JP2021031060A - 包装用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチックの使用量を低減させることができ、さらに、耐油性とヒートシール性に優れる包装用紙を提供する。【解決手段】耐油剤を含む紙基材の少なくとも片面に少なくとも1層のヒートシール層を有する包装用紙であって、前記ヒートシール層の樹脂がアイオノマーであり、かつMD方向の引張強度が3.5kN/m以上であることを特徴とする包装用紙。【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチックの使用量を低減するための包装用紙に関する。
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量は4億トン/年を超えると言われ、その約半数が包装容器類であり、プラスチックゴミの原因にもなっている。プラスチックは半永久的に分解せず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化し、生態系に深刻な悪影響を与えている。包装容器に使用されるプラスチックとしては、飲料のボトル等に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)、レジ袋、容器のラミネートに使用されるポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)が最も多く使用されている。特に海洋の汚染は著しく、そのプラスチックゴミは回収不可能と言われている。今後、プラスチックの使用を低減することが地球環境にとって必要である。
一方で、プラスチックゴミ対策として微生物によって完全に分解され得る生分解性プラスチックの応用が世界中で提案されている。生分解プラスチックは自然界で一定期間の内に分解されるが、分解されるまではやはりゴミであり、それらの使用量及び廃棄量が低減されない限りにおいては、即効性のある対策とは言えない(特許文献1、2参照)。
即効性のある手段として、プラスチックを紙に代替することが提案されているが、紙を袋や容器に加工する際のヒートシール剤として、ポリエチレンやポリプロピレンが多量に使用されることになる。これらプラスチックのラミネート量は、商品コンセプトによって様々だが、20〜300g/mである。概ね20〜50g/mが一般的である。従って、プラスチックを紙に代替した包装容器においても、依然としてプラスチックの使用量は十分に低減されないという問題があり、直接的にプラスチックの使用を低減する手段が必要である。
特開2012−148444号公報 特開2013−141763号公報
本発明の目的は、プラスチックの使用量を低減させることができ、さらに、耐油性とヒートシール性に優れる包装用紙を提供することにある。
本発明の包装用紙においては、従来のプラスチックラミネート紙(以降、ポリラミ紙と略称する場合がある)のポリエチレンやポリプロピレンの使用量を低減するために、ポリエチレンやポリプロピレンの代わりにアイオノマーを使用する。また、本発明は、優れた耐油性(撥油性)を付与する為に、耐油剤を含む紙基材の少なくとも片面に少なくとも1層のヒートシール層を有し、かつ、前記ヒートシール層の樹脂がアイオノマーであり、かつMD方向(Machine Direction;機械方向、縦方向)の引張強度が3.5kN/m以上であることを特徴とする包装用紙である。従来のポリラミ紙のヒートシール層に使用されている、ポリエチレンやポリプロピレンのラミネート量が20〜300g/mであることと比較すると、ヒートシール層用のプラスチックの使用量は、従来の約25〜80%にまで削減することができる。しかし、アイオノマー層が薄いこと、並びにエマルジョンによる膜であることにより、袋加工などの加工時に、MD方向にかかるテンションにより、紙層の空隙が大きくなり、バリア性が低下し、耐油性が低下する場合がある。これを防ぐために、前記包装用紙のMD方向の引張強度を3.5kN/m以上にコントロールする必要がある。
また、アイオノマー層を設けることによって包装用紙のカールが生じそれが著し大きくなり、袋加工適性に劣ってしまう場合があり、袋加工機で給紙トラブルや接着不良の原因となる。カールは薄い紙になるほど大きくなりやすい。ヒートシール層とは反対面側に水溶性樹脂を含む層があることによって、カールが小さくなり、薄い紙でも安定して袋加工することが可能となる。また、経時のカール安定性にも優れる。
アイオノマーとは、金属イオンによる凝集力を利用し高分子を凝集体とした合成樹脂の総称であり、アクリル酸またはメタクリル酸をエチレンなどと組み合わせた樹脂である。アイオノマーは、アクリル系高分子とエチレンなどを、ナトリウムや亜鉛などの金属カチオンを加え分子間結合させて製造される。
本発明における好ましい包装用紙の製造方法としては、、アイオノマーエマルジョンを塗工、乾燥して前記ヒートシール層を形成する方法である。すなわち、本発明の製造方法は、耐油剤を含む紙基材の少なくとも片面に少なくとも1層のヒートシール層を有し、かつMD方向の引張強度が3.5kN/m以上である包装用紙の製造方法であって、ヒートシール層としてアイオノマーエマルジョンを含む塗工液を塗工量が1〜10g/mで塗工することを特徴とする包装用紙の製造方法である。特に水系アイオノマーエマルジョンを使用することにより、低塗工量にコントロールすることが可能であり、またVOC排出が無くなって地球環境にも優しい。なお、ヒートシール強度(ヒートシール性)は容器包装原紙に最も強く求められる品質である。
