[第1の実施形態]
(コネクタ装置)
図1は、本発明の第1の実施形態のコネクタ装置1を示している。コネクタ装置1は、2本の同軸ケーブル2、3を互いに接続する機能を有している。図1に示すように、同軸ケーブル3は、内部導体3A、内部導体3Aの外周側に絶縁体3Cを介して設けられた外部導体3B、および外部導体3Bの外周側を覆う絶縁被覆3Dを有している。同軸ケーブル2も同様に、内部導体2A、外部導体2B、絶縁体2Cおよび絶縁被覆2Dを有している。
コネクタ装置1は中継コネクタ5およびプラグ71を備えている。中継コネクタ5は同軸ケーブル2の端部に取り付けられ、プラグ71は同軸ケーブル3の端部に取り付けられる。中継コネクタ5とプラグ71とは互いに着脱可能に接続することができる。中継コネクタ5とプラグ71とが互いに接続されることにより、2本の同軸ケーブル2、3が互いに接続される。
なお、中継コネクタ5は特許請求の範囲の記載における「第1のコネクタ」の具体例であり、プラグ71は「第2のコネクタ」の具体例である。プラグ71は「相手コネクタ」の具体例でもある。また、同軸ケーブル2は「第1の同軸ケーブル」の具体例であり、同軸ケーブル3は「第2の同軸ケーブル」の具体例である。同軸ケーブル3は「相手同軸ケーブル」の具体例でもある。
(中継コネクタ)
図2ないし図13を用いて、コネクタ装置1の中継コネクタ5について説明する。なお、各実施形態における中継コネクタ5に関して方向を述べる際には、中継コネクタ5をプラグ71に接続する方向(第1の接続方向)を前とし、中継コネクタ5をプラグ71から分離する方向(第1の分離方向)を後ろとする。また、中継コネクタ5における左、右は、中継コネクタ5の前端部を正面から見た状態を基準とする。具体的には、中継コネクタ5に関する方向については、図1ないし図13、および図20ないし図22中の前(F1)、後(B1)、上(U1)、下(D1)、左(L1)、右(R1)を示す矢印に従う。
図2は図1中の矢示II−II方向から見た中継コネクタ5の縦断面を示している。図3は図2中の矢示III−III方向から見た中継コネクタ5の縦断面を示している。図2または図3に示すように、中継コネクタ5は、外部ハウジング6、シェル21、内部ハウジング32および中継同軸端子41を備えている。
(外部ハウジング)
図4は中継コネクタ5の外部ハウジング6を示している。図5は、外部ハウジング6を取り外した中継コネクタ5を示している。外部ハウジング6は、図4に示すように、例えば樹脂等の絶縁材料により、横断面の形状が略四角形の筒状に形成されている。なお、外部ハウジング6は特許請求の範囲の記載における「ハウジング」の具体例である。
外部ハウジング6の内部には、図5に示すシェル21、内部ハウジング32および中継同軸端子41を収容する収容部7が形成されている。また、外部ハウジング6の前端部には、中継コネクタ5とプラグ71との接続時に、プラグ71のハウジング72に形成された挿入部74およびプラグ同軸端子91が挿入される挿入口8が形成されている。また、外部ハウジング6の後端部には、中継同軸端子41に取り付けられた同軸ケーブル2を引き出すための引出口9が形成されている。挿入口8および引出口9はそれぞれ収容部7と連通している。
また、挿入口8の周縁部には左右一対の凸部10が設けられている。各凸部10は、外部ハウジング6と一体形成され、挿入口8の周縁部から挿入口8の径方向内向きに突出している。各凸部10は中継コネクタ5に対するプラグ71の誤挿入を防止するキーとして機能する。また、各凸部10はシェル21の前側接触子30を保護する機能をも有している。すなわち、各凸部10は、図2および図3に示すように、前側接触子30の前方に配置されている。物体が中継コネクタ5にその前方から当たったときに、物体が前側接触子30に当たることが凸部10により阻止される。
また、図4に示すように、挿入口8の上部には、プラグ71のロック機構83の梁84が挿入される梁挿入部11が形成されている。また、図2に示すように、外部ハウジング6の前端部の上部には、プラグ71のロック機構83の係止部85が係止される係止段部12が形成されている。
また、図4に示すように、外部ハウジング6には、収容部7に収容されたシェル21を固定する機構として、シェル止め段部13、一対のシェル止め片14および一対のシェル止め穴15が設けられている。シェル止め段部13は外部ハウジング6の前端部の下部に配置され、一対のシェル止め片14および一対のシェル止め穴15は外部ハウジング6の後端側部分の左部および右部にそれぞれ配置されている。図2に示すように、シェル21の前端部がシェル止め段部13に当たり、図3に示すように、シェル21に形成された一対の止め部25がシェル止め穴15にそれぞれ入り込み、各止め部25の先端がシェル止め片14の先端面に当たることで、シェル21が収容部7内において支持され、固定される。
(シェル)
図6は中継コネクタ5のシェル21を示している。図6に示すように、シェル21は、シェル本体22、一対の後側接触子28および一対の前側接触子30を有している。これらは、例えば金属等により形成された導電板にプレス加工を施すことにより形成されている。なお、シェル本体22は特許請求の範囲の記載における「導電板」の具体例であり、各後側接触子28は「第1の接触子」の具体例であり、各前側接触子30は「第2の接触子」の具体例である。
シェル本体22は、それぞれ平板状に形成された下板部23および一対の側板部24を有し、横断面コ字状に形成されている。また、各側板部24の後部には、シェル本体22を外部ハウジング6の収容部7内に固定するための止め部25が設けられている。各止め部25は側板部24から外向きに突出している。
