JP2021019566A - ゲル状組成物およびそれを含む食品 - Google Patents
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Description
本発明に係るゲル状組成物は、架橋ゼラチンと酵素とを含むゲル状組成物であって、上記架橋ゼラチンは、上記ゲル状組成物中のゼラチン濃度が5質量%以上30質量%以下であり、上記ゲル状組成物は、0.18MPaおよび120℃の条件下で20分間の加圧加熱処理を実行した場合、上記加圧加熱処理の前後において破断強度の変動比率が30%以内であり、かつ上記加圧加熱処理後の破断強度が9.5g以上630g以下である。
上記ゲル状組成物は、コラーゲンおよびコラーゲンペプチドの両方またはいずれか一方を含むことが好ましい。
上記ゲル状組成物は、歯ごたえのある弾力性を有することが好ましい。
本発明に係る食品は、上記ゲル状組成物を含む。
本実施形態に係るゲル状組成物は、架橋ゼラチンと酵素とを含むゲル状組成物である。上記ゲル状組成物は、具体的には水、架橋ゼラチンおよび酵素を含む。さらに上記ゲル状組成物は、後述するコラーゲン、コラーゲンペプチドおよび糖類のいずれかを含む場合がある。
本実施形態に係るゲル状組成物は、架橋ゼラチンを含む。本明細書において「架橋ゼラチン」とは、ゼラチンの分子内および分子間の両方、またはゼラチンの分子内および分子間のいずれか一方が後述する酵素によって架橋されたゼラチンを意味する。上記架橋ゼラチンの原料となるゼラチンは、牛、豚などの哺乳動物の骨または皮部分、サメ、ティラピアなどの魚類の骨、皮または鱗部分などのコラーゲンを含有する材料を、塩酸、硫酸などの無機酸もしくは石灰などの無機塩基を用いて処理することにより得ることができる。
本実施形態に係るゲル状組成物は、酵素を含む。上記ゲル状組成物が酵素を含む理由は、上述したように酵素を用いてゼラチンの分子内および分子間の両方、またはゼラチンの分子内および分子間のいずれか一方を架橋することによって架橋ゼラチンを得るからである。具体的には、上記酵素は、トランスグルタミナーゼ、リジルオキシダーゼ(「リシンオキシダーゼ」とも呼ばれる)などを用いることができる。トランスグルタミナーゼをゼラチンに作用させた場合、トランスグルタミナーゼは、ゼラチンの分子内あるいは分子間のグルタミン残基とリジン残基との間にイソペプチド結合を形成し、もってゼラチンを架橋することができる。リジルオキシダーゼをゼラチンに作用させた場合、リジルオキシダーゼは、ゼラチンのリジン残基内にアルデヒド基を形成する。これにより、上記アルデヒド基がゼラチン内のアミノ基と反応し、もってゼラチンを架橋することができる。さらに上記酵素としては、ポリフェノールオキシダーゼ(チロシナーゼ)、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼなどを用いることもできる。
本実施形態に係るゲル状組成物は、0.18MPaおよび120℃の条件下で20分間の加圧加熱処理を実行した場合、上記加圧加熱処理の前後において破断強度の変動比率が30%以内であり、かつ上記加圧加熱処理後の破断強度が9.5g以上630g以下である。換言すれば、上記ゲル状組成物は、レトルト殺菌と同等以上の加圧加熱処理を実行した場合であっても、上記加圧加熱処理の前後において破断強度の変動比率が30%以内に収まり、かつ上記加圧加熱処理後の破断強度が9.5g以上630g以下となる。これによりゲル状組成物は、ゼラチンを素材とするにもかかわらず、レトルト殺菌後も形状を維持可能な耐熱性を備えることができ、もって加熱調理をした場合に溶解によって型崩れすることがない。さらにレトルト殺菌後において喫食に適した硬さで提供されることにより、直ちに喫食することが可能となる。本明細書において「破断強度」は、ゲル状組成物の硬さを示す指標として用いられる。
試験速度:1.0mm/秒
ストローク変位:20mm
治具:直径1mmの円柱プランジャー
試験温度:25℃
表面検出(伸び原点):2.5g
試験サンプル形状:W30mm×D30mm×H5mm。
本実施形態に係るゲル状組成物は、嗜好性の観点から、コラーゲンおよびコラーゲンペプチドの両方またはいずれか一方を含むことが好ましい。
