JP2021138434A - 包装用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチックの使用量を低減した酸素バリア性のある包装用紙を提供すること。【解決手段】本発明は、紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも2層以上の塗工層を有し、かつ前記塗工層の最表面がヒートシール層であり、前記ヒートシール層と紙基材の間に少なくとも1層のバリア層を有し、前記バリア層がポリヒドロキシウレタンを含み、該ポリヒドロキシウレタンが、水酸基と酸基を有し、かつ酸価が5〜100mgKOH/gであることを特徴とする包装用紙。【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチックの使用量を低減した酸素バリア性のある包装用紙に関する。
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量は4億トン/年を超えると言われ、その中でも包装容器セクターでのプラスチック生産量が多く、プラスチックゴミの原因になっている。プラスチックは半永久的に分解せず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化し、生態系に深刻な悪影響を与えている。包装容器に使用されるプラスチックとしては、飲料のボトル等に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)、レジ袋、容器のラミネートに使用されるポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)が最も多く使用されている。特に海洋の汚染は著しく、そのプラスチックゴミは回収不可能と言われている。今後、プラスチックの使用を低減することが地球環境にとって必要である。
包装用紙として食品用途等で使用される酸素バリアフィルムは、ほとんどが多層構造である。酸素バリアフィルムは、少なくとも基材層、酸素バリア性のあるバリア層、ヒートシール層の3層構造となることでパウチ包装として利用できる。多層構造の例として、真空包装ではPET/エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)/PEの3層構造、レトルト食品包装ではPET/アルミ箔/ナイロン(NY)/PPの4層構造、などが挙げられる。これらの酸素バリアフィルムは、多層構造ゆえに薄肉化が難しく、プラスチックの使用量は、商品コンセプトによって様々だが、概ね100g/m以上、少なくとも50g/m以上となることが多い。酸素バリアフィルムのような多層構造フィルムにおいてもプラスチック使用量の低減が求められている。
即効性のある代替手段として、酸素バリアフィルムの基材層を紙に代替することが提案されている。このような包装用紙として、外面側から順に、外面ヒートシール層、紙基材、バリア剤を有する中間層、内面ヒートシール層という構成にすることで、ガスバリア性を有する包装用紙の両面にヒートシール性を付与する提案がある(特許文献1を参照)。また、紙基材にバリア層を設け、さらに少なくとも一方の面上に保護層を有することで、空気中の水分によるバリア層の劣化を防ぎ、耐油性や耐溶剤性を付与する提案がある(特許文献2を参照)。しかし、特許文献1に記載の包装用紙では、両面にプラスチックラミネートのヒートシール層、そして中間層のバリア剤の基材にはプラスチックフィルムを使用しており、総プラスチック使用量は70g/m以上である。100g/m以上のプラスチック材料を含む場合もある。特許文献2に記載の包装用紙では、包装用紙の両面にプラスチックラミネートの保護層を用いた場合、総プラスチック使用量は少なくとも40g/mとなる。従って、プラスチックを紙に代替した酸素バリア紙においても、依然としてプラスチックの使用量は充分に低減されないという問題があり、早急に、直接的にプラスチックの使用を低減する手段が必要である。
特開2017−202870号公報 特開2018−058360号公報
本発明の目的は、プラスチックの使用量を低減し、環境負荷を低減できる酸素バリア性のある包装用紙を提供することにある。
本発明においては、従来の酸素バリアフィルム及び酸素バリア紙(以降、「酸素バリア材料」と略称する場合がある)に含まれるプラスチックの使用量を低減するために、バリア層にポリヒドロキシウレタンを使用する。すなわち、本発明による包装用紙は、紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも2層以上の塗工層を有し、かつ前記塗工層の最表面がヒートシール層であり、前記ヒートシール層と紙基材の間に少なくとも1層のバリア層を有し、前記バリア層がポリヒドロキシウレタンを含むことを特徴とする。これにより、ヒートシール層とバリア層に含まれるプラスチックの使用量を削減した酸素バリア性のある包装用紙を得ることができる。さらに、当該包装用紙は、前記バリア層が水酸基と酸基を有し、かつ酸価が5〜100mgKOH/gの範囲であることを特徴とするポリヒドロキシウレタンを含む包装用紙であることが好ましい。さらに、本発明は、当該包装用紙を製造する方法に関し、当該製造方法は、紙基材の少なくとも一方の面にポリヒドロキシウレタンを含むバリア層用塗工液を塗工し、乾燥させ、バリア層を設け、その後、バリア層の面にアイオノマーとエチレン系コポリマーのいずれかもしくは両方を少なくとも1種以上を含むヒートシール層用塗工液を塗工し、乾燥させ、ヒートシール層を設けることを特徴とする。
