JP2021020260A - 工作機械の主軸回転数制御装置および制御方法 - Google Patents

工作機械の主軸回転数制御装置および制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エンドミル加工のような断続的な切削で発生する複数のびびり振動を効果的に低減する。【解決手段】主軸に取り付けた回転工具による被削材の切削で発生するびびり振動を抑制する主軸回転数制御装置である。制御装置は、びびり振動の周波数ωcを検出する検出手段と、検出手段で複数のびびり振動の周波数ωc1,ωc2が検出されたとき、周波数ωc1,ωc2が、|nωc1±mωt|=ωc2、但しωtは断続切削の周波数であり、n=1,2,3,…であり、m=0,1,2,3,…の関係を満たすときは、同じびびり振動によるものと見做してびびり振動の周波数ω=ωc1と定め、びびり振動の周波数ω及び主軸回転数に基づいて、工作機械の主軸が回転している状態の固有振動数ωnを推定する推定手段と、推定手段で推定した固有振動数を用いて無次元安定限界切込みを算出し、この無次元安定限界切込みが最大となるように主軸回転数を変更する主軸回転数制御手段とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、工作機械のびびり振動を抑制する主軸回転数制御装置および制御方法に関する。
工作機械で切削加工を行う際に、工具または被削材の剛性が低かったり、或いは荒加工のような重切削を行ったりすると、「びびり振動」が発生することがある。このびびり振動は工具と被削材間の振動であり、被削材の加工精度の低下や工具寿命の短縮等に繋がる。
びびり振動はその発生機構により、強制びびり振動と自励びびり振動の2種類に分類される。強制びびり振動は、何らかの強制振動源による力外乱(切削力変動など)や変位外乱(モータや歯車などに起因する振動)によって発生する。
自励びびり振動は荒加工のときの再生効果により多く発生し、このため再生びびり振動ともいわれる。自励びびり振動はいったん発生すると大きな振動に成長して加工精度の大幅低下や切削工具の欠損等を招くので、その抑制対策が特に重要である。
びびり振動は切削速度や切削幅を低減することで抑制可能であるが、それでは生産性が低下する。そこで、例えば特許文献1、2のように生産性を低下させずに「びびり振動」を低減する対策が従来から複数提案されている。
特開2010−105160号公報 特開2013−000850号公報
特許文献1の技術は、検出されたびびり振動に基づき、当該びびり振動を低減するために、切削工具または被削材の回転数を数式(1)により算出して作業者に望ましい加工条件(主軸回転数)を提示する。
S=60×ω/{(n+1)×N} 数式(1)
S:切削工具または被削材の1分間あたりの回転数算出値
n:60×ω/(S0×N)の整数部分
0:切削工具または被削材の1分間あたりの回転数現在値
ω:びびり振動の周波数, N:切削工具の刃数
特許文献2の技術は本願出願人によって提案されたもので、測定された複数のびびり振動の周波数と主軸回転速度の関係から、主軸が回転している状態での個々の固有振動数を推定している。推定された固有振動数を用いて無次元安定限界切込みを算出すると共に、個々の固有振動数に対する無次元安定限界切込みを重ね合わせる。そして生産性が低下しないように、この重ね合わせた無次元安定限界切込みが最も大きくなる主軸回転速度(最大値)を選択して、NC装置の主軸回転速度指令を変更することでびびり振動を抑制するようにしている。
具体的に特許文献2では、図12Bのように2つのびびり振動(ωc1,1)(ωc2,2)が観測された場合、それぞれを別々の振動原因によるものと考えて、びびり振動ωc1とωc2のそれぞれに無次元安定限界切込みalim(ωm,Pm)を算出する(m=1,2)。そしてそれら無次元安定限界切込みを重ね合わせた上で、無次元安定限界切込みが最大となるように主軸回転数を変更制御する(特許文献2の請求項4、数式19、図8)。
