JP2006316311A - 金属錯イオンの光還元方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】露光量の制御において厳密な制御性を要求されることがないとともに、生成される金属構造体のサイズを制御することができ、しかも、生成される金属構造体のサイズの空間分解能を低下させる恐れのない金属錯イオンの光還元方法を提供する。
【解決手段】材料中に分散された金属錯イオン分散体にレーザー光を集光照射することにより金属錯イオンを光還元して金属構造体を作製する金属錯イオンの光還元方法において、金属錯イオン分散体が分散された材料中に所定の色素を添加し、上記所定の色素が添加された材料にレーザー光を集光照射するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】材料中に分散された金属錯イオン分散体にレーザー光を集光照射することにより金属錯イオンを光還元して金属構造体を作製する金属錯イオンの光還元方法において、金属錯イオン分散体が分散された材料中に所定の色素を添加し、上記所定の色素が添加された材料にレーザー光を集光照射するようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、金属錯イオンの光還元方法に関し、さらに詳細には、レーザー光を照射して金属錯イオンを光還元することにより金属構造体を作製する際に用いて好適な金属錯イオンの光還元方法に関する。
近年、光リソグラフィ技術や光ディスク製造技術などのように、光を用いた極微細加工技術が広く利用され、また、各種の方面で研究されてきている。
例えば、現在最も広く利用されている光を用いた極微細加工技術として、上記した光リソグラフィ技術がある。この光リソグラフィ技術は、半導体チップなどのような各種の電子デバイスの製造には欠かせない基幹技術であるが、原理的には写真転写技術を用いた大量複製技術であって、最終的には化学的な手法によって特定の部位の金属を溶解、析出もしくは除去することにより、金属構造体として所望の金属パターンを作製するというものである。
一方、金属構造体として所望の金属パターンを作製する技術としては、上記した光リソグラフィ技術の他に、レーザー光を特定の材料に直接照射することによって金属パターンを作製する手法が知られている。具体的には、金属ナノ微粒子の分散体にレーザー光を集光照射することによって、当該レーザー光の集光点において金属ナノ微粒子を溶融結合させ、これにより金属構造体として金属パターンを作製する手法や、金属錯イオンにレーザー光を集光照射することにより金属錯イオンを光還元させることで金属体を析出させ、これにより金属構造体として金属パターンを作製する手法などが提案されている。
ここで、上記した金属錯イオンを光還元させることで金属体を析出させるという手法においては、レーザー光を金属錯イオンに集光照射しながら当該レーザー光を走査することによって、当該走査軌跡に応じて金属構造体として任意の金属パターンを作製することが可能であるため、その応用範囲は極めて広範囲に及ぶものであって、近年さまざまな分野で研究や開発が行われている。
本願発明者は、レーザーのなかでフェムト秒超短パルスレーザーを光源とした光学系を使用した多光子吸収過程を用いて、これにより金属錯イオンを光還元することによって、3次元空間中でレーザー光の集光点でのみ金属錯イオンを光還元し、3次元的な金属構造体を直接的に作製する手法に関する研究を行ってきた。
ところで、レーザー光を集光照射して金属錯イオンを光還元させることにより金属構造体を作製する技術おいては、その露光量の制御が困難であるという問題点があった。
こうした露光量の制御が困難である主な原因の一つは、金属錯イオンの光還元に伴って析出した金属が、材料そのものの吸収スペクトルや吸収断面積を変化させてしまうため、レーザー光照射を行っている材料の特性がレーザー光照射とともに時々刻々と変化してしまうということにある。つまり、光を材料に照射する際には、それまでに露光した光の量に応じて、その後に照射する光強度を適時変化させる制御を厳密に行わなければ一定の露光パターンを維持することができないものであるが、一般にこうした制御を厳密に行うことは極めて困難なものであった。
また、レーザー光を集光照射して金属錯イオンを光還元させることにより金属構造体を作製する際には、一般的には金属構造体の析出にともなって光の吸収率は増加するので、金属構造体の量が増加してある閾値を超えたとたんに爆発的に反応が進行することが多く、光還元される金属錯イオンの量、即ち、生成される金属構造体のサイズを制御することが困難であるという問題点があった。
