JP2021019069A - 発電素子、及び発電素子の製造方法 - Google Patents

発電素子、及び発電素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発電効率の早期低下を抑制することができる発電素子及び発電素子の製造方法を提供する。【解決手段】フェムト秒パルスレーザーを用いて溶媒又は有機溶媒に分散されたナノ粒子141を生成する生成工程と、第1基板11に、第1電極部13aを形成する第1電極部形成工程と、第2基板12に、第2電極部13bを形成する第2電極部形成工程と、前記第1電極部13aと前記第2電極部13bとの間に前記溶媒又は前記有機溶媒を挟んだ状態で前記第1基板11と前記第2基板12とを接合する接合工程と、を備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子、及び発電素子の製造方法に関する。
近年、熱エネルギーを利用して電気エネルギーを生成する熱電素子等の発電素子の開発が盛んに行われている。熱発電は、例えば非特許文献1に示すように、発電素子の異なる電極間の仕事関数の差を利用して行われる技術が開示されている。即ち、異なる電極間にはナノ粒子が分散された溶媒が充填され、仕事関数の低い一方の電極から仕事関数の高い他方の電極側への電子の受け渡し(ホッピング導電)により電流が流れることとなる。
電極間にナノ粒子を分散させて、両電極間に電位差を生じさせることにより電気エネルギーを生じさせるものとしては、例えば特許文献1を挙げることができる。特許文献1の熱電素子は、エミッタ電極層と、コレクタ電極層と、前記エミッタ電極層及び前記コレクタ電極層の表面に分散して配置され、前記エミッタ電極層及び前記コレクタ電極層をサブミクロン間隔で離間する電気絶縁性の球状ナノビーズとを備え、前記エミッタ電極層の仕事関数は前記コレクタ電極層の仕事関数よりも小さく、前記球状ナノビーズの粒子径は100nm以下である。
特許第6147901号公報
ところで、発電素子には、十分な発電量だけではなく強度(耐久性)も要求される。耐久性に関しては、例えば10年以上の使用期間が確保されることが望ましい。しかしながら、発電素子製造時において、ナノ粒子を溶媒に分散した後、溶媒を電極間に挟む場合、ナノ粒子同士が凝集してしまい、ナノ粒子が壊れてしまうという懸念がある。このように、ナノ粒子が劣化すると、発電素子の発電効率が早期に低下する恐れがあった。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、発電効率の早期低下を抑制することができる発電素子、及び発電素子の製造方法を提供することにある。
第1発明に係る発電素子の製造方法は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子の製造方法であって、フェムト秒パルスレーザーを用いて溶媒又は有機溶媒に分散された金属ナノ粒子を生成する生成工程と、第1基板に、第1電極部を形成する第1電極部形成工程と、第2基板に、第2電極部を形成する第2電極部形成工程と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に前記溶媒又は前記有機溶媒を挟んだ状態で前記第1基板と前記第2基板とを接合する接合工程と、を備えることを特徴とする。
第2発明に係る発電素子の製造方法は、第1発明において、前記生成工程では、金属イオンが溶解した前記溶媒にフェムト秒パルスレーザーを照射して前記金属ナノ粒子を生成し、前記接合工程では、前記第1電極部と前記第2電極部との間に前記溶媒を挟んだ状態で前記第1基板と前記第2基板とを接合することを特徴とする。
第3発明に係る発電素子の製造方法は、第1発明において、前記生成工程では、金属イオンが溶解した前記溶媒にフェムト秒パルスレーザーを照射して前記金属ナノ粒子を生成し、前記生成工程の後に、前記有機溶媒と前記金属ナノ粒子を含む前記溶媒とを混合して撹拌する撹拌工程と、前記撹拌工程で前記有機溶媒側に移動した前記金属ナノ粒子を前記有機溶媒とともに採取する採取工程と、を備え、前記接合工程では、前記第1電極部と前記第2電極部との間に前記有機溶媒を挟んだ状態で前記第1基板と前記第2基板とを接合することを特徴とする。
第4発明に係る発電素子の製造方法は、第1発明〜第3発明の何れかにおいて、前記金属ナノ粒子は合金による金属ナノ粒子であることを特徴とする。
第5発明に係る発電素子は、第1発明〜第4発明の何れかにおける発電素子の製造方法により製造された発電素子であることを特徴とする。
第1発明〜第5発明によれば、生成工程では、フェムト秒パルスレーザーを用いて溶媒又は有機溶媒に分散された金属ナノ粒子を生成し、接合工程では、第1電極部と第2電極部との間に溶媒又は有機溶媒を挟んだ状態で、第1基板と第2基板とを接合する。即ち、溶媒又は有機溶媒に分散された金属ナノ粒子は、他の溶媒等に移動させることなく電極間に挟まれる。このため、第1電極部と第2電極部との間に挟まれた金属ナノ粒子同士の凝集を抑制することができる。これにより、発電効率の早期低下を抑制することができる。
特に、第2発明によれば、生成工程では、金属イオンが溶解した溶媒にフェムト秒パルスレーザーを照射して金属ナノ粒子を生成し、接合工程では、第1電極部と第2電極部との間に溶媒を挟んだ状態で、第1基板と第2基板とを接合する。このため、金属イオンの生成に用いた溶媒ごと第1電極部と第2電極部に挿入することができる。これにより発電素子の製造工程を簡略化することができる。
特に、第3発明によれば、生成工程では、金属イオンが溶解した溶媒にフェムト秒パルスレーザーを照射して金属ナノ粒子を生成し、生成工程の後に、撹拌工程と、採取工程と、を実施し、接合工程では、第1電極部と第2電極部との間に有機溶媒を挟んだ状態で第1基板と第2基板とを接合する。撹拌工程及び採取工程によって金属ナノ粒子における粒径の幅を狭めることができ、第1電極部と第2電極部の間に粒子径の揃った有機溶媒が挿入される。これにより発電素子の発電効率を高めることができる。
特に、第4発明によれば、金属ナノ粒子は合金による金属ナノ粒子である。このため、金属単体粒子では得られない合金特有の性質を有する。これにより、金属単体粒子の場合よりもより発電素子の発電効率を高めることができる。
特に、第5発明によれば、発電素子は第1発明から第4発明の発電素子の製造方法により製造される。このため、発電効率の早期低下を抑制することができる発電素子を得ることができる。
図1(a)は、第1実施形態における発電装置及び発電素子の一例を示す模式断面図であり、図1(b)は、基板の一例を模式断面図であり、図1(c)は、図1(a)の1C−1Cに沿った模式平面図であり、図1(d)は、図1(a)の1D−1Dに沿った模式平面図である。 図2は中間部の一例を示す模式断面図である。 図3は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一部であるナノ粒子を生成する方法の一例を示すフローチャートである。 図4は、第1実施形態におけるナノ粒子の生成工程の一例を示す図である。 図5(a)は、生成工程により生成されたナノ粒子を観察した図であり、図5(b)は、図5(a)に示したナノ粒子のヒストグラムである。 図6(a)〜図6(d)は、第1実施形態における1回目の撹拌工程の一例を示す図である。 図7(a)は、1回目の撹拌工程後のナノ粒子を観察した図であり、図7(b)は、図7(a)に示したナノ粒子のヒストグラムである。 図8(a)〜図8(d)は、第1実施形態における2回目の撹拌工程の他の例を示す図である。 図9は、分散剤の炭素鎖の長さと、撹拌工程後におけるナノ粒子の平均粒径との関係の一例を示すグラフである。 図10(a)〜(e)は、それぞれ炭素鎖長の異なる分散剤を用いた撹拌工程後におけるナノ粒子の一例を示すヒストグラムであり、図10(f)は、撹拌工程前における金属ナノ粒子の一例を示すヒストグラムである。 図11(a)及び図11(b)は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図12(a)〜図12(d)は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一例を示す模式断面図である。 図13は、接合工程の一例を示す模式断面図である。 図14(a)及び図14(b)は、中間部形成工程の一例を示す模式図である。 図15(a)及び図15(b)は、第1実施形態における発電素子の製造方法の他の例を示す模式断面図である。 図16(a)及び図16(b)は、基板の変形例を示す模式図である。 図17(a)は、第1実施形態における発電素子の製造方法の変形例を示すフローチャートであり、図17(b)〜図17(d)は、第1実施形態における発電素子の製造方法の変形例を示す模式図である。 図18(a)は、第2実施形態における発電装置及び発電素子の一例を示す模式断面図であり、図18(b)は、基板の一例を示す模式断面図であり、図18(c)は、図18(a)の18C−18Cに沿った模式平面図であり、図18(d)は、図18(a)の18D−18Dに沿った模式平面図である。 図19は、第2実施形態における発電装置及び発電素子の他の例を示す模式断面図である。 図20は、第2実施形態における発電装置及び発電素子のさらに他の例を示す模式断面図である。 図21は、第1実施形態における発電装置及び発電素子の他の例を示す模式断面図である。 図22(a)〜図22(d)は、発電素子を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図であり、図22(e)〜図22(h)は、発電素子を含む発電装置を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図である。
(第1実施形態:発電装置100、発電素子1)
<発電装置100>
図1は、第1実施形態における発電装置100、及び発電素子1の一例を示す模式図である。図1(a)は、第1実施形態における発電装置100、及び発電素子1の一例を示す模式断面図であり、図1(b)は、基板10の一例を示す模式断面図であり、図1(c)は、図1(a)の1C−1Cに沿った模式平面図であり、図1(d)は、図1(a)の1D−1Dに沿った模式平面図である。
図1に示すように、発電装置100は、発電素子1と、端子101と、配線102とを含む。発電素子1は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。このような発電素子1を備えた発電装置100は、例えば、図示せぬ熱源に搭載又は設置され、熱源の熱エネルギーを元として、発電素子1が発生させた電気エネルギーを、端子101及び配線102を介して負荷Rへ出力する。
配線102は、負荷Rの一端と電気的に接続される第1配線102aと、負荷Rの他端と電気的に接続される第2配線102bとを有する。負荷Rは、例えば電気的な機器を示し、例えば発電素子1を主電源又は補助電源に用いて駆動させることができる。
発電素子1の熱源としては、例えばCPU(Central Processing Unit)等の電子デバイス又は電子部品、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、自動車等のエンジン、及び工場の生産設備、人体、太陽光、及び環境温度等を利用することができる。例えば、電子デバイス、電子部品、発光素子、エンジン、及び生産設備等は人工熱源である。人体、太陽光、及び環境温度等は自然熱源である。発電素子1を備えた発電装置100は、例えばIoT(Internet of Things)デバイス、ウェアラブル機器、自立型センサ端末等の電子機器の内部に設けることができ、電池の代替又は補助として用いることができる。また、発電素子1の発電原理を利用して、温度センサ等に利用することもできる。さらに、発電装置100は、太陽光発電等のような、より大型の発電装置への応用も可能である。
