JP2021025012A - 布地、皮革又は紙用接着剤、布地、皮革又は紙の接着方法、及び布地、皮革又は紙製品の製造方法 - Google Patents

布地、皮革又は紙用接着剤、布地、皮革又は紙の接着方法、及び布地、皮革又は紙製品の製造方法 Download PDF

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絵利香 一色
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Kei Kondo
圭 近藤
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Kenichi Ishizaki
謙一 石▲崎▼
岡崎 栄一
Eiichi Okazaki
栄一 岡崎
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Abstract

【課題】簡易な手法で布地、皮革又は紙を接着でき、かつ接着後の布地、皮革又は紙が水で分離可能である布地、皮革又は紙用接着剤、並びにこれを用いた布地、皮革又は紙の接着方法及び布地、皮革又は紙製品の製造方法の提供。【解決手段】下記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物を含む接着剤である、布地、皮革又は紙用接着剤。 式(1)中、L1はそれぞれ独立に、−CH2CH2−、−CH(R1)CH2−又は−CH2CH(R1)−を表し、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、pは3〜6の整数を表し、また、式(1)におけるp個の−L1−O−のうち、2個〜4個が−CH2CH2−O−であり、0個〜2個が−CH(R1)CH2−及び/又は−CH2CH(R1)−O−である。【選択図】なし

Description

本発明は、布地、皮革又は紙用接着剤、布地、皮革又は紙の接着方法、及び布地製品、皮革製品又は紙製品の製造方法に関する。
衣服を製造する際に、裁断した布地を縫製する前に仮止めする場合がある。糸を用いて仮止めする従来の方法は作業者の技能の熟練を要するため、製品の品質及び生産性の安定化の観点から、より簡易な仮止めの手段が求められている。例えば、特許文献1には、衣服縫製における仮止め方法として、付加型液状シリコーン重合体より成る架橋性ゴムを主成分とした熱硬化性の接着剤を用いる方法が提案されている。
特開昭63−16510号公報
特許文献1に記載された発明では、熱硬化性の接着剤を塗布した布地をプレス機、アイロン等を用いて加熱加圧する必要がある。また、特許文献1に記載された発明では、接着剤を布地から除去することは想定されておらず、誤って仮止めした布地同士を分離するのが困難である。
本発明は、簡易な手法で布地、皮革又は紙を接着でき、かつ接着後の布地、皮革又は紙が水で分離可能である布地、皮革又は紙用接着剤、並びにこれを用いた布地、皮革又は紙の接着方法及び布地、皮革又は紙製品の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物を含む接着剤である、布地、皮革又は紙用接着剤。
式(1)中、Lはそれぞれ独立に、−CHCH−、−CH(R)CH−又は−CHCH(R)−を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、pは3〜6の整数を表し、また、式(1)におけるp個の−L−O−のうち、2個〜4個が−CHCH−O−であり、0個〜2個が−CH(R)CH−及び/又は−CHCH(R)−O−である。
<2> 前記接着剤1.0gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、1時間撹拌した後の水への不溶分の残存率が、90質量%以下である、<1>に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
<3> 前記接着剤0.05gを、糸の重さ453.6gあたり長さ7,681m、密度510g/mの綿帆布を5cm×5cmの大きさに裁断したものの中央部に染み込ませ、23℃60%RHで24時間放置し、23℃の水80g中に2時間浸漬した後の接着剤残存率が、90質量%以下である、<1>又は<2>に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
<4> 前記接着剤0.05gを、糸の重さ453.6gあたり長さ7,681m、密度510g/mの綿帆布を5cm×5cmの大きさに裁断したものの中央部に染み込ませ、23℃60%RHで24時間放置し、40℃の水80g中に0.5時間浸漬した後の接着剤残存率が、90質量%以下である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
<5> 前記接着剤0.18gを23℃の水90gと混合し、得られた懸濁液の全光線透過率が、20%以上である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
<6> 前記接着剤0.18gを23℃の水90gと混合し、得られた懸濁液のヘーズ値が、90%以下である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
<7> 前記接着剤のガラスに対する接触角が、38.0°以上である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
<8> 水溶性化合物を更に含む<1>〜<7>のいずれか1つに記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
<9> 前記水溶性化合物が、エチレンカーボネート、ジメチルスルホン、スルホラン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、及び、脂肪酸ポリオキシエチレングリセロールボレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、<8>に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