特に、上記したような爆発的な反応が始まると、レーザー光の集光点の周辺に存在する金属錯イオンの光還元も同時に進行してしまい、生成される金属構造体がレーザー光の集光点のサイズに比べて極めて大きくなり空間分解能が低下してしまうという問題点もあった。
なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
本発明は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、露光量の制御において厳密な制御性を要求されることがないとともに、生成される金属構造体のサイズを制御することができ、しかも、生成される金属構造体のサイズの空間分解能を低下させる恐れのない金属錯イオンの光還元方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明による金属錯イオンの光還元方法は、液体、気体あるいは固体などの材料中に分散された金属錯イオン分散体にレーザー光を集光照射することにより金属錯イオンを光還元して金属構造体を作製する金属錯イオンの光還元方法において、金属錯イオン分散体が分散された材料中に所定の色素を添加することによって、金属錯イオンの光還元を制御して金属構造体を作製する際の加工精度を向上させるようにしたものであり、例えば、3次元的なナノ〜ミクロンサイズの金属構造体を直接的に製造することが可能になる。
即ち、本発明による金属錯イオンの光還元方法は、金属錯イオン分散体に特定の色素を添加することで非加工材料の吸収スペクトルならびに吸収断面積を一定に保ち、レーザー光の集光点以外の領域へレーザー光のエネルギーが伝搬して空間分解能を低下させることを防ぐとともに、レーザー光の集光点での光還元効率を向上させるようにしたものである。
即ち、本発明のうち請求項1に記載の発明は、材料中に分散された金属錯イオン分散体にレーザー光を集光照射することにより金属錯イオンを光還元して金属構造体を作製する金属錯イオンの光還元方法において、金属錯イオン分散体が分散された材料中に所定の色素を添加し、上記所定の色素が添加された材料にレーザー光を集光照射するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記色素を、上記材料に集光照射されるレーザー光の波長の約半分付近に吸収波長のピークがあるものとしたものである。
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記色素を、官能基が上記材料中に分散された金属錯イオン分散体に対する還元性をもたないものとしたものである。
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記材料は、Au+水溶液であり、上記色素は、P−Quaterphenyl、Stilbene420、Coumarin440、Coumarin481、Coumarin485、Coumarin500またはCoumarin515のいずれかであり、上記Au+水溶液に対しジメチルホルムアミド溶媒に上記色素を溶解したものを添加するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項4に記載の発明において、上記ジメチルホルムアミド溶媒に対する上記色素の濃度を0.1wt%以下であるようにしたものである。
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記材料は、Ag+水溶液であり、上記色素は、Stilbene420、Coumarin440、Coumarin504またはCoumarin515のいずれかであり、上記Ag+水溶液に対しエタノール溶媒に上記色素を溶解したものを添加するようにしたものである。
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、本発明のうち請求項6に記載の発明において、上記エタノール溶媒に対する上記色素の濃度を飽和量に設定するようにしたものである。
本発明は、以上説明したように構成されているので、露光量の制御において厳密な制御性を要求されることがないとともに、生成される金属構造体のサイズを制御することができ、しかも、生成される金属構造体のサイズの空間分解能を低下させる恐れがないという優れた効果を奏する。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による金属錯イオンの光還元方法の実施の形態の一例を詳細に説明する。
この本発明による金属錯イオンの光還元方法は、所定の吸収波長と吸収断面積とをもつ色素を所定の溶媒(例えば、水や有機溶媒である。)に溶解した形で、金属錯イオン分散体が分散された材料に添加した後に、当該材料にレーザー光を集光照射するというものである。