<発電素子1>
発電素子1は、例えば、上記人工熱源が発した熱エネルギー、又は上記自然熱源が持つ熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、電流を生成する。発電素子1は、発電装置100内に設けるほか、発電素子1自体を、上記モバイル機器や上記自立型センサ端末等の電子機器の内部に設けることもできる。この場合、発電素子1自体が、上記電子機器に対する電池の代替部品又は補助部品とすることもできる。
発電素子1は、第1筐体部1Aと、第2筐体部1Bと、中間部14とを備える。発電素子1は、例えば接続配線15を備えてもよい。
第1筐体部1Aは、第1基板11と、第1電極部13aとを有する。第2筐体部1Bは、第2基板12と、第2電極部13bとを有する。各筐体部1A、1Bは、各電極部13a、13bを離間した状態で、互いに接合される。
第1基板11は、第1方向Zと交わる第1主面11sを有する。第2基板12は、第1主面11sと第1方向Zに対向し、第1方向Zと交わる第2主面12sを有する。
第1電極部13aは、第1主面11s上に設けられる。本実施形態における第1電極部13aは、第2基板12と離間する。第2電極部13bは、第2主面12s上に設けられる。第2電極部13bは、第1電極部13aと離間して対向する。第2電極部13bは、第1電極部13aとは異なる仕事関数を有する。本実施形態における第2電極部13bは、第1基板11と離間する。
中間部14は、第1電極部13aと第2電極部13bとの間に設けられる。中間部14は、例えば図2に示すナノ粒子141を含み、例えばナノ粒子141が分散された溶媒142を含んでもよい。
接続配線15は、例えば第1接続配線15aと、第2接続配線15bとを有する。第1接続配線15aは、第1基板11を第1方向Zに貫通する。第1接続配線15aの一端は、第1電極部13aと接し、他端は第1端子101aと接する。第2接続配線15bは、第2基板12を第1方向Zに貫通する。第2接続配線15bの一端は、第2電極部13bと接し、他端は第2端子101bと接する。なお、接続配線15は、例えば基板10の側面から引き出されてもよい。
発電素子1は、ギャップ部14aを含む。ギャップ部14aは、第1基板11及び第2基板12によって囲まれた部分を示し、外部から隔離された空間を含む。ギャップ部14aには、第1電極部13a、第2電極部13b、及び中間部14が設けられる。なお、発電素子1の内部側とは、ギャップ部14aを含む部分を示し、発電素子1の外部側とは、ギャップ部14aから離間した部分を示す。
発電素子1は、例えば図21に示すように、上記構成を積層した構造を備えてもよい。即ち、第1筐体部1A及び第2筐体部1Bは、第1方向Zに複数積層され、中間部14は、各筐体部1A、1Bの間に複数設けられる。この場合、各電極部13a、13bは、例えば接続配線15cを介して直列接続されるほか、例えば並列接続されてもよい。発電装置100は、積層構造の発電素子1を備えてもよい。
以下、第1実施形態における発電素子1及び発電装置100の構成を、さらに詳細に説明する。
<<第1基板11、第2基板12>>
第1基板11の第1主面11sは、例えば図1(b)、及び図1(c)に示すように、第1離間面11saと、第1接合面11sbとを有する。第1離間面11saは、第1電極部13aと接し、第2基板12と離間する。第1接合面11sbは、第1電極部13a及び第1離間面11saを囲む。第1接合面11sbは、第1電極部13aと離間する。
第2基板12の第2主面12sは、例えば図1(b)、及び図1(d)に示すように、第2離間面12saと、第2接合面12sbとを有する。第2離間面12saは、第2電極部13bと接し、第1基板11と離間する。第2接合面12sbは、第2電極部13b及び第2離間面12saを囲み、第1接合面11sbと接する。第2接合面12sbは、第2電極部13bと離間する。
例えば図1(c)に示す第1方向Zから見て、第1基板11は、四角形に形成されるほか、例えば切り欠き部を有する多角形や、円形等に形成されてもよい。第1離間面11saは、第1電極部13aと重なり、第1電極部13aの外周を囲む位置まで設けられる。第1接合面11sbは、第1離間面11saの外周に設けられる。
例えば図1(d)に示す第1方向Zから見て、第2基板12は、四角形に形成されるほか、例えば切り欠き部を有する多角形や、円形状に形成されてもよい。第2離間面12saは、第2電極部13bと重なり、第2電極部13bの外周を囲む位置まで設けられる。第2接合面12sbは、第2離間面12saの外周に設けられる。
各筐体部1A、1Bは、各接合面11sb、12sbで接合され、例えば図1(c)及び図1(d)の破線で示された範囲で接合される。即ち、第1方向Zから見て、中間部14は、第1接合面11sb及び第2接合面12sbによって囲まれる。このため、各電極部13a、13bが設けられた各主面11s、12sにおける各接合面11sb、12sbにより、中間部14を囲む閉空間(ギャップ部14a)を容易に形成することができる。
また、本実施形態では、第1方向Zから見て、第1接合面11sbと第2接合面12sbとの接する部分は、第1離間面11sa及び第2離間面12saを囲む。このため、各接合面11sb、12sbの接する部分が途切れずに一体に形成された状態で、中間部14を囲む閉空間を形成することができる。また、各接合面11sb、12sbの接する部分によって各電極部13a、13bを完全に囲むことができる。
上述した各基板11、12が、各離間面11sa、12sa及び各接合面11sb、12sbを有することで、各電極部13a、13bの間に電極間ギャップが形成される。即ち、電極間ギャップは、第2基板12を支える支持部等を設けることなく形成できる。このため、電極間ギャップのバラつきを抑制することができる。
第1接合面11sbは、第1離間面11saと連続して設けられる。また、第2接合面12sbは、第2離間面12saと連続して設けられる。このため、例えば各接合面11sb、12sbの一部分に外力が作用した場合、各基板11、12全体に力を分散させ易くすることができる。これにより、発電素子1の早期劣化を抑制することが可能となる。
特に、第1主面11s及び第2主面12sの少なくとも何れかは、例えば図1(b)に示すように、湾曲状に形成することができる。このため、例えば主面上に支持部等を設ける場合に比べて、突起部等のような局所的に応力が集中する部分が形成されない。また、フレキシブルなフィルム状の材料が各基板11、12として用いられ、湾曲状に形成される場合、各基板11、12の接合を容易に実現することが可能となる。
第1方向Zに沿って、各基板11、12の厚さは、例えば10μm以上1mm以下である。例えば図1(b)に示すように、第1方向Zに沿って、第1離間面11saを起点とした第1基板11の厚さT1aは、第1接合面11sbを起点とした第1基板11の厚さT1bと等しい。また、第1方向Zに沿って、第2離間面12saを起点とした第2基板12の厚さT2aは、第2接合面12sbを起点とした第2基板12の厚さT2bと等しい。このため、各基板11、12の少なくとも何れかの一部を除去する等の処理が行われず、各基板11、12の局所的な耐力の低減を抑制することができる。また、各基板11、12の少なくとも何れかの一部を除去する処理や、新たな構成を各基板11、12上に積層する処理等を実施する必要がなく、製造工程の削減を図ることが可能となる。
例えば第2方向X又は第3方向Yに沿って、各基板11、12の幅は、1mm〜500mm程度であり、用途に応じて任意に設定することができる。
各基板11、12の材料としては、絶縁性を有する板状の材料を選ぶことができる。絶縁性の材料の例としては、シリコン、石英、パイレックス(登録商標)等のガラス、及び絶縁性樹脂等を挙げることができる。
各基板11、12は、薄板状であるほか、例えばフレキシブルなフィルム状でもよい。例えば、各基板11、12を、フレキシブルなフィルム状とする場合には、例えば薄板ガラス、PET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等のポリマーを材料としたフィルムを用いることができる。
第1基板11と第2基板12との間(発電素子1の内部側)には、第1電極部13a、第2電極部13b、及び中間部14が内包される。このため、第1基板11及び第2基板12を備えることで、第1電極部13a、第2電極部13b、及び中間部14のそれぞれの、外力や環境変化に伴った劣化や変形を抑制することもできる。したがって、発電素子1の耐久性を高めることが可能である。
<<第1電極部13a、第2電極部13b>>
第1電極部13a及び第2電極部13bは、各離間面11sa、12saの間に設けられる。例えば図1(a)に示す第1方向Zに沿って、第1電極部13aの表面の位置は、例えば第1離間面11saと、第1接合面11sbとの間の位置に設けられる。第1方向Zに沿って、第2電極部13bの表面の位置は、例えば第2離間面12saと、第2接合面12sbとの間の位置に設けられる。
第1電極部13aは、例えば図1(c)に示す第1方向Zから見て、四角形に形成されるほか、例えば切り欠き部を有する多角形や、円形等に形成されてもよい。第1方向Zから見て、第1電極部13aは、第1離間面11sa及び第1接合面11sbに囲まれる。
第2電極部13bは、例えば図1(d)に示す第1方向Zから見て、四角形に形成されるほか、例えば切り欠き部を有する多角形や、円形等に形成されてもよい。第1方向Zから見て、第2電極部13bは、第2離間面12sa及び第2接合面12sbに囲まれる。
第1電極部13aの側面及び第2電極部13bの側面は、例えば図1(a)に示すように、中間部14と接する。このため、各電極部13a、13bの対向する面に加え、各電極部13a、13bの側面を介して電子eの移動を実現させることができる。
第1電極部13aは、例えば第1主面11sに比べて、中間部14の有する溶媒142に対する濡れ性が高い。即ち、溶媒142は、第1電極部13a上に広がり易く、第1主面11sの外周側(接合面11sb)に広がり難い。このため、溶媒142に分散されたナノ粒子141を、各電極部13a、13bの間に保ち易くすることができる。なお、第2電極部13bは、例えば第2主面12sに比べて、溶媒142に対する濡れ性が高くてもよい。各電極部13a、13bとして、例えば各主面11s、12sに比べて濡れ性の高い材料が用いられるほか、濡れ性が高くなるように各電極部13a、13bの表面処理が実施されてもよい。また、各主面11s、12sの濡れ性が低くなるように、各基板11、12の表面処理が実施されてもよい。
第1電極部13aは、例えば白金(仕事関数:約5.65eV)を含み、第2電極部13bは、例えばタングステン(仕事関数:約4.55eV)を含む。仕事関数が大きい電極部はアノード(コレクタ電極)として機能し、仕事関数が小さい電極部はカソード(エミッタ電極)として機能する。第1実施形態に係る発電素子1では、第1電極部13aがアノードであり、第2電極部13bがカソードとして説明する。なお、第1電極部13aをカソードとし、第2電極部13bをアノードとしてもよい。
発電素子1では、仕事関数差を有する第1電極部13aと第2電極部13bとの間に発生する、絶対温度による電子放出現象が利用できる。このため、発電素子1は、第1電極部13aと第2電極部13bとの温度差が小さい場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換できる。さらに、発電素子1は、第1電極部13aと第2電極部13bとの間に温度差がない場合、又は単一の熱源を用いる場合であっても、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