また、シェル本体22には、中継同軸端子41が収容された内部ハウジング32をシェル本体22内に位置決めして支持するための機構として、一対のハウジング支持突起26およびハウジング支持壁部27が設けられている。ハウジング支持突起26は、下板部23の前後方向略中央部に左右に並んで配置されている(図6では右側のハウジング支持突起26のみを図示)。また、ハウジング支持壁部27は、下板部23の後端部に配置されている。中継同軸端子41が収容された内部ハウジング32が図5に示すようにシェル本体22内に置かれたとき、各ハウジング支持突起26が、内部ハウジング32に形成された突起接触部37(図8参照)に入り込み、ハウジング支持壁部27および一対の後側接触子28の基端部28Aが内部ハウジング32に形成された切込み38に挿入される。これにより、中継同軸端子41が収容された内部ハウジング32がシェル本体22内に位置決めされて支持される。
一対の後側接触子28はシェル本体22の後端部に設けられている。具体的には、図6に示すように、右側の後側接触子28の基端部28Aは、シェル本体22の右側の側板部24の後端部に結合している。また、右側の後側接触子28は、右側の側板部24の後端部から左方に延びた後、後方へ屈曲している。また、右側の後側接触子28の先端部には、左方に突出し、左右方向に弾性変形可能なばね部28Bが形成されている。また、左側の後側接触子28の基端部28Aは、シェル本体22の左側の側板部24の後端部に結合している(図3参照)。また、左側の後側接触子28は、右側の後側接触子28と対向するように配置され、右側の後側接触子28と左右対称の形状を有している。また、左側の後側接触子28の先端部には、左側の後側接触子28のばね部28Bと同様のばね部28Bが形成されている。
一対の後側接触子28は、中継同軸端子41の外側導体45において、中継同軸端子41の外側接触部46とプラグ同軸端子91の外側接触部96との接点から後方(矢示B1方向)に離れた部分に接触する。具体的には、一対の後側接触子28は、中継同軸端子41の外側導体45の外部導体バレル部50の右面および左面に接触する。すなわち、右側の後側接触子28のばね部28Bと左側の後側接触子28のばね部28Bとの間に中継同軸端子41の外側導体45の外部導体バレル部50が挟み込まれ、右側の後側接触子28のばね部28Bが外部導体バレル部50の右面を押圧しつつ外部導体バレル部50の右面に接触し、左側の後側接触子28のばね部28Bが外部導体バレル部50の左面を押圧しつつ外部導体バレル部50の左面に接触する。また、各後側接触子28のばね部28Bは広い接触面を有しており、外部導体バレル部50に広範囲に亘って接触する。
一対の前側接触子30はシェル本体22の前端部に設けられている。また、各前側接触子30はループ状に形成されている。ここで、図7は、右側の前側接触子30を図6中の矢示VII−VII方向から見た状態を示している。図7に示すように、右側の前側接触子30の基端部は、シェル本体22の右側の側板部24の前端部に結合している。また、右側の前側接触子30は、右側の側板部24の前端部から左方に延びた後、後方へ湾曲し、さらに後方へ延びている。また、右側の前側接触子30の先端部は右方に湾曲し、右側の側板部24に形成された弾性変位部31に接触している。弾性変位部31は、右側の側板部24の前端側部分の一部を除去することにより片持ち梁状に形成されている。弾性変位部31は、前後方向に延び、前端部が側板部24に結合し、後端部が自由端となっている。また、左側の前側接触子30は、その基端部がシェル本体22の左側の側板部24に結合しており、右側の前側接触子30と左右対称の形状を有し、右側の前側接触子30と対向するように配置されている。また、左側の側板部24の前端側部分にも、右側の側板部24と同様に、弾性変位部31が形成されている。
一対の前側接触子30は、図2および図3に示すように、中継同軸端子41の前端部と挿入口8との間に配置されている。後述するように、中継コネクタ5とプラグ71との接続時には、プラグ71のハウジング72の挿入部74およびプラグ同軸端子91が、挿入口8から外部ハウジング6内に挿入される。このとき、一対の前側接触子30は、プラグ同軸端子91の外側導体95において、プラグ同軸端子91の外側接触部96と中継同軸端子41の外側接触部46との接点から後方(矢示B2方向)に離れた部分に接触する。具体的には、一対の前側接触子30は、プラグ同軸端子91の外側導体95に取り付けられた導電部材103の右面および左面(各側壁部105の外面)に接触する。
プラグ71のハウジング72の挿入部74およびプラグ同軸端子91が外部ハウジング6内に挿入されたとき、右側の前側接触子30は、プラグ同軸端子91の外側導体95に取り付けられた導電部材103の右面に押されて弾性変形し、図7中の二点鎖線により示すように、右方に変位する。このとき、右側の弾性変位部31は、右側の前側接触子30に押されて弾性変形し、右方に変位する。同様に、左側の前側接触子30および左側の弾性変位部31は左方に変位する。このような左右の前側接触子30および左右の弾性変位部31の弾性変形により、左右の前側接触子30は、プラグ同軸端子91の外側導体95に取り付けられた導電部材103の右面および左面をそれぞれ押圧しつつ、当該面にそれぞれ接触する。なお、各弾性変位部31が変位可能となるように、シェル本体22の各側板部24の外面と外部ハウジング6の側壁の内面との間には少量の間隙が形成されている。
また、図7に示すように、右側の前側接触子30はループ状に形成されているので、右側の前側接触子30がプラグ同軸端子91の外側導体95に取り付けられた導電部材103の右面に接触したとき、導電部材103と右側の側板部24との間には、右側の前側接触子30の基端側を通る電気経路K1と、右側の前側接触子30の先端側を通る電気経路K2とが形成される。このように導電部材103と右側の側板部24との間に右側の前側接触子30を介して2本の電気経路が形成されるので、導電部材103と右側の側板部24との間において電流が流れ易くなる。同様に、導電部材103と左側の側板部24との間にも左側の前側接触子30を介して2本の電気経路が形成されるので、導電部材103と左側の側板部24との間において電流が流れ易くなる。
(内部ハウジング)