ここで、フェムト秒超短パルスレーザー光などのレーザー光の照射による2光子吸収過程を用いて金属錯イオンを光還元する際における有効な色素としては、その吸収波長が材料に集光照射されるレーザー光の波長の約半分付近にピークをもち、その長波長側の吸収端が概ね赤色域まで、つまり、近赤外域に吸収のない色素が好ましい。例えば、材料に集光照射されるレーザー光の波長が波長800nm程度であれば、吸収波長が波長350〜450nm付近にピークをもち、その長波長側の吸収端が概ね赤色域まで、つまり、近赤外域に吸収のない色素が好ましい。
また、色素の発光効率については、発光効率の高い色素を材料に添加すると、材料の吸収特性を押さえる作用を得ることができ、一方、発光効率の低い色素を材料に添加すると、材料の吸収特性を向上させる作用を得ることができる。即ち、発光効率の高い色素は、入射光エネルギーを一旦色素が吸収した後にその大部分を蛍光発光として消費するので、金属錯イオンの光還元が阻害されることになるからであり、一方、発光効率の低い色素は、吸収した入射光エネルギーを直接金属イオンに遷移させて金属錯イオンを還元させるか、もしくは熱として放出したのちその熱エネルギーを再度金属イオンが吸収するので、金属錯イオンの還元が行われるからである。従って、発光効率の低い色素を材料に添加すると、色素の添加によって光の吸収量が増えた分だけ、金属錯イオンの還元効率が向上する。
さらに、色素を選択する際には、色素分子の中の官能基自体が金属錯イオンに対する還元性をもたない色素を選択する。即ち、色素そのものが金属錯イオンを還元してしまうと、色素を添加した時点で材料中の金属錯イオンが還元してしまい、意図した金属構造体を作製することができなくなるからである。
上記した条件を満たす色素を実験的に検討した結果、金属錯イオンとして金イオンを光還元する場合には、金属錯イオン分散体を含んだ材料としてAu+水溶液(例えば、HAuCl4の水溶液である。)を用いたときには、当該Au+水溶液に対しジメチルホルムアミド(DMF)溶媒にP−Quaterphenyl、Stilbene420、Coumarin440、Coumarin481、Coumarin485、Coumarin500あるいはCoumarin515などの色素を溶解したものを添加すれば、上記のジメチルホルムアミド溶媒に色素を添加した材料たるAu+水溶液にレーザー光を集光照射することにより、露光量の制御において厳密な制御性を要求されることがなく、しかもサイズを制御しながら、かつ、空間分解能を低下させずに金の構造体を製造することができた。
また、金属錯イオンとして銀イオンを光還元する場合には、金属錯イオン分散体を含んだ材料としてAg+水溶液(例えば、AgNO3の水溶液である。)を用いたときには、当該Ag+水溶液に対しエタノール溶媒にStilbene420、Coumarin440、Coumarin504あるいはCoumarin515などの色素を溶解したものを添加すれば、上記のエタノール溶媒に色素を添加した材料たるAg+水溶液にレーザー光を集光照射することにより、露光量の制御において厳密な制御性を要求されることがなく、しかもサイズを制御しながら、かつ、空間分解能を低下させずに銀の構造体を製造することができた。
ここで、色素の濃度については、上記した金属錯イオンとして金イオンを光還元する場合については、ジメチルホルムアミドを溶媒として用いて色素を0.1wt%(ジメチルホルムアミド溶媒に対する色素の濃度)以下にすれば、色素を添加したこと自体による金イオンの還元は見られず、また、従来の技術と比較すると、レーザー光による光還元において作成される金の構造体の分解能や表面状態に改善が見られた。
一方、上記した金属錯イオンとして銀イオンを光還元する場合については、エタノールを溶媒として用いて色素濃度を飽和量に設定すればよい。なお、飽和量は色素によって異なり、例えば、Stilbene420は0.01wt%(エタノール溶媒に対する色素の濃度)であり、Coumarin440は0.02wt%(エタノール溶媒に対する色素の濃度)であり、Coumarin504は0.08wt%(エタノール溶媒に対する色素の濃度)であり、Coumarin515は0.02wt%(エタノール溶媒に対する色素の濃度)であり、このように色素濃度を飽和量に設定した場合においては、従来の技術と比較すると、レーザー光による光還元において作成される銀の構造体の分解能や表面状態に改善が見られた。また、色素を添加したこと自体による銀イオンの還元は見られなかった。
以下、上記した結果が得られた本願発明者により行われた実験について、実施例1〜2として説明する。