第1方向Zに沿って、各電極部13a、13bの厚さは、例えば10nm以上10μm以下であり、例えば10nm以上1μm以下が好ましい。なお、例えば各電極部13a、13bの厚さを10nm以上100nm以下とした場合、上述した各主面11s、12sを湾曲状に保ち易くなる。
例えば第2方向X又は第3方向Yに沿って、各電極部13a、13bの幅は、100μm〜500mm程度であり、用途に応じて任意に設定することができる。特に、各基板11、12の幅に比べて、各電極部13a、13bの幅を1/10以下とした場合、上述した各主面11s、12sを湾曲状に保ち易くなる。
第1電極部13aと第2電極部13bとの間の第1方向Zに沿った距離(電極間ギャップ)は、例えば、1μm以下の有限値である。より好ましくは、10nm以上100nm以下である。電極間ギャップを10nm以上100nm以下とすることで、電気エネルギーの発生量の増加を図ることが可能となる。なお、例えば電極間ギャップを10nm未満とした場合、ナノ粒子141が均等に分散された状態を維持できなくなる懸念が挙げられる。
各電極部13a、13bの第1方向Zに沿った厚さ、及び電極間ギャップを、上記範囲内に設定することにより、例えば、発電素子1の第1方向Zに沿った厚さを薄くできる。これは、例えば複数の発電素子1を、図22に示したような第1方向Zに沿って積層させる場合に有効である。また、各電極部13a、13bの平面バラつきを抑えることができ、電気エネルギーの発生量の安定性を向上させることができる。上記に加え、電極間ギャップを、上記範囲内に設定することにより、電子eを効率良く放出させることが可能になるとともに、電子eを第2電極部13b(カソード)から第1電極部13a(アノード)へ、効率よく移動させることも可能となる。
第1電極部13aの材料、及び第2電極部13bの材料は、例えば、以下に示す金属から選ぶことができる。
白金(Pt)
タングステン(W)
アルミニウム(Al)
チタン(Ti)
ニオブ(Nb)
モリブデン(Mo)
タンタル(Ta)
レニウム(Re)
発電素子1では、第1電極部13aと第2電極部13bとの間に仕事関数差が生じればよい。したがって、各電極部13a、13bの材料には、上記以外の金属を選ぶことが可能である。各電極部13a、13bの材料として、金属のほか、合金、金属間化合物、及び金属化合物を選ぶことも可能である。金属化合物は、金属元素と非金属元素とが化合したものである。このような金属化合物の例としては、例えば六ホウ化ランタン(LaB6)を挙げることができる。
各電極部13a、13bの材料として、非金属導電物を選ぶことも可能である。非金属導電物の例としては、シリコン(Si:例えばp型Si、あるいはn型Si)、及びグラフェン等のカーボン系材料等を挙げることができる。
なお、各電極部13a、13bの構造は、上記材料を含む単層構造の他、上記材料を含む積層構造とされてもよい。
<<中間部14>>
中間部14は、例えば図2に示すように、第2電極部13b(カソード)から放出された電子eを、第1電極部13a(アノード)へと移動させる部分である。図2は、中間部14の一例を示す模式断面図である。図2に示すように、中間部14は、例えば複数のナノ粒子141と、溶媒142とを含む。複数のナノ粒子141は、溶媒142内に分散される。中間部14は、例えば、ナノ粒子141が分散された溶媒142を、ギャップ部14a内に充填することで得られる。なお、以下の説明では、ナノ粒子141は、一例として金属ナノ粒子であることとして説明する。
ナノ粒子141は、例えば導電物を含む。ナノ粒子141の仕事関数の値は、例えば、第1電極部13aの仕事関数の値と、第2電極部13bの仕事関数の値との間にある。例えば、複数のナノ粒子141は、3.0eV以上5.5eV以下の範囲内の仕事関数を含む。これにより、第1電極部13aと第2電極部13bとの間に放出された電子eを、ナノ粒子141を介して、例えば、第2電極部13b(カソード)から第1電極部13a(アノード)へと移動させることができる。これにより、中間部14内にナノ粒子141がない場合に比較して、電気エネルギーの発生量を増加させることが可能となる。
ナノ粒子141の材料の例としては、金及び銀の少なくとも1つを選ぶことができる。なお、中間部14は、第1電極部13aの仕事関数と、第2電極部13bの仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子141を少なくとも一部含んでいればよい。したがって、ナノ粒子141の材料には、金及び銀以外の導電性材料を選ぶことも可能である。
ナノ粒子141の粒子径は、例えば2nm以上10nm以下である。また、ナノ粒子141は、例えば、平均粒径(例えばD50)3nm以上8nm以下の粒子径を有してもよい。平均粒径は、例えば粒度分布計測器を用いることで、測定することができる。粒度分布計測器としては、例えば、レーザー光散乱法を用いた粒度分布計測器(例えばMicrotracBEL製Nanotrac WaveII-EX150等)を用いればよい。
ナノ粒子141は、その表面に、例えば絶縁膜141aを有する。絶縁膜141aの材料の例としては、絶縁性金属化合物及び絶縁性有機化合物の少なくとも1つを選ぶことができる。絶縁性金属化合物の例としては、例えば、シリコン酸化物及びアルミナ等を挙げることができる。絶縁性有機化合物の例としては、アルカンチオール(例えばドデカンチオール)等を挙げることができる。絶縁膜141aの厚さは、例えば20nm以下の有限値である。このような絶縁膜141aをナノ粒子141の表面に設けておくと、電子eは、例えば、第2電極部13b(カソード)とナノ粒子141との間、及びナノ粒子141と第1電極部13a(アノード)との間を、トンネル効果を利用して移動できる。このため、例えば、発電素子1の発電効率の向上が期待できる。このとき、例えば図2の矢印に示すように、ナノ粒子141の移動を利用して、電子eの移動が促されてもよい。
溶媒142には、例えば、沸点が60℃以上の液体を用いることができる。このため、室温(例えば15℃〜35℃)以上の環境下において、発電素子1を用いた場合であっても、溶媒142の気化を抑制することができる。これにより、溶媒142の気化に伴う発電素子1の劣化を抑制することができる。液体の例としては、有機溶媒及び水の少なくとも1つを選ぶことができる。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、テトラデカン、及びアルカンチオール等を挙げることができる。溶媒142は、電気的抵抗値が高く、絶縁性である液体がよい。
<<第1接続配線15a、第2接続配線15b>>
各接続配線15a、15bとして、導電性を有する材料が用いられ、例えば金が用いられる。各接続配線15a、15bは、各基板11、12の何れかの内部のみに設けられるほか、例えば各基板11、12の何れかの内部からギャップ部14a内に延在してもよい。この場合、各接続配線15a、15bは、ギャップ部14a内で各電極部13a、13bの何れかと接する。これにより、各接続配線15a、15bと、各電極部13a、13bとの接続箇所の面積を大きくすることができ、接続箇所の接触抵抗を低減させることが可能となる。なお、各接続配線15a、15bは、例えば複数設けられてもよい。
<<第1配線102a、第2配線102b>>
第1配線102aは、第1端子101a及び第1接続配線15aを介して、第1電極部13aと電気的に接続される。第2配線102bは、第2端子101b及び第2接続配線15bを介して、第2電極部13bと電気的に接続される。
各配線102a、102bには、導電性を有する材料が用いられ、例えばニッケル、銅、銀、金、タングステン、及びチタン等の材料が用いられる。各配線102a、102bの構造は、発電素子1において生成された電流を負荷Rへ供給できる構造であれば、任意に設計することができる。
<発電素子1の動作>
熱エネルギーが発電素子1に与えられると、例えば、第2電極部13b(カソード)から中間部14に向けて電子eが放出される。放出された電子eは、中間部14から第1電極部13a(アノード)へと移動する(図2参照)。この場合電流は、第1電極部13aから第2電極部13bに向かって流れる。このようにして、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される。
放出される電子eの量は、熱エネルギーに依存するほか、第1電極部13a(アノード)の仕事関数と、第2電極部13b(カソード)の仕事関数との差に依存する。また、放出される電子eの量は、第2電極部13bの仕事関数が小さい材料ほど、増加する傾向がある。
移動する電子eの量は、例えば、第1電極部13aと第2電極部13bとの仕事関数差を大きくすること、又は電極間ギャップを小さくすることで増やすことができる。例えば、発電素子1が発生させる電気エネルギーの量は、上記仕事関数差を大きくすること、及び上記電極間ギャップを小さくすること、の少なくとも何れか1つを考慮することで増加させることができる。
(第1実施形態:発電素子1の製造方法)
次に、発電素子1の製造方法の一例について説明する。発電素子1では、中間部14として、ナノ粒子141を分散させた溶媒142が用いられる。そこで、先ず、このナノ粒子141を分散させた溶媒142の製造方法について説明する。ナノ粒子141を分散させた溶媒142の製造方法は、例えば図3に示すように、生成工程S10を備え、例えば撹拌工程S20と、採取工程S30とを備えてもよい。なお、本実施形態では、撹拌工程S20を複数回行ってもよい。相関移動の詳しい説明は後述する。
<生成工程S10>
生成工程S10は、例えば図4に示すように、金属イオンが溶解した溶媒201にフェムト秒パルスレーザー203を照射して金属ナノ粒子(ナノ粒子141)を生成する。溶媒201(142)は、金属イオンが溶解した金属溶媒であり、筐体202に入れられている。
筐体202は、例えば石英キュベットである。溶媒201として、例えば水が用いられる。金属イオンとしては、金、白金、銀等の単体であってもよく、2種類以上の金属イオンが用いられてもよい。例えば、金イオンと白金イオンとを1対1で溶解した溶媒201を用いる場合、金と白金との比率が1対1で構成された合金の金属ナノ粒子を生成することができる。
フェムト秒パルスレーザー203は、図示しない光源から照射されるレーザービームであり、集光レンズ204により集光されて、溶媒201に照射される。フェムト秒パルスレーザー203は、非常に短い時間幅(例えば10-15秒)を有するパルスレーザーである。フェムト秒パルスレーザー203が溶媒201に照射されると、溶媒201中の水分子が分解されてラジカルが生成され、生成されたラジカル(例えば水素ラジカル)により金属イオンが還元されることにより、金属ナノ粒子(ナノ粒子141)が生成される。このように、溶媒201にフェムト秒パルスレーザー203を照射することにより、複数のナノ粒子141が生成される。
フェムト秒パルスレーザー203は、例えばSpectra Physics社製のSpitfire Proを光源として生成することができ、例えば下記の特性を有するものである。
発振波長:800nm
パルス幅:100fs
エネルギー:5-6mJ、
繰り返し周波数:100Hz(出力0.5−0.6W)
このような特性のレーザーを、NA0.5でフォーカシングして30分照射したものである。