<10> 前記接着剤1.0gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、500rpmの条件により1時間撹拌した後の水への残存率が、90質量%以下であり、前記撹拌を開始してから、目視で前記硬化物の固形物が消失するまでの時間が、24時間以下である、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
<11> 第1の布地、皮革又は紙と第2の布地、皮革又は紙とを<1>〜<10>のいずれか1つに記載の布地、皮革又は紙用接着剤を用いて接着する工程を備える、布地、皮革又は紙の接着方法。
<12> 第1の布地、皮革又は紙と第2の布地、皮革又は紙とを<1>〜<10>のいずれか1つに記載の布地、皮革又は紙用接着剤を用いて接着する工程と、前記第1の布地、皮革又は紙と第2の布地、皮革又は紙とを接合する工程と、を備える、布地、皮革又は紙製品の製造方法。
本発明によれば、簡易な手法で布地、皮革又は紙を接着でき、かつ接着後の布地、皮革又は紙が水で分離可能である布地、皮革又は紙用接着剤、並びにこれを用いた布地、皮革又は紙の接着方法及び布地、皮革又は紙製品の製造方法が提供される。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
(布地、皮革又は紙用接着剤)
本発明の布地、皮革又は紙用接着剤は、下記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物を含む接着剤である。
式(1)中、Lはそれぞれ独立に、−CHCH−、−CH(R)CH−又は−CHCH(R)−を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、pは3〜6の整数を表し、また、式(1)におけるp個の−L−O−のうち、2個〜4個が−CHCH−O−であり、0個〜2個が−CH(R)CH−及び/又は−CHCH(R)−O−である。
以下、本発明の布地、皮革又は紙用接着剤を単に「接着剤」と称する場合がある。また布地、皮革又は紙を「布地等」と称する場合がある。
本発明者らが鋭意検討した結果、前記構成の接着剤は、簡易な手法で布地等を接着できること、及び接着した布地等が水で分離可能であることを見出した。
これによる優れた効果の作用機構は明確ではないが、以下のように推定している。
まず、接着剤に含まれる2−シアノアクリレート化合物は、その特異なアニオン重合性により、布地等の表面に付着する水分等によってアニオン重合を開始し、硬化する。これにより、加熱加圧等を要さず簡易な手法で布地等が接着されると推定される。
さらに、接着剤に含まれる2−シアノアクリレート化合物は、式(1)で表されるように3個〜6個の1,2−アルキレンオキシ構造を有する。これにより、得られる硬化物における親水性が向上し、また、硬化物への水の浸透性に優れるため、前記硬化物の吸水及び膨潤による硬化物の脆化、並びに、わずかな外力で解体が生じ、また、布地等と接着剤の硬化物との界面への水の浸透、及び、接着力の低下が生じると考えられる。これにより、硬化した後における水による剥離又は除去性(本発明において「水易解体性」ともいう。)に優れ、硬化物によって接着されていた布地等が分離されると推定される。
本発明の接着剤は、水易解体性に優れるため、熱水又は加圧熱水により短時間で容易に剥離又は除去可能であることは勿論、例えば、常温(15℃〜25℃)からぬるま湯程度の温度(30℃〜45℃)範囲の水に浸漬等することにより、剥離又は除去することも可能である。
さらに、本発明の接着剤を用いて形成される硬化物は布地等への接着性に優れているため、布地等を強固に接着できる。また、本発明の接着剤は短時間で硬化するため、短時間で布地等を接着できる。
<式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物>
本発明の接着剤は、前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物を含む。
式(1)におけるRはそれぞれ独立に、置換基を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表し、また、直鎖アルキル基であっても、分岐アルキル基であってもよい。前記置換基としては、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基が挙げられる。中でも、ハロゲン原子、又は、アルコキシ基が好ましく挙げられ、ハロゲン原子がより好ましく挙げられる。
式(1)におけるRとしては、例えば、メチル基、クロロメチル基、エチル基、クロロエチル基、プロピル基等が挙げられる。
中でも、水易解体性の観点から、Rはそれぞれ独立に、炭素数1又は2のアルキル基であることが好ましく、メチル基、クロロメチル基、又は、エチル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
また、式(1)における全てのRは、同じ基であることが好ましい。
式(1)におけるRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表し、また、直鎖アルキル基であっても、分岐アルキル基であってもよい。前記置換基としては、Rにおいて前述した置換基が挙げられる。
式(1)におけるRは、水易解体性の観点から、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、又は、イソブチル基であることがより好ましく、メチル基、又は、エチル基であることが特に好ましい。
式(1)におけるpは、3〜5の整数であることが好ましく、3又は4であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。
式(1)におけるLはそれぞれ独立に、水易解体性の観点から、−CHCH−又は−CHCH(R)−であることが好ましく、−CHCH−であることがより好ましい。
式(1)においては、水易解体性の観点から、p個の−L−O−のうち、2個〜4個が−CHCH−O−であり、0個又は1個が−CH(R)CH−又は−CHCH(R)−O−であることが好ましく、p個の−L−O−が、3個又は4個の−CHCH−O−であることがより好ましく、p個の−L−O−が、3個の−CHCH−O−であることが特に好ましい。