ところで、旋削加工のように切刃が常に切削を行う加工方法と異なり、エンドミル加工のように切刃が断続的に切削を行う加工方法では、図12Aに示すようにびびり振動の周波数ωcのほかに断続切削の周波数ωtが生じる。エンドミルの切刃の数が少ないか、或いは径方向の切込みが浅い加工が行われる場合、断続切削が原因となって図12Cのように複数のびびり振動の周波数ωc群が観測される場合がある。これらのびびり振動の周波数は発生原因が同じびびり振動について観測上現れているにすぎない可能性が高い。実際に、特許文献2の[数27]、[数28]のように個々のびびり振動の周波数ωn1,ωn2について無次元安定限界切込みalimを求め、それらを重ね合わせた上で無次元安定限界切込みが最大となるように主軸回転数を変更制御しても、びびり振動を低減することができないことが判明した。
そこで本発明の目的は、エンドミル加工のような断続的な切削で発生する複数のびびり振動を効果的に低減することにある。
前記課題を解決するため、本発明の制御装置は、主軸に取り付けた回転工具による被削材の切削で発生するびびり振動を抑制する主軸回転数の制御装置であって、当該制御装置は、びびり振動の周波数ωcを検出する検出手段と、当該検出手段で複数のびびり振動の周波数ωc1,ωc2が検出されたとき、当該周波数ωc1,ωc2が、|nωc1±mωt|=ωc2、但しωtは断続切削の周波数であり、n=1,2,3,…であり、m=0,1,2,3,…の関係を満たすときは、同じびびり振動によるものと見做してびびり振動の周波数ω=ωc1と定め、前記びびり振動の周波数ω及び主軸回転数に基づいて、工作機械の主軸が回転している状態の固有振動数ωnを以下の数式(2)に基づいて、
数式(2)
推定するものであり、但し、ωはびびり振動の周波数、ζは減衰比、Nは切削工具の刃数、Sは主軸回転数である推定手段と、当該推定手段で推定した固有振動数を用いて無次元安定限界切込みを算出し、この無次元安定限界切込みが最大となるように主軸回転数を変更する主軸回転数制御手段と、を備えたことを特徴とする。
また本発明の主軸回転数制御方法は、主軸に取り付けた回転工具による被削材の切削で発生するびびり振動を抑制する主軸回転数の制御方法であって、当該制御方法は、びびり振動の周波数ωcを検出手段で検出し、当該検出手段で複数のびびり振動の周波数ωc1,ωc2が検出されたとき、当該周波数ωc1,ωc2が、|nωc1±mωt|=ωc2、但しωtは断続切削の周波数であり、n=1,2,3,…であり、m=0,1,2,3,…の関係を満たすときは、同じびびり振動によるものと見做してびびり振動の周波数ω=ωc1と定め、前記びびり振動の周波数ω及び主軸回転数に基づいて、工作機械の主軸が回転している状態の固有振動数ωnを以下の数式(2)に基づいて、
数式(2)
推定し、但し、ωはびびり振動の周波数、ζは減衰比、Nは切削工具の刃数、Sは主軸回転数、当該推定した固有振動数を用いて無次元安定限界切込みを算出し、この無次元安定限界切込みが最大となるように主軸回転数を変更することを特徴とする。
本発明によれば、エンドミル加工のような断続的な切削で発生する複数のびびり振動を効果的に低減することができる。
主軸回転数制御装置の概略構成図である。 FFT周波数解析で出現する複数のびびり振動を示す模式図である。 2枚刃の回転工具で加工した際のFFT周波数解析の結果を示す図である。 主軸回転数制御方法を示すフローチャートである。 複数のびびり振動が発生する状態での主軸回転速度に対する無次元安定限界切込みを示す図であって、(a)は本発明方法で算出したもの、(b)は特許文献2の方法で算出したものである。 切削加工の伝達関数を示す図である。 切削工具の振動モデルを示す模式図である。 エンドミル加工の切削に関わる切刃の数の変化を説明する図である。 エンドミル加工の切削に関わる切刃の数の変化を時間軸で示す図である。 エンドミル加工の再生効果を説明する図である。 