機器 :高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgel(登録商標)G2000SWXL
カラム温度:40℃
カラムサイズ:7.8mmI.D.×30cm、5μm
溶離液:45質量%アセトニトリル(0.1質量%トリフルオロ酢酸を含む)
流速 :1.0mL/min
注入量:10μL
検出 :UV214nm
分子量マーカー:以下の5種を使用
Cytochrom C Mw:12000
Aprotinin Mw:6500
Bacitracin Mw:1450
Gly−Gly−Tyr−Arg Mw:451
Gly−Gly−Gly Mw:189。
本実施形態に係るゲル状組成物は、糖類をさらに含むことが好ましい。これによりゲル状組成物に、所望の食感(歯ごたえ、弾力性、粘度、舌触り、喉ごしなど)、味(甘み、コクなど)を容易に付与することができる。これにより本発明の効果をより十分に奏することができ、かつ喫食の増進を図ることが可能となる。
本実施形態に係るゲル状組成物は、上述した架橋ゼラチン、酵素、コラーゲン、コラーゲンペプチドおよび糖類に加え、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で他の添加物を含むことができる。他の添加物としては、クエン酸などのpH調整剤、香料、着色料、甘味料、保存料、増粘剤、酸味料、調味料、乳化剤、栄養強化剤などを挙げることができる。
本実施形態に係るゲル状組成物は、食用であることが好ましい。上記ゲル状組成物は、上述のように喫食に適した硬さで提供されることにより、直ちに喫食可能となる。さらにレトルト殺菌後も形状を維持可能な耐熱性を備えるため、加熱調理をした場合に溶解することによって型崩れすることがない。換言すれば本発明は、レトルト殺菌後も形状を維持可能な耐熱性を備え、かつ直ちに喫食可能であるという属性に基づき、食用のゲル状組成物を提供することができる。
本実施形態に係るゲル状組成物は、歯ごたえのある弾力性を有することが好ましい。ゲル状組成物は、上述のように0.18MPaおよび120℃の条件下で20分間の加圧加熱処理を実行した場合、上記加圧加熱処理後の破断強度が9.5g以上630g以下となる。この場合においてゲル状組成物は、直ちに喫食可能となる喫食に適した硬さとして、歯ごたえのある弾力性を有することができる。本明細書において「歯ごたえのある弾力性」とは、後述する官能評価試験を実行した場合、「食感」についての官能評価試験において「良好な歯ごたえを有する」と評価されることを意味する。
本実施形態に係るゲル状組成物は、無味無臭であることが好ましい。上記ゲル状組成物は、上記架橋ゼラチンを上記ゲル状組成物中に5質量%以上30質量%以下含む。この場合においてゲル状組成物は、喫食に適した硬さに加え、ゼラチンが元来有する臭み、およびこの臭みに伴う風味を抑えることができ、もって無味無臭とすることができる。本明細書においてゲル状組成物が「無味無臭」であるか否かついても、後述する官能評価試験に準ずることにより評価することができる。本明細書において「無味無臭」であるとは、後述する官能評価試験を実行した場合、「味」についての官能評価試験において「ゼラチンの味を感じない」と評価され、かつ「におい」についての官能評価試験において「ゼラチンのにおいを感じない」と評価されることを意味する。
本実施形態に係る食品は、上記ゲル状組成物を含む。上記食品は、上記ゲル状組成物を含むことにより、喫食に適した硬さで提供されることにより直ちに喫食可能となり、かつレトルト殺菌後も形状を維持可能な耐熱性を備えることにより、加熱調理をした場合に溶解によって型崩れすることがない。さらに上記食品は、上記ゲル状組成物を含むことにより、歯ごたえのある弾力性を有することができ、無味無臭であることもできる。
本実施形態に係るゲル状組成物は、従来公知の原料であるゼラチンおよび酵素を用い、かつ上記ゼラチンの濃度、上記酵素の種別、上記酵素を反応させるpH、温度および時間、ならびに加圧加熱処理における温度、圧力および時間などを適宜調整することにより製造される。たとえば次の製造方法を用いることにより、本実施形態に係るゲル状組成物を得ることが好ましい。