また、式(1)において、p個の−L−O−における−CHCH−O−と−CH(R)CH−及び/又は−CHCH(R)−O−との配列は、ランダム状であっても、同じ構造が連続するブロック状であってもよい。例えば、式(1)における2−シアノアクリロキシ基と−CHCH−O−、−CH(R)CH−又は−CHCH(R)−O−のいずれが結合していてもよいし、式(1)におけるRと、−CHCH−O−、−CH(R)CH−又は−CHCH(R)−O−のいずれが結合していてもよい。
前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物として、具体的には例えば、2−シアノアクリル酸の2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチル、2−[2−(2−プロピルオキシエトキシ)エトキシ]エチル、2−[2−(2−ブチルルオキシエトキシ)エトキシ]エチル、2−[2−(2−ペンチルオキシエトキシ)エトキシ]エチル、2−[2−(2−ヘキシルオキシエトキシ)エトキシ]エチル、2−[2−(2−メトキシプロピルオキシ)エトキシ]エチル、2−[2−(2−メトキシブチルオキシエトキシ]エチル、2−[2−(2−メトキシペンチルオキシ)エトキシ]エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)プロピルオキシ]エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)ブチルオキシ]エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)ペンチルオキシ]エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]プロピル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]ブチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]ペンチル、2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル、2−{2−[2−(2−メトキシプロピルオキシ)エトキシ]エトキシ}エチル、2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)プロピルオキシ]エトキシ}エチル、2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]プロピルオキシ}エチル、2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}プロピル、2−{2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル等のエステルが好適に挙げられる。
中でも、水易解体性の観点から、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル−2−シアノアクリレート、又は、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチル−2−シアノアクリレートが好ましく、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル−2−シアノアクリレート(下記式(2)で表される化合物)がより好ましい。
本発明の接着剤に用いられる前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の接着剤における前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物の含有量は、水易解体性、接着性及び硬化性の観点から、接着剤の全質量に対し、40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、50質量%以上99.5質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上90質量%以下であることが更に好ましく、70質量%以上85質量%以下であることが特に好ましい。
<水溶性化合物>
本発明の接着剤は、水易解体性の観点から、水溶性化合物を更に含むことが好ましい。
前記水溶性化合物は、水易解体性、及び、前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物への相溶性の観点から、本発明の接着剤に含有される前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物に溶解可能であることが好ましい。
本発明において、水溶性化合物が、前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物に溶解可能であるとは、使用する前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物100質量部に対し、使用する水溶性化合物1質量部を25℃において混合撹拌し、目視により相分離が見られず、均一な混合物を形成できることを表す。
また、本発明において、「水溶性化合物」とは、水と任意の混合比で混和し溶液となるか、又は、水に対する溶解度(25℃)が1g/100g以上の化合物を意味する。
前記水溶性化合物の溶解性パラメータ(SP値)は、水易解体性、及び、前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物への相溶性の観点から、8.0(cal/cm0.5以上23.4(cal/cm0.5以下であることが好ましく、8.3(cal/cm0.5以上15.0(cal/cm0.5以下であることがより好ましく、8.3(cal/cm0.5以上14.0(cal/cm0.5以下であることが更に好ましく、9.0(cal/cm0.5以上14.0(cal/cm0.5以下であることが特に好ましい。
また、前記水溶性化合物のSP値は、水による剥離及び解体速度の観点からは、高い値であることが好ましい。