生成工程S10により生成されたナノ粒子141の一例として、溶媒201にフェムト秒パルスレーザー203を照射することにより得られたナノ粒子141を図5(a)に示す。図5(a)は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)によりナノ粒子141を拡大して観察した図である。
図5(a)に示した複数のナノ粒子141に対するヒストグラムを図5(b)に示す。図5(b)に示すように、複数のナノ粒子141の粒子径の平均値dは4.7nmであり、標準偏差SDは1.8nmであった。また、変動係数CVは0.37であった。なお、ナノ粒子141の粒子径の平均値d、標準偏差SD、及び変動係数CVは、それぞれImageJを用いて抽出したナノ粒子141の粒子径に基づき算出した。
<撹拌工程S20>
撹拌工程S20は、有機溶媒206(142)と金属ナノ粒子(ナノ粒子141)を含む溶媒201とを混合して撹拌する。撹拌工程S20では、まず図6(a)に示すように、混合容器211内に、生成工程S10で生成されたナノ粒子141(図6では141f、141s、141t)を含む溶媒201が供給される。ナノ粒子141は、例えばナノ粒子141全数に対し、相対的に粒子径の大きなナノ粒子141tと、粒子径の小さなナノ粒子141fと、中間サイズのナノ粒子141sとを含む。
次いで、図6(b)に示すように、混合容器211内に、有機溶媒206を供給し、溶媒201と、有機溶媒206とを混合する。この時点では、例えばナノ粒子141を含む溶媒201の層の上に有機溶媒206の層が分離してもよい。
なお、有機溶媒206としては、例えば、トルエン等を挙げることができる。また、有機溶媒206には、ナノ粒子141の分散性を高めるために、表面修飾剤(分散剤)が含まれる。分散剤として、例えばアルカンチオール(例えばヘキサンチオール)が用いられる。分散剤の濃度は、例えば1.0×10-5mol/dm3であり、任意に設定してもよい。
次いで、図6(c)に示すように、有機溶媒206とナノ粒子141を含む溶媒201とを撹拌する。この撹拌は、例えば混合容器211全体に一定時間振動を与える(例えば、容器自体を回転させる等により撹拌する)ことにより行う。この撹拌の過程で、少なくとも一部のナノ粒子141の表面に対して分散剤が被膜する。なお、有機溶媒206と溶媒201の撹拌は、撹拌棒を使用して両溶媒を撹拌するほか、例えば撹拌子を用いてもよく、遠心分離機等を用いてもよい。ここでの撹拌時間は、例えば5分とすることで、ナノ粒子141の表面に分散剤が被膜し易くなる。また、撹拌時間を長くし過ぎると、粒子同士の物理的接触に起因して粒成長が起こる場合がある。このため、撹拌時間は、5分以上10分以下の範囲内であることが望ましい。
図6(d)は、有機溶媒206と溶媒201との混合及び撹拌後に5分程度静置した結果、一部のナノ粒子141が有機溶媒206側に移動した状態の図を示している。図に示すように、粒子径の小さなナノ粒子141fが溶媒201層側から有機溶媒206層側に移動(相間移動)し、残りのナノ粒子141s及びナノ粒子141tは溶媒201側に残っている。この理由として、ナノ粒子141fには分散剤が被膜し、ナノ粒子141s及びナノ粒子141tには分散剤が被膜しないため、ナノ粒子141fのみが溶媒201層から有機溶媒206層側に移動する。このように、撹拌工程S20は、分散剤が被膜したナノ粒子141と分散剤が被膜していないナノ粒子141とを分離する工程を含む。撹拌工程S20では、生成工程S10で生成された金属ナノ粒子を、分散剤が被膜するか否かの2種類のナノ粒子(例えばナノ粒子141fと、ナノ粒子141s、141t)に分けることができる。上記に加え、粒子径の小さいナノ粒子141fに対して優先的に分散剤を被膜させることができるため、撹拌工程S20を通じてナノ粒子141の粒度分布を狭くすることもできる。これらより、撹拌工程S20を行って製造されたナノ粒子141は、用途に応じて適した品質を図ることができる。
例えば、分散剤の炭素鎖長を制御することで、相間移動の対象となるナノ粒子141の粒子径を制御することができる。例えば粒子径の小さなナノ粒子141fを有機溶媒206側に移動させるためには、有機溶媒206中に含まれる分散剤の鎖長を短いものとすればよい。有機溶媒206中に分散剤を含ませることで、ナノ粒子141fを被膜する修飾膜(絶縁膜141a)が形成される。撹拌工程S20で用いられる分散剤としては、上記ヘキサンチオール、ドデカンチオールの他、オクタンチオール、デカンチオール等を用いることもできる。
例えば、1回目の撹拌工程S20を経て、有機溶媒側に相間移動したナノ粒子141fを図7(a)に示す。図7(a)は、透過型電子顕微鏡(TEM)によりナノ粒子141fを拡大して観察した図である。
図7に示したナノ粒子141fに対するヒストグラムを図7(b)に示す。図7(b)に示すように、複数のナノ粒子141fの粒子径の平均値dは3.8nmであり、標準偏差SDは0.8nmであった。また、変動係数CVは0.21であった。
図7(a)、(b)に示すように、1回目の撹拌工程S20後のナノ粒子141fは図5(a)に示した生成工程S10直後のナノ粒子141と比較して、粒子径の平均値dが0.9nm小さく、標準偏差SDが1.0nm小さく、変動係数CVが0.16小さい。即ち、全体的に粒子径が小さく、粒子径の分布のばらつきの範囲も小さくなっている。このため、撹拌工程S20を実施することで、特定のサイズのナノ粒子141(ナノ粒子141f)のみ取得することが可能となる。
このように、撹拌工程S20を経た場合、撹拌工程S20を実施しない場合と比較して、粒子径の大きさが揃ったナノ粒子141を得ることができる。即ち、中間部14に含まれるナノ粒子141としては、撹拌工程S20を実施することで、例えばより電極間ギャップの狭小化に応じたナノ粒子141を取得することができる。
次いで、例えば2回目の撹拌工程S20(相間移動)を行ってもよい。図8(a)に示すように、1回目の撹拌工程S20の後における溶媒201には、中間サイズのナノ粒子141s及び粒子径の大きなナノ粒子141tが含まれる。次いで、図8(b)に示すように、混合容器211内に、分散剤が含まれる有機溶媒207を供給し、溶媒201と有機溶媒207を混合する。即ち図に示すように、溶媒201の層の上に、新たな有機溶媒207の層が形成される。分散剤として、例えば1回目の撹拌工程S20において用いた分散剤に比べて、鎖長の長いアルカンチオール(例えばドデカンチオール)が用いられる。
次いで、図8(c)に示すように、1回目の撹拌工程S20と同様に有機溶媒207とナノ粒子141を含む溶媒201とを撹拌する。この結果、図8(d)に示すように、中間サイズのナノ粒子141sが有機溶媒207側に移動し、粒子径の大きなナノ粒子141tが溶媒201側に残る。
なお、撹拌工程S20の際に、有機溶媒中に含まれる分散剤の鎖長を変えることにより、1回目の撹拌工程S20により粒子径の小さなナノ粒子141f、及び中間サイズのナノ粒子141sを有機溶媒側に移動させた後、2回目の撹拌工程S20において、有機溶媒側に移動したナノ粒子141f、142sに対し、中間サイズのナノ粒子141sのみを有機溶媒側に移動させてもよい。また、アルカンチオールの種類、即ち鎖長を変えて相間移動の回数を増加させれば、それだけ有機溶媒中から取得できるナノ粒子141の粒子径を細かく揃えることができる。
なお、図6(a)から図6(d)あるいは図8(a)から図8(d)の工程で示すように、撹拌工程S20は、ナノ粒子141が溶媒層(201)側から有機溶媒層側(206又は207)に移動する工程、ナノ粒子141の表面に被膜が形成される工程、分散剤が被膜したナノ粒子141と分散剤が被膜していないナノ粒子141とを分離する工程を含むものである。
上記各撹拌工程で溶媒と混合されて使用される分散剤の炭素鎖の長さと、撹拌工程S20後に有機溶媒206へ移動したナノ粒子141sの平均粒径との関係の一例を図9に示す。図9に示すように、分散剤の炭素鎖の長さを横軸(X軸)に、撹拌工程S20後に有機溶媒206へ移動したナノ粒子141sの平均粒径を縦軸(Y軸)とした場合、炭素鎖の長さが増加するにつれて、平均粒径が大きくなることを、発明者は見出した。例えば、分散剤の炭素鎖の長さをX、撹拌工程S20後に有機溶媒へ移動したナノ粒子141sの平均粒径をYとした場合、ナノ粒子141sの平均粒径Yと分散剤の炭素鎖の長さXとの間には、下式(1)の関係が成り立つ。
Y=0.240X+2.060 ・・・(1)
例えば上述した各分散剤の炭素鎖の長さを制御することで、溶媒142内に分散されることとなるナノ粒子141の粒子径を制御することができる。例えば粒子径の小さなナノ粒子141を、上述した各有機溶媒側に移動させるためには、溶媒中に含まれる分散剤の炭素鎖の長さを短いものとすればよい。なお、分散剤としては、上述のようにアルカンチオールのほか、例えばアルキル基を備える材料を挙げることができる。このように、溶媒中に分散剤を含ませることで、ナノ粒子141を被膜する修飾膜(絶縁膜)が形成される。
例えば、炭素鎖の長さを変えて使用される分散剤と撹拌工程S20後のナノ粒子141sの一例を図10(a)〜(e)に示す。なお、図10(a)〜(e)における撹拌工程S20、及び撹拌工程S10の前におけるナノ粒子141の一例を図10(f)に示す。なお、図10(a)〜(e)に示した分散剤の炭素鎖の長さ(炭素鎖数)と、ナノ粒子141sの平均値dとの関係をそれぞれプロットすることで、図9に示したグラフ及び式(1)を得ることができる。また、使用する分散剤の濃度は6.25×10-3mol/dm3であり、合金の金と白金との比率は1:3(濃度:2.5×10-4mol/dm3)であるが、任意に設定してもよい。
炭素数が4の1−ブタンチオール(C410S)により被膜したナノ粒子141sに対するヒストグラムを図10(a)に示す。図10(a)に示すように、ナノ粒子141sの粒子径の平均値dは3.1nmであり、標準偏差SDは0.7nmであった。また、変動係数CVは0.23であった。
炭素数が6の1−ヘキサンチオール(C614S)により被膜したナノ粒子141sに対するヒストグラムを図10(b)に示す。図10(b)に示すように、複数のナノ粒子141sの粒子径の平均値dは3.4nmであり、標準偏差SDは0.7nmであった。また、変動係数CVは0.19であった。
炭素数が8の1−オクタンチオール(C818S)により被膜したナノ粒子141sに対するヒストグラムを図10(c)に示す。図10(c)に示すように、ナノ粒子141sの粒子径の平均値dは4.0nmであり、標準偏差SDは0.7nmであった。また、変動係数CVは0.17であった。
炭素数が10の1−デカンチオール(C1022S)により被膜したナノ粒子141sに対するヒストグラムを図10(d)に示す。図10(d)に示すように、ナノ粒子141sの粒子径の平均値dは4.4nmであり、標準偏差SDは1.0nmであった。また、変動係数CVは0.22であった。
炭素数が12の1−ドデカンチオール(C1226S)により被膜したナノ粒子141sに対するヒストグラムを図10(e)に示す。図10(e)に示すようにナノ粒子141sの粒子径の平均値dは5.0nmであり、標準偏差SDは0.9nmであった。また、変動係数CVは0.18であった。
<採取工程S30>
採取工程S30は、撹拌工程S20で有機溶媒側に移動した金属ナノ粒子(ナノ粒子141)を有機溶媒(溶媒142)とともに採取する。即ち、撹拌工程S20を経た後に、ナノ粒子141が含まれる有機溶媒206又は有機溶媒207を、中間部14を構成するナノ粒子141及び溶媒142として用いることができる。これにより、ナノ粒子141のみを採取して中間部14に供給する場合と比較して、容易に中間部14を形成することができる。なお、ナノ粒子141は、金属単体である他、合金による金属ナノ粒子であってもよい。