第1工程は、原料となるゼラチンを準備する工程である。原料となるゼラチンについては、上述のように牛、豚などの哺乳動物の骨または皮部分、サメ、ティラピアなどの魚類の骨、皮または鱗部分などのコラーゲンを含有する材料を、塩酸、硫酸などの無機酸もしくは石灰などの無機塩基を用いて処理することにより準備することができる。このようなゼラチンとして、たとえば豚の皮部分から塩酸を用いて処理することにより得た市販の酸処理ゼラチン(商品名:「リーフゼラチンシルバー」、新田ゼラチン株式会社製)を用いることができる。
第2工程は、上記ゼラチンを水に溶解するとともにpH調整を行うことにより、pH調整済みゼラチン水溶液を得る工程である。具体的には第2工程では、まず上記酸処理ゼラチンを水に浸漬し、さらに50〜70℃で加熱することにより上記酸処理ゼラチンを溶解し、もってゼラチン水溶液を得る。さらに上記ゼラチン水溶液に対し、所定濃度(質量%)のクエン酸ナトリウム水溶液を適量添加することにより、上記ゼラチン水溶液をpH5〜8に調整する。これにより、pH調整済みゼラチン水溶液を得ることができる。このpH調整済みゼラチン水溶液においては、酸処理ゼラチンのゼラチン濃度が5〜30質量%程度となるように調製することが好ましい。
第3工程は、上記pH調整済みゼラチン水溶液に酵素を添加することによりゲル状組成物前駆溶液を得る工程である。第3工程では、具体的には酵素として、たとえばトランスグルタミナーゼ(商品名:「TG−S−NF」、味の素株式会社製)を用いることが好ましい。この場合、まずゲル状組成物に対して0.1〜2質量%(ゼラチン1gに対して1〜20U)濃度となる上記トランスグルタミナーゼを秤量し、これを適量の水に溶解することによりトランスグルタミナーゼ水溶液(以下、「TG溶液」とも記す)を準備する。このTG溶液を、上記pH調整済みゼラチン水溶液に添加し、撹拌することによりゲル状組成物前駆溶液を得る。
第4工程は、上記ゲル状組成物前駆溶液において上記酵素と上記ゼラチンとを反応させることにより、上記ゼラチンの分子内および分子間の両方、またはゼラチンの分子内および分子間のいずれか一方を架橋した架橋ゼラチンを含むゲル状組成物を得る工程である。第4工程では、上記ゲル状組成物前駆溶液を所定の耐熱耐圧容器に投入し、上記耐熱耐圧容器を密封した後、上記トランスグルタミナーゼと上記酸処理ゼラチンとをpH5〜8および40〜55℃の条件の下で30分〜24時間反応させる。これにより、ゼラチンの分子内および分子間の両方、またはゼラチンの分子内および分子間のいずれか一方を架橋した架橋ゼラチンを生成し、もって上記架橋ゼラチンを含むゲル状組成物を得ることができる。上記ゲル状組成物の破断強度は、上記耐熱耐圧容器の密封を解いた後、上記架橋ゼラチンを含むゲル状組成物に対して上述した測定方法を適用することにより、上記ゲル状組成物における加圧加熱処理前の破断強度として求めることができる。
第5工程は、上記ゲル状組成物に対し厚生労働省が定める容器包装詰加圧加熱殺菌食品の製造基準に則り加圧加熱処理を実行する工程である。換言すれば、第5工程は、上記ゲル状組成物に対しレトルト殺菌と同等以上の加圧加熱処理を実行する工程である。第5工程では、たとえば上記ゲル状組成物で満たされた耐熱耐圧容器を、レトルト殺菌機(商品名:「第一種圧力容器 RCS−40RTGN」、株式会社日阪製作所製)を用いて0.18MPaおよび120℃の条件下で20分間の加圧加熱処理を実行する。これにより上記ゲル状組成物の腐敗の進行を防止することができる。さらに上記加圧加熱処理により、酵素を失活させることができる。上記ゲル状組成物は、上記加圧加熱処理の実行後、室温で所定時間放置されることにより冷却される。次いで上記耐熱耐圧容器の密封を解いた後、上記ゲル状組成物に対して上述した破断強度の測定方法を適用することにより、上記ゲル状組成物における加圧加熱処理後の破断強度を求めることができる。
<ゲル状組成物の製造>
(試料1)
原料として市販の豚皮由来の酸処理ゼラチン(商品名:「リーフゼラチンシルバー」、新田ゼラチン株式会社製)を200g準備した(第1工程)。この酸処理ゼラチンを水に浸漬することにより1960gの総質量とするとともに、60℃で加熱することにより上記酸処理ゼラチンを溶解し、もってゼラチン水溶液を得た。さらに20質量%クエン酸ナトリウム水溶液を適量添加することにより、上記ゼラチン水溶液をpH6に調整した。これによりpH6に調整したpH調整済みゼラチン水溶液を得た(第2工程)。
