JP7217832B2 - ヒートシール紙 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒートシール紙、特に包装材、袋、容器、箱、カップ、蓋材など、包装用途に好適に用いられる、ヒートシール適性を有するヒートシール紙に関する。
近年、環境中にごみとして流出したプラスチックが、半永久的に分解されず生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されることなどから、プラスチックごみが大きな問題として取り上げられている。対策としては、プラスチックをバイオマス由来材料、生分解性材料である紙に代替することが提案されている。
一方で従来から、紙製の包装材料を食品などの包装材、袋、容器、箱、カップ、蓋材などに成形する場合、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂に代表される熱可塑性樹脂を押出しラミネート法等により包装材料に積層させ、ヒートシール適性を付与することが一般に行われている。
しかしながら、これらの熱可塑性樹脂のラミネートでは10~30g/m2程度の熱可塑性樹脂を使用しており、プラスチック量の削減が十分でない。このことから現在、紙基材上に熱可塑性樹脂分散体を含む水又は溶剤分散液を塗工することで、積層される塗工層を薄膜・減量化した包装紙が提供されている(特許文献1等)。
ただし、塗工によって塗工層を積層する際の塗料乾燥工程、また紙製の包装材料を食品などの包装材、袋、容器、箱、カップ、蓋材などに成形する際には熱を与える必要がある。この時、各工程後に熱が残っていた(熱可塑性樹脂が軟化したままだった)場合、ブロッキングが発生し製品不良となる問題がある。また、塗工紙は、成形されるまでは、ロール状に巻回されて保管されるが、室温での長期間保管時に、ブロッキングが発生する問題がある。そのため、良好なブロッキング耐性とヒートシール適性を兼ね備えた包装紙の提供が必要である。
特許第6580291号公報
本発明は、包装材、袋、容器、箱、カップ、蓋材など、包装用途に好適に用いられる、ヒートシール適性を有すると共にブロッキング耐性が良好なヒートシール紙を提供することを目的とする。
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.紙基材の少なくとも一方の面上に、熱可塑性樹脂を含む塗工層を有し、
前記塗工層が、アンチブロッキング剤として少なくとも顔料を含み、
前記塗工層における顔料の配合量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し、200質量部未満であることを特徴とするヒートシール紙。
2.紙基材の少なくとも一方の面上に、熱可塑性樹脂を含む塗工層を有し、
前記塗工層が、アンチブロッキング剤として少なくともワックスを含み、
前記塗工層におけるワックスの配合量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し、1.2質量部以上であることを特徴とするヒートシール紙。
3.アンチブロッキング剤として、ワックスと顔料との両方を含むことを特徴とする1.または2.に記載のヒートシール紙。
4.前記塗工層が、ガラス転移温度が100℃以下の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする1.~3.のいずれか一項に記載のヒートシール紙。
5.前記塗工層が、カルナバワックスを含むことを特徴とする1.~4.のいずれか一項に記載のヒートシール紙。
6.前記塗工層に含まれる熱可塑性樹脂が、エチレンアクリル酸共重合樹脂であることを特徴とする1.~5.のいずれか一項に記載のヒートシール紙。
本発明によれば、包装用途に好適に用いられる、ヒートシール適性を有すると共に、良好なブロッキング耐性を有するヒートシール紙を提供することができる。アンチブロッキング剤として、顔料とワックスを併用することにより、状況に応じて必要なブロッキング耐性を付与することができる。
本発明は、紙基材の少なくとも一方の面上に、熱可塑性樹脂を含む塗工層を有するヒートシール紙であって、前記塗工層にはワックス又は顔料から選ばれる1種以上のアンチブロッキング剤が含まれ、前記塗工層がヒートシール適性を有することを特徴とするヒートシール紙に関するものである。
(紙基材)
紙基材は、パルプ、填料、各種助剤等を含む紙料を抄紙して得られる。
本発明のヒートシール紙を、食品と接触する用途に使用する場合、紙基材の各材料として、食品添加物として認可を受けている、またはFDA認証取得済み等、食品安全性に適合したものを使用することが好ましい。
パルプとしては、針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、サルファイトパルプ(SP)等の木材の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、リファイナグランドパルプ(RGP)、ストーングランドパルプ(SGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の木材の機械パルプ、ケナフ、バガス、竹、麻、ワラなどから得られた非木材パルプ、古紙を原料とし、脱墨工程にて古紙に含まれるインキを除去した古紙パルプなど、公知のパルプを適宜配合して用いることが可能である。これらの中で、異物混入が発生し難いLBKP、NBKP等の化学パルプが好ましく、また、古紙パルプの配合量が少ないことが好ましい。具体的には、化学パルプの配合量が80%以上であることが好ましく、化学パルプの配合量が100%であることが特に好ましい。また、古紙パルプの配合量が10%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、含まないことが最も好ましい。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素-ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。なお、填料は、必須材料ではなく、使用しなくてもよい。