本発明によれば、プラスチック使用量を低減でき、かつ優れた耐油性(撥油性)とヒートシール性を有する包装用紙を製造することが可能となる。これら紙容器製品が仮に自然界に放出された場合であっても、残留するプラスチック量を最小限にすることが可能であり、プラスチックゴミ問題を低減することができる。なお、本発明における包装用紙は、例えば、袋、アイスクリーム等の食糧カップ、コーヒー等の飲料用コップ、ホットスナック等の食糧容器及びトレイ、箱、ケース、器、封筒等の包装容器全般に加工可能である。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本発明でいうアイオノマーとは、金属イオンによる凝集力を利用し高分子を凝集体とした合成樹脂の総称である。アクリル酸またはメタクリル酸をエチレンなどと組み合わせている。すなわち、エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩、エチレン・アクリル系共重合物の金属塩、エチレン・ウレタン系共重合物の金属塩、エチレン・フッ素系高分子共重合物の金属塩、などは全てアイオノマーと呼ばれる。塩を形成する金属は例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などである。本発明においては、前記アイオノマーがエチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩であることが好ましい。低塗工量でのヒートシール性に優れるからである。
また、本発明においては、前記ヒートシール層は、アイオノマーエマルジョンを塗工、乾燥してなるものであることが好ましい。ヒートシール層の塗工量を低くコントロールすることが可能である。更にエマルジョンが水系エマルジョンであるほうが、VOC排出が無くなり自然環境に対する負荷を小さくすることができる。ヒートシール層の塗工量は、紙基材の片面あたり、固形分換算で1〜10g/mである。1g/m未満の場合はヒートシール強度が低くなり、接着性が弱くなる。10g/mを超える場合は過剰品質であり、かつプラスチック削減効果が少なくなる。また、カールが大きくなる。更に好ましくは1〜5g/mである。なお、ヒートシール層には肉眼では見えないピンホールが存在する場合があるが、その程度であるならばヒートシール性に悪影響を与えない。また、ヒートシール層塗工液中にピンホール防止を目的としたレベリング剤を添加しても、本発明の効果を損なわない限りにおいては構わない。更に、前記アイオノマーエマルジョンが自己乳化変性型であることが、ヒートシール層の薄膜が均一になるので好ましい。なお、前記ヒートシール層が2層以上あってもよい。
また、本発明においては、前記ヒートシール層の反対面側に水溶性樹脂を含む層を有することが好ましい。また、当該層は、水溶性樹脂のみからなり他の成分を含まないことが好ましい。包装用紙のような薄い紙でもカールを小さくすることができ、袋加工におけるトラブルを減少させることができる。前記水溶性樹脂を含む層の塗工量は0.05〜5g/m、例えば0.4〜3g/mであることが好ましい。0.05g/m未満の場合はカール抑制効果に劣り、5g/mを超える場合は逆にカールが大きくなる可能性がある。また本発明において使用可能な水溶性樹脂は、澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパクなどを例示できる。なお、前記水溶性樹脂を含む層が2層以上あっても構わない。
また、本発明においては、紙基材に含まれる前記耐油剤は、フッ素系の耐油剤であることが好ましく、さらに、パーフルオロアルキル基を含有する、さらには側鎖にパーフルオロアルキル基を含有する共重合体を主成分とすることが好ましい。より耐油性(撥油性)に優れるからである。更に、生体に蓄積するとされるPFOA(パーフルオロオクタン酸)とPFOA類縁物質、及びこれらの前駆体物質を含まない、パーフルオロアルキル基含有の共重合体を主成分とする耐油剤が、環境負荷低減と安全性の面から好ましい。このような製品としては、例えば、AGC社製のアサヒガードEシリーズ、ダイキン社製のユニダインシリーズを挙げることができる。また、上記以外の耐油剤としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィンワックス系化合物、等の耐油剤を挙げることができる。
更に、前記ヒートシール層が無機顔料を含有しないことが好ましい。ヒートシール強度に優れる。また、塗工量を低減することができ、かつ樹脂量も低減させることが可能である。
前記紙基材の紙基材に使用するパルプ繊維はLBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)、未晒パルプなどの木材パルプ及びケナフ、バガス、竹、コットンなどの非木材パルプである。これらは、単独で使用するか、又は任意の割合で混合して使用することが可能である。また、本発明の目的とする効果を損なわない範囲において、合成繊維を更に配合することができる。環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、古紙パルプ、植林木から得られるパルプが好ましい。また、例えば、適切なパルプの叩解度としては、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、200〜700mlCSFであり、好ましくは450〜600mlCSFである。また、未晒パルプは、漂白薬品を多用していないという意味において、環境負荷が小さく本発明においては好ましい。また、未晒紙パルプはナチュラル色で目にも優しい点から好ましい。