なお、採取工程S30の後、先の採取工程S30で採取されなかった金属ナノ粒子を含む溶媒を採取する工程と、金属ナノ粒子を含む溶媒と、先に使用された分散剤と炭素鎖の異なる他の分散剤を含む他の溶媒とを混合して撹拌し、金属ナノ粒子の一部に対し、他の分散剤を被膜させた他のナノ粒子を形成する撹拌工程と、分散剤が被膜した他のナノ粒子を他の溶媒に含ませ、溶媒に含まれる金属ナノ粒子と、分散剤が被膜した他のナノ粒子とを分離する分離工程とを有してもよい。
図11は、第1実施形態における発電素子1の製造方法の一例を示すフローチャートである。図12は、第1実施形態における発電素子1の製造方法の一例を示す模式断面図である。
発電素子1の製造方法は、例えば図11(a)に示すように、第1筐体部形成工程S110と、第2筐体部形成工程S120と、中間部形成工程S130と、接合工程S140とを備える。
<第1筐体部形成工程S110(第1電極部形成工程)>
第1筐体部形成工程S110は、例えば図11(a)に示すように、第1基板11の第1主面11s上に、第1電極部13aを形成する。これにより、第1筐体部1Aが形成される。第1電極部13aは、例えば図1(c)に示すように、第1方向Zから見て、四角形に形成され、例えば第1主面11s上に複数形成されてもよい。
<第2筐体部形成工程S120(第2電極部形成工程)>
第2筐体部形成工程S120は、例えば図12(b)に示すように、第2基板12の第2主面12s上に、第2電極部13bを形成する。これにより、第2筐体部1Bが形成される。第2電極部13bは、例えば第1電極部13aと同様に、第1方向Zから見て、四角形に形成される。
なお、第1筐体部形成工程S110と、第2筐体部形成工程S120とを実施する順番は、任意である。第1筐体部形成工程S110及び第2筐体部形成工程S120では、例えばスクリーン印刷法を用いて各電極部13a、13bを形成するほか、例えばスパッタリング法、蒸着法、インクジェット法、及びスプレイ塗布法等を用いて、各電極部13a、13bを形成してもよい。例えば、第1電極部13aとして白金が用いられ、第2電極部13bとしてアルミニウムが用いられるほか、それぞれ上述した材料が用いられてもよい。
なお、各筐体部形成工程S110、S120では、例えば各電極部13a、13bの少なくとも何れかにおける表面に対してプラズマ処理等を実施することで、溶媒142に対する濡れ性を高めてもよい。この表面処理は、例えば各電極部13a、13bの濡れ性が、各主面11s、12sの濡れ性よりも高くなるように実施される。これにより、後述する中間部形成工程S130において、各電極部13a、13b上に中間部14を形成し易くすることができる。
<中間部形成工程S130>
中間部形成工程S130は、例えば図12(c)に示すように、第1電極部13a上に、中間部14を形成する。中間部14は、上述した生成工程S10等により生成される。このとき、例えば第1電極部13a上から第1主面11s上まで中間部14を一体に形成してもよい。なお、中間部形成工程S130は、例えば第2電極部13b上に中間部14を形成してもよい。
このとき、例えば第1電極部13aは、第1主面11sに比べて、中間部14の有する溶媒142に対する濡れ性が高い場合、溶媒142は、第1電極部13a上に広がり易い一方、第1主面11sの外周側に広がり難い。このため、中間部14が第1主面11sから流れ出し難く、特に、後述する接合工程S140において接合される接合面11sb上に、中間部14を形成しないようにすることもできる。なお、例えば第2電極部13bが、第2主面12sに比べて、溶媒142に対する濡れ性が高くてもよい。
中間部形成工程S130では、例えばスクリーン印刷法を用いて中間部14を形成するほか、例えばインクジェット法やスプレイ塗布法を用いて中間部14を形成してもよい。なお、中間部14として、例えば予めナノ粒子141を分散させた溶媒142が用いられる。
<接合工程S140>
接合工程S140は、例えば図12(d)に示すように、第1電極部13aと、第2電極部13bとを第1方向Zに離間させた状態で、第1筐体部1Aの有する第1基板11と、第2筐体部1Bの有する第2基板12とを接合する。更に、第1電極部13aと第2電極部13bとの間に、中間部14(相間移動前の溶媒又は相間移動後の有機溶媒)を挟んだ状態で、第1基板11と第2基板12を接合する。このとき、第1接合面11sb及び第2接合面12sbは、互いに接合し、第1離間面11sa及び第2離間面12saは、互いに離間する。
接合工程S140では、例えば直接接合法を用いて、各基板11、12を接合する。接合工程S140は、各基板11、12を接合する部分(各接合面11sb、12sbに対応する表面)に対し、例えばプラズマ処理を用いた表面クリーニングを行う。その後、例えば図13に示すように、中間部14を介して第1基板11上に配置された第2基板12に対して均一に力を加える。その後、各接合面11sb、12sbに対応する表面を直接接合することで、例えば図12(d)に示した構造を得ることができる。なお、例えば第2基板12に対して力を加える際、各基板11、12の間を対象に減圧を行うことで、ギャップ部14a内から空気等を排除でき、ギャップ部14a内を中間部14で満たし易くすることができる。また、ギャップ部14aから空気等を排除することで、空気等に起因する発電素子1の劣化を抑制することができる。
なお、電極間ギャップは、中間部14の膜厚に依存するため、中間部14を形成する膜厚を調整することで、電極間ギャップの大きさを制御することが可能となる。
例えば図11(b)に示すように、接合工程S140を実施したあと、中間部形成工程S130を実施してもよい。この場合、例えば図14(a)に示すように、接合工程S140において、各電極部13a、13bを挟むように各主面11s、12sを一方向(図14(b)では第3方向Y)に接合する。これにより、各接合面11sb、12sbの間には、第3方向Yに開口するスペース14sが形成される。
その後、中間部形成工程S130では、スペース14sを介して、各電極部13a、13b上に中間部14を形成する。中間部14は、例えば毛細管現象(毛細管力)によって、各電極部13a、13bの間、及び各離間面11sa、12saの間に充填される。
その後、各電極部13a、13bを囲むように各主面11s、12sを他の方向(図14(b)では第2方向Xに沿った一対の破線部分)を接合することで、例えば図12(d)に示した構造を得ることができる。
上述した各工程S10〜S30及びS110〜S140を実施することで、第1実施形態における発電素子1が形成される。
なお、生成工程S10の前に、水溶液を充填する容器をピラニア溶液により洗浄する洗浄工程を備えてもよい。ピラニア溶液により洗浄することで、ナノ粒子製造時に不純物、例えばナトリウムの成分の混入を抑制することができ、容器内の有機物をほぼ除去することができる。また、生成工程S10の前に、金属イオンを相間移動させる相間移動工程を備えてもよい。これにより、相間移動された金属イオンを含む有機溶媒(例えばn-hexane)に対して、レーザー照射を行うことで、ナノ粒子を作製することができる。さらに、採取工程S30の後に、ジメチルポリシロキサンにより金属ナノ粒子が分離される分離工程を備えてもよい。
なお、上述した第1筐体部形成工程S110では、例えば第1基板11を貫通し、第1電極部13aと接する第1接続配線15aを形成してもよい。また、上述した第2筐体部形成工程S120では、例えば第2基板12を貫通し、第2電極部13bと接する第2接続配線15bを形成してもよい。この場合、発電素子1が形成されたあと、接続配線15に端子101及び配線102を接続し、負荷Rを取り付けることで、発電装置100を形成することができる。
なお、例えば図15(a)に示すように、第1筐体部形成工程S110では、1つの第1基板11上に、複数の第1電極部13aを形成してもよい。また、第2筐体部形成工程S120では、1つの第2基板12上に、複数の第2電極部13bを形成してもよい。
この場合、例えば各筐体部形成工程S110、S120を実施したあと、1つの電極部13a、13b毎に各基板11、12を分割するほか、例えば図15(b)に示すように、接合工程S140等を実施したあと、一対の電極部13a、13b毎に各基板11、12を分割してもよい。これにより、発電素子1の製造時における1つ当たりに費やす時間を短縮することが可能となる。また、ロール・トゥ・ロール等の連続生産プロセスへの対応も可能となり、製造時における1つ当たりに費やす時間をさらに短縮することも可能となる。
本実施形態によれば、発電素子の製造方法はフェムト秒パルスレーザー203を用いて溶媒又は有機溶媒206、207に分散された金属ナノ粒子を生成する生成工程S10と、第1基板11に、第1電極部13aを形成する第1電極部形成工程S110と、第2基板12に、第2電極部13bを形成する第2電極部形成工程S120と、第1電極部13aと第2電極部13bとの間に溶媒又は有機溶媒206、207を挟んだ状態で第1基板11と第2基板12とを接合する接合工程S140とを備える。即ち、溶媒又は有機溶媒206、207に分散された金属ナノ粒子は、他の溶媒等に移動させることなく電極間に挟まれる。このため、第1電極部と第2電極部との間に挟まれた金属ナノ粒子同士の凝集を抑制することができる。これにより、発電効率の早期低下を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、生成工程S10では、金属イオンが溶解した溶媒にフェムト秒パルスレーザー203を照射して金属ナノ粒子を生成し、接合工程S140では、第1電極部13aと第2電極部13bとの間に溶媒を挟んだ状態で第1基板11と第2基板12とを接合する。このため、金属イオンの生成に用いた溶媒ごと第1電極部13aと第2電極部13bに挿入することができる。これにより発電素子の製造工程を簡略化することができる。
また、本実施形態によれば、生成工程S10では、金属イオンが溶解した溶媒にフェムト秒パルスレーザー203を照射して金属ナノ粒子を生成し、生成工程S10の後に、有機溶媒206、207と金属ナノ粒子を含む溶媒とを混合して撹拌する撹拌工程S20と、撹拌工程S20で有機溶媒206、207側に移動した金属ナノ粒子を有機溶媒206、207とともに採取する採取工程S30と、を備え、接合工程S140では、第1電極部13aと第2電極部13bとの間に有機溶媒206、207を挟んだ状態で第1基板11と第2基板12とを接合する。このため、撹拌工程S20及び採取工程S30によって金属ナノ粒子における粒径の幅を狭めることができ、第1電極部13aと第2電極部13bの間に粒子径の揃った有機溶媒206、207が挿入される。これにより発電素子の発電効率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、金属ナノ粒子は合金による金属ナノ粒子である。このため、金属単体粒子では得られない合金特有の性質を有する。これにより、金属単体粒子の場合よりもより発電素子の発電効率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、発電素子は第1発明から第4発明の発電素子の製造方法により製造される。このため、発電効率の早期低下を抑制することができる発電素子を得ることができる。