各種助剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)などのサイズ剤、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が例示可能であり、必要に応じて適宜選択して使用可能である。
紙基材の製造(抄紙)方法は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、ギャップフォーマー型、ハイブリッドフォーマー型(オントップフォーマー型)等のツインワイヤー抄紙機等、公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗工してもよい。また、紙基材は1層であってもよく、2層以上の多層で構成されていてもよい。
さらに、紙基材の表面を各種薬剤で処理することが可能である。使用される薬剤としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤などを例示することができ、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。さらに、これらの各種薬剤と顔料を併用してもよい。顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩
、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア-シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
紙基材の表面処理の方法は特に限定されるものではないが、ロッドメタリングサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなど公知の塗工装置を用いることができる。
この様にして得られる紙基材としては、上質紙、中質紙、塗工紙、片艶紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、晒クラフト紙、グラシン紙、板紙、白板紙、ライナーなどの各種公知のものが例示可能である。
紙基材の坪量は、所望される各種品質や取り扱い性等により適宜選択可能であるが、通常は20g/m2以上600g/m2以下のものが好ましい。食品などの包装材、袋、容器、箱、カップ、蓋材など、包装用途に使用するヒートシール紙の場合は、25g/m2以上600g/m2以下のものがより好ましく、特に袋、蓋材、または後述する軟包装材用途に使用するヒートシール紙の場合は、30g/m2以上150g/m2以下のものが、また容器、箱、カップ用途に使用するヒートシール紙の場合は、150g/m2以上350g/m2以下のものがより好ましい。なお、軟包装材とは、構成としては、柔軟性に富む材料で構成されている包装材であり、一般には紙、フィルム、アルミ箔等の薄く柔軟性のある材料を、単体あるいは貼り合せた包装材を指す。また、形状としては、袋など、内容物を入れることにより立体形状を保つような包装材を指す。
また、紙基材の密度は、所望される各種品質や取り扱い性等により適宜選択可能であるが、通常は0.5g/cm3以上1.0g/cm3以下のものが好ましい。
(塗工層)
塗工層は、熱可塑性樹脂と、ワックス又は顔料から選ばれる1種以上のアンチブロッキング剤を含む。塗工層は、ヒートシール紙の両面に設けることもできるが、少なくとも片面に有する。
塗工層は、ヒートシール適性を有する。ヒートシール適正を有するとは、加熱、加圧することで接着対象に接着できることを意味する。ヒートシール適性を有することにより、特に食品などの包装材、袋、容器、箱、カップ、蓋材など、包装用途において、包装形態への成形や形状の維持、密封性の確保などが容易となる。
・熱可塑性樹脂
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、製紙分野においてヒートシール層の形成に用いられているものを特に制限することなく使用することができ、例えば、ガラス転移温度が100℃以下であるものを用いることができる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、-20℃以上85℃以下であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂の融点は、80℃以上120℃以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエステル樹脂(PET)、エチレンメタクリル酸共重合樹脂(EMAA)、エチレンメチルアクリレート共重合樹脂(EMA)、エチレンアクリル酸共重合樹脂(EAA)、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、スチレンアクリル酸エステル共重合樹脂、ポリ乳酸樹脂等を用いることができる。また、熱可塑性樹脂は、1種あるいは2種類以上を混合して使用することができる。これらの中で、ヒートシール適性の高いエチレンアクリル酸共重合樹脂が好ましい。
・アンチブロッキング剤
