSiC多結晶膜の反りを緩和することで、SiC多結晶基板を加工製造する際の歩留まりやコスト、生産性が悪化するという課題を解決し、基板の反りを低減した高導電率のSiC多結晶基板を得ることができる。
本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法を実施した場合のカーボン製支持基板および炭化珪素多結晶膜の側面断面を示す概略図である。 本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法とは異なる成膜方法を実施した場合のカーボン製支持基板および炭化珪素多結晶膜の側面断面を示す概略図である。 カーボン製支持基板の一つの結晶粒とその結晶内部構造の配向を示した側面断面を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
[炭化珪素多結晶膜の成膜方法]
本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法は、以下に説明する成膜工程を含む。
〈成膜工程〉
本工程は、化学的気相成長法により、窒素ガス、ケイ素系ガス、および炭素系ガスを用いて、厚さが300μm~10mmのカーボン製支持基板に厚さが300μm~1200μmの炭化珪素多結晶膜を成膜する工程である。
例えば、カーボン製支持基板を成膜装置の反応炉内に固定し、減圧状態でAr等の不活性ガスを流しながら炉内を反応温度まで昇温させる。反応温度に達したら、不活性ガスを止め、炉内にケイ素系ガスおよび炭素系ガス等の原料ガス、ドーパントガスとして窒素ガスおよびキャリアガス等を供給し、大気圧下においてカーボン製支持基板の表面や気相での化学反応を所定時間行うことにより、炭化珪素多結晶膜を成膜することができる。
(原料ガス)
原料ガスとしては、SiC多結晶膜を成膜することができれば、特に限定されず、一般的に使用されるSi系原料ガスやC系原料ガスを用いることができる。Si系原料ガスとしては、例えば、シラン(SiH4)を用いることができるほか、モノクロロシラン(SiH3Cl)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)、テトラクロロシラン(SiCl4)などのエッチング作用があるClを含む、塩素系Si原料含有ガス(クロライド系原料)を用いることもできる。また、C系原料ガスとしては、例えば、メタン(CH4)やプロパン(C38)アセチレン(C22)等の炭化水素ガスを用いることができる。また、上記のほか、トリクロロメチルシラン(CH3Cl3Si)、トリクロロフェニルシラン(C65Cl3Si)、ジクロロメチルシラン(CH4Cl2Si)、ジクロロジメチルシラン((CH32SiCl2)、クロロトリメチルシラン((CH3)3SiCl)等のSiとCとを両方含むガスも、原料ガスとして用いることができる。
(窒素ガス)
また、これらの原料ガスと同時に、目標とする導電率に見合う量の不純物ドーピングガスを同時に供給する。例えば、導電型をn型とする場合には窒素(N2)ガス、p型とする場合にはトリメチルアルミニウム(TMA)ガスを用いることができ、本発明では窒素ガスを用いることができる。
(キャリアガス)
さらに、これらの原料ガスおよび窒素ガスと同時に、キャリアガスを用いることができる。キャリアガスとしては、炭化珪素多結晶膜の成膜を阻害することなく、原料ガスをカーボン製支持基板へ展開することができれば、一般的に使用されるキャリアガスを用いることができる。例えば、熱伝導率に優れ、炭化珪素に対してエッチング作用がある水素(H2)を用いることができる。
前記成膜工程において、前記炭化珪素多結晶膜を成膜する成膜温度は、大きな反りが発生しないように炭化珪素多結晶の結晶配向が一定程度に揃った結晶粒を生成できる温度域であれば特に制限されるものではない。例えば、炭化珪素多結晶膜の反りを必要十分に抑制させるには、成長面が(111)面となる立方晶構造の炭化珪素結晶粒が生成しやすい1200~1500℃とすることが好ましい。
(成膜する厚み)
炭化珪素多結晶基板の規格としてその厚みが350μmである場合があり、これを考慮して、成膜工程では炭化珪素多結晶膜の厚みが300μm~1200μmとなるように成膜することができる。例えば、厚みが350μmの炭化珪素多結晶基板を得るには、研磨工程や面研削工程における研磨や研削によって厚みが薄くなることを考慮して、成膜する炭化珪素多結晶膜の厚みを400μmとすることができる。なお、厚みが300μm未満の場合には、内部応力の影響で炭化珪素多結晶膜の反りが大きくなるおそれがある。また、厚みが1200μmより厚いと、炭化珪素多結晶基板の加工や製造過程における研磨工程や面研削工程において、研磨量や研削量が多くなり、材料のロスが多くなるおそれがある。