なお、本発明における溶解性パラメータ(SP値)は、R.F.Fedorsにより著された「Polymer Engineering and Science」14(2),147(1974)に記載の計算方法によって、算出する値である。具体的には、式(3)に示す計算方法による。なお、2.0455(cal/cm0.5=1MPa0.5である。
δ:SP値((cal/cm1/2
ΔEvap:各原子団のモル蒸発熱(cal/mol)
V:各原子団のモル体積(cm/mol)
また、2種以上を併用している場合は、以下の式により算出するものとする。
(混合物のSP値)=(成分1の体積分率)×(成分1のSP値)+(成分2の体積分率)×(成分2のSP値)+・・・
本発明に用いられる水溶性化合物は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。前記低分子化合物は、分子量1,000未満であることが好ましく、前記高分子化合物は、重量平均分子量1,000以上であることが好ましく、重量平均分子量1,000以上1,000,000以下であることがより好ましい。
なお、本発明における高分子化合物の数平均分子量(Mn)、及び、重量平均分子量(Mw)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定するものとする。
水溶性化合物としては、特に制限はないが、水易解体性、及び、前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物への相溶性の観点から、エステル結合、カーボネート結合及びスルホニル結合よりなる群から選ばれた少なくとも1種の結合を有する化合物であることが好ましく、カーボネート結合及びスルホニル結合よりなる群から選ばれた少なくとも1種の結合を有する化合物であることがより好ましい。
また、水溶性高分子化合物としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート等が好ましく挙げられる。
更に、水溶性化合物として、水易解体性、及び、粘性の観点から、低分子化合物、及び、高分子化合物を併用することも好ましい。
中でも、水溶性化合物としては、水易解体性、及び、前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物への相溶性の観点から、エチレンカーボネート、ジメチルスルホン、スルホラン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアセテート、ポリオキシアルキレンジアセテート、脂肪酸ポリオキシエチレングリセロールボレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましく、エチレンカーボネート、ジメチルスルホン、スルホラン、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアセテート、ポリオキシアルキレンジアセテート、及び、脂肪酸ポリオキシエチレングリセロールボレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。
また、汎用性の観点からは、水溶性化合物としては、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホン、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアセテート、及び、ポリオキシアルキレンジアセテートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
上述のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアセテート、ポリオキシアルキレンジアセテートとしては、例えば、下記式(1)で表される構造を有する化合物が好ましい。
R−(OCHCHX)・(OCHCH−OR’
(式(1)中、R、R’は水素原子又は直鎖若しくは分岐の炭素数1〜20のアルキル基若しくはアルキルアセテート基、Xは炭素数1〜10のアルキル基、nは0〜20の整数、mは0〜20の整数である。)
上述の脂肪酸ポリオキシエチレングリセロールボレートとしては、例えば、東邦化学工業(株)製、エマルボン(登録商標)T−20(ポリオキシエチレングリセロールボレート−ラウレート)、同T−40(ポリオキシエチレングリセロールボレート−パルミテート)、同T−60(ポリオキシエチレングリセロールボレート−ステアレート)、同T−66(ポリオキシエチレングリセロールボレート−ステアレート)、同T−80(ポリオキシエチレングリセロールボレート−オレート)、同T−83(ポリオキシエチレングリセロールボレート−オレート)、同T−160(ポリオキシエチレングリセロールボレートイソステアレート)等が好ましく挙げられる。
本発明の接着剤に用いられる水溶性化合物は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の接着剤における水溶性化合物の含有量は、水易解体性の観点から、接着剤の全質量に対し、0.5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上35質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。
<その他の成分>
本発明の接着剤は、前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物及び前記水溶性化合物以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、従来、2−シアノアクリレート化合物を含有する接着剤に配合して用いられている安定剤、硬化促進剤、可塑剤、増粘剤、粒子、着色剤、香料、溶剤、強度向上剤等を、目的に応じて、接着剤の硬化性及び接着強さ等を損なわない範囲で適量配合することができる。