本発明においては、プラスチックの使用量を低減するために、前記ヒートシール層とバリア層の乾燥塗工量が合計20g/m以下であることが好ましい。従来の酸素バリア材料に使用されているプラスチックの使用量が40g/mを超えることと比較すると、ヒートシール層とバリア層に含まれるプラスチックの使用量を従来の約20〜50%にまで削減することができる。
本発明においては、前記バリア層の乾燥塗工量が、2〜10g/mの範囲であることが好ましい。このような構成とすることで、酸素バリア性を充分に有しており、かつプラスチックの使用量を削減した包装用紙を得ることができる。
本発明においては、前記ヒートシール層として、アイオノマーとエチレン系コポリマーのいずれかもしくは両方を少なくとも1種以上を含むことが好ましい。このような構成とすることで、ヒートシール適性により優れた包装用紙を得ることができる。
本発明においては、前記ヒートシール層の乾燥塗工量が、2〜10g/mの範囲であることが好ましい。このような構成とすることで、ヒートシール適性に優れ、かつプラスチックの使用量を削減した包装用紙を得ることができる。
本発明においては、酸素透過度が100cc/m・day・atm以下であることが好ましい。さらに、水蒸気透過度が300g/m・day以下である包装用紙であることが好ましい。これによりプラスチックの使用量を低減しつつ、包装用紙として十分な酸素バリア性および水蒸気バリア性を確保できるからである。
本発明により、プラスチック使用量を低減しつつ、ガスバリア性に優れた包装用紙を提供することができる。本発明の包装用紙を用いた容器製品であれば、仮に自然界にゴミとして不適切に放出された場合であっても、自然環境に与えるプラスチックゴミとしての悪影響を小さくすることが可能であり、プラスチックゴミ問題の解決の一助となる。なお、本発明における包装用紙は、例えば、パウチ包装、食品包装における一次袋や二次袋、アイスクリーム等の食糧カップ、カップ容器のフタ材、コーヒー等の飲料用コップ、ホットスナック等の食糧容器及びトレイ、箱、ケース、器、封筒等の包装容器全般に加工可能である。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態において、ヒートシール層としては、エチレン系コポリマー、アクリル系コポリマー、アイオノマーなどが挙げられるが、アイオノマーとエチレン系コポリマーのいずれかもしくは両方を少なくとも1種以上含むことが特に好ましい。ここでアイオノマーとは、金属イオンによる凝集力を利用し高分子を凝集体とした合成樹脂のことを指し、エチレン・メタクリル酸共重合物の金属塩、エチレン・アクリル酸共重合物の金属塩、エチレン・ウレタン系共重合物の金属塩、エチレン・フッ素系高分子共重合物の金属塩等、樹脂と金属カチオンが分子間結合して凝集体となるものすべてを含む。本発明においては、アイオノマーの中でもエチレン・アクリル酸またはエチレン・メタクリル酸の共重合物の金属塩が好ましい。乾燥塗工量が比較的少なくとも充分なヒートシール強度を付与できる。また、エチレン系コポリマーは、エチレン・アクリル酸共重合物、エチレン・メタクリル酸共重合物、エチレン・アクリル酸エステル共重合物、エチレン・メタクリル酸エステル共重合物、エチレン酢酸ビニル共重合物のいずれかであることが好ましい。バリア層との密着性が特に優れるからである。また、バリア層上にヒートシール層用塗工液を塗工した際の、バリア層とヒートシール層用塗工液との親和性が良好となることから、ハジキが生じ難く、ヒートシール層にピンポールなどの欠点が生じ難くなる。本発明の包装用紙においては、ヒートシール性能に影響を及ぼさない限り、これら以外の樹脂を含んでも良く、さらに複数の樹脂を混合しても良い。
本実施形態においては、紙基材の少なくとも一方の面の最表面に、アイオノマーとエチレン系コポリマーのいずれかもしくは両方を少なくとも1種以上含む水系エマルジョンを含有するヒートシール層用塗工液を塗工し、乾燥することでヒートシール層を設けることができる。水系エマルジョンを用いることにより、塗工量を比較的低くコントロールすることが可能であり、更にVOC(揮発性有機化合物)排出が無くなり自然環境に対する負荷を小さくすることができる。ヒートシール層の塗工量は、紙基材の片面あたり、固形分換算で2〜10g/mとすればよく、好ましくは2〜6g/mである。2g/m未満の場合は、ヒートシール強度において満足な品質を得られない。逆に10g/mを超える場合は、充分なヒートシール強度は得られるが、プラスチックの使用量も増えるためプラスチック削減効果に乏しくなる。なお、本発明の包装用紙において、ヒートシール層は、紙基材の表面の一部分のみに設けられているのではなく、全面に設けられていることが通常である。すなわち、ヒートシール層は、例えば網状、島状、線状など、ヒートシールによる接着に必要な部分にのみ設けられているのではなく、紙基材の表面の全面を覆うように設けられていると良い。