〈カーボン製支持基板〉
以下、図1~3を参照しつつ、本発明において使用するカーボン製支持基板、成膜した炭化珪素多結晶膜に反りが発生する要因、およびその反りを本発明によって低減できる理由について、説明する。
図3に、カーボン製支持基板の一つの結晶粒とその結晶内部構造の配向を示した側面断面を示す概略図を示す。カーボンの結晶粒10の断面に付された上下方向の直線は、結晶の配向方向50を示しており、配向方向50が異なる結晶粒10が複数集まってカーボン製支持基板100や150を構成する。
図1に、本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法を実施した場合のカーボン製支持基板および炭化珪素多結晶膜の側面断面を示す概略図を示す。矢印Aで示す方向を成膜方向として、カーボン製支持基板100に炭化珪素多結晶膜200が成膜している。カーボン製支持基板100は、配向方向50が上下方向を向く結晶粒11が最も多く、右斜め方向を向く結晶粒12や左斜め方向を向く結晶粒13が少量存在しており、上下方向の配向性が強い異方性の黒鉛を加工して得た基板である。このような異方性の黒鉛は、例えば押し出し製法等により得ることができる。
異方性の黒鉛から得られるカーボン製支持基板100は、基板の方向によって熱膨張係数が異なる。本発明では、炭化珪素多結晶膜の成膜方向Aに対して平行方向(カーボン製支持基板100の厚さ方向に対して平行な方向)の熱膨張係数をαp、成膜方向Aに対して垂直方向(カーボン製支持基板100の厚さ方向に対して直交する方向)の熱膨張係数αvの比とした場合、αv/αp=2.5~4.0の範囲となる構造異方性をもつものを、カーボン製支持基板100として用いる。
このようなαv/αp=2.5~4.0の範囲となる構造異方性をもつカーボン材質の支持基板を用いることで、成長させる炭化珪素多結晶膜200の結晶配向210を一定方向にある程度揃えることが可能となり、図1では結晶配向210が主に成膜方向に揃っている。このように、結晶配向210が揃った炭化珪素多結晶膜200は、成膜工程後にカーボン製支持基板100と炭化珪素多結晶膜200の積層体を冷却する際に、カーボン製支持基板100の体積収縮により受ける応力を、炭化珪素多結晶膜200の結晶粒220内の塑性的な構造変態により緩和させ、炭化珪素多結晶膜200の支持基板230側と成長面240側の残留応力差を低減させることで、カーボン製支持基板100を燃焼除去後に生じる炭化珪素多結晶膜200の反りを低減させることが可能となる。
図2に、本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法とは異なる成膜方法を実施した場合のカーボン製支持基板および炭化珪素多結晶膜の側面断面を示す概略図を示す。図1の場合と同様に、矢印Aで示す方向を成膜方向として、カーボン製支持基板150に炭化珪素多結晶膜250が成膜している。カーボン製支持基板150は、配向方向50が上下方向や右斜め方向、左斜め方向を向く結晶粒14~16が同程度に存在しており、等方性の黒鉛を加工して得た基板である。このような等方性の黒鉛は、例えば静水圧製法等により得ることができる。
等方性の黒鉛から得られるカーボン製支持基板150は、カーボン製支持基板100と比較して基板の方向によって熱膨張係数が異ならない。図2ではαv/αp=2.5~4.0の範囲に該当せず、αv/αp≒1.0となる基板を、カーボン製支持基板150として用いる。
このようなカーボン製支持基板150を用いると、成長させる炭化珪素多結晶膜250の結晶配向260が一定方向に揃わず、不規則に配向する。このように、結晶配向260が揃っていない炭化珪素多結晶膜250は、成膜工程後にカーボン製支持基板150と炭化珪素多結晶膜250の積層体を冷却する際に、カーボン製支持基板150の体積収縮により受ける応力を、炭化珪素多結晶膜250の結晶粒270内の塑性的な構造変態により緩和させることが困難となり、炭化珪素多結晶膜250の支持基板280側と成長面290側の残留応力差を低減させることができないことで、カーボン製支持基板150を燃焼除去後に生じる炭化珪素多結晶膜250の反りの低減させることが困難となる。