なお、実施例1〜2として示す実験においては、図1に示す光学系システム10を用いた。この光学系システム10は、フェムト秒超短パルスレーザーとしてのチタンサファイアレーザー12と、チタンサファイアレーザー12から出射されたレーザー光を集光する集光レンズ14と、チタンサファイアレーザー12から出射されたレーザー光に対して透明なガラス基板16を支持するとともにX軸方向、Y軸方向ならびにZ軸方向(図1に示すXYZ直交座標系を示す参考図を参照する。)に自在に移動可能なXYZステージ18とを有して構成されている。
ここで、チタンサファイアレーザー12は、中心波長λが800nmであり、パルス幅Δtが80fsであり、繰り返し周波数fが80MHzである。
また、基板16には、試料Sとして、金属錯イオン分散体を含んだ材料や、色素を溶媒に溶解した形で添加された金属錯イオン分散体を含んだ材料が載置される。
以上の構成において、上面に試料Sを載置した基板16をXYZステージ18に取り付け、XYZステージ18をX軸方向、Y軸方向ならびにZ軸方向の任意の方向に駆動するとともに、集光レンズ14によりチタンサファイアレーザー12から出射されたレーザー光の集光点Aを試料S中においてZ軸方向に任意に移動することにより、3次元空間中における上記集光点の軌跡上に金属構造体Mが作製される。
図2は、試料Sとして、AgNO3水溶液を用い、上記した光学系システム10によりスキャン速度50μm/sでチタンサファイアレーザー12から出射されたレーザー光を試料Sに対して相対的にスキャンさせた場合における、銀の構造体の作製結果を示す電子顕微鏡写真である。また、試料Sへの照射光パワーは、78.5mWである。
一方、図3は、試料Sとして、AgNO3水溶液に対してエタノール溶媒にCoumarin440を溶解したものを添加したものを用い、上記した光学系システム10によりスキャン速度50μm/sでチタンサファイアレーザー12から出射されたレーザー光を試料Sに対して相対的にスキャンさせた場合における、銀の構造体の作製結果を示す電子顕微鏡写真である。
なお、エタノール溶媒に対するCoumarin440の濃度は0.02wt%であり、また、試料Sへの照射光パワーは、14.3mWである。
チタンサファイアレーザー12から出射されたレーザー光は、図2に示す実験ならびに図3に示す実験とも、C字形状の外側に逆C字形状の銀の構造体が作製されるようにその軌跡を移動させた。
これら図2と図3とを比較すると明らかなように、図3に示す実験結果は、露光量の制御において厳密な制御を行っていないにも関わらず、銀の構造体のサイズが精度よく制御されているとともに、その空間分解能も著しく向上していることがわかる。
図4は、試料Sとして、HAuCl4水溶液を用い、上記した光学系システム10によりスキャン速度50μm/sでチタンサファイアレーザー12から出射されたレーザー光を試料Sに対して相対的にスキャンさせた場合における、金の構造体の作製結果を示す光学顕微鏡写真である。また、試料Sへの照射光パワーは、142.9mWである。
一方、図3は、試料Sとして、HAuCl4水溶液に対してジメチルホルムアミド溶媒にCoumarin481を溶解したものを添加したものを用い、上記した光学系システム10によりスキャン速度50μm/sでチタンサファイアレーザー12から出射されたレーザー光を試料Sに対して相対的にスキャンさせた場合における、金の構造体の作製結果を示す電子顕微鏡写真である。
なお、ジメチルホルムアミド溶媒に対するCoumarin481の濃度は0.1wt%であり、また、試料Sへの照射光パワーは、39.3mWである。
チタンサファイアレーザー12から出射されたレーザー光は、図4に示す実験ならびに図5に示す実験とも、C字形状の外側に逆C字形状の金の構造体が作製されるようにその軌跡を移動させた。
これら図4と図5とを比較すると明らかなように、図5に示す実験結果は、露光量の制御において厳密な制御を行っていないにも関わらず、金の構造体のサイズが精度よく制御されているとともに、その空間分解能も著しく向上していることがわかる。
なお、従来より知られた技術である写真フィルムなどの感光体に利用されている色素増感法は、感光体の吸収断面積を大きくし、感度の向上と波長の特定化(カラーフィルムならシアン、マゼンタ、イエロー層など)を主な目的としたものである。
一方、本発明による金属錯イオンの光還元方法は、上記した材料の光吸収特性を変化させることに加え、光照射に伴う材料の吸収スペクトルの変化を低減させるとともに、局所的に照射した光による光還元効果の及ぶ範囲を限定させることで、金属構造体の空間分解能を向上させることができる点において、従来の色素増感法とは全く異なるものであり、本発明によれば以下の作用効果が奏される。
(1)光照射によって生成される金属微粒子が吸収波長、吸収断面積を変化させることを、色素の添加により抑制することができる。