ヒートシール層用塗工液には、アイオノマーとエチレン系コポリマーのいずれかもしくは両方を少なくとも1種以上含む水系エマルジョンの他に、各種助剤を添加してもよい。例えば、粘度調整剤、消泡剤、界面活性剤やアルコールなどのレベリング剤、着色顔料、着色染料などである。しかしながら、これらの助剤の添加は、ヒートシール強度の低下を招きやすいことから、添加する場合には少量であることが好ましい。本実施形態においては、ヒートシール層用塗工液がアイオノマーとエチレン系コポリマーのいずれかもしくは両方を少なくとも1種以上含む水系エマルジョンのみからなることが好ましい。
ヒートシール層用塗工液を塗工する方式としては、特に限定するものではなく、一般に使用されている塗工装置が使用できる。例えばエアーナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、チャンプレックスコーター、メータリングブレード式のサイズプレスコーター、ショートドウェルコーター、スプレーコーター、ゲートロールコーター、リップコーター等の公知の各種塗工装置を用いることができる。
本実施形態においては、前記ヒートシール層が2層以上で形成されていても良い。2層以上とすることにより、包装用紙の透気度を高くすることができ、さらに撥水性と撥油性、水蒸気バリア性を付与することができ、プラスチックフィルムラミネート紙と同様かそれに近い特性を得ることができるからである。ヒートシール層が2層以上の場合、紙基材に最も近い最下層のヒートシール層の塗工量が、他のヒートシール層の合計塗工量よりも多い方が好ましい。包装用紙の透気度をさらに改善することができ、撥水性と撥油性、水蒸気バリア性が更に向上するからである。なお、ヒートシール層が2層以上である場合においても、プラスチックの使用量を考慮することが好ましく、前記ヒートシール層とバリア層の乾燥塗工量で合計20g/m以下とすることが好ましい。
本実施形態において、バリア層がポリヒドロキシウレタンを含むことを特徴とする。さらには、バリア層が水酸基と酸基を有し、かつ酸価が5〜100mgKOH/gの範囲であることを特徴とするポリヒドロキシウレタンを含むことが好ましい。ポリヒドロキシウレタンとは、水酸基を有するポリウレタンをいう。ポリヒドロキシウレタンとしては、厚さ20μmのポリヒドロキシウレタン樹脂フィルムの酸素透過度が50cc/m・day・atm以下であるポリヒドロキシウレタンが好ましい。酸素透過度が50cc/m・day・atm以下のポリヒドロキシウレタンを用いることで、酸素バリア性を有する包装用紙を得ることができる。より好ましくは、包装用紙の酸素透過度が100cc/m・day・atm以下でよく、好ましくは20cc/m・day・atm以下、特に好ましくは10cc/m・day・atm以下であるとよい。包装用紙に適したより高い酸素バリア性を得ることができる。本実施形態において、酸素透過度はJIS K 7126−1:2006に準拠して、酸素透過度測定装置(MOCON OX−TRAN 2/22)にて20℃80%下で測定した。
また、ポリヒドロキシウレタンとして、酸基を有し、酸価が5〜100mgKOH/g、好ましくは酸価が10〜70mgKOH/g、例えば、酸価が15〜60mgKOH/gの範囲であるポリヒドロキシウレタンを用いるとよい。酸価が5mgKOH/g以下の場合、バリア層用塗工液の安定性が低下する傾向がある。酸価が100mgKOH/g以上の場合、バリア層の耐水性が悪化する場合がある。また、酸素バリア性は、ポリヒドロキシウレタン構造中の水酸基により発現する。水酸基価の少ないポリヒドロキシウレタンを用いた場合、酸素バリア性に劣ることがある。水酸基価の多すぎるポリヒドロキシウレタンを用いた場合、酸素バリア性に優れるが、紙基材との密着性が悪化することがある。一例であるが、水酸基価が100〜500mgKOH/gの範囲、例えば、水酸基価が150〜300mgKOH/gであるポリヒドロキシウレタンであることが好ましい。バリア層に用いるポリヒドロキシウレタンは、具体的な商品名として、例えばHPU W−001(大日精化工業社製)や、HPU W−003(大日精化工業社製)、タケラック(登録商標)WPB−341(三井化学社製)などが挙げられる。本発明の包装用紙においては、酸素バリア性に影響を及ぼさない限り、これら以外のポリヒドロキシウレタンを用いても良い。本実施形態において、酸価及び水酸基価はJIS K 1557:2007に準拠して、滴定法により測定し、樹脂1gあたりの各官能基の含有量を、KOHのmg当量で表した。単位はmgKOH/gである。