また、MD方向の引張強度を3.5kN/m以上にするために、紙料に針葉樹パルプを配合する、紙力増強剤を増量する、フリーネス値を下げる、塗工後の乾燥温度を上げて樹脂被膜の強度を上げる、等の手段が有効である。前記針葉樹パルプを5質量部以上配合されていることが好ましい。更に好ましくは10部以上、例えば、全パルプ中90質量部から100質量部の針葉樹パルプを使用するとよい。具体的には、例えば、カナダ標準ろ水度480〜560mlcsfの針葉樹未晒クラフトパルプ90〜100質量部含むパルプを使用することができる。
また、前記紙基材の紙基材に填料を添加しても構わない。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、焼成クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウムを使用することができる。前記紙基材中の填料含有量は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、例えば、1〜30質量部である。
本実施形態に係る紙基材の紙基材においては、パルプ、填料に加えて、内添サイズ剤、湿潤紙力増強剤などの内添紙力増強剤、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤、ピッチコントロール剤などの各種助剤を、各製品に合わせて好適に配合することができる。内添サイズ剤は、各種公知のものが使用でき、特に限定されず、例えば、中性ロジンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤、酸性ロジンサイズ剤、弱酸性ロジンサイズ剤、AKD、ASAである。例えば、パルプ100質量部に対して、0.05〜2質量部の内添サイズ剤を使用することができる。前記内添紙力増強剤としては、従来公知の紙力増強剤を使用することが可能であり、例えば、澱粉系紙力増強剤、ポリアクリルアミド系紙力増強剤、ポリビニルアルコール系紙力増強剤である。例えば、パルプ100質量部に対して、0.05〜2質量部の澱粉系紙力増強剤を使用することができる。
紙基材の紙基材を抄紙する方法は、特に限定されるものではなく、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造できる。また、本発明においては、前記紙基材が単層抄きでも多層抄きでも、複数層の貼合品であっても構わない。
本実施形態に係る抄紙方法で得られる紙基材には、表面サイズ液を塗布しても良い。また、サイズプレスしても良い。表面サイズ液として澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの公知の水溶性高分子などが上げられるが特に限定されるものではない。耐油性(撥油性)の観点から、前記耐油剤を表面サイズ液に添加することが好ましい。効率的に紙層に耐油剤を含浸させることができる。前記紙基材の坪量は、特に限定されないが、例えば10〜500g/mである。前記水溶性高分子と前記耐油剤を混合したサイズ液を使用することも可能である。前記引張強度を考慮すると20g/m以上が好ましい。好ましくは25g/m以上であり、例えば、25g/m〜32g/mである。
本発明においては、前記紙基材の少なくとも片面に、ヒートシール層に加えて、ヒートシール層と基材の間に塗工層を1層以上設けても構わない。以下、前記塗工層で使用できる材料を記載する。
本実施形態で、前記塗工層に使用する白色顔料は、一般印刷用紙に使用される公知の顔料を1種以上含むものであり、例えば、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウム等)、カオリン(クレーを含む)、焼成クレー、タルク、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料、又はアクリル、スチレン、塩化ビニル、ナイロンそのものや、これらを共重合して得られる有機顔料(いわゆるプラスチックピグメント)が挙げられる。
前記塗工層のバインダーとして、ブタジエン系共重合ラテックス、架橋剤変性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉などの澱粉類、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、等の合成樹脂類等を例示できる。
前記塗工層のバインダーの総配合量は特に限定されないが、それぞれ全顔料100質量部に対し5〜50質量部とすることが好ましく、6〜45質量部、例えば、7〜40質量部とすることがより好ましい。配合量が5質量部未満であると容器包装加工時に塗工層が脱落する恐れがあり、50質量部を超えると、ヒートシール層塗工時にピンホールが出易くなり、ヒートシール強度にバラつきが生じ易くなる。ただし、ピンホールが出易い場合は、ヒートシール層用塗工液にレベリング剤を添加することができる。前記レベリング剤としては、界面活性剤やアルコールを使用することが好ましい。界面活性剤としては例えば、食品添加用界面活性剤、アルコールとしてはエタノールやイソプロピルアルコールを挙げることができる。