図8は中継コネクタ5の内部ハウジング32を示している。図8に示すように、内部ハウジング32は、例えば樹脂等の絶縁材料により中空の略直方体状に形成されている。また、内部ハウジング32の前端部には端子挿通穴33が形成され、内部ハウジング32の後端部にはケーブル挿通穴34が形成されている。図5に示すように、内部ハウジング32内には中継同軸端子41が収容され、端子挿通穴33には中継同軸端子41の前端側部分が後方から挿入される。また、中継同軸端子41に取り付けられた同軸ケーブル2がケーブル挿通穴34を介して内部ハウジング32から後方へ引き出される。
また、内部ハウジング32には、中継同軸端子41を内部ハウジング32内に固定するための機構として、端子支持部35およびランス36が設けられている。図3に示すように、端子挿通穴33は後方に向かうに従って拡径しており、その結果、端子挿通穴33の内周面は傾斜している。この傾斜面が端子支持部35である。ランス36は内部ハウジング32の上部に設けられている。図2に示すように、ランス36の基端部は内部ハウジング32の上部の前後方向略中央部に結合され、ランス36の先端部は下方に傾斜しつつ前方に延びている。中継同軸端子41は、外側接触部46の後部の拡径した部分が端子支持部35に当たり、外側接触部46の後端の上部がランス36の先端部に当たることにより、内部ハウジング32内に固定されている。
また、内部ハウジング32には、内部ハウジング32をシェル本体22内に位置決めするための機構として、一対の突起接触部37および切込み38が設けられている。内部ハウジング32の前端面の下縁部には凹み部が左右に並ぶように2箇所形成されている。これら凹み部がそれぞれ突起接触部37である。また、内部ハウジング32の後部の左右の壁部にはそれらの下方から切込み38が形成されている。また、図2に示すように、内部ハウジング32において、切込み38の位置よりも前側の部分には下壁が形成されているが、切込み38の位置よりも後側の部分には下壁が形成されていない。内部ハウジング32が図5に示すようにシェル本体22内に置かれたとき、シェル本体22に形成された各ハウジング支持突起26が突起接触部37に入り込み、シェル本体22に設けられたハウジング支持壁部27および各後側接触子28の基端部28Aが切込み38に挿入される。これにより、内部ハウジング32がシェル本体22内に位置決めされて支持される。
(中継同軸端子)
図9は中継コネクタ5の中継同軸端子41を示している。図10は図3と同じ位置および方向から見た中継同軸端子41の縦断面を示している。図11は中継同軸端子41を分解した状態を示している。
中継同軸端子41は、図10に示すように、中心導体42、中心導体42の外周側に設けられた外側導体45、および中心導体42と外側導体45との間に設けられた絶縁部材62を備えている。中心導体42および外側導体45は例えば金属等の導電材料により形成され、絶縁部材62は例えば樹脂等の絶縁材料により形成されている。
中心導体42は同軸ケーブル2の内部導体2Aと電気的に接続される。図11に示すように、中心導体42の前端側には、ピン状の外形を有する雄型の中心接触部43が設けられている。また、中心導体42の後端側には、同軸ケーブル2の内部導体2Aを取り付ける内部導体バレル部44が設けられている。内部導体バレル部44には、図10に示すように、同軸ケーブル2の内部導体2Aの端部がかしめられ、圧着固定される。なお、中心導体42は特許請求の範囲の記載における「第1の中心導体」の具体例であり、中心接触部43は「第1の中心接触部」の具体例であり、内部導体バレル部44は「第1の内部導体取付部」の具体例である。
外側導体45は同軸ケーブル2の外部導体2Bと電気的に接続される。外側導体45の前端側には円筒状の外側接触部46が設けられている。外側接触部46の後端側は拡径している。
外側導体45において外側接触部46の後方には一対の連結部47が設けられている。一対の連結部47はそれぞれ板状に形成され、外側接触部46の後端部の左部および右部から後方へ延び、外部導体バレル部50の前端部の左部および右部に結合している。また、一対の連結部47の間には、外側導体45の前後方向略中央部を上下方向に貫通する貫通路49が形成されている。図10に示すように、貫通路49内には、中心導体42の内部導体バレル部44が配置される。貫通路49は、中継同軸端子41の製造時に、同軸ケーブル2の内部導体2Aを内部導体バレル部44に圧着固定するための治工具を中継同軸端子41の上方または下方から通すための通路である。
外側導体45において一対の連結部47の後方には、同軸ケーブル2の外部導体2Bを取り付ける外部導体バレル部50が設けられている。外部導体バレル部50には外部導体2Bがかしめられ、圧着固定される。
外側導体45において外部導体バレル部50の後方、すなわち外側導体45の後端部には、同軸ケーブル2の絶縁被覆2Dを取り付ける被覆バレル部51が設けられている。被覆バレル部51には絶縁被覆2Dがかしめられ、圧着固定される。
また、中継同軸端子41の外側導体45の前後方向略中央部には導電部材53が装着されている。導電部材53は、内部導体バレル部44の周辺部分のインピーダンスを調整する機能と、貫通路49の下側開口部を閉塞して外来ノイズの混入およびノイズの放射を抑制する機能を有している。ここで、図12は導電部材53を示し、図13は図10中の矢示XIII−XIII方向から見た中継同軸端子41の横断面を示している。図12および図13に示すように、導電部材53は、下壁部54、一対の側壁部55および接続バレル部56を有している。これらは例えば金属等の導電材料により一体形成されている。
一対の側壁部55は下壁部54の左縁および右縁から上方にそれぞれ立ち上がっている。各側壁部55には、導電部材53を外側導体45の連結部47に支持し、かつ電気的に接続するための支持片57が一体形成されている。また、各側壁部55には、導電部材53を外側導体45の連結部47に電気的に確実に接続するための接触片58が一体形成されている。導電部材53が外側導体45に装着されたとき、各接触片58は連結部47の外側面に押されて左右方向外側に押し広げられるように弾性変形する。これにより、各接触片58は連結部47の外側面に強く接触する。