安定剤としては、(1)二酸化硫黄及びメタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、三弗化ホウ素メタノール、三弗化ホウ素ジエチルエーテル等の三弗化ホウ素錯体、HBF、トリアルキルボレート等のアニオン重合禁止剤、(2)ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、カテコール及びピロガロール等のラジカル重合禁止剤などが挙げられる。これらの安定剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤は、2−シアノアクリレート系接着剤のアニオン重合を促進するものであれば、いずれも使用することができる。硬化促進剤としては、例えば、ポリエーテル化合物、カリックスアレン類、チアカリックスアレン類、ピロガロールアレン類、及びオニウム塩等が挙げられる。これらの硬化促進剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、可塑剤としては、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソトリデシル、フタル酸ジペンタデシル、テレフタル酸ジオクチル、イソフタル酸ジイソノニル、トルイル酸デシル、ショウノウ酸ビス(2−エチルヘキシル)、2−エチルヘキシルシクロヘキシルカルボキシレート、フマル酸ジイソブチル、マレイン酸ジイソブチル、カプロン酸トリグリセライド、安息香酸2−エチルヘキシル、ジプロピレングリコールジベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、2−シアノアクリレート化合物との相溶性がよく、かつ可塑化効率が高いという点から、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、安息香酸2−エチルヘキシル、ジプロピレングリコールジベンゾエートが好ましい。これらの可塑剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルとの共重合体、メタクリル酸メチルとその他のメタクリル酸エステルとの共重合体、アクリルゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン、セルロースエステル、ポリアルキル−2−シアノアクリル酸エステル及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの増粘剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着剤に配合してもよい粒子は、接着剤を使用した際の接着剤層の厚さを調整するためのものである。
前記粒子の平均粒子径は、10μm〜200μmであることが好ましく、15μm〜200μmであることがより好ましく、15μm〜150μmであることが更に好ましい。
粒子の材質は、使用する2−シアノアクリレート化合物に不溶であり、重合等の変質を引き起こさないものであれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等の架橋樹脂;球状シリカ、ガラスビーズ、ガラスファイバー等の無機化合物;シリコーン化合物;有機ポリマー骨格とポリシロキサン骨格を含んでなる有機無機複合粒子等が挙げられる。
また、粒子の含有量は特に限定されないが、2−シアノアクリレート化合物の含有量を100質量部とした場合に、0.1質量部〜10質量部であることが好ましく、1質量部〜5質量部であることがより好ましく、1質量部〜3質量部であることが更に好ましい。前記0.1質量部〜10質量部の範囲であると、硬化速度や接着強さに与える影響を少なくすることができる。
本発明における粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定した体積基準の平均値である。
接着剤に配合してもよい着色剤は、接着剤に所望の色調を付与するためのものである。
着色剤は、水に可溶であっても水に不溶であってもよい。また、接着剤に含まれる着色剤は1種のみであっても2種以上であってもよい。
<硬化物の残存率>
本発明の接着剤1.0gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、1時間撹拌した後の水への不溶分の残存率は、水易解体性の観点から、80質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
前記残存率は、以下のように測定する。
接着剤を1gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、1時間撹拌し、撹拌後、硬化物が分散及び/又は溶解した液を、JIS P3801で規定される5種Aのろ紙で濾別し、不溶分の残存率を計算する。
残存率(質量%)=(不溶分の乾燥質量)/(使用した硬化物の質量)×100
また、本発明の接着剤1.0gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、500rpmの条件により1時間撹拌した後の水への残存率は、水易解体性の観点から、90質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
更に、前記撹拌を開始してから、目視で前記硬化物の固形物が消失するまでの時間は、水易解体性の観点から、24時間以下であることが好ましく、18時間以下であることがより好ましく、12時間以下であることが更に好ましく、3時間以下であることが特により好ましく、1時間以下であることが最も好ましい。なお、下限は特に限定されないが、45分以上であることが好ましい。
<綿帆布に浸透及び硬化させた後、水に浸漬後の硬化物の残存率>
本発明の接着剤0.05gを、糸の重さ453.6g(1ポンド)あたり長さ7,681m(8,400ヤード)、密度510g/mの綿帆布(JIS L3102(1997)に規定される綿帆布9号)を5cm×5cmの大きさに裁断したものの中央部に染み込ませ、23℃60%RHで24時間放置し、23℃の水80g中に2時間浸漬した後の接着剤残存率は、水易解体性の観点から、80質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下であることが特に好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