本発明のヒートシール紙は、アンチブロッキング剤として、顔料、またはワックスを含む。アンチブロッキング剤として、顔料とワックスの両方を含むこともできる。
(顔料)
本発明で使用する顔料は、特に制限されず、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア-シェル型などの有機顔料等を用いることができる。また、顔料は、1種あるいは2種類以上を混合して使用することができる。これらの中で、重質炭酸カルシウムが、ヒートシール適性を損なわずに、ブロッキング耐性に優れているため好ましい。
本発明において、顔料の配合量は、乾燥重量で熱可塑性樹脂100質量部に対して、顔料を200質量部未満であり、150質量部以下であることがより好ましい。顔料の配合量が200質量部以上であると、ヒートシール温度が高温になりすぎる、あるいは、ヒートシールに時間がかかる場合がある。また、乾燥重量で熱可塑性樹脂100質量部に対して、顔料を50質量部以上含むことが好ましく、80質量部以上含むことがより好ましい。顔料の配合量が50質量部未満である場合には、ブロッキング耐性が不足する場合がある。
(ワックス)
本発明で使用するワックスは、特に制限されず、アルカン化合物を主体とするパラフィン系ワックス、カルナバやラノリンなどの動植物由来の天然油脂系ワックス、シリコーンまたはシリコーン化合物を含有するシリコーン含有系ワックス、フッ素化合物を含有するフッ素含有系ワックスなどを用いることができる。ワックスは、1種あるいは2種類以上を混合して使用することができる。これらの中で、カルナバワックスが好ましい。
本発明において、ワックスの配合量は、乾燥重量で熱可塑性樹脂100質量部に対して、1.2質量部以上であり、1.5質量部以上であることが好ましく、2.5質量部以上であることがより好ましい。ワックスの配合量が1.2質量部未満であると、ブロッキング耐性が十分に得られない場合がある。また、乾燥重量で熱可塑性樹脂100質量部に対して、ワックスを15質量部以下含むことが好ましく、10質量部以下含むことがより好ましい。ワックスの配合量が15質量部を超えてもブロッキング耐性はほとんど良化せず、コストが増加する。
顔料とワックスは、ともにアンチブロッキング剤であるが、顔料が、主に加工時等の熱を帯びた状態でのブロッキング耐性に寄与するのに対し、ワックスは、主に長期保管時のブロッキング耐性に寄与する。アンチブロッキング剤として、顔料とワックスを併用することにより、状況に応じて必要なブロッキング耐性を付与することができる。顔料とワックスの配合比は、ブロッキング耐性が要求される状況に応じて、調整することができ、例えば、乾燥重量で顔料100質量部に対して、ワックスを1質量部以上200質量部以下とすることができる。
塗工層の塗工方法は特に限定されるものではなく、公知の塗工装置および塗工系で塗工することができる。例えば、塗工装置としてはブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等が挙げられる。また、塗工系としては、水等の溶媒を使用した水系塗工、有機溶剤等の溶媒を使用した溶剤系塗工などが挙げられる。本発明のヒートシール紙は、食品等と接触する用途に用いられる場合があるため、水系塗工であることが、食品安全性の点から好ましい。
塗工液の粘度、固形分濃度等は、用いる塗工装置、塗工系等に応じて、適宜調整することができる。
塗工層の塗工量(乾燥重量)は、片面あたり3g/m2以上20g/m2以下であるこ
とが好ましい。塗工量が片面あたり3g/m2未満では、ヒートシール適性が低下する。
また、塗工量が片面あたり20g/m2を超えてもヒートシール適性はほとんど向上せず
、コストが増加する。塗工層は、1層であってもよく、2層以上の多層で構成してもよい
。塗工層を2層以上の多層で構成する場合は、全ての塗工層を合計した塗工量を上記範囲
とすることが好ましい。
本発明のヒートシール紙は、塗工層と紙基材とを有するものであればよく、目止め層、
印刷層、遮光層、耐水層、耐油層、水蒸気バリア層、ガスバリア層等の他の層を有するこ
とができ、塗工層と紙基材の間に目止め層を有することが好ましい。目止め層を有するこ
とにより、塗工層におけるピンホール、筋ムラ等の塗工欠陥の発生を少なくすることがで
き、耐水性、耐油性を高めることができる。
本発明のヒートシール紙は、食品などの包装材、袋、容器、箱、カップ、蓋材などの包
装用途に用いられるヒートシール紙とすることが可能である。
(評価方法)
(1)ヒートシール適性
(ヒートシール条件)
得られたヒートシール紙から1辺100mmの正方形の試験片を2枚切り出し、塗工層
同士を接触させて、加圧温度160℃、加圧圧力2kgf/cm2、加圧時間0.5秒で
ヒートシールした。
ヒートシールした試験片を手で剥離させた際の、剥離部分を目視で観察し、以下の基準
でヒートシール適性を評価した。
〇:紙基材内で剥離(紙基材が破壊される)
×:塗工層間で剥離
(2)ブロッキング性A
製品の倉庫等での保管を想定した評価である。
ASTM D918-81、Standard Test Method for Blocking Resistance of Paper and Paperboardにより、塗工層同士を接触させて、60℃、RH75%条件にて24時間保管した後のブロッキングの度合いを評価した。評価が○であれば実用上問題がない。
[評価基準]
◎:ブロッキングしない
○:軽度のブロッキングがあり、容易に剥がすことができる
×:強くブロッキングしており、容易に剥がすことができない
(3)ブロッキング性B
製品の製造もしくは加工時に、熱を帯びた塗工層が各設備に接触した際の貼りつきを想定した評価である。