さらに本発明においては、ヒートシール層を均一に塗工するために、ヒートシール層の塗工前の紙基材にスーパーキャレンダー、グロスキャレンダー、シューニップキャレンダー、ソフトキャレンダーなどの公知のキャレンダー装置によりキャレンダー処理を行うことができる。また、キャレンダー処理時の、加圧装置形態、加圧ニップ数又は温度条件などの処理条件は、適宜調節して処理することができる。
また、前記塗工層には、必要に応じ各種助剤、例えば、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、耐水化剤、分散剤、流動変性剤、紫外線吸収剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、pH調節剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤が必要に応じて適宜配合できる。
前記塗工層及びヒートシール層を塗工する方式としては、特に限定することはなく、一般に使用されている塗工装置が使用される。例えばエアーナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、チャンプレックスコーター、メータリングブレード式のサイズプレスコーター、ショートドウェルコーター、スプレーコーター、ゲートロールコーター、リップコーター等の公知の各種塗工装置を用いることができる。
前記塗工層の塗工量は、特に限定するものではないが、例えば、紙基材の片面あたり、固形分換算で、2〜40g/mである。しかしながら、本発明においては、樹脂の塗工量を減少させるために、当該塗工層は特に必要ないか、固形分換算で2〜10g/mの塗工量とすることが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
(紙基材の作製)
カナダ標準ろ水度520mlcsfの針葉樹未晒クラフトパルプ100部、カチオン化澱粉(商品名:ネオタック30T、日本食品加工社製)0.2部、中性ロジンサイズ剤(商品名:CC167、星光PMC社製)0.1部に水を加えて紙料を調製し、長網多筒式抄紙機を用いて坪量28g/mの原紙を作製した。この原紙にサイズプレスによって、パーフルオロアルキル基含有化合物からなる共重合体を主成分とする耐油剤(商品名:アサヒガードEシリーズ、AG−E060、AGC社製)を両面あたりの乾燥塗布量が2g/mとなるように塗布し、乾燥して30g/mの紙基材を得た。
(包装用紙の作製)
上記で得られた紙基材の片面に、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパールS−300、三井化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩、自己乳化型エマルジョン、マイクロトラック法平均粒子径0.5μm)を乾燥塗工量4.8g/mになるようにエアーナイフコーターを用いてヒートシール層を塗工し、更に前記ヒートシール層とは反対面に澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)3%水溶液を乾燥塗工量0.8g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥して包装用紙を作製した。
(実施例2)
実施例1において、耐油剤をアクリル系耐油剤(商品名:サイビノールEK−61、サイデン化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例3)
実施例1において、耐油剤をウレタン系耐油剤(商品名:ハイドランWLI−603、DIC社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例4)
実施例1において、ヒートシール層の塗工量を2g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例5)
実施例1において、ヒートシール層の塗工量を10g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例6)
実施例1において、ヒートシール層の塗工量を15g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例7)
実施例1において、パルプを針葉樹晒クラフトパルプ5部、広葉樹晒クラフトパルプ95部に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例8)
実施例1と同様の紙基材の片面に、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパールS−300、三井化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩、自己乳化型エマルジョン、マイクロトラック法平均粒子径0.5μm)を、ヒートシール層下層及び上層としてそれぞれ乾燥塗工量3.8g/m、1g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、更に前記ヒートシール層とは反対面にポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ社製)2%水溶液を乾燥塗工量1.0g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥して包装用紙を作製した。