なお、αv/αpが4.0を超えるカーボン製支持基板100は、現状では入手できず、このような支持基板の挙動は確認することができない。
また、本発明では、厚さが300μm~10mmのカーボン製支持基板を用いる。カーボン製支持基板の厚さが300μm未満と薄すぎると、カーボン製支持基板そのものに反りが生じることで、炭化珪素多結晶膜の反りが修正できない程度に大きくなるおそれがある。一方で、カーボン製支持基板の厚さが10mmを超えて厚すぎると、カーボン製支持基板の燃焼除去に時間がかかって炭化珪素多結晶基板の製造効率が低下する場合がある。
そして、カーボン製支持基板の熱膨張係数において、αPは1.0×10-6(/K)~6.0×10-6(/K)であってもよい。αpがこの範囲であることにより、単結晶構造を持つ粒子で構成されるカーボン製支持基板が得られ易く、結晶配向が揃った炭化珪素多結晶膜が生成しやすい。特に、αPが1.0×10-6(/K)~2.0×10-6(/K)であることで、この傾向が顕著となる。また、αpが1.0×10-6(/K)~6.0×10-6(/K)の範囲から外れると、単結晶構造を持つ粒子で構成されるカーボン製支持基板が得られ難くなるおそれがあり、結晶配向が揃った炭化珪素多結晶膜が生成し難くなる場合がある。
また、αvは1.0×10-6(/K)~6.0×10-6(/K)であってもよい。αvがこの範囲であることにより、単結晶構造を持つ粒子で構成されるカーボン製支持基板が得られ易く、結晶配向が揃った炭化珪素多結晶膜が生成しやすい。特に、αvが2.5×10-6(/K)~5.0×10-6(/K)であることで、この傾向が顕著となる。また、αvが1.0×10-6(/K)~6.0×10-6(/K)の範囲から外れると、単結晶構造を持つ粒子で構成されるカーボン製支持基板が得られ難くなるおそれがあり、結晶配向が揃った炭化珪素多結晶膜が生成し難くなる場合がある。
(その他の工程)
本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法は、上記した成膜工程以外にも、他の工程を含むことができる。例えば、成膜装置内の基板ホルダーにカーボン製支持基板を複数枚セットする工程や、セットしたカーボン製支持基板を加熱する工程、化学蒸着前のカーボン製支持基板に、炭化珪素多結晶膜の成膜を阻害するような何らかの反応が生じないよう、基板を不活性雰囲気下とするべく、アルゴン等の不活性ガスを流通させる工程、成膜工程後に原料ガス、ドーピングガスおよびキャリアガスを停止し、成膜装置の炉内を室温まで冷却させる冷却工程等が挙げられる。
[炭化珪素多結晶基板の製造方法]
次に、本発明の炭化珪素多結晶基板の製造方法について、その一態様を説明する。かかる製造方法は、以下に説明する燃焼除去工程を含む。
〈燃焼除去工程〉
本工程は、上記の炭化珪素多結晶膜の成膜方法により得た前記カーボン製支持基板と前記炭化珪素多結晶膜を備える積層体から、前記カーボン製支持基板を燃焼させて除去する工程である。これにより、カーボン製支持基板が消滅して、反りが抑制された炭化珪素多結晶膜が残り、これが炭化珪素多結晶基板となる。
カーボン製支持基板の燃焼除去は、空気中で加熱する等の適宜な方法で行うことができる。加熱条件としては、例えば大気雰囲気下にて1000℃程度に加熱する条件が挙げられる。
〈研磨工程〉
本発明の炭化珪素多結晶基板の製造方法は、燃焼除去後、前記燃焼除去工程後、前記炭化珪素多結晶膜の表面を研磨する研磨工程を含んでもよい。炭化珪素多結晶基板は、例えば半導体の製造に用いられる基板とするのであれば、半導体製造プロセスで使用できる面精度が必要となる。そこで、本工程により、炭化珪素多結晶膜の表面を平滑化することが好ましい。
例えば、炭化珪素多結晶膜をダイアモンドスラリーでラップ処理し、ダイアモンドとアルミナとの混合スラリーでハードポリッシュした後に、シリカスラリー(コロイダルシリカ、pH11)でポリッシュするという工程を経て、炭化珪素多結晶基板の表面を平滑化することができる。
(その他の工程)
本発明の炭化珪素多結晶基板の製造方法は、上記の工程以外にも、他の工程を含むことができる。例えば、炭化珪素多結晶膜によって完全に被覆されたカーボン製支持基板を燃焼除去させるため、燃焼除去工程の前にカーボン製支持基板の側面に付着した炭化珪素多結晶膜の一部を除去してカーボン製支持基板を露出させる露出工程や、研磨工程後の炭化珪素多結晶基板を洗浄する洗浄工程等が挙げられる。また、炭化珪素多結晶膜を所定の厚みへ整えるための面研削工程を含んでもよい。