また、本発明の接着剤0.05gを、糸の重さ453.6g(1ポンド)あたり長さ7,681m(8,400ヤード)、密度510g/mの綿帆布(JIS L3102(1997)に規定される綿帆布9号)を5cm×5cmの大きさに裁断したものの中央部に染み込ませ、23℃60%RHで24時間放置し、40℃の水80g中に0.5時間浸漬した後の接着剤残存率は、水易解体性の観点から、80質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
前記接着剤残存率は、以下のように測定する。
接着剤0.05gを、5cm角の糸の重さ453.6g(1ポンド)あたり長さ7,681m(8,400ヤード)、密度510g/mの綿帆布(JIS L3102(1997)に規定される綿帆布9号)の中央部に染み込ませる。23℃60%RHで24時間放置し、接着剤を硬化させた後、23℃又は40℃の水、80mLに2時間浸漬させる。布の表面を23℃の水で洗い流した後、23℃で24時間乾燥させた後の重量から、残存率を算出する。
なお、本発明の接着剤は、前記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物を含むため、23℃において空気中の水分により硬化する。
綿帆布における残存率(質量%)={(浸漬前の綿帆布(接着剤の硬化物を含む)の質量)−(浸漬後乾燥させた綿帆布(残留した接着剤の硬化物を含む)の乾燥質量)}/(使用した接着剤の質量)×100
<全光線透過率、及び、ヘーズ値>
本発明の接着剤0.18gを23℃の水90gと混合し、得られた懸濁液の全光線透過率は、20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
また、本発明の接着剤0.18gを23℃の水90gと混合し、得られた懸濁液のヘーズ値が、90%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、50%以下であることが更に好ましく、40%以下であることが特に好ましい。
前記全光線透過率、及び、ヘーズ値は、以下のように測定する。
接着剤0.18gを23℃の水90gに撹拌しながら添加し、そのまま室温(23℃)で15分間撹拌し、懸濁液を得る。得られた懸濁液を濁度計用50mLセルに入れ、濁度計(日本電色工業(株)製NDH2000)を用いて、全光線透過率及びヘーズ値をJIS K0115に準拠して測定する。
<ガラスとの接触角>
本発明の接着剤のガラスに対する接触角は、38.0°以上であることが好ましく、39.0°以上であることがより好ましく、40.0°以上であることが特に好ましい。
前記ガラスとの接触角は、以下のように測定する。
JIS R3703に準拠した白ガラス(松波硝子工業(株)製S111)を使用し、JIS R3257に準じ、接触角測定装置(英弘精機(株)製OCA20)を用いて、接着剤のガラスに対する接触角を測定する。なお、測定条件は、滴下量:8μL、滴下速度:5μL/s、測定までの時間:3秒とする。
本発明の接着剤は、特に制限はなく、種々の用途に用いることができる。
本発明の接着剤を用いて形成される硬化物は、水で容易に除去することができる。このため、布地等を誤って接着した場合や、一時的にのみ接着したい場合であっても、水と接触させることで容易に布地等を分離することができる。
さらに、本発明の接着剤は加熱加圧を要さずに布地等を接着できる。このため、布地等が加熱加圧に適しない場合も好適に利用できる。
本発明の接着剤を用いて接着される布地、皮革又は皮の種類は、特に制限されない。
本発明において「布地」とは、繊維で構成されるシート状の物体全般を意味し、織物、編み物、不織布、その他の状態のいずれであってもよい。
布地を構成する繊維は、綿、絹、麻、パルプ、羊毛、羽毛等の天然繊維であっても、レーヨン、キュプラ等の再生繊維であっても、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維であっても、カーボン、ガラス、金属等の無機繊維であっても、その他の繊維であってもよい。布地を構成する繊維は1種のみでも2種以上であってもよい。
また、第1の布地と第2の布地を接着する際の第1の布地と第2の布地の材質は同じであっても異なっていてもよい。
本発明において「皮革」は、天然皮革又は合成皮革のいずれであってもよく、種々の表面処理加工がされていてもよい。
本発明において「紙」は、パルプを原料とするシート状の物体を意味し、種々の表面処理加工がされていてもよい。
本発明の接着剤は、布地、皮革、紙のうち1種のみを接着するものであっても、2種以上を接着するものであってもよい。例えば、布地と皮革とを接着するものであってもよい。
布地等は、表面が平滑であっても凹凸、空隙等を有していてもよい。本発明の接着剤の硬化物は水で除去可能であるため、表面に凹凸、空隙等を有する布地等にも好適に使用できる。また、有機溶媒等を用いずに除去可能であるため、有機溶媒との接触により変性しやすい布地等にも好適に使用できる。
<布地、皮革又は紙の接着方法>
本発明の布地、皮革又は紙の接着方法は、第1の布地等と第2の布地等とを本発明の接着剤を用いて接着する工程を備える。
第1の布地等と第2の布地等とを接着剤を用いて接着する具体的な方法としては、例えば、第1の布地等に接着剤を付与し、接着剤が硬化する前に第2の布地等を接着剤に接触させて、接着剤を硬化させる方法が挙げられる。
本発明の接着剤を用いて第1の布地等と第2の布地等とを接着する方法は、特に制限されない。例えば、第1の布地等の接着させたい箇所に滴下、転写、刷毛塗り、スプレー、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の方法で接着剤を付着させ、第2の布地等を硬化前の接着剤に接触させる方法を挙げることができる。接着剤はそのまま用いても、有機溶媒等の溶媒で希釈して用いてもよい。
本発明の接着剤を用いて接着した第1の布地等と第2の布地等とは、必要に応じて分離してもよい。分離の方法は、特に制限されないが、第1の布地等と第2の布地等とを接着している接着剤の硬化物に水を接触させて除去する方法であることが好ましい。例えば、布地等を水に浸漬する方法、布地等を流水で洗浄する方法、布地等に水を噴霧する方法等を挙げることができる。布地等の分離に用いる水は、必要に応じて溶剤、界面活性剤等を含有してもよい。