本実施形態によれば、例えば第1主面11sは、第1電極部13aと接し、第2筐体部1Bと離間する第1離間面11saと、第1離間面11saと連続して設けられ、第1電極部13aと離間し、第2筐体部1Bと接する第1接合面11sbとを有する。第2主面12sは、第2電極部13bと接し、第1筐体部1Aと離間する第2離間面12saと、第2離間面12saと連続して設けられ、第2電極部13bと離間し、第1筐体部1Aと接する第2接合面12sbとを有する。即ち、各電極部13a、13bが設けられた各主面11s、12sにおける接合により形成できる中間部14が介在することで、電極間ギャップが形成される。このため、支持部材等を別途設ける必要が無く、電極間ギャップのバラつきを抑制することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を実現することが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば第1方向Zから見て、中間部14は、第1接合面11sb及び第2接合面12sbによって囲まれる。このため、各電極部13a、13bが設けられた各主面11s、12sにおける接合面11sb、12sbにより、中間部14を囲む閉空間(ギャップ部14a)を形成することができる。これにより、基板10(第1基板11、第2基板12)上に他の構成を形成することなく、発電可能な構造を設けることが可能となる。また、基板10上に他の構成を形成することなく、中間部14の漏れ出し等を抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば第1方向Zから見て、第1接合面11sbと第2接合面12sbとの接する部分は、第1離間面11sa及び第2離間面12saを囲む。このため、各接合面11sb、12sbの接する部分が途切れずに一体に形成された状態で、中間部14を囲む閉空間(ギャップ部14a)を形成することができる。これにより、中間部14の漏れ出し等を容易に抑制することが可能となる。また、各接合面11sb、12sbの接する部分によって各電極部13a、13bを完全に囲むことができる。これにより、各電極部13a、13bが外部に露出せず、劣化を抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば第1接続配線15aは、第1基板11を貫通し、第1電極部13aと接する。第2接続配線15bは、第2基板12を貫通し、第2電極部13bと接する。このため、各電極部13a、13bと各接続配線15a、15bとの接続箇所を、基板11、12内(ギャップ部14a)に収めることができる。これにより、接続箇所の劣化を抑制することが可能となる。また、各接続配線15a、15bが外部に晒される箇所を最小限に抑えることができる。これにより、発電素子1の劣化を抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば第1方向Zに沿って、第1離間面11saを起点とした第1基板11の厚さT1aは、第1接合面11sbを起点とした第1基板11の厚さT1bと等しい。また、第1方向Zに沿って、第2離間面12saを起点とした第2基板12の厚さT2aは、第2接合面12sbを起点とした第2基板12の厚さT2bと等しい。このため、各基板11、12の一部を除去する等の処理が行われず、各基板11、12の局所的な耐力の低減を抑制することができる。これにより、各基板11、12の劣化を抑制することが可能となる。また、各基板11、12の一部を除去する処理や、新たな構成を基板10上に積層する処理等を実施する必要がなく、製造工程の削減を図ることが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば第1電極部13aの側面、及び第2電極部13bの側面は、中間部14と接する。このため、各電極部13a、13bの対向する面に加えて、各電極部13a、13bの側面を介して電子eを移動させることができる。これにより、電気エネルギーの発生量を増加させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば第1主面11s及び第2主面12sの少なくとも何れかは、湾曲状に形成される。このため、突起部等のような局所的に応力が集中する部分が形成されない。これにより、外部からの衝撃に伴う破損を抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば第1電極部13aは、第1主面11sに比べて、中間部14に対する濡れ性が高い。このため、中間部14に含まれる溶媒142に分散されたナノ粒子141を、各電極部13a、13bの間に保ち易くすることができる。これにより、経時に伴う電気エネルギーの発生量の減少を抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば接合工程S140は、第1電極部13aと、第2電極部13bとを第1方向Zに離間させた状態で、第1筐体部1Aと、第2筐体部1Bとを接合する。このとき、第1主面11sは、第1電極部13aと接し、第2筐体部1Bと離間する第1離間面11saと、第1離間面11saと連続して設けられ、第1電極部13aと離間し、第2筐体部1Bと接する第1接合面11sbとを有する。第2主面12sは、第2電極部13bと接し、第1筐体部1Aと離間する第2離間面12saと、第2離間面12saと連続して設けられ、第2電極部13bと離間し、第1筐体部1Aと接する第2接合面12sbとを有する。即ち、各電極部13a、13bが設けられた各主面11s、12sにおける接合により形成できる中間部14が介在することで、電極間ギャップが形成される。このため、支持部材等を別途設ける必要が無く、電極間ギャップのバラつきを抑制することができる。これにより、電気エネルギーの発生量の安定化を実現することが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば第1方向Zから見て、中間部14は、第1接合面11sb及び第2接合面12sbによって囲まれる。このため、各電極部13a、13bが設けられた各主面11s、12sにおける接合面11sb、12sbにより、中間部14を囲む閉空間を形成することができる。これにより、基板10上に他の構成を形成することなく、発電可能な構造を設けることが可能となる。また、基板10上に他の構成を形成することなく、中間部14の漏れ出し等を抑制することが可能となる。
また、本実施形態によれば、例えば接合工程S140は、第1基板11と、第2基板12との間を減圧した状態で実施する。このため、電極間ギャップが形成されるギャップ部14a内から空気等を排除でき、ギャップ部14a内を中間部で満たし易くすることができる。これにより、製造工程の容易化を図ることが可能となる。
(第1実施形態:基板10の変形例)
次に、第1実施形態における基板10の変形例について説明する。図16は、第1実施形態における基板10の変形例を示す模式図である。図16(a)は、第1実施形態における基板10の変形例を示す模式断面図であり、図16(b)は、第1実施形態における基板10の変形例を含む発電素子1の模式平面図である。図16(b)は、図1(c)の模式平面図に対応する。
上述した実施形態と、変形例との違いは、第1離間面11saが、接触面11satと、第1面11safと、第2面11sasとを有する点である。なお、上述した構成と同様の構成については、説明を省略する。
図16に示すように、接触面11satは、第1電極部13aと接する。例えば第1方向Zから見て、接触面11satは、第1主面11sのうち第1電極部13aと完全に重なる部分を示す。第1面11safは、接触面11satと連続して設けられ、接触面11satよりも外側に設けられる。第1面11safは、接触面11satと、第2面11sasとの間に設けられ、例えば接触面11satを囲む。第2面11sasは、第1面safと連続して設けられ、第1面safよりも外側に設けられる。第2面11sasは、第1面11safと、接合面11sbとの間に設けられ、例えば第1面safを囲む。
第1面11safは、第2面11sasに比べて、溶媒142に対する濡れ性が高い。このため、溶媒142は、第2面11sas上に比べて第1面11saf上に広がり易く、各接合面11sb、12sbから溶媒142の染み出しを抑制することができる。
第1面11saf及び第2面11sasにおける濡れ性の差は、例えばプラズマ処理法を用いて、第1面11saf及び第2面11sasの少なくとも何れかの表面エネルギーを変化させることにより実現できる。第1面11saf及び第2面11sasの少なくとも何れかには、例えばナノインプリント法によりモスアイ構造が形成されてもよい。
なお、例えば図16(a)に示すように、第2離間面12saが、上述した第1離間面11saと同様に、接触面12satと、第1面12safと、第2面12sasとを有してもよい。この場合においても、各接合面11sb、12sbから溶媒142の染み出しを抑制することができる。
特に、各離間面11sa、12saが、接触面11sat、12sat、第1面11saf、12saf、及び第2面11sas、12sasを有した上で、各電極部13a、13bが、第1面11saf、12safに比べて、溶媒142に対する濡れ性を高くすることで、溶媒142を安定して各電極部13a、13bの間に保持することができる。
(第1実施形態:発電素子1の製造方法の変形例)
次に、発電素子1の製造方法の変形例について説明する。図17(a)は、第1実施形態における発電素子1の製造方法の変形例を示すフローチャートであり、図17(b)〜図17(d)は、第1実施形態における発電素子1の製造方法の変形例を示す模式図である。
上述した実施形態と、変形例との違いは、表面処理工程S150をさらに備える点である。なお、上述した構成と同様の工程については、説明を省略する。
<表面処理工程S150>
表面処理工程S150は、中間部形成工程S130及び接合工程S140の前に、第1電極部13aの周囲に位置する第1主面11sに対し、表面処理を行う。表面処理工程S150では、例えば図17(b)及び図17(c)に示すように、表面処理を行った第1面11safと、表面処理を行っていない第2面11sasとが形成される。このとき、第1面11safが、第2面11sasに比べて、溶媒142に対する濡れ性が高くなるように、表面処理が行われる。なお、例えば第2面11sasの濡れ性が低くなるように、第2面11sasに表面処理を行ってもよい。
表面処理工程S150では、例えばプラズマ処理法を用いて、第1主面11sに対して表面処理を行う。なお、表面処理工程S150では、例えば第1主面11sと同様に、第2主面12sに対して表面処理を行ってもよい。
その後、上述した各工程S130、S140が実施され、第1実施形態における発電素子1が形成される。表面処理工程S150を実施することで、例えば図17(d)に示すように、中間部形成工程S130において、第2面11sas側に中間部14が広がり難い状態を保つことができ、中間部14を第1電極部13a上に維持し易くすることができる。なお、表面処理工程S150は、例えば各筐体部形成工程S110、S120の前に実施してもよい。
変形例によれば、第1面11saf、12safは、第2面11sas、12sasに比べて、中間部14(溶媒142)に対する濡れ性が高い。このため、各接合面11sb、12sbから溶媒142の染み出しを抑制することができる。これにより、経時に伴う溶媒142の量の減少を抑制することが可能となる。
また、変形例によれば、表面処理工程S150は、第1電極部13aの周囲に位置する第1主面11sに対し、表面処理を行う。このため、中間部形成工程S130を実施する際、中間部14を第1電極部13a上に維持し易くすることができる。これにより、中間部14を容易に形成することが可能となる。
(第2実施形態:発電装置100、発電素子1)