切屑厚さの変動を示す図である。 切屑厚さが小さくなった場合の加工面と刃先の変位を示す図である。 切屑厚さが周期的に0になるパルス変動を示す図である。 切屑厚さの変動を再生効果による変動(破線)と前記パルス変動による変動(実線)の積の形で表した図である。 切刃の数が1枚→0枚→1枚と変化する場合のびびり振動であって、切削周期比a/T=0.25の場合の(A)周波数、(B)位相および(C)振幅ピーク値を示す図である。 切刃の数が1枚→0枚→1枚と変化する場合のびびり振動であって、切削周期比a/T=0.5の場合の(A)周波数、(B)位相および(C)振幅ピーク値を示す図である。 切刃の数が常に1枚の場合(a/T=1)のびびり振動の(A)周波数、(B)位相および(C)振幅ピーク値を示す図である。 断続的切削におけるびびり振動の周波数ωcと断続切削の周波数ωtの発生状態を示す図である。 断続的切削におけるびびり振動の周波数ωc1,ωc2と断続切削の周波数ωtの発生状態を示す図である。 断続的切削におけるびびり振動の周波数ωc群と断続切削の周波数ωtの発生状態を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係るNC(数値制御)工作機械のびびり振動を抑制する主軸回転数制御装置と制御方法について図面に基いて説明する。なお、各図面で共通する部材には原則として同じ符号を付すことで、一度説明した部材についてはその後の重複した説明を省略することとする。
(主軸回転数制御装置)
図1に本発明の実施の形態に係る工作機械の主軸回転数制御装置の概略構成図を示す。図1の制御装置は信号処理部7と演算部9を有する。工作機械の主軸1に取付けられた切削工具2が、工作物3を切削する際にびびり振動が生じる。このびびり振動は、工作機械のヘッド4に固定された検出手段としての振動計5の加速度信号、或いはびびり振動の音を検出する検出手段としてのマイクロフォン6の音圧信号として検出される。
検出されたびびり振動を信号処理部7でFFT周波数解析し、信号の振幅ピーク値とその周波数を算出する。算出されたびびり振動の周波数と振幅ピーク値、それに加えてオペレータ8が操作画面から入力した工具刃数および減衰比ζを用いて、演算部9において後述する所定の演算を実施する。
そして変更すべき回転数を決定した後に、主軸回転数制御手段としてのNC装置10の主軸回転数指令を変更する。以上の構成は特許文献2に開示されたものと基本的に同じである。
(びびり振動の周波数の決定方法)
本発明では、観測されたびびり振動の周波数について、以下の数式(3)〜(5)を満たすびびり振動の周波数ωc1,ωc2は、同じびびり振動によるものとして取り扱う。ここが特許文献2などの従来の技術と根本的に異なる部分である。
nωc1=ωc2 数式(3)
ωc1±mωt=ωc2 数式(4)
ωc1+ωc2=mωt 数式(5)
(mωt>ωc1>ωc2
n、m=1、2、3、・・・
ωt:断続切削の周波数(ωt=N・S/60,N:工具の刃数,S:主軸回転速度)
ωc1,ωc2:観測された複数のびびり振動の周波数
上記をまとめて、次数式(6)で表すこともできる。
|nωc1±mωt|=ωc2 数式(6)
n=1,2,3,・・・, m=0,1,2,3,・・・
すなわち、観測された2つの周波数ωc1,ωc2または3つの周波数ωc1,ωc2,ωc3について、設定した閾値(例えば最大振幅ピーク値の50%)を越えるものをびびり振動の周波数とするとき、2つまたは3つの周波数が以下の周波数決定方法(1)〜(4)のように所定の関係式を満たす場合は、ωc1またはωc2を実際のびびり振動の周波数ωとする。
ここでは、前記閾値を最大振幅ピーク値の何%にするか厳密な制約は不要である。工作物3に影響が及ぶ主要なびびり振動を含む閾値%にすればよい。なお、実際のびびり振動の振幅ピーク値は後述する。
周波数決定方法(1)
2つの周波数ωc1,ωc2が数式(3)(nωc1=ωc2)を満たす場合、ωc1を実際のびびり振動の周波数ωとする。