試料Aとして、粉末状の牛骨由来のアルカリ処理ゼラチン(商品名:「SRC」、新田ゼラチン株式会社製)を原料として用いることにより、上記特許文献1に開示された製造方法に沿ってゲル状組成物を製造しようとした。すなわち上記ゼラチンを冷水で膨潤させた後、50℃で溶解してゼラチン水溶液とした。次いで5℃の水槽中に浮かべた底浅の箱形容器(以下、「バット」とも記す)に上記ゼラチン水溶液を注入することにより、厚みが5mmとなるゼラチンゲルを得た。このゼラチンゲルを長さ30mm×幅30mm×厚み5mmの直方体形状にカットし、次いでトランスグルタミナーゼ(商品名:「TG−S−NF」、味の素株式会社製)を5U/mL濃度としたTGを含む水溶液(TG浸漬液)に浸漬し、20℃で18時間保持することにより架橋反応を起こした。さらに上記ゼラチンゲルを30℃の大気雰囲気化で24時間乾燥させた。その後、80℃の温水で1時間浸漬したところ、上記ゼラチンゲルは取出し時に外側のゲル状部分が崩壊し、内部の液状部分が溶出した。このため試料Aとしてのゲル状組成物を製造することができなかった。その理由は、架橋反応がゼラチンゲルの内部まで進まず、80℃の加熱後において形状を維持する硬さを有することができなかったためであると推察された。すなわち上記特許文献1に開示された製造方法のように上記TG浸漬液にゼラチンゲルを浸漬する場合、本発明の効果を奏するゲル状組成物を製造することができないと結論づけることができる。
試料Bとして、粉末状の豚皮由来の酸処理ゼラチン(商品名:「APH−250」、新田ゼラチン株式会社製)を原料として用いることにより、上記特許文献2に開示された製造方法に沿ってゲル状組成物を製造した。すなわちゼラチンを冷水で膨潤させた後、50℃で溶解してゼラチン水溶液とした。次いで上記ゼラチン水溶液のpHを6に調整し、かつ0.25質量%(ゼラチン1gに対し1U)濃度のトランスグルタミナーゼを所定量添加した後、50℃で21分間撹拌することにより、架橋ゼラチン(水溶液)を得た。さらに上記架橋ゼラチン(水溶液)を10℃の水中に浮かべたバットに注入し、厚みが5mmとなるゲル状組成物を得、もって上記ゲル状組成物を長さ30mm×幅30mm×厚み5mmの直方体形状にカットした。次いで上記ゲル状組成物を乾燥させることにより乾燥品を得た。その後、上記乾燥品を水戻しし、試料Bのゲル状組成物を製造した。上記ゲル状組成物に対し、上述の測定方法を用いることにより加圧加熱処理前の破断強度を求めたところ、802.3gの値を得た。
試料1および試料Bのゲル状組成物をパネリスト4名が喫食することにより、「食感」、「味」および「におい」の3項目について官能評価試験を行った。「食感」については、「A:良好な歯ごたえを有する」、「B:歯ごたえはあるが満足の行くものではない」および「C:不良(かたすぎる、柔らかすぎる)」の選択肢を準備し、該当する評価(A〜C)をパネリストに選択させた。「味」については、「A:ゼラチンの味を感じない」、「B:ゼラチンの味をわずかに感じる」および「C:ゼラチンの味を強く感じる」の選択肢を準備し、該当する評価(A〜C)をパネリストに選択させた。「におい」については、「A:ゼラチンのにおいを感じない」、「B:ゼラチンのにおいをわずかに感じる」および「C:ゼラチンのにおいを強く感じる」の選択肢を準備し、該当する評価(A〜C)をパネリストに選択させた。
表1〜表3によれば、試料1のゲル状組成物は、試料Aおよび試料Bのゲル状組成物に比してレトルト殺菌をした場合に溶解によって型崩れすることがなく、かつ喫食に適した硬さで提供されることにより直ちに喫食可能であることが理解される。試料1のゲル状組成物は、ゲル状組成物中のゼラチン濃度が5〜30質量%の架橋ゼラチン、および失活した状態のトランスグルタミナーゼを含み、0.18MPaおよび120℃の条件下で20分間の加圧加熱処理を実行した場合、加圧加熱処理の前後において破断強度の変動比率が30%以内であり、かつ加圧加熱処理後の破断強度が9.5g以上630g以下である。
<ゲル状組成物の製造>
(試料11〜試料17)