(実施例9)
実施例1において、水系アイオノマーエマルジョン(商品名:MYE−30ER、丸芳化学社製、組成:エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩、自己乳化型エマルジョン、マイクロトラック法平均粒子径0.2μm)を、ヒートシール層として乾燥塗工量4.8g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例10)
実施例7において、紙基材の坪量を100g/mとした以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例1)
実施例1と同様の紙基材の片面に、エクストリュージョンコーター(溶融押出し機)にて低密度ポリエチレン(東ソー社製、ペトロセンDLZ19A)を20g/mになるようにラミネートしてヒートシール層を設け、包装用紙を作製した。なお、ヒートシール層の反対面には水溶性樹脂層は設けていない。
(比較例2)
実施例1において、水系アイオノマーエマルジョンを水系ポリエチレンエマルジョン(サンノプコ社製、SNコート289)に変更した以外は実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例3)
実施例1において、前記紙基材の坪量を15g/mにしたこと以外は実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例4)
実施例1において、紙基材に耐油剤を含まないこと以外は実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
得られた包装用紙について、以下に示す方法により評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(1)ヒートシール強度
得られた包装用紙を、幅8mm、長さ15cmのサイズに2枚カットし、ヒートシール層同士を重ね合わせ、ヒートシール装置(パルメック社製、型番:PTS−100)で、一定条件(接着幅:4mm、温度:180℃、圧力0.4MPa、押し当て時間0.5秒、ピッチ:4mm)にてヒートシールした。次いで、ヒートシールしたサンプルを、剥離強度試験機(島津製作所製、型番:オートグラフAGS−X)にて、一定条件(剥離速度:100mm/分、剥離長さ:10cm)で剥離強度を測定してヒートシール強度(gf/4mm)とした。数値が高い方が優れる。
(2)撥油性
得られた包装用紙を、袋加工マシンにてヒートシール加工を行い、袋成型後に、TAPPI T−559cm−02(滞油紙キット法)に準拠し、ヒートシール層表面の撥油性を評価した。値(キット値)が高いほど撥油性が高い。また、実用レベルは値が5以上である。4未満では揚げ物に使用される植物油が染み込みやすい。
(3)カール
包装用紙を30cm×30cmの大きさに断裁し、カールの大きさを目視で以下の様に判定した。
◎:フラットでカールが全く無い。
○:カールがややあるが、袋加工機での加工トラブルが発生しない程度である。
×:カールが大きく、袋加工機での加工時にトラブルが発生する。
(4)引張強度
JIS P8113:2006「紙及び板紙−引張特性の試験方法」に準拠し、得られた包装用紙の、MD方向の引張強度を測定した。なお、引張試験にはオートグラフAGS−X(島津製作所製)を使用した。
Figure 2021031060
表1より明らかなように、実施例1〜10は比較例1と比較して、ヒートシール層の塗工量を著しく低減したにも関わらず、ヒートシール強度が同等以上であり、かつ耐油性が実用レベルであった。また、比較例2と比較して、明らかにヒートシール強度に優れていた。また、比較例3と比較例4と比較して、明らかに耐油性に優れていた。以上、実験結果が示している様に、本発明によれば、ポリエチレンラミネートを使用する従来技術と比較して樹脂の塗工量を著しく軽減でき、プラスチックゴミ削減に貢献しつつ、耐油性とヒートシール性に優れる包装用紙を提供することが可能である。

Claims (5)

  1. 耐油剤を含む紙基材の少なくとも片面に少なくとも1層のヒートシール層を有する包装用紙であって、前記ヒートシール層の樹脂がアイオノマーであり、かつMD方向の引張強度が3.5kN/m以上であることを特徴とする包装用紙。
  2. 前記ヒートシール層の反対面に水溶性樹脂を含む層を有することを特徴とする請求項1に記載の包装用紙。
  3. 前記耐油剤がパーフルオロアルキル基を含む共重合体を主成分とすることを特徴とする請求項1、2に記載の包装用紙。
  4. 耐油剤を含む紙基材の少なくとも片面に少なくとも1層のヒートシール層を有し、かつMD方向の引張強度が3.5kN/m以上である包装用紙の製造方法であって、ヒートシール層としてアイオノマーエマルジョンを含む塗工液を塗工量が1〜10g/mで塗工することを特徴とする前記製造方法。
  5. 前記アイオノマーエマルジョンが自己乳化型エマルジョンであることを特徴とする請求項4に記載の包装用紙の製造方法。
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Citations (4)

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