周波数決定方法(2)
2つの周波数ωc1,ωc2が数式(4)(ωc1±mωt=ωc2)を満たす場合、すなわち以下の数式(7)満たす場合、ωc1を実際のびびり振動の周波数ωとする。
ωc1+ωt=ωc2 数式(7)
周波数決定方法(3)
3つの周波数ωc1,ωc2,ωc3が数式(4)を満たす場合、以下の数式(8)、(9)の関係があるときは、ωc1またはωc2を実際のびびり振動の周波数ωとする。周波数ωとしてωc1とωc2のどちらを選ぶかは、例えばびびり振動の周波数ωc1と断続切削の周波数ωtの位相(ωc1/ωt)を基準として決める。
ωc1−ωt=ωc2 数式(8)
ωc1+ωt=ωc3 数式(9)
周波数決定方法(4)
2つの周波数ωc1,ωc2が図2のように数式(5)(ωc1+ωc2=mωt)を満たす場合、ωc1を実際のびびり振動の周波数ωとする。図2では、振動周波数ωc1から右側にωt離れた周波数ωc3(=ωc1+ωt)と、左側に離れた周波数ωc2でもびびり振動が生じる。
左側の周波数ωc2は中央の周波数ωc1に関して反対側(右側)の周波数ωc3と対称をなすもので(ωc2=ωt-ωc1)、数式(5)のωc1+ωc2=ωtを満たす(m=1)。周波数ωc2は、負側に想定される周波数ωc2'を原点を中心として正側(右側)に折り返したものと理解できる。
振幅ピーク値
実際のびびり振動の振幅ピーク値P0は、数式(3)〜(6)を満たすびびり振動の周波数のそれぞれの振幅ピーク値P1,P2,P3・・・の総和とする。
0=ΣPi i=1,2,3… 数式(10)
実際には、びびり振動の周波数の中に、同じびびり振動の周波数ω=ωc1に起因するものとは異なる周波数が含まれることもある。この場合、当該異なる周波数ごとに無次元安定限界切込みalim(ωm,Pm)を下記の数式(11)により算出する。

数式(11)
数式(11)の上式(1)は本発明の推定手段で推定した固有振動数ωnmがびびり振動の周波数より小さいときに使用し、下式(2)はこれとは反対に推定手段で推定した固有振動数ωnmがびびり振動の周波数より大きいときに使用する。この固有振動数ωnmごとの無次元安定限界切込みalim(ωm,Pm)を重ね合わせた上で、無次元安定限界切込みが最大となるように主軸回転数を変更する。この重ね合わせのとき、それぞれの無次元安定限界切込みは前記振幅ピーク値で除して用いる。
そして、重ね合わせた無次元安定限界切込みの中で、全ての固有振動数に対して安定かつ最大となる回転数がびびり振動を低減するための最良の回転数となる。よってこの回転数に主軸回転数を変更する(図5(a)参照)。
(主軸回転数制御方法のフローチャート)
図3は、2枚刃の回転工具を使って主軸回転速度15000rpmで被削材を加工した際のびびり振動をFFT周波数解析した結果である。この解析結果から2つの周波数ωc1,ωc2が得られた。すなわち、周波数ωc1=1852Hz、振幅ピーク値P1=7.0と、周波数ωc2=2352Hz、振幅ピーク値P2=3.7である。
このFFT周波数解析結果を使用して、演算部9による演算の詳細を図4のフローチャートに基づいて以下説明する。びびり振動は図1の信号処理部7においてFFT周波数解析される。これがフローチャートのS1である。S1の解析結果から、閾値(50%)により所定振幅ピーク値以上のびびり振動周波数ωc1,ωc2が検出される(S2)。
次に、数式(6)の関係(|nωc1±mωt|=ωc2)があるか否かが判定される(S3)。nωc1=ωc2の場合はωc1を実際のびびり振動の周波数ωとする(S4)。当該S3のステップは、前述した他の周波数決定方法(2)〜(4)に置き換えることができる。
前記加工条件(主軸回転速度15000rpm)より、ωt=500Hz(15000÷60×2)であり、周波数決定方法(2)の数式(4)を満たしている。したがって、ωc1とωc2は同じびびり振動によるものと判断し、ωc1が実際のびびり振動の周波数ωとなる。また実際のびびり振動の振幅ピーク値P0は、数式(10)よりP0=P1+P2=10.7となる。