本実施形態においては、紙基材の少なくとも一方の面に、ポリヒドロキシウレタンの水系エマルジョンを含有するバリア層用塗工液を塗工し、乾燥することでバリア層を設けることができる。水系エマルジョンを用いることにより、ヒートシール層と同様に、塗工量を比較的低くコントロールすることが可能であり、更にVOC排出が無くなり自然環境に対する負荷を小さくすることができる。バリア層の塗工量は、紙基材の片面あたり、乾燥塗工量で2〜10g/mとすればよく、好ましくは3〜8g/mである。2g/m未満の場合は、ポリヒドロキシウレタンの水系エマルジョンを紙基材に塗工しても紙基材に吸液されてしまうので塗工表面に均一なバリア膜を形成することができない。均一でない、例えば吸液によるピンホールのあるバリア層の場合、ピンホールから大量の酸素が通過してしまうので、酸素バリア性が劣る恐れがある。逆に10g/mを超える場合は、充分な酸素バリア性は得られるが、プラスチックの使用量も増えるためプラスチック削減効果に乏しくなる。バリア層の塗工量は、酸素バリア性の発現する必要最小量に収めることが望ましい。さらに、プラスチックの使用量を低減するために、前記ヒートシール層とバリア層の乾燥塗工量が合計20g/m以下とすることが好ましく、さらに合計15g/m以下、例えば、合計10g/m以下としても良い。
バリア層用塗工液には、ポリヒドロキシウレタンの水系エマルジョンの他に、顔料や他の樹脂、各種助剤等を添加してもよい。顔料として例えば、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウム等)、カオリン(クレーを含む)、焼成クレー、タルク、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料、又はアクリル、スチレン、塩化ビニル、ナイロンそのものや、これらを共重合して得られる有機顔料(いわゆるプラスチックピグメント)のいずれかもしくは複数を少なくとも1種以上を含むことができる。他の樹脂として例えば、ブタジエン系共重合ラテックス、架橋剤変性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉などの澱粉類、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、等の合成樹脂類等が挙げられる。助剤として例えば、粘度調整剤、消泡剤、界面活性剤やアルコールなどのレベリング剤、着色顔料、着色染料などがある。しかしながら、これらポリヒドロキシウレタン以外の材料の添加は、バリア層の酸素バリア性、もしくは加工適性に影響を及ぼすため、添加する場合には少量であることが好ましい。本実施形態においては、バリア層用塗工液がポリヒドロキシウレタンの水系エマルジョンのみからなることが好ましい。
バリア層用塗工液を塗工する方式としては、特に限定するものではなく、一般に使用されている塗工装置が使用できる。例えばエアーナイフコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、チャンプレックスコーター、メータリングブレード式のサイズプレスコーター、ショートドウェルコーター、スプレーコーター、ゲートロールコーター、リップコーター等の公知の各種塗工装置を用いることができる。充分な酸素バリア性を得るためには、塗工表面に均一なバリア膜を形成する必要があるので、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、ロールコーター等が好ましい。
本実施形態においては、紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも2層以上の塗工層を有し、かつ前記塗工層の最表面がヒートシール層であり、前記ヒートシール層と紙基材の間に少なくとも1層のバリア層を有することで、酸素バリア性の他に、水蒸気バリア性、撥水性及び撥油性を有する包装用紙を得ることもできる。紙基材は、湿度が高い状態で伸縮する。紙基材とバリア層のみを有する包装用紙の場合、バリア層も湿度の影響を受けやすく、紙基材の伸縮に合わせてバリア層が伸縮し、ピンホールが発生する恐れがある。ピンホールのあるバリア層は、水蒸気バリア性及び撥油性において満足できる品質を得られない。また、紙基材とヒートシール層のみを有する紙基材の場合、ヒートシール層は湿度の影響を受けにくいが、ヒートシール層用塗工液は紙基材中に浸透しやすく、水蒸気バリア性及び撥油性を付与するためには、その塗工量を多くする必要がある。ヒートシール層の塗工量が多くなるということは、プラスチックの使用量が増えることに繋がるためプラスチック削減効果に乏しくなる。しかし、紙基材の少なくとも一方の面にバリア層とヒートシール層とを設けることにより湿度の影響を受けにくくなり、湿度の高い状態でもバリア層が伸縮しにくくなる。また、バリア層はヒートシール層用塗工液の紙基材への浸透を抑制する目止めの役割も兼ねるので、少ない塗工量のヒートシール層でも均一な樹脂膜が形成しやすくなり、水蒸気バリア性及び撥油性を付与できる。
本実施形態においては、紙基材の少なくとも一方の面に、バリア層用塗工液を塗工し、乾燥させ、バリア層を設け、その後、バリア層の面にヒートシール層用塗工液を塗工し、乾燥させ、ヒートシール層を設けることで包装用紙を製造することができる。このようにして製造することで、バリア層は2回乾燥されることとなり、より酸素バリア性能を含むバリア性が向上する。また、塗工と乾燥とをそれぞれ2回繰り返すことにより、吸湿と乾燥を2回繰り返すことになるためか、得られた包装用紙は高湿度下でも比較的伸縮が小さくなりやすい。