また、各側壁部55の上部には把持部59が一体形成されている。図11に示すように、導電部材53が外側導体45に装着される前の段階では、各把持部59は側壁部55から上方に延びている。一方、図13に示すように、導電部材53が外側導体45に装着された後、各把持部59は内側に折り曲げられる。また、図12に示すように、下壁部54の後部には一対の切欠き60が形成されている。導電部材53が外側導体45に装着されたとき、各切欠き60には、外側導体45の連結部47の下端後部から突出した突出部48が挿入される。また、接続バレル部56は下壁部54の後端に連結されている。接続バレル部56は、図9に示すように、外側導体45において連結部47と外部導体バレル部50との間の部分の外周側に圧着される。このように、導電部材53は、一対の把持部59、一対の切欠き60および接続バレル部56により外側導体45に対して位置決めされ、外側導体45に固定される。
また、図12に示すように、導電部材53の下壁部54の左右方向中央部には誘電体片61が取り付けられている。誘電体片61は、図13に示すように、同軸ケーブル2の内部導体2Aおよび内部導体バレル部44と導電部材53の下壁部54との間に介在し、内部導体2Aおよび内部導体バレル部44と下壁部54とが接触することを防止している。また、誘電体片61は、内部導体バレル部44の周辺部分のインピーダンスを調整する役割をも担っている。
なお、外側導体45は特許請求の範囲の記載における「第1の外側導体」の具体例であり、外側接触部46は「第1の外側接触部」の具体例であり、外部導体バレル部50は「第1の外部導体取付部」の具体例である。
(プラグ)
図14ないし図19を用いて、コネクタ装置1のプラグ71について説明する。なお、各実施形態におけるプラグ71に関して方向を述べる際には、プラグ71を中継コネクタ5に接続する方向(第2の接続方向)を前とし、プラグ71を中継コネクタ5から分離する方向(第2の分離方向)を後ろとする。また、プラグ71における左、右は、プラグ71の前端部を正面から見た状態を基準とする。具体的には、プラグ71に関する方向については、図1、図14ないし図22中の前(F2)、後(B2)、上(U2)、下(D2)、左(L2)、右(R2)を示す矢印に従う。
図14は図1中の矢示XIV−XIV方向から見たプラグ71の縦断面を示している。図15は図14中の矢示XV−XV方向方見たプラグ71の縦断面を示している。図14または図15に示すように、プラグ71は、ハウジング72、リテーナ86およびプラグ同軸端子91を備えている。
図16はプラグ71のハウジング72を示している。図16に示すように、ハウジング72は、例えば樹脂等の絶縁材料により筒状に形成されている。ハウジング72内には、プラグ同軸端子91を収容する収容部73が形成されている。ハウジング72の前端側部分には、プラグ71と中継コネクタ5との接続時に、中継コネクタ5の外部ハウジング6の挿入口8に挿入される挿入部74が設けられている。また、ハウジング72の前端部には、プラグ71と中継コネクタ5との接続時に、中継コネクタ5の中継同軸端子41の前端側部分が挿入される端子進入口75が形成されている。また、挿入部74の右側外面および左側外面には、プラグ71と中継コネクタ5との接続時に、中継コネクタ5の外部ハウジング6に設けられた凸部10と嵌合する凹溝76が形成されている。各凹溝76は、ハウジング72の前端からハウジング72の前後方向略中央部にかけて延びている。
また、ハウジング72において、前後方向略中央部の右側壁部および左側壁部には接続穴77がそれぞれ形成されている。各接続穴77は、凹溝76の後側部分の底部に形成されている。左右の接続穴77はハウジング72の右側壁部および左側壁部をそれぞれ貫通し、収容部73と連通している。これら接続穴77は、シェル本体22に設けられた一対の前側接触子30を、プラグ71の外側導体95に取り付けられた導電部材103に接触させるための穴である。すなわち、プラグ71と中継コネクタ5との接続時には、各前側接触子30が接続穴77に入り、導電部材103に接触する。
また、ハウジング72の後端部には、図14に示すように、プラグ同軸端子91に取り付けられた同軸ケーブル3を引き出すための引出口78が形成されている。また、ハウジング72には、プラグ同軸端子91を収容部73内に固定するための機構として、端子支持段部79およびランス80が設けられている。端子支持段部79は端子進入口75の周縁に形成されている。ランス80はハウジング72の上壁部に設けられている。プラグ同軸端子91は、外側接触部96の前端が端子支持段部79に当たり、外側接触部96の後端の上部がランス80の先端部に当たることにより、ハウジング72内に固定されている。また、ハウジング72の後部下側には、リテーナ86を装着するためのリテーナ装着部81、およびリテーナ86に設けられた係止突起88を係止するためのリテーナ係止穴82が形成されている。また、ハウジング72の上部には、中継コネクタ5に接続されたプラグ71をロックして抜け止めするためのロック機構83が設けられている。ロック機構83は、ハウジング72の前端上部から後方に延びた片持ち梁84と、当該梁84の上面から上方に突出した係止部85とを有している。
図17はプラグ71のリテーナ86を示している。リテーナ86の二股に分かれた前端には当接部87が設けられ、リテーナ86の下面には係止突起88が設けられている。図14に示すように、リテーナ86は、ハウジング72の後方から、リテーナ装着部81に挿入される。リテーナ86がリテーナ装着部81に完全に装着されたとき、各当接部87がプラグ同軸端子91の連結部97に形成された突出部98に後方から当たると共に、係止突起88がリテーナ係止穴82に入り、リテーナ係止穴82に係止される。これにより、プラグ同軸端子91が収容部73内に強固に固定される。