次に、第2実施形態における発電装置100、及び発電素子1について説明する。図18(a)は、第2実施形態における発電装置100、及び発電素子1の一例を示す模式断面図であり、図18(b)は、基板10の一例を示す模式断面図であり、図18(c)は、図18(a)の16C−16Cに沿った模式平面図であり、図18(d)は、図18(a)の16D−16Dに沿った模式平面図である。
上述した実施形態と、第2実施形態との違いは、基板10と、電極部13とが接合される点である。なお、上述した構成と同様の構成については、説明を省略する。
例えば図18に示すように、第1電極部13aの一部、及び第2電極部13bの一部は、第1基板11と第2基板12との間に挟まれる。この場合においても、各筐体部1A、1Bは、互いに接合される。
第1接合面11sbは、例えば図18(b)及び図18(c)に示すように、第1基板接合面11sbsと、第1電極接合面11sbmとを有する。第1基板接合面11sbsは、第2接合面12sbと接する。第1電極接合面11sbmは、第2電極部13bと接する。
第2接合面12sbは、例えば図18(b)及び図18(d)に示すように、第2基板接合面12sbsと、第2電極接合面12sbmとを有する。第2基板接合面12sbsは、第1基板接合面11sbsと接する。第2電極接合面12sbmは、第1電極部13aと接する。
本実施形態では、各筐体部1A、1Bは、第1基板接合面11sbsと第2基板接合面12sbs、第1電極接合面11sbmと第2電極部13b、及び第1電極部13aと第2電極接合面12sbmとのそれぞれにおいて接合され、例えば図18(c)及び図18(d)の破線で示された範囲で接合される。即ち、第1方向Zから見て、中間部14は、第1接合面11sb及び第2接合面12sbによって囲まれる。このため、上述した実施形態と同様に、各電極部13a、13bが設けられた各主面11s、12sにおける各接合面11sb、12sbにより、中間部14を囲む閉空間(ギャップ部14a)を容易に形成することができる。
また、上記範囲により接合した場合、各基板11、12上に各電極部13a、13bを設ける面積を大きくすることができる。このため、各電極部13a、13bの対向する面積を大きくすることができる。
本実施形態では、例えば第1接続配線15aは、第2電極接合面12sbmよりも外側に設けられ、第1電極部13aと接する。また、第2接続配線15bは、第1電極接合面11sbmよりも外側に設けられ、第2電極部13bと接する。このため、各電極部13a、13bと電気的に接続させる各接続配線15a、15bを容易に設けることができ、例えば発電装置100における製造工程の簡易化を図ることが可能となる。
各接続配線15a、15bは、例えば図18(a)に示すように、各基板11、12の側面に設けられる。この場合、各電極部13a、13bが、各基板11、12の側面から露出せず、各電極部13a、13bの劣化を抑制することができる。また、各電極部13a、13bと、各電極接合面11sbm、12sbmとの接合された部分の外側に、各接続配線15a、15bが設けられるため、上記接合部分から中間部14の漏れ出し等を防ぐことが可能となる。
本実施形態では、例えば図19に示すように、接続配線15を設ける代わりに、各電極部13a、13bの端部に端子101が設けられてもよい。この場合においても、各電極部13a、13bと電気的に接続させる端子101を容易に設けることができ、例えば発電装置100における製造工程の簡易化を図ることが可能となる。
例えば図19に示すように、各電極部13a、13bにおける端部側の主面を、露出させてもよい。この場合、接続配線15や端子101をさらに容易に設けることができる。
例えば図20に示すように、上記構成を積層した構造を備えてもよい。即ち、第1筐体部1A及び第2筐体部1Bは、第1方向Zに複数積層され、中間部14は、各筐体部1A、1Bの間に複数設けられる。この場合、第1接続配線15aは、第1方向Zに延在し、複数の第1電極部13aと接する。また、第2接続配線15bは、第1方向Zに延在し、複数の第2電極部13bと接する。このため、各電極部13a、13bと電気的に接続させる各接続配線15a、15bを容易に設けることができる。なお、各接続配線15a、15bは、例えば各基板11、12の側面に連続して設けられ、例えば各筐体部1A、1Bを積層する際に形成された隙間に設けられてもよい。この場合、各接続配線15a、15bを、各筐体部1A、1Bの支持部材として用いることができ、発電素子1の強度を高めることが可能となる。
本実施形態によれば、上述した実施形態の内容に加え、第1接合面11sbは、第2接合面12sbと接する第1基板接合面11sbsと、第2電極部13bと接する第1電極接合面11sbmとを有する。第2接合面12sbは、第1基板接合面11sbsと接する第2基板接合面12sbsと、第1電極部13aと接する第2電極接合面12sbmとを有する。このため、各基板11、12上に各電極部13a、13bを設ける面積を大きくすることができ、各電極部13a、13bの対向する面積を大きくすることができる。これにより、電気エネルギーの発生量を増加させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、第1接続配線15aは、第2電極接合面12sbmよりも外側に設けられ、第1電極部13aと接する。第2接続配線15bは、第1電極接合面11sbmよりも外側に設けられ、第2電極部13bと接する。このため、各電極部13a、13bと電気的に接続させる各接続配線15a、15bを容易に設けることができる。これにより、製造工程の容易化を図ることが可能となる。また、発電素子1の利用に伴い各接続配線15a、15bが劣化した場合においても、容易に修復させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、第1接続配線15aは、第1方向Zに延在し、複数の第1電極部13aと接する。第2接続配線15bは、第1方向Zに延在し、複数の第2電極部13bと接する。このため、各筐体部1A、1Bを複数積層した場合においても、各電極部13a、13bと電気的に接続させる各接続配線15a、15bを容易に設けることができる。これにより、製造工程の容易化を図ることが可能となる。
(第3実施形態:電子機器500)
<電子機器500>
上述した発電素子1及び発電装置100は、例えば電子機器に搭載することが可能である。以下、電子機器の実施形態のいくつかを説明する。
図22(a)〜図22(d)は、発電素子1を備えた電子機器500の例を示す模式ブロック図である。図22(e)〜図22(h)は、発電素子1を含む発電装置100を備えた電子機器500の例を示す模式ブロック図である。
図22(a)に示すように、電子機器500(エレクトリックプロダクト)は、電子部品501(エレクトロニックコンポーネント)と、主電源502と、補助電源503と、を備えている。電子機器500及び電子部品501のそれぞれは、電気的な機器(エレクトリカルデバイス)である。
電子部品501は、主電源502を電源に用いて駆動される。電子部品501の例としては、例えば、CPU、モーター、センサ端末、及び照明等を挙げることができる。電子部品501が、例えばCPUである場合、電子機器500には、内蔵されたマスター(CPU)によって制御可能な電子機器が含まれる。電子部品501が、例えば、モーター、センサ端末、及び照明等の少なくとも1つを含む場合、電子機器500には、外部にあるマスター、あるいは人によって制御可能な電子機器が含まれる。
主電源502は、例えば電池である。電池には、充電可能な電池も含まれる。主電源502のプラス端子(+)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。主電源502のマイナス端子(−)は、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。
補助電源503は、発電素子1である。発電素子1は、上述した発電素子1の少なくとも1つを含む。発電素子1のアノード(例えば第1電極部13a)は、電子部品501のGND端子(GND)、又は主電源502のマイナス端子(−)、又はGND端子(GND)とマイナス端子(−)とを接続する配線と、電気的に接続される。発電素子1のカソード(例えば第2電極部13b)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)、又は主電源502のプラス端子(+)、又はVcc端子(Vcc)とプラス端子(+)とを接続する配線と、電気的に接続される。電子機器500において、補助電源503は、例えば主電源502と併用され、主電源502をアシストするための電源や、主電源502の容量が切れた場合、主電源502をバックアップするための電源として使うことができる。主電源502が充電可能な電池である場合には、補助電源503は、さらに、電池を充電するための電源としても使うことができる。
図22(b)に示すように、主電源502は、発電素子1とされてもよい。発電素子1のアノードは、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。発電素子1のカソードは、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。図22(b)に示す電子機器500は、主電源502として使用される発電素子1と、発電素子1を用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を備えている。発電素子1は、独立した電源(例えばオフグリッド電源)である。このため、電子機器500は、例えば自立型(スタンドアローン型)にできる。しかも、発電素子1は、環境発電型(エナジーハーベスト型)である。図22(b)に示す電子機器500は、電池の交換が不要である。
図22(c)に示すように、電子部品501が発電素子1を備えていてもよい。発電素子1のアノードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のGND配線と電気的に接続される。発電素子1のカソードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のVcc配線と電気的に接続される。この場合、発電素子1は、電子部品501の、例えば補助電源503として使うことができる。
図22(d)に示すように、電子部品501が発電素子1を備えている場合、発電素子1は、電子部品501の、例えば主電源502として使うことができる。
図22(e)〜図22(h)のそれぞれに示すように、電子機器500は、発電装置100を備えていてもよい。発電装置100は、電気エネルギーの源として発電素子1を含む。
図22(d)に示した実施形態は、電子部品501が主電源502として使用される発電素子1を備えている。同様に、図22(h)に示した実施形態は、電子部品501が主電源として使用される発電装置100を備えている。これらの実施形態では、電子部品501が、独立した電源を持つ。このため、電子部品501を、例えば自立型とすることができる。自立型の電子部品501は、例えば、複数の電子部品を含み、かつ、少なくとも1つの電子部品が別の電子部品と離れているような電子機器に有効に用いることができる。そのような電子機器500の例は、センサである。センサは、センサ端末(スレーブ)と、センサ端末から離れたコントローラ(マスター)と、を備えている。センサ端末及びコントローラのそれぞれは、電子部品501である。センサ端末が、発電素子1又は発電装置100を備えていれば、自立型のセンサ端末となり、有線での電力供給の必要がない。発電素子1又は発電装置100は環境発電型であるので、電池の交換も不要である。センサ端末は、電子機器500の1つと見なすこともできる。電子機器500と見なされるセンサ端末には、センサのセンサ端末に加えて、例えば、IoTワイヤレスタグ等が、さらに含まれる。