露出工程としては、具体的には、ダイアモンドやC-BN(立方晶BN)砥粒を用いたシングルワイヤソーで炭化珪素多結晶膜の外周端部の一部を切断する方法や、研磨ホイールで炭化珪素多結晶膜の外周端部の一部を削り落とすことにより、カーボン基板を露出させることができる。
なお、本発明の炭化珪素多結晶膜の成膜方法であれば、反りの抑制された炭化珪素多結晶基板が得られる。そのため、炭化珪素多結晶基板の加工や製造過程における研磨工程や面研削工程において、炭化珪素多結晶膜の反りが大きいことに起因する厚みの均一性、平坦度あるいは反りが悪化することがなく、反りの小さな高導電率の炭化珪素多結晶基板へ加工製造することが可能となる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
(炭化珪素多結晶膜の成膜)
化学的気相成長法に用いる熱CVD装置の反応管内に、直径6インチ、厚み500μm、熱膨張係数がαp=1.0×10-6(/K)、αv=2.5×10-6(/K)、αv/αp=2.5のカーボン製支持基板100を10枚固定し、炉内へArガスを20L/分の流量で流入させながら排気ポンプにより炉内を減圧化した後、1400℃まで加熱し、その後、Arガスを停止させた。次いで、原料ガスとして、1L/分(気体換算、25℃)の流量のSiCl4、1L/分の流量のCH4、ドーピングガスとして50L/分の流量のN2、キャリアガスとして10L/分の流量のH2を、原料ガス等の流通時間を20時間としてカーボン製支持基板100へ流入させ、厚みが約1000μmの炭化珪素多結晶膜200をカーボン製支持基板100のおもて面とうら面の両面へ成膜させた。その後、原料ガス、ドーピングガスおよびキャリアガスの流入を停止し、炉内を室温まで冷却した。
(炭化珪素多結晶基板の製造)
カーボン製支持基板100の側面外周に成膜した炭化珪素多結晶膜のみを研削してカーボン製支持基板100の側面を露出させ、次いで、大気雰囲気下において約1000℃の温度条件下でカーボン製支持基板100を加熱することで燃焼除去し、カーボン製支持基板100と炭化珪素多結晶膜200を分離して、20枚の炭化珪素多結晶基板を得た。
(炭化珪素多結晶基板の反りの測定)
炭化珪素多結晶基板の成長面240の表面の中心線上を、斜入射型光学測定器により測定し、得られた測定値の最大値と最小値との差を反りとした。測定は5点とし、中心、円周端部、および中心と円周端部との間にあり、中心からの距離と円周端部からの距離が同じ地点について、測定した。結果として、実施例1によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは、20枚の平均で100μmであった。表1に、αv/αp、炭化珪素多結晶膜の成膜温度、および炭化珪素多結晶基板の反りの測定結果を示す。
[実施例2]
熱膨張係数がαp=1.0×10-6(/K)、αv=3.2×10-6(/K)、αv/αp=3.2のカーボン支持基板を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。実施例2によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは、80μmであった。
[実施例3]
熱膨張係数がαp=1.0×10-6(/K)、αv=4.0×10-6(/K)、αv/αp=4.0のカーボン支持基板を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。実施例3によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは、60μmであった。
[実施例4]
成膜時の温度を1200℃とした以外は、実施例1と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。実施例4によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは、140μmであった。
[実施例5]
成膜時の温度を1200℃とした以外は、実施例2と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。実施例5によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは120μmであった。
[実施例6]
成膜時の温度を1200℃とした以外は、実施例3と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。実施例6によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは110μmであった。