図18はプラグ71のプラグ同軸端子91を示している。図19はプラグ同軸端子91を分解した状態を示している。プラグ同軸端子91は、図15および図19に示すように、中心導体92、中心導体92の外周側に設けられた外側導体95、および中心導体92と外側導体95との間に設けられた絶縁部材112を備えている。
中心導体92は同軸ケーブル3の内部導体3Aと電気的に接続される。中心導体92の前端側には、円筒状に形成された雌型の中心接触部93が設けられている。また、中心導体92の後端側には、同軸ケーブル3の内部導体3Aを取り付ける内部導体バレル部94が設けられている。
外側導体95は同軸ケーブル3の外部導体3Bと電気的に接続される。外側導体45の前端側には円筒状の外側接触部96が設けられている。外側接触部96は、中継同軸端子41の外側接触部46よりも大きい直径を有している。また、外側接触部96には、プラグ同軸端子91の外側接触部96内に中継同軸端子41の外側接触部46が挿入されたときに、外側接触部46の外周面に接触する接触ばね部96Aが設けられている。また、外側導体95には、中継同軸端子41の外側導体45と同様に、一対の連結部97、突出部98、貫通路99、外部導体バレル部100および被覆バレル部101が設けられている。外部導体バレル部100には同軸ケーブル3の外部導体3Bが圧着固定され、被覆バレル部101には同軸ケーブル3の絶縁被覆3Dが圧着固定される。
また、プラグ同軸端子91の外側導体95の前後方向略中央部には導電部材103が装着されている。導電部材103は、中継同軸端子41の導電部材53と同様に、内部導体バレル部94の周辺部分のインピーダンスを調整する機能、貫通路99の下側開口部を閉塞して外来ノイズの混入およびノイズの放射を抑制する機能を有している。これらに加え、プラグ同軸端子91の導電部材103は、プラグ71と中継コネクタ5との接続時に、中継コネクタ5のシェル本体22に設けられた一対の前側接触子30と外側導体95とを電気的に接続する機能を有している。また、導電部材103は、中継同軸端子41の導電部材53と同様に、下壁部104、一対の側壁部105、接続バレル部106、複数の支持片107、一対の接触片108、一対の把持部109、一対の切欠き110、および誘電体片111を有している。
なお、中心導体92は特許請求の範囲の記載における「第2の中心導体」の具体例である。中心導体92は「相手中心導体」の具体例でもある。また、中心接触部93は「第2の中心接触部」の具体例であり、内部導体バレル部94は「第2の内部導体取付部」の具体例である。また、外側導体95は「第2の外側導体」の具体例である。外側導体95は「相手外側導体」の具体例でもある。また、外側接触部96は「第2の外側接触部」の具体例であり、外部導体バレル部100は「第2の外部導体取付部」の具体例である。
(コネクタ同士の接続)
図20は中継コネクタ5とプラグ71とが接続された状態を示している。図20における中継コネクタ5およびプラグ71の断面の位置は、図3に示す中継コネクタ5および図15に示すプラグ71のそれぞれの断面の位置と同じである。また、図21は、図20に示す中継コネクタ5およびプラグ71のうち、中継同軸端子41、プラグ同軸端子91およびシェル21等を抜き出して示している。
中継コネクタ5とプラグ71とは、図1に示すように、プラグ71のハウジング72の挿入部74を、中継コネクタ5の外部ハウジング6の挿入口8に挿入することにより接続される。具体的に説明すると、プラグ71の挿入部74を中継コネクタ5の挿入口8に挿入したとき、図20に示すように、中継同軸端子41の前端側部分がプラグ71の端子進入口75に挿入される。そして、中継同軸端子41の中心導体42の中心接触部43が、プラグ同軸端子91の中心導体92の中心接触部93内に挿入され、中心接触部43および93が互いに接触する。これと同時に、中継同軸端子41の外側導体45の外側接触部46が、プラグ同軸端子91の外側導体95の外側接触部96内に挿入され、外側接触部46および96が互いに接触する。さらに、これと同時に、中継コネクタ5のシェル本体22に設けられた一対の前側接触子30が、プラグ71のハウジング72の右側壁部および左側壁部に形成された一対の接続穴77にそれぞれ入り、プラグ同軸端子91の外側導体95に取り付けられた導電部材103の右面および左面にそれぞれ接触する。そして、挿入口8に挿入されたプラグ71の挿入部74を中継コネクタ5の外部ハウジング6内の奥側へ十分に挿入したとき、プラグ71のロック機構83の係止部85が、中継コネクタ5の外部ハウジング6に設けられた係止段部12に係止される(図2および図15を参照)。これにより、中継コネクタ5とプラグ71とが互いに固定され、中心接触部43および93が互いに接触し、外側接触部46および96とが互いに接触し、かつ一対の前側接触子30とプラグ同軸端子91の導電部材103とが互いに接触した状態が保持される。
中心接触部43および93が互いに接触することにより、中継コネクタ5に取り付けられた同軸ケーブル2の内部導体2Aと、プラグ71に取り付けられた同軸ケーブル3の内部導体3Aとが互いに電気的に接続される。また、外側接触部46および96が互いに接触することにより、同軸ケーブル2の外部導体2Bと、同軸ケーブル3の外部導体3Bとが互いに電気的に接続される。