次に、びびり振動の周波数ωから固有振動数ωnを算出し(S5)、ω>ωnであるか否か判定する(S6)。判定がYES(ωn<ω)のときは、後述するようにびびり振動が自励びびり振動であると判断できるから、後述するS8で自励びびり振動の場合の無次元安定限界切込みを算出する。前記固有振動数ωnの算出は、下記の数式(2)に基づいて行われる。
数式(2)
但し、ζは減衰比、Nは切削工具3の刃数、Sは主軸回転数である。
本発明では2つの周波数(ωc1,ωc2)は同じびびり振動によるものと考えて実際のびびり振動の周波数をωc1=ωとして解析を行う。このため、上記ステップS6の判定がNO(ωn≧ω)のときはびびり振動が強制びびり振動であるから、S7で算出される強制びびり振動の場合の無次元安定限界切込みalimを下記数式(12)に基づいて算出する。算出後はS9へ移行する。
数式(12)
ステップS6の判定がYES(ωn<ω)のときはびびり振動が自励びびり振動であるから、S8で算出される自励びびり振動の場合の無次元安定限界切込みalimを下記数式(13)に基づいて算出する。算出後はS9へ移行する。
数式(13)
前記無次元安定限界切込みalimが正の値をとるには、数式(13)においてωn<ωである必要がある。この条件から再生びびり振動と強制びびり振動のS6の判定を行う。すなわち、S6で固有振動数ωn<ωであれば自励びびり振動と判定し、ωn≧ωであれば強制びびり振動と判定するのである。
算出した無次元安定限界切込みalimは図5(a)のようになる。無次元安定限界切込みが大きくなる主軸回転速度が周期的に表れるので、生産性を最大化するため無次元安定限界切込みが最も大きくなる主軸回転速度(最大値)を選択する(S9)。図5(a)は主軸回転速度17720rpmで無次元安定限界切込みが最大になっているので、NC装置10の主軸回転速度指令を17720rpmに変更する(S10)。
図3のFFT周波数解析の結果について、特許文献2の技術(特許文献2の請求項4、数式19、図8)で無次元安定限界切込みを算出する場合、それぞれのびびり振動の周波数(ωc1,ωc2)について無次元安定限界切込みを計算して重ね合わせる。このため、無次元安定限界切込みは図5(b)のようになる。
図5(b)では実際のびびり振動ではないωc2についても無次元安定限界切込みを重ね合わせる。このため、図5(a)で最大値1となる主軸回転速度17720rpmにおける無次元安定限界切込みが、図5(b)では最大値1より大幅に小さくなる(約0.28)。この結果、特許文献2の技術では生産性を最大化しつつびびり振動を適切に抑制できないことが分かる。
(周波数決定方法の検証)
次に、前述した周波数の決定方法(1)〜(4)の合理性について図6以降を参照して検証する。はじめに、再生びびりでは、図6のように、機械構造の振動が再生効果により切削力の変動に変換され、機械構造にフィードバックされる。「再生効果」とは、図7に示すように前回切削時に加工面に残された起伏を、その次の加工ではややずれて倣いながら削っていく現象である。
前回切削時のびびり跡と今回切削時のびびり振動が少しずれることで、図7のように切屑厚さ(切削厚さ)が変動する。切削力は切屑厚さ(切削厚さ)に比例するので、切刃が加工面に食込むときに切削力が小さくなり、反対に切刃が離れるときには切削力が大きくなることで振動が増大する。なお、図7でfは切削工具2に作用する切削力、xはびびり振動による切削工具2の変位量、mは切削工具2の質量、cは減衰係数、kはばね定数(剛性)[N/m]である。
旋削加工のように切刃が常に切削を行う加工方法では再生効果は連続している。しかし、エンドミル加工のような断続切削では図8のように切削する切刃の数は工具の回転にともない変化する(2枚→1枚→2枚…)。図8は、切刃の外周面を平面展開した切刃面(0〜πD)を被削材の接触面が順番に移動していく状態を示した図である。回転にともない切刃の数が2枚→1枚→2枚と変化することで再生効果の大きさも変化し、ひいてはびびり振動の大きさも変化する。