前記方法によれば、加熱加圧等の手段を伴わず、簡易な手法で第1の布地等と第2の布地等とを接着できる。 前記方法によれば、周囲環境(温度条件等)を問わず短時間に第1の布地等と第2の布地等とを接着できるため、屋外等でも好適に実施できる。
前記方法の具体的態様としては、例えば、一時的に布地等を別の布地等に接着したい場合(例えば、運動着、制服、衣装、テント、横断幕等にゼッケン、装飾品、表示物等を付する場合)などが考えられる。
<布地、皮革又は紙製品の製造方法>
本発明の布地、皮革又は紙製品の接着方法は、布地、皮革又は紙製品の製造を目的とするものであってもよい。
すなわち、本発明の布地、皮革又は紙製品の製造方法は、第1の布地等と第2の布地等とを本発明の接着剤を用いて接着する工程と、前記第1の布地等と第2の布地等とを接合する工程と、を備える。
前記方法によれば、簡易な手法で第1の布地等と第2の布地等とを接着できる。また、接着された状態の第1の布地等と第2の布地等は水で分離することができるため、誤って接着した場合にもやり直しが可能である。また、必要に応じて得られた製品を水洗いすることで、接着剤の硬化物を除去することができる。
前記方法において「接合」とは、第1の布地等と第2の布地等とが容易に分離できない程度に固定する行為を意味する。接合の具体的な手法は特に制限されない。例えば、縫製、水不溶性の接着剤を用いた接着、ビス止め等が挙げられる。
前記方法で製造される布地、皮革又は紙製品の分野は特に制限されない。例えば、衣料品全般、小物類、家具、手芸品、生活用品、衛生用品、医療用品、介護用品、テント、立体看板、アート作品などが考えられる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。また、以下において「部」及び「%」は、特に断らない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
各種物性値は、以下のように測定した。
<硬化物を水に浸漬した後の残存率>
接着剤の硬化物を水に浸漬した後の残存率は、以下のように測定した。
接着剤1.0gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させ得られた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、1時間撹拌し、撹拌後、硬化物が分散及び/又は溶解した液を、JIS P3801(1995)で規定される5種Aのろ紙で濾別し、不溶分の残存率を計算した。
残存率(質量%)=(不溶分の乾燥質量)/(使用した硬化物の質量)×100
<綿帆布に浸透及び硬化させた後、硬化物を水に浸漬した後の残存率>
綿帆布に浸透及び硬化させた後、硬化物を水に浸漬した後の残存率は、以下のように測定した。
接着剤0.05gを5cm角の糸の重さ453.6g(1ポンド)あたり長さ7,681m(8,400ヤード)、密度510g/mの綿帆布(JIS L3102(1997)に規定される綿帆布9号)の中央部に染み込ませた。23℃60%RHで24時間放置し、接着剤を硬化させた後、23℃又は40℃の水、80mLに2時間浸漬させた。布の表面を23℃の水で洗い流した後、23℃で24時間乾燥させた後の質量から、残存率を算出した。
綿帆布における残存率(質量%)={(浸漬前の綿帆布(接着剤を含む)の質量)−(浸漬後乾燥させた綿帆布(残留した接着剤の硬化物を含む)の乾燥質量)}/(使用した接着剤の質量)×100
<全光線透過率、及び、ヘーズ値>
全光線透過率、及び、ヘーズ値は、以下のように測定した。
接着剤0.18gを23℃の水90gに撹拌しながら添加し、そのまま室温(23℃)で15分間撹拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を濁度計用50mLセルに入れ、濁度計(日本電色工業(株)製NDH2000)を用いて、全光線透過率及びヘーズ値をJIS K0115に準拠して測定した。
<ガラスとの接触角>
ガラスとの接触角は、以下のように測定した。
JIS R3703(1998)に準拠した白ガラス(松波硝子工業(株)製S111)を使用し、JIS R3257(1999)に準じ、接触角測定装置(英弘精機(株)製OCA20)を用いて、接着剤のガラスに対する接触角を測定した。なお、測定条件は、滴下量:8μL、滴下速度:5μL/s、測定までの時間:3秒とした。
(実施例1、並びに、比較例1及び2)
<試験片作製>
表1に記載の2−シアノアクリレート化合物を接着剤とした。
得られた接着剤を、直径25mmのポリエチレン容器に約1g流し込んだ。N,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、室温(23℃)60%RHで24時間静置し、完全に硬化させた。直径25mm、厚さ2±0.2mmの範囲内の厚さの硬化物を作製した。硬化後、容器から硬化物を取り出し、それを試験及び評価に使用した。
<布地の分離試験>
接着剤1滴を綿布に滴下し、直後にもう1枚の綿布を重ねて接着剤を硬化させ、綿布同士を接着させた。この状態で、40℃の温水でもみ洗いを行った。もみ洗い後に硬化物が除去されて綿布が分離した場合は「可」、もみ洗い後も硬化物が残存して綿布が分離されなかった場合は「不可」として結果を表1に示す。

なお、表1の比較例1及び2において、硬化物を水に浸漬した後の残存率が100質量%を超える値であるのは、硬化物の内部へわずかに吸水し質量が増加したためと推定している。
表1に示すように、実施例1の接着剤は、比較例1又は2の接着剤に比べ、硬化後において、水により容易に剥離又は除去することができた。
また、実施例1の接着剤は、硬化物を浸水した際の残存率が小さい値であり、また、綿帆布に硬化物が付着した場合であっても、硬化物が付着した綿帆布を浸水した際の残存率が小さい値であり、硬化物の除去性に優れるものであった。
(実施例2〜4)
表2に記載の2種の2-シアノアクリレート化合物を、表2に記載の混合比(質量比)にて混合し、それぞれ実施例2〜4の接着剤とした。