本実施形態においては、包装用紙の透気度が100000秒(JIS P 8117:2009に準拠)を超える事が好ましい。より好ましくは200000秒以上であり、更に好ましくは500000秒以上である。包装用紙の透気度を100000秒以上とすることにより、包装用紙の紙面から侵入する空気を遮断することができるので、酸素バリア性が向上する。さらに、本実施形態においては、包装用紙の水蒸気バリア性が300g/m・day以下であることが好ましい。これにより食品用包装用紙として十分な水蒸気バリア性を確保できるからである。さらに、好ましくは、本発明の包装用紙の水蒸気バリア性が250g/m・day以下、さらに好ましくは、180g/m・day以下であるとよい。
本実施形態において用いる紙基材としては特に限定するものではなく、パルプを主成分とする公知の紙基材を用いることができる。紙基材の主成分となるパルプとしては、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)、NBKP(針葉樹さらしクラフトパルプ)などの化学パルプ、GP(砕木パルプ)、PGW(加圧式砕木パルプ)、RMP(リファイナーメカニカルパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、CMP(ケミメカニカルパルプ)、CGP(ケミグランドパルプ)などの機械パルプ、DIP(脱インキパルプ)などの木材パルプ及びケナフ、バガス、竹、コットンなどの非木材パルプを用いることができる。これらは、単独で使用するか、又は任意の割合で混合して使用することが可能である。例えば、パルプとして、LBKP(広葉樹さらしクラフトパルプ)をパルプ中90〜100質量部使用することができる。また、本発明の目的とする効果を損なわない範囲において、合成繊維を更に配合することができる。環境保全の観点から、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、TCF(Total Chlorine Free)パルプ、古紙パルプ、植林木から得られるパルプが好ましい。また、例えば、適切なパルプの叩解度としては、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、200〜700mlCSF、例えば、450〜620mlCSFである。
紙基材としては填料を含有するものも使用できる。填料としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、焼成クレー、二酸化チタン、水酸化アルミニウムを例示できる。紙基材中の填料含有量は、パルプの乾燥質量100質量部に対して、例えば、1〜30質量部である。例えば、パルプの乾燥質量100質量部に対して、軽質炭酸カルシウムを1〜10質量部含むとよい。
また、紙基材には、パルプと填料に加えて、各種公知の製紙用添加剤が含まれていてもよい。製紙用添加剤としては、例えば、サイズ剤などの内添紙力増強剤、嵩高剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、蛍光消色剤、ピッチコントロール剤などがある。また、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの水溶性高分子が塗布されていてもよい。例えば、紙基材には、パルプの乾燥質量100質量部に対して、澱粉、例えば、カチオン化澱粉を0.05〜3質量部、例えば、0.1〜1質量部含むとよい。また、紙基材には、サイズ剤として、ロジンサイズ剤を含むことが好ましく、例えば、紙基材には、パルプの乾燥質量100質量部に対して、ロジンサイズ剤を0.05〜3質量部、例えば、0.1〜1質量部含むとよい。紙基材に湿潤紙力増強剤が含まれている場合は、包装用紙のリサイクル性が劣るので、紙基材には、湿潤紙力剤が含まれないことが好ましい。
紙基材の抄紙方法は、特に限定されるものではなく、長網抄紙機、長網多層抄紙機、円網抄紙機、円網多層抄紙機、長網円網コンビ多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種抄紙機で製造できる。また、本発明においては、紙基材としては単層抄きでも多層抄きでも、複数層の貼合品であってもよい。