また、中継コネクタ5とプラグ71とが接続された状態では、図21に示すように、中継コネクタ5の外部ハウジング6内において、中継同軸端子41の外側導体45の前端側部分、およびプラグ同軸端子91の外側導体95の前端側部分がシェル本体22により覆われる。具体的には、中継同軸端子41の外側導体45において、その前端から外部導体バレル部50の前端側部分(図21中の位置Bの部分)の下側、右側および左側がシェル本体22により覆われる。また、プラグ同軸端子91の外側導体95において、その前端から導電部材103の後端側部分(図21中の位置Eの部分)の下側、右側および左側がシェル本体22により覆われる。また、シェル本体22は、外側導体45および95のそれぞれから離れた位置から、外側導体45および95の上記部分を覆う。また、外側導体45および95において、シェル本体22により覆われる部分には、外側導体45における外側接触部46と外側導体95における外側接触部96との接点(図21中の位置Cの部分)が含まれている。シェル本体22は、外側接触部46と外側接触部96との接点を、当該接点から中継同軸端子41(またはプラグ同軸端子91)の径方向に離れた位置から、具体的には当該接点の下方、右方および左方から覆う。
また、中継コネクタ5とプラグ71とが接続された状態では、図21に示すように、中継同軸端子41の外側導体45において外側接触部46と外側接触部96との接点から後方(矢示B1方向)に離れた部分と、プラグ同軸端子91の外側導体95において上記接点から後方(矢示B2方向)に離れた部分との間がシェル本体22を介して電気的に接続される。具体的には、中継コネクタ5とプラグ71とが接続される前の段階から、中継同軸端子41の外側導体45の外部導体バレル部50とシェル本体22の後端部とが一対の後側接触子28を介して電気的に接続されている。すなわち、図21中の位置Aにおいて、中継同軸端子41の外側導体45とシェル本体22とが電気的に接続されている。また、中継コネクタ5とプラグ71との接続時に、一対の前側接触子30がプラグ同軸端子91の外側導体95に取り付けられた導電部材103の右面および左面にそれぞれ接触することにより、外側導体95において導電部材103が取り付けられた部分とシェル本体22の前端部とが一対の前側接触子30を介して電気的に接続される。すなわち、図21中の位置Dにおいて、外側導体95とシェル本体22とが電気的に接続される。その結果、中継コネクタ5とプラグ71とが接続された状態では、中継同軸端子41の外側導体45の外部導体バレル部50と、プラグ同軸端子91の外側導体95において導電部材103が取り付けられた部分とがシェル本体22を介して電気的に接続される。
このように、中継同軸端子41の外側導体45の前端側部分およびプラグ同軸端子91の外側導体95の前端側部分がシェル本体22に覆われ、かつ外側導体45の外部導体バレル部50と外側導体95において導電部材103が取り付けられた部分とがシェル本体22を介して電気的に接続されることより、外側接触部46と外側接触部96との接点を含む外側導体45および95のそれぞれの前端側部分に電磁シールドが形成される。すなわち、互いに接続された中継コネクタ5およびプラグ71において図21中の位置Bから位置Eまでの部分に、シェル本体22によって電磁シールドが形成される。
ここで、図21において、中継同軸端子41に取り付けられた同軸ケーブル2の外部導体2Bの先端は位置Bに位置している。すなわち、同軸ケーブル2の内部導体2Aにおいて位置Bよりも前側(図21中右側)の部分は、外部導体2Bから出ており、外部導体2Bにより覆われていない。また、プラグ同軸端子91に取り付けられた同軸ケーブル3の外部導体3Bの先端は位置Eに位置している。すなわち、同軸ケーブル3の内部導体3Aにおいて位置Eよりも前側(図21中左側)の部分は、外部導体3Bから出ており、外部導体3Bにより覆われていない。シェル本体22は、互いに接続された中継同軸端子41およびプラグ同軸端子91において、位置Bから位置Eまでの範囲をその下方、右方および左方から覆っている。すなわち、シェル本体22は、互いに接続された中継同軸端子41およびプラグ同軸端子91において、外部導体2Bに覆われていない内部導体2A、中心導体42、中心導体92、および外部導体3Bに覆われていない内部導体3Aが配置されている範囲をその下方、右方および左方から覆っている。
互いに接続された中継同軸端子41およびプラグ同軸端子91において、外部導体2Bに覆われていない内部導体2A、中心導体42、中心導体92、および外部導体3Bに覆われていない内部導体3Aは、外側導体45の前端側部分および外側導体95の前端側部分によりそれぞれ覆われている。したがって、外部導体2Bに覆われていない内部導体2A、中心導体42、中心導体92、および外部導体3Bに覆われていない内部導体3Aの周囲には、外側導体45の前端側部分および外側導体95の前端側部分によって電磁シールドが形成されている。これ加え、外部導体2Bに覆われていない内部導体2A、中心導体42、中心導体92、外部導体3Bに覆われていない内部導体3A、外側導体45の前端側部分、および外側導体95の前端側部分は、シェル本体22によって覆われている。したがって、外部導体2Bに覆われていない内部導体2A、中心導体42、中心導体92、および外部導体3Bに覆われていない内部導体3Aの周囲には、外側導体45の前端側部分および外側導体95の前端側部分による電磁シールドと、シェル本体22による電磁シールドとからなる二重の電磁シールドが形成されている。
以上説明した通り、本発明の第1の実施形態のコネクタ装置1または中継コネクタ5はシェル21を備えており、このシェル21により、上述したような二重の電磁シールドを形成することができる。この二重の電磁シールドにより、高い周波数の電磁波である外来ノイズを遮断することができる。したがって、同軸ケーブル2および3を用いて伝送する高周波信号に、中継同軸端子41またはプラグ同軸端子91を介して外来ノイズが混入することを抑制することができる。また、二重の電磁シールドにより、中継同軸端子41またはプラグ同軸端子91から高周波信号が漏洩して外部へ放射することを抑制することができる。