回転にともなう切刃の数の変化を図9で表す。同図でTは断続切削の周期、aは刃数(i+1)による切削の周期である。この切刃の数の変化(振動)は、周期1/ωtの偶関数として下記数式(14)のフーリエ級数で表すことができる。
数式(14)
びびり振動を周波数ωcの振動として下記数式(15)で表すと、観測されるびびり振動は、数式(14)と(15)を掛け合わせて数式(16)となる。
数式(15)
数式(16)
数式(16)から、びびり振動の周波数ωcのほかに、ωc±mωt(m=1,2,3、・・・)の振動が現われることが分かる。数式(16)において断続切削の周波数ωtがびびり振動の周波数ωcよりも大きい場合(ωc<ωt)、左側括弧内の周波数は負となり、振幅と周波数は図2のように観測される。したがって、ωc<ωtの場合には、数式(4)を満たすびびり振動の周波数ωc1,ωc2も、同じびびり振動によるものとして扱う。
(周波数決定方法(1)の数式3について)
再生効果を表した図10Aでは、加工面(前回の刃先の変位)を少し遅れて刃先の変位が倣うことで図10Bに示した切屑厚さの変動が生じる。この場合には、切屑厚さが十分にあるので切屑厚さに変動が生じても切刃は常に切削している。
しかし、図10Cのように切屑厚さが小さくなり(周期的に切屑厚さが0)、刃先が非切削部分で加工面から離れてしまう場合では、切屑厚さの変動は図10Dのようにパルス状となる。このような厚さ0を含む切屑厚さの変動についてびびり振動の影響を考えた場合、図10Eに示すように、再生効果による切屑厚さの変動(破線)と大きさ1の矩形波の積として考えることができるから、切屑厚さの変動は下記数式(17)で表すことができる。
数式(17)
この数式(17)の中間項は、びびり振動の正弦波cosωctと矩形波Σan・cosnωctを乗算したものに矩形波a0・cosωctを加算した形である。数式(17)より、びびり振動の周波数ωcのほかに、nωc(n=1,2,3,・・・)の振動が現われることが分かる。すなわち、例えば数式(17)でn=1とすると、右端の項がcos2ωctとなって図3のように2倍のところに波形が現れることが分かる。
(実際のびびり振動の周波数について)
図11A、図11Bは、切削する切刃の数が1枚→0枚→1枚と変化し、図9の切削周期比a/T(=aωt)=0.25、0.5となる場合について、びびり振動の振幅ピーク値が最大振幅ピーク値に対して閾値50%以上の、(A)周波数、(B)位相および(C)振幅ピーク値をプロットしたものである。
T:断続切削の周期、a:刃数(i+1)による切削周期、ωt:断続切削の周波数
また図11Cは、a/T=1.0の条件、すなわち切削する切刃の数が常に1枚の場合の(A)周波数、(B)位相および(C)振幅ピーク値をプロットしたものである。図11Cの(A)の周波数から明らかなように、旋削加工と同じように実際のびびり振動の周波数ωcのみが現われている。
図11A、図11Bの各(A)において、周波数ωcが実際のびびり振動の周波数であり、その上下に断続切削が原因となってωc±mωt(m=1、2)の周波数が現われている。各周波数の位相(B)は、周波数に依らず主軸回転速度に対して同じ値をとる。
各周波数の振幅ピーク値(C)は主軸回転速度により変化し、主軸回転速度13500〜17000rpmの範囲に着目すると、最大振幅ピーク値をとる周波数は主軸回転速度が増加するのにともないωc→ωc+ωt→ωc+2ωtと変化する。また、切削周期比a/Tが図11Aの0.25と図11Bの0.5では、最大振幅ピーク値を示す周波数も異なる。