(2)本発明は、光還元反応を生起するための光源としてフェムト秒超短パルスレーザーを用い、吸収に多光子過程を用いるような系で特に有効である。こうした系を用いると、集光点に集光されるレーザー光の影響が及ぶ範囲を空間的に一層限定させることができ、その結果、光の回折限界で決まるレーザー光のスポット径よりも微細に金属構造体を作製することができるようになる。
(3)光源にフェムト秒超短パルスレーザーを用いて、2光子吸収過程の非線形性を利用するようにした場合には、レーザー光の照射方向に対しても空間分解能を持たせることができるようになり、その結果として三次元の金属構造体を容易に製作することができる。
(4)光源の波長あるいは所望の吸収波長に合わせて適宜に色素を選択することができるため、金属構造体を作製する際の裕度が高い。
(5)色素の添加により光源のエネルギー変換効率を向上させることができ、結果として、高速にレーザー光をスキャンさせた場合でも金属構造体を生成するこが可能となり、スループットを向上することができる。
なお、上記した実施の形態や実施例は、以下の(1)乃至(4)に示すように変形することができるものである。
(1)上記した実施の形態や実施例においては、光源としてフェムト秒超短パルスレーザーを用いた場合について説明したが、光源はフェムト秒超短パルスレーザーに限られるものではないことは勿論であり、各種のパルスレーザーや連続レーザーを用いることができる。
(2)上記した実施の形態や実施例においては、各種の色素を示したが、これらは例示に過ぎないものであり、他の色素を用いてもよいことは勿論である。
(3)上記した実施の形態や実施例においては、金属構造体を作製するための金属錯イオンとして金イオンおよび銀イオンを示したが、本発明が適用可能な金属錯イオンは金イオンや銀イオンに限られるものではないことは勿論であり、各種の金属錯イオンに対して本発明を適用することができる。
(4)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(3)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
本発明は、光メモリ技術、光加工技術、紫外線光造形技術あるいは光リソグラフィ技術などに利用することができるものであり、本発明を用いて光ディスク、レーザー加工装置あるいは光造形装置などを製造することができる。
10 光学系システム
12 チタンサファイアレーザー
14 集光レンズ
16 ガラス基板
18 XYZステージ
S 試料
A 集光点
M 金属構造体
12 チタンサファイアレーザー
14 集光レンズ
16 ガラス基板
18 XYZステージ
S 試料
A 集光点
M 金属構造体
Claims (7)
- 材料中に分散された金属錯イオン分散体にレーザー光を集光照射することにより金属錯イオンを光還元して金属構造体を作製する金属錯イオンの光還元方法において、
金属錯イオン分散体が分散された材料中に所定の色素を添加し、
前記所定の色素が添加された材料にレーザー光を集光照射する
ことを特徴とする金属錯イオンの光還元方法。 - 請求項1に記載の金属錯イオンの光還元方法において、
前記色素は、前記材料に集光照射されるレーザー光の波長の約半分付近に吸収波長のピークがある
ことを特徴とする金属錯イオンの光還元方法。 - 請求項1に記載の金属錯イオンの光還元方法において、
前記色素は、官能基が前記材料中に分散された金属錯イオン分散体に対する還元性をもたない
ことを特徴とする金属錯イオンの光還元方法。 - 請求項1に記載の金属錯イオンの光還元方法において、
前記材料は、Au+水溶液であり、
前記色素は、P−Quaterphenyl、Stilbene420、Coumarin440、Coumarin481、Coumarin485、Coumarin500またはCoumarin515のいずれかであり、
前記Au+水溶液に対しジメチルホルムアミド溶媒に前記色素を溶解したものを添加する
ことを特徴とする金属錯イオンの光還元方法。 - 請求項4に記載の金属錯イオンの光還元方法において、
前記ジメチルホルムアミド溶媒に対する前記色素の濃度が0.1wt%以下である
ことを特徴とする金属錯イオンの光還元方法。 - 請求項1に記載の金属錯イオンの光還元方法において、
前記材料は、Ag+水溶液であり、
前記色素は、Stilbene420、Coumarin440、Coumarin504またはCoumarin515のいずれかであり、
前記Ag+水溶液に対しエタノール溶媒に前記色素を溶解したものを添加する
ことを特徴とする金属錯イオンの光還元方法。 - 請求項6に記載の金属錯イオンの光還元方法において、
前記エタノール溶媒に対する前記色素の濃度は飽和量に設定された
ことを特徴とする金属錯イオンの光還元方法。
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