実施例2〜4の接着剤、並びに、前記で作製した実施例1の接着剤、比較例1及び2の接着剤をそれぞれ使用し、以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
<硬化物を水に浸漬した後の残存率(撹拌あり)>
前記接着剤1.0gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、500rpmの条件により1時間撹拌した後、硬化物が分散及び/又は溶解した液を、JIS P3801(1995)で規定される5種Aのろ紙で濾別し、不溶分の残存率を計算した。
残存率(質量%)=(不溶分の乾燥質量)/(使用した硬化物の質量)×100
<硬化物を水に浸漬した後の目視で前記硬化物の固形物が消失するまでの時間(撹拌あり)>
前記接着剤1.0gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、500rpmの条件により撹拌を続け、前記撹拌を開始してから、目視で10分毎に確認を行い、前記硬化物の固形物が消失するまでの時間を測定した。
なお、比較例1及び2の接着剤は、72時間(4,320分)後であっても、前記硬化物の固形物が消失しなかった。
また、表2の比較例1及び2において、硬化物を水に浸漬した後の残存率が100質量%を超える値であるのは、硬化物の内部へわずかに吸水し質量が増加したためと推定している。
本発明の布地、皮革又は紙用接着剤、布地、皮革又は紙の接着方法、及び布地、皮革又は紙製品の製造方法は、各種産業、服飾、芸術、教育、手芸、日常生活、試験研究、医療等のあらゆる用途に用いることができる。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される2−シアノアクリレート化合物を含む接着剤である、布地、皮革又は紙用接着剤。

    式(1)中、Lはそれぞれ独立に、−CHCH−、−CH(R)CH−又は−CHCH(R)−を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、pは3〜6の整数を表し、また、式(1)におけるp個の−L−O−のうち、2個〜4個が−CHCH−O−であり、0個〜2個が−CH(R)CH−及び/又は−CHCH(R)−O−である。
  2. 前記接着剤1.0gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、1時間撹拌した後の水への不溶分の残存率が、90質量%以下である、請求項1に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
  3. 前記接着剤0.05gを、糸の重さ453.6gあたり長さ7,681m、密度510g/mの綿帆布を5cm×5cmの大きさに裁断したものの中央部に染み込ませ、23℃60%RHで24時間放置し、23℃の水80g中に2時間浸漬した後の接着剤残存率が、90質量%以下である、請求項1又は請求項2に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
  4. 前記接着剤0.05gを、糸の重さ453.6gあたり長さ7,681m、密度510g/mの綿帆布を5cm×5cmの大きさに裁断したものの中央部に染み込ませ、23℃60%RHで24時間放置し、40℃の水80g中に0.5時間浸漬した後の接着剤残存率が、90質量%以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
  5. 前記接着剤0.18gを23℃の水90gと混合し、得られた懸濁液の全光線透過率が、20%以上である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
  6. 前記接着剤0.18gを23℃の水90gと混合し、得られた懸濁液のヘーズ値が、90%以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
  7. 前記接着剤のガラスに対する接触角が、38.0°以上である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
  8. 水溶性化合物を更に含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
  9. 前記水溶性化合物が、エチレンカーボネート、ジメチルスルホン、スルホラン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、及び、脂肪酸ポリオキシエチレングリセロールボレートよりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項8に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
  10. 前記接着剤1.0gにN,N−ジメチル−p−トルイジンを1μL添加し撹拌した後、23℃60%RHで24時間放置して硬化させた直径25mm、厚さ2mmの円盤状の硬化物1.0gを23℃の純水50gに入れ、500rpmの条件により1時間撹拌した後の水への残存率が、90質量%以下であり、前記撹拌を開始してから、目視で前記硬化物の固形物が消失するまでの時間が、24時間以下である、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の布地、皮革又は紙用接着剤。
  11. 第1の布地、皮革又は紙と第2の布地、皮革又は紙とを請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の布地、皮革又は紙用接着剤を用いて接着する工程を備える、布地、皮革又は紙の接着方法。
  12. 第1の布地、皮革又は紙と第2の布地、皮革又は紙とを請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の布地、皮革又は紙用接着剤を用いて接着する工程と、前記第1の布地、皮革又は紙と第2の布地、皮革又は紙とを接合する工程と、を備える、布地、皮革又は紙製品の製造方法。
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