したがって、振幅ピーク値の大きさを基準として実際のびびり振動の周波数を見分けることはできないため、図11A、図11Bの「周波数の分布」から実際のびびり振動の周波数を判断する必要がある。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば前記実施形態では、加工時に発生するびびり振動の周波数を検出する検出手段として、振動計5とマイクロフォン6を共に備えた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、振動計5またはマイクロフォン7のいずれ一方のみを備えたり、あるいは光学的にびびり振動の周波数を検出する検出器を備えたりしてもよい。
1:工作機械の主軸 2:切削工具(エンドミル)
3:工作物(被削材) 4:ヘッド
5:振動計 6:マイクロフォン
7:信号処理部 8:オペレータ
9:演算部 10:NC装置

Claims (4)

  1. 主軸に取り付けた回転工具による被削材の切削で発生するびびり振動を抑制する主軸回転数の制御装置であって、当該制御装置は、
    びびり振動の周波数ωcを検出する検出手段と、
    当該検出手段で複数のびびり振動の周波数ωc1,ωc2が検出されたとき、当該周波数ωc1,ωc2が、|nωc1±mωt|=ωc2、但しωtは断続切削の周波数であり、n=1,2,3,…であり、m=0,1,2,3,…の関係を満たすときは、同じびびり振動によるものと見做してびびり振動の周波数ω=ωc1と定め、前記びびり振動の周波数ω及び主軸回転数に基づいて、工作機械の主軸が回転している状態の固有振動数ωnを以下の数式(2)に基づいて、
    数式(2)
    推定するものであり、但し、ωはびびり振動の周波数、ζは減衰比、Nは切削工具の刃数、Sは主軸回転数である推定手段と、
    当該推定手段で推定した固有振動数を用いて無次元安定限界切込みを算出し、この無次元安定限界切込みが最大となるように主軸回転数を変更する主軸回転数制御手段と、
    を備えたことを特徴とする主軸回転数制御装置。
  2. 前記主軸回転数制御手段は、推定手段で推定した固有振動数ωnがびびり振動の周波数ωより小さいときには無次元安定限界切込みalimを下記の数式(13)に基づいて、
    数式(13)
    算出し、推定手段で推定した固有振動数ωnがびびり振動の周波数ωより大きいときには無次元安定限界切込みalimを下記の数式(12)に基づいて、
    数式(12)
    算出するものである請求項記載の工作機械の制御装置。
  3. 主軸に取り付けた回転工具による被削材の切削で発生するびびり振動を抑制する主軸回転数の制御方法であって、当該制御方法は、
    びびり振動の周波数ωcを検出手段で検出し、
    当該検出手段で複数のびびり振動の周波数ωc1,ωc2が検出されたとき、当該周波数ωc1,ωc2が、|nωc1±m1ωt|=ωc2、但しωtは断続切削の周波数であり、n=1,2,3,…であり、m=0,1,2,3,…の関係を満たすときは、同じびびり振動によるものと見做してびびり振動の周波数ω=ωc1と定め、前記びびり振動の周波数ω及び主軸回転数に基づいて、工作機械の主軸が回転している状態の固有振動数ωnを以下の数式(2)に基づいて、
    数式(2)
    推定し、但し、ωはびびり振動の周波数、ζは減衰比、Nは切削工具の刃数、Sは主軸回転数、
    当該推定した固有振動数を用いて無次元安定限界切込みを算出し、この無次元安定限界切込みが最大となるように主軸回転数を変更する
    ことを特徴とする主軸回転数制御方法。
  4. 推定した固有振動数ωnがびびり振動の周波数ωより小さいときには無次元安定限界切込みalimを下記の数式(13)に基づいて、
    数式(13)
    算出し、推定した固有振動数ωnがびびり振動の周波数ωより大きいときには無次元安定限界切込みalimを下記の数式(12)に基づいて、
    数式(12)
    算出するものである請求項3記載の工作機械の制御方法。
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