熱ロールプレス機(ロール圧力0.5MPa、加工速度2m/分、任意のロール温度)に、調湿したサンプル(23℃、RH50%)を塗工面と金属ロールが接触するように通機し、塗工面の金属ロールへの貼りつき度合いを評価した。評価が○であれば実用上問題がない。
[評価基準]
◎:ロール温度70℃の際に、貼りつきが見られず、塗工面の損傷も見られない
〇:ロール温度60℃の際に、貼りつきは見られず、塗工面の損傷も見られない
×:ロール温度60℃の際に、金属ロールに塗工層が貼りつき、金属ロールに塗工層がとられるなど塗工面の損傷が見られる
[実施例1]
(塗工層用塗工液の調製)
熱可塑性樹脂(Michelman社製:MICHEM PRIME 498345N.S)、カオリン(イメリス社製:バリサーフHX、アスペクト比95)を固形分質量比でそれぞれ、100.0/100.0部となるように調製し、塗工層用塗工液を得た。
(ヒートシール紙の作製)
紙基材(坪量200g/m2のカップ原紙)の片面に、塗工層用塗工液を乾燥重量で塗工量10.0g/m2となるようにバーブレード法で塗工、乾燥し、ヒートシール紙を得た。
[実施例2]
顔料を重質炭酸カルシウム(株式会社ファイマテック製、FMT-100)とした以外は、実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例3]
顔料を軽質炭酸カルシウム(株式会社ニューライム製、TunexE)とした以外は、
実施例1と同様にしてヒートシール紙を得た。
[実施例4]
塗工層用塗工液を、熱可塑性樹脂(Michelman社製:MICHEM PRIM
E 498345N.S)とカルナバワックス(Michelman社製:MICHEM
LUBE 160RPH.S)を固形分質量比でそれぞれ、100.0/2.9部とな
るように調製した以外は、実施例1と同様にして、ヒートシール紙を得た。
[実施例5]
熱可塑性樹脂とワックスの固形分質量比を、100.0/6.1とした以外は、実施例
4と同様にして、ヒートシール紙を得た。
[実施例6]
塗工層用塗工液を、熱可塑性樹脂(Michelman社製:MICHEM PRIM
E 498345N.S)とカオリン(イメリス社製:バリサーフHX)、カルナバワッ
クス(Michelman社製:MICHEM LUBE 160RPH.S)を固形分
質量比でそれぞれ、100.0/100.0/2.9部となるように調製した以外は、実
施例1と同様にして、ヒートシール紙を得た。
[比較例1]
熱可塑性樹脂(Michelman社製:MICHEM PRIME 498345N
.S)のみを含む塗工層用塗工液を使用した以外は、実施例1と同様にして、ヒートシー
ル紙を得た。
[比較例2]
熱可塑性樹脂とカオリンの固形分質量比を、100.0/200.0部とした以外は、
実施例1と同様にして、ヒートシール紙を得た。
[比較例3]
熱可塑性樹脂とワックスの固形分質量比を、100.0/1.1部とした以外は、実施
例1と同様にして、ヒートシール紙を得た。
Figure 0007217832000001
本発明である実施例1~6で得られたヒートシール紙は、ブロッキング耐性に優れていた。アンチブロッキング剤として顔料を含む実施例1~3で得られたヒートシール紙は、操業適性に優れ、アンチブロッキング剤としてワックスを含む実施例4、5で得られたヒートシール紙は、特に長期保管性に優れていた。また、アンチブロッキング剤として顔料とワックスの両方を含む実施例6で得られたヒートシール紙は、長期保管性と操業適性の両方に優れていた。
アンチブロッキング剤を含まない比較例1で得られたヒートシール紙と、アンチブロッキング剤であるワックスの量が少ない比較例3で得られたヒートシール紙は、ブロッキング耐性に劣っていた。アンチブロッキング剤である顔料の量が多い比較例2で得られたヒートシール紙は、ブロッキング耐性に優れてはいたが、そもそもヒートシール適性に劣っていた。

Claims (4)

  1. 紙基材の少なくとも一方の面上に、熱可塑性樹脂を含む塗工層を有し、
    前記塗工層が、アンチブロッキング剤として少なくともワックスを含み、
    前記塗工層におけるワックスの配合量が、熱可塑性樹脂100質量部に対し、1.2質量部以上15質量部以下であり、
    前記塗工層に含まれる熱可塑性樹脂がエチレンアクリル酸共重合樹であることを特徴とするヒートシール紙(ただし、紙基材が、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の引張エネルギー吸収量をY、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張エネルギー吸収量をX、JIS P 8113:2006に準拠して測定される横方向の比引張エネルギー吸収量をYとしたとき、XおよびYの相乗平均が120J/m以上であり、Yに対するXの比(X/Y)が0.5以上2.0以下であり、XおよびYの相乗平均が2.0J/g以上であるものを除く)。
  2. アンチブロッキング剤として、ワックスと顔料との両方を含むことを特徴とする請求項1に記載のヒートシール紙。
  3. 前記塗工層が、ガラス転移温度が100℃以下の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のヒートシール紙。
  4. 前記塗工層が、カルナバワックスを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のヒートシール紙。
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