ゲル状組成物中のゼラチン濃度が表4に示した質量%となるように上記酸処理ゼラチン(商品名:「リーフゼラチンシルバー」、新田ゼラチン株式会社製)を準備したこと以外、試料1と同じ製造方法を適用することにより、各試料のゲル状組成物を製造した。
さらに、試料11〜試料17のゲル状組成物に対し、実施例1と同じパネリスト4名によって実施例1と同じ項目を評価する官能評価試験を行った。結果を表6に示す。試料11〜試料17のゲル状組成物は、それぞれ長さ30mm×幅30mm×高さ5mmの直方体形状を有していた。表6に示された評価は、パネリスト4名において多数決により選択された評価である。
表4〜表6によれば、試料12〜試料17のゲル状組成物は、試料11のゲル状組成物に比してレトルト殺菌をした場合に溶解によって型崩れすることがなく、かつ喫食に適した硬さで提供されることにより直ちに喫食可能であることが理解される。試料12〜試料17はゲル状組成物中のゼラチン濃度が5〜30質量%の架橋ゼラチン、および失活したトランスグルタミナーゼを含み、0.18MPaおよび120℃の条件下で20分間の加圧加熱処理を実行した場合、加圧加熱処理の前後において破断強度の変動比率が30%以内であり、かつ加圧加熱処理後の破断強度が9.5g以上630g以下である。試料12〜試料15、なかでも試料13および試料14は、他の試料に比して「味」および「におい」においても良好な評価が得られたため、歯ごたえのある弾力性を有し、かつ無味無臭である好ましいゲル状組成物および食品として提供することができると考えられる。
<ゲル状組成物の製造>
(試料21〜試料27)
ゲル状組成物中のコラーゲン、コラーゲンペプチドまたは糖類の濃度、およびトランスグルタミナーゼの濃度が表7に示した質量%となるように、第3工程においてこれらを添加したこと以外、試料1と同じ製造方法を適用することにより、各試料のゲル状組成物を製造した。
さらに、試料21〜試料27のゲル状組成物に対し、実施例1と同じパネリスト4名によって実施例1と同じ項目を評価する官能評価試験を行った。結果を表9に示す。試料21〜試料27のゲル状組成物は、それぞれ長さ30mm×幅30mm×高さ5mmの直方体形状を有していた。表9に示された評価は、パネリスト4名において多数決により選択された評価である。
表7〜表9によれば、試料21〜試料27のゲル状組成物は、いずれもレトルト殺菌をした場合に溶解によって型崩れすることがなく、喫食に適した硬さで提供されることにより直ちに喫食可能であることが理解される。したがってゲル状組成物にコラーゲン、コラーゲンペプチドまたは糖類を添加した場合でも、歯ごたえのある弾力性を有し、かつ無味無臭であるゲル状組成物および食品として提供することができると考えられる。
Claims (7)
- 架橋ゼラチンと酵素とを含むゲル状組成物であって、
前記架橋ゼラチンは、前記ゲル状組成物中のゼラチン濃度が5質量%以上30質量%以下であり、
前記ゲル状組成物は、0.18MPaおよび120℃の条件下で20分間の加圧加熱処理を実行した場合、前記加圧加熱処理の前後において破断強度の変動比率が30%以内であり、かつ前記加圧加熱処理後の破断強度が9.5g以上630g以下である、ゲル状組成物。 - 前記酵素は、失活した状態のトランスグルタミナーゼである、請求項1に記載のゲル状組成物。
- 前記ゲル状組成物は、コラーゲンおよびコラーゲンペプチドの両方またはいずれか一方を含む、請求項1または請求項2に記載のゲル状組成物。
- 前記ゲル状組成物は、糖類をさらに含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のゲル状組成物。
- 前記ゲル状組成物は、歯ごたえのある弾力性を有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のゲル状組成物。
- 前記ゲル状組成物は、無味無臭である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のゲル状組成物。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のゲル状組成物を含む、食品。
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