紙基材には、バリア層、ヒートシール層以外の塗工層が1層以上設けられていてもよく、例えば、顔料と接着剤を含有する顔料塗工層が設けられたものであってもよい。顔料塗工層中の顔料としては、一般の印刷用塗工紙の塗工層に使用される公知の顔料を用いることができ、例えば、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウム等)、カオリン(クレーを含む)、焼成クレー、タルク、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料、又はアクリル、スチレン、塩化ビニル、ナイロンそのものや、これらを共重合して得られる有機顔料(いわゆるプラスチックピグメント)が挙げられる。例えば、顔料としては、20〜40質量部のカオリンと60〜80質量部の重質炭酸カルシウムの組み合わせを使用することができる。また、顔料塗工層中において接着剤も一般の印刷用塗工紙の塗工層に使用される公知の接着剤を用いることができ、例えば、ブタジエン系共重合ラテックス、架橋剤変性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン性澱粉、両性澱粉などの澱粉類、ゼラチン、カゼイン、大豆タンパク、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、等の合成樹脂類等を例示できる。顔料塗工層中の顔料と接着剤の配合割合は特に限定されるものではないが、顔料100質量部に対し接着剤5〜50質量部とすることが好ましい。例えば、接着剤としては、顔料100質量部に対して、1〜5質量部のリン酸エステル化澱粉と5〜15質量部のスチレンブタジエンラテックスの組み合わせを使用することができる。顔料塗工層には、本発明の目的とする効果を損ねない範囲で各種助剤を含んでもよく、例えば、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、耐水化剤、分散剤、流動変性剤、紫外線吸収剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、pH調節剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤が含まれていてもよい。また、このような顔料塗工層の塗工量としては、例えば、基紙の片面あたり、固形分換算で、2〜40g/mである。本発明の包装用紙の実施形態の一つとして、バリア層及びヒートシール層はこのような顔料塗工層の上に設けられてもよく、また、別の実施形態としては一方の面のみに顔料塗工層が設けられた紙基材の顔料塗工層が設けられていない面にバリア層及びヒートシール層が設けられていてもよい。
本実施形態において、包装用紙の坪量は特に限定するものではないが、例えば20〜1000g/mである。酸素バリア性、撥水性及び撥油性を高度に備え、軟包装にも使用できる包装用紙の坪量としては、40〜500g/mが好ましく、50〜300g/mがより好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
(基紙の作製)
カナディアンスタンダードフリーネス520mlcsfの広葉樹晒クラフトパルプ100部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業社製)5部、カチオン化澱粉(商品名:ネオタック(登録商標)30T、日本食品加工社製)0.2部、中性ロジンサイズ(商品名:CC167、星光PMC社製)0.2部に水を加えて紙料を調製し、長網多筒式抄紙機を用いて坪量58g/mの原紙を作製した。この原紙にゲートロールコーターによって、酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)を両面あたりの乾燥塗布量が2g/mとなるように塗布し、乾燥して60g/mの紙基材(非塗工紙)を得た。
(バリア層の作製)
上記で得られた紙基材の片面に、水系ポリヒドロキシウレタンエマルジョン(商品名:HPU W−003、大日精化工業社製、酸価41mgKOH/g、水酸基価239mgKOH/g)を乾燥塗工量が5g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥してバリア層を設けた。
(包装用紙の作製)
上記で得られたバリア層を設けた紙基材のバリア層を設けた面に、水系エチレン・アクリル酸共重合物エマルジョン(商品名:MICHEM FLEX(登録商標)P1883、マイケルマン社製)を乾燥塗工量が4g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥してヒートシール層を設け、包装用紙を作製した。
(実施例2)
実施例1において、バリア層の塗工量を1g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例3)
実施例1において、バリア層の塗工量を2g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例4)
実施例1において、バリア層の塗工量を10g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例5)
実施例1において、ヒートシール層に使用する樹脂を水系アイオノマーエマルジョン(商品名:ケミパール(登録商標)S−300、三井化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例6)
実施例1において、ヒートシール層に使用する樹脂を水系エチレン・アクリル酸共重合物エマルジョン(商品名:アローベース SB−1030N、ユニチカ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例7)