[実施例7]
成膜時の温度を1500℃とした以外は、実施例1と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。実施例7によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは150μmであった。
[実施例8]
成膜時の温度を1500℃とした以外は、実施例2と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。実施例8によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは130μmであった。
[実施例9]
成膜時の温度を1500℃とした以外は、実施例3と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。実施例9によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは120μmであった。
[比較例1]
熱膨張係数がαp=1.0×10-6(/K)、αv=1.0×10-6(/K)、αv/αp=1.0のカーボン支持基板を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。比較例1によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは460μmであった。
[比較例2]
熱膨張係数がαp=2.0×10-6(/K)、αv=3.6×10-6(/K)、αv/αp=1.8のカーボン支持基板を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件として成膜、研削、焼成および反りの測定を行った。比較例2によって得られた炭化珪素多結晶基板の反りは220μmであった。
Figure 2022067842000002
[まとめ]
以上より、本発明であれば、炭化珪素多結晶基板を加工製造する際の歩留まりやコスト、生産性が悪化するという課題を解決し、基板の反りを低減した高導電率の炭化珪素多結晶基板を得ることができる。特に、炭化珪素多結晶基板の反りを低減することができるため、横型および縦型のダイオード用炭化珪素基板としてデバイス製造工程に供することが可能である。また、フォトリソグラフィ工程におけるパターン形成不良や、イオン注入工程におけるイオン侵入深さの不均一等を抑制することができ、歩留まりの向上が期待できる。
10 結晶粒
11 結晶粒
12 結晶粒
13 結晶粒
14 結晶粒
15 結晶粒
16 結晶粒
50 配向方向
100 カーボン製支持基板
150 カーボン製支持基板
200 炭化珪素多結晶膜
210 結晶配向
220 結晶粒
230 支持基板
240 成長面
250 炭化珪素多結晶膜
260 結晶配向
270 結晶粒
280 支持基板
290 成長面
A 矢印

Claims (5)

  1. 化学的気相成長法により、窒素ガス、珪素系ガス、および炭素系ガスを用いて、厚さが300μm~10mmのカーボン製支持基板に厚さが300μm~1200μmの炭化珪素多結晶膜を成膜する成膜工程を含み、
    前記カーボン製支持基板は、厚さ方向に対して平行な方向の熱膨張係数をαpとし、厚さ方向に対して直交する方向の熱膨張係数をαvとした場合に、αv/αp=2.5~4.0である、炭化珪素多結晶膜の成膜方法。
  2. 前記αPは1.0×10-6(/K)~6.0×10-6(/K)であり、前記αvは1.0×10-6(/K)~6.0×10-6(/K)である、請求項1に記載の炭化珪素多結晶膜の成膜方法。
  3. 前記成膜工程において前記炭化珪素多結晶膜を成膜する成膜温度は1200~1500℃である、請求項1または2に記載の炭化珪素多結晶膜の成膜方法。
  4. 請求項1または2に記載の炭化珪素多結晶膜の成膜方法により得た前記カーボン製支持基板と前記炭化珪素多結晶膜を備える積層体から、前記カーボン製支持基板を燃焼させて除去する燃焼除去工程を含む、炭化珪素多結晶基板の製造方法。
  5. 前記燃焼除去工程後、前記炭化珪素多結晶膜の表面を研磨する研磨工程を含む、請求項4に記載の炭化珪素多結晶基板の製造方法。
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