また、電気的に見て、シェル21におけるシェル本体22の後端部は、一対の後側接触子28を介して、中継同軸端子41の外側導体45の外部導体バレル部50に接続されている。また、シェル本体22の前端部は、一対の前側接触子30を介して、プラグ同軸端子91の外側導体95において、外側接触部46よりも後方の、導電部材103が取り付けられた部分に接続されている。したがって、シェル21が外来ノイズを遮断するときにシェル21に流れる電流(以下、これを「外来ノイズ電流」という。)は、シェル21を介して中継同軸端子41の外側導体45の外部導体バレル部50、またはプラグ同軸端子91の外側導体95において導電部材103が取り付けられた部分へ流れる。その結果、外来ノイズ電流は、互いに接続された中継同軸端子41およびプラグ同軸端子91において、外部導体2Bに覆われていない内部導体2A、中心導体42、および中心導体92が配置されている範囲を迂回し、互いに接続された中継同軸端子41およびプラグ同軸端子91においてこの範囲の外の部分へ流れる。したがって、外来ノイズ電流が、外部導体2Bに覆われていない内部導体2A、中心導体42または中心導体92を介して、中継コネクタ5およびプラグ71により伝送すべき高周波信号に混入することを抑制することができる。よって、シェル21のシールド性能を高めることができる。
ここで着目すべき点は、シェル本体22の後端部が、外側導体45において、外部導体バレル部50に取り付けられた同軸ケーブル2の外部導体2Bの先端に対応する位置Bから後方(矢示B1方向)に離れた位置Aに配置されている外部導体バレル部50に一対の後側接触子28を介して接続されている点である。この構成により、シェル21により形成される外来ノイズ電流の流通経路を、同軸ケーブル2の内部導体2Aにおいて外部導体2Bに覆われていない部分から大きく離すことができる。したがって、シェル21に流れる外来ノイズ電流が、内部導体2Aにおいて外部導体2Bに覆われていない部分を介して、中継コネクタ5およびプラグ71により伝送すべき高周波信号に混入することを効果的に抑制することができる。
また、シェル本体22は、下板部23および左右の側板部24を有する横断面コ字状に折れ曲がった導電板により形成されている。シェル本体22をこのような横断面コ字状の導電板で形成することにより、例えばシェル本体を1枚の下板部のみにより形成した場合、またはシェル本体を一対の側板部のみにより形成した場合と比較して、シェル本体22の連続した表面積を大きくすることができ、それゆえシェル本体22の電気抵抗を小さくすることができる。シェル本体22の電気抵抗を小さくすることで、外来ノイズ電流を、シェル21を介して、中継同軸端子41の外側導体45の外部導体バレル部50、またはプラグ同軸端子91の外側導体95において導電部材103が取り付けられた部分へ円滑に流すことが可能になり、シェル21のシールド性能を高めることができる。
ここで付言するに、本実施形態において、シェル本体22は、外側導体45および95のそれぞれの前端側部分の下側、右側および左側を覆っているものの、それらの上側を覆っていない。すなわち、シェル本体22は、外側導体45および95のそれぞれの前端側部分の外周のうち180度を超える角度に亘る範囲を連続的に覆っているが、外側導体45および95のそれぞれの前端側部分の外周を全周(360度)に亘って連続的に覆ってはいない。この点、外来ノイズの混入およびノイズの放射を抑制するのに十分なシールド効果を得るためには、例えば、シェル本体22を筒状に形成し、外側導体45および95のそれぞれの前端側部分を全周に亘って覆うことが必要であるとも思える。ところが、実験の結果、シェル本体22を上述したように横断面コ字状に形成し、外側導体45および95のそれぞれの前端側部分の下側、右側および左側のみを覆う構成でも、外来ノイズの混入およびノイズの放射を抑制するのに十分なシールド効果が得られることが判明した。具体的には、(1)外側導体45および95のそれぞれの前端側部分の下側のみを導電材料で覆った場合と、(2)外側導体45および95のそれぞれの前端側部分の下側、右側および左側のみを導電材料で覆った場合と、(3)外側導体45および95のそれぞれの前端側部分の全周を導電材料で覆った場合とのそれぞれについて、導電材料によるシールド効果を測定したところ、(1)の場合では、外来ノイズの混入およびノイズの放射を抑制するのに必要なシールド効果が得られなかった。(3)の場合では、(1)の場合のシールド効果よりも高いシールド効果が得られ、そのシールド効果は、外来ノイズの混入およびノイズの放射を抑制するのに十分なものであった。(2)の場合では、(1)の場合のシールド効果よりも高く、(3)の場合のシールド効果よりも低いシールド効果が得られた。(2)の場合のシールド効果は、(3)の場合のシールド効果よりも低いものの、外来ノイズの混入およびノイズの放射を抑制するのに十分なものであった。
また、各後側接触子28のばね部28Bは広い接触面を有しており、外部導体バレル部50に広範囲に亘って接触している。したがって、各後側接触子28が外部導体バレル部50に点接触する場合と比較して、各後側接触子28と外部導体バレル部50との接触部における電気抵抗が小さい。よって、各後側接触子28と外部導体バレル部50との接触部において電流が流れ易くなる。また、シェル本体22と導電部材103の右面とを接続する右側の前側接触子30には2本の電気経路K1、K2が形成され、シェル本体22と導電部材103の左面とを接続する左側の前側接触子30には2本の電気経路K1、K2が形成されている。このように、シェル本体22と導電部材103との間に合計4本の電気経路が形成されているので、シェル本体22と導電部材103との間の電気抵抗が小さくなり、よって、シェル本体22と導電部材103との間を電流が流れ易くなる。このような前側接触子30および後側接触子28の構造によっても、シェル21のシールド性能を高めることができる。