実施例1において、ヒートシール層に使用する樹脂を水系エチレン・酢酸ビニル共重合物エマルジョン(商品名:アクアテックス AC−3100、ジャパンコーティングレジン社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例8)
実施例1において、ヒートシール層に使用する樹脂を水系スチレン・アクリル共重合物エマルジョン(商品名:FILLHARMO(登録商標) A400DF、トーヨーケム社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例9)
(基紙の作製)
カナディアンスタンダードフリーネス580mlcsfの広葉樹晒クラフトパルプ100部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業社製)5部、カチオン化澱粉(商品名:ネオタック(登録商標)30T、日本食品加工社製)0.2部、中性ロジンサイズ(商品名:サイズパインNT−78、荒川化学工業社製)0.2部に水を加えて紙料を調製し、三層長網多筒式抄紙機を用いて坪量298g/mの原紙(三層抄き)を作製した。この原紙にサイズプレスによって、酸化澱粉(商品名:MS3800、日本食品化工社製)を両面あたりの乾燥塗布量が2g/mとなるように塗布し、乾燥、ソフトキャレンダー処理して坪量300g/mの基紙を得た。
(顔料塗工層用塗工液の調製)
カオリン(商品名:コンツアー1500、イメリス社製)30部及び重質炭酸カルシウム(商品名:カービラックス、イメリス社製)70部に分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成社製)0.2部を加え、加水してコーレス分散機を用いて水分散し、顔料スラリーを作製した。この顔料スラリーに、バインダーとしてリン酸エステル化澱粉(商品名:MS4600、日本食品加工社製)2部及びスチレンブタジエンラテックス(商品名:PA0372、日本エイアンドエル株式会社)8部、更に水を加えて分散させ、固形分濃度50%の顔料塗工層用塗工液を調製した。
(紙基材の作製)
上記で得られた基紙の両面に、顔料塗工層用塗工液を、片面当たりの乾燥塗工量が10g/mになるようにブレードコーターを用いて塗工、乾燥した。その後、キャレンダー処理を行い、坪量が320g/mの紙基材(塗工紙)を作製した。
(バリア層の作製)
上記で得られた紙基材の片面に、水系ポリヒドロキシウレタンエマルジョン(商品名:HPU W−003、大日精化工業社製、酸価41mgKOH/g、水酸基価239mgKOH/g)を乾燥塗工量が5g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥してバリア層を設けた。
(包装用紙の作製)
上記で得られたバリア層を設けた紙基材のバリア層を設けた面に、水系エチレン・アクリル酸共重合物エマルジョン(商品名:MICHEM FLEX(登録商標) P1883、マイケルマン社製)を乾燥塗工量が4g/mになるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、乾燥してヒートシール層を設け、包装用紙を作製した。
(実施例10)
実施例1において、バリア層に使用する樹脂を水系ポリヒドロキシウレタンエマルジョン(商品名:HPU W−001、大日精化工業社製、酸価19mgKOH/g、水酸基価197mgKOH/g)に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(実施例11)
実施例1において、バリア層に使用する樹脂を水系ポリヒドロキシウレタンエマルジョン(商品名:タケラック(登録商標)WPB−341、三井化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例1)
実施例1において、バリア層の塗工量を0g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例2)
実施例1において、ヒートシール層の塗工量を0g/mに変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例3)
実施例1において、バリア層に使用する水系ポリヒドロキシウレタンエマルジョンを澱粉(商品名:STABILYS EVO 850、ロケット社製)の溶解液に変更した以外は、実施例1と同様にして包装用紙を作製した。
(比較例4)
坪量が20g/mの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(商品名:パレイン(登録商標)フィルム OT P2161、東洋紡社製)の片面にOPP/EVOH/PPの順になるように、エクストリュージョンコーター(溶融押出し機)にてバリア層としてエチレンビニルアルコール共重合体(商品名:エバール E105B、クラレ社製)を塗工量が20g/mになるように、ヒートシール層として低密度ポリエチレン(商品名:ペトロセン(登録商標)DLZ19A、東ソー社製)を塗工量30g/mになるようにラミネートして、包装用紙を作製した。