図22(a)〜図22(h)のそれぞれに示した実施形態において共通することは、電子機器500は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子1と、発電素子1を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を含むことである。
電子機器500は、独立した電源を備えた自律型(オートノマス型)であってもよい。自律型の電子機器の例は、例えばロボット等を挙げることができる。さらに、発電素子1又は発電装置100を備えた電子部品501は、独立した電源を備えた自律型であってもよい。自律型の電子部品の例は、例えば可動センサ端末等を挙げることができる。
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。また、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
1 :発電素子
1A :第1筐体部
1B :第2筐体部
10 :基板
11 :第1基板
11s :第1主面
11sa :第1離間面
11saf :第1面
11sas :第2面
11sat :接触面
11sb :第1接合面
11sbm :第1電極接合面
11sbs :第1基板接合面
12 :第2基板
12s :第2主面
12sa :第2離間面
12saf :第1面
12sas :第2面
12sat :接触面
12sb :第2接合面
12sbm :第2電極接合面
12sbs :第2基板接合面
13a :第1電極部
13b :第2電極部
14 :中間部
14a :ギャップ部
14s :スペース
15a :第1接続配線
15b :第2接続配線
17 :封止部
18 :保護膜
100 :発電装置
101 :端子
102 :配線
141 :ナノ粒子
141a :絶縁膜
141f :ナノ粒子(小)
141s :ナノ粒子(中)
141t :ナノ粒子(大)
142 :溶媒
201 :溶媒
202 :筐体
203 :フェムト秒パルスレーザー
204 :集光レンズ
206 :有機溶媒
207 :有機溶媒
211 :混合容器
500 :電子機器
R :負荷
S10 :生成工程
S20 :撹拌工程
S30 :採取工程
S110 :第1筐体部形成工程
S120 :第2筐体部形成工程
S130 :中間部形成工程
S140 :接合工程
S150 :表面処理工程
Z :第1方向
X :第2方向
Y :第3方向
e :電子
第1発明に係る発電素子の製造方法は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子の製造方法であって、フェムト秒パルスレーザーを用いて溶媒に分散された金属ナノ粒子を生成する生成工程と、前記生成工程で生成された金属ナノ粒子のうち、粒子径の小さい金属ナノ粒子に分散剤を被膜させて有機溶媒側に移動させるために、前記分散剤を含む有機溶媒と、前記金属ナノ粒子を含む前記溶媒とを混合して撹拌する撹拌工程と、前記撹拌工程で前記有機溶媒側に移動した前記金属ナノ粒子を、前記有機溶媒とともに採取する採取工程と、第1基板に、第1電極部を形成する第1電極部形成工程と、第2基板に、第2電極部を形成する第2電極部形成工程と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に前記分散剤を被膜した前記金属ナノ粒子を含む前記有機溶媒を挟んだ状態で、前記第1基板と前記第2基板とを接合する接合工程と、を備えることを特徴とする。
発明に係る発電素子の製造方法は、第1発明において、前記金属ナノ粒子は合金による金属ナノ粒子であることを特徴とする。
発明に係る発電素子は、第1発明又は第2発明における発電素子の製造方法により製造された発電素子であることを特徴とする。
第1発明〜第発明によれば、生成工程では、フェムト秒パルスレーザーを用いて溶媒に分散された金属ナノ粒子を生成し、撹拌工程では、前記生成工程で生成された金属ナノ粒子のうち、粒子径の小さい金属ナノ粒子に分散剤を被膜させて有機溶媒側に移動させるために、前記分散剤を含む有機溶媒と、前記金属ナノ粒子を含む前記溶媒とを混合して撹拌し、採取工程では、前記撹拌工程で前記有機溶媒側に移動した前記金属ナノ粒子を、前記有機溶媒とともに採取し、接合工程では、第1電極部と第2電極部との間に有機溶媒を挟んだ状態で、第1基板と第2基板とを接合する。即ち、有機溶媒に分散された金属ナノ粒子は、他の溶媒等に移動させることなく電極間に挟まれる。このため、第1電極部と第2電極部との間に挟まれた金属ナノ粒子同士の凝集を抑制することができる。これにより、発電効率の早期低下を抑制することができる。
第1発明〜第3発明によれば、生成工程では、金属イオンが溶解した溶媒にフェムト秒パルスレーザーを照射して金属ナノ粒子を生成し、接合工程では、第1電極部と第2電極部との間に溶媒を挟んだ状態で、第1基板と第2基板とを接合する。このため、金属イオンの生成に用いた溶媒ごと第1電極部と第2電極部に挿入することができる。これにより発電素子の製造工程を簡略化することができる。
第1発明〜第3発明によれば、生成工程では、金属イオンが溶解した溶媒にフェムト秒パルスレーザーを照射して金属ナノ粒子を生成し、生成工程の後に、撹拌工程と、採取工程と、を実施し、接合工程では、第1電極部と第2電極部との間に有機溶媒を挟んだ状態で第1基板と第2基板とを接合する。撹拌工程及び採取工程によって金属ナノ粒子における粒径の幅を狭めることができ、第1電極部と第2電極部の間に粒子径の揃った有機溶媒が挿入される。これにより発電素子の発電効率を高めることができる。
特に、第発明によれば、金属ナノ粒子は合金による金属ナノ粒子である。このため、金属単体粒子では得られない合金特有の性質を有する。これにより、金属単体粒子の場合よりもより発電素子の発電効率を高めることができる。
特に、第発明によれば、発電素子は第1発明又は第2発明の発電素子の製造方法により製造される。このため、発電効率の早期低下を抑制することができる発電素子を得ることができる。
第1発明に係る発電素子の製造方法は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子の製造方法であって、フェムト秒パルスレーザーを用いて溶媒に分散され、粒度分布において粒子径の小さい金属ナノ粒子と、前記粒子径の小さい金属ナノ粒子よりも粒子径の大きい金属ナノ粒子を生成する生成工程と、前記生成工程で生成された金属ナノ粒子のうち、前記粒子径の小さい金属ナノ粒子に分散剤を被膜させて有機溶媒側に移動させ、前記粒子径の大きい金属ナノ粒子を前記溶媒側に残すために、前記分散剤を含む前記有機溶媒と、前記金属ナノ粒子を含む前記溶媒とを混合して撹拌し、前記粒子径の小さい金属ナノ粒子を含む一方の前記金属ナノ粒子を前記溶媒側から前記有機溶媒側に移動させるとともに、前記粒子径の大きい金属ナノ粒子を含む他方の前記金属ナノ粒子を前記溶媒側に残す撹拌工程と、前記撹拌工程で前記有機溶媒側に移動した前記粒子径の小さい金属ナノ粒子を、前記有機溶媒とともに採取する採取工程と、第1基板に、第1電極部を形成する第1電極部形成工程と、第2基板に、第2電極部を形成する第2電極部形成工程と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に前記分散剤を被膜した前記金属ナノ粒子を含む前記有機溶媒を挟んだ状態で、前記第1基板と前記第2基板とを接合する接合工程と、を備えることを特徴とする。
第3発明に係る発電素子は、第1発明又は第2発明における発電素子の製造方法により製造された発電素子であって、前記第1電極部は、前記第1基板のうち前記有機溶媒側に設けられる第1主面に比べて、前記有機溶媒に対する濡れ性が高いことを特徴とする。
第1発明〜第3発明によれば、生成工程では、フェムト秒パルスレーザーを用いて溶媒に分散され、粒度分布において粒子径の小さい金属ナノ粒子と、粒子径の小さい金属ナノ粒子よりも粒子径の大きい金属ナノ粒子を生成し、撹拌工程では、生成工程で生成された金属ナノ粒子のうち、粒子径の小さい金属ナノ粒子に分散剤を被膜させて有機溶媒側に移動させ、粒子径の大きい金属ナノ粒子を溶媒側に残すために、分散剤を含む有機溶媒と、金属ナノ粒子を含む溶媒とを混合して撹拌し、粒子径の小さい金属ナノ粒子を含む一方の金属ナノ粒子を溶媒側から有機溶媒側に移動させるとともに、粒子径の大きい金属ナノ粒子を含む他方の金属ナノ粒子を溶媒側に残し、採取工程では、撹拌工程で有機溶媒側に移動した粒子径の小さい金属ナノ粒子を、有機溶媒とともに採取し、接合工程では、第1電極部と第2電極部との間に有機溶媒を挟んだ状態で、第1基板と第2基板とを接合する。即ち、有機溶媒に分散された金属ナノ粒子は、他の溶媒等に移動させることなく電極間に挟まれる。このため、第1電極部と第2電極部との間に挟まれた金属ナノ粒子同士の凝集を抑制することができる。これにより、発電効率の早期低下を抑制することができる。
特に、第3発明によれば、発電素子は第1発明又は第2発明の発電素子の製造方法により製造され、第1電極部は、第1基板のうち有機溶媒側に設けられる第1主面に比べて、有機溶媒に対する濡れ性が高い。このため、発電効率の早期低下を抑制することができる発電素子を得ることができる。

Claims (5)

  1. 熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子の製造方法であって、
    フェムト秒パルスレーザーを用いて溶媒又は有機溶媒に分散された金属ナノ粒子を生成する生成工程と、
    第1基板に、第1電極部を形成する第1電極部形成工程と、
    第2基板に、第2電極部を形成する第2電極部形成工程と、
    前記第1電極部と前記第2電極部との間に前記溶媒又は前記有機溶媒を挟んだ状態で、前記第1基板と前記第2基板とを接合する接合工程と、
    を備えること
    を特徴とする発電素子の製造方法。
  2. 前記生成工程では、金属イオンが溶解した前記溶媒に、前記フェムト秒パルスレーザーを照射して前記金属ナノ粒子を生成し、
    前記接合工程では、前記第1電極部と前記第2電極部との間に前記溶媒を挟んだ状態で、前記第1基板と前記第2基板とを接合すること
    を特徴とする請求項1記載の発電素子の製造方法。
  3. 前記生成工程では、金属イオンが溶解した前記溶媒に、前記フェムト秒パルスレーザーを照射して前記金属ナノ粒子を生成し、
    前記生成工程の後に、
    前記有機溶媒と、前記金属ナノ粒子を含む前記溶媒とを混合して撹拌する撹拌工程と、
    前記撹拌工程で前記有機溶媒側に移動した前記金属ナノ粒子を、前記有機溶媒とともに採取する採取工程と、
    を備え、
    前記接合工程では、前記第1電極部と前記第2電極部との間に前記有機溶媒を挟んだ状態で、前記第1基板と前記第2基板とを接合すること
    を特徴とする請求項1記載の発電素子の製造方法。
  4. 前記金属ナノ粒子は合金による金属ナノ粒子であること
    を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の発電素子の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れか1項記載の発電素子の製造方法により製造された発電素子。
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