また、シェル21は、中継コネクタ5の外部ハウジング6内に収容されている。そして、中継コネクタ5とプラグ71との接続時に、プラグ71の挿入部74を中継コネクタ5の挿入口8に挿入することにより、一対の前側接触子30がプラグ同軸端子91の外側導体95に取り付けられた導電部材103に接触し、シェル21が電磁シールド効果を発揮するようになり、上述した二重の電磁シールドが形成される。すなわち、プラグ71の挿入部74を中継コネクタ5の挿入口8に挿入するというワンアクションにより、上記二重の電磁シールドを形成することができる。例えば、2つの同軸端子を互いに接続した後、それら2つの同軸端子を金属製のケースに入れるといった方法で二重の電磁シールドを形成することも可能である。しかしながら、この方法では二重の電磁シールドを形成するための作業工数が多い。本実施形態のコネクタ装置1によれば、少ない作業工数で二重の電磁シールドを容易に形成することができる。
また、一対の前側接触子30が、外部ハウジング6の収容部7内において、中継同軸端子41の前端と挿入口8との間に配置され、その結果、一対の前側接触子30が挿入口8に接近している。この構成により、中継コネクタ5とプラグ71とを接続したときに、一対の前側接触子30を、外側導体95において、外側接触部96および外側接触部46との接点から後方(図21中の矢示B2方向)に十分に離れた部分に接触させることができる。これにより、シェル21に流れる外来ノイズ電流が、中心接触部93と中心接触部43との接点およびその前後の部分を介して、中継コネクタ5およびプラグ71により伝送すべき高周波信号に混入することを抑制することができる。
[第2の実施形態]
図22は本発明の第2の実施形態のコネクタ装置201を示している。なお、第2の実施形態のコネクタ装置201において、第1の実施形態のコネクタ装置1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図22に示すように、本実施形態のコネクタ装置201においては、第1の実施形態のコネクタ装置1と比較して、中継コネクタ202の外部ハウジング203、シェル204のシェル本体205、およびプラグ207のハウジング208がそれぞれ前後方向に延長されている。これにより、中継コネクタ202とプラグ207との接続時に、プラグ同軸端子91においてその前端から外部導体バレル部100に至る部分が、中継コネクタ202の外部ハウジング203内に挿入され、シェル本体205の前端部に設けられた一対の前側接触子206が、プラグ同軸端子91の外側導体95の外部導体バレル部100に接触する。
このように、本実施形態のコネクタ装置201においては、一対の前側接触子206が、プラグ同軸端子91の外側導体95において、外部導体バレル部100に取り付けられた同軸ケーブル3の外部導体3Bの先端に対応する位置(位置F)から後方に離れた位置に配置された外部導体バレル部100(位置G)に接触する。また、一対の後側接触子28は、第1の実施形態のコネクタ装置1と同様に、中継同軸端子41の外側導体45の外部導体バレル部50(位置A)に接触する。したがって、外来ノイズ電流は、シェル204を介して、プラグ同軸端子91の外部導体バレル部100、または中継同軸端子41の外側導体45の外部導体バレル部50へ流れる。その結果、外来ノイズ電流は、互いに接続された中継同軸端子41およびプラグ同軸端子91において、外部導体2Bに覆われていない内部導体2A、中心導体42、中心導体92、および外部導体3Bに覆われていない内部導体3Aが配置されている範囲を迂回し、互いに接続された中継同軸端子41およびプラグ同軸端子91においてこの範囲の外の部分へ流れる。第2の実施形態のコネクタ装置201においては、第1の実施形態のコネクタ装置1と比較して、外来ノイズ電流を迂回させる範囲が拡張されている。具体的には、外来ノイズ電流を迂回させる範囲に、外部導体3Bに覆われていない内部導体3Aが追加されている。したがって、本実施形態のコネクタ装置201によれば、外来ノイズ電流が、外部導体2Bに覆われていない内部導体2A、中心導体42または中心導体92を介して、中継コネクタ5およびプラグ71により伝送すべき高周波信号に混入することを抑制することができることに加え、外来ノイズ電流が、外部導体3Bに覆われていない内部導体3Aを介して上記高周波信号に混入することを抑制することができる。よって、外来ノイズのシールド効果を一層高めることができる。
なお、上記各実施形態では、シェル本体22(205)を、その横断面の形状がコ字状となるように曲げられた導電板により形成する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、シェル本体は、連続した面により、外側導体45および95のそれぞれの前端側部分の外周のうち、およそ180度ないし360度に亘る範囲を覆う形状であれば、他の形状でもよい。例えば、シェル本体を、その横断面の形状がL字状、V字状、U字状、円弧状、ロ字状または環状となるように曲げられた導電板により形成してもよい。
また、上記第1の実施形態では、プラグ同軸端子91の前後方向略中央部分を一対の連結部97により形成し、連結部97間に貫通路99を設け、かつプラグ同軸端子91の前後方向略中央部分に導電部材103を取り付け、導電部材103により貫通路99を下方から閉塞する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。プラグ同軸端子91から各連結部97、貫通路99および導電部材103を廃してもよい。この場合、一対の前側接触子30をプラグ同軸端子91の外側導体95の前後方向略中央部に接触させるようにする。また、上記第1の実施形態において、中継同軸端子41から各連結部47、貫通路49および導電部材53を廃してもよい。また、上記第2の実施形態においても、プラグ同軸端子91から各連結部97、貫通路99および導電部材103を廃し、または中継同軸端子41から各連結部47、貫通路49および導電部材53を廃してもよい。
また、上記各実施形態において、中心接触部43および93の雄雌を逆にしてもよいし、外側接触部46および96の雄雌を逆にしてもよい。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うコネクタ装置およびコネクタもまた本発明の技術思想に含まれる。