各実施例及び比較例で得られた包装用紙について、以下に示す方法により評価を行った。得られた結果を表1および2に示す。
(1)乾燥塗工量の合計
プラスチックゴミ問題解決の一助として、包装用紙に用いられるプラスチックの使用量をなるべく減らすことが好ましい。本発明においては、得られた包装用紙のバリア層及びヒートシール層の乾燥塗工量の合計が0〜20g/mであれば、従来の酸素バリア材料と比較してプラスチックの使用量を充分に低減することができたといえる。20g/mより多い場合は、プラスチックの使用量を低減できたといえない。
(2)酸素透過度
JIS K 7126−1:2006に準拠して、酸素透過度測定装置(MOCON OX−TRAN 2/22)にて、包装用紙の酸素透過度を測定した。試験条件は20℃80%下で、得られた包装用紙の両面に接着剤(商品名:タケラック(登録商標)A310、三井化学社製/商品名:タケネート(登録商標)A−3、三井化学社製=10/1)で無延伸ポリプロピレン(商品名:パイレン(登録商標)P1128、東洋紡社製)をラミネートした試験片を測定に使用した。数値が小さいほうが、酸素が透過しにくいことを示す。本発明においては、酸素透過度が100cc/m・day・atm以下で酸素バリア性があるといえる。
(3)水蒸気透過度
JIS K 7129:2008に準拠して、水蒸気透過度計(L80−5000型)にて、包装用紙の水蒸気透過度を測定した。数値が小さいほうが、水蒸気が透過しにくいことを示す。本発明においては、水蒸気透過度が300g/m・day以下で水蒸気バリア性があるといえる。
(4)撥油性
得られた包装用紙のヒートシール形成面にサラダ油を1滴垂らし、5分後に拭き取ってサラダ油の浸透具合を目視によって評価した。数値が大きいほうが、撥油性が高いことを示す。本発明においては、3のみ撥油性があるといえる。
3:拭き取った油が、ヒートシール形成面に全く浸透していない。
2:拭き取った油が、ヒートシール形成面の一部に浸透している。
1:拭き取った油が、ヒートシール形成面の全面に浸透している。
Figure 2021138434
Figure 2021138434
表1および2より明らかなように、実施例1〜11による包装用紙は比較例1〜3と比較して、明らかに酸素バリア性、水蒸気バリア性、撥油性に優れていた。また、比較例4と比較して、プラスチックの使用量を著しく低減したにも関わらず、酸素バリア性、水蒸気バリア性、撥油性が同等程度であった。実験結果が示している様に、本発明であれば、従来のポリエチレンラミネート量と比較してバリア層及びヒートシール層のプラスチック使用量を著しく軽減し、プラスチックゴミ削減に貢献しつつ、酸素バリア性のある包装用紙を提供することができる。

Claims (9)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面に少なくとも2層以上の塗工層を有し、かつ前記塗工層の最表面がヒートシール層であり、前記ヒートシール層と紙基材の間に少なくとも1層のバリア層を有する包装用紙であって、前記バリア層がポリヒドロキシウレタンを含むことを特徴とする包装用紙。
  2. 前期ポリヒドロキシウレタンが、水酸基と酸基を有し、かつ酸価が5〜100mgKOH/gの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の包装用紙。
  3. 前記ヒートシール層と前記バリア層の乾燥塗工量が合計20g/m以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用紙。
  4. JIS K 7126−1:2006に準拠する酸素透過度が100cc/m・day・atm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装用紙。
  5. 前記バリア層の乾燥塗工量が、2〜10g/mの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装用紙。
  6. 前記ヒートシール層として、アイオノマーとエチレン系コポリマーのいずれかもしくは両方を少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装用紙。
  7. 前記ヒートシール層の乾燥塗工量が、2〜10g/mの範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の包装用紙。
  8. JIS K 7129:2008に準拠する水蒸気透過度が300g/m・day以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の包装用紙。
  9. 紙基材の少なくとも一方の面にポリヒドロキシウレタンを含むバリア層用塗工液を塗工し、乾燥させ、バリア層を設け、その後、バリア層の面にアイオノマーとエチレン系コポリマーのいずれかもしくは両方を少なくとも1種以上を含むヒートシール層用塗工液を塗工し、乾燥させ、ヒートシール層を設けることを特徴とする包装用紙の製造方法。
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